魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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27話

 

 

ゲートを通り抜けるとそこは海底にある神殿の中だった。

 

水中とレンヤ達がいる空間を隔てる壁はなく、ただ水が入ってこなかった。

 

「毎度の事ながら凄い光景だな」

 

「綺麗だけど、奥から禍々しい気配を感じるわ」

 

「どうやら本当にナハトヴァールの影響を受けているみたいだね」

 

その時、ゲートからラーグとソエルが出てきた。

 

「レンヤー!」

 

「お前ら!」

 

「置いていくなんて水くさいぞ」

 

「そうそう、私達も入れてチーム・ザナドゥでしょう」

 

「ふふ、そうだね」

 

「ごめんなさいね」

 

レンヤの両肩にラーグとソエルを乗せた。

 

「この迷宮は今までとは比べ物にならないぞ」

 

「さっきまでの戦闘の疲労もある。皆、気をつけて」

 

「「「了解!」」」

 

異界の探索を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アースラでは……

 

「レン君……」

 

「アリサ、すずか……」

 

なのはとフェイトは3人が心配で休んでいなかった。

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん、休まないと体が持たない」

 

エイミィが2人に温かい飲み物を渡した。

 

「エイミィさん」

 

「あれから状況は…」

 

「以前変化なし、調査隊を同じ座標地点に向かわせたけど収穫なし」

 

「そう……ですか」

 

「一体…何が起こっているの」

 

「私が説明します」

 

「……!リニス」

 

「何か分かるんですか!」

 

「これから会議室に行き皆さんに説明します、もちろん来ますよね」

 

「「はい!」」

 

それからすぐにはやてとリインフォースを抜いた全員が会議室に集まった。

 

「私が知ってる事は断片的で不確かです、それでもいいですか?」

 

「構わない、教えてくれ」

 

リニスの問いに全員が頷く。

 

「はい、先程も申し上げた通り私が知ってる事は断片的です。約4ヶ月前、私はレンヤ達と共に街に行きました」

 

「リニスは猫の状態で?」

 

「はい、最初は皆さん楽しそうに遊んでいましたが。いきなりすずかが何らかの装置を取り出しレンヤ達に話していました、楽しそうだった顔はすぐに真剣なものに変わりました」

 

「先程の行動と似ているな」

 

シグナムが相槌をうつ。

 

「それからその装置を頼りに人気の少ない路地に来ました、すずかが装置を操作した後3人とも何もない壁を見続けていました」

 

「それでレンヤ達はどうしたの?」

 

「レンヤは私を籠に入れた後、3人が壁に向かって走り出したら…消えてしまいました」

 

「それって!」

 

「しばらく経った時、いきなり3人が現れました。その時3人共怪我をしてました、なんらかの戦闘があった様に」

 

「!」

 

「これが私の知る全てです、お役に立てずにすみません」

 

「いいえ、十分すぎるわ」

 

「今の証言に推測すると、レンヤ達は今も戦っている」

 

「そんな……」

 

「レンヤ達が戦っているのに…待つ事しかできないなんて……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「はあ、はあ、はあ…」」」

 

レンヤ、アリサ、すずかが背中を合わせて座りながら休んでいた。

 

「くっ、一体一体がSグリード並。本当に比べ物にならない」

 

「連戦による疲労もあってキツイわ」

 

「それに入り口で感じた魔力が強くなっている」

 

3人が奥の部屋を見る、扉越しでも感じる禍々しい気配を。

 

「やばいね、あれ」

 

「やばすぎるわよ」

 

「勝てるの…かなぁ」

 

「皆……」

 

「3人共、これを」

 

ラーグが取り出したのは……お弁当だった。

 

「この状況で⁉︎」

 

「だからこそだ、初戦から結構時間が経っている。今の状態で行くよりいいだろう」

 

「……喉に、通るかな?」

 

「お茶ならあるよー」

 

「そう言う問題じゃないわよ」

 

とりあえず食べる事にした。

 

「うん、美味しい」

 

「桃子の特性お弁当だよ」

 

「美味しいわけね」

 

「温かいね、どうやったの?」

 

「それは……」

 

「言わんでいい」

 

嫌な予感しかしない。それからすぐに食べ終えまた戦いに挑む。

 

「さて、お腹も膨れた事だし行くか」

 

「十分に休めた、行けるわ」

 

「奥のグリードに変化はないの?」

 

「ナハトヴァールの影響は受けて出現した普通のエルダーグリードだ」

 

「近づかない限り問題ないよ」

 

「でも放って置くわけにはいかない」

 

「海鳴を、私達の日常を守る為にも」

 

「ここで終わらせて見せる!」

 

デバイスを構え奥に進んだ。中は円を描いた石畳の道があり、円の中に海水があった。

 

「何もいないわね」

 

「でも禍々しい魔力が強くなっている」

 

「……来るぞ!」

 

中心の海水が盛り上がり、巨大なイカが現れた。

 

「イカーーーー⁉︎」

 

「えっイカなの⁉︎1、2、3……」

 

「ソエル、数えんでいい」

 

「エルダーグリード……デスクラーケン!」

 

「なんて大きさ…」

 

エルダーグリード、デスクラーケンは天井に向かって咆哮した。

 

「きゃああ!」

 

「耳が……」

 

「一体何を…」

 

全員とっさに耳を塞ぎ、耐える。その時、この空間が大きく揺れ始めた。同時にデスクラーケンが光り始めた。

 

「何が起こって……!」

 

「っ……!皆!周りを見なさい!」

 

「!、これって……」

 

だんだんと天井を覆う水が無くなり始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3人が消えた地点で異常が発生!モニターに出します!」

 

モニターに映ったのは赤い門だったが、通常とは異なりゲートの周りに物質的なパーツが付いている。

 

「赤い……門?」

 

「なんだよ……あれは」

 

「もしかしたてレンヤ達はあそこから……」

 

「高魔力反応を確認!何かきます!」

 

海中から巨大な神殿が上がってきた。

 

「なあ⁉︎」

 

「あれは一体……」

 

「見て!天井が開くよ!」

 

神殿の屋上付近の壁が剥がれた、そこにいたのは。

 

グアアアアアアアア!

 

「きゃああ!」

 

「巨大な……イカ⁉︎」

 

「……!あれは…」

 

エイミィがボードを操作して一ヶ所に映像を拡大した。

 

「レン君!アリサちゃんにすずかちゃんも!」

 

「無事で本当によかった」

 

「そうと言ってもいられないぞ」

 

怪物が光りだし、中から現れたのは頭上に女性くっついた怪物が現れた。

 

「あれって!」

 

「ナハトヴァールに付いていた女性の……」

 

「クロノ君!今すぐに転送して!」

 

「あたし達も加勢するぜ!」

 

「すぐに出れます!」

 

「分かった、すぐに転送する!」

 

はやてとリインフォースを除いた全員がもう一度、同じ場所に戻ってきた。

 

「レン君!」

 

「待ってなのは!迂闊に近づいたら……」

 

なのはが神殿に近づいた瞬間、見えない壁に阻まれた。

 

「障壁か!」

 

「こんな物あたしが!」

 

ヴィータがアイゼンを叩きつけるがビクともしなかった。

 

「何⁉︎」

 

「なら全員で……!」

 

全員で攻撃するがヒビ1つ入らなかった。

 

「どうなってんだ!ナハトヴァールの時より堅いぞ!」

 

「突破は不可能か」

 

「赤い門からも入れない」

 

「そんな……」

 

その時、中にいるレンヤ達が戦い始めた。

 

「ああ……」

 

「こっちに気がついていないのか!」

 

「くっ、一体何がどうなっている!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

揺れとデスクラーケンの光りが収まった、そして目の前にいたのは頭上に女性がくっついたデスクラーケンだった。

 

「嘘でしょう!」

 

「エルダーグリードじゃないの⁉︎」

 

「くっナハトヴァールの影響を受けすぎた、もうエルダーグリードじゃない」

 

「えって事は……」

 

「見た感じグリムグリード名前は………終夜ノ海魔(ナハト=ヒュドラ)って所だね」

 

「こ、これが………グリムグリード⁉︎」

 

「この様子だと、さっきの揺れでそとにこの神殿が顕現したね。皆にも見えているはずさ」

 

「どの道もう隠し通せない、構わんさ」

 

レンヤはグリムグリードとなったを見据える、デバイスを向けて。

 

「正念場だ………俺達の全力をもってグリムグリードを撃破する!」

 

「「「「おおっ!」」」」

 

それを合図にナハト=ヒュドラが触手を槍の様に放った。レンヤ達は避け、アリサが敵に向かって接近した。

 

「やるわよ、フレイムアイズ!」

 

《ロードカートリッジ》

 

「一閃!」

 

焔を纏った剣が側頭部を焼き切る。

 

「思った以上に硬くないわ!」

 

「そうか……なら!」

 

「皆!傷を見て!」

 

すずかの言葉を聞き、傷を見ると急速に再生していた。

 

「そんなのあり!」

 

「ナハトヴァール顔負けだね」

 

「だったら動きを止めて、一気に叩く!」

 

レンヤがナハト=ヒュドラの周りを高速で回る。

 

「レゾナンスアーク、バーストモードーーードライブ!」

 

《イグニッション》

 

剣と銃が消えて、一振りの刀が現れた。

 

「全魔力をこの一刀に……」

 

《シャインブレイド》

 

レンヤが一瞬で消えて、ナハト=ヒュドラの足を全て切り落とした。

 

「すずか!」

 

「了解!スノーホワイト!」

 

《サードギア、ドライブ》

 

ギアを全て回転させ頭上に突き刺した。

 

「芽生えよ、氷華!」

 

《アイスブランチ》

 

突き刺した地点から氷が這うようにナハト=ヒュドラを縛り、凍らせていく。

 

「ナハトヴァールまんまなら、これじゃ終わらない。今持てる最大の魔力を持って撃破する、これで失敗したら後がないぞ!」

 

「ええ、終わらせましょう!」

 

「うん!」

 

アリサが剣を地面に突き刺し魔力を流し込む。

 

「燃え上がれ!」

 

《バーニングウォール》

 

ナハト=ヒュドラの周囲を焔の壁で囲む。

 

「スノーホワイト、お願いできる?」

 

《貴方の御心のままに》

 

すずかは笑って返事をするとナハト=ヒュドラの上に飛び上がる。

 

「降り注げ、流星!」

 

《メテオレイン》

 

目の前に現れた魔法陣にスノーホワイトを投げ、ナハト=ヒュドラにスノーホワイトの形をしたいくつもの魔力弾が降り注ぐ。

 

「レゾナンスアーク」

 

《フォースエッジ》

 

魔力の長大な刀身を作り、すずかの魔法が降り注ぐ中、ナハト=ヒュドラに突っ込む。

 

スノーホワイトは転移ですずかの手にある。

 

「ふう……せいっ!」

 

ナハト=ヒュドラを下から上に切り上げ真っ二つにした。

 

「アリサ!」

 

「任せて!」

 

焔の壁がナハト=ヒュドラに迫り、覆い尽くした。

 

「フレイムアイズ……」

 

《エクスプロージョンインパクト》

 

「イグニッション!」

 

焔の中で爆発が起き発生したエネルギーは拡散することなく1点に集中され、神殿を揺るがしかねない程の爆発が起きた。

 

「うわーーすごいね〜」

 

「とんでもないな」

 

「スターライトブレイカーの次に受けたくないかな」

 

「あはは…」

 

「そこ、うるさい!」

 

全員がナハト=ヒュドラのいる地点を見る。

 

「警戒を怠るな」

 

「ええ、異界がまだ収束していないわ」

 

「でも、もう魔力が…」

 

その時、煙の中を何かが飛び出した。

 

「きゃあ!」

 

「うっ!」

 

ナハト=ヒュドラの触手がアリサとすずかを吹き飛ばした。

 

「2人共!」

 

「レンヤ!」

 

「前を見ろ!」

 

「っ!しま……」

 

触手が槍の様に迫り。

 

「ぐあ!」

 

「「レンヤ!」」

 

左腕、右脚に突き刺さり壁に激突した。

 

「うっ… ここまでの傷は……初めて…だな」

 

「レンヤ!大丈夫⁉︎」

 

「今すぐ撤退を」

 

「できるわけ……ないだろう」

 

右手に持っていた刀で触手を切り落とした。

 

「つっ〜〜〜〜!」

 

《治癒魔法をかけていますが効果は薄いです》

 

「だろうね」

 

痛みに耐えながら槍を引き抜き、そうつぶやく。

 

「アリサとすずかも限界か……」

 

2人共、さっきの一撃でもう動けない。

 

修復していくナハト=ヒュドラを見ながら、レンヤは考えを巡らせていた。

 

その時のなのは達は

 

「いやーーー!レン君!レン君!」

 

レンヤが槍に突き刺さった光景が映り、なのはが障壁を何度も叩いていた。

 

「なのは!落ち着いて!」

 

「離してユーノ君!レン君が、レン君が!」

 

暴れているなのはをユーノが落ち着かせていた。

 

「レンヤ!そんな……レンヤが!」

 

「落ち着いてフェイト!」

 

アルフもフェイトを落ち着かせる

 

「だがこのままだと……」

 

「あの再生力……3人だけでは分が悪い」

 

「戦闘による疲労も大きいわ」

 

「くっ見ているだけしか出来ないのか!」

 

ザフィーラが障壁に拳を打ちつける

 

『クロノ君……』

 

「今は……信じて待つしかない」

 

『クロノ……』

 

クロノの拳は血が出る程強く握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神殿内ーー

 

「ソエル、神器を」

 

「ダメだよ!今のレンヤじゃ体が耐えられない!」

 

「俺は皆を守る、それに俺の死に場所はここじゃない。やり残した事がまだまだあるんだから!」

 

「レンヤ……」

 

「本当に……いいんだな?」

 

「うん」

 

「……分かったよ、ポン!」

 

ソエルが出したのは火の神器だった。

 

「レンヤ、内なる力と秘力を解放して!」

 

「秘力?」

 

「要するに力を解放しろって事だ」

 

「よくわからないけど、フォエス=メイマ!」

 

火の神器を纏い、まずは内なる力を解放する。

 

(内なる力…最後にソフィーさんに見せたあの力……)

 

リンカーコアに集中して、光りが変化するのを感じたら……

 

「はああっ!」

 

一気に解放する!

 

レンヤの髪が金髪になり、目が異虹彩の右目が翠、左目が紅に変わっていた。本人変化に気づいていなく目がよく見えるようになったと思うくらいだが……

 

(やつの核は………あそこだ!)

 

鮮烈になった視界でナハト=ヒュドラの核を見据え、剣を構える。

 

「ふううっ、秘力……解放!」

 

しかしそれをさせまいと触手をレンヤに伸ばす。

 

「私達の主はやらせないわよ!」

 

「貴方の道は私達が切り開く!」

 

アリサとすずかが触手を切り落とした。

 

「ありがとう。アリサ、すずか」

 

レンヤは剣を巨大化させナハト=ヒュドラの核に狙いを付ける。

 

「我が剣は緋炎!紅き業火に悔悟せよ!フランブレイブ!」

 

剣を地面に引き摺りながらナハト=ヒュドラの核を横薙ぎにして斬り裂いた。

 

ナハト=ヒュドラは青い焔に包まれながら塵と消えた。

 

「はあ、はあ、これで…終わり?」

 

「もう…体力も…魔力も…ないわ…」

 

「もうこういう事は…こりごりだよ…」

 

「皆、お疲れ様」

 

「ゆっくり休めよ」

 

周りが光り出し異界が消えた。

 

「「「「「あっ」」」」」

 

ゲートは空と海の上、魔力がもうないレンヤ達は……

 

「きゃああああ!」

 

「落ちてるよおお!」

 

「まあそうだろうな」

 

「ソエル!ソエルーーー!」

 

「ごめーん、レンヤの傷を塞ぐのに結構魔力使っちゃた〜〜」

 

「ラーグ!ラーグは何か手はないの⁉︎」

 

「俺もソエルと同じ理由で魔力はない」

 

「そんな〜〜!」

 

そうしている間にも海面が近づく。

 

「「「もうダメだ!」」」

 

目を閉じて衝撃に備えた。

 

「………………あれ?」

 

「何も……こないわね?」

 

「んーーー!……うん?」

 

レンヤ達がゆっくり目を開けると魔法陣の上に浮いていた。

 

「3人共大丈夫か!」

 

「クロノ、どうやら助けてもらったらしいな」

 

「君達の苦労を考えれば安い物さ……ちゃんと説明してくれるな?」

 

「ああ、こいつらがな。俺達は休みたい…」

 

「ええ、不潔だけどこのままベットに行きたいわ」

 

「ふふ、せめてシャワー位は入ろうよ」

 

その時、他の全員がこっちに来た。

 

「レン君!大丈夫⁉︎痛くない⁉︎」

 

「レンヤが怪我を……早く治療を!」

 

「待って!本当に待って!死ぬ!絶対に死ぬ!」

 

なのはとフェイトに迫られて、傷に響く。

 

「落ちついて!」

 

「そうだよフェイト」

 

「にゃ!」

 

「わっ!」

 

2人はユーノとアルフに引き剥がされた。

 

「それにしても……レンヤが聖王だったなんて…」

 

「ん?聖王ってあの?」

 

すると突然、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが跪く仕草をする。

 

「聖王陛下!聖王陛下とは知らず、今までの御無礼、誠に申し訳ございません!」

 

シグナムが深く謝罪をする様に言った。

 

「ちょ、ちょっと皆!いきなりどうしたの!」

 

守護騎士達の突然の行動になのはが驚く。

 

「うーん聖王…か、見た目はそうだけどなぁ」

 

髪をいじくり、虹色の魔力光を見るレンヤ。

 

「なのは、簡単に言うとレンヤはシグナム達の国、古代ベルカの王族の末裔なんだよ」

 

「「ええええっ!」」

 

ソエルの言葉になのはとフェイトが驚く。

 

「俺達は代々聖王に仕える時空の守護獣、何年か前に半分になったがな」

 

「半分?」

 

「私とラーグは元々一体の守護獣だったのさ、わかれた理由はさっぱりだけどね」

 

「ザフィーラも薄々感付いていたでしょう」

 

「……はい」

 

ザフィーラはかしこまった様に言う。

 

「あーシグナム達、俺に対してそんなかしこまらなくてもいい。俺は確かに聖王の末裔かもしれないけど、シグナム達には友達でいてほしいんだ」

 

「し、しかし!」

 

やっぱりお堅いシグナム達は受け入れ辛いか……

 

「はあ、やりたくは無かったんだけど…」

 

「レンヤ、こう言え」

 

ラーグがレンヤに耳打ちをする、レンヤは立ち上がりまるっきり別人の様に変わり。

 

「ならば夜天の書の守護騎士に命令する!私、レンヤ・ゼーゲブレヒトは汝らに今までの通りに接する事を命ずる、これは絶対だ!」

 

「はっは!……あ、いや…分かった…」

 

「レン君…すごいの」

 

「うん、本当に王様って感じ」

 

「迫力があってもう別人だね」

 

「それでこそ私の主よ!」

 

「主様!かっこいいです!」

 

「…………やめて…地味に傷つくから」

 

レンヤが疲れたように言う。

 

「それよりもレン君…」

 

「アリサとすずかに主って呼ばれているけど…」

 

「「どういう事なの?」」

 

なのはとフェイトが目に光りがない。

 

「そのままの意味よ///」

 

「私達とレンヤ君は…主従関係なの///」

 

アリサとすずかがレンヤに腕を絡めながら言う。

 

「レンヤ…どう言う事か説明してもらえるかなぁ……!」

 

「主従関係だなんて、羨ま……不潔なの!」

 

「なのは、本音出てるよ」

 

4人がレンヤを取り合い争い始めた。

 

レンヤは空を見上げ……

 

「とにかく休ませてくれーーー!」

 

さけぶしかなかった。

 

 


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