魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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25話

 

 

目の前が桜色で埋まり、強い衝撃が襲う。

 

「ぐっ!」

 

凄まじいまでの魔力の奔流、1人でもかけたらどうなっていたか。

 

レゾナンスアークの防御形態スプリットモード、見た目が防御ではなく機能が防御だと言う。なんでも魔力結合を断ち切って分裂させるらしい。

 

しかしこのスターライトブレイカーの前では役に立たない。

 

……フェイトが恐れる理由も分かる。

 

ゆっくりと桜色の閃光が薄れていく。

 

「ふう、2度と正面にいたくない」

 

「あれなのはの魔法よね、おっそろしいの覚えてるわね」

 

「全然半減した気がしないよ」

 

「みんなひどい!」

 

スターライトブレイカーは皆にかなり不評だ。

 

「姉さん、大丈夫?」

 

「うん、フェイトたちが守ってくれたからね。それとごめんね一緒に戦って上げられなくて、魔力はあるんだけど…」

 

「大丈夫、その気持ちだけでも十分だよ」

 

「アリシア、こいつらを頼む」

 

俺はラーグとソエルを渡した。

 

「レンヤ……」

 

「大丈夫、絶対に帰ってくるさ」

 

「そこまで心配してないさ」

 

アリシアの足元に魔法陣が浮かび、姿を消した。

 

「いつの間に転移を」

 

「うん、守りながらエイミィにお願いしてたから」

 

「それにユーノ君とアルフさんが守ってくれる」

 

「そうか」

 

2人にアリシアを任せるとして。

 

「もうこのペンダントは要らないかな」

 

「この状況じゃあ邪魔よ」

 

「隠すこともないしね」

 

俺たちはペンダントを外した。

 

「うわ、みんな凄い魔力なの」

 

「今まで隠せたペンダントも凄いね」

 

「そうか?それにしても……」

 

「禍々しいほどの魔力ね」

 

「うん、知らない方が幸せなくらい」

 

『皆、聞こえる?』

 

モニターが現れエイミィさんが映る。

 

「はい、聞こえてます」

 

『よかった、それとそこの2人もいいんだね。今からでも遅くないよ』

 

「何寝ぼけた事言ってんのよ」

 

「これ位、大丈夫です」

 

『そう、ならよろしく頼むわ。それで本題、闇の書の主に、はやてちゃんに投降を呼びかけて』

 

いや無理でしょ、既にはやての意思は闇の書の中にある。そして、外に出ている闇の書の意思は……

 

「我はただ主の願いを叶えるのみ。主には穏やかな夢のうちに永久の眠りを。そして、愛する騎士たちを奪った者には永久の闇を」

 

さっきからその言葉を繰り返してる、て言うか騎士たちを奪ってない奪ったのそっち。

 

闇の書が動きを、大地が揺れる。

 

「下だ!飛べ!」

 

地面を突き破って出てくるのは触手と巨大な尾、これって確か砂漠にいた奴。魔法だけじゃなくてこんな事までできるのか。

 

触手を警戒して距離をとるが、なのはとフェイトは闇の書に意識がいっていたためか、触手に捕まった。

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん!」

 

「邪魔よ!」

 

「くっ無勢な」

 

助けようとするも、尾が邪魔をする。尾を捌くが触手がさらに地面を突き破り、捕まってしまった。

 

「私はお前を傷つけたくない。そのまま動くな、私はただ……」

 

闇の書がなのはとフェイトを見る。

 

「主の願いを叶えるだけだ」

 

「願いを叶えるだけ?」

 

闇の書の言葉に苦しげな表情を浮かべながら、闇の書を見つめるなのは。

 

「そんな願いを叶えて、それではやてちゃんは本当に喜ぶの!心を閉ざして何も考えずに主の願いを叶える道具でいて、あなたはそれでいいの!」

 

「我は魔導書、ただの道具だ」

 

「だけど言葉を使えるでしょ。心があるでしょ。そうじゃなきゃおかしいよ、本当に心が無いなら泣いたりなんかしないよ!」

 

「この涙は主の涙、私は道具だ。悲しみなどない」

 

なのはの言葉をことごとく受け入れない闇の書。

 

それは心がある事を認めようとしないようだ。

 

その様子に……

 

「バリアジャケット、パージ!」

 

《ソニックフォーム》

 

フェイトがバリアジャケットをパージする事で触手から逃れる。

 

「悲しみなどない?そんな言葉を、そんな悲しい顔で言ったって誰が信じるもんか」

 

「あなたにも心があるんだよ。悲しいって言っていいんだよ。あなたのマスターは、はやてちゃんはきっとそれに応えてくれる」

 

「だからはやてを解放して、武装を解いて。お願い!」

 

「あんたたち…」

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん…」

 

「………………ん?」

 

闇の書が答える前に先程とは違う大地の揺れ、そして噴き上がる炎の柱。

 

「早いな、もう崩壊が始まったか。私も時期に意識をなくす」

 

闇の書の暴走、もう時間が残されていない。

 

「そうなればすぐの暴走が始まる。意識のあるうちの主の願いを叶えたい」

 

なのはとフェイトの周りに赤い刃が展開される。

 

「闇に沈め」

 

爆音が空気を揺らす。

 

「なのは!」

 

「フェイトちゃん!」

 

「……大丈夫、無事だ」

 

フェイトは持ち前の速度で避けた。

 

それにいつまでもこのままじゃマズイ、剣を浮かして触手を切った。

 

「大丈夫か?」

 

「ええ」

 

「ありがとう、レンヤ君」

 

その時フェイトが闇の書に斬りかかっていた。

 

「お前も我が内で眠るといい」

 

「まずい、フェイト!」

 

魔力を放出させ近づくが間に合わない。

 

「はあっ!」

 

バルディッシュが展開された魔法陣に弾かれた。

 

それと同時に光に包まれるフェイト。

 

「フェイト!」

 

必死に手を伸ばす、だがその手は……

 

「あ……れ…ん……や」

 

フェイトは光の粒子になり闇の書に飲み込まれた。

 

伸ばした手が空を切る。

 

「フェイトを返せ!」

 

一瞬で近づき剣を振るう。

 

「バインド」

 

左手にバインドがかけられる、剣で斬ろうと魔力を込める。

 

だが斬ろうとする前に光の粒子が俺を覆う。

 

まずい!意識が……

 

「お前も安らかな眠りを」

 

「レン君!」

 

その言葉を最後に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アブソーブ』

 

閉じられる闇の書。

 

「レン君、フェイトちゃん」

 

「あの女……!」

 

「レンヤ君を…よくも!」

 

アリサちゃんとすずかちゃんが怒っている、私は必死に愛機を握りしめ。

 

「エイミィさん!」

 

2人の無事を願って確認します。

 

『状況確認、フェイトちゃんとレンヤ君のバイタルはまだ健在。闇の書の内部空間に閉じ込められたみたい。助ける方法は現在検討中!』

 

一応は無事という言葉に私たちは安堵する。

 

「我が主も、我らに力を貸してくれた騎士も、あの子も覚める事のない眠りの内に。終わりなき夢を見る、生と死の狭間の夢。それは永遠だ」

 

「永遠なんてないよ。皆変わっていく変わっていかなきゃいけないんだ。私もあなたも」

 

「人は歩かなきゃ前に進めない、迷っても歩き続けなきゃいけない」

 

「永遠でも曲がることもできる、道は決して1つじゃない。皆で歩ける道はある」

 

今日初めてアリサちゃんとすずかちゃんと一緒に戦う。でも安心して背中を任せられる。

 

「行くよ、レイジングハート!」

 

《了解、マイマスター》

 

「正念場よ、フレイムアイズ!」

 

《かしこまりました、お嬢様》

 

「お願い、スノーホワイト!」

 

《はい、すずか様》

 

私たちは想いに応えてくれる自身の愛機と共に空に舞い上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、ん…ここは?」

 

目が覚めるとベットの上にいた、ただ天井が付いている。いわゆる天蓋付きのベットってやつか。

 

「確か…俺は……」

 

その時、扉が開き1人の男性が入ってきた。

 

だが格好がその…執事?バトラー?だった。あんな格好鮫島さんしか見たことない。

 

「レンヤ様、お目覚めになりましたらご支度を、旦那様がたがお待ちです」

 

「えっ!…あっはい」

 

そう言い残し執事は部屋を出た。

 

「…………これは………夢、だよな?」

 

とりあえず着替えて部屋を出たらあの執事が待っており案内された、通されたのは昔アリサの家の食事に招待された時の様な部屋だ。その部屋に男性と女性がいた。

 

「おはようレンヤ」

 

「おはよう」

 

「おっおはようございます」

 

「あらレンヤ、いつもより堅いじゃない」

 

「えっえーと…」

 

「親にそんな堅苦しくなくていいぞ」

 

「!」

 

親、この人たちが……両親?

 

「レンヤ、どうしたの?ぼうっとして」

 

「いっいえ、なんでもありません」

 

「だから堅いぞ、まさかお母さんに何かされたか?」

 

「お父さんたら、子どもは自由が1番なのよ。それを聖王になるための教育を受けさせろだなんて、教育という名の洗脳よまったく!」

 

「えーーとーー…」

 

「ああごめんなさい、ほら座って、朝食にしましょう」

 

「はっ…う、うん」

 

「うん、よろしい」

 

目が怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空に4色の閃光が走っている。

 

「はああっ!」

 

「うくっ……きゃああっ!」

 

「大丈夫⁉︎」

 

「なのはちゃん!」

 

闇の書が振り下ろした拳をシールドで防ぐも完全には防ぎきれずに吹き飛ばされるなのは。

 

「はあ、はあ、まずい…手がないの」

 

「攻め切れないわね」

 

「どうにかして突破口を開かないと」

 

《手段はあります、エクセリオンモードと言って下さい》

 

「駄目だよ!アレは本体を補強するまで使っちゃ駄目だって。私がコントロールに失敗したらレイジングハート壊れちゃうんだよ」

 

《言って下さい、言って下さい、マイマスター》

 

勝つためにレイジングハートは言葉を繰り返す、信じて欲しいと。

 

なのはは覚悟を決めた

 

「お前たちはもう眠れ」

 

「いつかは眠るよ、でもそれは今じゃない。今はフェイトちゃんとはやてちゃん、レン君を助ける。それにあなたも。レイジングハート、エクセリオンモードーーードライブ!」

 

《イグニッション》

 

カートリッジがロードされレイジングハートの形が槍の様に変化した。

 

「繰り返される悲しみも、悪い夢もきっと終わらせる」

 

「きっとじゃない、絶対よ」

 

「ここで止めよう、皆の力で」

 

再び構えるなのはたち、それを堕とすべく。

 

《フォトンランサー・ジェノサイドシフト》

 

膨大な魔力弾が展開された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらこっちよ」

 

「待って、お母さん」

 

両親と一緒に平原で遊んでいるが素直に喜べない。

 

(これが……本当の……家族なのか)

 

本当の両親、養父母と違って本物の両親……でも何、この違和感は……

 

「行くぞ〜レンヤ」

 

お父さんが投げたボールを取る。

 

「どうかしたか、レンヤ?」

 

「なっなんでもない!」

 

「おっと」

 

誤魔化して、思いっきり投げ返した。

 

(夢、これが俺の望んでる夢⁉︎全然違う……こんなの全然違う!)

 

「レンヤ?」

 

「本当にどうした?」

 

「……ごめん、お父さん、お母さん、俺行く所があるんだ。だからごめん」

 

2人はお互いの顔を見て……笑った。

 

「ふふ、大丈夫よ。でも本当にいいの?」

 

「この先を行けばまた辛いことや悲しいことも繰り返されるかも知れないんだぞ?」

 

「これは夢……いつかは終わるもの、でも俺はあなたたちを本当の両親だと思ってる。これは本物の気持ち」

 

レンヤは両親の方を向き……

 

「でも…俺の居場所はここにはない、俺の居場所は今で育ててくれたお父さんとお母さん、いつも笑っていてくれるなのは、フェイト、アリサ、すずか、アリシア、もちろんはやてやシグナムさんたちも、そこが俺の居場所…俺が守りたい場所だ」

 

「………そう」

 

「なら迷うな、自分の行く道を歩き続けろ」

 

「貴方ならできるわ、私たちの子なんですも」

 

一陣の風が吹き、両親から目を離す。次に目を開けると両親はいなかった、風の音しか聞こえない。

 

「……例え夢でも…いや、いいか」

 

胸元のデバイスを取り。

 

「お待たせ、レゾナンスアーク」

 

《大丈夫です、マイマジェスティ》

 

「お母さんの言葉を間に受けない、俺が王なわけないだろ」

 

レンヤは草原を見つめ……

 

「レストレーション02」

 

双銃を握りしめる。

 

「夢は…終わりだ」

 

《ディメンションバレット》

 

「……さようなら」

 

放たれた弾丸は空間を粉々にした。

 

破片が完全が消えると、真っ暗な空間になった

 

「進むしかないか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩くと何か人影が見えた。

 

「人だ、おーい大丈夫ですかー?」

 

「……!君は……どうしてここに?」

 

男性が驚いた様に俺を見る、どこかで見た事ある様な……

 

「闇の書に吸収されちゃって……今どう出ようか考えています」

 

「そうか……なら諦めた方がいい、ここからは出られない」

 

「そうですか?夢は覚めたんです、きっと出れますよ」

 

「……私も最初そうだと思った、しかし歩いても果てはなく何時しか諦めてしまった」

 

男性が絶望した顔で言う。

 

「そうですか、あんたはクロノに似てたと思うんですけど思い違いでしたね」

 

「クロノ…!あの子を知っているのか!」

 

「はい、俺と歳が変わらないのにすごい人です。確か執務官って言ってましたね」

 

「執務官…もうそこまで行ったのか」

 

「やっぱり貴方、クロノの父親?」

 

「ああ、クライド・ハラオウンだ。11年前に闇の書に吸収され。長い間夢を見せられた」

 

「でも夢は覚めた」

 

「幸福だと思ってもどこか違う、そう思い夢を壊した。しかし結果がこの様だ」

 

「……やっぱり貴方はクロノに似てない、クロノは絶対に諦めません。不可能と分かっていても諦めません、会って間もないですがそれだけは分かります」

 

「………………」

 

「俺は立ち止まらない、歩き続ける」

 

レンヤはクライドの横を通り過ぎ、歩く。

 

「君は強いんだな」

 

「諦めが悪いだけです」

 

「そうか。なら私も、もう少し足掻いて見せるか」

 

「その意気です、レゾナンスアーク」

 

《了解、目標…5時の方向、ディメンションバレット》

 

「ボス部屋に直行だ」

 

窓ガラスの様に空間を壊し進む。

 

「……結構無茶苦茶だね」

 

空間をどんどん破っていき、辿り着いた。

 

「見つけたよ、はやて」

 

「レンヤ君⁉︎」

 

「なっ!一体どうやって」

 

レンヤは2人に向かって歩く

 

「答えろ、どうやってここまで来た」

 

「ただ魔力をたどってきただけ、フェイトは外に出たみたいだし。その時の反応を見つけて、それで遠慮なく壊して進んだだけ」

 

「むっ無茶苦茶やな…」

 

失礼な。

 

「主はやてに害をなさなくとも私を止めるのだろう?」

 

「当然、でも俺じゃない。はやて自身がやらなくちゃいけない、俺はただのきっかけ」

 

俺とクライドさんの命ははやてに託されている。

 

「はやて、今の状況は分かっている?」

 

「大丈夫や、全部思い出したよ。なんでこんな事になってもうたのかもな」

 

はやての表情が少し暗くなる、辛い事を思い出しているのだろう。

 

「お願いします、我が主。どうか、どうかもう一度お休みを。もう何分もしないうちに私は呪いで貴方を殺してしまいます。せめて心だけでも幸せな夢の中で」

 

懇願する様に、彼女ははやてに言う。もう諦めている様に。

 

「諦めるな、こんな負の連鎖ここで終わらせる」

 

「だが!」

 

「俺は諦めない、はやてもお前が思ってる以上に弱くない」

 

その言葉に彼女ははやてを見る。

 

「優しい気持ちありがとう、でもレンヤ君の言う通りや」

 

はやては両手で包み込む様に彼女の頬に触れる。

 

「私ら良く似てる。寂しい思い、悲しい思いしてきて1人やったら出来へんことばっかりで」

 

はやての言葉にうつむき、涙を溢れさせ、嗚咽を零す彼女。

 

「せやけど忘れたらあかん、今のマスターは私で貴方は私の大事な子や」

 

「ですが自動防御プログラムが止まりません」

 

「レンヤ君、どうすれば止められる?」

 

「はやてが自動防御プログラムに命令すればいいと思うよ」

 

「ん、了解や」

 

はやてが静かに瞳を閉じて……

 

「止まって!」

 

はやてが思いを込めて叫ぶ、それと共に三角形の白い魔法陣が展開された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはとフェイトが闇の書と向き合う中で、闇の書が明らかに動きがおかしくなる。

 

「え?」

 

「これって」

 

急な動きの変化に困惑する、その時……

 

『外で戦っている方、すみません。協力してください!』

 

「はやてちゃん⁉︎」

 

「はやて⁉︎」

 

突然聞こえた声に顔を合わせて驚く。

 

『何とかこの子を止めてあげてくれる、魔導書本体からはコントロールを切り離したけど、その子が表にいると管理者権限が使えへん。今そっちに出とるのは自動行動のプログラムだけやから』

 

はやての言葉に更に困惑する2人。

 

「なのは、フェイト」

 

「フェイト、聞こえる」

 

「ユーノ君」

 

「アルフ」

 

モニターが現れてユーノとアルフが映る。

 

「防御プログラムとの融合状態で主が意識を保っている。今なら防御プログラムをはやてから切り離せるかもしれない」

 

「本当に!」

 

「具体的にどうすれば」

 

「2人の純粋魔力砲で目の前の子をぶっ飛ばして!全力全開、手加減なしで!」

 

ユーノの明確でわかり易い言葉に頷き合い、自身の相棒を掲げる。

 

「さすがユーノ君」

 

「わかりやすい」

 

なのは達が魔法を展開する中で、はやては夜天の書、最後の騎士に呼びかける。

 

「名前をあげる。闇の書とか呪われた魔導書なんてもう呼ばせへん。私が言わせへん」

 

はやてが彼女に触れる手に力がこもる。

 

「ずっと考えていた名前や、強く支える者、幸運の追い風、祝福のエール………リインフォース」

 

名前を呼んだ瞬間、レンヤ達がいた空間が砕け散った。それと共ににゆっくり消えていくレンヤとクライド。

 

「レンヤ君⁉︎」

 

驚くはやてだが、不思議と不安が無かった。夜天の書に吸収された時の様な感じだ。

 

「大丈夫、外で会おう」

 

「うん、またな」

 

レンヤとクライドは静かに夜天の書の中を後にする。

 

そして、なのはとフェイトの魔力が高まる中で多数のスフィアが展開される。

 

「N&F、中距離殲滅コンビネーション…………」

 

「…………ブラストカラミティ」

 

「「ファイア!」」

 

桜色と金色の砲撃が絡み合いながら正面から撃ち抜く、それと同時に桜色と金色のスフィアから放たれた小砲撃が全方向から防御プログラムの全てを飲み込んだ。舞い上がった爆煙の中から人が出てきた。

 

「コホッ、コホッ、殺す気か!」

 

「君の周りの人は凄いね」

 

「レン君!」

 

「レンヤ!」

 

「無事なのね!」

 

「レンヤ君!」

 

なのはとフェイトとアリサとすずかはレンヤに近づき喜びをあらわにする。

 

「レン君、その人は?」

 

「クロノの父親のクライドさん、11年前に闇の…夜天の書に吸収されたんだ」

 

「初めまして、クロノとリンディがお世話になったね」

 

「いえ!むしろこっちが色々とお世話になりっぱなしで…!」

 

その時爆煙の中から白い光が溢れる。その光の中、夜天の書の空間内では温かな光の中をはやてが漂ってた。それを抱きとめる1人の女性。

 

「夜天の魔導書とその管制融合機、リインフォース。この身の全てで御身をお守りします、ですが防御プログラムの暴走は止まりません。切り離された膨大な力が直ぐに暴れ出します」

 

「うん、まあ、何とかしよう」

 

はやては夜天の書を抱きしめる。

 

「ほな、行こうか。リインフォース」

 

「はい、我が主」

 

リインフォースは光に変わり、はやての頭上に控える。はやては夜天の書に手を掲げ、それに答える様に開かれるページ。

 

「管理者権限発動、リンカーコア復帰。守護騎士システム破損回帰」

 

空白をなぞる様に指をはしらせると空白を埋める様に文字が書き込まれていく、それと共に夜天の書の周りに浮かぶ4つの光。その光に並ぶように光となったリインフォースも夜天の書のそばに降りる。

 

「おいで、私の騎士達」

 

光が大きな柱になり天と海に伸びる、光が収まった時、白銀の球体がありそれを守る様にレンヤ達がよく知る4人の騎士がいた。

 

「我ら夜天の主に集いし騎士」

 

「主ある限り、我らの魂尽きることなし」

 

「この身に命ある限り、我らは御身の下にあり」

 

「我らが主、夜天の王、八神 はやての名の下に」

 

白銀の球体が砕け、黒を基調とした服を纏い、金十字の杖を握りしめたはやてが現れる。

 

「はやてちゃん!」

 

皆の姿を見つめてわずかに微笑むとはやては杖を掲げる、その杖の周りを舞うように降りてくる紫の光。

 

「夜天の光に祝福を、リインフォース………ユニゾン、イン!」

 

紫の光がはやての中に入っていき、再びはやてを光が包み込む。

 

光の中から帽子と上下わかれた外装を纏い、漆黒の三対六枚の翼を持ったはやてが現れる。

 

瞳は鮮やかな青に変わり、髪は白銀に染まっている。

 

その姿が夜天の書の最後の騎士、融合機リインフォースと融合した主はやての姿。

 

夜天の書は完成され夜天の主とその騎士達は真の姿になった。

 

 


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