魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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24話

 

 

朝、制服に着替え終えた俺は何もせずベットの上に寝転んでいた。

 

「…………………」

 

「どうしたのレンヤ」

 

「………未だにシグナムたちの事を何で話さない………って思っているだろう」

 

「………ああ、シグナムがいる場所は分かる。主も……」

 

「でも話さないんだよね」

 

「ふう、これは俺自身の問題なのかもしれないな」

 

その時ドアがノックされた。

 

「レン君?起きてる?」

 

「起きてるよ、今行く」

 

そして、なのはと学校に行った。途中フェイトと合流する。

 

「おはよう、フェイト」

 

「フェイトちゃんおはよう」

 

「おはようなのは、レンヤ」

 

「体はもう大丈夫か?」

 

「うん、魔法が使えないのがちょっと不安だけど、体の方はもうすっかり」

 

「よかったの」

 

「レンヤこそ、目はもういいの?」

 

「ああ、ちゃんと見えている」

 

「そう、よかった」

 

学校に着くとフェイトの席に集まる、すずかの表情がいつもより暗かった。

 

「どうかしたか?すずか?」

 

「うん、昨日はやてちゃんが入院しちゃって」

 

「!」

 

すずかは頻繁にはやてに会っているから連絡をしたのだろう。

 

「そんな具合は悪くないそうなんだけど、検査とか色々あってしばらくかかるって」

 

「そっか……じゃあ放課後に皆でお見舞いとかに行く?」

 

「いいの?」

 

すずかは嬉しそうな表情になる、アリサの提案を飲みたいが、シグナムたちの主、闇の書の所有者ははやてだ。確実に面倒な事になる。

 

「すずかの友だちなんでしょう、紹介してくれるって言う話しだったしさ。というかレンヤの友だちでもあるんでしょう」

 

「えっ、ああ、そうだな」

 

「でも、いいと思うよ」

 

「ありがとう、みんな」

 

少し多いが6人でお見舞いに行くという事に決まり、お見舞いに行っても大丈夫かメールで連絡をとる事になった。

 

「もしお見舞いに行けなかったら、寂しいから写真も送りましょうよ」

 

アリサの提案で大きな紙に「早く良くなってね」というメッセージを書き、6人の集合写真を送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校が終わり、翠屋でケーキと花屋で花を買って海鳴大学病院に着きはやての病室に向かう。

 

「ここだね」

 

八神 はやてと書かれたネームを確認して、すずかがノックをする。

 

「はーい、どうぞ」

 

はやての返事にドアを開け、病室に入る。

 

やべえ、確実にやべえ……

 

全然似合ってないサングラスをかけたシャマルさんが廊下にいるよ。

 

逆に目立っているよ、警察に通報されるレベルだよ!

 

…………見なかった事にしよう。

 

「「「「「「こんにちは」」」」」」

 

「こんにちは、いらっしゃい」

 

「お邪魔します。はやてちゃん、大丈夫?」

 

「平気や、皆座って座って。レンヤ君も久しぶりやな」

 

「お互いに忙しかったからな」

 

「そうやね、にしてもこない別嬪さんお友だち5人も連れてきて。誰がレンヤ君の彼女さんや?」

 

「かっ彼女///」

 

「そっそんなんじゃないよ///」

 

「にゃ!レン君とは…その///」

 

「でもそうだったら///」

 

「はい!私が……」

 

アリシアが何か言おうとしたら全員が止めた。

 

「はは、みんな友だちだよ」

 

「そうなんや………なら、私にもチャンスはあるな………」

 

「はやて?」

 

「なんでもあらへん」

 

その割にはなのはたちとにらみ合っていないか。

 

思いのほか元気そうなはやてに安心しながら他愛のない話しをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日が経ち今日は12/23日、クリスマスイヴ前日だ。

 

そして明後日が俺の9歳の誕生日、正確な誕生日ではないが近い事には変わらない。

 

俺たち6人はクリスマスプレゼントを買いにきていた、すずかがはやてに渡したいらしい。

 

「レンヤ君、どうしたの?」

 

すずかが顔を覗きながら尋ねてくる。

 

「あっ、いやはやてが喜びそうな物が分からなくて」

 

「あんたが迷うなんて珍しいわね」

 

その隣ではアリサが驚いていた。

 

「はやてと言うか女の子にプレゼントってなのはたちしかして無かったからな、アリサとすずかなら俺から何を貰ったら嬉しいんだ?」

 

「私だったら本かな、面白いのがいいな」

 

「私ならアクセサリーね、ネックレスとかがいいわね」

 

「そう言う物か、ならあれかな」

 

はやてが喜びそうな物を買って、その後なのはたちのプレゼントを買った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日ーー

 

学校が終わってはやてへのクリスマスプレゼントを渡すため病室に向かう。

 

闇の書の情報は無限書庫に行ったユーノから教えて貰ったが、シグナムたちを見つけても補足までできていなかった。

 

「ふう」

 

「レン君、大丈夫?」

 

「少し休む?」

 

「大丈夫だ、だがこれから起こる事に………ね、前回は平気だったけど今回は」

 

「「?」」

 

「3人とも、置いて行くわよ!」

 

話しに集中し過ぎたのかアリサとすずかとアリシアと離れてしまっていた。

 

俺たちは追いつくために走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり会ってしまったか……

 

闇の書の守護騎士たち。

 

俺たちの姿を見るとシグナムさんは身構えて、ヴィータはなのはを睨む。

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん、レン君どないしたん?」

 

「ううん、なんでもない」

 

「ちょっとご挨拶を、ですよね」

 

「はい」

 

病室の空気が少し重くなってしまったけど、出来るだけ自然に振る舞う。

 

シグナムさんも元の姿勢に戻ったけど足はわずかに開いたまま、いつでも動けるようにしている。

 

フェイトが念話を試みるが繋がらないようだ。

 

「皆、コートを預かるわ」

 

シャマルさんにコートを渡し。

 

「念話が通じない、通信妨害を?」

 

コートをかけながら隣に来たシグナムさんにフェイトが小声で問いかけた。

 

「シャマルはバックアップのエキスパートだ、この距離なら造作もない」

 

シャマルさんの指に輝く指輪を確認する。

 

このままだと連絡が出来ないがここで事を起こす事もないだろ。

 

そのままシグナムさんたちを警戒しながら、はやてたちと過ごす。

 

そして、辺りが暗くなって来たのではやての病室を後にする。

 

シグナムさんとシャマルさんが見送るためにと言って病院の入り口までついてくる。

 

「「「さようなら」」」

 

「また来てね」

 

アリサたちの挨拶に手を振りながら見送るシャマルさん、その横でシグナムさんが俺たちを見た後に別方向に視線を向けた。

 

その先にはビルの屋上、つまりそう言うことなんだろう。

 

その意図に頷き、病院を後にする。

 

帰り道の途中で……

 

「アリサ、すずか、アリシア、ごめん。俺となのはとフェイトは少し用があるからここで」

 

「ん?そうなの?」

 

「そっか、それじゃあまた明日ね」

 

「また後でねフェイト」

 

「うん、また明日」

 

「バイバイ、アリサ、すずか、姉さん」

 

仕方ないが嘘を言い、別れてシグナムさんが指定したビルに向かう。

 

辿り着くと既に2人が待ち構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンヤ、なのは、フェイト、シグナム、シャマルがビルの屋上で向かい合う。

 

互いに何もせず睨み合っている状態だ、その中でフェイトが静かに言葉を発した。

 

「シグナム、はやては……」

 

わかっているはずだが聞かずにはいられなかった。

 

「察しの通り、我らが主だ」

 

だがフェイトの言葉にシグナムは一切の迷いなく答える、誤魔化しもしない。誇るように主が八神 はやてだと認めた。

 

「はやてちゃんが……闇の書の主」

 

「………やっぱりそうなるか」

 

認めたくない事実になのはとフェイトとレンヤの心が揺れる。

 

「悲願はあと僅かで叶う」

 

「邪魔するなら、はやてちゃんのお友だちでも……」

 

「待って、ちょっと待って。話しを聞いて下さい。闇の書が完成したらはやてちゃんは……」

 

その時ヴィータが一直線になのはに迫る。

 

「はあっ!」

 

「っ!」

 

咄嗟にシールドを張るが、耐え切れずフェンスに叩きつけられる。

 

「なのは!」

 

「フェイト!」

 

「おおっ!」

 

レヴァンティンを抜刀し、フェイトに斬りかかるシグナム。

 

レンヤに注意されたおかげで、回避しバルディッシュを構えるフェイト。

 

「管理局に我らが主の事を伝えられては困るのだ」

 

「私の通信妨害範囲から出すわけにはいかない」

 

逃がさんとばかりに睨むシグナムとシャマル。

 

そして、なのはを見下ろすヴィータは騎士甲冑を纏う。

 

「ヴィータちゃん」

 

「邪魔すんなよ……後ちょっとで助けられるんだ。はやてが元気になって、あたしたちの所に帰ってくるんだ。だから………」

 

叩き込まれるグラーフアイゼン。

 

衝撃で屋上の一部が炎の包まれる、その炎の中からバリアジャケットを纏い、レイジングハートと共に歩いて来るなのは。

 

「悪魔め」

 

「悪魔でもいいよ。悪魔らしいやり方で話しを聞いてもらうから」

 

ヴィータの言葉に少しうつむくがレイジングハートを握りしめ、敵意の眼差しを受け止める。

 

「なのは、無茶するなよ」

 

「うん」

 

なのはとヴィータは屋上から飛び立つ、地上ではシグナムとフェイトが睨みあう。

 

「闇の書は、悪意のある改変を受けて壊れています。今の状態で完成させたら、はやては!」

 

「我々はある意味で、闇の書の一部だ」

 

「だったらどうして⁉︎」

 

「完成させなければ主はやては死んでしまう、完成しなくても死んでしまう。少しでも生きられる確率があるのは完成された後だ」

 

「だからあたしたちは!闇の書を完成させてはやてを助ける!」

 

「我ら守護騎士、主の笑顔の為ならば騎士の誇りも捨てると決めた……!」

 

シグナムが騎士甲冑を纏う。

 

「それがあの時の問いの答えですか」

 

「ああ、我々はもう、止まれんのだ!」

 

シグナムの目から一筋の雫を流しながらレヴァンティンを構える。

 

「止めます、私とバルディッシュが!」

 

《ソニックフォーム》

 

その身に新しいバリアジャケットーーソニックフォームを纏ったフェイトがシグナムに向けてバルディッシュを構える。

 

「薄い装甲をさらに薄くしたか。緩い攻撃でも当たれば死ぬぞ。正気か、テスタロッサ」

 

「あなたに勝つ為です」

 

「シャマル、お前は妨害に集中しろ」

 

「ザフィーラ……」

 

「盾の守護獣か」

 

「妨害を解除したければ俺を倒してからだ」

 

ザフィーラは獣から人型に姿を変え拳を握る。

 

レンヤもデバイスを起動しバリアジャケットを纏い、双剣を構える。

 

「あなたたちの覚悟は見せてもらった、でもこっちにも止めないと行けない理由がある。悪いけど倒させてもらう」

 

「やれる物ならやってみろ」

 

「我らが守護騎士」

 

「主のために止まるわけにはいかぬ!」

 

「止めてみせるよ」

 

「私たちがここで」

 

「どちらの信念が強いか証明しようか!」

 

覚悟を決めた6人がぶつかり合う。

 

同じ時に闇の書が不気味に脈打っていた、それを戦う彼らが知るよしもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルから離れ3組に分かれて戦っている。

 

「はああ!」

 

「ぐっ」

 

左右の剣を隙間なく斬ることでザフィーラの障壁にヒビを入れる。

 

「ふっ、せい!」

 

「がっ!」

 

ヒビに剣を差し込み取っ手を蹴り上げて障壁を砕き、ザフィーラを吹き飛ばし追撃する。

 

「はあ!」

 

「ぐっ!」

 

剣を止められたが、硬化魔法で剣を固定し手を離し後ろに回りこみ先程蹴って落てきた剣を掴み振り下ろした。

 

「ぐあ!」

 

浅く肩を斬っただけになった、固定した剣を掴み構える。

 

「くっ……」

 

ザフィーラはよろけながら立ち上がる。

 

「ザフィーラ!」

 

「来るなシャマル!」

 

治療しようとシャマルが近づこうとするがザフィーラは拒否した。

 

「これは一対一、助けは不要」

 

「さすがはベルカの騎士、尊敬します」

 

「貴様こそ先程から銃を使っていないな、使えば有利になると言うのに」

 

「あなたの障壁を砕くには火力が足りませんよ、むしろ先程の背後からの攻撃を非難しないのですね」

 

「ふっあれも戦略の内、敬意をするも、非難はせん」

 

「戦場にことの善悪なし、師の教えです。もし非難してたら軽蔑してました」

 

「光栄だな」

 

ザフィーラも構えた。

 

「行くぞ!」

 

ザフィーラは突進してきた、レンヤは小回りが利くように左の剣を逆手に持った

 

拳を苦もなく止め剣を薙ぐが避けられ背後に回られた。

 

「もらった!」

 

ザフィーラは当たると確信したが左の剣が防いだ。

 

「ぜい!」

 

捻りを入れて拳を弾き、右手の剣も逆手に持った。

 

空中を縦横無尽に駆け抜けザフィーラをその場にとどめる。

 

「はああああああ!」

 

「くっ早いな……だが!」

 

「うわっ!」

 

通り抜ける時に腕を掴まれ投げ飛ばされた、すぐに制動するがザフィーラが一気に接近して蹴りを繰り出す。

 

「くうう!」

 

剣で逸らしすかさず突きを入れるが障壁に阻まれる、前のより硬度が上がっていた。

 

「硬った!なら……」

 

剣に魔力を込めて構える。

 

「レゾナンスアーク、ファースト、セカンド、サードギア……ファイア!」

 

《ドライブ》

 

一気にギアを回すと体に負荷がかかるがそうも言ってられない。駆け出し一気に最高速度になりザフィーラの障壁を斬る、一ヶ所に集中して攻撃を入れ障壁を崩しにかかる。ヒビが入った瞬間に後退し空中を蹴って近づき障壁を殴りつけて砕きもう片方の手でザフィーラを斬る。

 

「くっ!」

 

ザフィーラは狼になる事で避けるが……

 

「その手は……通じないよ!」

 

勢いをそのままにして踵落としを放つ。蹴りが当たりザフィーラは屋上に叩きつけられる。

 

「ふう、ふう、一気にギアを回しすぎたな」

 

《魔力の消費が激しいです、落ち着いて下さい》

 

「それが出来るような相手じゃないよ」

 

屋上に立ち、出方を見る。

 

「縛れ、鋼の軛!」

 

「うわあ!」

 

針のような物がレンヤの動きを封じた。

 

「その拘束は簡単には外せんぞ」

 

「しまったな、動けない」

 

「勝負あったな、魔力を……!」

 

ザフィーラはいきなり別の方向を向いた、そこには一冊の本と不気味な紫色の蛇がいた。

 

「何あれ」

 

「あれは闇の書、まさか暴走を!」

 

「えっ、あれが闇の書…」

 

《ページの不足を確認、守護騎士を徴集します》

 

「!…まずい、逃げろ!」

 

叫ぶが、すでに蛇に噛みつかれザフィーラとシャマルは吸収されてしまった。

 

そのまま闇の書は別の場所に転移した。

 

「残りの2人を狙っているのか!って言うかザフィーラがいなくなったのに外れない!」

 

今だに鋼の軛が外れず動けなかった。

 

「ふんぬ、ふんぬーーー!……だあ!取れない」

 

「まさしく手も足も出ないだね」

 

「やっと俺たちの出番か」

 

「ああラーグ、ソエル、すっかり忘れてた」

 

「「おい」」

 

「て言うかお前たちも捕まってんじゃん」

 

「口は動くんだぜ……ポン!」

 

ラーグが出したのはナイフ……神器だ。

 

「でかした!ほら早く貸して!」

 

手を伸ばすがギリギリ届かない。

 

「こーーのーー!ラーグ手が短い!」

 

「仕方ないだろ!」

 

こうしてる間もなのはたちが危険だ。

 

「んーーーーーー!……届いた!ルウィーユ=ユクム!」

 

神器を纏い鋼の軛を壊す、姿が変わり背中には剣の翼がある。

 

「飛ばして行くぞ!」

 

「いっけーーーー!」

 

「間に合うぞ!」

 

移動するとそこには女性がいた。顔に赤い模様があり銀髪の長髪、背中には黒い羽をはやしている。

 

「あれは一体……」

 

「レン君!」

 

「レンヤ!今までどこに……」

 

「すまん、さっきまでザフィーラのバインドに捕まっていた」

 

「そう、でもその姿は……」

 

「あー、これは俺の血筋の力らしい。とにかく説明は後だ」

 

レンヤは目の前の女性を見て。

 

「あの人は誰?」

 

「……闇の書に飲み込まれたはやてちゃん」

 

「て事はあれが管制人格ってやつか」

 

「とにかく今は……」

 

女性が闇の書を掲げ、展開される桜色の魔法陣、そして魔法陣に集まる魔力。

 

「咎人たちに、滅びの光を、星よ集え、全て撃ち抜く光となれ」

 

どんどん集まる魔力……

 

「あれは……」

 

「スターライトブレイカー……」

 

スターライトブレイカーって前に結界ブチ破った時の……あれ?

 

なんか前見たより魔力球が大きい。

 

「とにかく防ぐ……」

 

「レンヤ!」

 

「レン君こっち!」

 

なのはとフェイトに引っ張られた。

 

「ちょっと、どうしたの!」

 

「あれは至近距離では防げない」

 

………なんか説得力がある。

 

「なら掴まれ、俺の方が速い」

 

なのはとフェイトを抱えて飛ぶ

 

「すごい、私より速い」

 

「フェイトちゃん、こんなに離れなくても」

 

「至近距離で喰らったら防御の上からでも堕とされる。回避距離を取らなきゃ」

 

……もしかしてフェイト……アレ……喰らったの?

 

《左方向300ヤード、一般市民がいます》

 

一般市民?まさか……

 

「フェイト、なのは」

 

「うん。分かってる」

 

「勿論」

 

その一般市民がいる方向に向かう、その途中でバルディッシュがカウントを開始した。

 

スターライトブレイカーのカウントか、思ったより長いけど悠長に言ってられない。

 

「なのは、フェイト、この辺りだ」

 

「うん」

 

「分かった」

 

手を離しなのははアスファルトを滑りながら停止して、フェイトはゆっくり電灯の上に乗った。

 

煙で見えないが、この魔力……

 

「あの、すみません!危ないですからそこでじっとしておいて下さい!」

 

煙が晴れて見えたのは見覚えのある白い制服を着たアリサとすずかとアリシアの姿。

 

「なのは?」

 

「フェイトちゃん?レンヤ君まで」

 

「フェイト!」

 

やっぱりと思い頭を抱える、しかしその間もカウントは進んでいる。

 

もう回避は間に合わない……

 

「アリサ!すずか!デバイスを起動しろ!」

 

「レン君⁉︎」

 

「はあ、よくよくあんたは面倒ごとに巻き込まれるわね。フレイムアイズ」

 

「仕方ないよ、でもこれで隠さないで済む。スノーホワイト」

 

「「セーートッ!アーープッ!」」

 

2人はデバイスを起動させバリアジャケットを身に纏う。

 

「ええええ!アリサちゃんとすずかちゃんが!」

 

「前にリニスが説明したって聞いたぞ!ほらデカイのが来るぞ!」

 

「姉さんは後ろに」

 

「うん、分かった」

 

「いきなり人使い荒いわね!」

 

「アリサちゃん、来るよ!」

 

隊列を組み砲撃に備える、そして……

 

「スターライト・ブレイカー」

 

聞こえるはずのない声が聞こえて、それと同時に放たれる砲撃。

 

先頭にレンヤが立ち……

 

「でかいな、レゾナンスアーク」

 

《スプリットモード、スピニングシールド》

 

双剣の取っ手がくっ付き回転を始めた。

 

次にフェイト……

 

「バルディッシュ」

 

《ディフェンサープラス》

 

カートリッジがロードされ、バリアが張られる。

 

「レイジングハート」

 

《ワイドエリアプロテクション》

 

同じくカートリッジをロードして、なのはが全員を囲むようにバリアを展開。

 

「半減する扉よ…開け」

 

《ディバイドゲート》

 

すずかが正面に魔力遅延効果の壁を作った。

 

「みんな、頑張りなさい!」

 

《フォルトゥナ》

 

アリサが全員に対魔力の魔法をかける。

 

そしてすぐに、目の前が桜色で埋まった。

 

 


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