魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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20話

 

 

次元空間航行艦船アースラ、会議室ーー

 

そこになのは、フェイト、アルフ、クロノ、プレシア、リンディ、エイミィ、ユーノ。アリシアは見ているだけ。そしてなのはがフェイトに言われて連れてきた猫のリニス。

 

「みんな揃った事だし会議を始めます。まず初めに今回の事件はうちで担当することになりました。今回の事件の襲撃者は闇の書の守護騎士たちと思われます」

 

フェイトたちの視線がリニスに突き刺さる中、会議は始まった。

 

「闇の書の守護騎士?」

 

「またロストロギア関係か?」

 

「アルフの言う通り、ロストロギア闇の書だ。彼女たちは人間じゃない、闇の書のプログラムだ。やつらの目的は闇の書の完成」

 

「どうやって完成するの?」

 

「闇の書には蒐集機能があって、魔力を蒐集すると本の項目が増えていって全部で666ページ埋められる」

 

「666ページ……埋まるとどうなるの?」

 

「不明だ……管理局は今で完成させなかったからな」

 

「とりあえずそう言う事よ。それで今回はなのはちゃんの世界で彼らは蒐集作業している事と、なのはちゃんの保護の為にアースラではなく地球を拠点にしたいと思いま〜す」

 

「えっ?」

 

「ちなみに場所はなのはちゃんの家の近くで〜〜す」

 

「本当⁉︎」

 

「うん!そうだよ、なのは!」

 

なのはとフェイトが嬉しそうに抱き合った。

 

「コホン、話しを戻そう。まず、彼女たちが使っていた魔法なんだが………」

 

「そういえば、見た事ない魔法陣だったね」

 

「あれはベルカ式の魔法だ」

 

「ベルカ式?」

 

アルフは首をかしげる。

 

「ミッド式とは異なる魔術体系だ。汎用性に優れたミッド式とは違って対人戦闘に特化しているんだ。この体系の最大の特徴はカートリッジシステムを搭載している事だ」

 

「カートリッジシステム?」

 

「予め溜め込んでおいた魔力を使って瞬間的に魔力を高める方法だよ。それによって一時的に魔法の威力を底上げするの」

 

「そうか……だから私の障壁もあっさり破られちゃったんだね」

 

「対抗策はあるのか?」

 

「目下のところ捜索中だ。エイミィ、2人のデバイスの状況は?」

 

「損傷が酷かったからね、修理中だね」

 

「よろしくお願いします、エイミィさん」

 

「バルディッシュを頼みます」

 

「任せて!」

 

「それじゃあ、次は……」

 

みんなの視線がリニスに向けられる。

 

「リニス…なんだよね」

 

「…………………」

 

リニスが光り、そこに現れたのは猫耳をつけた女性だった。

 

「えっ、ええええええええ⁉︎リニスが……女の人に……!」

 

「今まで黙ってすみません、なのは」

 

「リニス、やっぱリニスなんだね!」

 

「はい、あなたの知っている使い魔のリニスです」

 

「リニスーーー!」

 

「リニス!リニスだ!」

 

「本当に…リニスなのね…」

 

フェイト、アルフ、アリシア、プレシアがリニスに抱きつく。

 

「良かった…本当に良かった…」

 

「はい、これから説明しますので落ち着いて下さい」

 

そう言って全員席に着く。

 

「私はフェイトの教育を終え、プレシアに契約を切られてただ消滅するのを待つだけでした。適当な場所で消滅を待っていたのですが、その時レンヤに会い助けられました」

 

「君は半年前に現れたんだろ、その間どうしてたんだ?」

 

「助ける方法がその……ラーグの中でレンヤと契約をして魔力を補充することでした」

 

「ラーグ君の……中?」

 

「簡単に言うとラーグに食べられました」

 

「うわぁ……」

 

「コホン、レンヤに気付かれないよう契約をし回復するのに時間がかかりました」

 

「そうか」

 

「それでレン君は何者なの!」

 

「レンヤはあなたと同じ、魔導師です」

 

リニスはなのはに説明をしたペンダントのこと、ラーグとソエルのこと、レンヤのことを。

 

「そんな事って……」

 

「レンヤも今までなのはが魔導士という事も知りませんでした、そう簡単に話せることでもありませんでしたから……」

 

「なのは……」

 

「……みんなは知っていたの」

 

「ユーノ以外はな、ラーグとソエルがプレシアとアリシアを救う時に教えてくれた」

 

「ラーグに口止めをされていたから、どうしても話すことはできなかったんだ」

 

「なのはちゃんを除け者にしようとしたわけじゃないんだよ」

 

「……わかったの……でも一つだけ聞かせて」

 

「……なんでしょう」

 

「この事はお父さんたち、それとアリサちゃんとすずかちゃんは魔法の事を知っているの?」

 

「……ご家族は美由紀さん以外知っています。アリサさんとすずかさんは……魔導師です」

 

「っ……!」

 

「それってつまり…」

 

「はい、レンヤと同じペンダントを持っています。今回の事件も気がついていないでしょう」

 

「でも魔導士なら守護騎士の標的になる、事情を説明して……」

 

「やめて!」

 

これ以上言わせないように、なのはが声を荒げる。

 

「アリサちゃんとすずかちゃんは私が守る!だから巻き込まないで!」

 

「………わかった、でも家族には説明するぞ」

 

「………わかったの……」

 

「なのは、レンヤたちも今のあなたと同じ気持ちで巻き込みたくなかったから、魔法の事を黙っていたのですよ」

 

「……うん、わかっているの」

 

「なのは……」

 

「そ、それじゃあ会議は終わり。なのはちゃん、ゆっくり休んでね」

 

「……ありがとうございます」

 

その後、リンディが事情を説明して。レンヤは家庭の事情という名目で学校を休むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふあああ〜〜よく寝た」

 

「随分と遅いお目覚めだな」

 

「もうすぐお昼だよ」

 

「えっマジ」

 

カーテンを開けて外を見ると、陽が真上にあった。

 

「ええええ!ヤバイ!遅刻だ!早く着替えて……」

 

そこで気がついた、部屋が自分の物でないことが。

 

「………あっそっか、ここミッドチルダだ」

 

「寝坊助め」

 

「魔力の枯渇で長く寝ちゃっててんだね、早く顔を洗って!ソフィーが朝食……いや昼食を用意しているから」

 

「わかった」

 

顔を洗い、ソエルに案内されて食堂に着いた。

 

「へえ〜これが食堂か〜、いつも弁当だしこう言う施設にも来たことないからな〜」

 

「あっ!ソフィーがいたよ!早くご飯食べよう!」

 

「奢ってもらう癖に図々しいな」

 

「細かい事は気にするな」

 

昼食を食べてるソフィーさんの所に行った、端っこにいて周りに誰もいなかったが。

 

「ソフィーさん、おはようございます」

 

「レンヤか、もう朝はとっくに終わっているぞ」

 

「ははは、バカみたいに寝すぎました」

 

「いやいいさ、魔力枯渇による睡眠だ、気にする事はない。食事を奢ろう好きなものを頼むといい」

 

「私!オムライス!」

 

「酒はあるか?」

 

「少しは遠慮しろ!それと酒なんかあるわけないし飲ませるわけないだろ!」

 

「ふふふ」

 

「あっすみません、呆れちゃいましたか」

 

「ああ、そうだな。オムライスと…定食を2つでいいか?」

 

「お願いします」

 

ソフィーさんは注文をしに席を立った。

 

「少しは自重しろよラーグ」

 

「ちょっとしたジョークだ」

 

そういうが、コイツはよくお父さんと酒を飲む仲だ。

 

「おい、ちょっといいか」

 

「はい!なんでしょう?」

 

前に騎士みたいな格好をした男性がいた、教会騎士団って言うのがあるから当たり前か。

 

「………ソフィー隊長とどう言う関係なんだ………」

 

「…はい?」

 

小声でそんな事聞いてきた。

 

「そうよ!どう言う関係なの!」

 

「笑ったことのある隊長なんて初めて見たんだぞ!」

 

「そこを是非詳しく!」

 

他の騎士の人やシスターの人たちに質問責めにあう。

 

「えーと、あのそんなに珍しいんですか」

 

「もちろんよ!」

 

「笑う事はおろか、一緒に食事を取ることすら難しい……!」

 

ああ、だからソフィーさんの周りに誰もいなかったんだ。

 

「……何をしている」

 

「ソフィーさん」

 

「た、隊長……」

 

ソフィーさんが食事を持って戻ってきた。

 

「あまり騒がしくするな……散れ」

 

「「「「了解です!」」」」

 

統率の取れた敬礼で去っていく。

 

「ふう、騒がしくしてすまないな」

 

「いえ、ソフィーさんは皆さんに慕われているんですね」

 

「見ての通りの堅物で近寄りがたいがな」

 

「そんなことないですよ、ソフィーさんは優しい人です」

 

「っ……黙って飯を食え!」

 

「はっはい!」

 

すごい剣幕だ。

 

「照れてるね」

 

「黙らないと膳を下げるぞ」

 

黙って昼食を取った。

 

「それでレンヤよ、そのヴィータと言う人物に負けたのだな」

 

「いや負けたと言うより先に魔力が切れたんですよ」

 

「実質負けだな」

 

「………はいっ」

 

有無言わされず、否定された。

 

「それで提案があるのだが、レンヤよ私の教えを受けてみないか」

 

「それってつまりソフィーさんの指導を受ける…と言う事ですか?」

 

「そうだ、お前の欠点を治せるかもしれない」

 

「……デバイスを持つ事じゃないですよね」

 

「見ず知らずの人間に渡せるほど、聖王教会も心は広くない。あくまで指導するだけだ」

 

「………わかりました、数日間だけなら」

 

「結構、では早速始めよう」

 

「はい!お願いします!」

 

そう言って食堂を出て行った。その後食堂では……

 

「今の聞いたか?」

 

「ああ、あの子隊長の地獄の特訓を受けるみたいだぞ」

 

「大丈夫かしら、あの子」

 

「隊長はお優しい方だ、手加減してくれる……はず」

 

「数日後どうなるのかな」

 

団員とシスターたちは戦慄を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後ーー

 

「はあ、はあ、はあ……」

 

「ふむ……こんなものか」

 

ソフィーさんがこんなスパルタだとは思わなかった。この数日間、ひたすら体力の向上、筋力強化をやっていた。騎士団の訓練にも混ざったりして、皆さんと仲良くなったりもした。男だって言ったら驚いていたけど。

 

「ほら起きろ、今日戻るのだろう」

 

「……むしろ最終日まで……特訓とは……思って……いませんでしたけど」

 

「ふふそうか、これで指導は終わりだ休んだ後荷造りをして最終課題だ」

 

「普通最終課題をやってから荷造りですよね」

 

「……黙ってろ」

 

う、相変わらずにすごい剣幕。その後荷造りをして、お世話になった人たちに挨拶してまわり。最終課題のため訓練場に立っている。

 

………周りに荷物置いて最終課題ってどういう事?ラーグとソエルもいるし。騎士団やシスターさんたちも周りにいるし、かなり恥ずかしい。

 

「それでは最終課題を始めよう、レンヤよリンカーコアに魔力を集中しろ」

 

「はい」

 

言われた通りにする、目を閉じリンカーコアに魔力を集中させる。なんだろうこの感じ、魔力光が変わってくる感じ。

 

「そのまま魔力を解放しろ!」

 

魔力を解放!あれ?体が軽くなっている?目を開けると……虹色が見えた

 

「なっなにこれ!」

 

これ俺の魔力光!青のはずでしょう!見える景色もいつもより鮮烈だし。

 

「ソエル!」

 

「了解!モコナ・モドキのドッキドキ〜!ハーフ〜!」

 

「ちょっとソエル!いきなりなに!」

 

「レンヤ、今は静かにしていろ」

 

ラーグがいつもと違う。周りの皆さんも騒がしくなっているし、言われるがままにして、魔法陣に包まれていく。

 

「レンヤ!」

 

「っ!はい!」

 

「勝てよ!」

 

「……はい!」

 

ソフィーさんに激励をもらい。

 

「ハーーパクッ!ポーン!」

 

ミッドチルダから去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隊長!今のはまさか!」

 

「お察しのとうりだ」

 

「て事はレンヤちゃんは…」

 

「ああ、やつは8年…いや、そろそろ9年前か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「9年前、元聖王アルフィン・ゼーゲブレヒトとその夫と共に消えた2人の息子で、今の聖王家では誰も持っていない虹色の魔力光と聖王の証がある者さ」

 

 

 

 


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