魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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ここ数日忙しくて投稿が少し遅れました。


3人目の聖王

『アハハハハハハハハハッ!!!』

 

塔最上層、そこではイムによる魔乖咒による隙間ない雨のような飽和攻撃が行われていた。

 

エリオ達は目が覚めたスバル達を連れて先に撤退し、ここには俺達4人と……目の前の魔神しかいない。

 

「冗談じゃない程の飽和攻撃ね! その魔力を塔に回せばいいじゃない!」

 

「いくら魔神になっているとはいえ、それでも足りないんだろうね。 世界再生……冗談では済まないかも」

 

「グリード相手に、いつだって冗談で済んだ事はないけどな」

 

「だよね!」

 

すずかがプロテクションで弾幕を防ぎ、その後ろで残りの俺達3人が隠れていた。 するとアリシアがバリアから飛び出し腕を振らず風に流されるようにし、姿勢を低くしながら駆け出す。

 

緩急をつけて弾幕を避けるが、それでも間に合わない時は真後ろに向けていた拳銃から魔力を放出して加速して潜り抜ける。

 

「はああああ……!!」

 

《ジェノサイドブレイザー》

 

「吹き飛びなさい!!」

 

周囲の魔力を砲身に集め、プロテクションから飛び出すと同時に巨大な火炎放射のような砲撃を放ち、横に薙ぎ払って弾幕を相殺した。

 

「今だよ!」

 

「ーー弧影斬!!」

 

弾幕が無くなると同時にすずかがプロテクションを解除して道を開け、抜刀から放たれた斬撃がイムに向かって飛ぶ。 イムは片手で薙いでかき消すが、その隙に背後からアリシアが接近する。

 

「はあっ!!」

 

「フフフ……」

 

連続で拳打や銃撃、蹴りを放つが……イムは微笑みながらのらりくらりと躱していく。

 

「レンヤ君!」

 

「ああ!」

 

すずかは槍を下段にし、腰を低くして力を込めながら構え。 俺は槍の上に乗ると……

 

「やあああああっ!!」

 

裂帛の気合いで槍を振るい、俺をイムの元に投げ飛ばした。

 

「………………(スッ)」

 

「なっ!?」

 

「え……」

 

イムはアリシアの右手を取り、後ろに受け流してこちらに向かってアリシアが驚いた顔をして飛んできた。 俺は振り抜こうとした刀を途中で止めて逆手に持ち替え、アリシアを抱き止めたが……その間にイムは天に手をかざし、巨大な魔乖咒による球を出していた。

 

「くっ……!」

 

パルクールステップで制動をかけ、空を蹴り距離を取ろうとするが……それよりも早くイムは手を振り下ろす。 迫ってくる球体、避けることは出来ずアリシアを庇おうとした時……

 

「ーーくるりと回る」

 

『ガッ!?』

 

突然、目の前に丸いリングが現れ、直撃するはずの砲弾がリングの中をくぐり抜けると……いつの間にかイムの背後にあったリングから出てきてイムに直撃した。

 

「て、転移で跳ね返した……?」

 

不可測に迫る攻撃を的確に転移して返すなど並大抵では出来ない。 こんな芸当、アリシアでも出来ないのに。 一体誰が……すると、横から長い金髪で紅玉と翡翠のオッドアイをした女性が出てきた。

 

「さてと……」

 

「ーーえ……」

 

「てってて〜、おっ出まし〜♪」

 

女性は持っていた翼の装飾が施された杖を掲げ、頭上に先程の丸いリングが浮かび上がると……

 

「にゃ?」

 

「あれ?」

 

「です?」

 

「な、なんやてー!?」

 

その中からなのは、フェイト、はやてとリインが落ちてきた。 突然の事だったのか3人は驚いている。

 

「え、ええええっ!?」

 

「なのは、フェイト、はやてにリイン!?」

 

今度はこちらが驚くが、リインを覗いた3人はイムを視界に捉えると……驚愕していた表情を引き締める。

 

「ディバイン……」

 

「ソニック……」

 

「走れ、銀の流星……」

 

3人は即座にバリアジャケットを展開せずにデバイスを起動し、魔力を高めるのと同時に……

 

『インパクト!/ザンバー!/アガートラム!』

 

それぞれの近接技をイムに叩き込んだ。

 

「ーーあ!? レン君達と戦っていたから思わず手を出しちゃったけど……」

 

「手助けして、よかったのかな?」

 

「まあ、ええんとちゃう? 結構グットなタイミングやったやろうし」

 

「まあそうだけど……」

 

「アギトちゃん、これって一体……」

 

『あー、その話は後だ。 それよりもーー』

 

「ああ、そうだな」

 

なのは達が遅れてバリアジャケットを展開する中、アギトの見えない視線に答えるように俺は突然現れた女性の前に立つ。

 

「はあ……ようやく見つけたと思ったらどうしてもこんな場所に……」

 

「まあまあ、終わりよければ全て良し。 私、あなたと再会できて嬉しいわあ」

 

女性は頰に手を添えて赤らめ、本当に嬉しそうな目をしながら俺を見る。

 

「あの、レン君。 大体予想がつくんだけど……この人は?」

 

「……アルフィン・ゼーゲブレヒト。 俺の……実の母親だ」

 

「………………え」

 

『ええええええっ!?』

 

「あらあら」

 

俺の言葉に全員が驚愕して声を上げる。 だが当の本人は面白そうにしているだけだった。

 

「はあ……百歩譲って母さんだとしても、どうしてここにいるの? なんで今頃俺の前に姿を現したんだ?」

 

「あら、母が子に会いに行くのに理由なんている?」

 

「俺の母親は高町 桃子、父親は高町 士郎。 事情があったとはいえ、20年間も姿を見せずに音沙汰なしでいたのはそっち。 今更出てきて母親面はやめて」

 

「……………………」

 

「レンヤ……」

 

腕を組みながら背を向け、強く突き返す。 もちろん怒っているわけではないが、それでも俺をここまで育ててくれたとのは高町家の両親……それを譲る気は無い。

 

「……はあ、積もる話はあるけど……先にイムを何とかする。 それでいい?」

 

「……それでいいわ」

 

「レンくん…………っ!!」

 

『ヴヴヴ……貴様……ヨクモ!!』

 

「あわわ……!」

 

異形の目だが、そこに狂気が混じりながら睨んでくるイム。 リインは慌ててはやてとユニゾンすると、母さんが俺達4人の目の前にリングを展開した。

 

「皆、そこを通って!」

 

俺達は返事を返す前にリングの中に飛び込み……イムの四方に転移して奇襲をかけ。 なのはとフェイトは自力で接近、はやてはその場で留まり、魔力を溜めながら魔法を発動するタイミングを見計らう。

 

「やあっ!」

 

すずかが飛び出し、高速の突きを繰り出すが……イムはヒラリと躱し柄を掴まれてしまったが。 すずかは槍を足場にして立ち上がり蹴りを放った。

 

『ム……!』

 

「!? キャアッ!」

 

鋭く放たれた蹴りは簡単に弾かれ、足首を掴まれて振り回され無造作に投げられる。

 

「ごめんすずか!」

 

《マジカルエフェクト、バーン》

 

飛んできたすずかに手をついて謝りながら飛び越え、アリサは剣に炎を纏いながら左手でアギトが発動した魔法……火球を放った。

 

『ウグ……アアアアッ!!』

 

「っ……はっ!」

 

火球を顔面に受けたが、軽くスス汚れた程度。 イムは咆哮とともに砲撃を放った。 アリサはそれを重力魔法によって空を蹴って避け、剣を振るうが……

 

ガキンッ!!

 

「なっ!?」

 

咆哮によって開いた口が勢いよく閉じ、ノコギリのような歯で挟まれ止められてしまった。

 

「アリサ!」

 

「離れろ!!」

 

2人で挟み込むように左右から接近し、長刀の柄頭で側頭部を殴り。 アリシアは一瞬で胴体に何度も拳を打ち込んだが……イムは剣を離そうとはせず、こちらの攻撃も効いてはいなかった。

 

「皆!」

 

自力で接近していたなのはがイムの四肢にバインドをかけ、その隙に俺とアリシアは距離を取り……

 

「離れろ!」

 

《ソニックブレイド》

 

下からフェイトが懐に潜り込み、双剣による神速の一閃を首筋に向かって放った。 それによりイムは口を開き、剣を離して迫ってきた双剣を避け……

 

「ーーバルムンク!!」

 

はやてにより後方から弧を描いて無数の剣が飛来。 イムは魔乖咒による弾丸を発射して対応する。

 

『あ、当たりませんです!』

 

「ぐうっ……今更元には戻らないとはいえ、本当に化物ね!」

 

「身体が硬いわけじゃないのに、どうして効いてないの……?」

 

「痛みに鈍いんだ……イムの奴、痛覚が無くなっている!」

 

『アハッ!(パチンッ!)』

 

イムは笑いながら指を鳴らすと……俺達を囲うように周囲に魔乖咒が溢れ出し、今まで出てきた機械型のグリードが顕現した。

 

「機械型のグリード!」

 

「囲まれたね……」

 

「でも、この程度……!」

 

『フフフ……マダ気付イテナイナンテ、オ気楽ナ奴ラネ』

 

「……なんですって?」

 

今だに理性があったのに驚きはしたが、アリサはそれを抑えながらも思わず聞き返す。

 

『ソモソモ、動物以外ノ他ノぐりーど……アレニハ人間ノ負ノ感情ニヨル憎悪ニヨッテ現レテイタ』

 

「人間の負の感情……?」

 

そういえば、1番最初に現れた機械型のグリード……綺麗になりたいなんていう人らしい事を言っていた。

 

『人デアルナラ必ズハ持ッテイル欲望、願望……ソレガぐりーどニヨッテ色濃ク顕現シ、オ前達ガ倒シテクレタオ蔭デコウシテ高純度ノ質ノ良イ魔乖咒ガ手ニ入ッタ。 御苦労ダッタワネ?』

 

「そんな……」

 

「悪に片棒を担ぐ事なんて何度もやったよ! 今更そんなこと言ったってね、ここでアンタを武力行使で倒せば丸く収まるんだから!」

 

「み、身も蓋もない……」

 

今までまで自分が行った行為が間違いだった、過ちだったなんて事は幾らでもある。 ツケは自分で払うもの……アリシアの言う通り、イムを倒せば済む事だ。

 

「気をつけて。 今の話が本当なら……周りのグリードを倒せばそれだけイムの力になるからーー」

 

『ならこうする!』

 

アリシアがアドバイスを言い終えると同時になのはとはやてが飛び出し。 はやてがチェーンバインド、なのはがラバーバインドで機械型のグリードをまとめて全部拘束し……

 

「ふんっ……!」

 

「ど……りゃあぁっ!!」

 

それぞれのバインドを杖の先端に括り付け、乙女らしからぬ声を出してブン回し。 グリードを振り回して一箇所に集め、さらにバインドで硬く拘束した。

 

「今のうちに!」

 

「了解!」

 

《残り1分》

 

「!!」

 

《ソニックムーブ》

 

タイムリミットが迫る中、グリードをなのはとはやてが抑えている隙にフェイトが一瞬で距離を詰め……

 

《ジェットザンバー》

 

「撃ち抜け、雷神!!」

 

神速の魔力斬撃が振り下ろされた、が……その一撃は片手で止められていた。

 

『中々ノ速度ネ』

 

「それでも……!」

 

《イグニッション》

 

柄のスロットルを全力で回し、魔力放出力を上げて押し込もうとする。 そして背後に回り込んで攻撃しようとした時……

 

「っ!?」

 

「腕が増えた!?」

 

『アハハハハハッ!!』

 

背中から無数の腕が生え、攻撃する前に押し返されてしまう。 そして、刻一刻と時は過ぎてしまい……ついに天が明るくなり、徐々に増えていく。

 

「アルカンシェルが!」

 

「!!」

 

次の瞬間、辺りは白い閃光に包まれ……

 

ドンッ!!!

 

砲撃音だけが耳に届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、楽園の塔周辺にいたシェルティス達は市民と、撤退してきたスバル達をヘリに乗せて本土に戻る途中……アルカンシェルによる余波によって大きく揺れ、市民達は悲鳴をあげる。

 

『きゃあああああっ!?』

 

「なんだなんだ!?」

 

「な、何が起きているの……?」

 

市民は恐怖に怯え、なのは達が慌てふためく中……シェルティス達は冷静に状況を把握しようとする。

 

「い、今のは……!?」

 

「っ……ツァリ!!」

 

『どうやら軌道上にいた艦隊によるアルカンシェルの斉射だね。 どうやら上層部が強行して放ったみたいだけど……』

 

「何ですって! あそこにはまだレンヤ達がいるというのに!」

 

その時、ツァリが声を上げた。

 

『! 爆心地中央に魔力反応! 高密度の魔力が発生!』

 

「え!?」

 

「まさか……!」

 

すると、爆煙が晴れていき……中から紺碧の水晶によって構成された巨大な塔が現れた。

 

「な、何あれ……」

 

「外壁が崩れて……中から水晶?」

 

「……無事だよね? レンヤ達……」

 

「今は、信じて待つしかない……」

 

美由希は手を合わせ、レンヤ達の無事を祈り。 ティーダは静かに塔を見つめた。

 

「ケホケホ……い、生きてる?」

 

『何とかな……』

 

「ううっ……まさか敵の一か八かの賭けが成功して生き残るなんて……」

 

「なんか複雑だね」

 

そして、塔の最上層では……アルカンシェルを受けた衝撃によって崩落した瓦礫の下敷きになったレンヤ達が瓦礫を退かして這い出てきた。

 

レンヤ達は辺りを見回し、上にいたイムを視界に捉える。 イムは俯いて表情は見えないが……その口元は三日月のように歪んでいた。

 

『フフフ、アハハハハハハッ!! 成功ヨ! アルカンシェルニヨッテ塔ノ起動ニ必要ナ魔力ハ充填サセラレタ! 後ハ……引金ヲ引クダケダ!』

 

イムは顔を上げると同時に腕を突き出すと……腕があり得ないくらい伸び、レンヤに向かって襲いかかったが……

 

「ーーあぐっ!」

 

「……え」

 

アルフィンが横から割って入ってレンヤを庇い、腹部に傷を負ってしまった。

 

「か、母さん!?」

 

レンヤは慌ててアルフィンに駆け寄り、傷口を見ると……腹部から留めなく血が流れたいた。 すぐさますずかが応急処置に入るが……再度イムの手が飛来、レンヤは振り返り際に抜刀し弾き返した。

 

「引金という事は、俺を贄にして楽園の塔を発動させる気か!?」

 

『聖王ノ血ハ特別ナノヨ。 元々、聖王ハ兵器ノ部品ノヨウナ存在……使ッテ何ガ悪イノカシラ?』

 

「貴様……!!」

 

(兵器の部品、か……アレを見る限り、強く言い返せないけど、それでも……!)

 

怒り混じりでイムに問いかけ、その答えにフェイトは怒りを露わにする。 だが、それに対してレンヤは考え込んでいた。

 

『ハアッ!!』

 

だがこのまま考えに耽る訳には行かず……意識を外に向ける。 するとイムの背にある無数の腕が伸び、爪を立てながら迫ってきた。

 

《ロードカートリッジ》

 

「せいっ!」

 

左の3本の短刀のカートリッジを炸裂させながら振るい、前にあった腕の手首を切り落とし。 その後のを上昇して避けそのままイムに向かって飛ぶ。

 

そして3本の短刀を高速で投擲し、イムは残りの腕を集めて受け止める。 だがカートリッジをロードしたため短刀は勢いを失わず、腕と短刀は拮抗する。

 

「フレイムアイズ! リボルバービット、展開!」

 

後方にいたアリサが左右に巨大な砲身を有しているリボルバー式の浮遊している大砲を展開し。 フレイムアイズもキャノンフォルムに変形させ、リボルバーが炎を纏いながら急速に回転し、砲身に魔力が集まり……

 

《トリニティバースト》

 

「いっけえええっ!!」

 

3つの砲門から赤い3つの砲撃が発射された。 砲撃はイムに直撃し、イムは全身が炎に包まれ……ガムシャラに手を振り回しながら炎を振り払う。

 

『ギャァアアアアッ!!』

 

イムは全身に火傷を負いながら絶叫を上げ。 今度は四肢がゴムのように異常に伸び、刃のように鋭い爪が縦横無尽に飛来し……避けきれず右腕を切り裂いた。

 

「っ!! 負けるかぁ!!」

 

《ファイナルドライブ、ソードオン》

 

3つのギアをフル稼働させて魔力を急上昇させ、抜刀によって高濃度の蒼い魔力が刀身に纏われる。

 

「一切合切斬り落とす、虚空千切ッ!!」

 

刹那の間にいくつもの剣戟による軌跡が走り、イムの腕を全て斬り落とした。 そしてフェイトが大剣を上に投げ、大剣はその剣先をイムに向けて静止し。 フェイトは大剣に向かって手を掲げ……

 

「天庭よ、荒れ狂え……」

 

《アンバーボルト》

 

「失墜しろ、鳴神ッ!!」

 

振り下ろすと同時に大剣が雷を纏いながら高速で、落雷のようにイムに肩に突き刺さった。

 

「氷牢よ!」

 

次いですずかが全身から魔力を放出すると……雪が、吹雪が舞い、イムの周囲で吹き荒れると……一瞬で氷漬けにし……

 

氷華(ひょうか)……朧月槍(ろうげつそう)!!」

 

『ク……ソガアアアアアッ!!!』

 

魔力で刃を延長し、強化した槍を投擲した。 槍は薄紫色の軌跡を残し……イムの腹部を貫き氷が拡散し、まるで氷の花が咲いたようになった。 すると、今まで保っていた状態が不思議なくらいの身体が、砂のように崩れ落ちながら崩壊を始めた。

 

『グウウウ!! マ、マダダ……マダ私ハココデ死ヌ人間ジャナイ!!』

 

「あ!?」

 

「待て!!」

 

「ーーぐっ……!」

 

崩壊し始めているイムは大剣と槍を引き抜くと天井を開いて外に出て、それをはやてとアリシアが追いかけるが……先ほど切り裂れた右腕を抑えて膝をついてしまう。

 

「レン君!!」

 

「だ、大丈夫だ。 傷はそこまで深くない……それよりも早く母さんを連れて外に! 俺は後から向かう」

 

「……分かった気をつけてね」

 

だが、アリシアは外に出たが天井は既に閉まっており。 なのは達は別ルートから脱出を試みてその場を後にし……

 

「ーーッ……!?」

 

『レンヤ(君)!?』

 

なのは達がアルフィンを連れて撤退すると同時に……ガクリと膝をつき、受け身を取らずに地に倒れ伏した。 慌ててアリサとすずかが近づくと……レンヤは額に油汗をかきながら悶え苦しんでいた。

 

「ぐ……ハアハア……」

 

「まさか……毒!?」

 

「レンヤ君! レンヤ君!!」

 

「落ち着きなさいすずか! 先ずはここを脱出するのが先決よ!」

 

毒が入ったであろう右腕の付け根を抑えながら荒い息をし、レンヤは毒に耐えていた。 アリサはすぐさま脱出しようと辺りを見回すが……既に辺りには火の手が回っていた。 その時……瓦礫によって塞がれていた勢いよく扉が開かれ……

 

「ーーこっちだ、早くこい!!」

 

「リンスさん!」

 

出口の扉を開けたのはリンスだった。 リンスは慌てて叫びながら手でアリサ達を呼んだ。

 

 


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