魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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親子より……紺碧の塔

 

龍の顕現の可能性の発覚から数日……龍の危険性は、すぐに上層部に伝えられた。

 

だが、警戒したからといってどうこうできるはずもなく。 闇雲に探しても仕方ないので、俺達は情報が入るのを待つことにした。

 

そして機動六課では、いつもの訓練が行われていた。その訓練には、並行世界組も参加している。

 

「はあはあ……」

 

「つ、強過ぎるよ……」

 

「これが……異界対策課ですか……」

 

その訓練では教導するべき立場にいるなのはとフェイトまでもが訓練を受けていた。 そして彼女らを教導しているのが……俺とアリサとすずかだった。

 

「皆、お疲れ様」

 

「んー、悪くないけど……もうちょっと筋力と瞬発力が欲しいわね」

 

「ここまでよくついて行っている方だ。 これはテオ教官が提案した訓練を簡単にしたやつ……まあ、初段階クリアってとこかな」

 

小休止しながらアリサ達と訓練結果をまとめる。 すでになのは達はバテバテだが……別に弱いわけでもない。 俺の基準でも上位に入るが、それ以上がゴロゴロいるので低く見えてしまう。

 

そんなこんなで徹夜明けから復活したテオ教官も訓練に参加し。 剣を出さず口で指導しつつ、訓練が終わると……

 

「すずかママ〜! レンヤパパ~!」

 

こっちヴィヴィオ……ややこしいのでヴィヴィが、1番近くにいた俺とすずかの名を呼びながら駆け寄ってきた。

 

俺はタックル気味に飛び込んで来たヴィヴィを受け止め、そのまま抱き上げる。

 

「えへへ〜」

 

「ふふ、ヴィヴィちゃんたら」

 

ヴィヴィは笑顔で胸元に抱き付き、すずかは微笑ましそうに笑う。

 

「………………」

 

その様子を、心なしか羨ましそうに見ているあちらのヴィヴィオ。

 

「あれ? どうしたのヴィヴィオ?」

 

「何かあった?」

 

ヴィヴィオの変化に気付いたなのはとフェイトが声をかけた。

 

「ねえ、なのはママ、フェイトママ……」

 

「何かな?」

 

なのはが膝を落として視線を合わせ、ヴィヴィオは振り返ると……

 

「パパ……いないの?」

 

(はい……?)

 

『ええっ!?』

 

とんでもない事を言い、なのはとフェイトは同時に驚く。 するとヴィヴィオはこちらに視線を向けた。

 

(ああ……なるほどね)

 

「そっか………ヴィヴィを見て、羨ましくなっちゃったんだね」

 

「え、えっとねヴィヴィオ…………パパは………」

 

仕方ないとはいえ、なのはとフェイトは困った顔をする。 それを、アリシアは遠目で見ていた。

 

(ねえねえはやて。 バタバタしていて聞く機会なかったけど……

 

(まあ、正式な恋人はおらんな。 ただ、なのはちゃんには友達以上恋人未満な相手はおるけど………)

 

(誰それ?)

 

(ユーノ君や)

 

はやては即答し、アリシアはあーっと言いながらどこか納得した。

 

(そういえば小学生からの付き合いだからね、あの2人)

 

(まあ、なのはちゃんは、仲のいいお友達って言いはっとるんやけどな)

 

(ーーなるほど、昔の私達とレンヤみたいな関係ね。 それで、きっかけが何もないから進展もしないと……)

 

(その通りや……って、アリサちゃん!?)

 

はやてはいつの間に隣にいたアリサに驚きながら、しかし声を抑えながらその場を飛び退いた。

 

(い、いつの間に……)

 

(あら、アリシアは気付いていたわよ?)

 

(気配も読めないんだね、あんなバレバレだったのに。 こっちのはやてはもうちょっと気配に敏感だったよ)

 

(……一体そっちの私がどうなっとるのか見てみたいんよ……)

 

顔に手を当てて項垂れるはやて。 その時、突然はやての前に空間ディスプレイが展開された。 映し出されたのはグリフィスだった。

 

『ーー八神部隊長。 無限書庫のユーノ・スクライア司書長と民間協力者のツァリ・リループ氏がお見えになっています』

 

「おお?」

 

「……噂をすれば……やな」

 

はやてはそう呟くと、一足先に隊舎へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーノはレンヤ達が現れる以前から謎の生物と言われていたグリードの事を調べていた。 だが、この世界の存在ではないグリードの事は無限書庫と言えど見つけることは出来なかった。

 

その途中、ツァリが無限書庫に向かい。 ユーノにグリードについて説明しつつ念威を使って本当にグリードに関する目録か調べ……結果は何も出てこなかった。

 

ユーノはその報告のついでに、気になっていた並行世界の彼らを見に来たのだった。 そしてツァリとユーノははやてへの報告を終えると、ユーノはレンヤに会っていた。

 

「やあ。 初めまして……って言うのも変かな? ユーノ・スクライアです」

 

「そうだな、俺は神崎 蓮也だ。 改めてよろしく。 ツァリは隊舎の方か?」

 

「うん。 もうはやてに報告を終えたところ」

 

2人は自己紹介をしながら握手をする。 そしてユーノは気になっていた事を聞いてみた。

 

「えっと……それで小耳に挟んだんだけど、レンヤがそっちの世界のなのはと恋人……っていうか、なのはを含めた女子6人と結婚を前提にした恋人というのは……本当かい?」

 

「……誰から聞いたんだよ……ああうん、恐らくアリシアからはやて辺りだろうけど……コホン、まあ、そうだ」

 

レンヤは突然の質問に驚くが、照れ臭そうにしながらも頷いて肯定した。 だが、ユーノはそれを聞くと真剣な表情を見せる

 

「ど、どうやって恋人になったんだい?」

 

「……もしかして、ユーノってなのはの事を……」

 

そう言うと、ユーノはハッとなりながら顔を赤くする。 それに鈍感だったレンヤは気が付いた。

 

「まあ、俺達が恋人同士になったのはいろいろ切っ掛けがあるけど。 一番大事なのは……」

 

「大事なのは……?」

 

「一直線に想いを伝えることかな?」

 

告白した時を思い返しながら、レンヤはパッと出てきた言葉を口にした。

 

「一直線に想いを伝える………」

 

「なのはって、ああ見えて自分への気持ちには鈍感だからな。 まあ、俺もだけど……」

 

「え……」

 

最後の部分はボソリと言ったのでユーノは上手く聞き取れず、思わず声を漏らし。 レンヤは失言をした風な感じになる話を戻した。

 

「とにかく。 はっきりと好きだって言うのが一番だな。 あーでもそれだけだと友達として好きと勘違いされそうだから、男として好きだらか、はっきりと愛してるぐらい言った方がいいんじゃないか?」

 

「あ、愛してる………」

 

レンヤの言葉に恥ずかしくなったのか、ユーノは顔を真っ赤にした。

 

「でも、本当にそのぐらい言わないと、気持ちは伝わらないな。 いつだって、な……」

 

「……レンヤ……」

 

「じゃあ、善は急げってことで、お膳立てはしてやるから、あとはユーノ次第だ」

 

そう言うと、レンヤは踵を返しなのはの元に向かう。

 

「え? ちょ、ちょっとレンヤ!?」

 

「なのはー!」

 

ユーノは止めようとしたが、レンヤはさっさと行ってしまい。 そのまま大きな声で離れた場所で休んでいたなのはに声をかけた。 するとなのはは呼び声に気付き、駆け足で近寄ってきた。

 

「何、レンヤ君?」

 

「ユーノがなんでもなのはに大事な話があるんらしいんだ」

 

「え、ユーノ君が?」

 

レンヤは道を開け、背後にいたユーノをなのはに見せた。 なのははユーノを視界に捉え、そのままユーノの方に歩いていく。

 

「……さて、どうなるかな……ユーノ」

 

レンヤはボソリと呟くと、後ろで2人の成り行きを見守った。 そしてなのはとユーノは対面する。

 

「ユーノ君、話って何?」

 

「え……あ……な、なのは………」

 

なのははいつも通りに話しかけるが……ユーノからすれば、突然の事で心の準備が出来ていなかった。

 

「レンヤ君から、大事な話があるって聞いたんだけど………」

 

「えっ……!? う、うん………」

 

ユーノは顔を赤くしつつ俯くように頷く。 彼は内心不安であったが、覚悟を決めてなのはを顔を上げてなのはを見据え……

 

「ーーなのは!」

 

大きな声でなのはに呼びかけた。

 

「えっ!? な、何!?」

 

いきなり大きな声を出したユーノに、ビックリするなのは。

 

「なのは!」

 

「は、はい!」

 

「僕は……君が……君の事が………」

 

なかなか言い出せないユーノであったが、一度深呼吸して心を落ち着かせ……勇気を持って叫んだ。

 

「君の事が好きだ! 友達としてじゃない……一人の男として、君の事が好きだ!!」

 

「………………ーーえっ?」

 

告白されたなのはは、一瞬何のことか分からなかった。 だから動揺しながらもユーノに聞き返す。

 

「ユ、ユーノ君………そ、それって………」

 

「うん。僕と付き合って……恋人になって欲しい」

 

突然の事で動揺するなのはの言葉に、ユーノは頷き、はっきりと告白の言葉を口にした。

 

「…………………あ」

 

すると……なのはの瞳から、ポロポロと涙が零れる。

 

「……ユーノ君……私……嬉しい」

 

「……………………」

 

固唾を飲んで静かに、内心ドキドキしながら返答を待つユーノ。 そして、なのはは目尻の涙を拭い……

 

「不束者ですが、よろしくお願いします」

 

パパーーーンッ!!

 

頭を下げてユーノの告白を受け入れた、その瞬間……2人の周りからクラッカー音が鳴り響いた。 すると近くの茂みから隠れて様子を伺っていたはやてとアリシアが出てくる。

 

「いや~、ようやく2人が上手くいったね!」

 

「ア、アリシアちゃん!?」

 

「アリシア!?」

 

「ちょいちょいアリシアちゃん。 ちょいと出てくるのが早かったんちゃうかな~。 もう少し見とれば、チューの1つくらいしたかもしれへんのに……」

 

突然の事に2人は驚き、みるみる顔を赤くしながらも問いかけた。

 

「み、見てたの?」

 

「そりゃもうばっちりと」

 

「ーー趣味悪いわよ、はやて」

 

「ふふ、アリサちゃんもかなりハラハラしてたよね?」

 

悪怯れる事なく肯定するはやて。 すると遠目で様子を見ていたアリサとすずかがヴィヴィオを連れて近寄ってきた。

 

「ほら、ヴィヴィオ。 念願のパパやで」

 

はやてはヴィヴィオの手を引きなのは達の前に出し、軽く背中を押してユーノの前に立たせる。

 

「……? ユーノ……パパ?」

 

ユーノを見上げ、小首を傾げながらそう言うヴィヴィオ。

 

「あ……うん。 そうだよ、ヴィヴィオ」

 

ユーノは一瞬驚いたが、すぐに笑顔になり、ヴィヴィオの頭を撫でる。

 

「パパッ!」

 

するとヴィヴィオはユーノの片足に抱き、ギューっと抱きしめた。

 

「お~お。 あんなに喜ぶなんて、よっぽどそっちのヴィヴィオの事が羨ましかったんやなぁ……」

 

そう呟くはやて。 その時、後ろからヴィヴィを抱きかかえたレンヤが歩いてきた。

 

「はは、なんだか昔のヴィヴィを見ているようだ」

 

「パパ! ヴィヴィオもパパギューってしてもいい?」

 

「ああ」

 

「ギュ〜〜〜!」

 

あの光景を見て羨ましく思ったのか、ヴィヴィオはレンヤの了承をもらうと首に手を回してギューっと抱きついた。

 

「よかったね」

 

「まあ、6人まとめて告白したどこぞの男よりはマシね」

 

「……言葉にトゲがあるね、アリサさんや」

 

「まあ、これで2人の仲も進展したし、めでたしめでたしやな」

 

隣で喋っているレンヤ達を尻目に、はやては腕を組みながらうんうんと頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……ミッドチルダ東部、森林地帯ーー

 

「うええ〜……ここどこ〜……?」

 

「うっさいわよ、スバル。 キリキリ歩きなさい」

 

「ふうふう……」

 

「キュクー……」

 

「ここは……確かスカリエッティのアジトの近くの……」

 

森の奥深く。 そこにはスバル、ティアナ、キャロとフリード、エリオの姿があった。 4人からは僅かながらも只者ではない雰囲気を放つことから、レンヤ達の世界の4人だという事が分かる。

 

「エリオの言う通りならミッドチルダから東にある森林地帯ね。 全く、レンヤさん達が突然消えて、探しにいこうとした矢先がこれ……またグリードかなんかに巻き込まれたのかしら……」

 

「連絡もつきませんし……ミッドチルダなら先ずは六課に戻りませんか? 何か情報が得られるかもしれません」

 

「そうだね。 まずは行動あるのみだ!」

 

「あ、じゃ皆さん、フリードに乗って下さい。 その方が早いですし、管理局員と接触できて情報が得られると思います」

 

「そうね、お願いするわ」

 

「はい!」

 

「キュクルー!」

 

すぐさまキャロはガントレットを起動し、フリードを爆丸として出現させた。

 

「お願いね、ルミナ・ホライゾン・フリードリヒ」

 

「グルル」

 

「……前々から思ってたけど、その最初のルミナって、何?」

 

「え!? ええっと……確か6属性を表していると言っていたような……詳しくは聞いていないです」

 

「それはそれでいいのかしら? まあいいわ、行くわよ」

 

キャロ達はフリードの背に乗り、フリードは大きな翼を羽ばたかせるとミッドチルダに向かって飛翔した。

 

「フリードが大きいと皆乗れて楽しいね♪」

 

「はい!」

 

「……全く繋がらないわね……」

 

静かなフライトの中、ティアナはメイフォンを睨みつけながら何度も画面をタップする。 それを見たエリオは首を傾げる。

 

「それはおかしいですね。 僕達のメイフォンは特別性で、ミッドチルダに入れば大抵の場所は繋がるはずなのに……」

 

「……情報が足りないわね。 この状況、恐らくレンヤさん達が消えた理由の一つでもある……フリード、急ぎなさい」

 

「グオオッ!」

 

フリードは速度を上げ、ミッドチルダに向かう。 そして数分後……

 

「見えました!」

 

「ミッドチル……いや、どこか変ね」

 

「? 変ってなにが? いつものミッドチルダだよ?」

 

「首都は未だに復旧作業中よ。 まだ工事が続いているはずなのに……目の前にあるのはいつものミッドチルダ、おかしいわ」

 

「確かに、そう言われれば……」

 

「ーーそこのお前達、止まれ!!」

 

その時、フリードの進行方向に管理局員が立ち塞がった。

 

「許可を得ていないミッド上空の飛行は禁止されている! 今すぐ着陸しろ!!」

 

「来たわね。 キャロ」

 

「はい」

 

キャロはフリードを着陸させ、ティアナは少し怒り気味の管理局員に事情を話し情報を集めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動六課隊舎ーー

 

「え、ティアナ達が捕まった?」

 

今日もいつものように訓練を行っていると、警備隊からティアナ、スバル、キャロ、エリオをミッド空域の違反飛行したため逮捕したという報告を受けた。

 

「捕まったもなにもその4人は訓練場で訓練を……ああ、なるほど、そういう事か」

 

「ええ、どうやら来てしまったようね」

 

「つまり、レンヤ君達の所のティアナ達という訳やな。 すぐに警備隊と事情を話して連れて来るんよ」

 

「よろしく、こっちの事情もなるべく説明しておいてね」

 

はやては部屋を後にし、残りはティアナ達が来るまでこっちのティアナ達の訓練を見ることにした。 しかし……

 

「同名の人が来るとなると……名前を呼ぶのがややこしくなりそうだな」

 

「ヴィヴィオの時もそうだったし、愛称で呼ぶしかないね」

 

「これでなのは達が来たらさらにややこしくなるわ。 早いとこケリをつけないと面倒ね」

 

ティアナはともかく、残りの3人の愛称を考えながら訓練場に向かうと……まず目に入ったのはイットとエリオによる近接訓練だった。

 

「はあっ!」

 

「うわっ!?」

 

イットの斬り上げた太刀が槍の打ち上げ、バンザイ状態となったエリオの眼前に太刀の峰を突き付けた。

 

「ま、参りました」

 

「ふう……」

 

エリオはそのまま降伏し、イットは太刀を離してから息を吐いた。 俺はそんな2人に拍手を送りながら近寄った。

 

「2人共、いい勝負だった。 また腕が上がったようだな」

 

「いえ、自分のは記憶と身体を合わせただけ……ズレを無くしただけです。 腕が上がったというのは少し語弊がーー」

 

「そんなのはいいんだよ」

 

「え……?」

 

ポンッと、イットの頭に手を乗せた。

 

「どんな事であれ、イットが自分の意志で剣を振るう……それに意味があるんだ。 今はまだそれでいいんだ」

 

「……………………」

 

「さて、こっちのエリオ達が来る前に、ここのエリオの指導をしようかな?」

 

「え……」

 

それから軽くエリオに槍の型と体捌きのやり方を教え、1時間後……こちらのスバル達が六課にやってきた。

 

「アリサさん、すずかさん、無事でよかったです!」

 

「突然音信不通になってしまったので心配しました。 どうやら他の皆さんも一緒にいるようですね?」

 

「ええ。 ここに来るまではやてから事情は聞いたかしら?」

 

「はい。 まさかここが並行世界で、しかも……」

 

「……なんだかとても変な気分です……」

 

「うん。 鏡を見ているようです」

 

エリオ達はもう1人の自分と対面し……両者ともに複雑な表情を見せる。

 

「さてと、とりあえず名前が被っているから愛称で分けるわよ。 こちらがティア、あちらがティアナで……星川、キャロル、エリオットにしておいたわ」

 

「星川ってなんですか!?」

 

「仕方ないじゃない。 スバルの愛称なんて思いつかなかったし、残りの2人も増やす以外なかったんだから」

 

「あ、あはは……まあ、仕方ないですよね」

 

スバルは半ば諦めながら愛想笑いをする。 するとコルルとクレフはエリオットとキャロルに近寄った。

 

「やあ、エリオ……じゃなくてエリオット、音楽は好きかい?」

 

「……コルル……楽しんでいるよね?」

 

「ククちゃん!! 良かった……レンヤさん達と同時刻で消えちゃったって聞いたから心配で心配で……」

 

「ごめんなさい、キャロ……ル」

 

「ふふ、良かったわね。 クク……プフッ……!」

 

「わ、笑わないでよルーちゃん〜!」

 

その時……パンパンと、アリシアが手を叩きながら近寄ってきた。 その表情は真剣そのものだ。

 

「4人と再会して早々悪いけど……龍が現れたよ。 それに次いで特大級の異界もね」

 

『!?』

 

「場所はミッド南東……海のど真ん中、異界がそこにあってこちらに龍が進行している」

 

皆が驚く中、空間ディスプレイに映し出されたのは……海の上に聳え立つ紺碧の塔と、槍のような頭をした長大な塔と同色の龍だった。 そのどちらの大きさも規格外に大きかった。

 

「な、なんて巨大な塔……」

 

「天空にも届きそうなくらい高いですね……」

 

「あ、あれが龍……」

 

「今までのバケモノの比べ物にならねえ……」

 

「恐らくあそこに私達をこの世界に次元漂流させた元凶……日傘のグリードがいるはずだよ」

 

「……よし、作戦を開始する。 こっちの機動六課で塔の攻略、残りのシェルティス達は龍の撃退、なのは達はシェルティス達の援護をしてくれ。 どれも命に関わる任務だ……皆、死力を尽くして生き残れ!」

 

『おおっ!!』

 

この世界での唐突な最終決戦……俺達は気合を入れて挑んだ。

 


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