魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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A's編
19話


 

 

フェイトたちと別れてから半年がたち今は冬。ビデオメールで連絡を取り合っていたりもした。フェイトにアリサとすずかとリニスを紹介する事にもしたり、ビデオ越しでも友だちが増えて欲しかった。アリシアもプレシアさんも元気そうだった、近々こちらに移り住むようだ。時々はやてたちとも会っていたが、ここ最近都合がつかなくなってあまり会えないでいた。この前久しぶりに会ったが、最近よくシグナムさんたちが出掛けているらしい。日に日に寒くなるこの海鳴、海も空もいつもと同じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、帰り道ーー

 

すずかは用事で図書館に行っており、なのはとアリサは家に帰っていた。俺は先生に手伝いを頼まれてしまい、思ってた以上に時間がかかり外はすっかり夜だ。

 

「お母さんたちに連絡して置いてよかった、なのはの伝言だけじゃ心許なかったからな」

 

「伝言するよりも、電話すればよかったんじゃないの」

 

「携帯を持たせてもらったんだから、それを使えよ」

 

そう2カ月ほど前に持たせてもらったのだ、しかしまだ使い方がよくわからず、なのはによく教えてもらってたりする。

 

「もうお前が高町家に来て2年半、いい加減わがままの1つくらい言ってもばちは当たらないぞ」

 

「携帯の事だってそう言う事なんだよ、もっと甘えなさいって」

 

この携帯は持たされた……の方が正確だった。

 

「この学校に行かせてもらっている時点でもう充分だよ、俺は中学を卒業したらミッドチルダに行く、そうじゃなくても家からは出て行くつもりだ。今は出来るだけ親孝行をしなきゃ」

 

「レンヤ…」

 

「頑固者め」

 

ーーーーー♪

 

その時、携帯が鳴り始めた。開くとなのはだった。

 

「もしもしなのは、今帰っているところだ」

 

「あっそうなの!早く帰って来てね!」

 

「わかったよ」

 

「後お母さんがーーーー」

 

途中で声が途切れ、ノイズが発生した。

 

「なのは?もしもし、なのは!」

 

「どうかしたの?」

 

「いきなり電話が切れて………圏外?」

 

「圏外って事はないだろ」

 

「でも実際に……!何、この空……」

 

何気なく上を見ると明らかに空の色が違う。

 

「これは……結界!」

 

「レンヤ!構えて!」

 

言われるがまま剣と銃を身に付け、右手に剣、左手に銃を持つ。

 

「何が起きてんだ」

 

「来るぞ!」

 

上から何かが降ってきて攻撃してきた、咄嗟に防ぎ相手を確認する。

 

「えっ、シグナムさん?」

 

「すまないレンヤ……お前の魔力、貰うぞ」

 

謝罪を言った後、いきなり持っていた剣で斬り掛かってきた。

 

「シグナムさん!やめてください!」

 

「はああああ!」

 

「くっ!」

 

振り下ろされる剣を受け止める、やっぱり重い!

 

「っ!話しを聞いてください!一体何があったんです!」

 

「話す事はない!」

 

剣を弾かれ、吹き飛ばされる。

 

「レンヤ!攻撃しろ!」

 

「シグナムさんにできるわけないだろ!」

 

「でもレンヤ!このままだとやられるだけだよ!」

 

「くそっ!」

 

「ハアッ!」

 

シグナムさんの突進と同時に振り下ろされる剣を避ける。

 

「まだだ!」

 

迫ってくる連続の斬撃、強いのは知っていたけどここまでなんて。それ以前に……

 

「シグナムさん、魔導士だったんですね!て事は他の2人も…」

 

「ああそうだ!」

 

下から来る剣を避けて銃を撃つも空中に避けられる。

 

「はあ!」

 

体を強化し、地面を思いっきり蹴って近づき斬るも弾かれ。そのまま空中に立つ。

 

「やるようだな………レヴァンティン!」

 

《エクスプロージョン》

 

刀身の付け根の一部がスライドして、薬莢が舞い刀身が炎を纏う。あれは!

 

「紫電………一閃‼︎」

 

速い!避けられない!なら……

 

「ソエル!神器を!」

 

「了解!」

 

ソエルの口から儀礼剣の取っ手が飛び出し……

 

「フォエス=メイマ!」

 

神衣化をし、剣を巨大化させ防ぐ。

 

「何!」

 

「炎壁、推現!カラミティフレア!」

 

地面から迫る巨大な炎の壁が現れ、2人を分断する。神衣化を解きそのまま物陰に隠れた。

 

「くっ!どこに消えた!……やはり魔力を感じられないか」

 

シグナムさんの足元に三角形の魔法陣が現れ……転移した。

 

「はあ、行ったか」

 

危機を脱し、脱力する。

 

「シグナムさん……なんで」

 

「レンヤ!それよりも都市中心部にシグナムとヴィータがいるよ!」

 

「また襲っているみたいだな」

 

「……!止めないと!こんなことやめさせる!」

 

「アリサたちの連絡しないのか?」

 

「後で話す!」

 

空中を駆け抜け、急いで向かった。

 

「ギアーズシステム……起動!」

 

キッイイイィィィィンッ……

 

双剣に組み込まれていたギアが回り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギアーズシステムをサードギアまで作動させ、目的地にたどり着く、ビルの屋上そこに。

 

「フェイト……」

 

海外にいるはずのフェイトが倒れていた。

 

「うう、レン…ヤ…」

 

「大丈夫か?…それに魔導士だったんだな」

 

「……うん、ごめん」

 

「お互い様だ」

 

「……レンヤ、なのはを!」

 

「なのは?」

 

辺りを見渡すと……見つけた、白い服を着て、杖を構え魔力を集めているなのは。

 

「そうか……そう言う関係だったのか」

 

半年前のなのはの行動、ようやく納得した。

 

「全く、このペンダントのせいだぞ」

 

「ごめんね、レンヤ」

 

「そうするしかなかったんだ」

 

「………また説明されてなかった」

 

「……!レンヤ!なのはが!」

 

なのはを見ると、胸から手が飛び出していた。

 

「なのはーーーー!」

 

全力でなのはの元に向かい、手に向けて斬りかかるが手が消えて避けられる。

 

「なのは!なのは!」

 

「レン……君?」

 

「ああ俺だ!レンヤだ!」

 

「なんで……ここに?」

 

「それよりも大丈夫か!リンカーコアが……!」

 

異変を感じて飛び退くと、さっきまでいた場所にまた手が飛び出していた。

 

「今度は俺か!なのは、待っててくれ!」

 

なのはを横たえ、シグナムさんの元に向かう。

 

「見つけた!」

 

シグナムさんを視界にとらえ、ギアの回転数を上げて魔力を高める。

 

「シグナムーーーー!」

 

「何!」

 

剣を落下の勢いも入れて振り下ろす。突然の飛来に難なく対応するシグナム。

 

「やっぱり!ヴィータにシャマルさん、ザフィーラまで!なんでこんな酷いことを!」

 

「くっ!魔力が上がっている⁉︎」

 

「シグナム!」

 

後ろからヴィータがハンマーを振るう。

 

右手の剣を、硬化魔法で座標固定!左手の剣を攻撃が当たる瞬間に固定!

 

ガキィンッ!

 

「何!」

 

「嘘だろ!」

 

片手で2人の攻撃を防いだ事に驚き、すぐさま剣から手を離し銃でカートリッジロードして魔力弾をぶつける。

 

「チャージショット!」

 

2人を引き飛ばしシグナムの方を追撃する。

 

「なぜあなたの様な人が!こんな非道なことを!」

 

「……!主を助けるためだ!」

 

避け、防ぎ、斬りかかる、上空で幾度となく繰り返えされる。

 

「主の為?」

 

この事件の理由が主を助けるため?ならもっと……

 

「ふざけるな!」

 

魔力を足下に向かって放出し、一気に詰め寄る。

 

「なんだと!」

 

「あなたの剣は知っている!真っ直ぐで力強く、まさしく主を守る為の剣だ!でも……」

 

攻撃させる暇も与えず、怒涛の攻撃をする。

 

「今のあなたは何だ!主を助けるためと言っておきながら、どこか迷っていて剣を鈍らせる!」

 

双剣についているギアが壊れるくらいに回転する。

 

「主の救う為ならなんでもする!しかしあなたは迷っている、そんな剣で俺が倒せると思うか!」

 

剣を払い除け、蹴りを入れる。

 

「ぐあ!」

 

「お前に何が分かるんだ!」

 

狼が銀髪の褐色肌の男性になって、突っ込んでくる。

 

「ザフィーラ⁉︎犬じゃなかったの⁉︎」

 

「私は盾の守護獣だ!」

 

「ええ⁉︎」

 

突進を避けて、斬りかかるが障壁が邪魔した。

 

「盾の守護獣を名乗るだけはある」

 

「当然だ!」

 

スピードとパワーがこっちが有利、なら手はある!

 

「おおおおおお!りゃあああ!」

 

剣に渾身の魔力を込めて、障壁に突き刺さる。

 

「やるな、だが……!」

 

剣の柄に銃口を当て、撃つ!

 

「ぐっ!」

 

剣は障壁を貫きザフィーラに当たるも、防がれる。上空の飛んだ剣を回収してたら……

 

ーーズガアアアアアアアアアアアアン‼︎‼︎

 

後ろを見ると、桜色の光の柱が昇った……何あれ?

 

「なのはだね」

 

「嘘だろ!あれなのはがやったのかよ!て言うかあんな体で無茶しやがって!」

 

「でも結界は壊れたぞ、アリサたちに念話で連絡しろ」

 

「そうだな……!」

 

下からヴィータがハンマーを振るってきた!

 

「あっぶね!だからやめろってヴィータ!」

 

「うるせい!はやての為にお前の魔力をよこせ!」

 

「……!今なんて……!」

 

その時、防御と空中に立っていることで急速に魔力が減って行き……

 

「っ……うわああああああ!」

 

魔法が消滅して、支えがなくなり上空に吹き飛ばされてしまった。徐々に勢いがなくなり落下を始めた。

 

「このままじゃ地面に真っ赤な花が咲くな」

 

「冗談言うな!ソエル!ソエルーー!」

 

「了解!モコナ・モドキのドッキドキ〜!ハーーフ〜!」

 

落ちながら魔法陣が現れ俺たちを包み込む。

 

「ハーーパクッ!ポーン」

 

ソエルが俺たちを飲み込み、魔法陣に落ちた。

 

「逃したか」

 

「私たちも帰るわよ」

 

「……わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう…レン…君」

 

「レンヤ…」

 

《マスター》

 

《サー》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転移が終わると噴水に落ちた。

 

「ガボガボガボ………プハァ!」

 

噴水から出て辺りを見渡す、どこかの施設の様だ。

 

「ここは……どこだ?」

 

「レンヤ、空を見上げてみろ」

 

「ん?……これは!」

 

水を払いながら空を見上げると複数の月の様なものがあり、まるで異世界に来た様だ。

 

「ミッドチルダだね、ここ」

 

「ミッドチルダ⁉︎」

 

俺の……出身地…ここに両親の手がかりが……

 

「ーーーお前は何者だ?」

 

声をかけられ、後ろを見ると銀髪の女性がいた。

 

「えっとあなたは?」

 

「ああそうか、私は教会騎士団団長のソフィー・ソーシェリーだ」

 

「私はモコナ・ソエル・モドキだよ」

 

「俺はモコナ・ラーグ・モドキだ」

 

「神崎 蓮也です。それで教会騎士団と言うのは?」

 

「それもわからないか、ふむ…ここはミッドチルダ北部に位置するベルカ自治領の中にある聖王教会だ」

 

「聖王?」

 

「何もわからないのか………!」

 

ソフィーさんが俺を見て驚いている。

 

「少年……君の額の痣はいつからある?」

 

水に濡れてリボンが乱れていて額の痣が見えていたようだ。

 

「……?物心ついた時からです」

 

ミフィーさんは考え込んだ。

 

「…………まさか、しかしそれなら守護獣の説明も………」

 

「あの、ソフィーさん!」

 

「ああすまない、ならここまで来た経緯を説明してくれないか」

 

ここまで来た経緯を説明した、ここはミッドチルダなので魔法の説明もできた。

 

「なるほど、それでここに来たわけか」

 

「はい」

 

「ならば、今日はここで休むがいい夜も遅い、部屋を用意しよう」

 

「ええ!そこまでしなくても……」

 

「路頭に迷う少年を見過ごせるわけない」

 

「ソフィーさん」

 

初対面で俺を男と見抜き、ここまでしてくれるなんて。男前ですソフィーさん。

 

「それじゃあお言葉に甘えて」

 

「話は通しておく……それと」

 

ソフィーさんはラーグとソエルを見て……

 

「聞きたいことがあるから、ついてきてもらえるか」

 

「いいよ」

 

「すぐに戻る」

 

「……わかった」

 

「そこの道を通れば正門に出られる、そして向かって左側にあるのが本館だ。中に入れば係りの者が案内してくれる」

 

「ありがとうございます、ラーグ、ソエルまた後で」

 

ソエルたちと別れて言われたとうりに行くと目的の場所に着いた。中に入ると受付に教会のシスターさんがいた。

 

「すみません、ソフィーさんの連絡が来てますか?」

 

「あっはい来てますよ、あなたが神崎 蓮也さんですね。お部屋に案内します」

 

案内された部屋はベットと机がある簡素な部屋だった。

 

「それでは、失礼します」

 

「ありがとうございます」

 

部屋に入りベットに倒れこむ、今日一日いろんなことがありすぎた。知り合いのほとんどが魔導士だったなんて。

 

(ペンダントがなかったら…変わっていたのかな)

 

魔力切れの疲れもあり、すぐに寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あなたたちはあのモコナ・モドキでいいのですね」

 

「そうだ」

 

「お目に書かかれて光栄です、時空の守護獣よ」

 

「レンヤの事は内密にお願いできる?」

 

「……本来なら即刻報告しなければなりませんが、確証がないので報告はしません」

 

「ありがとう」

 

「できれば滞在中はレンヤを鍛えてやってくれ」

 

「あの方の末裔の指導ができるなど光栄の極みです」

 

「そう堅苦しくしなくてもいいから」

 

「怪しまれるからね」

 

「……はい」

 

 


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