魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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157話

 

 

同日ーー

 

日は沈み、すっかり夜となった六課の医務室では、グリードによって気絶していたティアナが目を覚ます。

 

「あらティアナ、起きた?」

 

「シャマル先生……えっと……え……」

 

「ここは医務室よ。昼間の模擬戦でグリードに攫われたのは覚えてる?」

 

「……はい……」

 

それよりも前に、なのはの意向に背いた事も……

 

「一時的とはいえグリードに取り憑かれていたから、少なからず心身ともに影響があると思うわ」

 

「え……?」

 

シャマルのその言葉にティアナは一瞬放心するが、直ぐに思い出した。 あの夜を模した異界でソーマ達が自分のために言葉を尽くし、救ってくれたことを。

 

「まあ、仮になのはちゃんの魔力弾が直撃しても、訓練用に調節しているから体にダメージはないとは思うけど……」

 

「そう、ですか……あの、ソーマやスバル達は?」

 

「皆、自室待機中よ。 それに六課中、今はこの話しで持ちきりで大変……はい、これ」

 

そう言ってシャマルはニッコリ微笑みながら訓練用ズボンをティアナに差し出す。 ズボンを手渡され、初めて今の自分の服装が訓練用シャツに下着だけだと気付く。 この格好をまんま見られたと思えば、恥ずかしさを覚えてずにはいられなかった。

 

「どこか痛い所はある?」

 

「い、いえ……大丈夫です……って、9時過ぎ!? ええっ、夜!?」

 

横にあった空間ディスプレイに映っていた時計の針は9時過ぎを指していた。 模擬戦があったのは昼過ぎ……外を見ると暗く、いつの間にか日が沈んでいた。

 

「凄く熟睡してたわよ。 死んでるんじゃないかって思うくらい」

 

シャマルの話しを聞いて、唖然としてしまうティアナ。まさかここまで長時間寝ていたとは夢にも思わなかったようだ。

 

「最近、殆ど寝てなかったでしょ? すずかちゃんも言ってたけど。 溜まってた疲れが、まとめて出たのよ」

 

「そう、ですか……」

 

ティアナは色んな思考が頭の中でごちゃ混ぜになり……ポツリとそう呟くのだった。 と、そこにカルテを持ったリンスが入ってきた。

 

「目が覚めたか」

 

「リンス准尉……」

 

「見た所、倦怠感などはなさそうだな。 なら彼らに顔を見せてやれ」

 

「え……」

 

ティアナは医務室の出入り口の方を向くと……ソーマとスバルとサーシャが顔を覗かせていた。

 

「ア、アンタ達……!?」

 

「や、やあ……」

 

「あ、ヤバ」

 

「ティ、ティアナちゃん。 元気で良かったよ〜」

 

ソーマ達はしまったといった顔をし、ゾロゾロと医務室に入った。

 

「気分はどう?」

 

「ま、まあまあね。 それよりもアンタ達、自室待機命令が出ているのに何してるのよ?」

 

「もちろん、ティアが心配だからに決まってるよ!」

 

「はい! グレアファントムを討伐するのは手こずりましたけど、何とかティアナちゃんを助けられて良かったです!」

 

「……そう……迷惑かけたわね」

 

と、そこでティアナは自分の格好を思い出し……頰を薄く赤に染めながらソーマの方を向いた。 ソーマは特に気付いた様子はないようだが……

 

「ソ、ソーマ? 下、向くんじゃないわよ?」

 

「え……下が何、か……!?」

 

「っ〜〜〜///// 見るんじゃないわよこの変態!!!」

 

「アップルッ!?」

 

一瞬で顔を真っ赤にしたティアナのキレッキレのアッパーカットが炸裂、ソーマは綺麗な弧を描いて医務室から退室した。

 

「あらあら、怪我人追加かしら?」

 

「やれやれ、どうやら余分に回復したようだな」

 

シャマルとリンスは、ソーマ達を呆れながらも微笑ましそうに眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナの暴走、それに共鳴して発生した異界化……それらを収束させ。 気絶したティアナを医務室に運んだ後、俺達隊長陣はフォワード陣に自室で待機命令を出し、事態の収集に当たっていた。

 

「う〜ん……訓練場のど真ん中に異界のゆらぎが残っちゃってるね」

 

「ここに残しておくと訓練の妨げになるわね。 何とか移動出来ないかしら?」

 

「訓練場の隅っこに移動するくらいの方法はあるにはあるけど……完徹になるね」

 

「ソーマ達の安全の為だ、背に腹はかえられない。 それで行こう」

 

訓練場のど真ん中にあるゲートのゆらぎを隅に移動させる為、行動を開始した。 方法としては4人がかりで結界でゲートを囲み、ゲートに干渉しないように移動させる……それだけでいいのだが、この作業は少しのズレも許さないしかなり神経を使うのだ。 日が昇る前に終われば上々だな。

 

「それじゃあ、まずは道具を持ってこないとね」

 

「なら俺が持ってくるよ。 アリシア達は準備を進めておいてくれ」

 

「ええ」

 

「よろしくお願いね、レンヤ君」

 

道具を取りに行くため訓練場を出ると、出入り口側でなのはがシュミレーターのチェックをしていた。 だが、その手を動かす表情は暗い。

 

「…………………」

 

「なのは……」

 

「っ……フェイトちゃん……」

 

「なのは」

 

「あ、レン君も……」

 

隊舎方面から来たフェイトと鉢合わせし、なのはもちょうどチェックを終えたようなので一緒に隊舎に向かう事になった。

 

「さっきティアナが目を覚ましたよ。 グリードによる心身の影響がないみたいで、スバルと一緒にホフィスに謝りに来てたよ」

 

「そう……」

 

「なのはは訓練場だから、明日朝一で話したらって、伝えちゃったんだけど……」

 

「ん……ありがとう」

 

フェイトの会話に、短い応答で答えるなのは。

 

「でもごめんね。 レン君から話しは聞いていたんだけど……結局、私の監督不行届きで。 レン君やフェイトちゃん、皆に迷惑をかけちゃって……」

 

「あ……ううん、私は全然」

 

「ああ、気にしすぎる事はないさ、この件は俺にも責任はある。 ソーマ達の為とはいえ、原因をソーマ達に任せっきりでティアナを蔑ろにしてしまったのだから」

 

もっと、ティアナと親身になって話を聞いていれば、こんな事には……

 

「ティアナとスバル、どんな感じだった?」

 

「……うん。 まだちょっと、御機嫌斜めだったかな?」

 

「はは、スバル達がまだまだ子どもだって事だな」

 

「あはは、そうだね……まあ、明日の朝ちゃんと話すよ。 フォワードの皆と……」

 

「うん……」

 

「……もっと、早くに話しておくべき……いや、過ぎた事は悔いてもしょうがないか」

 

胸に手を当て、静かに首を振る。 その行動を見たなのはは表情を暗くする。

 

昼の時もなのはを落ち着かせるため、なのはの手を自分の胸に持って行き……胸にある傷を意識させてどうにか落ち着かせた。 仕方ないとはいえ、なのはの罪を意識させてしまいかなり罪悪感がある。 夜空に浮かぶ2つの月に一瞥しながら隊舎の中に入ると……突然、六課隊舎中にアラートが鳴り響いた。

 

俺達は顔を見合わせて頷くと、走り出した。 指令室に到着すると、はやてがグリフィスに現状を確認している途中だった。

 

「はい。 東部海上にガジェットII型が出現しました。 付近にレリック反応は今のところは無く、ガジェットの総数は60機を確認。 現在確認されているスペック以上の機動性と速度で旋回飛行を続けています」

 

報告が終わる頃になのはとフェイト、隊長2人が駆け付けモニターを注視する。

 

「航空II型、12機編隊が6隊、機編隊が4隊」

 

「発見時から変わらず、それぞれ別の低沿軌道で旋回飛行中です」

 

「レリックが狙いじゃないのか?」

 

ガジェットの目的はレリックや、それに近い反応を持つロストロギアの収集。 なら、今回のガジェットの出現の意図が読めない。

 

「海上施設も船も何にもない場所を旋回飛行だけをしている点から推測すると、これは……」

 

「まるで、打ち落としに来いと誘っているように見えますね」

 

「それに、現存のスペック以上の機動を誇っているとなると……ガジェットのテストも兼ねているかもね」

 

「壊されるのを前提で、ガジェットのデータを取るつもりなんだろうな」

 

「うん、そうやろうな……」

 

すずかとアギトの推測に同意し、はやては椅子に座りながらこちらに視線を向ける。

 

「テスタロッサ執務官、これをどう見る?」

 

「……犯人がスカリエッティなら……こちらの動きとか、航空戦力とかを探りたいんだと思う」

 

「この状況ならこっちは、超長距離攻撃を放りこめばすむわけやし……」

 

「一撃でクリアですよ~♪」

 

はやての隣にいるリインが名案だと言うかのように手を上げる。 まあ、この殲滅作戦は高ランク魔導師が多数所属するからこそ成立する戦法。 全ての部隊が出来るわけでもない。

 

「だが……わざわざ相手の策に乗る必要は、ないと思う」

 

「ええ、レンヤの言うとおりね。 無闇に手の内を見せる必要はないわ」

 

「まぁ実際、この程度のことで隊長達のリミッター解除ってわけにもいかへんしな……高町教導官はどうやろう?」

 

「こっちの戦力調査が目的なら成るべく新しい情報を出さずに、今までと同じやり方で片付けちゃうかな」

 

「うん……それで行こう」

 

はやてはグリフィスと同意見で、作戦の方式が決まった。 空に出動するメンバーは俺となのはとフェイト、アリサとアギト、ヴィータの6名に決まった。

 

指令室から退室した俺達はヘリポートへと移動し。 ピット艦が出動待機する側でフェザーズ、スターズ、ライトニング、クレードルのメンバーが集まった。

 

「今回は空戦だから、出撃は私とレンヤ隊長とフェイト隊長、アリサ副隊長とアギト空曹とヴィータ副隊長の6人」

 

「皆はロビーで出撃待機ね」

 

「そっちの指揮はすずかとアリシアとシグナムだ。 留守を頼むぞ」

 

「待機だからって、気を抜くんじゃないわよ」

 

『はい!』

 

「……はい」

 

指示に対する返事がティアナだけ、他の6人と比べ何処か覇気に欠けていた。 それによって俺達の視線は自然とティアナに向けられる。

 

「後、それから……ティアナは出動待機から外れとこうか」

 

「っ!」

 

なのはの一言で、フォワード達に動揺が走る。 当のティアナは、ソーマ達以上に動揺しているのがわかる。

 

「その方がいいな。そうしとけ」

 

「今夜は体調も魔力もベストじゃないだろうし」

 

「ーー言うことを聞かない奴は……」

 

なのはの言葉を遮って呟くティアナ。

 

「使えないって、ことですか」

 

ティアナは俯き、肩を震わせたながら呟くようにして言った。 それを聞いたなのはは短くため息を吐いた。

 

「自分で言っててわからない? 当たり前のことだよ、それ」

 

自然となのはの口調が厳しくなっていくのがわかる。 顔には出さないが内心、ティアナの今の言動に呆れてしまっていた。 そんな感情を余所に、ティアナはなのはに感情ぶつけ続ける。

 

「現場での指示や命令は聞いてます! 教導だって、ちゃんとさぼらずやってます」

 

それを聞いたヴィータがティアナの前に行こうとするが、なのはが手で止める。

 

「それ以外の場所での努力まで、教えられた通りじゃないと駄目なんですか!?」

 

一気に叩きつけるように言葉を話すティアナ。 それでも、なのはは何も言わない。 なのはは知ろうとしている……ティアナが何を思って、何を望んでいるのか。 なのはは自分の過ちを正し、ティアナと共に成長しようとしている。

 

「私は、なのはさん達みたいにエリートじゃないし、ソーマやスバル、ソーマやエリオみたいな才能も、ルーテシアやキャロみたいなレアスキルも無い! 唯一の取り柄の銃の腕も、この中じゃ霞んでしまう! 少しくらい無茶したって、死ぬ気でやらなきゃ、強くなんてならないじゃないですかっ!?」

 

目尻に涙を浮かべながら、内に秘めた不満を叫んだ。 その時、アリサがティアナの目の前に移動し……

 

パーーンッ……

 

裏手でティアナの頰を叩き、乾いた音が響いた。 結構力を入れたようで、ティアナが少し飛んで倒れた。

 

「アリサちゃん……!」

 

「アリサ……」

 

「加減はしたわ。 このまま放っておいたらシグナムが拳でやりそうだったし。 それに……」

 

アリサは肩に手を置いてリンスに止められていたシグナムに一瞥した後、ティアナを見下ろし……

 

「ここは駄々をこねて、どうにかなるような場所じゃないわよ」

 

その言葉を境にティアナは崩れ落ちた。 座り込むティアナにスバル達が駆け寄る。

 

「私達を見て嫉妬する暇があるなら、他にやる事があるんでしょう?ヴァイス、行くわよ!」

 

「りょ、了解です!」

 

アリサの呼び掛けで、コックピットでスタンバイしていたヴァイスが慌てながら応える。

 

「ティアナ! 思い詰めちゃってるみたいだけど、戻ってきたらゆっくり話そう!」

 

「早く入れ! 付き合うなってのに!」

 

力なくその場に座り込んでいるティアナに、ヴィータに引っ張られながらなのはは必死に声を掛け続け……ピット艦は六課を飛び立った。

 

『……ソーマ、サーシャ。 ティアナの事、よろしく頼んだぞ』

 

『は、はい!』

 

『ま、任せてください!』

 

念話で2人にそう伝え、なのはの方を向いた。 開きっぱなしのハッチの側で小さくなっていく六課を見つめていた。 しばらくして現場空域手前に到着した。

 

「それじゃあ行ってくるね」

 

「お前達も気をつけろよ」

 

「ああ、フェイトとヴィータも気をつけてな」

 

2人はハッチから飛び降り、デバイスを起動しながら現場に向かって飛翔した。

 

『704、現場空域に到着!』

 

『ライトニング01、スターズ02……エンゲージ』

 

フェイトとヴィータがガジェットと接触、交戦を開始し。 魔力光の閃きが真っ暗闇の海を瞬かせる。

 

『そんじゃあなのはさん、気ぃつけて』

 

「うん、ありがとうヴァイス君」

 

「なのは」

 

「うん?」

 

俺は飛び出そうとしたなのはを呼び止め……

 

「気をつけてな」

 

胸に手を当てながら、本心でそう言った。 なのはは少し目を伏せると、笑顔になった。

 

「……うん。 レン君も気をつけてね!」

 

ハッチから飛び出し、レイジングハートを起動。 交戦中のフェイトとヴィータがいる空域に向かった。

 

『私達も行くわよ』

 

「……ああ、分かってる」

 

俺、アリサとアギトが担当するのは離れた場所にある空域……そこに向かうのは少しの距離があるので……

 

『ーーベリファイチェック完了、出力正常に上昇中』

 

『ブラストオフ!』

 

はやての発進指示で、ピット艦の甲板の一部が蓋のように開いた。 そこから、フェアライズ状態のアリサが出てきた。

 

『くぅ〜! これ1度言ってみたかったんや』

 

『や、八神部隊長……』

 

開かれた蓋の一部が展開、アリサの飛行重力魔法と反対の魔力を充填し……放出すると。 アリサは指定空域に向かって発進……というか発射した。

 

『イヤッホー!』

 

「アギト、真面目にやりなさい」

 

『分かってるって……エネミーガジェットを確認。 サーチ……合計36機、6編成で旋回中』

 

アギトはスイッチを切り替え、機械音声で状況を報告する。

 

「まずは集めるわよ……フレイムアイズ!」

 

《ロードカートリッジ》

 

『マジカルエフェクト、バーンエクスプロード』

 

カートリッジをロード、出力を一気に上げ。 ガジェットを破壊しながら指定空域まで誘導する。

 

「さて、俺達も行くか」

 

《イエス、マジェスティー。 ファースト、セカンドギア……ドライブ》

 

「ブラストオフ!」

 

カタパルトデッキに移動し、ギアを駆動させ。 魔力を上げながらアリサに続いて発射……ガジェットを誘導している空域に先回りする。

 

「殲滅する!」

 

《スカイレイブレイカー》

 

「はあああああっ!!」

 

収束、圧縮させた魔力を巨大な斬撃として放ち。 回避行動に移ったガジェットも巻き込んで撃墜させた。

 

「レンヤ! 討ち漏らしてるわよ!」

 

《サイファーバースト》

 

アリサは自身を魔力で包むと、複数の紅い閃光となり。 残っていたガジェットを一瞬で撃墜した。

 

『残存ガジェット2機、 現空域から南東に逃亡しています』

 

「逃げの一手……最後の最後のまでデータを取る気満々だな」

 

「合わせなさい、撃ち落とすわよ」

 

《カノンフォルム》

 

「ああ」

 

《カルテットモード》

 

フレイムアイズの刀身の一部がスライド、砲身を覗かせる。 こちらも片手に小型機関銃を展開させて構える。

 

「外すなよ」

 

「誰に言ってんのよ!」

 

引鉄を引き、2つの魔力弾が発射。 寸分違わずガジェットを直撃し、煙を上げながら海に墜落した。

 

『フェザーズ01、フェザーズ02、60機目を撃墜!』

 

『増援……ありません!』

 

『ちぇ……アタシらが最後かよ』

 

「ふう、勝負している気は無かったけど……少し残念ね」

 

「まあとにかく、これで任務完了だな」

 

数はあっちの方が少なかったけど、少し悔しいかもな。

 

『皆、事後処理は海上観測隊任せて。 皆はそのまま帰投してな』

 

「了解。 機動六課、帰投します」

 

ピット艦に戻り、六課に帰投すると……屋上でシャーリーが出迎えてくれた。 だがその理由は……

 

「ええ!?」

 

「ご、ごめんなさい……!」

 

シャーリーは両手を合わせて謝り倒した。 どうやら出撃している間にフォワード陣になのはの教導の意味……過去を話したようだ。

 

「うう……ダメだよシャーリー。 人の過去勝手にバラしちゃ……」

 

「ミステリアスな女の魅力が少し減ったな」

 

「そ、そんなんじゃないよ〜!?」

 

ヴィータの冗談になのはは涙目で否定する。 というか、これ俺の過去も話したよな、絶対。 まあ、派遣任務の時、何度か仄めかしたけど。

 

「ダメだぜー、口の軽い女はよー」

 

「そのー……なんかこう……見てられなくて」

 

「ま、いずれはバレる事だしな。 そんなに気にする必要はねぇんじゃねぇか?」

 

アギトがやれやれと首を振りながら言う。

 

「……シャーリー。 ティアナ、今どこにいる?」

 

「あ、えっと……多分ーー」

 

シャーリーはおそらくティアナがいる場所を話し、なのははすぐにそこに向かった。 後のことはなのはに任せても大丈夫だろ。 それにしても……

 

「……なんだか、学院にいた時みたいだな」

 

「え、何が?」

 

「人との関係を取り持つこと……学院にいた時はかなり苦労したなぁ」

 

「ふふ、そうね。 シェルティスとリヴァンの時と、フェイトとアリシアの時とかね」

 

「も、もう、からかわないでよ」

 

こうして、夜空の下、色んな感情が入り混じる中……六課の夜は更けて行った。

 

翌日ーー

 

ティアナ達はいきいきとした表情で、早朝訓練に挑んでいた。

 

 


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