魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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145話

 

 

5月13日ーー

 

フォワード達の最初の訓練から2週間が経ち。 ようやくこの機動六課に隊員達が慣れ始めていた。

 

徹夜明けの身体に日光を浴びせようと散歩してた時、訓練場に足を運んでみると……そこでは、早朝訓練最後の訓練が丁度終わったところだった。 なのはは満足げな表情でバリアジャケットを解除し、制服姿になるとスバル達に近づく。

 

「さて、皆もチーム戦に大分慣れて来たね」

 

『ありがとうございます!』

 

なのはが笑顔でソーマ達を見てそう言うと、ソーマ達は引き締めた表情で答える。 なのはのバリアジャケットが少し被弾している……どうやらシュートイベーションをしていたようだな。 と、そこでなのははティアナを方を向いた。

 

「ティアナの指揮も筋が通って来たよ。 指揮官訓練、受けてみる?」

 

「い、いや。 あの……戦闘訓練だけで一杯一杯です」

 

と、ティアナが苦笑いで返し、そのまま会話をしていた。 俺は皆に近付き、軽く手を上げて挨拶した。

 

「皆、お疲れ様」

 

「あ、レンヤさん! お疲れ様です!」

 

「あー、楽にしていいぞ。 基本的に敬礼はしなくていいから」

 

全員が敬礼するのを手で制し。 ソーマ達はすぐに、スバル達は渋々てを下げた。

 

「もうレン君。 ここは異界対策課じゃないんだから、ちゃんと規則は守ろうね」

 

「公式の場ではそうするさ」

 

「もう……」

 

なのはは少し怒ったのか、少しだけ頰を膨らませる。

 

「…………ん?」

 

「キュク?」

 

その時、近くから微かなスパーク音が聞こえ、フリードも同様に感じ取ったのか声を上げた。 エリオも気付き、鼻をヒクつかせる。

 

「あれ……なんか焦げ臭くないですか?」

 

すると、ティアナがスバルの足元を見て慌てて声を出す。

 

「あ、スバル! あんたのローラー!」

 

「え? あ、うわ……やば~……」

 

ティアナの指摘にスバルは自分の足元を見て、慌てた様子でローラーブーツを外して手に持った。 見るからに寿命なのが見て取れる。 するとそれを見たなのはは、少し悩み顔をした。

 

「オーバーヒートかな。 後でメンテスタッフに見てもらおうか」

 

「はい……」

 

「ティアナのアンカーガンも厳しい?」

 

「そうですね……騙し騙しです……」

 

2人は困った表情でなのはの言葉に頷く。 それを見て、俺はソーマの方を見た。

 

「そういえばソーマ。 今日は何個使い潰したんだ?」

 

「……なんで使い潰した前提で聞くんですか?」

 

「壊してないのか?」

 

「………………一個です。 オーバーヒートは四個……」

 

「ま、成長してはいるな。 ソーマはもう少し剄の扱いを上手くならないとな」

 

ま、ミッドの技術じゃアームドデバイスでもソーマの剄に耐えられる物は作れないからな。

 

「今後、こんな事が続くと予算が無くなってしまうかもしれないな……次壊したらベルカにあるクレイ渓谷の色金鉱床から原料を採って来てもらうかもな?」

 

「そ、そんなあー……」

 

冗談まじりでそう言い、ソーマは目に見えて落ち込む。 その後冗談と言って手を振り、なのははソーマ達を見渡す。

 

「ふふ……皆、戦闘訓練にも慣れて来たし……そろそろ実践用の新デバイスに切り替えかな……?」

 

「新……」

 

「デバイス?」

 

「あ、アレですか」

 

そう独り言を呟くと、何のことかわからないのか、スバル達はポカンとした表情を浮かべて、サーシャには心当たりがあった。

 

「取り敢えず一旦寮でシャワー使って、着替えたらロビーに集まろうか」

 

『はい』

 

なのははそう言って皆を連れて寮に向かって歩き始める。 すると寮の玄関前で、すずかが黒塗りのスポーツカーに乗っているフェイトとはやてと話していた。

 

「あれって……月村隊長とフェイト隊長……それに八神部隊長?」

 

「あ……なのはちゃん達は訓練終わり?」

 

「うん。そうだよ」

 

こちらに気付いたすずかはなのは達に声を掛ける。

 

すると、7人は車に近寄り、特にスバルが驚きの声を上げる。

 

「うわ~凄〜い! これ、フェイト隊長の車だったんですか!?」

 

「そうだよ。 地上での移動手段なんだ」

 

「すずか手製のスポーツカー……ディアドラとも張り合えるくらいの出来前だぞ」

 

「す、凄すぎる……」

 

ソーマ達は物珍しげにフェイトの車を眺め。 ついでに補足を言うとティアナが驚愕で思わず声が出る。 そして、はやては車から少し体を乗り出して皆の様子を見る。

 

「皆、訓練の方はどないや?」

 

はやてに尋ねられると、スバル達は姿勢を伸ばす。

 

「あ~……ははは」

 

「頑張っています」

 

「……みたいだね」

 

すずかは全員の訓練で汚れた姿を見て、満足げに頷く。 すると、フェイトが申し訳なさそうな表情でエリオとキャロを見つめた。

 

「エリオ、キャロ。 ごめんね……私、2人の隊長なのに訓練見てあげられなくて」

 

「あ、いえ。そんな……」

 

「大丈夫です」

 

特に気にしている様子もなく、2人は笑顔で返した。

 

「サーシャちゃんもごめんね。 訓練だけでも大変なのに、私の手伝いもさせちゃって」

 

「いえ、私の方もプログラムをお手伝いできて嬉しいです! 学院の勉強も教えてくれてますし!」

 

落ち込み気味に謝るすずか。 だが、サーシャは本心で嬉しそうに笑う。

 

「俺の方ももう少ししたら参加できるから……ソーマ、ルーテシア、その時はよろしくな」

 

「はいっ!」

 

「はーい」

 

それを見てなのはが全員を見渡し、フェイトとはやてに向き直る。

 

「7人ともいい感じに慣れて来たよ。いつ出動があっても大丈夫」

 

「そうか。 それは頼もしいな」

 

なのはの言葉を聞いて、嬉しそうな声を上げるはやて。ソーマ達も褒められて嬉しいのか笑みを浮かべた。

 

「そう……それなら、今日の昼にアリサちゃんを呼んで来るよ。 ちょうど新デバイスに切り替えるんでしょう?」

 

『え!?』

 

すずかの言った事に、ソーマ達は来てほしくないという感じの複雑な表情を浮かべる。 アリサもスパルタだからな。 今のなのはの教導にアリサが加われば……そして、それに気付いていないなのはは笑顔を浮かべる。

 

「それは丁度いいかも。 これから7人のデバイスを新しいのに切り替えるところだったんだ。 アリサちゃん来てくれるなら訓練も幅が広がるかも」

 

「アリサちゃんからは私が話しておくから、後で会議室にきてね」

 

「了解」

 

午後の訓練の相談場所を決めた。 と、そこでフェイトとはやてがどこに行くのか分からず、聞いてみた。

 

「2人はこの後どこかに行くのか?」

 

「うん、ちょっと6番ポートまで」

 

「教会本部でカリムと会談や。 夕方には戻るよ」

 

「私は、お昼前には戻るから……お昼は皆で一緒に食べようか?」

 

『はい!』

 

ソーマ達は元気よくフェイトとはやてに答えると、それを見てからフェイトが車を発進させる。

 

「ほんならな~」

 

はやては手を振って全員に声を掛けると、スバル達は敬礼し。 ソーマ達も慌てて敬礼して2人を見送る。 そして車が見えなくなるとなのはが声を掛け、スバル達は訓練の汚れと疲れを落としに寮に戻っていく。 向かう途中、なのはが振り返ってきた。

 

「レン君はこの後どうするの?」

 

「そうだな……仕事は午後にアリシアが持ってくるし。 ちょうどいいから俺もなのはと同行させてくれないか? ちょっと刀の調整をしたいからさ」

 

「うん、分かった。 また後でね」

 

一度なのはと別れ、眠気を覚ますため食堂でコーヒーをもらい。 頃合いを見計らってデバイスルームへ向かった。 その途中、階段でエリオが疲れたような顔をして頬杖をついて座っており。 ガリューとソーマが壁に寄りかかっていて、ソーマは暇そうにあくびをしていた。

 

「どうしたんだお前達?」

 

「あ、レンヤさん!」

 

「うん?」

 

「キュクル~」

 

(スッ……)

 

ガリューはいつものように騎士風に挨拶し、エリオは俺がきた事になぜか喜んでいた。 そのエリオの隣にいたフリードが俺のもとへ飛び、一鳴きしながら肩に止まった。動物のフリードを首下を撫でてみると、気持ち良さそうな声を出した。

 

「それでどうした、またトラブルか?」

 

「いえ……女子の皆さんが遅いなぁって」

 

「ああ、そう言う事。 女子の風呂又はシャワー、着替え、買い物は時間がかかるものだ。 それを待つのも男の役目ってものだ」

 

「へえ……」

 

「レンヤさんは、もしかしてなのはさん達と?」

 

「ああ……何度もあった」

 

ここ最近ではヴィヴィオの服選びが一番長かった……

 

「さて、それはいいとして……ソーマ、お前は俺と先にデバイスルームに行くぞ」

 

「え、それはどうして……」

 

「シャーリーにお前の剄量を測るように言われたんだ。 今まで測定する暇はなかったし、測定してそのまま新デバイスに使うんだ」

 

説明すると、ソーマは納得したように頷いた。 フリードを下ろしてソーマとデバイスルームに向かい。 中に入ると、ちょうどシャーリーとアギトがダイトの調整をしていた。

 

「よお、来たか」

 

「シャーリー、アギト、お待たせ」

 

「あ、来ましたねー。 では早速、前置きなしでハイこれ」

 

シャーリーは持っていたダイトをソーマに渡した。

 

「そのダイトに軽〜く継続的に剄を流してね。 いい? 軽〜くだよ?」

 

「は、はい……レストレーション」

 

念を押されて、壊さないでと遠回しに言われたソーマは少し戸惑いながらダイトを復元した。 シャーリーは復元したダイトに配線を繋ぎ、ソーマはダイトを両手に持って剄を流し始めた。 するとダイトは淡い青い光を帯びだした。

 

「ふむふむ……肉体の疲労と剄の出力はそれほど関係ないのかな〜?」

 

「よし、そのまま剄を送り続けてろ」

 

「はい」

 

問題無さそうだな……それを確認し、本来の目的である刀の調整を始めた。 しばらく作業を進めていると、なのは達がデバイスルームに入って来た。

 

「あ、レン君。 もうソーマ君の剄を測ってたんだね?」

 

「ああ、早い方がいいと思ってな」

 

「ありがとうね……それと、ごめんね皆。 後ですぐに来るから先にシャーリーとリィンからデバイスの説明受けててね」

 

なのははそれだけ言うと、一旦その場から離れて別の場所へと向かった。 スバル達は首を傾げるがシャーリーから6人の新デバイスが見せられると目を奪われ、自分たちのデバイスに夢中になる。

 

「うわ……これが」

 

「アタシ達の新デバイス……ですか?」

 

「そうで~す。 設計主任はすずかさんの助言の元あたしが。プログラムはサーシャちゃん。 協力はなのはさんフェイトさんレイジングハートさんそしてリィン曹長」

 

測定中の為手を動かしながら説明するシャーリー。 スバルはネックレス型のデバイス、ティアナはカード型のデバイスを見ると驚きの声が漏れ、それにシャーリーが勢いよく頷く。

 

「え、プログラムはサーシャがやったの!?」

 

「う、うん……プログラムだけは、すずかさんにも太鼓判をもらっているから。 今回、デバイスのプログラミングをお願いされたの」

 

サーシャは照れながら答え、自分の青い六角形のコアがついたブレスレット型のデバイスを見つめる。 それに対し、エリオとキャロとルーテシアは外見が変わらない腕時計とブレスレットの新デバイスに首を傾げる。

 

「ストラーダとケリュケイオンとアスクレピオスは変化なしかな?」

 

「うん。そうなのかな?」

 

「なんか拍子抜けね」

 

……と3人が話をしていると、リィンがエリオの頭に乗っかり否定をする。

 

「違いますよー。同じなのは外見だけです~」

 

そう言うと、リィンとシャーリーはそれぞれのデバイスについて説明を始める。そして最後にリィンが6つのデバイスを周囲に呼び集めると6人を見つめて……

 

「この子達はまだ生まれたばかりですが、色んな人の願いや思いが込められてて、いっっっぱい時間かけてやっと完成したです。 ただの武器や道具だとは思わないで、大切に……だけど、性能の限界まで思いっ切り全開で使ってあげて欲しいです!」

 

「うん……この子達もね、きっとそれを望んでいるから」

 

そう言って、リィンとシャーリーの説明が終わると新デバイスをスバル達に渡す。

 

「っと……測定終わりっと……もう剄を送らなくていいよ」

 

「はい」

 

「あの、ソーマは何をしているのですか?」

 

「ソーマの新デバイスも……見当たりませんが……」

 

ちょうどそこで刀の調整を終え、俺が説明した。

 

「基本的に、ルーフェンの武芸者は戦闘を補助するデバイスは使わないんだ。 自身が磨いて鍛えた剄技で巧みに使って戦う……それが武芸者だ。 だからソーマのダイトは耐久性を上げるだけで現状維持ってわけだ」

 

「今はその剄量の測定をしてんだ。 訓練だけだと正確な数値が出ないからな」

 

「それにしても……ソーマ君の剄量はとてつもないですねー。 レンヤさんの数倍はありますよ」

 

「ええっ!?」

 

「神崎隊長の……数倍!?」

 

さすがに驚いたのか、スバル達は驚愕した顔だソーマを見る。

 

「あはは……多いだけで、まだ一度もレンヤさんに勝ったことはないんだけどね」

 

「けど、その代わりにバリアジャケットはありますけどね。 まあ、それは置いておくとして……やっぱりそうなるとなると、複合して……」

 

デバイスメカニックとしてのスイッチが入ってしまったのか、自分の世界に入ってしまうシャーリー。

 

「そういえば……あのレンヤさん。 このリイン曹長と同サイズのこの子は?」

 

「ん? ああ、そういや自己紹介してなかったな。 あたしはアギト、そこのバッテンチビと同じユニゾンデバイスだ」

 

「むう……アギトちゃん! だからリインはバッテンチビじゃないですよ!」

 

「うっせ、お前はバッテンチビで十分だ」

 

売り言葉に買い言葉、あっという間に見た目が天使と悪魔の喧嘩が始まった。

 

「……また始まった」

 

「あ、あはは……相変わらず仲悪いな〜あの2人」

 

「ルーテシアちゃん、なんで仲が悪いか知っているの?」

 

「うーん、なんて言うか……ソリが合わないんだよね、あの2人」

 

ルーテシアが苦笑交じりでそう言う。 と、そこでデバイスルームの入口が開き、なのはが入って来た。

 

「ゴメン、ゴメン。遅くなっちゃったかな」

 

「なのはさ~ん」

 

「いえ。 ナイスタイミングですよ。 丁度基本的な説明を終えた所ですから」

 

すると、リィンはなのはの近くに寄り添いシャーリーは笑顔で迎えた。

 

「そう……新デバイスはすぐに使える状態なんだよね?」

 

「はい!」

 

なのはの問いに対してリィンが元気よく答える。 そして説明を続け、なのはとリインがデバイスのリミッターについて説明した。

 

「あ、出力リミッターって言うと……なのはさん達にもかかっていますよね?」

 

「う〜ん……私達はデバイスだけじゃなくて本人にもだけどね」

 

『え……?』

 

「能力限定と言ってな。 六課の隊長と副隊長陣は全員かかっている」

 

説明するも、スバル達はあんまり良く分からないでいた。

 

「ほら、部隊ごとに保有できる魔導師ランクの総計規模って決まってるじゃない」

 

「あ! あはは……そうですね」

 

「一つの部隊で沢山の優秀な魔導師を保有したい場合は、そこに上手く収まるよう魔力の出力リミッターをかけるですよー」

 

「まあ……裏技ちゃあ、裏技なんだけどね」

 

「しかもこの六課の魔導師ランクの総計規模の大きさは無理言って、普通の課より大きいんだ。 ランクを下げたところで、俺達全員が一つの課に入られるわけ無いからな」

 

隊長、副隊長陣全員にリミッターをかけてもAAランクはかなりいるからな。

 

「ウチの場合はだと……はやて部隊長とレンヤ隊長が4ランクダウンで。 隊長達は大体2ランクダウンかな?」

 

「4つ……!? 八神部隊長と神崎隊長ってSSランクだから……」

 

「Aランクまで落としているんですか……!?」

 

「はやてちゃんも大変ですぅ……」

 

「レンヤさんは大丈夫なんですか? 八神部隊長と違って前線に出るわけですから……」

 

エリオが心配している目で俺を見上げてくる。 そんなエリオの頭をポンポンと撫でる。

 

「大丈夫、大丈夫。 そこは上手くやりくりしているから、エリオが心配するような事はないよ」

 

「そう、ですか……」

 

「そうだぜ。 レンヤは魔力が使えなくても戦い続けるからな」

 

「……あの、なのはさんは?」

 

隊長達、と言われたからにはもちろんなのはも対象に入っており。 スバルが遠慮がちになのはに聞いた。

 

「私は元々S+だったから……2.5ランクダウンでAA。 だからもうすぐ1人で皆の相手をするのは辛くなってくるかなぁ?」

 

「…………………」

 

続けてリインが落ち込みながらリミッター解除方法を教える。

 

「そんなことが……」

 

「まあ、俺達の話はそんなに気にするな」

 

「そうだよ。 今は皆のデバイスの事」

 

「……はい」

 

「はい!」

 

それを確認したシャーリーが説明を続けようところで……『ALERT』という表示がモニターに表示され隊舎内に警報が鳴り響いていた。

 

「これって……!」

 

「第一級警戒態勢か……」

 

「グリフィス君!」

 

なのはの呼び出しに、レイジングハートが回線を開いて正面ディスプレイにグリフィス君映し出された。

 

『はい。 教会本部から出動要請です!』

 

『応答願います、こちらはやて!』

 

グリフィスが映っている画面の隣のディスプレイにはやてが映った。 その後ろにある背景は……どうやらカリムの執務室から通信を入れているようだ。 その後フェイトやアリサ、すずかも通信に入って来た。

 

『状況は?』

 

『教会騎士団の調査部で追っていたレリックらしきものが見つかった! 場所はエイレム山岳丘陵地区、対象は山岳リニアレールで移動中との事や……』

 

『移動中って……』

 

「まさか……!」

 

犯人はガジェットドローン、場所はエイレム山岳丘陵、襲撃されたのはリニアレール、目的はレリック……これらを元に導き出される答えは……

 

「……あのガジェットドローンが直接リニアレールを運行制御を乗っ取ったんだな?」

 

『その通りや。 リニアレール車両にいるガジェットは最低でも30体。 大型や飛行型の未確認タイプも出ているかもしれへん』

 

『……どうやら、相手も本腰を入れて来たかもね』

 

はやては現状を一通り説明し終え、息を整えた後、厳しい表情で声をかける。

 

『いきなりハードな初出動やけど、レンヤ君、なのはちゃん、フェイトちゃん、行けるか?』

 

『私はいつでも!』

 

「私も!」

 

「任せてくれ」

 

『スバル、ティアナ、ソーマ、サーシャ、ルーテシア、エリオ、キャロ。みんなもオッケーか?』

 

『はい!!』

 

今回の出動はフォワード達にとってデビュー戦。フォワード7人の連携が作戦成功の鍵を握っている。 ソーマ達もはやての自分達に寄せている期待を感じ、力強く返事をする。

 

『よしっ、いいお返事や! シフトはAの3……グリフィス君は隊舎での指揮、リインは現場観戦』

 

『はい!』

 

『すずか隊長はバックアップで出動』

 

『了解しました』

 

『なのは隊長、フェイト隊長は現場指揮。レンヤ隊長とアリサ副隊長は現場補佐をお願い 』

 

『了解したわ』

 

「了解だ、八神部隊長」

 

普段とはまた違う真面目な表情であえて部隊長と自分の事を呼ぶ俺に、はやては少しだけ笑顔になる。 だがそれもすぐ引き締まったモノに戻る。

 

『ほんなら、機動六課フォワード部隊……出動!!』

 

『はいっ!!』

 

『了解!』

 

それが合図となり、前線メンバーは一斉にデバイスルームを飛び出した。

 

 

 


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