魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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14話

 

 

すずかの家のお茶会から数日後ーー

 

「温泉旅行?」

 

温泉旅行に行くことを提案された。

 

「そ!高町家と月村家で行くことになったの!あんたも行くでしょう」

 

「そりゃあ、高町家が行くならついていくけど。なのは」

 

口調を強めて呼ぶ、旅行のこと何も教えられてなかったから。

 

「なっ何かな〜」

 

視線が泳ぎまくり、わっかりやす。

 

「は〜、なのはのことだから、いつものうっかりだろう」

 

「えへへ」

 

「褒めていないと思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車に乗ること数時間。

 

海鳴温泉旅館に着いた、改めて魔法の便利さに感謝した。

 

受付を済ませ、荷物を部屋に置いたが……

 

「何で、3人と部屋が同じなんですか⁉︎」

 

なのは、アリサ、すずかと同じ部屋にされた。

 

「いいじゃないの別に」

 

「レン君とはよく一緒に寝てたよね?」

 

「私も構わないよ」

 

くっ、外堀が埋められていく!

 

そもそも男女比がおかしい!11人と2モコナ中、男が3人と1モコナだけ!

 

恭也兄さんは忍さんと、お父さんとお母さんと一緒で入ることができない!

 

「何もそこまで嫌がることないじゃない」

 

「男女7歳にして同衾せず!ちゃんと教えてもらいました!」

 

「あらそう、レンヤ君?後でラーグ君を貸してね。」

 

なぜかラーグに教えてもらったことがばれてる。

 

「同衾ってなによ?」

 

「………知らない」

 

「そもそもお前は真面目だ、バカな真似はしない」

 

「そうよ、レンヤ君は十分に信用できる」

 

「うう、わかりました……」

 

しぶしぶ納得して、みんなで温泉に入ることなった。

 

「キュウー!キュウー!」

 

「コラ!暴れないの!」

 

女湯に行くのが嫌がるユーノ。

 

「ユーノ、お前…もしかしてオスか?」

 

そう聞くと、ものすごい速さで首を縦に振った。

 

「そうか、ならユーノはこっちで洗っとくよ」

 

「えー、動物何だからいいじゃないの」

 

「ユーノが嫌がっているなら無理に入れることもないだろ」

 

アリサからユーノを取って、ソエルを渡した。

 

ソエル達は水洗い可能で、速乾性があると言っている。

 

「それじゃあまた後でな」

 

温泉に入り、ユーノとラーグは桶にお湯を入れたのに入っている。

 

ラーグがもし綿の体だと思うと……恐ろしい。

 

「ふう〜いい湯だった」

 

思った以上に長風呂してたらしい。

 

部屋に戻る途中、なのはたちが女の人に絡まれているのを見つけた。

 

「みんな!」

 

「「「あ!レン(レンヤ)(君)!」」」

 

女性の前に来て……

 

「みんなが何か失礼なことを…」

 

「え?あっごめんね。ちょっと知り合いに似てたもんだからさ、間違えちゃったよ。悪いね、おチビちゃんたち」

 

ただの酔っ払いなのか?

 

「っ!」

 

なのはがまた変な行動をする。

 

「じゃあ、ごめんね!」

 

女の人は温泉に入っていった。

 

「なんなのあの人!酔っ払ってんじゃないの!」

 

「まあまあ、アリサちゃん」

 

「あまり人を貶すな」

 

その後部屋に戻り、自由行動となった。

 

「………ねえ、今から異界に行かない?………」

 

アリサが唐突に言いだした。

 

「………今から?………」

 

「………確かにあれ以降、確認していないけど………」

 

なのはの方を見る、つられて2人も見る。

 

「………あの女の人に会ってから、様子が変じゃないか?………」

 

「………確かに………」

 

「………なのはちゃん大丈夫かなぁ………」

 

「………とにかく今はそっとして置いて、異界を確認しましょう………」

 

「………どうやってなのはちゃんに言うの?………」

 

「………俺がやろう………」

 

俺はなのはに声をかけた。

 

「なのは」

 

「にゃあ!」

 

「おいおい、いきなりどうした?」

 

「なっなんでもないの!」

 

「そうか、今からアリサたちと卓球しにいくけどなのははどうする?」

 

「私は部屋で休んでいるよ」

 

「そうか、じゃあまた後でな」

 

アリサたちと一緒に部屋を出た。

 

「なのはが卓球するって言ったらどうしたのよ」

 

「今の状態のなのはがするわけないし、実際にやっても負けるのはわかっているだろう」

 

「なのはちゃん、運動神経ないからね」

 

「サラッと酷いこと言うわね」

 

それから前に来た池に着いた。

 

「ん?あれは……」

 

「士郎さんと桃子さんだね」

 

「2人ともいい雰囲気よね」

 

「ヒュー、ラブラブー!」

 

「………しっ!静かにしろソエル今いいとこなんだから………」

 

「お前はなにをやっている」

 

ラーグの顔面を鷲掴みにした。

 

「あら?みんなどうしてここに」

 

「あっばれた」

 

俺たちはお父さんたちの前に来た。

 

「えっと、別に邪魔をするつもりは……」

 

「ふふ、いいのよ。ここは誰のものでもないいんだし」

 

「それでレンヤたちはここには何をしに来たんだい?」

 

ここに来た経緯を話した。

 

「へぇ、ここに異界につながる門があるのね」

 

「はい、一般の人には見えませんけど」

 

「すずか、よろしく頼む」

 

「うん、それじゃあ顕現させるよ」

 

すずかはサーチデヴァイスから揺らぎに向かって電波をだした。

 

ファン、ファン、ファン……スーー

 

現れたのは青い門だった。

 

「フェイズ0、これなら俺1人でもいけるな」

 

「なら私がやるわ、これ以上の異界は何度も行ったんだし」

 

「私だって、負けないよ!」

 

誰が行くのか口論が始まった。

 

「私には何にも見えないわ」

 

「そこに何かあるのかな」

 

お父さんたちにはやはり見えなかった。

 

「埒があかない、ジャンケンで決めよう!」

 

「いいわよ、勝ってやるんだから!」

 

「これだけは譲れないよ!」

 

「「「最初はグー!ジャンケン…ぽん!」」」

 

俺はチョキ、アリサとすずかはグー。

 

「負けた…」

 

「やった!勝ったわ!」

 

「でも、まだあるよ」

 

「いいわよ、2人で行きましょう」

 

「アリサちゃん……うん!」

 

「それ、ジャンケンした意味ある?」

 

「男の子がうじうじしない」

 

「ふふ、それじゃあ行ってきます!」

 

「気をつけてね〜」

 

「油断するなよ」

 

すずかとアリサは門に入っていった。

 

「消えた!」

 

「本当に異界が……」

 

2人はアリサたちが消えたのに驚いた。

 

「危険がないとも限らないから、できればここから離れてくれる?」

 

「ええ、でも歯痒いわね。子どもたちに頼るしかないなんて」

 

「これはボランティアみたいな物だよ」

 

「そうだとしても、気をつけるんだぞ」

 

「ありがとう、お父さん」

 

2人は旅館に戻っていった。

 

「さて、暇になったな」

 

「そこら辺見てまわろうぜ」

 

「前は、ゆっくり見てなっかたからね」

 

辺りを散歩することにした。

 

「うーん、前回は気づかなったけど空気が澄んで気持ちがいいね〜」

 

「ここは都市より緑が多いな」

 

「自然と一緒もいいね〜」

 

奥に進むと川が見えた。

 

「川だ!」

 

手をつけてみると冷たかった。

 

「いいところだな……」

 

大きな石に座って、何気なく周りを見た。

 

ふと視界の端に黄色いのが見えた。

 

「ん?」

 

目を凝らしてみると……

 

「…あれは……フェイト?」

 

木の上にフェイトがいた。

 

「あんな所で何やってんだ」

 

フェイトがいる木の下まで来て。

 

「おーーい、フェイトーーー!」

 

「えっ!れっレンヤ⁉︎」

 

驚いたのかその場に立った。

 

「キャッ!」

 

「フェイト!」

 

落ちる場所まで行き、優しく受け止めた。

 

「全く、危なっかしいな」

 

「ん……ふぇ?」

 

「大丈夫か?」

 

ギュッと目をつぶっていたフェイト、ゆっくりと目を開けた。

 

「レンヤ?」

 

「おう、怪我はないか」

 

「うっうん、……っ!」

 

ようやく自分がお姫様だっこされているのに気がついた。

 

「れっれっレンヤ!」

 

「ん?おっとすまない」

 

ゆっくりと地面に降ろした。

 

「なんでまた木の上になんか」

 

「そっそれは……」

 

「しかもそれ何?」

 

フェイトの持っていた、機械的な杖を見た。

 

「これは…その…」

 

「おもちゃか?」

 

「えっ?」

 

「いや、こんなものおもちゃ以外にあるかなぁって」

 

「うっうん!そうだよ!」

 

「それで、ここで何してたんだ?」

 

「うう………」

 

「…………わかった、聞かないでおくよ」

 

「えっ、いいの?」

 

「言いたくないんだろ」

 

「うっうん……」

 

「ただその前に……」

 

フェイトの頭にチョップした。

 

「痛っ!」

 

「無茶するなって約束しただろ」

 

「……ごめん」

 

「わかっているならいいよ」

 

慰めるようにフェイトの頭を撫でた。

 

「あっ///」

 

「もう無茶するなよ」

 

頭から手を離し、旅館に戻ろうとした。

 

「レンヤ!」

 

「ん?」

 

「どうしてそこまでしてくれるの?」

 

「どうしてって当たり前だろ、友だちなんだから」

 

「っ!////」

 

顔が赤くなった、なんで?

 

「じゃあ行くなフェイト、気いつけて帰れよ」

 

手を振りながら振り返らずに旅館に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友だちなんだから、友だちなんだから。

 

頭で何度も繰り返される、レンヤの言葉。そしてこの胸のドキドキ。

 

そっか、そうだったんだ…やっとわかった、レンヤと話していると楽しくなってきたり、笑う顔をみるとドキッってしたり、次はいつ会えるかワクワクする事もたくさんあった。

 

ようやくわかった…私は、フェイトは……彼を、神崎 蓮也の事が……

 

「ありがとう…レンヤ///」

 

好きになっちゃったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、異界探索を終えたアリサたちが温泉から出てくるのを見て。

 

本当に卓球をして、盛り上がった。

 

寝る前にファリンさんから本のお話を聞いた後眠った。

 

けど俺を真ん中に入れるのはやめて欲しかった。

 

みんなが寝静まった深夜、ふと俺は目が覚めた。

 

「んんっ、まだ夜か。慣れない所で緊張したのかな」

 

隣をみると、布団が一つ空いていた。

 

「なのは?」

 

部屋を出てなのはを探しに行った。

 

旅館をにはいなかったので外に出ると、なのはがどこか暗い顔で歩いていた、とりあえず……

 

「なのは」

 

「ふぇ?」

 

旅館の前にいた俺に驚いていた。

 

「えっと、これはね」

 

どうやって誤魔化そうか、視線を泳がせた。

 

「戻るぞ」

 

「え?」

 

「だから、部屋に戻るぞ」

 

何も聞かない事に驚いたなのは。

 

「ほら、ぼけっとしないで行くぞ」

 

「あの、レン君!」

 

「なんだ?」

 

「いっ一緒に、お風呂に行かない⁉︎」

 

「え゛」

 

いきなり何言ってんの!

 

「その…迷惑じゃなかったら、ダメ?」

 

うっその上目遣いでお願いをするな、断れなくなる!

 

「まあいいか、昔も入ってたし」

 

「ありがとう!レン君!」

 

その後、2人で露天風呂に入った、途中ユーノが部屋に戻ったが……

 

「「ふうぅ」」

 

室内にある温泉とはまた違った楽しみだ。

 

「なにも…聞かないの?」

 

「なのはが言いたいんなら聞く」

 

そして黙り込むなのは。

 

「ここ最近、なのはが何かをやっている事にはみんな気づいていた」

 

「えっ!」

 

「でも聞かない、なんでだと思う?」

 

「………わかんないの」

 

「俺もわからん」

 

「えっ⁉︎」

 

「そう、わからないんだよ話さないからな」

 

「あっ」

 

「いつか、なのはが言ってくれるのを待っているよ」

 

「レン君……うん!ありがとう!」

 

これで少しは楽になるといいけど。

 

 


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