魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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13話

 

 

ユーノがうちに来てからなのはがよく深夜に外に出ることが多くなった。

 

この前、心配で時間をおいてついて行ったら倒れていた。

 

呆れて何も言えなかったが、とりあえず連れて帰った。

 

次の日、俺は暇つぶしに海で釣りをしていた。

 

しかし、ただの釣りではない。

 

釣竿に魔力を流して魚を探して、吊りあげるのだ。

 

もう釣りじゃないが気にしたら負けだ。

 

もう一本の竿には……

 

「ゆ〜れ〜る〜ゆ〜れ〜る〜、風船のようなわーたーし〜、風よ〜ふけふけ〜もっと吹け〜」

 

ソエルを吊るしていた、特に意味はない。

 

しばらくして、クーラーボックス一杯に魚を入れた。

 

「うんうん、これだけあればお母さんも喜んでくれるだろ」

 

ソエルを吊るしている竿以外を片ずけて、家に帰ろうとしたら…!

 

「待ってください」

 

金髪で髪型がツインテールで赤い瞳をした同い年くらいの女の子が立っていた。

 

「ええっと、俺?」

 

辺りを見渡すして俺以外にも誰かいないかと確認したが、俺しかいなかった。

 

「はい」

 

「それで何の用?初対面のはずだけど」

 

「あなたの持っている、ジュエルシードを渡してください」

 

「ジュエル…シード?」

 

「とぼけないでください、その箱に入っているのはわかっています」

 

そう言ってクーラーボックスを指す。

 

クーラーボックスを開けると、もちろん魚しかいない。

 

「そんなもの入っていないけど」

 

女の子に中身が見えるようにする。

 

「そんな……絶対にあります!」

 

「そんな事、言われたって……そうだ!どんな物なの?」

 

「えっ?」

 

「だから、そのジュエルシードって言うのはどんな形をしているの?」

 

「あっえっとひし形で石ころぐらいの大きさです」

 

そう聞き、魚を1匹ずつ調べると一体、石を飲み込んでいるのを見つけた。

 

吐き出させると、言われた通りの石があった。

 

「ほらあったぞ、魚が飲み込んでいたみたいだ」

 

「あっありがとうございます……」

 

「いいってことよ!しかしよく気がついたな、その石なんなの?」

 

「ええっとこれは…」

 

ぐううううう

 

「はうっ」

 

「えっと、お腹空いてるの?」

 

「ちっ違いま……」

 

ぐうううううううう!

 

「はうううぅ」

 

さっきより大きい音。

 

「ぷっあははははは!」

 

「わっ笑わないでください!」

 

「いやーごめんごめん、お腹が空いているなら何か食べるか?」

 

「いやでも……」

 

ぐううううううううう!

 

「お腹は正直のようだね」

 

「ううっ」

 

近くでドーナツを買って渡した。

 

「これは?」

 

「ドーナツだ、食べてみなおいしいぞ」

 

そう言い、ドーナツを食べた。おいしい。

 

女の子も俺が食べるのを見てから、食べた。

 

「!、おいしい!」

 

「そうだろ、まだあるから食べていいぞ」

 

それから無我夢中でドーナツを食べてあっと言う間に無くなってしまった。

 

「ふう……」

 

「おいしいかった?」

 

「はい!すごく……」

 

自分がしてしまった事に気が付き

 

「ごっごめんなさい!私……」

 

「いいよ、俺が勝手にした事だし」

 

「でも……」

 

結構、根は優しいんだな。

 

「はは、君は可愛いんだからもっと自信を持て」

 

「ふぅえ⁉︎かっ可愛い///」

 

女の子は顔を赤くした、白い肌だからピンク色って感じだ。

 

「それじゃあ帰るよ、またな」

 

「あっあの!」

 

「ん?」

 

「えっと…その…」

 

もじもじしながら、しきりにこちらを見る。素直に可愛いと思った。

 

「たっ助けてくれてありがとう!えっと…」

 

そう言えば名前、教えてなかったな。

 

「どういたしまして、ちなみに俺の名前は神崎 蓮也だよろしく」

 

「あっ私!フェイト、フェイト・テスタロッサ!」

 

「よろしくなフェイト」

 

「うん!こちらこそレンヤ」

 

「あとそれと……」

 

フェイトの頭を撫でて……

 

「見るからに俺と同じで無茶しそうだからな、無茶するなよ」

 

「うっうん…ありがとう、レンヤ…」

 

「じゃあ、そろそろ行くよ」

 

「あ………」

 

頭から手を離すと寂しそうにこちらを見てきた。

 

「フェイト!」

 

「っ!」

 

「またな!」

 

「…うん!またね!」

 

またいつかフェイトとは会える気がする、それから家に帰ってみんなに魚をご馳走した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後ーー

 

サッカーグランドで俺はサッカーをしていた。

 

今日はお父さんが趣味でコーチをしている翠屋JFCの試合があり俺となのはとユーノ、アリサとすずかで見にきていたのだが、どうやらお父さんのチームの1人が風邪を引いてしまったらしい。そこでお父さんに頼まれて、急遽俺が代役を務める事になった。

 

「レン君、頑張ってね!」

 

「負けたら承知しないわよ!レンヤ!」

 

「ファイトだよ!レンヤ君!」

 

「あははは………」

 

乾いた笑い声しか出ないです、はい。

 

「レンヤ、早速だが最初から出てくてるか?」

 

「うん、わかったよ」

 

しかし、見た目女の俺が入ると、かなり浮くな。

 

それからすぐに試合が始まった。

 

とにかく出しゃばらず、パスに専念した。

 

「レンヤ!」

 

「えっ!」

 

ゴール前で立っていたら、ボールがきた。

 

ノーマークで絶好のシュートチャンス、打たなきゃ怪しまれる!

 

適当に蹴ってみたら、ポストに当たってゴールしてしまった。

 

チームのみんなに喜ばれたり、褒められたりした。ちょっと照れくさい。

 

その後も試合が続き、3対0で勝った。

 

「かっこよかったよ!レン君!」

 

「まあ、上出来よ」

 

「お疲れ様、レンヤ君」

 

チームの勝利を祝って、翠屋で祝勝会をしています。

 

ユーノがいるので外でお茶を飲んでます。

 

「それにしても、改めて見るとなんかこの子、フェレットにしてはちょっと違わない?」

 

「そう言えばそうかな、動物病院の院長先生も変わった子だねって言ってたし」

 

「妙に賢いしな、フェレットっていうよりもっと別の動物って感じ」

 

「ああえーと、まあちょっと変わったフェレットって事で、ほらユーノ君お手」

 

いやするわけ……

 

「キュッ!」

 

できるんかい!

 

「わあああ!」

 

「うわぁ可愛い」

 

「賢すぎだろ」

 

ユーノは2人に撫でられ、困った顔をしている。感情もわかりやす。

 

アリサに捕まり暴れているユーノ。

 

「っ!」

 

なのはは何かに気がついた。

 

「どうかしたか?なのは」

 

「うっううん、なんでもないよ、気のせいだったから」

 

「そう」

 

チームの祝勝会が終わり、解散となった。

 

「さてじゃあ、私たちも解散?」

 

「うん、そうだね」

 

「そうか、今日は2人とも午後から用があるんだよな」

 

「うん、お姉ちゃんとお出かけ」

 

「パパとお買い物!」

 

「いいね、月曜日にお話し聞かせてね」

 

「忍さんによろしく言っといて」

 

「おっみんなも解散か?」

 

「あっお父さん」

 

「今日はお誘い頂きましてありがとございました」

 

「試合、カッコ良かったです」

 

「あはは、すずかちゃんもアリサちゃんもありがとな応援してくれて。帰るなら送って行こうか?」

 

「いいえ、迎えに来てもらいますので」

 

「同じくです〜」

 

「そっか、なのはとレンヤはどうするんだ?」

 

「ん〜おうちの帰ってノンビリする」

 

「このまま、翠屋を手伝うよ」

 

「そうか、父さんもうちに帰って一風呂浴びて、またお仕事再開だ。なのは、一緒に帰るか?」

 

「うん!」

 

それからアリサとすずかは出掛けに行って、父さんとなのはは家に帰った。

 

同日、近くで何かの事件があったらしい。

 

なのはの顔もいつもと違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は以前アリサたちに誘われたお茶会の日。

 

恭也兄さんと一緒にすずかの家に出発した、すずかの家まではバスで向かった。

 

いつもすずかの家には迎えの車で行くか、飛んでいくかのどちらかだったので。結構新鮮な体験である。

 

すずかの家に着いた、相変わらずの大きさで何よりだ。

 

インターホンを押して、少し待ってからノエルさんが出てきた。

 

「恭也様、なのは様、レンヤ様、いらっしゃいませ」

 

「ああ、お招き預かったよ」

 

「こんにちは!」

 

「こんにちは、ノエルさん」

 

「はい、こんにちは。それでは中へどうぞ」

 

ノエルさんに案内されて、お茶会の場所に着いた。

 

そこにはすでにアリサとすずか、忍さんとファリンさんがいた。

 

「あ!なのはちゃん、恭也さん、レンヤ君!」

 

「2人とも、いらっしゃい」

 

それからお茶会が始まった。

 

「お茶を出します……何にしますか?」

 

「俺はお任せで、なのはは?」

 

「私もお任せで」

 

「俺もそれで構わない」

 

「かしこまりました、ファリン!」

 

「了解です、お姉様!」

 

忍さんは恭也さんと腕を組み。

 

「私たちは別の部屋に行くわ」

 

「はい、後ほどお持ちします」

 

ノエルさんたちは部屋を出て行き、俺となのはは空いている席に座った。

 

「それにしても、恭也さんと忍さんは相変わらずラブラブだね!」

 

「結婚式はいつなんだろうな」

 

年齢的にはできるはずだが。

 

「そう言えば、今日は誘ってくれてありがとうな、すずか、アリサ」

 

「しゃべり相手が増えてこっちも嬉しいわ!」

 

「どういたしましたて、レンヤ君」

 

その後も会話が続き……

 

「キュウーーーーーー‼︎」

 

「ニャーーーー!」

 

「あ!ユーノ君!」

 

「ダメだよ、アイ!」

 

いつか襲われると思ったが……

 

「お待たせしました、お茶とケーキでーす!…ってきゃあ!」

 

ファリンさんの下をユーノと猫が動き回り、ファリンさんは目を回した。このままじゃあ倒れる!

 

「なのは!すずか!」

 

「「うん!」」

 

俺は何とかお茶が乗るお盆をキャッチし、なのはとすずかはファリンさんを支えてくれた。

 

「はっ、なのはちゃん!すずかちゃん!レンヤ君!ごめんなさーーーーい‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはその後、外でお茶をすることにした。

 

「相変わらず猫が多いな、一体どこから拾ってきてるんだよ?よくダンボールと猫がセットになっているところをエンカウントしてるよなぁ」

 

「あはは…でも里親が見つかっている子もいるからね。お別れをしなくちゃいけない子もいるんだ」

 

「それは……寂しいね」

 

「でも、この子たちがどんどん大きくなってくるのは嬉しいかな?」

 

すずかは本当に優しいな、この猫たちもすずかに育てられて嬉しいだろうな。

 

「っ!」

 

なのはが何かに気がついた、最近本当によく見る行動だ。

 

「ユーノ君⁉︎」

 

ユーノがどこかに走り出してしまった。

 

「私追いかけて来る!」

 

「手伝おうか?」

 

「ううん、大丈夫。行ってくるね!」

 

なのははユーノ追いかけた、その後俺は2人に向き合い。

 

「アリサ、すずか、ここ最近のなのは、どう思う?」

 

「いつもより疲れているわね」

 

「うん、ユーノ君が来てからみたいだけど……」

 

「お前たちは何か知らないのか?」

 

「私も知らないよ!」

 

「特に何も感じない、問題ないだろう」

 

「……そうか」

 

どことなく嘘を言っている。

 

「こっちも隠し事をしている身、なのはをあまり責められないけど…」

 

「でも心配だね」

 

「しかたないわ、それよりも異界の方はどうなっているのよ?」

 

「ここ1ヶ月、変化なし。異界化の予兆すらない」

 

「現存する異界も変化なし。このまま観察を続けるよ」

 

「最近異界化が少ないわね」

 

「いいことだと思うけど、何かの前触れみたい……」

 

「考えてもしかたない、各自気をつけてくれ」

 

「わかったわ」

 

「うん」

 

その後、ユーノだけが戻ってきた。

「ユーノ、なのははどうした?」

 

「キュー!キュー!」

 

袖を引っ張りどこかに連れていこうとしてた。

 

「なのはに何かあったんじゃ……」

 

「行ってみよう!」

 

ユーノについていくと、なのはが倒れていた。

 

「「「なのは!」」」

 

すぐに近寄り、外傷がないか確認する。

 

「すずか、忍さんたちを呼んできてくれ」

 

「わっわかったよ!」

 

その後、恭也兄さんに連れてってもらった。

 

夕方になのはは目を覚ました。

 

「「なのは!」」

 

「大丈夫か?」

 

「みんな…ここは?」

 

「私の家だよ、驚いたんだから!いきなり倒れていて」

 

「一体何があった」

 

「……転んだだけだよ」

 

「……そうか」

 

「とりあえず今は安静にしていて、後で車で送るわ」

 

「ありがとうございます、忍さん」

 

俺はなのはが嘘をついているのがわかった。

 

アリサもすずかも気づいたようだ。

 

友だちなのに家族なのに、見ていることしかできないのはつらい。

 

でも、そうする他なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんどん物語は進んでいる」

 

「動き出した歯車は止まることはない、そしてもう1つの歯車も回り始める」

 

「2つ、3つと増えていく」

 

「道は一つ、でも…いや。せんなきことか…」

 

 

 

 


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