ブルマの日々   作:GGアライグマ

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社会貢献

 生き残った孤児、43人。そのほとんどが学無し、金無し、障害あり。

 俺ならば一生養ってやれないことはないが、そういうやり方は嫌いだ。

 あくまで自立を目指させる。その間、少しだけ手助けはしてあげる。だが見返りは要求するぞ。あんまり甘やかしたらつけ上がるからな。

 

 簡単な検査の後、全員を西の都の医療施設に移した。カプセルコーポレーション傘下の病院であり、俺はある程度命令できる立場にあった。ドクター・ゲロは彼等に様々な薬を処方し、また人体の様々な箇所を機械化していた。俺はどうせだからその実験の続きのような感じでデータを取った。治すにしてもこういうデータも必要なのである。

 一ヶ月で3人が死に、もう一ヶ月で2人死んだ。しかし残り38人は回復していった。

 

 ある日俺は彼等を広間に集めた。

 

「お前達の治療費、及び生活費、合計4億ゼニー。すべて私が払った。どういうことか分かるか?」

 

 俺はラズリを睨む。ラズリは気まずそうに下を向いた。かわいい。

 

「私がいくら寛大と言っても、無能にタダで金をやるようなお人よしではない。お前達にはしっかり勉強してもらい、また体を鍛え、私の役に立つ大人になってもらう。これは3年間私に従うという契約書だ。サインしろ」

 

 俺は一人ずつ契約書を渡していく。

 

「けっ」

 

 契約書を捨てたガキがいた。

 

「うらあっ!」

「ぎゃあああああ!」

 

 ぶん殴るふりをして突き飛ばした。ガキは壁に叩きつけられ、倒れこんだ。加減したとは言えまた入院期間が延びちゃったかもしれない。

 

「この世の中持ちつ持たれつだ! 他人に寄生ようなやつは禄な大人にならない! それでも私に従わないというなら、今すぐあの実験場に送り返してやるから手を挙げろ!」

 

 ガキ達はビビッてサインした。今はこれでいい。

 被害者意識が高まり過ぎると、世の中全てに復讐とか奪ったもん勝ちとか酷い思考になるからな。苦しい思いをしたからこそ助け合って生きる、という方向に誘導しなくてはならない。

 

「さて、お前達には砂漠の緑化事業に取り組んでもらう」

 

 俺が目指すのはナムの居住区周辺の砂漠の緑化だ。あの貧しい地域の緑化は、ガキ共に助け合いの大切さを教えるのにぴったりだろう。成功したら達成感もあるだろうしな。

 それに、あそこは年々砂漠化が進行しているから、そろそろ止めないとやばい。世界一のお金持ちであるカプセルコーポレーションには社会貢献をする義務もあるだろう。うちの技術力も緑化に生かせるだろうしな。それで社の評判が上がってさらにお金持ちになるかもしれないがな。

 

 

 ナムにも多少興味がある。サイヤ人候補として。

 

 今後の戦いについて、様々な状況を総合して計算してみている。

 べジータ、トランクスがいないため未来からセルが来たら危ない。悟空、悟飯が伸びづらい。魔人ブウは復活しなさそう。ビルスが来たらかなり危ないが、魔人ブウがパーティにいなければ地球を破壊とか言わない気もする。ゴールデンフリーザは危ないが、ドラゴンボールを隔離していれば大丈夫。が、その後に悟空ブラックとか来るみたいだから、やはり危ない。

 早めにべジータ並みのライバルを、またスーパーサイヤ人ゴッドのためにサイヤ人6人を用意しておく必要がある。

 

 方法はいくつかある。

 1.結婚しないまでも、べジータ、ナッパ、ラディッツを説得しZ戦士に加える。

 2.悟空とチチに頑張ってもらい子供をたくさん生んでもらう。

 3.シェンロンに頼んで地球人をサイヤ人に変える。

 4.人造人間の技術で地球人にサイヤ人の肉体を移植する。

 

 今のところ、3と4に魅力を感じる。しかし4の場合、移植した力でスーパーサイヤ人ゴッドが生まれるかどうか微妙だ。確実性を求めるなら3。

 3と4のいずれかを行う場合、サイヤ人へ肉体を変更する戦士を選別する必要がある。

 俺自身は若さと力に興味があるからサイヤ人になろうかなと思う。残り最低でも3人。絶対に信頼できてそこそこの強さを持つ人。天津飯やクリリンは武道家でズルとか嫌いそうだから除外。

 

 ならば、ナム、ラピス、ラズリ、ランチ。

 

 この辺りかなと思う。ラピス、ラズリ、ランチは不良だが、まあ教育次第でなんとかなるだろう。特にラピスとラズリは超パワーを持っても暴れなかったという実績がある。ナムは明らかに真面目一辺倒な男だろう。緑化が成功すれば、俺に頭が上がらなくなるかもしれない。

 ランチは頑張って教育する。たぶん今頃どこかの刑務所にいると思うから金で釈放する。

 

 

 その後、現地に何度か足を運んだ。地元民に計画の説明をしたり、雨の期間を聞いたり、土地の測量を行ったりした。ナム含めて計画に協力したいと申し出る地元民が大勢いた。

 そして一ヵ月後、緑化事業が始まる。俺、孤児38人、ユーフェミア、カプセルコーポレーションのインフラ担当、各地ボランティア、現地人協力者大勢、という構成だった。

 資材はホイポイカプセルで運べるので、インフラがなくとも設備は整っていた。ただ、あまりハイテクな機器は整備や修理ができず、俺が計画を離れた後に都の人間に足元を見られることになってしまうかもしれない。ということを考えて、できるだけローテクで事業を進めた。

 

 足の使えない子は苗を植えて石を割って、手の使えない子は資材を運んで、と役割分担をさせた。何かが足りなくても人の役に立てる。仕事ができる。お金がもらえてご飯が食べられる。足を引っ張ってしまうこともあるだろうが、気付いた人が助けにくる。次は自分が助ける。そういうことを学んでもらいたかった。

 

 また、暇な時間を見つけて軽く武術の指導をした。

 ラズリのセンスは飛びぬけていた。単に人造人間になったのではなくドクター・ゲロが優秀な固体を選び、それがラピスラズリの双子だったのだろう。

 ナムとも何度か模擬戦を行った。特殊スーツありなら勝てるが、無しなら互角か俺の方が少し弱かった。ナムが勝つたびにガキ共は喜んだ。俺はいつも偉ぶっていて、ナムはいつも優しいからな。こんなもんだろう。

 

 

 緑化事業の最中、部下からランチのいる刑務所を見つけたとの報告が入った。早速そこの守衛に賄賂を渡し、ランチを脱獄させた。

 

「誰だてめえ? なんのつもりだ?」

 

 邂逅一番、金髪ランチは訝しげだった。当然である。

 

「私はカプセルコーポレーションの社長令嬢のブルマ。ちょっと気になることがあってね」

「カプセルコーポレーション? なんでそんなところが」

「後で話すわ。とりあえず黙ってついてきてちょうだい」

「はあ? なんで俺がお前に従わなきゃならねえんだ」

「これ、強制だから」

「ぐっ。何しやがる!」

 

 俺はランチを押し倒し、縄で縛った。そしてジェットフライヤーに乗せ、緑化事業の地へ運んだ。

 しかし、彼女の教育は骨が折れそうだな。放任と説教のバランスが難しい。


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