今回は事前に言っておくとVTシステムや臨海学校はオリジナル要素がほぼないのでカットです。その点を踏まえて読んでください。
では…
臨海学校にプレゼントを届けに行った束がラボに帰ってきたがどこか表情は暗い。サプライズに失敗したのだろうか?六月を潰し、俺を巻き込み、あれだけ準備をしたのだから当然か……。
面倒ではあるが、立て直しを図ろう。このままだと息苦しい雰囲気のまま夕食に突入する……それはごめんだ。
「束……失敗することあるだろう、拒絶されることもあるかもしれん…だがそこで挫けては姉としては情けない。ここでもう一度立ち上がり、次の
「何を勘違いしてるのかは分からないけど、取りあえず慰めようとしてるのは伝わったよ。ありがとう」
違ったのか。他人の言うことなど気にも留めない束がここまで深刻そうな顔をするとは…いったい何があったんだ?
基本的に気の抜けた顔をしている事が多い束の表情が真剣な顔つきに変わった。これはただ事じゃ無さそうだ。
「やっくん……いや、更識刃として君に依頼したい」
「依頼……か。お願いじゃなくてか?」
「うん。これは友人としてじゃなくてプロとしてお願いするよ。失敗も一切の妥協も許さない」
「そうか……依頼内容は何だ。流石に二つ返事で請け負うには情報が少なすぎる」
息を飲んで問いに対する答えを待つ。重い口を開いて束はその内容を口にする。
「―――現存するISコアの回収だよ」
☆
最後にみんなの力を借りて止めを刺すときに確かに聞こえた女性の声。
『助けて助けて助けて……!!!』
それが今になっても頭にこびりついて離れない。そしてエネルギーを削りきる直前『
辺り一帯を消し飛ばし、中心部にはISの絶対防御で何とか助かった俺だけで白式の装甲は赤黒い何かで汚れていて搭乗していたはずの女性の姿はどこにも無く俺はそこで意識を絶った。
……彼女がどうなったかは想像には難しくは無い。
「くそ……」
ダン! と畳に拳を叩きつける。今日一日酷使した肉体に痛みが走った。
俺は確かに止めた。『銀の福音』の暴走を、けど……俺の取った行動は正しかったのかその自問自答が頭の中で渦巻いている。
襖が開かれてそこに立っていたのはポニーテイルの幼馴染。布団から体を起こしている俺を見て少し驚いていたようだったがすぐにいつもの表情に戻る。
「起きたのか一夏……良かった」
「ああ、心配かけた――悪い」
「全くだ。こっちは気が気では無かったぞ。みんな心配してたんだ。ラウラなんて泣き出す始末だ」
VTシステムの一件以降態度が軟化したとは言ってもクールな印象が強いラウラがそこまで動揺するとは思わなかった。
「――――なあ、箒。俺は……間違っていたかな…止めを刺さずにエネルギー切れまで待てばあの人は……」
「私には分からない」
すぐに箒はそう首を横に振って否定した。
「でも、一夏が来なかったら被害はあれでは済まなかったかもしれない。もし住居のある場所だったら……考えたくないな……。――――それに安心した」
「安心?」
「ああ……一夏が来てくれて折れかけていた気持ちが楽になった。すごく助かった、ありがとう」
箒は微笑んで俺にそう礼を言った。さっきまで自分の行動に疑いしかなかったけれど、少し心が軽くなった気がした。
「ありがとう箒。みんなも心配してるんだろ? どこにいるんだ?」
布団から立ち、抜け出す。西日が差し込んで眩しい。
「お、おい一夏! お前はもう少し安静にしていろ! みんなは私が連れてくる、そこで待て!」
そう言って箒はドタバタと騒がしく廊下に出て行った。
☆
「うん……銀の福音の暴走はISネットワークから無人での稼働方法と、VTシステムのパイロットの意思を奪って稼働する方法を得たことによるコアの意思の反逆だったわけだよ」
結論を束はそうまとめた。理論はさっぱり分からないが取りあえずかなり危険な状態だと分かった。だが俺に頼らず止める方法はいくつかあったはずだ。思いつく限り聞いてみよう。
「遠隔からの動作停止は出来なかったのか?」
「無理だね、私ですらコアネットワークに侵入できなかった。他の人でも結果は同じだろうね。他にもいろいろ試したけど全滅だよ」
そりゃそうか……完全に手詰まりだったから俺に助けを求めたはずだ。天災の手にも余るとはな……状況は理解できた。
「だから直接コアを回収して初期化並びにネットワーク機能を削除、それを事前に防ごうってわけか」
「そういうこと。気まぐれで意思を奪って人間に牙を剥くなんて危険すぎる。下手したら人間vsISの第三次世界大戦が勃発しかねないし……だから一刻も早く対応しないと」
いつ爆発が起こるか分からない不発弾を相手にしているようなものだからな…対応は早いほどいい。最短で回収できる手段で行わなければならない。
「わかった依頼を受けよう、更識刃としてその仕事を成し遂げて見せる」
刀奈や簪もISに乗っている……急がなければ。
「ありがとう頼んだよ。じゃあ策を出していくからやっくん批評よろしく~!」
世界を舞台にシスコン達の戦いが始まる。
残り465機……
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