俺の妹分が世界一可愛いと思うのは間違っていない 作:EXEC
本当に嬉しいです。この場を借りて読んでいただいた皆さんに精一杯の感謝を。
さて今回は初戦闘が入ります。
ところで、ダンまち読んだことない人のために用語解説とか、前書きに入れたほうがいいでしょうか?必要そうならいれます。
用語解説
発展スキル
ランクアップのとき得られるスキル。いくつかの選択肢から得られる。例えば狩人ならば一度倒したモンスターから得られる経験値が上昇する。生産系に必要とされる特殊能力は基本的にここに分類される。例として鍛冶など。
「ファッ!?」
思わず変な声を上げてしまった。
だがそれも仕方ないだろうとロキは思う。
ステイタスを更新しようと思ったら、何故か更新されていた。
何を言っているのか分からないがーーーである。
今度はステイタスを全て読み取る。恐らくその秘密はスキルに隠されているのだろう。
ジン・シックス
Lv.1
力 :Ex 5541
耐久:Ex 3492
器用:Ex 8637
敏捷:Ex 6250
魔力:Ex 2329
適化:-
修羅:E
明鏡止水:F
瞑想:G
剣士:G
《魔法》
【 】
《スキル》
【
・強敵との戦闘にてステイタス上昇および取得経験増加
・記憶が戻るまたは焦燥が無くなるまで継続
・焦燥の強さにより効果向上
【
・早熟する
・家族がいる限り効果持続
・思い出が増えるほど効果向上
・共鳴効果/過剰投与:家族を守る戦いにおいてアビリティを大きく消費して一時的にランクアップ
【
・このスキルはステータス更新に関係なく発現する
・発展スキル適化を習得する
・為した行動によって発展スキルを習得、強化する
・共鳴効果/妹魂:家族を守る戦いにおいてアビリティを大きく消費して一時的にランクアップ
「……」
絶句した。スキルは間違いなくレアスキルだろう。
だがそれでも、頭を振ってなんとか意識を取り戻した。
(喪失済)と書かれた記憶焦燥は文字が暗転しているが、何故か消えていない。
これらのスキルの成り立ちについて、頭をめぐらせていく。
記憶焦燥はわかりやすい。記憶喪失のときの強い不安や焦りがこのスキルを発現させたのだろう。
そして、妹魂。これもまぁわかる。一度アイズを
だが、過剰投与。これは何が原因で発現したのか。
推測だが―――
(長期間ステイタス更新がされなかった結果、スキルによって増大した経験値が限界を超えて溜め込まれた。)
(そして一種の救済措置として経験値を消費してこのスキルを発現させたんやろ。恩恵には分かっていないことも多いしな)
そう、恩恵には分かっていないところも多い。
最初に刻んだ時ならともかく、その後の成長は誰にも予想できない。
どこが限界なのか、どこまでいけるのか、その多くは謎に包まれている。
だが、それも当然だろう。恩恵とは、子供達の可能性そのものだ。どれほど時間をかけたところで解明はできない。
共鳴効果も知られていないことの一つなのだろう。そもそも、スキルを複数発現する方が珍しい。
その中で更に相性がいいスキルが発現する可能性はごく低い。
或いは今まで発現した眷属とその神が沈黙を保っているのか。
(ありそうやなぁ…)
発展スキルの方だが…。
謎が多い。恐らく今まで誰も発現させたことがないようなものばかりである。剣士の文字の平凡さに救われる。
適化だが、これはステイタスを更新するスキルだろう。レベルが上昇していないのを見るに、そこまではできないらしい。
他の新スキルらしき三つは想像するしかない。
恐らく魔法を習得していない以上上がるはずのない魔力を上げているのもこの中にあるのではないか。
(怪しいのは瞑想やな。明鏡止水もあるかもしれへん)
そして、最後に器の昇華、つまりランクアップが可能になっている。
(これは決定やな。)
すなわち、ジン・シックスのロキファミリアへの加入。
「終わったでー、アイズたーん」
「……どうだった?」
部屋の外で待っていたリヴェリアが問う。
アイズは大きな期待と少しの不安を混ぜた視線をロキに送っている。
「うん、ジンはうちのファミリアに入れるわ。
さっきランクアップしてレベル2になったしな」
「ほう、レベル2か。
まぁ何年もステイタスを放置し続ければ順当かもしれんな」
ロキの言葉を聞くとアイズはすぐにロキの横を通り抜けて部屋の中に入る。
そして、服を着終わってベッドに腰掛けるジンに近づくと、少しだけ手を虚空に彷徨わせて
「おめでとう、ジン」
そう言って、祝福すると共にジンの頭をぎこちなく撫でた。
―――――――――
「ジン、ちょっとアイズたんと模擬戦やってや。レベル上がって調子を見るのにやった方がええやろ」
ステータス更新が終わった後。
そんなロキの一言から俺とアイズは中庭で互いに木剣を持って対峙していた。
それよりもまず、ファミリアに入るのが決まったなら顔合わせとか色々あるのではないかと言ったのだが、今日は遠征で得たドロップなどの交渉のために忙しい者が多いため、夕方の遠征の打ち上げで紹介するらしい。ついでに俺の歓迎会とランクアップ祝いも兼ねるらしい。
そういうわけで暇になった俺はロキに言われるまま、模擬戦をやることになったのだ。現在観客はロキだけだ。リヴェリアは忙しいらしく、慌ただしく準備をして出て行った。
木剣を正眼で構える。アイズは構えない。当然と言えば、当然だ。レベル2とレベル6の間にはそれだけの差がある。
―――だが。舐めないでもらおう、レベル1でアビリティ0の状態で何年も格上とばかり戦い続けた、この身を。
ダンジョンの外のモンスターは弱体化するが、それでも最下級のモンスターでさえ普通の成人男性くらいの戦闘能力がある。いわば、身体のスペックは基本的に敵の方が上か同格。更にこちらは護衛として一人で集団を相手にしてきたのだ。常に格上相手の戦闘を技術や戦術のみで乗り越えてきた。それは伊達ではない。
一瞬、気配をブレさせて切っ先を揺らしながら、接近するかのように体を揺らす。
そして、刹那の間を置いて
アイズの気配が僅かに乱れ動揺が伝わってくる。恐らく、アイズからは見えていたのに反応できなかったのだろう。
だが、これで通るならそもそも苦労はしない。所詮高位の冒険者からすれば小細工に過ぎないのだから。
レベルの上昇は純粋な筋力などだけではなく、戦闘中の体感時間や反応速度をも跳ね上げる。
故に、俺の剣がアイズに止められるのは必然だった。
だが、これで良い。少なくとも動揺はしたし、一瞬とはいえ主導権を奪った。
レベル差のある冒険者相手に主導権を握られるのはとてつもなく自らを不利な状況へと押しやる。
速さも力も耐久力も向こうが高いために戦術がカウンターしか取れなくなるのだ。そのカウンターも最初に相手の戦闘能力を奪えなければ、2度目からは警戒される。そうなると一方的に敗北してもおかしくない。
噛み合った木剣を外しながら、視線でフェイントを入れつつ左手を木剣の握りから外す。そして、右手一本で握った木剣を霞構え―――突きのために顔の横に引きしぼる形に持っていく。
対するアイズはこちらを袈裟斬りにするために木剣を斜めに振り上げる体勢になりつつある。恐らく俺の突きよりも自分の袈裟斬りの方が早いと踏んだのだろう。それは正しい。
―――このままならば。
再び起こりを消してゼロ距離へと踏み込む。不自然な体勢故に完全に消すことはできなかったが、アイズは反応できなかったようだ。体が触れる合うほどの距離となり、至近距離で目が合う。女性らしいアイズの匂いが微かに鼻をくすぐる。アイズの瞳の中に先ほどとは明らかに種類の違う動揺が僅かに見て取れた。
そのまま振り上げられたままの木剣を握るアイズの手を、先ほど視線でフェイントを入れた結果ノーマークとなった開いた左手で抑える。そして上半身のばねを用いて右手一本で引き絞られた木剣を全力で刺突へと持って行った。
―――――――――
残念ながら先ほどの模擬戦は敗北した。アイズの手を抑えるための左手を振り払われ、渾身の突きも、形振り構わず地面に転がりながら回避されそのまま距離を取られたのだ。残念ながら左手一本ではレベル差のあるアイズに本気を出されれば抑えることはできなかった。
後は完全に警戒されて、防戦一方となりジリ貧になってしまい、最終的に俺の体力が尽きて、ロキからストップがかかったのだ。アイズは引き分けだと言ったが俺からすれば完全に敗北だ。
俺が先ほどの戦いを、"戦士として引き分けと認めることはできない"と言うと、アイズは渋ったがロキが、"男の子がこう言っとるんやから、認めたれ。男の意地やからどうせ撤回はせーへん"と言うと最終的に納得した。
俺はと言うと、悔しくはあったものの、最上位と言って良い冒険者の強さがある程度見て取れたため、それなりに満足だった。今は難しいが、届かないほどではない。恐らく、彼らと戦える領域に至るまでそれほど時間はかからない、そう確信を得た。
そのままアイズが貸してくれたタオルで汗を拭きながら座り込もうとする俺を、ロキが呼び止めた。ステータスの更新をするらしい。
そんなに頻繁にするものなのかと思ったが、ロキ曰く、今の戦いにビビッと来たらしい。
そのまま、ロキに連れて行かれた。
―――――――――
一度、うちはジンにシャワーを浴びに行かせて、ステイタスの更新を行うことにした。
流石に汗をかいた状態でベッドに横になられると困る。
再び、ジンの背中に跨ると、ロックを解除してジンのステイタスを見る。
ジン・シックス
Lv.2
力 :I 98
耐久:H 115
器用:G 221
敏捷:G 203
魔力:I 0
適化:-
修羅:E
明鏡止水:F
瞑想:G
剣士:G
《魔法》
【 】
《スキル》
【妹魂】
・早熟する
・家族がいる限り効果持続
・思い出が増えるほど効果向上
・共鳴効果/過剰投与:家族を守る戦いにおいてアビリティを大きく消費して一時的にランクアップ
【過剰投与】
・このスキルはステータス更新に関係なく発現する
・発展スキル適化を習得する
・為した行動によって発展スキルを習得、強化する
・共鳴効果/妹魂:家族を守る戦いにおいてアビリティを大きく消費して一時的にランクアップ
一応念のため
謎の多いステイタス故に念のためだが、これからもするつもりだ。
それとジンには特殊なスキルがあることと、恐らくその効果や名前をジンに教えてしまうと効果を阻害する恐れがあるとだけ伝えた。
妹魂とか伝えたくないんや。
記憶焦燥のスキルはジンをランクアップさせる際に更新した時、完全に消滅した。
恐らく過剰投与または適化が関係しているのだろうが詳しいことはわからない。
今はそれよりも、
(熟練度上昇600越えやて…!?)
だが、わからなくもない。先ほどのアイズとの模擬戦。
Lv.6のアイズ相手にLv.2のジンが善戦、後一歩まで追い詰めたのだ。
仮にランクアップ間際のステイタスなら、そのままLv.3にランクアップしてもおかしくない。
ジンは悔しそうだったが、実際はそれほどの偉業だった。
(これは荒れるで…。どうなることやろか、想像もできへん)
ロキはジンの行く末に大きな期待を抱くと共に、次にジンがランクアップしたときに責められるだろう自分の胃を抑えた。
なお、荒れるのはロキの胃である模様。
せ、戦闘は重視しないから。
この小説はあくまでアイズといちゃいちゃすることを主眼に置いた小説だから。
ステイタスを高めるのはそうしないとジンがヒモになるからだから(震え声)
ジンの強さに納得できる表現ができたかちょっと自信ないですね。
一応スキル解説をしておきます
・【
記憶を失い、忘れてしまった記憶の中にある少女に居ても立ってもいられないほど強い焦燥感を抱いた結果発現したスキル。神の恩恵獲得と同時にこのスキルを得た。
記憶を取り戻すまで少女と出会うまで死ねない死にたくないと思った結果、強敵との戦闘でステイタス向上効果と次の強敵に備えるための経験値増大効果を備える。また、このスキルの強敵の意味はステイタス及び純粋なスペックのみを示し、技量を含まない。集団で挑まれた際も一体一体が弱くとも敵の集団全体で強敵かどうか判定される。
当時のジンにとってはほとんどのモンスター等の敵は格上であり、十分に強敵だった。それゆえこれほど莫大なアビリティを抱えることとなった。
【
かつて記憶を失いアイズを忘れてしまったことと七年前にアイズを守りきれなかったことに強い自分への怒りを感じ、次こそはアイズを守ると誓った結果発現した成長強化のスキル。記憶焦燥の影響か、想いの丈ではなく思い出の強さと数に効果が左右される。記憶を取り戻した日にこのスキルが発現した。
【
とてつもない長期間放置された結果たまりにたまった経験値が限界を超えて集まり、その状況を改善するためにいくらかの経験値を消費して発現した。発展スキルを勝手に習得するのはランクアップができないため。なおこのスキルを得ると正規の手段で発展スキルを得ることができなくなる。実は半年ほど前にこのスキルは発現した。
共鳴効果/
相性のいいスキル同士に発現する拙作の独自効果。
こういうのもあっていいんじゃないかと思ったため追加した。
強力すぎるように感じるが一時的にランクアップする魔法があるため許容範囲内だろうと考えて追加した。たぶん次の話を更新したとき強力過ぎィ!と言われると思う。
適化
過剰投与により追加された発展スキル。勝手にステイタスを更新する。なお拙作中で記憶焦燥の文字がが暗転したのはこのスキルのせい。用意した理由としては、スキルの類が勝手に発現して勝手に消滅したら主神にはわけが分からなくなるから。
なお、レベルを上昇させることはできない。
他発展スキルは後々活躍した際に入れていきます。
これ投稿したら独自設定タグを入れてきます。
戦闘シーンを描いてるときに色々調べていると牙突・零式という技に行き当たり、技の形を少々引用させていただいています。異なっている点は右手一本突きである点と細かい描写諸々です。