俺の妹分が世界一可愛いと思うのは間違っていない 作:EXEC
忙しさもあって二週間以上時間が空いてしまいました。
申し訳ありません。
遠征から帰ってきてから数日が経った。
特筆すべきことと言えば、俺のレベルが上がったことだろうか。
遠征後、ロキが数日に分けてステイタスを更新する。俺はロキの指名によって初日に更新を受けることになった。
その結果、ランクアップ可能なのがわかり、色々な人に祝福された。もっとも、個人的にそれどころじゃなかったので割愛する。ギルドに報告するなど忙しかったのもあるが最大の問題は別のところにある。
隣を歩くアイズを横目で見る。ティオナに連れられて鍛冶師に謝りに行った後の帰り道。ティオナは次の武器をどうするかについて鍛冶師たちと話すらしく、ここにはいない。
アイズはここ数日と同じく、どこか落ち込んだ様子でうつむいて歩いていた。アイズは遠征後からずっとこんな調子であり、雰囲気が沈んで思い悩むような仕草をよく見せている。
遠征後のことで最も特筆すべきことはこのアイズの落ち込みようである。現在の彼女の沈み具合を見て、自分のランクアップを喜ぶ気には到底なれなかった。
「アイズ」
少し顔を上げてこちらを見やるアイズ。
「何をそんなに思い悩んでるんだ?」
彼女は、一瞬言おうか言うまいか悩むように何か口を開きかけて、しかしそのまま口を閉じてしまう。そして、首を横に振って"大丈夫"と言うと、またうつむいた。
ここ数日何度か同じような問いを投げたのだが、今回のように答えてはくれなかった。俺だけではなくリヴェリアやティオナ、ティオネなどが聞いても、無言で首を振るだけらしい。
彼女たちは何故か俺に原因があるとして質問攻めにしてきたが、俺からすれば心当たりはあまりない。あとレフィーヤは思い込みで俺に決闘を挑むのはやめてほしい。もちろん断った。
強いて思い当たる点を言うなら、様子がおかしくなったのは遠征から帰る前の夜にやり取りしてからであるため、それくらいだろう。
それだって、特に問題のあるようなやり取りはなかったと思う。
一応考えられることとしては、あのとき彼女に聞かれた"恋とは何か"で今も悩んでいる可能性はあるものの、仮にそれで思い悩んでいるなら、ここまで落ち込まないはずだ。物思いに耽ることはあっても、今みたいになるとは考えづらい。
とりあえず、俺を質問攻めにした女性陣にはアイズが恋云々に悩んでいる可能性があることを伝えて、聞かれたら協力してやって欲しいと頼んでおいた。
それを聞いてティオナとティオネが顔を合わせてにんまり笑っていたのと、リヴェリアが少し考え込むような顔を見せた後、二人に"相談されるまで変なことをアイズに吹き込まないように"と釘を刺していたのが印象的だった。
結局。
今日も俺はアイズから悩みの原因を聞きだすことは出来ず、アイズはうつむいたままだった。
「あの子が落ち込んでいる原因、か。まぁわからないこともない」
ホームに戻った後、一度リヴェリアに相談してみて、アイズの悩みの原因に心当たりがあるか聞いたところ、そう返された。
リヴェリアに相談したのはアイズのことを一番気にかけているのが彼女だろうからだ。それでいて他のファミリアメンバーほどアイズの悩みについて考え込んでいない。どうやらその選択は正解だったようで、一応予想はつくらしい。
ならば話が早いとその予想を聞こうとすると、機先を制してリヴェリアが続けた。
「ただ、それはあまり人に伝えるようなものではないのも確かだ。そして私ではあの子の悩みを解決できない」
それを聞いて、頼みの綱が切れたと思わず嘆く。だが、リヴェリアはそれだけに留まらず、きちんと助言をくれた。
「一応私から言えることとしては、あの子との時間を多く持ってあげてくれ」
彼女はそう助言すると、続けて言った。
「今のあの子に君がしてやれるのは、あの子とできるだけ一緒に過ごして、安心させてあげることだ」
「安心……」
安心。一体アイズはどんなことを悩んでいるのだろうか。
何より、どうすれば彼女を安心させられるのか。何が不安にさせているのかもわからないというのに。
「そう難しく考える必要はない。そうだな、手始めにあの子をどこか遊びに誘ってあげると良い。良い気分転換にもなるだろう」
俺の考え込む様子に苦笑した顔を見せて、リヴェリアは最後にそう告げた。
リヴェリアに助言をもらった翌日、俺はその通りにアイズを遊びに誘ってみることにした。アイズに断られないかが少々不安だったものの、幸いアイズは僅かに逡巡した様子を見せたあと、俺の誘いに頷いてくれた。
アイズの手を引いて街を歩く。先ほどまで服を買ったり、屋台を回ったり、大通りの大道芸を見に行ったりしていた。
だが、アイズの沈んだ雰囲気に変化はないようだ。俺に手を引かれて、とぼとぼという表現が正しいような足取りで歩いている。
服を買ったときも、前に俺の生活用品を揃えたときのような活発さはなく、むしろ俺がアイズの服を選んで彼女に着てもらっていた。前回は俺を着せ替え人形にするくらい積極的だったのに、だ。また、似合うと思った服を買ってプレゼントすると少し嬉しそうに笑ってくれたが、その笑顔も続くことなく翳ってしまった。。
屋台でじゃが丸くんを買って食べても、あまり美味しそうに食べることはなく、ともすれば自分が何を食べているか分かっていないのではないかと思うくらい物思いに耽っていた。
大道芸は言わずもがな。個人的には面白そうだったものの、アイズはたぶん目に入ってはいても見てはいない。
今のところ全敗だ。我ながらため息をつきそうになる結果である。本当にこうやって一緒にいるだけでアイズが元気になるのか、とリヴェリアを疑いたくなった。とりあえず、今日の遊びが全部空振りだったら、リヴェリアにもう一度変化が見られなかったと相談に行ってみよう。
そうやって考え事をしながら、目的地へと向かって歩いていく。目的の場所は結構入り組んだ通りにあるので、迷わないように記憶と照らし合わせるのを忘れない。
そうやってたどり着いたのは、こじんまりとしながらもどこか落ち着いた良い雰囲気の喫茶店。
「ここは……」
アイズがその喫茶店を見て声を上げる。アイズがこういう風に反応を示すのは今日出かけてから初めてだ。
遠征前にアイズと一緒に街を散策した時にたまたま見つけた喫茶店。良さそうな店だったので、アイズともいつか二人で来ようと約束していた。
店の扉を開けて中へ入る。外から見ても良い感じの喫茶店だったが、中も落ち着いた雰囲気で、調度品や壁紙などが調和している。食事時でもないのに三分の一ほどの席が埋まっているということはそれなりに人気だからだろうか。
ウェイトレスの女の子に案内されて席に座る。二人用のテーブルで対面にアイズが座った。
「ご注文でお悩みのようでしたら、こちら『ウェイトレスのお勧め!』などいかがでしょうか?」
メニューを手に何を注文するか悩んでいると、オーダーを取るために近くを通ったウェイトレスの女の子から声をかけられる。
その指先を辿ると、メニューの端に『ウェイトレスのお勧め!』の文字がある。どうやら、客にあったメニューをウェイトレスが考えてくれる注文らしい。
アイズもぼんやりしていてメニューを決められ無さそうだと思って、アイズに"それでいいか?"と確認を取る。彼女は"……うん"と返したが、果たしてどこまでわかっているのだろうか。まぁ、最悪彼女が元気になってからもう一度来ればいいだろう。
そう考えてウェイトレスの子にお勧めを頼む。適当にお勧めの甘いものと飲み物を持ってくるらしい。
注文を終えて、考え込んだままのアイズに視線を移すと、注文を取ったウェイトレスの女の子が視界の隅でにんまりと笑った気がした。
相変わらずアイズは落ち込んだままで、うつむいてテーブルの木目をぼんやりと見ている。窓から差し込んでいる陽光がアイズの綺麗な金髪に反射して輝いていて幻想的だが、その輝きも沈んだ雰囲気のせいでどこか翳っている。
……今日アイズを誘った時は少なくとも気分転換くらいにはなると思っていた。だが、実際はアイズには何の変化もないようだ。
少しアイズの悩みを軽く考えていたのかもしれない。多少落ち込んだくらいなら、遊んでいる間はある程度忘れられるはずだ。それもできないということは、本当に思い悩んでいるということだ。
ここはもう少しアイズの内側に踏み込むべきだろう。話してくれないかもしれない。拒絶されるかもしれない。
だが、数日悩んで答えが出ないということは彼女の中で悩みがループしているからだと思う。その場合、内側に籠もってばかりでは答えは得られない。外へ働きかけないといけないのだ。そのためには多少強引に踏み込んで彼女の思考に風穴を開ける必要がある。
嫌われるかもしれないという思いもあるが、ここで踏み込まなければ俺は彼女の家族であると胸を張れない。
「アイズ」
彼女の名前を呼んで、その手を両の手で包み込みながら、うつむいた顔を覗き込むようにする。
「何に悩んでいるのか話してみないか?」
アイズの顔が少し上がって目が合う。金色の瞳が瞬き、すぐにどこか後ろめたそうに視線が逸れた。今までならここで退いていただろう。
――だが。
「俺に話しにくいことなら、リヴェリアでも、ティオネたちでもいい。……あとロキとかな。彼女たちなら親身になって相談に乗ってくれるはずだ」
更にもう一歩踏み込み、リヴェリアが言っていた、"あまり人に話す悩みではない"という言葉を思い出して、同性なら多少話しやすいだろうと言及する。
アイズが悩みを話してくれるならそれが一番だが、これまでも話してくれなかったことから、それは難しいだろう。ならば次善の手としてアイズの意識が外へ向かうように誘導した方がいい。
できるならこれで少しは良い方向へ進むといいのだが……。アイズの手を包み込んでその顔を覗き込んだ体勢のまま思う。
「話したくないなら、それでもいい。でも、俺はいつだってアイズの味方だ。どんなことでも力になるよ」
そう続けた俺の言葉に対してアイズはなかなか反応を返さなかった。どこかためらうように視線をさまよわせて、言うべきか言わぬべきか迷うように唇が微かに開いては閉じる。
そんな彼女を前にして、俺は急かすことなくじっと待つ。ここで焦っては仕方がないし、アイズの反応によっては更に踏み込むことも考慮しなければならない。
「ねぇ、ジンは……」
しばらく経って、目線を少しだけ落とした状態で落ち着いたアイズがその口から声を発する。今までは口を開きかけても実際に言葉が出てくることはなかった。決して聞き逃すことのないように耳を澄ませてアイズに意識を集中する。
「……ジンは、ずっと私の傍に居てくれる?」
小さな声で届いたのはそんな言葉。だが、意図がつかめず一瞬困惑する。何を思って彼女はそんな疑問を俺へと言ったのか。
"当然傍にいる"というような答えを返そうとして、しかし、彼女があんなにも落ち込んでいたことが安易に答えることをためらわせた。
どうしてアイズが俺にそう問いかけるに至ったのか考える。リヴェリアはアイズの悩みの原因を"不安"だと言った。今の疑問と併せて考えると、恐らくアイズの不安は俺が居なくなることだろう。
では、なぜその不安を抱いたのか。遠征中での出来事で、俺が居なくなり得ることとは何か。
ここで俺が思い至ったのはゴーレムとの戦いだった。いや、ゴーレムそのものというより、強敵それ自体と言うべきだろう。
――アイズは俺が強敵と戦うことで命を落とすかもしれないと思ったのではないだろうか。
59階層の精霊の分身や18階層で出現したゴーレムは通常のモンスターとは一線を画していた。ロキファミリアに一人も犠牲がないのはかなりの幸運と言えるだろう。アイズはそれを遠征から帰ってきたことで実感して、急に不安になったのではないだろう。
言ってはなんだが、アイズは俺に対してかなり過保護だ。ちょっとした怪我くらいでポーションを飲ませようとしてくるくらいに。七年前に俺と離れ離れになったことを再び思い出して、先の遠征で俺が死ぬかもしれないと不安になった可能性は十分にある。
加えてこの理由ならある程度リヴェリアが"アイズと一緒にいてあげてくれ"という助言にも当てはまる。リヴェリアは戦いから帰ってきて不安になっているアイズをちゃんと日常に戻すために助言をしてくれたのではないだろうか。
……正直、確証はないし、何となくしっくりこない。ただそれ以外に思いつくこともない以上、一旦そう考えてアイズを安心させるしかないだろう。
一つ深めの呼吸をする。そして、息を吸って静かに言った。
「何を心配しているのか俺にはわからないけど、そうだね。アイズが心配なら一つ約束をしようか」
「……うん」
「俺は必ず君のところに帰ってくる。どんな戦いからだって、必ず」
「だから、心配は要らないよ。二度とアイズを置いて行くことはない」
一言一言を区切るようにはっきりと言う。俺の言葉がアイズにきちんと届くように。
俺の言葉を聞いたアイズは俯いていた顔を上げて目を見開いていた。アイズの手を包み込むように握っていた俺の手が、今度はアイズの方からぎゅっと握られる。
そして、少しの時間を空けて、俺がアイズの反応がないことに不安になりはじめた頃、アイズは真っ直ぐにこちらの目を見つめ微笑んで言った。
「ありがとう、ジン」
その笑顔は憂いを帯びていない、どこか透き通るような笑みだった。
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「俺は必ず君のところに帰ってくる。どんな戦いからだって、必ず」
「だから、心配は要らないよ。二度とアイズを置いて行くことはない」
本当に、本当に嬉しかった。ジンのその言葉が。その言葉にどれだけ彼が私を大切に思ってくれているかが込められていたから。
――でも。でも、今までなら満足できていたはずの言葉がどこか物足りなくて寂しかった。彼が帰ってくるのは家族として私の傍だ。彼が大切に思ってくれているのは家族としての私だ。
どうしてか、嬉しいのに、確かに幸せなはずなのに、胸の奥が満たされないままだった。求めているものに近いけれど、僅かに違っていてしっくりこない感じ。それが引っかかってすぐに答えを返すことができなかった。
それでも、彼の言葉が嬉しかったのは本当だ。だからこそ、いつまでも悩んでジンを困らせた自分のことをちょっぴり自己嫌悪してしまうけれど。
私はひとまずジンの言葉を胸の奥にしまいこんで、答えを待ってくれているジンの目を見つめ返すと、精一杯の感謝の気持ちを込めて笑顔を向けて言った。
「ありがとう、ジン」
注文したものが来るまで久しぶりにジンと話し込む。
悩みが消えたわけじゃない。むしろ、自分の想いに対する疑問は更に深まった。ただ、いつまでも落ち込んでいないで少しだけ前向きになろうと思っただけだ。
ジンが私を大事に思ってくれているのがわかったから、ずっと心配をかけるわけにはいかない。そう思うと、この時間を楽しもうという思いが自然と湧き上がってきた。だから、考え事を頭の片隅に押しやって、ジンとの会話に集中しようと思ったのだ。
しばらく談笑していると、注文が来たようでウェイトレスの女の子がトレーを持って私たちがいるテーブルの横に来る。何がおかしいのかそのウェイトレスの女の子はにんまりと笑っていた。ニコニコではなく、何か面白いことを想像しているかのようににんまりだ。
そういえば、注文を取るときぼんやりしていて聞いていなかった。ジンが適当に決めたんだと思うけれど、何を頼んだんだろう。
ウェイトレスの女の子はまず私とジンの前にケーキを一つずつ置く。それから何故か微かに笑い声を漏らして、テーブルの中ほどに大きめのコップを一つ置いた。
そのコップにはストローが二本刺さっていて、更にストローが絡まりあってハート型を作っていた。いわゆるカップル用の飲み物だ。
「はっ?」
「え?」
それを見て思わず声が漏れる。
「あの、これって……」
ウェイトレスの女の子に疑問に思って問いかける。
「これはそちらのお客様が注文したんですよ?」
ウェイトレスの女の子はジンの方に手を向けて言った。その顔は今にも笑い出しそうだ。手を向けられたジンが、"なっ!?"と声を上げた。
「えっ……」
ちょっと頬が熱くなる。ジンがこれを注文したってことは、私とジンでこのカップル用の飲み物を飲みたいってことのはず。
何だろう、さっきの言葉で物足りなくて寂しかった部分がちょっとだけ満たされて、嬉しさが湧き上がる。
「間違ってはない。間違っては無いけど!」
ジンの抗議を柳に風とばかりに流して、ウェイトレスの女の子は笑いながら一礼して去っていった。
残ったのは、カップル用のストローが突き刺さったコップと二つのケーキ。
私はコップをテーブルの中央に置いて、勇気を出してストローの片側を取って口を近づけると、その状態でジンを見上げる。
「ジン」
頭痛をこらえるように片手で頭を抱えているジンの名前を呼ぶ。
彼は顔を上げると、私がストローを構えているのを見て、諦めたような顔をする。そしてもう片方のストローを手に取って顔を近づけてくる。
急に近くにきたジンの顔に鼓動が早くなって、頬に熱が上がってきた。それにジンの顔を正面から見るとどうしても照れてしまう。しょうがないので、ちょっとだけ目を逸らしてストローを咥えた。
ジンもストローを咥えたようで、二人でコップの中の飲み物を吸い上げていく。心臓がドキドキしているのと、ジュースをストローで吸い上げているせいで、少し息苦しくなって一旦口を離して息継ぎをする。
再び咥える際にジンの方をチラリと見ると、その頬が少し朱に染まっていた。それを見ると、何故か更に胸が高鳴って嬉しくなる。
もう一度それを確かめようとジンの方を見ると、ジンもさっきまで逸らしていた視線がこちらを向いていた。至近距離で目が合う。その瞬間ジンの瞳に動揺が浮かんだのが微かに見えた。
一際心臓が大きく跳ねて、慌ててジンから視線を外す。視界の隅に映るジンの顔が更に赤くなっていた。私もどうしてか無性に恥ずかしくなって、顔だけでなく耳にまで熱が宿るのを感じる。
今度は無心になってジュースを吸い上げていると、いつの間にかコップの中が空になっていたようで、ストローが空気音を立てているのに気づいた。少しの間、それに気づかないで吸い上げていたようだ。
ジンもコップが空になっているのに今気づいたようで、私と同時にストローから口を離す。
ジンと顔を見合わせると、さっきの空のコップをストローで吸っていただろう光景がおかしくなって、二人でクスリと笑いあう。
遠征から帰ってきてから、ずっと落ち込んでいたから、久しぶりに心から笑えた気がする。
今日もさっきまでずっと考え込んでいたから、せっかくジンと二人っきりでの遊びなのにあまり楽しめなかった。そう考えると、今日は本当に勿体無かった。
今まで楽しめなかった分せめて今を楽しもうと思って、フォークで切ったケーキをジンと食べさせあう。
その後、幾つかケーキなどを追加で注文して、お互いに食べさせあって色々な種類のケーキを食べ比べた。好みの差はあれど、どのケーキもとても美味しくて、また来ようと二人で約束し合った。……そのときはもう一度カップル用のジュースを頼もうと計画しているのは内緒だ。
――私がジンに向けるのは家族としての想いだと思っていたけれど、本当は違うのかもしれない。
遠征から帰ってきてからここ数日ずっと悩んできて、妹として、家族として、ジンが取られるのが嫌なのだと思っていた。
でも、それなら。
それなら、ずっと傍にいてくれると言ってもらえれば満足できるはずだ。
言って貰えてうれしかった。でも、それだけじゃこの胸の痛みは晴れなかった。
じゃあ、私の想いは何なのだろう。
一つの答えが胸に浮かんで、でもその度にジンには好きな人がいるということを思い出す。それは胸の痛みという形で私が答えを出そうとするのを邪魔をする。
でも、その痛みもいつまでも邪魔はできない。きっともうすぐ私の疑問は晴れてしまう。そんな予感がしていた。
今月はもう更新は無理かもしれないですね。
テスト前ですし、レポートが溜まっていますしで。
テストが終わったら更新をするのでどうかご容赦を。
どうでもいいですけど、if badルートが思い浮かんだのでここに書いておきます。
ぶっちゃけ鬱な感じなので見ないほうがいいかも。
アイズがジンに好きな人がいると思い込んで悩む
→ロキがアイズの悩みを見抜いて"アイズたんは誰にも渡さん"の精神で、悩んでいるアイズからジンをあの手この手で引き剥がそうとする。
→ジンとアイズの輝きが鈍っているのをフレイヤが嘆き、一つの策を思いつく。
→フレイヤがアイズに接触して、アイズの悩みの内容を見抜いて、アイズがジンに恋していることを指摘する。
→そこでアイズに"ジンを自分のものにしたくないか"と話を持ちかける。
→アイズ、悩みながらも了承。フレイヤがジンを魅了して自分のファミリアに入れる。
→ロキが戦争しようか悩んでいるところに、アイズがファミリア脱退をロキに言いに行く。
→ロキ、全てを理解するがアイズからジンを遠ざけた罪悪感から承諾する。
→アイズ、フレイヤファミリアに入る。そこでフレイヤに"私のところにいる限りジンを貸してあげるわ"と言われる。
→フレイヤに魅了された状態のジンに罪悪感を抱いたまま一緒に過ごすアイズ。フレイヤの方を向いたままで自分を見てくれないジンに鬱屈した思いを溜め込んでいく。
と、ここまで考えました。ここからは、お好みで。アイズが反逆しようしてジンと戦う鬱ルートでもいいですし、そこからロキファミリア参戦からのアイズ覚醒でもいいです。あるいは、ジンが覚醒してフレイヤの魅了を振り切ってフレイヤファミリア潰すミラクルハッピーエンドとか。
書いてるうちに本編完結後ならやってもいい気がしてきました。
とりあえず、まずは本編ですけどね。