俺の妹分が世界一可愛いと思うのは間違っていない 作:EXEC
神の恩恵
ステイタスとも呼ばれる。いわばゲームで言うステータスと同じ。戦えば戦うほど経験値を得て強くなることができる。ただし、オラリオ最高の冒険者がレベル7であることからも分かる通り、ゲームとは違いレベルを上げるのは困難。アビリティ、魔法、スキルがあり、アビリティは能力値で戦うほど上がっていく。魔法はどちらかというと詠唱必須の超能力に近い。スキルは様々あり持ち主に特殊な能力を与える。
ギルド
オラリオを治めている組織。オラリオのファミリアはほぼ例外なくこの組織に縛られている。ダンジョンからとれた魔石やドロップアイテムの換金を行う。
やっと、やっとオラリオにたどり着いたな。
一人の青年がオラリオの門の前でそうつぶやいた。
道中、毒をもったモンスターに襲われたり、非常に衝撃的な出来事があったが、なんとか無事にたどり着いた。
青年は1ヶ月前まで、とある隊商で用心棒をしていた。
11歳のとき、大怪我をして意識を失っているときにこの門で拾われた。
治療されて起きたときにはすべての記憶を失って、自分の名前すらも分からなくなっていた。
とりあえず記憶が戻るまでと名前をつけられその隊商で雑用として働くことになった当時の少年は炊事や簿記、その他の雑用に回された。
だが最終的に用心棒の壮年の男性が自分が引退したあとこの隊商の用心棒として働かせるといって武術を教えられた。彼曰く少年には才能があるらしかった。
オラリオの外でも少ないとはいえ神の恩恵を受けた存在がいる。いくら才能があろうと恩恵が無くては、厳しいのではないかと少年が問うた時その男性は"俺も恩恵なぞもっていない"。そう言った。
彼曰く技術で大体何とかできるらしく、事実彼はこれまで恩恵を持った存在に襲われても隊商を守ってきたらしい。
彼が言うなら大丈夫だと笑って隊商の人たちも自分を用心棒見習いにすることを了承した。
時が過ぎ厳しい鍛錬にも慣れたころ、少年は神の恩恵を得た。神界から降りてきたばかりの神をモンスターから守って、その神の目指す場所でありちょうど隊商の目的地であったオラリオまで隊商に加えてくれたことに感激したらしい。
その神は自分にできるお礼は残念ながら恩恵くらいしかないと悔しがった。
用心棒の男性は"俺はいらん。どうせもうすぐ引退だ。こいつにくれてやれ。何かの役に立つだろう"そう言って、少年が恩恵を得るのを後押しした。
やがて用心棒の男が引退するときが来た。彼は故郷の村で余生を過ごすらしく、少年に"お前なら俺の後を任せられる"そんな言葉を送って去っていった。それからも少年は隊商をモンスターや盗賊から守り続けた。
更に時が過ぎ少年が青年となってからも彼は戦った。時には強敵や集団に襲われ多少の荷物を囮にすることもあったが、それでも誰一人隊商に死者や重傷者は出さなかった。軽傷者は見逃してほしい。
そしてつい1ヶ月前。隊商は解散した。決して悪いことがあったのではなくむしろ祝うべきことだった。
かねてより隊商のリーダーの夢だった商会を作ること。
お金がたまりそれが叶ったのだ。
他の隊商のメンバーは商会の従業員となるらしい。しかし、リーダーは青年を他のメンバーとは別に呼び出して、
"君は強い。君の師匠も言っていたが豊かな才能がある。昔、雑用をしていた時のことを覚えてるかね。"
"君は飲み込みがとても早かった。どんな仕事をさせるべきかと非常に悩んだことを覚えている"
"だが、彼(前用心棒)が君にはとてつもない武の才能があるといった。彼も才能はあるが、君には及びもつかないと"
"私は彼の言うことに賭けてみることにした。そして君は彼の言ったことを証明した"
"普通の隊商はね、傭兵を多く雇う。だが、それには目が飛び出るほどの金がかかるし、何より信用できない"
"私は彼が引退したがっているのを知っていた。そして彼が引退すればこの隊商が立ち行かなくなるのも知っていた"
"だが、それは杞憂だったようだね。彼もそうだが君もたいがいおかしい。一人で隊商の護衛を成し遂げる。それがどんなに難しいか"
"君は恩を十分に返した。君の才能は私の所で潰していいものではない。君は君の道を行きなさい。これは餞別だ"
そんなことを言って、小さめの袋をくれた。"開けてみなさい"とリーダーに言われ中をのぞくと大粒の宝石がいくつも入っていた。
"こんなに受け取れない"青年は言うが、リーダーは頑として受けつけず"君はそれだけの仕事をした。これは正当な報酬だ"と言った。
結局、商会のことも絡めて説得しようとしたが、逆に説得されてしまった。
最後に青年の送別会と商会の設立祝いを兼ねて宴会が開かれ、隊商の皆で摂る最後の食事を楽しんだ。
翌日、リーダーが来てある男性と引き合わされた。その男性はリーダーの友人でオラリオのすぐ近くの街まで行くらしい。
そして、その男性は青年に自分の隊商の護衛をしてくれないかと言った。青年は悩んで保留したがその翌日引き受けることに決めた。リーダーが去り際に"君の記憶を探しに行くといい"そう言ったからだ。
男性の隊商を目的の街まで送り届けると、その足でオラリオに向かった。
道中あまりにも衝撃的なことがあったが、今ようやくオラリオにたどり着いたのだ。
―――――――
「危ねえだろ、気をつけろ!」
どうやら物思いに耽っていたらしい。ぶつかりそうになった冒険者から怒声が飛ぶ。
頭を振って雑念を払うと気を取り直して、歩を進める。
目的地は冒険者協会、ギルドである。
ギルドにたどり着き、中に入るとその活気に目を瞠る。人が多く騒々しい。
だが、目的を思い出すと、受付に向かった。
見ると白髪の少年がたった今離れて、エルフの受付嬢が空いている。
彼女―――エイナ・チュールと名乗った―――に目的のことを聞くと苦笑いされた。
どうやら先日同じことを聞いた誰かがいたらしい。
とりあえず、話を聞くと次の目的地が定まった。
次は―――ロキファミリアに行こう。
だが、その前に金がない。
もらった宝石の一つをギルドの換金所でお金に変えてもらった。
通りを歩いて、何とかロキファミリアにたどり着いた。
門番に目的のことを聞くと、彼女はいないらしい。
用事が終わってもうすぐ帰ってくるらしいが、だいぶ日が傾いている。
まもなく夕食時である。
これ以上待って夕食時を邪魔されれば先方にも心象は悪いだろう。
残念だが今日の所は諦めた方がいい。
門番に自分の名前を伝えて明日向かうことを伝えると、門前を去った。
とりあえず…宿屋を探さなければ。
翌日のこと、旅の疲れがあったのか昼まで寝てしまった。
幸い、門番には明日としか告げていない。昼食を摂った後、もう一度ロキファミリアに向かった。
外は雨が降っている。どうも雨は好きになれない。
ロキファミリアの門前に着くと昨日とは門番が変わっていた。当然かと思って、もう一度目的を言う。
門番が言うには会わせられないらしい。名前を言えば分かると説得したが、梨の礫である。
仕方なく、門の前で待つこととする。門番がどっか行けと視線で訴えてくるが特に気にしない。
しばらく待つと、アマゾネスの女の子が青年の横を通り抜けて門を抜けようとした。
それに待ったをかけて、威嚇してくる門番を無視しつつ門番への要求と同じことを頼んだ。
アマゾネスの彼女は少し渋ったものの、青年の熱心さに負けて取り次ぎを承諾した。
ティオナと名乗った彼女が屋敷の中に消えていくのを見つつ、青年は睨んでくる門番にフッと笑いかけてやった。
どうなんでしょうね。
まぁたぶんどっかに矛盾とかあります。
疑問点とかどしどしどうぞ。
返信できるかは未定です。