第三次スーパー宇宙戦艦大戦―帝王たちの角逐―   作:ケット

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今回もゴキネタが多いのでお気をつけて。僕は見るとおぞけが振るうほうですが、こういう生態想像は可能なんですねえ…

初めてオリキャラを出します。ただ、ストーリー上重要な立場にはしないつもりです。


銀河戦国群雄伝ライ/やや長い時間

 おれ、いや私は、李八といい、ます。

 李の八番目です。

 親父、父上には、11人の子がいました。

 育ったのは6人です。女が2人です。

 後で知ったのですが、まさ……さきの正宗さまの紅玉公、じゃなきゃいけないんでしたよね、故郷の星の疫病を抑えてくれたおかげで、そんなにたくさん育ったそうです。

 それで祖母が生きながら貧乏町の半分ごと焼かれた、って母者は恨んでましたけど、しょうがないとおもいます。

 一の兄者は五丈攻めで戦死しました。そのときに出た金で、鍛冶屋だった親父は道具を買って独立できました。ほかの国は戦死した雑兵なんてほったらかしだそうです。五丈の竜が若いころ、それで暴れたって噂も聞きました。

 二の兄者は、五丈の狼刃が都を落としたとき、竜我雷に斬られたそうです。

 そのころはまだ子供でしたが、いっつもみんな泣いて、笑って、働いてました

 

 おれ、でいい?個人バガー入りドロイドが修正してくれる?ああ、助かる。

 

 

 おれは、正宗さま、いや紅玉さまの旗艦料理人。それだけ。

 艦のたくさんの水兵たちに、うまいものを食わせる。それだけ。

 別のところに行ったり、智という国からも出たりしたけど、全部どうでもいい。

 

 

 小さいころに聞いた話だ。親戚には、恵州の飢饉や低松城の干殺しで苦しんだ人たちがいる。

 おじの一人は、それで頭が半分おかしくなっていて、いつもおれに、そんなたくさんの人が飢え死にしていくところで食べられるいろいろなものと、その料理の仕方を教えてくれた。

 半分おかしいおじだったが、教えてくれたことは全部正しいと後に知った。

 キハダヤシの実の毒抜き。

 馬の、多くの人が捨てるような食える部分の料理。

 人間の子供の、骨の髄と内臓の料理。

 皮革はどうゆでれば食えるか。城のどういうところに皮縄があるか。

 ネズミはどこにいて、特に幼い子をどう捕まえて、どうさばいて食えば腹を壊さないか。

 血と腐った内臓のたまりに沸く油虫の、卵の食べ方。

 誰もが捨てるような内臓と塩で作る調味料。

 腐った肉と悪くなった酒と悪くなった金創薬を混ぜて、地面から集まってくる長い蟲をつかまえて食べる方法。

 人や馬の腐った骨髄に集まるガをつかまえ、糸をつけて飛ばすとコウモリが釣れる。その食べ方。

 人や馬の皮を鍋にする方法。

 泥水に人馬の死体の腐り汁を混ぜたら出てくるキノコの毒抜き。

 ムカデは食うのではなく、潰して石壁の日陰に出る紫草を混ぜて、薬にする。

 

 ひどい話ばかりだったが、小さいころは何も考えずに聞いていた。

 そして隣の、料理屋をしていた一家を三歳のころから手伝って、いろいろな料理も覚えた。

 九歳の頃だったか、だいぶ料理も覚えたころにその隣が、何かの連座でいなくなった。

 別に珍しいことじゃない。

 その店には別の一家が住み着き、おれたちはその隣からも引っ越した。

 おふくろに言わせれば、仲良くしていたと思われるだけでも危ない、と。

 それで智の首都に近いところで、おれは別の料理屋の下働きで働いていたら、徴兵された。

 まだ11歳ぐらいだったかな。

 徴兵と言っても、今のように法とか、意志を脳波で読んで記録するとかなんかなくて、ちょっと近くで艦の人手が足りないからこっちにこい、と、人さらいとあまり変わらなかった。

 料理ができるというので、艦の料理人になった。最初は旗艦なんかじゃなく、空母だった。

 

 ぐずぐずの古いクズ米。塩が強すぎる塩漬け魚。混ぜ物で鼻が曲がるような味噌。塩じゃなくて何を入れたんだか知りたくもない、常識では食えたもんじゃない何か。芽が出てしまっている豆や芋。

 石のほうが多い米。水につかって酒の匂いがし泡が出てウジがわいている米。芽が出ている米。

 そんなのでとにかく、食べられるものを作る。

 食べなければ力が出ない。兵たちに力が出なければ、まともに狙いがつけられなかったり、缶の扱いをしくじったりしたら、艦が沈んでおれも死ぬ。

 兵が腹痛だったら、やっぱり艦が沈んでおれも死ぬ。

 だから無茶な材料でも、何とか食えるようにする。腹を壊さないようにする。

 まあ、貧しい街でもとんでもない残飯で、なんとか食えるものを作ってきた。

 同じように、とにかく手に入るものを食えるようにする。

 

 米が酒になり、まわりにウジが這っていたら。

 水を加え、完全に酒にして麹に塩を混ぜて肉を漬けて焼く。

 酒の部分は蒸留し、敵から分捕った鎧の皮を煮だした汁で色と味をごまかし、隣の艦に密輸する。

 ウジも熱湯で殺し、潰して蒸留残り湯やあれやそれを混ぜて、もどした塩魚にかける。

 

 思い出したくもないことに、最初に入った艦ではすぐに料理長が死んで、昔の智の常識でも元服前、今の智王より小さいころから全部一人でやる羽目になった。

 他の艦の料理人にバカにされ、小突かれた。

 仕入れ金だけは奪われないよう、艦長に直訴して強面を集めて守ってもらった。

 とにかく少しでもいい食材を、味方同士でも奪い合う。

 頭を使って、売れてないけど組み合わせればうまくなるものを買う。

 袖の下と拳と棍棒、脅しと薬、密告と冤罪が飛び交う、もう一つの戦場だった。

 読み書きも、そろばんも覚えた。覚えなかったら死ぬんだから、必死で覚えた。

 

 

 そして忘れもしない、月とかなんとかとの戦いで……

 敵戦艦がぶつかってきて、すごく艦が揺れた。敵兵が艦に乗りこんできた。

 おれはひたすら、台所を守って戦った。

 熱い油をよこせ、糞尿を煮てよこせと何度も上から伝令が来た。

 かなり前から火は落としていたし、ひどく揺れるから無茶な注文だった。

 鍋をダメにするのがいやだったから、皮鍋で糞尿を煮た。

 敵が来た。包丁を振り回した。炎をくれてやった。腐った果物をぶつけた。

 戦って戦って、気がついたら眠っていた。

 

 目が覚めた。痛かった。どこもかしこも。

 だいぶよくなった。気がついた……膝をやられていた。

 看護人や、人の目が変だ。

 かなりよくなって、医者が持っていたノコギリの刃にうつったものを、見た。

 おれの鼻と上唇が、なかった。

 

 そのときだった。御屋形さま、正宗さま……がいた。

 とんでもなくお美しい。天女さまかと思った。

「おおい!」

 すさまじい声が響いた。腹の底から揺れた。

「見よ、この美しいツラを。戦い抜いた戦士の顔を!」

 と、おれに鏡を見せつけた。おれの首をつかんで、顔を周りの将兵に見せた。

 えらい人たちも、化け物を見て目をそらそうとする。わかってしまう。

 こんな面になったと知る前、目が覚めてすぐから看護人たちの表情が変なのは、わかっていた。

「へ、へえ、でも、こんな」

「なら俺も化け物だ!」

 と、あのひとは眼帯を取り、ふれあいそうに顔を近づけ、指でまぶたを押し開いた。

 目玉のない目。真っ暗な肉穴。きれいだった。いいほうの目もきれいだった。

「同じくいくさ傷、これが醜い化け物なら俺も醜い化け物だ!笑うか?」

 すさまじい声に、万軍が怯えて顔を伏せた。おれは魂が吹っ飛んでいた。

「名は?」

「り、りは」

「手柄であったぞ!美しいぞ!みな、よいな!」

 そう叫んで、紅玉さまたちは次の見舞いに行った。

 

 もう、紅玉さまのためなら死んでもいい……おれだけじゃない。あの戦いで生き残ったみんな、そう心の底から思った。

 ひたすら働いた。

 おれはとにかく、あるものでうまい飯を作り続ける。台所を攻める敵がいたら守り抜く。

 それだけだ。

 

 ただ、あのときはきつかった……理由はよく知らないけど、正宗さまが腑抜けた、忠臣がいさめようとして自害した、とか噂になっていたころ。

 艦の台所には、うわさはたくさん入る。

 艦隊もほとんど動かなかった。

 みんな暗かった。たくさんの将兵が正宗さまを見捨てて逃げた。

 それで人が少なくなったから、おれも総旗艦の大帝山に転属できた。でも正宗さまはいなかった。

 おれは信じていた。絶対に正宗さまは立ち上がる、戦うと。

 家族からも帰ってこいと手紙が来たが、こんなツラは見せたくないし……帰らなかった。大帝山が、おれの故郷だ。おれは正宗さまのために生き、死ぬ。正宗さまは家族以上の神様仏様だ。

 突然、出港命令が来た。

 そのときに練の皇后がどうかとか噂は聞くけど、上の方の話はどうでもいい。

 とにかく食料を奪え、そう命令されて、足が悪いおれも信用できる兵を率いて飛び出した。

 なんとしても艦に燃料・弾薬・食料・洗剤・石鹸……いるものは山ほどあった!

 大急ぎの出港、一瞬も待たないといわれた。

 とにかく少しでもかき集めた。どんなことでもした。今は許されないようなことも。

 うれしくてしかたなかった。

 

 

 それからしばらく辺境にいた。

 兵も少ない。食べ物も、智の中央とは違った。

 米もかなり違う。赤かったり黒かったり長かったりするし、炊いた時の感じも全然違う。

 ヒトツブムギや田キビ、芋のほうが主食だった。

 知らない食材をとにかく食べられるように料理して、艦のみんなに食べさせた。

 おれの仕事は、艦の兵にご飯を作るだけだ。

 時々艦から降りて、戎の星々で人々がどんなものをどう料理して食べているかも聞き、買ってきた。

 それと、なんとか密輸入できる智の食べ物をあわせて、少しでもみんなが元気になれるように料理をした。

 

 旗艦のたくさんの兵が、おなかいっぱいで元気で頑張る。そうすれば、紅玉さまも戦死なさらないですむ。

 そして旗艦が襲われたら、とにかく台所が襲われたら戦い抜く。足も悪いが……

 

 そんなころ正宗さまから、おれが詳しいという飢えた時の食べ物についてまとめるよう命じられた。おじの話を思い出し、兵たちからも話を聞き、まとめて書物にした。

 

 ある日、別の世界に行くからついてくるか、と言われた。もちろんついていくと答えた。

 故郷の星も、もう二度と見ることはない。とっくに腹は決めた。どこだろうと、正宗さまの行くところに行く。

 

 そこで何があったかは知らない。とにかく正宗さまは、病気だから治療に行くと説明された。

 おれもついていきたかった……正宗さまと、大帝山。それが分かれるなんて考えてもいなかった。

 わけがわからなくなっていると、正宗さまに呼ばれた。

 相変わらず、お美しかった。大きかった。

「李八……治療に行ってくる。その間、将兵の口腹を頼む」

 声がした。忘れもしない声が。

「お、おやかたさま……」

 なぜか泣いていた。なぜ、わからなかった。なぜ、正宗さまが病気だとわからなかった。

 こんなに弱っていらっしゃることが、なぜ。

 なぜ、病気を治せるご飯を作ってさしあげられなかった。

 突然わかった。下級兵と同じ、帰ってくる膳の一つ、妙な空盃がついた膳……あれは正宗さまのものだった。やばすぎる薬だ。命を落とす薬だ。

 旗艦の台所にいれば、あらゆる薬のことも知れる。

 無茶な量の仕事をするための、体を壊す精力酒だ。内臓を食い破られながらはたらきつづけるための薬だ。

「あああああああ!」

 泣き叫んだ。

 兵と同じものを食べていらした。

 いっしょうけんめいに、悪い身体が許す限り、そこらの拷問より辛い思いをしながら食べていらした。命を捨て、苦しみに耐え、悪魔の薬をのんで戦い続けていらした。

 必死で食べ、それでも残していらした。

 残した量から、その体調の悪さは、わるくなっていった歩みがよくわかった。

 号泣していた。泣いて、泣いて、泣いていた。

 死なせてほしかった。殉死したい、万死に値する……

「ありがとう。何日も、残してしまっていてすまない。うまかった、うまかった……智の兵に、うまい飯を食わせてやってくれ。必ず、必ず帰ってきてまたお前の飯を食う。そのために、恥を忍んで治しに行く。生きてやる」

 弱り切った声だった。その中にものすごく強さがあった。悲しみがあった。

 ただ、おれは泣きじゃくるだけだった。

「おれの、おれのしごと、みんなに、うまい、おなかいっぱい」

「そうだ。それこそお前の仕事だ。敵将の首にもまさる……」

 優しい、強い声が耳にある。ただ、泣いていた。

 

 泣きながら、智のみなのご飯を作った。仲間になったという人たちのご飯も作った。

 みんな不安だった。別の世界、時空というのはわからないけど、とにかく中原からとてもとても遠い。帰れないかもしれない。

 寄生虫が多いという惑星でみんなが耕したこともあった。おれはご飯をつくった。

 艦で、あちこちの星を回った。戦いはなかったが……おれはご飯をつくった。

 ある時から、正宗さまの弟王……そのときにはもうそちらが正宗さまだそうだが、よくわからん。その子にも、時々ご飯を作るようになった。最初はわがままだったが、そのうちちゃんと召し上がってくれるようにもなった。

 

 

 正宗さまがお元気になり、帰っていらした。うれしかった。

 それから、広い広い星々の間をまわった。

 

 そのころ、おれもちょっときついことがあった。

 

 おれも、たくさんの食材、たくさんの食費を預かるようになった。

 おれのご飯の作り方を、多くの艦船が真似るとなった。多くの艦船の厨房をまわり、おいしくて腹をこわさないご飯を作れるよう、料理を教える仕事も多くなった。

 何をやらかしたらおなかを壊すのかも、勉強させられた。

 正宗さま……紅玉さまもおれが作ったのを食べなさる、と知れば、勉強もしなきゃならなかった。

 もう二度とあんな思いはしたくない。なら、ちゃんと薬になるご飯を作れるようになりたい。

 だから、医学も勉強した。栄養学も勉強した。生理学も勉強した。数学も勉強した。生化学も勉強した。植物学も勉強した。薬理学も勉強した。微生物学も勉強した。分子生物学も勉強した。家畜生理学も勉強した。遺伝子学も勉強した。

 この世界のあちこちの料理法も勉強した。食材も勉強した。

 勉強したいと言ったら、人質になった女が通信教育装置をくれた。いくらでも勉強できた。

 

 正宗さまも一般兵と同じものを召し上がる……そう思って下がる膳を見れば、無理をされている、調子がいい悪いはよくわかった。食欲がなくて、残すのではなく別に捨てていることも。

 そのたびに、飛竜さまに奏上しておいさめを願った。恐れ多い、越権だとも思ったが、もうあんなことにはなってほしくなかった。

 あちこちの艦の厨房をまわり、最下級の兵についての話も奏上した。厨房は清潔か、ちゃんとうまいものを食べているか。残していないか。

 薬物、病気、体調、心調、疲労、なにもかも。

 

 ただ勉強してご飯をつくっているだけじゃだめだ、という人もいた。

 故郷の、もう半分忘れていた家族や親戚がやってきた。

 おいしい仕事をくれ、賄賂を払うから金をよこせ、正宗さまに言ってこの利権をよこせ……

「うるさい、仕事をさせてくれえっ!」

 そう怒鳴ったこともある。

「おまえは家族の恩を忘れたのかい!出世したら一族みんなを食わせるのが義務だろ、六角さんちもそうしてるだろうが!」

 そう怒鳴り返された。

 一族、何千人もいる。腹を減らした子も。学校に行きたい子も。頭がいいのに、来年には売られてしまう子も。

 苦しかった。ただご飯を作りたいのに、そうさせてくれない。

 最後の一線があった。

 正宗さまに復讐したい……

 おれの、いとこのおいの義兄弟のまたいとこの乳母の甥が、汚職で斬られたそうだ。

 だから復讐しなければならない……

 もうだめだ。正宗さまを害することなんてできない。

 おれは死を覚悟して、正宗さまに時間をくれとおねがいした。

 どんなに、あんな薬に手を出すほど、死ぬほどお忙しいかわかっていても。

 すぐ、お目にかかることができた。

 

「李八……」

 と、正宗さまはすぐに、笑顔でお湯の入った茶碗を差しだしてくれた。

 おれは泣き叫びながら、全部いった。確実に死刑になるような贈収賄のことも、薬物犯の見逃しも、使えるからと大逆の罪人を台所で使っていることも。

「李八。そうだ。時代は変わっている……わたしも、家族を斬った。大切な友も斬った。

 天下もあきらめた……南北の天、一つの荒れ果てた銀河の何億倍もの富があるからだがな。

 新しい時代に入るためには、なにが善で何が悪かも変わる。

 家族を、何万という一族を養わねばならない、そのためにどんな汚職もしなければならない。国を私物化して民を絞り、軍事力を弱め灌漑を台無しにすることもせねばならない……

 そんな時代から、変わりつつあるんだ」

 長い、長い間正宗さまは、黙っていた。

 正宗さまがどんなにつらいかわかった。

「選んでくれ。族か、この紅玉か」

「紅玉さまあ!……」

 

 おれの一族は、とにかく飢えない、ちゃんと働けるし、賢い子は勉強できるようにはしてもらえたらしい。

 そのかわり、家族から見ればおれは裏切り者だ。

 おふくろの葬式を聞きつけて行った時の、あの冷たすぎる憎しみの目……思い出したくもない。

 おれにはもう、家族はない。正宗さまが家族を斬ったように。

 

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 智の正宗……紅玉が、父の死・弟の幼さにより智国支配者の常の呼び名である正宗の座に着いたころ。

 そのころはいまだ、小さな領主の連合体をまとめる立場に過ぎなかった。

 天下を取るための戦いよりも、内での戦いのほうが多いほどだった。

 ひたすら自分の事しか考えない、自分の小さな領土にしがみつく領主が、自分の艦隊を率いて集まる。

 亡きキルヒアイスが粉砕し、ラインハルトが嘲笑したゴールデンバウム朝門閥貴族同様。戦艦は戦艦、空母は空母と集まった統一艦隊とは程遠い。どの輸送艦からも補給を受けられ、どの廃艦の弾薬や部品もどの艦でも使える艦隊ではない。

 小さい艦隊の集合でしかない。

 勝利した。戦利品を分け与えた。それで集まった政治的資産をチップとし、詐欺のように諸将、小領主たちから権力を、権限を盗んだ。それで少しまともな艦隊をつくり、また勝利した。

 その繰り返しで天下に迫った。

 一時は比紀弾正の首に手をかけ、練の隆盛で逼塞し病を得、多元宇宙ゲートの出現に応じ乾坤一擲……技術を得て病を癒し、比類のない超技術国家を手にした。

 だが、その臣民たちは。

 国家、公よりも家族。官憲は家族の敵。家族が殺され犯され盗まれたら、家族で復讐しなければならない。

 そのかわりに、女子供は家畜と同じ、とことん殴って従わせる。結婚はすべて政略結婚、道具。全員が道具。全員が、公……智という国ではなく、家に、部族に忠義を持つ。

 沈黙の掟。名誉殺人。

 

 そんな社会の中で、人を盗むように紅玉は、自分に忠実な将兵を集めた。傭兵を常備軍に変えた。

 さらに、別時空へ……そこでバラヤーという、同じように封建主義社会から星間文明の法治社会に脱皮しようとしている先輩とともに生きる。

 さらに、メガロード01……滅亡寸前の大量死、技術、ゼントラーディとの社会統合に苦慮する地球人。

 さらに、ダイアスパーという貨幣の概念もない、無限ともいうべき科学技術を持つ都市との出会い……

 智の上から下まで、あらゆる人たちは何千年分もの文明の進歩を、十数年で体験したのだ。

 

 それをよく知っている人もいて、紅玉や未沙を熱心に支えた……ヴォルコシガン一家。

 アラール・ヴォルコシガンの父親ピョートル・ピエールは剣と馬の時代を知る貴族。セタガンダに占領され、ゲリラ戦で戦いながら銀河から新兵器を買って勝利した。そして狂った皇帝や皇太子に苦しみつつ、戦後のバラヤーを銀河間文明に適応させるべく力を尽くした。

 アラールは若き日に宇宙戦艦で征服に加わり武名をあげた。新しい時代に適応しようと苦慮する帝国が内乱に陥った……勝利したが、近い親族を失い、息子はねじ曲がった体で産まれることが決まり、妻と父が深刻な対立に陥った。

 それからアラールは幼い皇帝と息子を育てた。

 息子のマイルズは、身体にハンディキャップを負いながらすさまじい活力で動き回った。アラールはのちに、自分が武名と同時に得た深い恨みで作られた、もう一人の子も得た。

 そして、時空のゲートがひらいた。智と戦い同盟し、さらにすさまじい技術の変化の波がおそいかかってきた……

 技術の変化。それによる、古すぎる社会構造からの変化。

 それを、有能な後輩に教えるのはこの上もない喜びだった。

 自分が受けたすさまじい苦悩を、何倍にもして苦しむ優れた指導者たち、切り捨てられていく気のいい人たちを見るのは、拷問にまさる苦しみだった。

 

 その支えがあったからこそ、またラインハルトも助けた先進医学があったからこそ、紅玉はやりきった。自分を書き換えた。

 それだけではない。飛竜ら自分個人に忠節を尽くしてくれる将兵たち。

 切り捨てることもあった。死なせることもあった。

 変わる苦しみを、ともに味わった。

 激動の世界を、ただ泳いだ。

 

 

〈混沌〉との戦いも佳境に入っていたころ。

 惑星連邦から、ベンジャミン・シスコ大佐を通じレプリケーターの技術が〔UPW〕に届いた。

 似た技術はダイアスパーにもあった。

 だが、智・バラヤー・メガロード連合も含め、多くの艦には行きわたっていない。

 まして艦数では多数である、ローエングラム帝国やガルマン・ガミラス帝国には。

 短時間で多数作り、短時間で各艦に載せることができたのは、〈黒き月〉が無理やり作った低性能の偽物だ。

 機関銃と火縄銃なみに違う。

 だが、ある程度のことはできる。

 不良品の爆薬や硝酸など艦で容易に手に入る資材から、ピンク色の肉もどきや、米とパンをぐちゃぐちゃに煮て潰したような糊もどきを作り出すぐらいのことは。

 他にも精度の低い部品や、着心地の悪い厚紙のような布を作り出すことは。

 

 その装置が出すものそのままでは、人が食うのはかなりきつい。

 だが、それを人が食えるものにする魔術師がいた。

 正宗の旗艦大帝山の料理人、李八。

 

「李八。これと、これと……ほかにも必要な、現実に駆逐艦で手に入るものがあれば言ってくれ。それで駆逐艦の設備で兵が食えるものを、なんとか作ってくれ」

 紅玉の強い隻眼に、いつもどおり李八は茫洋とうなずいた。

 数日の徹夜。

 そしてできたものを見て試食し、紅玉は宴を開いた。

 各国の皇帝たち、主要な将官、兵站担当者も呼んだ。同じ量産レプリケーターもどきを用い、アンシブルのテレビ電話でお互いの顔を見て、同じレシピの食物を給仕した。

 他にも多くの時空の料理人たちが、同じコンテストに参加している。紅玉がいち早く手をあげたのだ。

 

 各時空の皇帝たち、名だたる将が出席する宴で出されたのは、一般兵の食事である。

 皇帝たちもできるだけ、兵と苦楽を共にすべく同じものを食べるようにしている。

 特にラインハルトはそれを好み、諫言されることすらある。

 

 食べやすい、長さ12センチ・太さ7センチ程度の、ボートのようなパン。薄紙で包まれている。

 ボートの中には、いくつかの塊がゴロゴロ入った、逆さにしてもすぐは垂れないほど固く煮られた熱いものが入っている。

 もうひとつ、同じボートのようなものにたっぷりと、生の米粒ぐらいの粒が盛られ、それがどろりとしたもので軽く固められている。

 ふたつそれぞれ違う匂いと見た目だ。

 不思議と食欲が高まり、相次いで手に握ったまま口に入れた。

 エンダーも、紅玉も、竜我雷も、シヴァ女皇も、ラインハルトも、デスラーも、グレゴールも、ギドも。

 ロイエンタールも、コーデリアも、オーベルシュタインも、キャゼルヌも、タクトも、古代守も、ルダも。

 瞬時に両方を食べつくし、沈黙が広がった。

 特に竜我雷は一瞬表情を凍らせ、恐ろしい微笑をごくわずかに紅玉に向けて、うまそうにほおばった。

「双……」

 ラインハルトが言葉を止めた。

「まさしく、双璧に勝る」

「ヤー」

 ロイエンタールとミッターマイヤーが、主君にうなずきかけた。

(自分たち二人を合わせたよりも、この料理人には価値がある……)

 認めたのだ。誇り高い、圧倒的な武勲と忠義で知られる二人が。

「駆逐艦の兵にこの味、何にもまさるな。ここにいるほどの者なら、なにとひきかえでも手放しはすまい」

 美食家でもあるデスラーが、静かに紅玉にうなずきかけた。

「でも、コスティおっかさんの菓子みたいに」

 言おうとした智王が、雰囲気を察して口を閉ざした。

「智王」

 空気を読まないことに定評のあるオーベルシュタインが説明を始めた。

「確かにあれは門閥貴族でも満足しよう美味。されど、あのように豪奢で美味すぎるものは、三度も続けて食べれば苦痛になります。毎日三度三度、何日も何月も食べ続けられるものでなければ、兵の食にはなりません」

 智王は恥ずかしがって目を伏せた。手元の器具に短いメールが届く。

『若いうちはガンガン間違えて、どんどん恥をかきましょう。最後に大きく育っていればよいのです』

 だれが送ったのかは書かれていない。

「これならば兵が何日も毎食食べ続けられる。士気を保てる」

 ミッターマイヤーが太鼓判を押す。

「あの糊もどきを軽く発酵させ、精製した虫バターを少し折り混ぜて焼いたか」

「バター虫そのものも食材としている」

「虫バターで練った魚卵のようなもの、実に濃厚な旨味だ」

「これだけを塩漬けすればシャトー・ピカールに合うであろう」

「あのピンクの肉もどきを、精製した虫バターで揚げたのか。バター虫そのものを加え、歯ごたえを補っている」

「紅玉さま、大いに面目をほどこしましたな!」

 ビッテンフェルトの大声に、紅玉は美しい笑みを浮かべた。

(さすがだ、苦笑の気配をいささかも漏らしてねえ)

 雷はそれを見て、ものすさまじいライバル意識を燃やした。

 

 翌日、素材とレシピを明記したメールが全員に届いた。

 もう、吐きようもない。尻から出てしまっている。そして吐くような者、非難するような者は、この宴に招かれた中にはいなかった。

 その有用性がわからぬほどおろかな者は。

 べつのこともわからぬほど、おろかな者もいなかった。自分たちが試されたことが、

(わからぬ……)

 者も。

 

 

「くそおっ、これが、このゴキとバター虫があのときにあればあっ!」

 ダスティ・アッテンボローはアレックス・キャゼルヌに絶叫した。

「そうだな」

「いや、違うんだ!なんで、食料や部品を作れる艦を作って、それとともにいかなかったんだ!」

「いくら、何年かかると思ってるんだ。そんな時間と金を出すほど正気なら……帝国と手打ちしてたろうよ。いや俺に批判する権利はない、俺も戦犯だ!」

 キャゼルヌは憮然として後輩のわめき声を聞いた。アッテンボローが、それを配慮する余裕もないことは知っている。

 わめかせるだけわめかせた。

「もういいか?明日からの事を考えろ。お前の今の将兵に、これと同じぐらいうまい飯を食わせろ。できなかったらウランフ元帥が、お前が死なせた味方がみんなで化けて出てくるぞ」

「わかってるよ先輩!化けて出てきてくれえっ!」

「それにしても紅玉公はすごい。あの文明水準で戦国乱世をやっていれば、そりゃ都市ぐるみ、艦隊ぐるみ飢えることもよくあるだろう。

 だがその非常のためのとんでもない食物を、きちんと知って活用するとは……しかもあのひとは竜我雷王のような雑兵あがりでもない、姫君育ちなんだぞ」

「……」

 アッテンボローは目をぎらぎらさせて、その恐ろしさを痛感した。

 

 

「ちょっと待てよ……」

 五丈の天才軍師である大覚屋師真は豪商の長男。贅沢三昧、贅沢を通り越した悪食にも手を出したことはある。

 だがさすがにこれは衝撃だった。かろうじて吐き気をこらえたが。

「知ってやがったな!」

 主君竜我雷の反応を思い出し、かみついた。

「ああ知ってたよ。いやというほど。狼刃元帥に師団をもらって智に突っこんで……見事に兵糧攻めを食らったからな。智の飢えた人間が食うものは、それこそいやっていうほど知ってんだよ!

 ちくしょう……やりやがった……あれをあそこまでうまくする戦場料理人、どれだけの価値があるか……」

「李八というらしいな。恐ろしく紅玉個人に忠実だ」

「ちっ、聞いたことがある。鼻なしで、艦の台所を守ってとんでもない戦いをしたって」

 

 

 メールに添付されていた、食材の生態図鑑。

 

 バター虫は、皆も知っていた。マーク・ピエール・ヴォルコシガンが留学先で知り合った遺伝子の天才が作った社会性昆虫。あらゆる……地球産であっても、なくても……植物性有機物を食べてシロアリのように共生微生物の力で分解、ミツバチがハチミツを貯めるようにバターを貯める。そのバターには人間が必要とする全栄養が含まれ、無味無臭でどうにでも料理できる。

 それはさらに改良され、水素とアンモニアとミネラル少々から無限の栄養を生み出し、バガーなどのエイリアンも養っている。

 その虫バターと、虫そのもののサナギが食材として使われている。

 

 魚卵をさらに濃くしたような、塩麹の味を吸った粒。

 智の秘密兵器ともいうべきものだ。

 人が暮らして出た大量の汚水汚物、それに酸素を吹きこんで浄化した水をさまざまな用途に再利用する。その時に多量の汚泥が出る。活性汚泥と言われる、水に溶けていた栄養や洗剤さえも活用する、さまざまな微生物の巨大な集合体だ。

 智には、それを食べる虫がある。

 戦場で、あるいは兵糧攻めで、飢饉で……子を替え合って食うほどに飢えた時にのみ用いる者がいる。

 できるならば、ニワトリやブタの餌として。

 そのゆとりさえなければ、人が食うこともできる。

 かなり大型のゴキブリだ。

 

 汚泥を貪欲に食べ、他の虫を排除し、十日も経たずに成長して百近い卵の入った卵鞘を産む。その卵鞘の重量は、成虫の1.3倍にもおよぶ。

 生む場所は汚泥にすぐ落ちることができる天井などに限る。汚れを産む場所から完全に落とし、産んだ卵鞘も消化液を吐きかけて滅菌する。

 そしてまた汚泥に戻り、食べては産む。

 産みつけられた卵は三日で孵化し、不完全変態……成虫と同じ形だが小さく透明な子が百近く汚泥に落ち、すぐに微生物だらけの濃厚スープを吸って育ち始める。

 その卵の栄養は、ニワトリの混ぜた全卵とほとんど変わらない。清潔だ。

 ニワトリやブタのような、雑食性が強い家畜の最良の餌となる。

 そして出自を考えなければ、人の食物にもなる。

 卵を産む、成長して出てきた幼虫が落ちる、そのタイミングはフェロモンでそろうので、まとめて卵を収穫できる。多くが同時に出ることで、捕食者がいても食べ残しが生き残るわけだ。

 

++++++++++++++++

 

 変な宴からしばらくしてのことだった。おれは、紅玉さまの命令で、五丈の竜我雷に貸し出され、ともに変なところに行くことになった。

「わかっているのだ……五丈に、お前の家族も殺されていると」

「ご命令なら、どこにでも行きます。誰のためにでもご飯を作ります。戦場でご飯を作るのが、おれの仕事です」

「ああ!……頼む」

 

 そこは不気味なところだった。地上かどうかもわからない。

 変な怪物がどんどん攻めてきた。

 五丈の兵が、強いのは知っている。身体で知っている。兄の訃報で知っている。

 でも、紅玉さまのご命令だ。

 とにかく、ご飯を作る。台所に攻めてくるやつがいたら戦う。

 きっちりご飯を作って配る。

 前線から、とんでもない声が響いてくる。雷……狼の面をした化け物だ、って話だったが、おれより若いぐらいの普通の男だった。歴戦の兵だった、どう見ても雑兵出身の。すげえ食欲だった。

 でかくて強い将もいた。

 ひたすら仕事をした。

 みんな疲れ、腹を減らし、痛くて苦しい。それはどこの戦場でも、どこの人でも同じだ。

 ただご飯を作る。食べさせる。食材をきっちり受け取る。みんながちゃんと食べるようよく見る。

 横流しに目を光らせる。酒を造るような糞野郎の気配を見る。薬の気配を見る。

 残していないか見る。残し具合から、将兵の身体の調子、心の調子がわかる……それを報告したら、紅玉さまがちゃんと聞くように竜我雷も聞いてくれた。

 今日明日は揚げ物はやめろ、今日の体調なら重湯がせいぜいだ、酒を飲むな、と言っても聞いてくれた。

 

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 戦後、竜我雷は、李八の功を高く賞した。

「くっそ……あいつを貸してもらってなかったら絶対死んでた!何とひきかえても惜しくねえっ!欲しいっ!

 そして正宗は絶対、李八にどれだけ価値があるかちゃあんとわかってるんだよおっ!」

「まさに、多元宇宙屈指の……異形ではあるが、才だな」

「まったくだ……全員の体調を完全に把握しやがった。無理をしなくちゃならなくて、残さずに捨てても見抜かれた。虚勢も何も通じやしねえ、膳は正直だ、ってよ。

 兵の薬物中毒も、酒で壊れる前兆も見抜きやがった。心が潰れそうな兵を見つけてしっかり休ませ、食い物を変えて治した。

 バケモノに台所まで攻めこまれたとき、戦うあいつのすさまじさ……」

 師真は嘆息するほかなかった。

 

 

「李八に、何をもって報いればよいか……」

 今や正宗の名も、智も弟王に譲り〔UPW〕にある紅玉は苦慮している。

 飛竜が緊張している。

「まぎれもなく第一級の功績、認めるにやぶさかではありません。……忠義も」

「ああ。腹が減っては戦はできぬ……それをやりぬいてくれた。

 一国でも足りぬ、師団でも足りぬ。だが、狼刃が竜我にそうしたごとくかれに師団を与えれば、師団もかれもわれらも滅びる」

「御意」

「金など、今の世に何の価値があろう……日に何万もの惑星の生産を上回る生産力があるというのに」

 そう言って紅玉は、飛竜の目に浮かんだ疑いを見た。

「ふ、私の身体?こちらから頼みたいほどだが、それも違うのだ。

 かれに正しく賞することに比べれば、〈混沌〉とのいくさも天下も、いかにたやすいことか……」

「は」

 飛竜は圧倒されていた。

「……今の仕事でこそあれは輝く。それを少し広げ、爵位を……またかれの一族の者は、腐れがかれに及ばぬよう離しつつ衣食に困らぬよう遇せ。勘違いをさせるな」

「は」

「そして、私の遺伝子と彼の遺伝子をあわせ、できうる限りの才を持つよう書き換えて、一族の者の胎に下賜せよ……それしかしてやれぬ」

「はーっ!」

 

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 とにかく、新しい技術があれば、新しい食材もある。

 新しい学問も覚える。

 どうなろうと変わらない。おれは、紅玉さまのために仕事をする。

 顔も膝も治してもらった。オーベルシュタインどのの眼と同じく。

 頭の中にもコンピュータが入ってる。いつも、バガーが一体入ったドロイドが一緒にいて、色々助けてくれる。

 でも、どうでもいい。

 艦のみんなが、おなかいっぱい食べて、元気に戦えるようにご飯を作る。それだけだ。




今回はなぜか書いていて涙が少し出ました。

戦国後期。
小領主が集まった代表から、中央集権の独裁者。
農繁期は戦えない農民兵から、常備軍。
仮名目録。分国法。楽市楽座。
いくつもの「なろう」小説で特に強調される、社会の変化。

さらに鉄砲という技術も加わる。以前から製鉄技術が向上し、鉄による開墾・土木もある。南蛮からアマルガム法も入る。

社会構造も、技術水準も大きく変わる時代。
一人の雑兵の人生でも、変化は大きいでしょう。

そして今も、痛ましい名誉殺人の事件などで、別々の時代に生き技術の変化にぶつかった者の苦闘は報道されます。

いや、一般の日本人にとっても、今は社会が大きく変化し、技術も変化している時代なのでしょう。動きが見えづらいだけで。

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