ガーディアン・フリート❮はいふり×GAMERA❯   作:濁酒三十六

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長々と遅れてしまい申し訳御座いません。
ガーディアン・フリート十話更新です。


十話・海洋実習…全艦出港

 本日は晴天なり。海洋再実習当日となり、各晴風クラスの班は各々が乗艦する航洋艦~補給艦~練習艦で挨拶を済ませ、朝礼では宗谷校長が簡単な挨拶を新入生達に送られた。そして待ちに待った乗艦…、皆もう一度各々の艦に乗れた事を心から喜んだ。

 補給艦明石では野間マチコが班長として改めて明石の艦長に挨拶をしたが、彼女を憧れの視線で見つめる明石のクルー達に等松美海が“ガウガウ”と威嚇をしており、和住媛萌と青木百々は美海を抑えていた。

 練習艦比叡では立石志摩を班長として、声が小さく少々オドオドした彼女を日置順子達がフォローをし、他の晴風班も何とか上手くやれそうでいた。

 そして練習艦武蔵の柳原麻侖を班長とした晴風班も艦長であり、岬明乃の幼馴染みでもある知名もえか達クルーと改めた面会わせをした。

 

「あたいがこっちの晴風班班長の柳原麻侖でい、晴風じゃあ釜炊きぃ…機関長の役職だぁ。

隣のレオちゃんとルナちゃんはあたいと同じ機関科でこっちの“つぐ”と“うだ”は……、ドコだっけ?」

 

 首を傾げ、苦笑いをする麻侖に八木鶇と宇田慧は猛抗議をする。

 

「も~、私が電信員でめぐちゃんが電測員!」

「それに“つぐ”と“うだ”ってナニい!?」

 

 もえかは麻侖達のやり取りを面白く思い、含み笑いをして見せた。

 

「フフッ、皆さん楽しい人達だね。

私は武蔵の艦長をしてる知名もえかと言います。よろしくね、晴風の皆さん?」

「おう、此方こそ海洋実習の間たのまあ。」

 

 もえかと麻侖は親交を深める為に互いに握手を交したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドイツの留学生艦であるアドミナル・グラーフ・シュペーでは岬明乃達四人がシュペー艦長~副長と挨拶を交わしていた。先ずは相手艦長と思しき背の高い金髪の少女に敬礼をし、自己紹介をする。

 

「改めまして晴風班班長…岬明乃他三名、本日よりドイツ艦アドミナル・グラーフ・シュペーに研修着任致します。

よろしくお願いいたします。」

 

 明乃の左側に控えていた宗谷ましろと知床鈴…納沙幸子も続いて敬礼をし、金髪の少女も四人に敬礼を返した。

 

「“儂”はアドミナル・シュペー副艦長の“ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルク”だ。

そして此方が……、ん…?」

 

 ふと、自艦の艦長を紹介しようとしたシュペー副艦長のヴィルヘルミーナは晴風班の四人がマジマジと自分を見つめているのに気付いた。

 

「何だ、“儂”の顔に何か付いているのか?」

 

 ヴィルヘルミーナに聞かれ明乃達は困りげに苦笑いをして取り敢えずましろが代表して彼女に尋ねた。

 

「どうして…、一人称が…“儂”…なのでしょうか…?」

 

 するとヴィルヘルミーナは嬉しげな笑顔となり何処から出してきたのか、一本の市販BDを手に持ち答えた。

見た所日本の映画なのだが明乃~ましろ~鈴はタイトルを見た途端に固まり、幸子は瞳を爛々と輝かせた。

 

「日本語を覚える際にこの“仁義なき航路”と云う映画を教材にしたのだ!

なかなか燃える内容なのでシリーズ全てを観賞した。お前達の中で観た者はいないか?」

 

 自分と同じ映画のファンがいるのではと期待の眼差しを向けるヴィルヘルミーナを明乃達は困り顔で互いを見合った。ましろも鈴も首を横に振り、明乃も首を横に振った。…が、正に自分の出番とでも言いたげに納沙幸子がヴィルヘルミーナと向かい合い、乱暴な言葉遣いで話し出した。

 

「そいつぁ“仁義なき航路”最大の戦いとなった~シリーズ四作目…ブンさんが死んでまう回やな。なかなかえ~回じゃああるがファンを名乗るんなら紹介するは“横濱暴れ船抗争”が基本や。あの回が一番船団戦が多いからのう~、ファンの中で一番見所が多いと評判じゃあ。」

 

 突然出てきた幸子の“仁義なきシリーズ”への思いにヴィルヘルミーナは目を輝かせてやはり乱暴な言葉遣いとなり幸子を見つめた。

 

「儂はヌシん様な“オナゴ”を待っちょった、名は何と言う!?」

「納沙幸子や、よろしゅう頼むで、兄弟!」

「お互いにのう、時間が合うたらBDでも見ようや!」

 

 ドスを利かせた口調ではあるがお互いに趣味を語り合える友を見つけたのか、両手を握り締め合い乙女チックに瞳を輝かせた。

 

「ドスッ、ドスッ、ドスッ!」

 

 …と、其処でヴィルヘルミーナのお尻を“ボスボスボス…”とパンチを打つ小さな少女がいた。背丈はヴィルヘルミーナの肩よりも小さく彼女と同じ軍服にマント…そして艦長帽を被った“もしかして”と思われる少女であった。ヴィルヘルミーナは青醒め、背の小さな軍服少女に敬礼をしてドイツ語で謝罪した。

 

「ハアッ、ももも申し訳御座いません“テア”艦長!

早速晴風班に貴女を御紹介致します!」

 

 テアと呼ばれた軍服少女は“ウ~”と唸り頬をフグの様に膨らませていたが彼女の言葉に気を取り直しちょっと涙が滲んだ目尻を拭いて明乃と向き直り、ヴィルヘルミーナが一度コホンと咳払いをして脳内を切り替えシュペー艦長を紹介してくれた。

 

「しょ、少々遅れてしまったが…紹介する。彼女が我等が艦の艦長…テア・クロイツェルだ。」

 

 紹介を受けたマント姿の軍服少女は軍帽を取り、その背丈に見合った可愛らしい顔を明乃達に見せた。

 

「わたしが紹介にあつかった、アドミナル・グラーフ・シュペー艦長の、テア・クロイツェルだ。

まだ“ミーナ”ほど日本語はできないが、海洋実習のあいだ…よろしくたのむ。」

「此方こそ、宜しくね。

テア艦長だから…、テアちゃんでいいかな?」

「かまわない、好きな呼び名でよんでくれ。」

 

 明乃とテアが握手を交わし、同時にましろ達とシュペー乗組員から拍手が湧いた。そして全練習艦が横須賀港を出港し、横須賀女子海洋学校新入生海洋実習が再び開始されたのであった。




“艦これ”の参戦は取り止めました。皆さん、困惑させてしまいすみません。御意見をくれた東海さん、ジークさん、感謝…ありがとうございます。

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