ボーボボたちが幻想入り   作:にゃもし。

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博麗神社の巫女

 

 

博麗 霊夢(はくれい れいむ)、彼女は博麗神社の巫女であり『空を飛ぶ程度の能力』という異能を持った少女であるが……如何に彼女とて始めからこの能力を使えたわけでもなく、凡人には到底達成が困難な修行の果てに身につけた物である。

 

 

だが、この幻想郷には空を自由自在に飛ぶ存在は多々おり、地上から上空にいるそれらへ向けての対空攻撃はやや難しく厄介である。

 

 

そして件の巫女は面倒事が大っ嫌いである。

 

 

彼女は対抗手段として、また便利な移動手段として空飛ぶ海亀である『玄爺(げんじい)』を捕獲。

以降、玄爺の背に乗って異変を解決していた。

 

 

しかし、特異な力を持った人外の存在とはいえ玄爺は高齢の “ 亀 ” である。

力の弱い妖怪、妖精なら兎も角……大妖怪や、はたまた神の端くれ等と力ある者と戦闘することになれば…? 近づくだけでも命を削る行為となる。

 

 

それに空中戦で玄爺がやられ霊夢が宙に投げ出されれば…?

その結末は言わずもがな、である。

 

 

「そんな霊夢に朗報よ♪」

 

 

当然、霊夢の身を案じる知己が彼女のために行動を起こすのは必然といえよう。

幻想郷の管理者たる八雲 紫(やくも ゆかり)もそのうちの一人である。

紫の背後には彼女が連れてきたであろう三つの影が……

 

 

「ボーボボです」「天の助です」「首領パッチで―す♥」

 

 

「「三人揃って、不気味トリオで――――す♪」」

 

 

邪気の無いつぶらな瞳と陽気な声で自己紹介する三人組。

ボーボボと名乗った長身の男はかろうじて人間の姿をしているが、他の二人はどう見ても魑魅魍魎、妖怪の類いにしか見えない。

 

 

たっぷりと間を置いてから霊夢は酷く冷めた目で紫に問いただした。

 

 

「何、ソイツら?」

 

 

問われて三人は「テュキリュリ――ン」と白い閃光が額に走り、直後に後ろを振り向く。

そこには慌てて茂みの奥へと去っていく背中にトゲのある小さな妖怪の後ろ姿があった。

 

 

「チュパカブラか驚かせやがって、凶悪な花妖怪が出たと思ったじゃねぇか…」

 

 

手で額の汗を拭う首領パッチ。

過去に酷い目に遭ったことがあるのか、その身は恐怖で小刻みに震えていた。

 

 

「さっきの何!? …というか私はあなた達に対して言ったつもりなんですけど!」

 

 

 

 

 *** 紫、説明中… ***

 

 

 

 

神社にある居住区、その居間にてちゃぶ台を囲むようにして一同が座っている。

 

 

「――空を飛べるようになるための先生? コイツらが?」

 

 

「ええ、今後この先のことを考えれば必要になるでしょ? そのための先生たちよ」

 

 

「いらないわよ、面倒くさい。それに玄爺がいるし、今まで通りに背に乗ってやれば……」

 

 

「残念だけど玄爺はもう限界よ」

 

 

紫の言葉を待っていたかのように、襖が開かれて……両手にある松葉杖で床を突きながら器用に二足歩行する海亀――玄爺が現れた。

 

 

「霊夢、貴女が敵の攻撃を防ぐために玄爺を “ 盾 ” として使っているせいでボロボロなのよ」

 

 

「ごめんなさい」

 

 

霊夢は頭を下げて謝罪し、顔を上げると真摯な眼差しで言う。

 

 

「でも紫、これには深い訳があるのよ」

 

 

「どんな理由があるのよ?」

 

 

「だって当たると痛いじゃない?」

 

 

「「 避 け ろ よ 」」

 

 

 

 

 *** 一同、移動中… ***

 

 

 

 

「いきなし『空を飛べ!』と言われても、凡人がいきなし空を飛べるようになるわけがない」

 

 

境内にある広場霊夢とボーボボたち三人が向かい合うように対面、玄爺と紫ら二人は神社の縁側で茶を啜りながらその様子を見守っている。

 

 

「そこで、この補助道具を使う」

 

 

そう言ってボーボボが取り出したのは柄の長い箒。

それを首領パッチの頭の上にポンと置くと……首領パッチが勢いよく急上昇。

首を上げるのが辛くなるほどの高さにまで達すると花火のように弾けて、消えた。

 

 

「さあ、次は霊夢の番だ」

 

 

「あれを見て、やるわけないでしょ」

 

 

真面目な顔で箒を押しつけてくるボーボボ……霊夢は彼の持つ箒を片手ではたいて落として拒否。

暫し睨み合う二人、が直ぐにボーボボは後ろを振り向く…

 

 

「残念ながら俺たちではこのじゃじゃ馬を御することはできないようだ。紫、悪いが他をあたってくれ…」

 

 

そう言い残して夕陽を背景に神社から立ち去るボーボボたち三人と、彼らの背中を黙って見送る霊夢たち…

 

 

 

 

 *** 時は進む… ***

 

 

 

 

「――――こうして、その時代の巫女は『空を飛ぶ能力』を身につけて、以降の異変を解決していったのよ…」

 

 

同じ名前の、しかし別人である霊夢が語る。

 

 

「イヤイヤ! 覚えた場面なかったよね!? ボーボボたち、あっさり諦めたよね!?」

 

 

片手をパタパタと振って否定するビュティ。

その後ろにいる面々も「ウンウン」と頷き、ビュティの意見に同意する。

 

 

「期待してたとこ悪いけど……うちの神社にある文献とか歴史書物じゃあ、こんな物ぐらいしかないわよ? ましてや1000年以上も前の出来事を綴った物なんて幻想郷内にあるのも疑わしいわね」

 

 

「そんなあ、ここに手掛かりがある可能性が高いから来たのに…」

 

 

傍目からでも分かるほどに肩をがっくしと落として落胆するビュティ。

そんなビュティに霊夢が妙案を出す。

 

 

 

 

「でも、1000年以上生きた妖怪たちなら話は別よ?」

 

 

 

 




 
 
(´・ω・)にゃもし。

読んでくれて Thank You 

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