ボーボボたちが幻想入り   作:にゃもし。

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2015 / 06 /30 に投稿した「茨木華扇とハジケリストたち」を修正加筆したものです。


茨木華扇とハジケリストたち

 

ここ幻想郷に鉄道が敷かれてからというもの、時折だが旅人たちが訪れるようになった。

もっともやって来るのが善人とは限らない。

お世辞にも善人とは言い難い連中は幻想郷の管理人である八雲紫などが追い返している。

今回、幻想郷に入ってきた者たちは何の問題もないという話になるわけだが…

 

入り口にある首領パッチ像に抱きついて号泣する男を見て私は思った。

 

 

“ ダメだろ、コイツ ” …と。

 

 

私の中の警鐘が鳴り止まない。私はその男の存在を無視して人里へ入る。

 

 

 

 

【 少女回想中 】

 

 

 

 

私がそいつらに会ったのは人里。

 

――人里で妙な三人組がいる。

 

風の噂でそのこと耳にした私は彼らがよく出没するという場所に足を運んだ。

その三人組は物凄く目立っていて、大した手間も時間もかからずに見つかった。

私はそのうちの一人である、身体が “ ところてん ” でできている「天の助」に接触を試みる。

 

 

「ビュティじゃないか! お前もこの世界に来ていたんだな!」

 

 

その人物は親しそうに私、茨木華扇(いばらきかせん)に声をかけてきた。

無論、私が知るわけがない。

 

 

「ちょっと待ってろ、ボーボボ呼んでくるから」

 

 

「ちょっと待ちなさい! あなた!」

 

 

制止の声も何のその、私をその場に残していなくなる。

ボーボボという人物を連れてくるのだろう。

天の助に人違いされたが当初の目的、連中と会うことを考えて、私は待つことにした。

 

暫くしてから天の助が去った方角から土煙を巻き上げながら爆走するバイク集団が現れる。

そのバイクに跨がっていたのは人ではなく、人間大の野菜に細長い手足が生えた連中だった。

 

 

「なんか変なのが来た――――っ!!!?」

 

 

彼らは「関東野菜連合」のノボリを立てて、脇目も振らずに真っ直ぐこちらに爆走。

先頭を走ってるのは鋭利なサングラスをかけたニンジン。

その後ろにある荷台には木製の十字架に磔にされた天の助とアフロの男。

どちらも暴行の跡がくっきりと残されている。

 

 

「なんかやられてる――――っ!!!?」

 

 

ニンジンが「全体、止まれ!!!!」と指示を出すと一同がバイクを横滑りさせながら急停止。

その勢いでアフロの男を「べちゃっ」と乱暴に地面に落とし、その上に天の助も落とす。

 

 

「次、ピーマン残したら、この程度じゃすまねーぞ、わかったか?」

 

 

ニンジンがそう言い放つと「しゃー!!! いくぜ野郎共!!!!」の掛け声を残して去っていった。

 

 

「……だって、しょっぱいじゃんかよ…」

 

 

アフロ男はサングラスの隙間から涙を垂れ流しながら呟くと、力尽きたのか地面に突っ伏したまま微動だにしなくなる。

 

さすがに重傷の連中を放って置くことはできず、彼らに近寄ると…

アフロ男の方が急にムクッと上半身を起こし、こちらを無表情でじっと見つめる。

 

 

「おお、ビュティじゃないか!」

 

 

パアッと大輪の花が咲いたような笑顔で話しかけてきた。

ボロボロ同然の服装が元通りに、体につけられたキズもキレイさっぱり治っている。

以前の異変で戦ったことのある妹紅、彼女と同様に再生する能力があるのか…?

 

 

「残念ですけど私はあなた方の言うビュティでがはなく、茨木華扇という行者です」

 

 

間違いを訂正するも…

 

 

「なあボーボボ、あそこにいるのは首領パッチじゃないのか?」

 

 

「ああ確かにいるな、あのバカ」

 

 

「……………………」

 

 

聞いていなかった。

彼らの視線の先には橙色のコンペイトウに手足が生えた変な生き物が人里の自警団に尋問でもされているのか、涙を流している。手には何故か壊れた傘を携えて。

天の助からボーボボと呼ばれたアフロ男はアゴで指すと…

 

 

「仕方ない。ビュティ、あの非常食をさっさと引き取ってこい」

 

 

「非常食!? あれが!? それに私はビュティじゃないって言っているんですが!?」

 

 

…とはいえ放置するのも気が引けるので重い足取りで自警団のところに向かう。気は進まないが…

 

 

「だから空からじゃわかんないって言ってるでしょ?」

 

 

「だって本当なんだもん」

 

 

件の首領パッチと自警団の女隊長はそんな会話のやり取りをしていた。

首領パッチは私の接近に近づくと泣き止み、嬉しそうな顔で…

 

 

「あっ! ママ!!」 …と宣い。

 

 

「お宅のお子さんですか?」

 

 

「いえ、非常食です」

 

 

質問してきた自警団の女性に私はスゴく冷めた表情で冷淡に答えた。

首領パッチは私の答えた “ 非常食 ” という単語に驚いて固まる。

 

 

「困りますよ、非常食はキチンと管理してもらわないと…」

 

 

「すいません。以後、気をつけます」

 

 

――こうして私はコイツらと出会ってしまった。

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 約1年前の作品だったことに驚いた。

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