ボーボボたちが幻想入り   作:にゃもし。

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2015 / 07 / 07 に投稿した「慧音 meet ドンパッチ」を加筆修正したものです。


慧音 meet 首領パッチ

 

それは何の前触れもなく幻想郷にやって来た。

口紅を厚く塗った怪生物が「るんるん♪」と大通りのど真ん中をスキップしながら進んでいる。

途中で立ち止まったかと思えば、顔を赤くして不気味な人形を地面に何度も叩きつける。

 

そんな光景に遭遇した人間たちは唖然とした表情で遠巻きに眺めていた。

それが再び歩き出すとモーゼが海を割るかの如く人垣が二つに割れていき道が出来上がる。

 

 

 

 

はーい♪ みんなのアイドル兼ヒロインのパチ美よ~♪

なんかいろいろあって幻想郷ってとこにボーボボ、天の助と来たんだけど―…

途中で二人とはぐれちゃったのよネ―、あっはっはっは―。あとでぶっコロ―ス。 

 

そんなこんなで人里を歩いてるんだけど~

さっきから里の人たちがチラチラこっちを見てくるのよ―

モテる女ってツラいわ―

 

あらら、あんなところで子供たちが遊んでるわ。可愛いわねぇ…

いずれは私もやっ君と…… キャー! 私ってば大胆♥

 

 

 

 

道を挟んで向かい合う少年少女たち。

一人の男の子が女の子たちに手を振って呼び掛ける。

 

 

「おおーい、僕も仲間に入れておくれ―」

 

 

「ワガママ言うからダメだワサ、べー」

 

 

「そんなこと言わないで……」

 

 

それでも諦めきれずに彼女たちの下へ走って駆け寄る。

その子供たちの間を首領パッチが遮るようにして横切っていく。

少年は避けきれず軽く衝突、その際に首領パッチの体に泥がついてしまった。

 

 

 

 

   ト" ト" ト" ト" ト"     ト" ト" ト" ト" ト" 

 

 

 

 

水を打ったように静まり返り、心臓の鼓動に似た音だけが響く。

首領パッチの目元には鋭利な形のサングラスがかけられていて、劇画タッチの表情で佇んでいた。

少年は突如現れた存在に言葉を失い、首領パッチについた泥を見て顔を青くする。

罵倒を浴びせられると感じたか、身をすくませる少年。

だが首領パッチの口から出てきた言葉は…

 

 

「ボウヤ、泣かなかったのね。偉いわねぇ、ケガはない?」

 

 

劇画タッチの顔から一転。

パーマをかけた買い物帰りの主婦の格好と表情で優しく声をかけてきた。

子供たちと事の成り行きを見守っていた見物人は安堵する。

 

 

「ボウヤ、君いくつ? 4才? ふ―ん、偉いわねぇ…」

 

 

少年は質問に笑顔で答えると……突然、首領パッチが憤怒の形相に変貌する。

 

 

「それじゃあ、ブン殴ったって、いいよなぁぁぁっ!?

 大事なズボンに泥つけやがって! テメ―が弁償すんのかよ!?」

 

 

首領パッチは最初からズボンを穿いていない。

全くの言い掛かりである。

 

 

「働いて弁償するたって、テメ―が働けるようになるまで俺は何年待てばいいんだよ!?」

 

 

周囲から甲高い悲鳴が沸き起こる。

首領パッチが握り締めた拳を高く掲げたのだ。

多少の例外はあるものの幻想郷に住んでる人間たち以外の住人は “ 人間よりも強い ”

況してや相手は子供。人外の存在から暴力を振るわれば一溜まりもない。

 

 

助けを求めるために一人の少女が走り出す。

人里の守護者であり、寺子屋の教師をしている上白沢慧音の下へ…

 

 

 

 

【 少女移動中 】

 

 

 

 

寺子屋にいる慧音の下に一人の少女が駆け込んできた。

騒ぎを目撃していた少女の一人だ。

慧音は彼女から事情を聞き、急ぎ足で向かうと…

 

 

「何、これぇぇ――――っ!!!?」

 

 

現場に着いた慧音が目にしたのは、件の妖怪を木製の十字架に磔にして、両手に持った松明で足元にある薪に火をつけようとしている子供たちの姿。

少女の語る、少年を虐げる妖怪の姿はどこにも見当たらない。

 

 

「すいません。自分、調子こいてました。

 毎月口座に振り込みますので、もう赦してください…」

 

 

心が折れたのか全身のトゲをしならせ、アザだらけの顔で子供たちに懇願する。

 

 

「こらっ! 火はやめないか! 火は!」

 

 

慧音が慌てて止めに入り、彼女に気づいた子供たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 

 

「ハッハ―、アイツら口ほどにもねぇぜ! この俺様を恐れて逃げやがった!

 おい、そこの変な帽子を乗っけた青いの! とっとと俺様を解放しろ!」

 

 

子供たちがいなくなった途端に態度を豹変。

ついでに萎びれたトゲも元の鋭さを得る。

 

 

「解放するのは構わないが、お前は近頃人里を騒がせてる『関東野菜連合』の一員なのか?」

 

 

関東野菜連合のメンバーは人間大の野菜に細い手足と顔がついたよくわからん連中である。

目の前のコレがどことなく似ていなくもないと感じたのか慧音は尋ねてみたのだ。

慧音の記憶には刺々したオレンジ色の野菜の知識はないが…

 

 

「ああん? 『関東野菜連合』って何だよ?」

 

 

「知らないのか? 野菜に手足がついた連中で、野菜を残すと何処からともなくやって来て集団で暴行を加えていくんだ」

 

 

「ハッ、野菜に手足に暴行って、何言ってんだテメーは? バカじゃねぇの?

 さては脳にいく栄養分が胸の方に行ったんだろ、テメー?」

 

 

慧音の胸を直視しながら人を小馬鹿にするように「あひゃひゃひゃ」と笑い始める。

笑い続ける首領パッチの目の前で慧音の服装が青から緑に変化。

さらに頭部に二本の鋭い角が生えて、尖端を首領パッチに向けて――――猛突進。

 

 

 

 

『  ハ リ ケ ー ネ ミ キ サ ー !!!!  』

 

 

 

 

「満月でもないのに変身してるんですけど――――!?」

 

 

二本の角から激突。

十字架が衝撃に耐えきれずに粉々に砕かれ、首領パッチはきりもみ状態で打ち上げられる。

やがて受け身を取れぬまま、大の字で頭頂部から地面に落下。激突の際「げふっ!?」と吐血。

白目を剥いて口から泡を吹き、全身をピクピクと痙攣させる。

 

 

 

 

【 回想終了 】

 

 

 

 

「――――とまぁ、それ以降連中が人里で何か騒ぎを起こすたびに私が駆り出されるようになってしまったんだ…」

 

 

どこか遠い目で虚空を見つめる慧音。

 

 

「それはその何と言うか、御愁傷様です……」

 

 

ビュティは苦笑いしながら、そういうしか他なかった。

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 こんな感じに纏めようと思うんだ。
 過去の作品だけでなく、新しいのも書きたい。
 「ゆっくり魔理沙が逃げ出した」とかを…

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