機動戦士ガンダムSEED 焔を刻む銀のロザリオ   作:ファルクラム

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PHASE-20「悲しき道化は舞台で転ぶ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いを終えた機体が、次々と母艦に帰還してくる。

 

 激しい戦闘を終えたモビルスーツは、どれも大なり小なり損傷を負った状態であり、中にはパイロットが負傷しているのか、見るからに頼りない調子でフラフラと飛んでくる者までいる。

 

 大西洋連邦軍ハワイ基地攻撃作戦を完了したオーブ共和国軍艦隊は、群島を掠めるような航路で反転し、進路を南へと向け帰還の途についていた。

 

 元より、今回の攻撃はハワイを占領する為の物ではない。あくまでハワイの基地機能を徹底的に破壊し、拠点として使用できなくするための攻撃だった事を考えれば、攻撃終了後の速やかなる撤退は必要条件でもあった。

 

 戦闘には勝利したとは言え、オーブ軍も無傷ではない。多くの機体が損傷し、犠牲者の数も決して少なくは無い。そんな攻撃直後の消耗した状態で、万が一にも敵に捕捉され、攻撃を受けでもしたら目も当てられない大惨事になる事は明白だった。

 

 その為、オーブ艦隊は攻撃隊を終了し、速やかな反転を行っていた。

 

 シンのエルウィングも、母艦へと帰還していた。

 

 戦闘前半では苦戦する味方を方々で掩護し、後半ではデストロイの後継と思われる巨大機動兵器撃破と、八面六臂と言って良い活躍を示したシン。特殊部隊一個中隊を率いる隊長としての役割は十二分に果たしたと言える。

 

 機体をメンテナンスベッドに固定したシンは、ラダーを伝って格納庫の床へと降り立ってきた。

 

 そこへ、待ち構えていたかのように駆け寄ってくる影があった。

 

「シン、おかえり。お疲れ様」

 

 弾むような女性の声を聞くと、シンは顔を綻ばせて振り返る。

 

 その視線の先には、整備兵の繋ぎを着た女性がシンに笑顔を向けて立っていた。

 

「ただいま、リリア」

 

 女性の名はリリア・クラウディス。フリューゲル・ヴィント第3中隊付きの整備班長を務めており、シンにとっては3年来の付き合いがある、年上の彼女である。

 

 笑顔で応じるシンと並んで、リリアは歩き出す。

 

 付き合い始めたのは3年前からだが、知り合ったのはもう少し前である。

 

 リリアはかつて、シンにとっては保護者のような存在だった。地球軍のオーブ侵攻によって両親を失い、妹のマユと共に路頭に迷いかけていたシンを、何かと気にかけて面倒を見てくれたのがリリアだった。

 

 互いに抱いていた親愛の情が、やがては男女として意識し合うようになり、3年前の戦いを共に戦いぬいた後、2人は恋人同士として正式に付き合うようになったのだ。

 

「聞いたわよ、すごい活躍だったんだってね」

「別に、いつも通りだよ」

 

 称賛するリリアに対して、シンは少しそっぽを向くようにして返事を返した。

 

 そんなシンの反応を見て、リリアはクスッと笑う。素っ気ない感じの返事だが、それが照れ隠しである事を、恋人であるリリアは知っているのだ。

 

 成長しているようでも、そう言うところは子供の頃から変わっていなかった。

 

「エルウィングの調子はどう? 何か不具合とかは出ていない?」

 

 話題を変えたリリアは、シンの愛機について聞いてみた。

 

 シンが愛機にしているエルウィングは、リリアが主導して設計した物である。

 

 マユが除隊した事で、シンの戦力低下を危惧したリリアは、カガリを通じてプラント政府と交渉し、デスティニー級機動兵器の設計図を入手した。

 

 当初は、かつての愛機であるフェイトをレストアすると言う案もあったのだが、イリュージョン級機動兵器は、あくまでオペレーターがいて初めて真価を発揮する機体である。それを考えれば、仮に複座のコックピットを単座に改装したとしても、戦力が低下する事は否めなかった。

 

 それよりも、既存の機体データをもとに全く新しい機体を建造した方が、長く戦力を維持できると言う意味では得策であるとリリアは考えたのだ。

 

 そうして手に入れた設計図を基に建造されたのがエルウィングである。

 

 大まかな部分は、そのままデスティニーの設計をコピーしてスペックをバージョンアップさせたのだが、リリアはあえて、デスティニーの主力兵装の一つだったパルマ・フィオキーナはオミットした。

 

 接近戦では絶大な威力を発揮するパルマ・フィオキーナだが、反面「隠し武器」としての要素が強く、その使用に関しては戦術思想が限定され過ぎていると考えた為である。それよりも、腕部のシステムを簡略化する事で、余剰となったスペースを利用し駆動系統を強化、サーベル戦術の向上を図った。

 

 主武装となる対艦刀について、当初リリアはフェイトが装備していたミストルティン対艦刀をコピーした物を考えていたが、これは他ならぬシン自身の注文で変更される事になった。

 

 シンの考えでは、12メートル級の対艦刀であるミストルティンは刀身が短く取り回しが効きやすいが、その分威力はアロンダイトやティルフィングと言った15メートル級の対艦刀に劣る。使いやすい剣を求めるなら、普通のビームサーベルを装備した方が効率的であり、対艦刀に求める物は使い易さよりも威力である。との事だった。

 

 これを受け、リリアはアロンダイト対艦刀の設計図を踏襲し、更に新規に生成されたレアメタルを刀身に用いる事で耐久性を向上させた、ドウジギリ対艦刀を完成させたわけである。

 

 こうして完成したエルウィングは、オリジナルのデスティニーに比べればややシンプルな印象があるが、戦闘力その物は大きく向上していると言う評価を得ていた。

 

「リリア、頼みがある」

 

 シンは足を止めると、リリアへと向き直る。

 

 出会った頃は、リリアの方が背は高かったのだが、今では頭一つ分くらいシンの方が背が高い。今は完全にリリアが見上げる形である。こうして並んで向かい合うと、時間の流れと言う物を如実に感じる事ができる。

 

「エルウィングから戦闘中のデータを抜き取って、それを解析してほしい」

「良いけど、わざわざどうして?」

 

 それくらいなら簡単な話である。元々、整備の際には行う作業である為、手間もかからずにできる。

 

 尋ねるリリアに対して、シンは険しい表情のまま口をつぐむ。

 

「シン?」

「・・・・・・俺の、思い過ごしなら良いんだけどな」

 

 リリアの質問には答えず、シンは1人で呟く。

 

 あのハワイで戦った地球軍部隊だが、シンにはどうにも、敵が弱すぎるように思えたのだ。

 

 確かに新型機が多数配備されており、オーブ軍にも少なくない損害が出ている。特にあのデストロイ級機動兵器が齎したインパクトは、悪夢と言っても良いレベルである。

 

 しかしそれでも、シンは自らの内に生じた疑念を無視できないでいた。

 

「・・・・・・嫌な予感がするんだ」

 

 あまりに漠然としすぎている為、今のシンには自分が抱えている不安の正体が何なのか、具体的な説明はできない。

 

 ただ、座視すれば取り返しのつかない事になる。

 

 それだけは、確かなように思えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザフト軍所属の戦艦ビリーブが、ユーリア王女一行を乗せて、スカンジナビア首都オスロへと帰り付いたのは、月での戦闘が終わってから1週間ほどした日の事であった。

 

 既に国王アルフレートが倒れたと言う噂は巷間でも広まっており、スカンジナビア国内の人々は、抑えきれに不安の中で日々を過ごしていた。

 

 ビリーブは大気圏に突入した後は真っ直ぐにオスロへと向かい、そのままスカンジナビア軍に誘導される形で入港を果たした。

 

 ユーリアとしては居ても立ってもいられない、と言うのが実際の所なのだろう。入港して艦を降りるとすぐに、挨拶もそこそこにして迎えの車へ乗り込み、王宮へと向かった。

 

 無理も無い話である。月から地球へ向かう間、ユーリアはずっと思いつめた表情をしていたのだ。彼女としては自分の父親の安否を一刻も早く確認したいところであろう。

 

 一人、取り残される形になってしまったのは、エストである。

 

 エストは車に乗り込むユーリアを見送った後、1人でぶらぶらと港の中を見て回っていた。

 

 こうしてスカンジナビアに無事帰り付いた以上、ユーリア王女を護衛すると言うフォックスファングとしての任務は終了である。あとはスカンジナビア軍の方に任せてしまっても大丈夫だろう。

 

 普段なら、キラと2人で無事に任務を終えた事を祝う為、街にでも繰り出すところではあるが、そのキラも今はいない為、とてもそんな気分にはなれないでいた。

 

 そんな宙ぶらりんな気持ちを持て余していた時だった。

 

「まだ、ここにいたのか?」

 

 背後から声を掛けられ振り返ると、そこにはこの国最強の騎士が、呆れ気味な視線でエストを見詰めているのが見えた。

 

 無事に国に着いた事で、クライアスの任務もひと段落している。通常なら、一度軍本部に出頭して報告を行い、次の任務が決まるまでは待命状態に入る事になる。

 

 そんな中でクライアスは、エストに声を掛けて来たのだ。

 

「アーヴィング大尉、どうかしましたか?」

「あ、いや・・・・・・・・・・・・」

 

 首をかしげるようにして尋ね返してくるエストに対して、クライアスは言い淀んでみせる。

 

 船を降りたところでエストの姿を見かけたので追いかけて来たのだが、いざ追いついてみても何を話せばいいのか、とっさに思い浮かばなかったのだ。

 

 スカンジナビア最強の騎士であり、その端正な顔立ち故に国中の女性を虜にしたクライアスだが、しかし実際のところ、今まで女性と付き合った経験は皆無である。その為、目の前にいる少女を相手に、どのような話題を振ればいいのかとっさには分からなかったのだ。

 

 そこで、ふと頭に浮かんだ話題を振ってみた。

 

「あ・・・・・・キラ・ヒビキの事は、残念だったな・・・・・・」

 

 言ってから、「しまった」と後悔する。

 

 相方を失って悲しんでいる女に振る話題としては相応しくない話題であるのは確かだった。こんな事を言われた相手は、大抵の場合、怒るか余計に悲しむかのどちらかであろう事は、流石のクライアスでも想像がつく事である。

 

 しかし、他に話題が思いつかなかったのも事実である。

 

 恐る恐ると言った感じに見つめてくるクライアスに対して、しかしエストは、怒るでも悲しむでもなく、ただ淡々とした調子で言葉を返す。

 

「・・・・・・別に・・・・・・気にしていませんので」

 

 その返事に、クライアスは驚愕と共に、次に発する言葉を詰まらせた。返事の内容が、あまりにも予想の斜め上を行きすぎていたからだ。

 

 キラとエストの間にある、深い絆の繋がり。それをクライアスは、今回の旅で心の底から感じていた。

 

 旅が始まった当初、2人に感じていた侮蔑の念は、今のクライアスには無い。

 

 キラとエスト、2人の間には余人が決して入り込む事ができない程、濃く深い愛情が確かに存在していた筈なのだ。少なくともクライアスには、そのように感じられた。

 

 しかし、それがどうだ? キラが死んだとたん、エストはまるでキラの存在などどうでも良いと言うように、振る舞っている。その死に対して「気にしていない」とまでのたまった。

 

 よく見れば、ハッタリや嘘を言っているようには見えない。エストは本当に、心の底からキラの死を「どうでも良い」と思っているのだ。

 

 いったい、なぜそのように割り切る事ができると言うのか?

 

 クライアスはここに来て、ますますエスト・リーランドと言う少女の事が分からなくなりつつあった。

 

 そんな事を考えていると、今度はエストの方から声を掛けてきた。

 

「アーヴィング大尉、一つ質問してもよろしいでしょうか?」

「・・・・・・何だ?」

 

 脱力感にも似た感覚を味わいながら、クライアスはエストが指示した方向に目をやる。

 

「あれは、何なのですか?」

 

 エストが向けた視線の先には、数十名規模の男女が寄り集まった状態で、港の一角に集まって、たむろしていた。

 

 年齢や性別、服装、人種も様々で、彼等の間には統一感と言う物が全く見い出す事ができない。唯一、共通点と言えるのが、あの場にいる全員が、ぎらつくような殺気を惜しげも無く放出していると言う事くらいだろう。

 

 とてもではないが、華やかな北欧国家であるスカンジナビアにはそぐわない出で立ちの者達である。

 

「ああ、あれは、新規に募集した傭兵達の集団だそうだ」

 

 傭兵達の集団に目をやったクライアスは、苦い顔をしてエストの質問に答える。

 

 キラやエストの事はそれなりに認めるようになったクライアスだが、やはり傭兵それ自体に対する負のイメージは簡単に払拭できるものではないらしい。あのような連中を見てしまうと特に、である。

 

「俺達が宇宙に行っている間に、地球連合軍が大規模な攻勢を仕掛けて来ると言う情報が入ったらしい。それに備える為に、新規に雇い入れた連中だろう」

「成程」

 

 クライアスの説明を聞き、エストは納得したように頷きを返した。

 

 確かに、正規の軍隊には見えないが、さりとて一般人にも見えない。一般人と呼ぶには、彼等はあまりにも不必要な殺気を周囲にばらまきすぎていた。

 

 だが傭兵と言うなら納得できるものもあった。ぎらつくような殺気を振り撒いている割に、装備に統一感が全く見られなかったのはそのためだろう。

 

 だが、エストはスッと目を細めて、彼等を観察する。

 

 エストの見たところ、物になりそうなのは、あの中でほんの一握りであるように思われた。あとは有象無象、十把一絡げに分類できそうな、どうでも良い連中ばかりである。

 

 不必要な殺気を不必要にばらまく者ほど、得てして実際の実力は大した物ではない場合が多い。賢い獣は己の牙を簡単にはひけらかさない物である。少なくとも、キラやエストは普段からのそのようにしている。

 

 ふと、エストは巡らせる視線を止めて凝視する。

 

 集まっている傭兵達の片隅で、ライフルを抱えて寄りかかる、小さな少女の姿があったのだ。

 

 ふとすれば、見落としそうなくらいみすぼらしく、小柄な少女である事が分かる。

 

 年の頃は見たところ、10歳前後と言ったところではないだろうか? 他の者達同様、ボロボロの服を身にまとい、自分のライフルを大事そうに抱えて座っている。大人ばかりの傭兵達の中にあって、一際若い、と言うより幼い少女である。

 

 エストが大西洋連邦の特務部隊員として、初めて戦場に出たのは12歳の時であるから、あの女の子はそれよりも若いと言う事になる。体付きも小柄で、手に持ったライフルがいかにも不釣り合いである。

 

 あのような年端のいかない少女まで戦場に出なくてはならない現実に、エストは忸怩たる物を感じずにはいられなかった。

 

「そんな事より、エスト・リーランド」

 

 思索にふけるエストだが、クライアスが声を掛けた事で我に返った。

 

「これからお前は、どうする気だ?」

「どう、とは?」

 

 質問の意図が分かりかね、尋ね返すエスト。

 

 それに対して、クライアスは躊躇うように視線を泳がせながらして言葉を紡いだ。

 

「お前さえ良かったら、どうだ、俺の元へ来ないか?」

 

 その言葉を発するには、クライアスにとってある意味、戦闘以上にユウキの射る事であったかもしれない。

 

 クライアスは、エストの事が好きだ。

 

 それは最早、彼の中では抑えが利かない程に膨れ上がった感情である。

 

 こんな事は初めてだった。クライアスは今まで、他の女から思いを寄せられる事はあっても、逆に自分の方から女性に対して想いを寄せる事は無かった。

 

 しかし今、クライアスは自分の中にあるエストへの想いを、完全に自覚せざるを得なかった。

 

 自分は、エストの事が好きだ。叶うなら、この場で奪ってしまいたいほどに。

 

 だからこそ、クライアスは抑えきれない思いを、エストにぶつけたのだ。

 

 それにキラがいなくなった以上、エストも今後の身の振り方について考えなくてはならないだろう。それならいっそ、自分が便宜を図ろうか、とクライアスは言っているのだ。スカンジナビア最強の騎士の庇護を受けられれば、傭兵のように不安定な生活をする必要は無く、充実した生活を送る事ができる。

 

「何も、すぐに軍に入って戦ってほしいと言っているのではない。ただ、俺のそばにいて、俺の仕事の補佐をしてくれればそれで良い。どうだ?」

 

 クライアスとしては、キラの事は今では決して嫌っているわけではないが、それでもあの男よりも自分の方が、目の前の少女を幸せにできると言う自信があった。

 

 この先どうなるにせよ、少なくとも自分の元にいればエストの生活は安定し、身分も保証されると考えたのだ。

 

「・・・・・・・・・・・・それは、本当に良いお話なのでしょうね」

 

 対して、エストは真っ直ぐにクライアスを見詰め、静かな口調で語る。

 

「ですが、お断りします」

「なにッ!?」

 

 予想していなかった答を前に、クライアスは愕然としたまま、エストを見つめ返した。

 

 まさか、断られるとは思っていなかったのだろう。思わず二の句を告げる事ができず、エストを凝視しているクライアス。

 

 それに対してエストは、確固たる口調で言葉を紡ぎ出した。

 

「私は、キラが戻ってくるのを待たなくてはなりません。キラが戻って来た時、私がいないと困るでしょうから」

「馬鹿なッ」

 

 淡々とした口調で話すエストに対し、クライアスは噛みつかんばかりに詰め寄った。

 

「キラ・ヒビキは死んだんだぞッ それを待って、どうしようと言うのだ!?」

 

 そう、キラは死んだ。それは間違いないはずだ。

 

 クライアスは確かに見たのだ。サイクロンと交戦するデスティニーが、炎と瓦礫に飲まれて消えて行くのを。あの状況でキラが生きているとは、とても思えなかった。

 

 それに、クライアスには納得できない事があった。

 

 さっきはあれほどキラの死に対して素っ気ない態度を見せていたエストが、なぜ、先程とは真逆にキラを待つなどと言う事を言っているのか?

 

 明らかに矛盾しているエストの言動に、クライアスは自分の中にある考えに整合性を見いだせずいる。

 

「・・・・・・少し、昔話をしましょう」

 

 そんなクライアスに、エストはどこか遠い目をするようにして語り始めた。

 

「・・・・・・・・・・・・あれは5年前、ヤキン・ドゥーエでの戦いの時です。私やキラがいたL4同盟軍は、最後の敵を前にして、絶望的な戦いを強いられていました。既に多くの犠牲者を出し、使える戦力は僅かと言う状況。そんな中、キラは一切の援護を断り、自分1人で出撃する道を選びました」

 

 あの時の事を、エストは今でも克明に覚えている。

 

 自分も同行すると言い張るエストに対して、キラは優しく、それでいて断固として許さず、1人、フリーダムに乗って出撃していった。

 

 結果、作戦が功を奏し、L4同盟軍は勝利したものの、キラはMIAとなり、帰って来る事は無かった。

 

「しかし、その2年後、キラはまるで何事も無かったかのように、私の前に帰ってきました」

 

 正直な話、そこら辺の諸事情、特にキラが自分の事を2年間もの間ほったらかしにしていた辺りは、エストにとってかなり「ムカつく」話なので思い出す事も憚られるのだが、それでもキラが戻ってきてくれたと言う嬉しさは、今でも忘れる事ができなかった。

 

 エストは、クライアスに真っ直ぐに向き直る。

 

「・・・・・・世の中には、往々にして『死体が無ければ生きている人間』というのはいる物ですが、キラは、間違いなくその類の人種だと私は思っています」

 

 ここに来て、クライアスは完全に理解した。

 

 エストはキラに対して素っ気ない態度を見せていたのは、彼をどうでも良いと思っていたからではない。むしろ真逆で、彼の事を心から愛していたからこそ、「いずれ返ってくる」と言う予定調和な事態に対して動揺する必要性を感じていなかったのだ。

 

「馬鹿なッ あれだけの状況だぞッ 生きているはずが・・・・・・」

「キラがあの程度で死ぬほど安い人間なら・・・・・・」

 

 エストは鋭い調子で、クライアスを睨みつけて言った。

 

「私とキラの関係は、もっと早い段階で、今のようになる前に終わっていたでしょう」

 

 そう、ひょっとしたら、あのヘリオポリスで互いに銃を向けあった時、エストがキラを射殺して終わっていたかもしれないのだ。

 

 そこでふと、エストは視線を緩めてクライアスを見る。

 

「それに、どっちにしても私は、アーヴィング大尉のお手伝いはできないと思います」

「・・・・・・どういう意味だ?」

 

 動揺を隠せないまま尋ねるクライアス。

 

 それに対してエストは、自分のお腹を愛おしそうに手を当てながら答えた。

 

「・・・・・・私のお腹の中には、キラの子供がいます」

「なッ!?」

 

 柔らかい口調で衝撃の事実を伝えるエストに対して、クライアスは動揺が最高潮となり、思わず揺らめくようにして、数歩後じさる。

 

「この子の事を無事に出産し、そして守って行かなくてはなりませんので・・・・・・」

 

 そう告げるエストの顔は、子供を身籠り、そして守って行く事を誓った、強い女性としての光を宿していた。

 

 大して、完全に打ちひしがれたクライアスは、もはや何も言う事ができない。

 

 最早、エストを自分の元へ引き寄せる事は、事実上不可能だった。

 

 居なくなって尚、キラの事を信じ続けるエスト。

 

 そして、そのエストの腹の中に宿った、キラの子供。

 

 それらの事実が、クライアスの敗北を如実に物語っていた。

 

 その時だった。

 

「おーい、エスト!!」

 

 名前を呼ばれ、エストはクライアスから視線を外して振り返る。

 

 するとそこには、見覚えのある金髪の女性が息を切らせて走ってくる光景が見えた。

 

「・・・・・・カガリ?」

 

 オーブ共和国外部大臣閣下の意外な登場に、エストはクライアスとの会話を中断して訝るように首をかしげた。

 

 思わず見間違いかとも思ったが、長年の友人を間違えるはずもない。今走ってくるのは、間違いなくカガリ・ユラ・アスハだった。その後ろからは、彼女の秘書であるイスカ・レアが息も絶え絶えと言った感じに走ってくるのが見える。

 

「何だお前達、メンデルから戻ってきていたのか?」

「カガリこそ、なぜここにいるのですか?」

 

 前々から行動が不必要にアクティブな女性であるのは知っていたが、まさかこんな欧州の北の果てにカガリが現れるとは思っていなかった為、エストとしても呆気に取られていた。

 

「じ、実は・・・・・・アルフレート王の、ご容態の事で、気に、なる事がありまして・・・・・・」

 

 息を切らしながら、イスカが説明する。

 

 そんなイスカの様子を見て、エストは少しだけ彼女に同情した。口を出すよりも先に走り出しそうな性格をしているカガリの秘書ともなると、かなりのハードワークが予想される。それを何とかこなしているのだから、秘書としてのイスカの優秀性が伺えた。

 

「気になる事、とは?」

 

 これ以上イスカに尋ねるのは酷なので、エストはカガリに向き直って尋ねた。

 

「ああ。今回のアルフレート王の昏倒だが、何者かの陰謀だと言う話が出ているんだ」

 

 その言葉にエストも、そして我に返ったクライアスも、目を剥いてカガリを見る。

 

 陰謀、と言う事は即ち、何者かがアルフレート王の暗殺を企てたと言う事である。俄かには信じがたかった。

 

 しかし考えてみれば、思い当たる節は多少あった。

 

 エスト達がスカンジナビアを出る時、アルフレート王はとても元気な姿をしていた。それから僅かな期間で、体調を崩して昏睡すると言うのは、考えてみればおかしな話である。

 

 だがこれが、何者かの陰謀による物だとすれば、話に辻褄が合ってくる。誰かがアルフレート王の排除を目論み、陰謀による暗殺を企てたと考える事ができる。

 

 説明を終えると、カガリはクライアスに向き直った。

 

「確か、アーヴィング大尉だったな。すまないが、私達を王宮に連れて行ってくれないか? 同盟国の外務担当として、事実を確認する必要がある」

「判りました」

 

 カガリに要請に対し即座に返事を返すクライアス。事が事である為、逡巡している暇は無い。

 

 エストとの事で感じたわだかまりも、取りあえず棚上げして、クライアスは王宮へ向かう足を確保するべく、率先して駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エスト達が港でカガリと会い、そして急いで王宮に向かおうとしている頃、ユーリアは王宮にてアルフレート王との対面を果たしていた。

 

 しかしユーリアにとって、久しぶりにあった父王の姿には涙を零さずにはいられなかった。

 

 王宮に到着し、アルフレート王の寝室に直行したユーリアが見たのは、ベッドの上に横たわり、目を閉じたまま苦しげに呼吸する父の姿であった。

 

「お父様・・・・・・・・・・・・」

 

 ベッドの縁に駆け寄り、ユーリアは父に縋り付くと、そっと耳元で呼びかける。

 

 しかし、愛する娘が戻ったと言うのに、アルフレートは目を開ける事も名前を呼ぶ事も出来ず、ただ静かな呼吸を繰り返す事で自らが生きていると示す事しかできないでいた。

 

 その変わり果てた父の姿を見て、ユーリアは目尻から零れる涙を抑える事ができない。

 

 出発する前は、あんなに元気だった父。

 

 命を狙われた娘を案じ、様々な手を尽くしてくれた父。

 

 その父が見る影もないほどに衰え、今にも死にそうなほどに衰弱した姿を見せていた。

 

 部屋の隅に控えているミーシャも、しゃくりあげるようにして涙をこらえている。ユーリア付きの侍女と言う事で、彼女も何度かアルフレート王に声を掛けて貰った事がある。その為、ユーリアとはまた違った意味で、彼女もまた王に対して敬意の念を抱いていただけに、今回の事態には悲しみを押さえられない様子だった。

 

「原因は、まだ判っていない」

 

 沈痛な声で言ったのは、同席していたフィリップである。

 

 いかにも、自分自身も悲しいと言った風情のフィリップ。しかしその内心では、この状況に薄ら笑いを浮かべている事には、この場にいる誰も気付いてはいなかった。

 

 待ち望んだ状況がようやくやって来たのだから、フィリップとしてはむしろ、笑みをこらえるのに必死なくらいである。

 

 父を排し、国民や重臣たちに人気のある妹に先んじる形で王位をモノにする。それが成れば、スカンジナビア王国は完全に自分の統治の元に置かれる事になるのだ。

 

 ユーリアが何を言おうと、後の祭りである。既に議会でユーリア派だった閣僚達は一掃してあり、フィリップに付き従う者達に入れ替わっている。あとでユーリアがいくら騒いだところで、全ては後の祭りと言う訳である。

 

 覇権確立は、既にチェックメイトの段階と言って良かった。

 

「食事にも、特に異常な事は無かったし、毒を盛られたと言う形跡も無い。父上がこのような事になった原因は、全くの不明なのだ」

 

 白々しい事を言って、いかにも苦しげに目を逸らして見せるフィリップ。

 

 しかし実際には当然の如く、毒を盛った人物の事をフィリップ自身は知っている。カーディナル配下の者が、予め用意しておいた新種の毒薬をアルフレートの食事に混ぜて飲ませたのだ。

 

 その毒物と言うのはいかにも画期的な代物で、飲めば死に至る可能性は低い物の、昏睡状態に陥り、最悪の場合は二度と目が覚める事無く植物状態に陥る薬物だとか。そして最大の特徴は、体内に取り込んだ後は血液と溶け合い、痕跡をほとんど残さない事にある。つまり、毒物が混入したと言う証拠は一切残らないのだ。

 

 フィリップとしては、アルフレートやユーリアを排除したいが、殺すような事まではしたくない。そう言う意味では、まさに理想的な薬物であると言える。

 

「それでユーリア、今後の事についてなんだがね」

 

 フィリップは込み上げようとする笑いを堪えながら、遂に核心となるべき事柄へと言及した。

 

 重要なのはここからである。父を排した以上、後はユーリアの勢力を取り除けば、この国は自分の物となる。

 

 それはもう、手の届く所まで来ているのだ。

 

 勝ち誇ったように、言葉を紡ごうとするフィリップ。

 

 しかし、

 

「今後は・・・・・・・・・・・・」

 

 それを制するように、ユーリアは涙を拭って立ち上がり、

 

 そして真っ直ぐに兄を見据えて言い放った。

 

「今後は、お兄様がお父様の名代として、執政に関する一切を取り行ってください。及ばずながら、わたくしもお兄様の補佐として、微力を尽くさせていただきます」

 

 そう言って、優しく微笑むユーリア。

 

 たった今ユーリアは、王位はフィリップが継ぎ、自分はその為の補佐を行うべきであると宣言したのだ。

 

 呆気に取られたのはフィリップである。肩透かしを食らうとは、正にこの事だろう。

 

 これからユーリアに対して勝利宣言をし、絶望の元に彼女を排除して自分の権勢を誇ろうとしていた矢先に、その妹から「王位はいらない。あなたに譲ります」と言われたのだから。

 

 ユーリアは、そんなフィリップの両手を取り、温かく包み込んだ。

 

「お父様がこのような事になってしまったのは、わたくしも悲しく思います。しかし、これからも兄妹2人、協力してこの国を盛り立てていきましょう、お兄様」

「あ・・・・・・ああ・・・・・・」

 

 狐につままれた、とでもいうべき表情をするフィリップ。まさか、このような形になるとは思っても見なかったのだ。

 

 ユーリアは初めから、王位になど拘るつもりは無かったのだ。フィリップが父の後を継いで王位に付き、そして自分は兄の傍らで統治の補佐役を担うと言うのが理想的な形であると思っていた。

 

 控えめに言っても滑稽な話である。つまり今までの事は全部、フィリップの一人相撲に過ぎなかった訳である。

 

 その時、

 

「クックックックックックッ」

 

 どこからともなく聞こえてきたくぐもった笑い声が聞こえ、2人はとっさに振り返る。

 

 その視線の先には、カーテンに遮られるような形で、続きの間が存在していた。

 

 その続きの間の陰から湧き出るように、人影はゆっくりと歩いてきた。

 

「これは愉快。まさに滑稽ですな、フィリップ様」

 

 勿体付けるかのように、奥の間から現れた人物。

 

 その人物を見た瞬間、ユーリアは思わず息を飲んだ。

 

 壁際のミーシャもまた、驚きのあまり、思わず口元に手を当てて立ち尽くしている。

 

 それは見間違えようもない。

 

 かつてユーリアを誘拐し、そして幾度となく襲撃を仕掛けて来た武装勢力の黒幕。

 

 メンデルでは直接対峙までした、得体の知れない怪人。

 

 カーディナルと名乗る仮面の男が、まるでフィリップと並び立つようにして、その場に立っていたのだ。

 

「こ、これは一体、どういう事ですか・・・・・・・・・・・・」

 

 ユーリアは茫然として、フィリップとカーディナルを交互に見やる。最愛の兄と、憎むべき敵が共に立っている事が、王女には信じられない事だった。

 

 対してフィリップは、ばつが悪い顔をしてユーリアから視線を外している。いかにも、何か後ろ暗い事を隠していると言った風情だ。

 

 一方のカーディナルは、そんなフィリップを嘲笑うかのように、笑みを含んだ声を仮面の下から発した。

 

「ご説明しましょう、ユーリア様。まあ、聡明なあなた様なら、もう大体の事情は承知している事でしょう。さしずめ今は、受け入れがたい事実の為に拘泥している、といったところですかな?」

「やめろ、カーディナル!!」

 

 焦った声を発するフィリップ。カーディナルが暴露しようとするのを、どうにか防ごうとする。

 

 しかしカーディナルは、フィリップが伸ばした手をすり抜けると、あっさりと言ってしまった。

 

「お察しの通り、私に一連の事を指示されたのは、そこにいらっしゃるフィリップ様ですよ」

 

この絶望にも似た状況を心の底から楽しむように、カーディナルの口からは言葉が紡ぎだされる。

 

 もはやカーディナルにとって、フィリップは何の価値も無い存在だった。今まではユーリア王女に近付く為に利用してきたが、この段階になった以上、切り捨ててしまっても何の問題も無かった。

 

 カーディナルは、更に話し続ける。

 

 フィリップの指示でユーリアを誘拐した事。それが失敗した後も、どうにかしてユーリアを王宮から遠ざけるように指示した事。

 

 そして、

 

「無論、今回の件、国王陛下に毒を盛ったのも、フィリップ様の指示による物ですよ」

 

 最大級の爆弾を、カーディナルはいともあっさりと叩きつけてしまった。

 

「カーディナルっ 貴様ァァァ!!」

 

 ついに、カーディナルへと掴みかかろうとするフィリップ。

 

 しかし、王子の手が触れる直前、またも仮面の男は余裕すら感じさせる動きで身を翻し、フィリップをすり抜けてしまった。

 

 勢い余って、顔面から床に倒れ伏すフィリップ。

 

 その無様な様子を、カーディナルは冷ややかに見つめる。

 

「哀れですね。悪役にすらなれないというのは」

 

 舞台の上で踊るだけ踊って観客を笑わせるピエロ。今のフィリップは、まさにそんな感じだった。

 

 打ちひしがれるフィリップ。

 

 そんな兄を横目に、ユーリアはカーディナルと真っ向から向かい合って口を開いた。

 

「あなたは一体、何者です? 何が目的なのですか?」

 

 怯えるミーシャを背に庇いながら、毅然とした調子で尋ねるユーリア。

 

 それに対し、カーディナルは悠然とした調子のまま、王女に向き直って応えた。

 

「私の目的について、既にユーリア様はお判りのはずでしょう」

 

 肩を竦めるカーディナルに対し、ユーリアは悔しさを堪えるように奥歯を噛みしめる。

 

 そう、それは今更説明するまでも無い事だ。それを求めて、ユーリアと目の前の男は何度も対峙してきたのだから。

 

 手を伸ばすカーディナル。

 

「さあ、ユーリア様。今度こそ渡していただきますよ。『デュランダルの遺産』を」

 

 「デュランダルの遺産」

 

 それこそが、カーディナルがスカンジナビア王家に潜入した真の目的でもある。フィリップに仕えていた事は、全てその為の方便でしかなかったのだ。

 

 全ては世界を変える力を持つとさえ言われる「遺産」を手に入れる為にやった事。その為なら、スカンジナビアのような小国如き、潰したところで何の痛みも感じなかった。

 

 最後通牒を突きつけるように、手を伸ばしてくるカーディナル。

 

 対してユーリアは、硬い表情のまま言葉を返した。

 

「わたくしの手元には、もうありません」

「・・・・・・・・・・・・」

「『遺産』は、信頼できる方に預けてまいりました」

 

 ユーリアの言葉を聞き、カーディナルは納得したようにうなずくと、伸ばした手を引っ込める。

 

「・・・・・・・・・・・・成程」

 

 本当かどうかは確認する術は無いが、この状況でユーリアがハッタリを言う可能性は低いと考えられた。

 

 それに預けた相手にも、カーディナルは心当たりがあった。

 

 メンデルでの戦闘が終わった後、ユーリアはザフト軍に保護されている。そこから考えれば、『遺産』を預けた相手はプラントのラクス・クラインだろう。

 

 となると少々、厄介な事になった物である。

 

 ここ1年近く、スカンジナビア王国に対して行った仕込みが全て無駄になってしまった事もさることながら、プラントのセキュリティはスカンジナビアとは比べ物にならないくらい高い。潜入したとしても、おいそれと『遺産』を奪えはしないだろう。

 

 仮面の奥で、カーディナルは慨嘆する。

 

 彼自身、流石に今回は自分の負けである事を認めざるを得ないと感じている。どうやら「遺産」の件に関しては、何かしら別のアプローチを考える必要があるかもしれなかった。

 

 しかし、それはそれとして、今回の件に関する後始末は、しっかりとしておかなくてはならなかった。

 

 懐に手を入れ、そこに収められている物を握り締めるカーディナル。

 

「分かりました。ならば、もうあなた方は用済みですね」

 

 静かに告げて、再び腕を持ち上げるカーディナル。その手には、黒光りする拳銃が握られていた。

 

 どのみち、全てが終わった暁にはこうする予定だったのだ。今さら躊躇する理由は何もなかった。

 

 ユーリアは顔をひきつらせ、ミーシャは「ヒッ」と短く悲鳴を上げる。

 

 そんな2人を見ながら、カーディナルは静かな声で告げる。

 

「それでは、これにてお別れです」

 

 そう言って、引き金を引く指に力を込めるカーディナル。

 

 次の瞬間、

 

「そこまでです」

 

 静かに告げられる声。

 

 振り返るとそこには、拳銃を構えたエストの姿があった。更にその背後からは、クライアス、カガリ、イスカの3人も現れる。

 

 4人は辛うじて、ユーリア達の危機に間に合った形だった。

 

 エストは真っ先に飛び込むと、同時に銃口をカーディナルに向け、

 

 そして躊躇することなく、引き金を引き絞った。

 

 

 

 

 

PHASE-20「悲しき道化は舞台で転ぶ」      終わり

 


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