機動戦士ガンダムSEED 焔を刻む銀のロザリオ   作:ファルクラム

10 / 53
PHASE-07「夜天輝く蒼翼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 MVF-M13A「シシオウ」

 

 オーブ軍が先頃から戦線に投入を開始した、新型の可変機動兵器である。

 

 最大の特徴としては、それまでの主力だったムラサメ、ライキリよりも機体は若干大型化している事だろう。これにより高出力のエンジンを搭載し速度性能と機動性の向上を図っているのだ。

 

 武装面に関しても、ライキリでは搭載されていた対艦刀やインパルス砲は、一般兵士から扱いにくいと言う意見が寄せられた為に廃止され、ムラサメ同様のビームライフルやビームサーベルを中心とした武装に戻されている。

 

 その分、目玉である高速化、並びに機動性の向上は充分に成され、戦争が進み広域化しつつある戦場にいち早く辿りつける事が期待されている。

 

 まさにオーブの未来の空を守る担い手と言えるだろう。

 

 そのシシオウが今、2機編隊を組んで夜の領海線上を飛行していた。

 

 所属は首都防空隊である。

 

 スクランブル指令が出たのは、今から15分前。レーダー上に不審な反応が現れたため、その調査を命じられたのだ。

 

 長引く戦乱により、オーブ軍主力の大半が宇宙戦線や北方戦線に投入されている現在、首都防空隊はオーブ本国を守る最後の盾である。それ故に、精鋭が揃えられ、シシオウのような新型機も優先的に配備されているのだ。

 

 夜の海面は、お世辞にも見通しが良いとは言い難い。

 

 夜間で視界が効かない事に加えて、ヤキン・ドゥーエ戦役の終結から既に5年が経過しているが、当時の負の遺産とも言うべきNジャマーは、未だに多くが回収には至っていない。それ故に、状況によってセンサーが利きにくい事も多いのだ。

 

 この時報告にあった反応も、捉えて暫くした後に消失した為、単なる誤作動なのかどうか、判断がつけられなかったのだ。

 

 それ故に、スクランブル待機していたシシオウが発進し、調査に赴いたわけである。

 

「ハヤブサ01よりハヤブサ02、海面上に何か見えるか?」

《こちらハヤブサ02、今のところ、不審物は発見できません》

 

 編隊長の問いかけに対して、僚機が返した返事も芳しいとは言えない。

 

 もう間も無くレーダーが何らかの反応を捉えた現場海面上空だが、2機のシシオウのセンサーが何かを捉えると言う事はない。

 

 隊長は嘆息する。

 

 どうやら、今回もガセであるらしい

 

 戦争続きで、軍はどこもかしこもナーバスになっているきらいがある。それ故に、ちょっと普段とは違う状況があったら、即発進と言う事態も少なくない。

 

 とは言え、ホッとする面があるのも確かである。

 

 既に説明した通り、オーブ軍の主力は大半が海外に出払っている。首都防空隊を除けば、今、オーブ国内にいる部隊は練成途上の部隊か、あるいは予備隊扱いの警備部隊のみである。もしそんなところを敵に敵の主力に強襲されでもしたら、ろくな抵抗もできないまま国土を蹂躙されかねない。

 

 精鋭部隊所属の身としては甚だ情けない限りだが、敵が来ない事に越した事は無いと考えていた。

 

「ハヤブサ01よりハヤブサ02、どうやら何も無いみたいだ。このまま海域を一巡りしたら帰るぞ」

《ハヤブサ02、了解》

 

 センサーの誤作動。そう結論付けた編隊長が機体を旋回させた。

 

 今夜はもう、これ以上のスクランブルが掛かる事も無いだろう。

 

 そう思った次の瞬間、

 

 突如、闇の中から飛来した閃光が、編隊長のシシオウを一撃の元に貫き、吹き飛ばした。

 

 突然の事で、パイロットが悲鳴見上げる間も無く炎に包まれるシシオウ。

 

《隊長!!》

 

 ハヤブサ02のパイロットが悲鳴を上げた瞬間、

 

 海面を疾走するように飛び上がってきた機体が、手にした対艦刀を掲げるようにして一閃、ハヤブサ02を一刀両断に斬り飛ばしてしまった。

 

 パイロットは悲鳴を上げた瞬間、その身を業火に焼かれて意識を刈り取られる。

 

 炎を上げて海面に墜落していくシシオウ

 

 それを見下ろす形で、

 

 3機の機体が上空に滞空していた。

 

 イントルーダー、イラストリアス、インヴィジブルの3機だ。

 

 ファントムペイン、ローガン隊に所属するトライ・トリッカーズ。マゼラン海峡上でユーリア王女が座乗するフューチャー号を襲撃した部隊である。

 

「トリッカー1よりマザーへ、進路クリア。けど、これでオーブも私等の接近に気付いたでしょうね」

《なに、構わん》

 

 ルーミアの報告に対し、ウォルフは落ち着いた調子で返事を返す。

 

《今回はそもそも、敵に発見される事が前提の作戦だ。お前達も、せいぜい派手に暴れろ。市街地への被害を極限すれば、後は何を壊しても構わん》

 

 自分達の任務は囮。派手に暴れて敵の目を引き付け、その間に別働隊が作戦を実行するのだ。

 

 少数部隊で敵の本国、それも首都に強襲を掛けるのは無謀の極みだが、今は夜間。それもNジャマーの影響で視界もセンサーも殆ど効かない状態である。

 

 そのような状況では、大兵力を投入するのは却って危険である。それよりも少数の精鋭部隊で引っ掻き回す方が効果的である。

 

《さっすがボスッ 太っ腹!!》

《判りました、お任せください》

 

 ブリジットとシノブが、それぞれ弾んだ声でウォルフに返事を返す。彼女達もまた、思う存分暴れられる状況に気分が高揚しているようだ。

 

 それらを聞きながら、ルーミアは舌なめずりをした。

 

 マゼラン海峡での戦いは、敵の強力な特機に阻まれて思うように戦果が上げられず、欲求不満がたまっていたのだ。

 

 だが、今回は違う。壊せるだけ壊して、ストレス解消してやる。

 

 その意気込みと共に、ルーミアのイントルーダーは先陣切って突撃を開始する。

 

「行くよ、シノブ、ブリジット。平和ボケした連中に、私等の力、たっぷりと拝ませてやろう!!」

《りょーかーい》

《うむ、任せろ!!》

 

 ルーミアの宣言と共に、トライ・トリッカーズの3人は速度を上げてオーブの領海内部に突き進んで行った。

 

 

 

 

 

 報告を受けた時、カガリは自分の執務室で外交関係の書類の整理をしていたのだが、息を切らせて掛け込んで来た係官の報告に、思わず立ち上がって息を呑んだ。

 

「それは、本当か!?」

「先ほど、軍部の方に確認を取りました。間違いありません!!」

 

 荒い息のまま報告する係官に、カガリも、そして彼女の手伝いをしている秘書のイスカも、顔面が蒼白になった。

 

 正体不明の武装集団が、領海線を突破してオーブ本島に迫っている。しかも既に、出撃したオーブ軍との間で戦端が開かれているらしい。

 

「まずい事になったな・・・・・・」

 

 カガリは呻くように呟く。

 

 正体不明と言っているが、その武装集団が地球軍である事に疑う余地は無い。今この状況で領海侵犯を侵す部隊など、他には考えられない。

 

 現在のオーブ運の状況は、カガリも把握している。

 

 残っている部隊では、防衛線の構築は難しい。首都防空隊は精鋭ぞろいだが、彼等だけではせいぜい、敵上陸まで時間を稼げる程度だ。

 

 だが、主力を呼び戻している余裕も無い。勿論、カガリ自身が迎撃に出るのも論外だ。この状況で自分1人が出たとしても、何ができると言う訳ではない。

 

「大統領閣下は、既に全軍に出撃を指示すると同時に、国民にも避難命令を出しています。大臣達も、なるべく早くお逃げください!!」

 

 そう言い残すと、係官は廊下へと走り去って行く。

 

 彼には、まだ他に回らなくてはならない場所もあるのだろう。混乱する状況では、電話回線もうまく繋がらない場合がある為、ああして人の足で状況を伝えて回った方が早い場合も多い。

 

 だが、

 

 せっかくの申し出ではあるが、カガリは逃げる事はできない。

 

 逃げるなら最低限、全ての国民の安全が確保されてからである。それに、カガリには他にも優先的にやらなくてはならない事があった。

 

「イスカ、すぐにユーリア王女が滞在するホテルに連絡するんだ。身の安全の為にシェルターに退避するように言え!!」

「わ、判りました!!」

 

 カガリに指示されイスカは直ちに電話に飛びつくと、ホテルへの番号をプッシュする。

 

 接待役として、カガリにはユーリア滞在中、彼女の身の安全を守る義務がある。それをやらないうちに自分が逃げる事などできなかった。

 

 電話を掛けるイスカの様子を眺めながら、カガリは内心で焦りを覚えずにはいれらなかった。

 

 スカンジナビア王国の王女が滞在している時に、敵軍の本国への侵攻騒ぎを起こしてしまうとは、完全にオーブの失態である。これでは、オーブやアスハ家を信頼してユーリアを預けてくれたアルフレート王に対して申し訳が立たない。

 

 だがまさか、ユーリア姫の入国とタイミングを合わせるように敵が侵攻してくるとは思わなかった。責任逃れをする心算はないが、不可抗力である面も無くは無い。

 

 カガリとて全知全能ではない、全てを予測できるわけではないのだ。

 

 と、

 

「・・・・・・・・・・・・待てよ」

 

 カガリはある考えに至り、動きを止める。

 

 思考をフルに回転させる。

 

 このタイミングでの敵の侵攻。

 

 だが、これがもし、ユーリア姫がいる時に敵が来たのではなく、ユーリア姫がいるからこそ、敵が来たのだとしたら? 

 

 そうなると、事情はかなり変わって来る事になる。なぜなら敵の狙いは、オーブではなくユーリアの命と言う事になるからだ。

 

「・・・・・・そう言う事か」

 

 敵の意図を読み切り、カガリは歯噛みする。

 

 このままではまずい。いかにキラ達がいるとは言え、敵はモビルスーツまで繰り出してきているのだ。このままでは、戦線を突破されるのも時間の問題だろう。

 

 その時、カガリの脳裏に天啓のように閃く物があった。

 

「そうだ、あいつなら!!」

 

 カガリはすがるような思いを抱きつつ、電話に取り付く。

 

 投入できる戦力は限られている。だが、この状況で尚、カガリにもまだ、切れるカードが残っていた。

 

 急がないといけない。このままでは、全てが手遅れになってしまう。

 

 

 

 

 

 報せを受けると、キラはすぐさまエストを伴って、ユーリア達が滞在しているホテルへと駆けこんだ。

 

 エレベーターが来るのをもどかしく待ちながら、キラは心の中で舌打ちをしていた。

 

 油断していた。

 

 キラ自身、オーブに入れば大丈夫と高を括っていた節がある。敵がまさか、オーブの防衛線深く攻め込んでくるとは思ってもみなかったのだ。

 

 既に海上で行われている戦闘の音は、ここまで聞こえてきている。急がないと手遅れになる可能性もあった。

 

 エレベーターから飛び出すと、キラとエストは教えられていたユーリアの部屋へと駆けこんだ。

 

 そこには既に、ユーリア、ミーシャの他に、クライアスをはじめ、騎士達も詰めかけている。皆、一様に険しい表情を浮かべ、駆け込んで来たキラとエストに視線を向けた。

 

「ああ、エスト、キラ、来ていただけたのですね」

 

 駆け込んで来た2人の姿を見て、ユーリアは安堵したようにため息を漏らした。突然降ってわいた事態で、彼女も緊張してしまっていたのだろう。味方となるべき人間が近くにいる事で、安心できるのかもしれなかった。

 

 エストはミーシャと手を取り合っているユーリアの元へ駆け寄ると、安心させるように王女の肩を叩く。

 

 その間にキラは、クライアスの方に向き直った。

 

「アーヴィング大尉、僕達はどうするのですか?」

 

 敵の出方はまだ分からない。ここは、慎重に行動する必要があると、キラは考えていた。

 

 自分達が軽率な行動をして、万が一にもユーリア姫の身に危険が及ぶ事態は避けるべきだった。

 

 だが、

 

「それなら、方針は既に決まっている」

 

 問いかけるキラに対して、クライアスは断言するようにして言った。

 

「これより我々は、オーブ軍と協力して来襲した敵の迎撃に当たる。敵の攻撃が市街地まで及んだ場合、ユーリア様の身に危険が生じる事も考えられる」

 

 やる事は初めから決まっている。と言いたげなクライアス。

 

 他の騎士達も、クライアスに同調するように力強く頷きを返す。中には、傭兵風情がいらぬ口を出すな、と露骨に表情に出している者までいた。

 

 だが、キラはその方針に対して懐疑的だった。

 

 このタイミングで、敵が仕掛けて来た事に、不審を感じていたのだ。

 

 ユーリアが入国したその日に、地球連合軍が襲撃を仕掛けてくるなど、あまりにもタイミングが良すぎる。

 

 もし、これが陽動だとすれば、どこかに別働隊がいて、キラ達が出払った隙に襲撃を掛けてくる可能性も考えられる。

 

「アーヴィング大尉。僕はここを離れるべきじゃないと思う」

 

 とうのクライアスはじめ、騎士達の間から反発が出るのは承知の上でキラは反論の発言をした。

 

 派手に敵の目を引いて、少数精鋭部隊が敵の本命を突くのは、古来からある戦場の常とう手段である。敵の狙いがあくまでユーリアの身柄だとすれば、自分達がここを離れるのは危険である。

 

「敵は多分、僕達を追ってきた連中だと思う。だとすれば、必ずどこかに別働隊がいるはずです」

 

 少なくとも自分ならそうする。と言うニュアンスを込めてキラは言う。

 

 もちろん、キラとしてもすぐに出撃したいという気持ちは強い。元オーブの軍人であるキラとエストは、この中の誰よりも、この国に対して思い入れが強い。今すぐ飛び出して行って、戦列に加わりたいくらいである。

 

 だが、今はユーリアを守ることが最優先事項である。ならば、下手にここを動くべきではないと考えていた。

 

 だが、予想通りと言うべきか、騎士団員達からは非難の声が上がった。

 

「馬鹿な、何を言っているんだ!?」

「冗談もほどほどにしろ、傭兵風情が!!」

「貴様、姫様の身に何かあったら、どう責任を取るつもりだ!?」

 

 口々に、キラに対する罵声を浴びせる騎士達。

 

 彼等からすれば「傭兵風情」が自分達に対して賢しらに意見する事自体が、既に許しがたい冒涜であるとすら捉えている節がある。

 

 と、

 

「まあ、待て」

 

 隊長であるクライアスが、彼等を押さえるようにして前に出る。

 

 クライアスは振り返ると、真っ直ぐにキラを見据えて言った。

 

「キラ・ヒビキ。お前の危惧は判らないでもない。だが、我らはスカンジナビアの誇る精鋭騎士団だ。いかなる敵が来ようとも、我らが負けるはずがない」

「でも、それじゃあ・・・・・・」

 

 尚もキラは、言い募ろうとする。

 

 騎士団の実力を疑う訳ではない。まして、キラ、エスト、クライアスの3人が抜けても、尚11人の騎士が護衛に残る事になる。このホテルのフロアを守るには、それで必要十分な数字である。

 

 しかし彼等スカンジナビア軍が、実戦経験と言う面において地球軍やザフト軍、オーブ軍の兵士に大きく劣っているのは紛れもない事実である。

 

 敵がどのような手段に訴えて来るかわからない以上、最悪の事態に備えておくべきなのだが・・・・・・

 

「キラ」

 

 そんなキラを制するように、ユーリアが柔らかく口を挟んだ。

 

「わたくしの身を案じてくださるあなたの気持ちは、大変うれしく思います。しかし、敵はわたくし達を追って、このオーブに来たのなら、言わばわたくし達が敵をこの地に招き寄せたような物。それでオーブの方々に犠牲が出たりしたら、彼等に対して申し訳が立ちません」

「ユーリア殿下・・・・・・・・・・・・」

 

 ユーリアの言葉に対して、キラは言葉を詰まらせる。

 

 彼女はキラ達の雇い主である。彼女がそのように決断した以上、キラにはそれ以上言い募る事はできなかった。

 

「では、行くとするか」

 

 そんなキラに対し、クライアスは勝ち誇ったような視線を向けて告げる。

 

 主君が自らの意見を支持した事で、自分の意見が正しかった事が証明されたような物である。

 

 だが、

 

「待って」

 

 踵を返そうとするクライアスを制し、キラは制する。

 

 対して、クライアスは苛立ったような表情で振り返る。まだ何かあるのか? そんな感じの表情である。

 

 だがキラは、そんなクライアスに構わず、エストの方へと振り返った。

 

「エスト、悪いんだけど君はここに残って、ユーリア殿下のそばについていてあげてほしい」

 

 戦力の分散になる事は分かっている。出撃する以上、エストについて来て貰った方が得策である事も承知している。

 

 しかしキラとしてはやはり、敵が別働隊を繰り出してくる可能性を拭えずにいた。その為、自身が最も信頼するエストに、ユーリアの直接的な護衛を頼みたかったのだ。

 

「貴様、まだそんな事を言っているのか!?」

 

 そんなキラに対し、クライアスは激昂して詰め寄る。

 

 自分の方針にあくまで従おうとしないキラに対し、いら立ちを隠せない様子だ。そのまま掴みかかって殴り飛ばしそうな勢いである。

 

 だが、そんなクライアスを、キラは真っ向から睨み返す。

 

「騎士団の皆さんは全員男です。1人くらい、女の護衛がいた方が良いと思いますが?」

 

 キラのその指摘に、クライアスは絶句せざるを得ない。

 

 確かに、男の護衛では、色々とついて行くのに不都合な場所もある。そのせいで対応が遅れてしまう可能性もあるだろう。その点、同性のエストならどんな場所にも同伴できるため、問題は無かった。

 

「判りました」

 

 黙り込むクライアスを横目に見ながら、エストはキラに頷きを返す。

 

 エストなら、細かい説明をしなくてもキラの意図を正確に理解している。キラは万が一の際には、エストがユーリアを守る最後の盾になると考えているのだ。それを理解しているからこそ、エストはさして理由を尋ねる事もなく、キラの指示に素直に従ったのだ。

 

 そんな2人の様子を、クライアスは苛立ちとも戸惑いともつかない顔で見詰めている。

 

 なぜかは判らない。

 

 だが、キラに対して一切の説明も求めず、淡々と従うエストの様子が、クライアスにはひどく面白くない物に感じられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マゼラン海峡海戦の後、ローガン隊は増援を受け、一個部隊に匹敵する程度の戦力を保持するに至っていた。

 

 昨今、戦線は共和連合側が有利に動いている。地球連合軍は各所で後退と敗走を続け、戦線は縮小を余儀なくされていた。

 

 しかし、不利な状況になって尚、地球軍は自分達の最終的な勝利を疑ってはいない。

 

 何と言っても彼等には、共和連合を遥かに上回る物量が存在している。既に大半の機体を新型のグロリアスに更新しており。更に、一部では、既存の兵器の概念を覆す、全く新しい兵器も開発が進められていると言う。

 

 一時的な後退はあるかもしれないが、最終的に勝利するのは地球連合軍である、と言う認識は不動のものとなりつつあった。

 

 ローガン隊が受けた増援も、全機、新型の量産型機動兵器であるグロリアスで固められていた。

 

 対してオーブ軍は、シシオウの配備を急いでいるものの、まだ全部隊に浸透したわけではない。部隊によってはムラサメやライキリを使用している所も少なくない。

 

 加えて、今は状況も芳しいとは言えない。オーブ軍は主力の大半が出払っている状態である。

 

 残留している部隊が迎撃の為に出撃するものの、圧倒的な戦闘力を誇るローガン隊を前に、犠牲者は続出し、戦線は次々と破綻していった。

 

 首都防空隊は、流石にオーブの中枢防衛を担っているだけあり、各部隊から選出されたベテランとシシオウをはじめとした新鋭機で固め、高い戦闘力を誇っている。

 

 オーブ側の防衛線は、彼等、首都防空隊の活躍によってかろうじて維持されている状態だった。

 

 しかしそんな彼等も、ファントムペイン、特にルーミア、シノブ、ブリジットから成るトライ・トリッカーズが相手では分が悪いと言わざるを得ない。

 

 必死に防空戦を展開するオーブ軍に対し、イントルーダーが高機動で引っ掻き回し、陣形が崩れたところでインヴィジブルが1機ずつ着実に仕留め、そしてイラストリアスが斬り込んで行く、と言う三位一体の戦術を展開してオーブ軍の防衛線を切り崩していく。

 

 更にもう1人。

 

 後方に待機しているロベルト・グランが操縦するグロリアスが、長大なライフルを駆使して遠距離狙撃を敢行、トライ・トリッカーズに気を取られているオーブ軍機を、超遠距離から撃ち抜いていく。

 

 圧倒的な戦闘力で、オーブ軍を蹂躙していくファントムペイン。

 

 その先頭に立つイントルーダーでは、ルーミアが会心の笑みを浮かべて、自身が墜としたオーブ軍機が上げる炎を、不敵な笑みを浮かべて見つめていた。

 

「脆い・・・脆いなぁ こんなんで、本当に私等に勝てると思ってるわけ?」

 

 言いながら、斬り掛かってきたライキリをビームライフルで撃ち抜いて仕留める。

 

 全く持って歯ごたえの無い相手に、欠伸が出そうであった。

 

《ホントよね~ これじゃあ、北の方でヒィヒィ言いながら戦ってるお味方が、馬鹿みたいじゃない》

 

 ブリジットも、ぼやくように言う。

 

 ここに至るまでに、ファントムペインが蒙った損害は皆無である。撃墜、損傷共に0。正に圧倒的である。オーブ軍の実力がこの程度なら、味方の援護など無くても自分達だけでオーブを陥落できそうである。

 

 陸地の方へ目を向けると、更に増援となるムラサメを中心とした部隊が見える。

 

 懲りない連中である。ムラサメが世界有数の機動兵器だったのは、せいぜい2年前の話である。今では完全に旧式機の部類に入っている。

 

「蹴散らすよ!!」

 

 そう言って機体を翻した、

 

 次の瞬間、

 

 出し抜けに降り注いだ閃光が、イントルーダーの進路を遮った。

 

 振り仰ぐ先。

 

 そこに、急降下してくる、深紅の翼を広げた機体の姿があった。

 

 運命の堕天使。デスティニーである。

 

 出撃したキラは、苦戦するオーブ軍を掩護する為に駆け付けたのだ。

 

「来た来た来た!!」

 

 強敵の出現に、歓喜の声を上げるルーミア。

 

 あの敵の事は知っている。マゼラン海峡で襲撃を掛けた際に、味方のグロリアス3機を撃墜した機体だ。

 

 雑魚の相手ばかりだった事もあり、欲求不満をぶつけられる相手を待ち望んでいたところである。あいつが相手なら不足は無かった。

 

「ブリジット、シノブ、あいつやるよ!!」

 

 叫びながら、ルーミアは待ちきれないとばかりに機体を上昇させてデスティニーへ向かう。

 

 上昇するイントルーダーに追随するように、インヴィジブルはアグニを、イラストリアスはシュベルトゲベールをそれぞれ構えて突撃を開始した。

 

 対抗するように、デスティニーを駆るキラも速度を上げる。

 

 相手は3機。あのクライアスですら苦戦させられた相手である。油断はできなかった。

 

「行くぞ!!」

 

 急降下と同時に、肩からフラッシュエッジを抜き放ち、二刀流のサーベルモードで斬り掛かる。

 

 一閃。

 

 しかし、デスティニーの斬撃は、とっさに身を翻して後退したイントルーダーを捉える事はなかった。

 

 攻撃が空振り、僅かに動きを止めるデスティニー。

 

「そ~ら、貰ったわよ!!」

 

 そこへ、ブリジットのインヴィジブルがアグニを構えて発射する。

 

 迸る閃光。

 

 対してキラは、余裕の動きで紅翼を噴射させると、一気に高度を落として、デスティニーを殆ど海面すれすれまで降下させて回避する。

 

 スラスターの余波で、強烈に立ち上る水柱。

 

 瀑布の如き水しぶきを割って、キラは機体を振り向かせようとする。

 

 そこへ、

 

「これで、終わりだ!!」

 

 シノブのイラストリアスがシュベルトゲベールを、大上段に構えて斬り掛かる。

 

 振り下ろされる大剣の一撃。

 

 対抗するように、デスティニーの左腕が旋回する。

 

 交錯する一瞬。

 

 閃光が、刃と掌の間で輝きを発する。

 

 次の瞬間、

 

 イラストリアスが持つシュベルトゲベールの刀身は、半ばから吹き飛ばされ。折れ飛んだ。

 

「何ッ!?」

 

 呻き声を上げるシノブ。

 

 キラが駆る量産型デスティニーは、左手にのみパルマ・フィオキーナを装備している。

 

 だが先の大戦で活躍したオリジナルのデスティニー以降、ザフト軍の機体でパルマ・フィオキーナを装備した機体が戦線に登場した事は無い。その為シノブは、キラの攻撃の正体全く予測できなかったのだ。

 

 間髪入れず、距離を詰めに掛かるキラ。

 

 デスティニーの右手に持ったフラッシュエッジを、サーベルモードで一閃する。

 

 横なぎに放たれた光刃の一撃が、

 

 イラストリアスの右足を切り飛ばした。

 

「おのれェ!?」

 

 叫びながらも、どうにか機体のバランスを保とうとするシノブ。

 

 そんな彼女を助けるべく、ルーミアのイントルーダーがスラスターを吹かして前へと出る。

 

「シノブから離れろ、こいつ!!」

 

 高速で接近しつつ、ビームライフルを放つイントルーダー。

 

 だが、デスティニーはそれらを余裕の動きで回避しながら、左手を一閃させる。

 

 ブーメランモードで飛翔するフラッシュエッジ。

 

 その刃が、イントルーダーの左腕を斬り飛ばしてしまった。

 

 さらにデスティニーは、ビームライフルを抜き放つと、イントルーダーとイラストリアスを掩護するべく、攻撃を開始しようとしていたインヴィジブルに砲撃を浴びせ、その手に持ったアグニの砲身を撃ち抜いて使用不能に追い込む。

 

「そんなッ!?」

 

 一瞬の出来事を前に、声も無くすルーミア。

 

 相手はたった1機。対して自分達トライ・トリッカーズは地球連合軍の中でも精鋭中の精鋭であると自負している。

 

 そのトライ・トリッカーズすら子ども扱いする敵機の実力に、戦慄にも似た恐怖を覚え始めていた。

 

 

 

 

 

 どうにも、うまく行っていない様子である。

 

 ガブリエルの艦橋で腕組みをしながら、ウォルフは送られてくる戦況を見ている。

 

 目の前のモニターには、現在のオーブ軍との交戦状況が映し出されていた。

 

 奇襲によって一時的にオーブ軍の戦線を攪乱する事に成功したものの、その後は再び盛り返されている感があった。

 

 泰然自若としたウォルフの態度には、些かの焦りも見られない。だが、このまま苦戦を強いられたのでは、本命の作戦にも支障が出る事も考えられた。

 

「さすがの粘り、と言うべきでしょうかな」

 

 艦長席に座ったフリードは、冷めた目で見ながら言う。

 

 彼の目から見ても、状況が芳しくないとの印象があるようだ。このままでは、囮としての任務も全うできない。

 

「オーブはこれまで、何度も国土を焼かれ、そのたびに自分達の防衛戦略を立て直し確立してきた。それを考えれば、主力が出払っているとはいえ、あまりに甘く見過ぎていたと言えよう」

 

 さもありなんと、ウォルフは腕を組んで頷く。

 

 オーブの歴史は、屈辱と再起の歴史と言って良い。

 

 ヤキン・ドゥーエ戦役、ユニウス戦役双方で国を焼かれ、蹂躙され、多くの犠牲者を出しながらそれでも尚、灰の中から立ち上がって復興を果たしてきたのだ。

 

 それ故に、今やオーブは小国でありながら、圧倒的な物量を誇る大西洋連邦と伍して戦えるだけの力を持つに至っている。質だけ見れば、オーブは世界最強の軍事国家と言っても過言ではない。

 

 事実として、ローガン隊は当初の勢いを失い、逆に押し戻されつつあった。

 

 ルーミアをはじめとした部下達の事を、ローガンは深く信頼している。彼女達なら、たとえ相手がコーディネイターの兵士であってもたやすく勝利をもぎ取れるであろうと考えている。

 

 だが、それでも尚、オーブの底力には及ばないらしい。

 

 ウォルフは決断すると、立ち上がって踵を返す。

 

 ルーミア達ですら敵わないと言うなら、より強大な戦力を投入するしかあるまい。

 

「出て、掩護してくる。その間、指揮を頼むぞ」

「ハッ」

 

 フリードの敬礼を背に受けて、ウォルフは大股で艦橋を出て行った。

 

 

 

 

 

 向かってくる敵を容赦無く倒しながら海上に出たクライアスのフリーダムは、圧倒的な火力でオーブ軍を掩護しつつ、ファントムペインの侵攻を阻み続けている。

 

 類を見ない機動力を発揮して戦場上空に駆け付けると、バラエーナ、レールガン、ビームライフル、カリドゥスで一斉砲撃を敢行する。

 

 辛うじて弾幕を突破してくる敵は、サーベルを抜き放って斬り掛かり、容赦なく切り捨てていく。

 

 反撃する地球軍の攻撃など、クライアスにとっては児戯にも等しい。

 

 全ての攻撃が、まるで測ったかのようにフリーダムに命中せずに通り過ぎていく。

 

「こいつらがいるから、姫様が!!」

 

 向かってきたグロリアスの胸部をサーベルで斬り捨てながら、クライアスは悪態を吐く。

 

 ユーリアを守る。

 

 その為に、襲来した敵を迎え撃つべく出撃する。

 

 その自分の考えが、間違っているとはクライアスは考えていない。現に敵は、未だにオーブ上陸を果たせていない。自分の考えは結果によって報われつつあるのだ。

 

 だが、

 

 1人の少女の事を思い出すたび、クライアスは自分が平静でいられなくなるのを感じていた。

 

 エスト・リーランド。

 

 あの冷静沈着な少女が、ただ1人、キラ・ヒビキの言葉にのみ素直に従って行動している様を見て、クライアスは言いようの無い苛立ちを覚えていた。

 

 いったい、自分はどうしてしまったと言うのか?

 

 今まで感じた事も無いような感情の揺れに、クライアスは戸惑いを隠せなかった。

 

 自分はスカンジナビア最強の騎士として、実力的にも名声的にも年齢以上の物を既に持っている。誰もが羨望、または嫉妬する立場であり、その逆はありえないだろうと自負していた。

 

 その自分が、たった1人の傭兵の少女の事を思い浮かべるだけで、こうも心を乱していると言う状況が、あまりにも滑稽に思えたのだ。

 

 センサーが、海上から高速で接近する機影を捉えたのは、その時だった。

 

「なッ!?」

 

 驚愕の声を上げるクライアス。

 

 目を見張った瞬間、

 

 それは、視界外からあっという間に駆け抜けてきた。

 

「速いッ!?」

 

 クライアスが迎撃態勢を取る間もなく、敵機はあっという間に距離を詰め、攻撃位置に取り付いていた。

 

 手に構えた、モビルスーツの身の丈ほどもある、長大なライフル。

 

 斉射された3発。

 

 速射に近い攻撃によって、瞬く間に、フリーダムの脇にいた3機のシシオウが直撃を受け吹き飛ばされる。

 

 高速かつ正確な攻撃を前にして、オーブ軍の兵士もクライアスも対応する事ができなかった。

 

「おのれッ!!」

 

 呻くように叫びながら、クライアスはフリーダムを突如現れた敵機に向かわせる。

 

 こんな奴に来られたら、防衛線はあっという間に抜かれてしまう。

 

 全砲門を展開。解き放たれる11連装フルバースト。

 

 奔流のような一斉射撃は、現在の地球圏においても、並ぶ者がいない程の攻撃力を発揮する。

 

 しかし、

 

 相手は、まるで何事も無いかのような機動を発揮して機体を旋回させると、フリーダムの攻撃を全て回避してのけた。

 

「見た目は派手だが照準が甘い。故に、脅威足りえない」

 

 低い声でフリーダムの攻撃を評価するウォルフ。そのまま機体を、さらに加速させてフリーダムを迎え撃つ。

 

 GAT-X143「ヴァニシング」

 

 かつてのバスターと同系列の機体である。主武装として、長大な超高インパルスペネトレイトライフルを装備。更に、Nジャマーキャンセラーと新型の核エンジンを搭載、更に大型のスラスターを装備する事で高い機動力を誇っている。

 

 高い攻撃力と、量産機を圧倒的に凌駕する機動性は、現時点において地球連合軍最強の機体と言っても過言ではない。

 

「ザフト系列の機動兵器が最強であったのは過去の話。条件が同じであるなら、後はパイロットの腕の問題となる」

 

 ウォルフが言い放つと同時に、手にしたペネトレイトライフルを放つヴァニシング。

 

 ペネトレイトライフルは地球連合軍が新たに開発した武装で、バレル部分を伸長して粒子加速力と射程距離を増大させ、更にチャージサイクルを上げて、比類無い速射能力を獲得している。

 

 バレルは着脱が可能であり、外せば通常のライフルとしても使用可能である。

 

 ヴァニシングの攻撃が、真っ直ぐにフリーダムへと迫る。

 

 対してクライアスはフリーダムを操り、その攻撃を辛うじてシールドで受け流す。

 

 しかし、その強烈な貫通力を有するライフルの衝撃に、フリーダムは弾き飛ばされてバランスを崩す。

 

「クッ!?」

 

 海面に叩き付けられる前に、辛うじて体勢を立て直すフリーダム。

 

 そのコックピット内で、クライアスは迫り来るヴァニシングを睨みつける。

 

「こんな所で、やられるわけにはいかない!!」

 

 海面付近で機体を固定すると同時に4門のバラエーナを一斉発射。ヴァニシングを牽制するフリーダム。

 

 対してウォルフは、ヴァニシングの高度を急激に下げる事でフリーダムの攻撃を回避。同時にビームサーベルを構えて斬り掛かる。

 

 対抗するように、クライアスもフリーダムのビームサーベルを抜き放つ。

 

 互いの剣をシールドで防ぎ、弾き、ほぼ同時に離れて体勢を入れ替える。

 

 しかし、次の瞬間、

 

「遅いッ」

 

 ウォルフは素早く機体を返しと、スラスターの出力そのままに、鋭い蹴りをフリーダムの腹に叩き付けた。

 

「グアァァァァァァ!?」

 

 呻き声を上げるクライアス。

 

 吹き飛ばされたフリーダムは、今度こそ決定的にバランスを崩し、海面に叩き付けられて水しぶきを上げた。

 

 海面にできた波紋を、ウォルフは注意深く見つめるが、フリーダムが浮かんでくる気配は無い。

 

「貴様の相手をしている暇は無いのでな」

 

 静かな声でそう言い捨てると、ウォルフはヴァニシングの踵を返して再びオーブ本島目指して飛翔する。

 

 フリーダムは戦闘不能に陥れ、デスティニーはトライ・トリッカーズによって、辛うじてだが押さえられている。他のオーブ軍機では、ウォルフの進撃を止め得る事はできない。

 

 速度を上げ、突撃に掛かるヴァニシング。

 

 その進路上にいるムラサメやライキリが、向かってくるヴァニシングに対して攻撃を行うが、そんな物は何ほどの物でもない。

 

 ウォルフはあっという間に接近すると、ビームサーベルで片っ端から斬り飛ばし、撃墜していく。

 

 まさに紙の軍隊。ヴァニシングの進撃を止め得るものではない。

 

 最早、ウォルフを止め得る存在は、オーブには存在しない。

 

「さあ、これで終わりだ!!」

 

 勝利の確信を込めて、ペネトレイトライフルを翳すヴァニシング。

 

 次の瞬間、

 

 突如飛来した閃光が、掲げたヴァニシングのライフルを正確に撃ち抜いて吹き飛ばした。

 

「ぬッ!?」

 

 爆発するライフルの銃身。

 

 とっさに機体を振り返らせるウォルフ。

 

 その視界の先には、

 

 闇夜にも鮮やかな、青い翼を広げて飛翔してくる鉄騎が向かってきていた。

 

 速い。

 

 その機体は、視界の彼方から一気に駆け抜けてくる。

 

 背中から抜き放った長大な対艦刀を両手で構え、ヴァニシングめがけて一閃する。

 

 袈裟懸けに駆け抜ける斬撃の閃光。

 

 対してウォルフは、とっさに機体を後退させる事で斬撃を回避した。

 

「こいつは・・・・・・・・・・・・」

 

 呻くように呟く、ウォルフ。

 

 それにこたえるように、

 

 その機体を操るパイロットは、高らかに宣言した。

 

 

 

 

 

「こちらシン・アスカ。これより、首都防空隊を掩護する!!」

 

 

 

 

 

PHASE-07「夜天輝く蒼翼」      終わり

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。