ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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神魔会議
実験と訪問


「聖剣事件」からおよそ一ヶ月が経とうとしていた。その間、様々な出来事があった。ゼノヴィアの教会から北欧への移籍、ゼノヴィアの駒王学園への編入や更に近々行われる三大勢力の会談にユグドラシルも参加してくれと堕天使の総督、アザゼルから声が掛かった。

そんなある日、一誠はゼノヴィアにある事について相談されていた。

 

「それで、一体何だ?相談ってのは?」

 

「ああ、よくよく考えてみたのだが……私がイッセーと添い遂げるとして、ある問題に気がついたんだ」

 

「ある問題?それは何だ」

 

「それは……寿命だ!」

 

「寿命?」

 

「そうだ!イッセーは魔神で長生きするだろう。だが、私は人間だ。どうしても私が先に老いて死んでしまう」

 

ゼノヴィアは所詮、人間なのだ。寿命は70歳~90歳くらいだろう。それも事故などが場合だが。

その点、一誠は魔神へと転生した存在だ。神の寿命は計り知れない。

だからゼノヴィアは危惧しているのだ。自分だけ先に死にたくないと、ずっと一誠の隣にいつ続けたいと。

それが彼女―――ゼノヴィアの願いだった。

 

(……と、言ってもな。寿命の問題を解決するのは難しいか?いや待てよ。アレを試してみるか)

 

一誠はある事を考えついて、試そうとしていた。ゼノヴィアを実験相手にしようとしていた。

 

「……ゼノヴィア。俺でそれを解決する事が出来るかもしれない」

 

「本当か!?それでその方法は?すぐにでも出来るのか?」

 

ゼノヴィアは一誠に顔ぐいっと近付けた。鼻同士が触れても可笑しくない距離だった。一誠はゼノヴィアの肩に手を置いて押して落ち着かせた。

 

「まずは落ち着けよ。思い出してみたんだ。どうして俺が魔神となったのかを……俺が魔神となったきっかけはこの『ボーン・カード』だ」

 

「……『ボーン・カード』か。だが、それは言わばイッセーの『力』だろ?それを私が使った所でどうと言う事はないだろう」

 

「ああ、そうだ」

 

一誠は『ボーン・カード』をゼノヴィアに見せてあっさりと肯定した。

 

「だがな、これをゼノヴィアの魂に同化させて間接的に俺の魔力を送る事でゼノヴィアを俺の眷属神扱いにする事が出来るはずだ」

 

「眷属神?つまりイッセーの直接の部下になる事で私も神なるという事か?」

 

「正確には擬似神と言う認識だな。これで寿命の問題は解決されるし俺の魔力の一部を使う事が出来るようになる」

 

「それは凄いな!では、早速始めよう」

 

「まあ、待て。適当に『ボーン』を決めて同化させられないんだよ。お前と適応出来る『ボーン』でないと。この中、選んでみてくれ」

 

一誠は数十枚の『ボーン・カード』を出現させた。

 

「色々と種類があるのだな……」

 

「ああ、選んでみてくれ」

 

「そうだな。……これは……」

 

ゼノヴィアは一枚の『ボーン・カード』を取った。それに描かれていたのは……。

 

「『レオ・ボーン』か。それなんだな?」

 

「ああ、これを見た瞬間、なにか目が離せなくなった」

 

『レオ・ボーン』

雷属性のボーン。

ボーンの中で左腕に盾を持っており防御力が優秀だが、攻撃力にも優れたボーンだ。

 

一誠は他の『ボーン・カード』を仕舞って、『レオ・ボーン』を手に取るとゼノヴィアの胸にぴったり付けた。

 

「それじゃ……行くぞ」

 

「ああ、頼む」

 

一誠はゆっくりと『レオ・ボーン』をゼノヴィアの体内に入れていった。カードが完全にゼノヴィアの体内に入った。

 

「どうだ?身体に変化はあるか?ゼノヴィア」

 

「……いや、大丈夫だ。それと不思議なんだ……身体の内側から大きな『力』を感じる。これが『ボーン』なんだな」

 

「ああ、どうやら上手くいったな」

 

一誠はゼノヴィアに『レオ・ボーン』が同化した事に安堵した。

 

(初めての事をしたからな。上手くいかなかったらゼノヴィアがどうなっていたか……)

 

一誠は初めのての試みが無事に終わって、肩の荷が降りたような顔をしていた。

 

「ゼノヴィア。これから魔力操作を覚えてもらうからな」

 

「ああ、分かった。必ずものにしてみせる。そう言えば、話は変わるが近々授業参観があるが、私達の保護者であるオーディン様が来られるのか?」

 

ゼノヴィアは数日後にある授業参観の事を一誠に聞いた。一誠は首を横に振った。

 

「いや、オーディンの爺さんは来ない。まだ日本が安全とは限らないからな。授業参観には代理が来るらしい」

 

「そうなのか?オーディン様に会えると思ったのだが、残念だ……」

 

「ユグドラシルに移籍した時には会わなかったのか?」

 

一誠の質問にゼノヴィアは残念そうな顔をして首を横に振った。

 

「あの時はヴァルキリーと会っただけで神とは会っていない」

 

「そうか。まあ、一応警戒していたんだろ。すぐに会えるようになるさ」

 

「うむ。そうだといいが……」

 

ゼノヴィアは不安があったが、一誠が言う事を信じる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、ゼノヴィアは不思議な夢を見た。そこは何もない黒い空間だった。

 

「……私は確か寝ていたはすだ。ならここは?」

 

「ここは俺の精神空間だ。ゼノヴィア」

 

「イッセー!?……ここがイッセーの精神空間とはどう言う事だ?何故こんな事に?」

 

「それはお前に用がある奴がいるからだ」

 

「私に用?それは……」

 

一誠はある方向を指差した。ゼノヴィアはその方向を見てみるとそこにいたのは人ではなく、巨大な生物―――ライオンがいた。

その大きさは人すら一口に丸のみしてしまえるくらいの大きさがあった。

 

『始めまして、と言ったところか。お嬢ちゃん』

 

「な……何なんだ?イッセー」

 

「こいつは『レオ・ボーン』だよ。お前の魂と同化させた」

 

「あれか!だが、私に何の用があって?」

 

『レオ・ボーン』はゼノヴィアに近付き、匂いを嗅いで一誠の方を向いた。

 

『この者の力になればいいのか、我らが創造主の後継者よ』

 

「ああ、頼めるか?」

 

『我らが神がそうお望みなら是非も無し』

 

「だそうだ。ゼノヴィア」

 

「……?どういう事だ。これは?」

 

話に付いていけずにゼノヴィアは首を傾げるしかなかった。

 

「まあ、簡単に言うと今日から『レオ・ボーン』がお前に力を貸してくれるんだよ」

 

「そうか。……よろしく頼む。『レオ・ボーン』」

 

『ああ、こちらこそな』

 

そしてゼノヴィアの意識は少しずつ一誠の精神空間から離れていき、現実の身体に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業参観を前日に控えた日、ユグドラシルからある人物が日本の駒王町に来た。その人物の名はロスヴァイセ。

ユグドラシルで戦乙女―――ヴァルキリーの一人だ。

彼女はある目的のために日本の駒王町にやってきており、一誠の家を目指していた。

 

「確かこの辺りだと思うのですが……」

 

キャリーバックを引っ張りながら空いている手に地図を見ながら目的の家を探そうとしていたが、完全に迷子になっていた。

しかしそれも無理はない。初めて来た土地でありがちだ。

 

「……はぁ~どうしましょう……」

 

「ロスヴァイセさん?」

 

「え?……イッセー君!」

 

ロスヴァイセが聞き覚えがある声がしたのでそちらを見てみるとそこにいたのは一誠だった。

両手には買い物袋を持っていた。

 

「良かった~道に迷っていたので……」

 

「そうだったんですか。でもどうしてここに?」

 

「それはイッセー君に渡すものがあるのと授業参観に出るためです」

 

ロスヴァイセが駒王町に来た目的はオーディンより預かった物を一誠に渡すのと一誠とゼノヴィアの授業参加に保護者の代理で出ることだった。

 

「そうだったのか。オーディンの爺さんは何も言わなかったからな」

 

「まったくオーディン様は……」

 

「それより俺の家に行きませんか?こんな道端で話すのなんですから」

 

「そうですね。行きましょう」

 

一誠とロスヴァイセは一先ず一誠の家に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠はロスヴァイセを連れて自分の家に向かっていた。

 

(まさか、ロスヴァイセさんが来るとはな。しかし渡す物ってのは何だ?)

 

一誠は先程、ロスヴァイセが言っていた渡すものが気になっていた。彼女が授業参加に出る事など忘れていた。

一誠はロスヴァイセを始めに色々なヴァリキリーから様々な事を習っていた。ロスヴァイセはその一人だ。

そんなこんなで一誠の家に着いた。

 

「それにしてもオーディン様はよくこれほどの家を用意出来ましたね?」

 

ロスヴァイセは一誠の家を見上げてそう思ってしまった。

 

「ここはどうも悪魔の管理から外れているらしい。俺も詳しくは知らないが、色々と問題があった家だったらしい」

 

「問題?それは一体……」

 

「悪霊だとか魔物だとかそんな噂が人をこの家から遠ざけていたらしい」

 

「大丈夫なのですか?それ……」

 

「何も問題ない。てか、そもそも何もいなかったからな。噂が一人歩きしただけ」

 

「そうなのですか。それは良かった」

 

ロスヴァイセは一誠に続き玄関に入って行った。靴を脱ぎ上がった。

 

「おかえり、イッセー」

 

「ああ、ただいま。ゼノヴィア」

 

「な?!」

 

一誠は出迎えてくれたゼノヴィアと普通に会話していたが、ロスヴァイセはゼノヴィアの格好に驚きを隠せ無かった。

 

「ど、どうして全裸なんですか?!ゼノヴィアさん!!」

 

ゼノヴィアは丁度、風呂上りで衣服をまったく着ていなかった。

 

「おっと、すまない。この家には私とイッセー以外いないのでな。ついつい開放的になってしまう」

 

「だからって!!女の子がそんな格好で歩き回るものではありません!!……って、イッセー君も何か言ってください!」

 

ロスヴァイセは一誠の方を向き怒鳴ったが、一誠の顔は「何を言っているんだ?」と書いてあるかのような表情をしていた。

 

「俺は見慣れているから大丈夫だが?」

 

「み、見慣れている?!ゼノヴィアさん!いくら同居しているとしても貴女は女の子なんですよ!もうちょっと恥じらいを持ってください!いいですか!?」

 

「うむ。ロスヴァイセ殿が言うなら次からは気をつけよう」

 

「次ではなく!!今から気を付けてください!」

 

ロスヴァイセの注意を二人は聞くには更々なかった。

 

「それでロスヴァイセさん。俺に渡すものって何ですか?」

 

「ああ、そうでした。すっかり忘れていました。これをオーディン様からイッセー君に、と」

 

ロスヴァイセは魔法陣から細長い箱を取り出して一誠の前に置いた。その箱は様々な封印が施されていた。

その程のものをオーディンは一誠に託そうとしてた。

 

(オーディンの爺さんから何が来るかと思ったが、何だ?これほど厳重に封印を施して俺に渡すものっては何だ?)

 

一誠は今か今かと箱の封印が解かれるのを待った。そして封印は解かれて一誠は中に入っているものを確認した。

 

「こいつは……」

 

一誠は箱の中身を確認して驚いていた。オーディンからのこれほどのものが送られてくるとはと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神の子を見張る者』の一室で総督のアザゼルと白龍皇の少年は近々ある会談について話していた。

 

「アザゼル。俺も例の会談に参加出来るのか?」

 

「ああ、もちろんだ。お前にも証人になってもらうからな。それにしてもコカビエルを連れ帰ってから妙に機嫌がいいな?何か面白いものでも見つけたか?」

 

「ああ、俺が全力でぶつかっても勝てそうもない人物にな」

 

「あの場にそんな奴がいたのか?お前が勝てない相手か。それは敵対したく無いな」

 

アザゼルは肩を竦め、嫌だ嫌だと嘆いていたが、白龍皇の少年は逆に自分が全力でぶつかる事の出来る相手に喜んでいた。

 

(楽しみだ……)

 




次回更新は4月4日です。

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