ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

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書いてり消したりを繰り返してすいません。

今度のは大丈夫だと思うので、読んでください。

では、どうぞ。


魔神誕生
過去と現在


少年は言うならば一般人だ。

 

少年の家庭はどこにでもある極ありふれた一家だ。

 

少年の両親はサラリーマンの父とパート勤めの母。

 

少年はこの2人から生まれた。

 

少年は幸せだった―――ある事件が起きるまでは。

 

少年にある時、不思議な力がある事が分かった。その力を両親に見せようと兄が少年に言った。

 

『その力を2人に見せれば、きっとおもしろいことになるぞ』

 

少年は言われるままに力を見せた、両親の驚く顔が見たくて。

 

しかし少年が見た両親の顔は驚愕と恐怖に支配されていた。両親は少年に言った。

 

『このバケモノ!どっか行け!二度とここに来るな!!』

 

『あなたのようなバケモノは私達の子ではないわ!』

 

少年は否定された。実の両親にこれでもかと言うくらいに。

 

『お父さん。お母さん。どうしてそんなことを言うの?僕は見てほしくて……』

 

少年はただ見せたかっただけなのだ。自分の力を―――

 

少年は訳が分からなくなっていた。兄に言われるがままにしただけなのに。

 

少年は自分の兄を見た。その顔は笑って―――いや嗤っていた。

 

『お、お兄ちゃん!助けて!』

 

『気安く触れるな!バケモノが!』

 

兄は少年の手を強く振り払った兄の顔は酷く歪んでいた。まるで汚物を見る目で少年を見ていた。

 

少年は逃げた。

 

ただひたすらに逃げた。

 

逃げて逃げて逃げて逃げた。

 

今、自分がどこに居るのかも分からないくらいに逃げた。

 

そして疲れたのか、その場にうずくまり考えようとした。

 

しかし頭が混乱して上手く考える事が出来ないでいた。

 

そして自分が兄に騙されて両親に捨てられた事を自覚した時、目から大粒の涙が落ちた。

 

少年は泣きに泣いた。大声を出して―――叫んだ。

 

どうして自分がこんな目に遭わなければいけないのか?

 

どうして自分は『バケモノ』と言われなければならないのか?

 

どうして自分を兄はここまで苦しめるのか?

 

そんな少年の叫び声を聞いて、顎に白い髭を蓄えた老人が現れた。

 

『………………儂と来るか?』

 

老人は少年に手を差し出した。

 

少年は差し出された手を掴み、老人と共にどこかへと行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……懐かしい夢だな…………最悪な気分だ」

 

少年の寝起きの一言はまさに過去の事を夢に見たためだろう。ベットから出て窓から外を見た。

 

「あれからもう十年くらい経つのか……」

 

兄に騙されて両親に捨てられて十年の月日が経っていた。あれから少年は大きく成長した。

今年で彼は17歳になる。

あの日―――両親に捨てられた日に出合った老人のおかげで彼は今日まで生きる事が出来た。

今は老人から与えられた家で一人暮らしをしている。

 

 

 

 

彼の名前は真神一誠(まかみいっせい)。

十年前に性を『兵藤』から『真神』と変えて、今は北欧で生活している。

一誠は着替えて朝食を摂るためにキッチンに移動している時にある気配を感じ取った。

 

(…ん?……朝から来るとは爺さんもよほど暇なのか?)

 

一誠が感じ取ったのは自分の命の恩人で保護者の立場にある人物だ。その人物が一誠を訪ねて来るのはさほど珍しい事ではない。月に数回こうして訊ねて来る。

だが、事前に連絡をしてくれと言っているのだが、一行に聞き入れてはくれていないのが、悩みの種だ。

だから一誠は少し諦め掛けていた。

そんな事を考えている内にキッチンに着き朝早くから来ている恩人(保護者)に挨拶をする事にした。

 

「来るのはいいんだが、連絡くらいしたらどうなんだ?オーディンの爺さん」

 

「―――ほぉほぉほぉ。そんな事をしてはヴァリキリーの娘共にここに来ているのバレるではないか。イッセー」

 

一誠が挨拶を交わしている老人は北欧―――ユグドラシルの主神・オーディンだ。

十年前に一誠を保護したのはオーディンだ。それからはオーディンの下でさまざまな事を教わり生活している。

朝食の準備をしながら今日はどう言った用件か聞く事にした。

 

「それで?今日はどうしたんだよ。まさか、またヴァリキリーの尻でも触って殺されかけているのか?爺さん」

 

「半分正解じゃな」

 

「……半分は正解なのかよ……主神が何をやっているんだよ。まったく……」

 

一誠はオーディンのやらかした事に呆れていた。いくら主神相手とはいえやった事はセクハラだ。だからヴァリキリー達の我慢は限界だったらしい。

主神に勝つのは流石に無理だが、彼女達が束になれば主神に一矢報いる事くらい出来るだろう。

 

「じゃあ残り半分は?」

 

「それを説明する前にこの資料に目を通してからじゃ」

 

オーディンは自分が持ってきていた資料を一誠に渡した。一誠は渡された資料の一番上の人物の名前を声に出した。

 

「……リアス・グレモリー。……グレモリーは確か七十二柱の悪魔の一体だっけ?」

 

「そうじゃ。その娘が最近、赤龍帝を眷属にして『レーティングゲーム』と言う悪魔同士の戦いで不死鳥の一族の三坊を倒しておるのじゃよ」

 

「それくらい別に驚くほどでもないだろ。いくら不死鳥でも相手はあの神滅具の赤龍帝だぜ。神や魔王と互角に渡り合えるドラゴンの片割れの魂が封印してある神滅具だ。不死鳥くらい倒せない訳ないだろ?」

 

「確かに普通はそう考えるじゃろう。しかしその赤龍帝はグレモリーの眷属になってから覚醒したんじゃよ。しかも今代の宿主は今まで人外の者と接触した事もないような一般人なんじゃ」

 

「マジかよ……」

 

「その者は赤龍帝になって一ヶ月しか経っておらん。それで上級の悪魔を倒せるのは可笑しいじゃ。だから儂は何か裏があるんじゃないかと思うんじゃよ。それにその赤龍帝はおぬしと因縁のある人物じゃからのぅ」

 

「……因縁?」

 

一誠は自分と因縁のある人物を必死になって思い出そうとしたが、思いだす事はなかった。

何故ならそれは―――

 

「―――生憎と雑魚の事は一々覚えてはいないな」

 

―――からである。

 

これまで一誠が戦ってきた人外の類は一誠にとって取るに足らない者達だからだ。

悪魔、堕天使、吸血鬼、魔獣などは一誠の『敵』と呼べるものは誰1人として

居なかった。

 

「……そうじゃないわ。資料を見てみよ、その答えが分かるわい」

 

「?……誰だって言うんだよ。まったく……」

 

一誠はオーディンに言われるままに資料を読み進めるとオーディンの言う人物を見つけて驚いていた。

 

「!?……『兵藤一樹』だと……この資料は信用していいのか?爺さん」

 

「もちろんじゃよ。情報収集に優れた者が集めた情報じゃからな」

 

 

 

兵藤一樹(ひょうどうかずき)。

それは十年前に一誠を騙して両親から『バケモノ』呼ばわりされるようになった元凶にして自分の兄だ。

 

「まったく……久し振りにあんな夢を見たから何かあるかと思っていたが、これとはな……つくづく最悪な気分だぜ……!!」

 

「イッセー!!」

 

「……何だ?爺さん」

 

「この家をお前さんの魔力で押し潰すきか?」

 

「……はぁ?…………あぁ……悪い爺さん。こいつの顔を見たのと今朝の夢の所為だ」

 

一誠は無意識の内に自身の魔力を出していた。その所為で危うく家を崩壊させると事だった。

オーディンが声を掛けなかったら間違いなくそうなっていただろう。

 

「……落ち着いたかのぉ?」

 

「ああ、もう大丈夫だ。……それでオーディンの爺さん。俺に何をさせる気だ?こんな資料を見せるくらいだ。他にやらせる奴がいないから俺の所に来た。そういう事だろ?」

 

「そうじゃよ。お前さんにやってもらいたいのは『リアス・グレモリーと眷属の監視』じゃ」

 

「監視が必要か?所詮は上級の悪魔の一体だろ?」

 

「お前さんの言いたい事は分かるわい。しかしリアス・グレモリーが管理している土地は中々に曰く付きでな。こちらとしても何かある前に手を打っておきたいのじゃよ」

 

一誠は改めて資料に目を通した。そこでいくつか気になる事を見つけた。

 

(……管理している癖に堕天使の侵入を許しそこに住んでいる人間を殺されているのか。よくこれで管理者を名乗れるものだな)

 

一誠はリアスが管理している土地で、ここ一、二ヶ月の間に起った事に目を向けていた。そこでリアスに管理者としての能力があるのか疑問に思った。

 

「了解。こいつらの監視の任務は受けるよ。俺としてもいい加減、過去の清算しておきたいと思っていたからな」

 

「すまんのぉ……お前さんにとって嫌な想いをさせる事になるのにのぉ……」

 

「いいよ、爺さん。俺は爺さんに拾われて良かったと思っているから」

 

「そう言ってもらってよかったわい。住む場所や編入手続きはこちらで済ませて置くからお前さんは軽い身支度だけしておいてくれ。来週には向こうに行ってもらうからのぉ」

 

「それは急だな。まあ、分かったよ、準備はしておく。……ほら、出来たぞ」

 

一誠はオーディンと会話をしならが朝食の準備を完了させていた。

ちなみに今日の朝食は白米、鮭の塩焼き、さつま芋の味噌汁だ。一誠は日本人なので朝食は大抵が日本食だ。

オーディンがここに来るのは一誠の作る日本食を食べに来る事の方が一番の目的かも知れない。

 

「ほぉほぉほぉ。やはりイッセーの作る日本食は美味しいのぉ」

 

「ホント、好きだよな爺さんも」

 

2人の食事はまるで祖父と孫の食事の光景そのものだ。乱入者が入ってこなければだが―――

 

「―――ずいぶんと楽しそうですね?オーディン様!」

 

「なっ!?お、お前達……どうしてここに?!?」

 

オーディンの後ろには鎧を着込んだ女性達がいた。彼女達は戦乙女―――ヴァリキリーだ。

年齢は20~30代くらいだろうか。その彼女達は全員が武器を持っていて戦闘態勢が整っていた。怒りのオーラが視覚出来てしまうほど、彼女達は激怒していた。

 

「覚悟はいいですか~オーディン様?」

 

「……すまんが、イッセー。儂はこれで帰る事にするわい」

 

オーディンは一目散に逃げ出した。それはまるで脱兎の如くだ。

 

「「「「「待ちやがれ!!!このセクハラ主神が!!!」」」」」

 

ヴァリキリー達はオーディンの後を凄まじいいき良いで追いかけって行った。

一誠は1人食器を片付けて身支度をし始めた。

 

「さあ、決着を付けようぜ。『兵藤一樹』!」

 

一誠は静かに闘志を燃やしていた。過去との因縁を清算する為に―――

ちなみにオーディンはヴァリキリー達に『おしおき』されて酷くボロボロになっていたとか……。

 




読んでくれて、ありがとうございます。

次回の更新はできるだけ早めにしておきたいです。

では、また。

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