You Only Live Twice の奇想曲 作:飛龍瑞鶴
首輪を解き放ち、猟犬達を餌場に放て
片山先輩からクエストの詳細をメールで聞くと、突入するのは私も加えて4人。他にも片山先輩が口に出した以外でも、
今回のクエストは事前の情報集がそれなりに出来ている。
今回突入するのは、中華系犯罪結社であり、我々の目的は少数が突入して人身売買の商品を電撃的に確保し、掩護射撃下の下で医療班が突入して救出する事になっている。
その作戦計画を頭に入れて相手の移動手段を真っ先に潰す為に、今しがた強襲科の体育館に来た美香のストーナーM63を組み替えて、軽機関銃モードにする100発入りボックスマガジンに今夜使う銃弾、つまり、曳光弾、徹甲弾、焼夷徹甲弾を曳光弾2、徹甲弾4、焼夷徹甲弾4の順番でベルトリンクを組むのが意外に面倒だ。
この組み合わせを、2箱分つまり200発作って美香に持たせる。
「これに二脚か、三脚付けて撃つんですね」
「まぁ、そうなるだろうな。作戦指揮官の片山先輩が
「車で迅速に逃げられない様ですね」
「その通り。派手に車を壊してくれると、潜入が楽かな…いや、4人で強襲だろうな。全員捕まえる様だし」
美香の装備の準備は終わった。
彼女に装備一式を渡して自分の装備を準備する。ヒップホルスターにグロック19納め、予備弾倉を2本とサプレッサーをヒップホルスターに付属しているケースに入れる。
メインアームにワルサーMPLを用意してこちらも予備弾倉を入れる弾薬ケースを右膝に巻き付ける。
「先に集合場所に行ってる」
「気をつけて下さいね」
バラバラの車で行く事になる。
集合場所まで
人員の集合を様々な車で行い、武偵が集結しているのを判らなくし、秘密裏に集合させる為である。
集合場所の前で速度を落とした車から、今夜使う仕事道具を引っ張り出して。作戦の立案と指揮所になっている雑居ビルに入る。
片山先輩が今夜、我々が押し入る予定の倉庫の模型を用意していた。
「笠原か。今日の押し込みで入る相手は10人。武装はノリンコ54式手槍。ギンダラじゃなく純正品だ。防弾服は着ていない。突入する際にはフラッシュバンを持てるだけ持って行け」
片山先輩はそう言うとダンボールをデスクの上に置く、それは、警察用の小型フラッシュバンであった。大きさ的に単一電池並みに小さい為、一人当たりの携行量が多くなる。
「先輩は狙撃ですか?」
私はフラッシュバンを防弾制服に隠しながら、片山先輩が何を持ちこんだか気になった。
「ウィンチェスターM70Pre64モデル」
片山先輩の愛用の銃だった。
よく見れば、競技用にカスタムした
「車は潰して、掩護射撃するから安心しろ。伊達も朝倉それに西城とお前だからな。全員腕利きなのは、以前のクエストでも突入する面子同じだったな。思う存分暴れろ」
「了解。突入口付近に待っています」
同じ突入口から突入する西城先輩が、一般の人とは変わらない歩き方で私と合流した。
先般は私に切り詰めた散弾銃をスポーツバックから取り出して渡してくる。
「入り口の扉を吹き飛ばすぞ。フラッシュバンは俺が投擲する。お前は素早く扉を撃ち抜け」
「了解しました」
扉ぶち抜き様の散弾を3発装填して、西城先輩に持ってきたフラッシュバンを渡す。
「突入第一般準備完了」
西城先輩が指揮所に準備完了を告げる。
『10秒後に突入』
片山先輩の声が響き。散弾銃を蝶番の部分に散弾銃を押し付ける。
『3.2.1.0!』
無線からその声が出ると同時に散弾銃を発砲。
蝶番が付き飛ぶと当時に西城先輩が、扉を蹴り開け、フラッシュバンを大量に投げ込む。
フラッシュバンの閃光と轟音を防ぐために、扉から少し離れたが、味方の援護射撃の勢いが凄まじく、敵にこちらの姿は見えない。私と先輩は嵐の様な掩護射撃を隠れ蓑にして突入する。
私は敵が反応する前にSMGを連射し。滑り込むようにさらに奥に突入する。
西城先輩は357マグナム弾を装填したコルト・パイソンを連射している。私が弾幕を張っている間に西城先輩はリロードを素早く行う。
倉庫の前に止めてある車が集中射撃で爆発したのか?外から車の爆発によって倉庫が揺れる。
伊達先輩と朝倉先輩が別方向から突入したので、予定の時間通りに倉庫の入り口を占拠。その後は、一気に倉庫は制圧された。
内部の犯人たちを全て拘束、人身売買の商品となっている人々を救出。
犯人、救出した人々を警察に手渡して。帰るだけになった私達は、西城先輩のウォークスルーバンに拠点に置いた様々なものを仕舞い。
朝まで少し寝てから武偵校に帰る事になった。
この時はこの後。
学園島で朝事件が起こり、学園島に帰る車で事件の応援に駆り出されるとは思っても居なかった。
夜間のクエストは無事終了。
さて、翌朝起こる事件はやっと本編に積極的に介入できるかな?