You Only Live Twice の奇想曲 作:飛龍瑞鶴
カメリアの瞳の少女問いに彼は素直に答える。
彼はそれなりの実力者であるが。
彼の先輩方は彼を越える実力者だった。
武偵病院での診察を済ませて、2-Aに向かって歩く。裂傷部に既に皮が張ってきており、あと数日で完治するとの事。
クラスが違う美香とは、名残惜しいが自由履修の時間に指導すると約束したので。
それまでの時間は真面目に授業を受けて、友人と馬鹿話をしたりして、学生生活を楽しもうと考えている。
『向こう側』に比べて、『こちら側』の人間の方がスペック面で上であると思える。『向こう側』より、肉体的な上限が上であると言うのは、自分の能力がどれ程向上するのか?挑戦し甲斐がある。
最も、一年の時に
―あの戦兄の同期の先輩も大概、規格外なんだよなぁ―
今年の三年生は
「おはようございます」
何時もの様に挨拶をいれながら、教室に入る。親しい友人から、「おはよう」の返しが来る。
「おい、笠原。傷は大丈夫か?それに、アレどう言う事だか知らないか?」
「笠原くん。傷は大丈夫?それと、あそこの詳細知らない?」
「あぁ、鏡高さんがカチコミ装備で朝、男子寮に向かっていたと美香に聞いたな。その途中で、何かあったんじゃないか?と言うか、お前らキンジの友人なら直接聞けば良いだろう?」
と言いつつ。あの空間に突入するのは相当な胆力が必要だと思いながら、二人に対して、声を潜ませながら常時持ち歩いている十面体
「一番小さな目を出した奴が聞きに行く。OK?」
「あぁOKだ!」
「それで問題ないよ」
二人の了解を取り付け、ダイスを先に転がす。
出目は1。
「「「………」」」
「行ってくる」
―やっぱり、お前は話題の中心に居る人物だよ―
ネクラと言うか悲観主義的な性格のせいで、学生生活で損をしている
「お疲れさん。大体は予想がつくが。どうした?」
キンジは、自己嫌悪が混じる精根尽き果てた声で俺に答えてきた。これは、アレか。しかし、この疲弊ぶりはなんだろうか?
「お前の予想通りだよ。菊代が朝起こしに来た。そこで、アリアと衝突した」
俺は、キンジの垂れ下がった腕に右手で、和文モールスを打ち込む。
『それで、最終的にお前がヒスって止めたのか…ご愁傷さま…』
「うん?」
私は疑問を感じた。そのシチュエーションは予想できるが、それが発生するには『キンジの部屋にアリア嬢が最初から居る』と言う前提条件がある。
「おまえさん。もしかして…」
キンジは初めて顔をこちらに向け、なんとも言えぬ表情で此方を見た。
「アイツ、昨日から居座ってるんだ。俺をパーティーに組み込みたいなんだの…」
厭世感漂う声でキンジは答える。隣に耳を傾けてみると、神崎嬢が
「何?あの極道女。
と、愚痴を言っているのが聞こえる。
流石、恋する乙女は強いと言うべきだろうか?
鏡高嬢、確かAランク
それでも、Sランクの
―いや、今の神崎嬢が焦っているのが原因かもしれない―
昨晩の内にコネクションを活用し、神崎・H・アリアについては調べ終わっている。また、関連情報を洗えば彼女の目的が判明するまでそんなに時間を必要としなかった。
―この話はキンジには後で話そう―
思考がマイナス方面で回ってる時に、重い他人の境遇を聞かせるのは、肉親を失ったばかりの人物には負荷がかかりすぎる。
―結局はキンジ自身が克服するべき問題か―
私は何度も繰り返している思考になった。
心が折れて弱っている者は、時には自分でそれを克服しなければならない。
「お疲れ、昼くらいは奢るよ」
「食べる気力が残ってたらな」
まぁ、奢れるだろう。そう思いながら武藤と不知火に結果を必要な部分だけ伝える為に、歩き出すと。
「あんた。笠原信也で間違いない」
神崎嬢に声をかけられた。声色から、不機嫌なのは明らかなのだが無視する訳にもいかない。
「間違いない。あぁ、昨日、自己紹介してなかったか。申し訳ない」
神崎嬢はその事は関係ないと言う風に首を振った。
「貴方、
彼女の言っている事は本当だった。『向こう側』の自分に並ぶ実力を得ようとした結果であり。また、戦兄と共にクエストをこなした結果とも言える。
去年までの戦兄の名は、鈴木・
「戦兄下で勉強したら。いつの間にかそんな数を掛け持ちする事になりましたよ。
少し、自嘲ぎみに補足を付ける。『向こう側』で身に付けて居たスキルを再度習得しようと努力した結果なのだが。単位管理とクエスト、様々な予定をジグソーパズルの様に予定を組み立てる事になるとは思わなかった。
「では、授業がはじまりますので。また今度」
神崎嬢は何かを聞きたがっていたが。担任である高天原先生が来たので話はそれまでになった。
私は武藤と不知火にメールを送りながら、昼以降が大変になるなと言う。
経験から来る直感で、そうなると感じていた。
主人公の多数の掛け持ちは、特殊部隊系の技能を揃えようとした結果だったりします。
戦兄の鈴木先輩の祖父ですが、先代00課のナンバー7、つまりジェイムズ・ボンド氏ですが日本人と偽装結婚したのは、007シリーズ「You Only Live Twice」映画007シリーズのでは「007は二度死ぬ」の設定です。
そこで生まれた「ジェームズ・タロウ・スズキ」と言うキャラクターも一応、公式設定とされるキャラクターです。
次回ぐらいのアクションシーンを書けると良いなぁと思いっています。
次回もベストを尽くして書きますので、よろしくお願いいたします。