蝶々の羽ばたきで竜巻なら鵬の羽ばたきは・・・
ペンエフェクト
東西交流戦は2勝1敗で天神館側の勝利となり、戦場となった廃工場では両学共同で戦後処理が行われていた。
戦後処理と言っても主に負傷者の救護と備品の後片付けだが...
―アイーシャside―
「皆さ~ん、怪我をした方はわたくしの所まで来て下さいね~♪」
そして、中央の戦場では天神館の総大将を勤めたアイーシャ・アレキサンドルが負傷者の治療をしていた・・・殆どの負傷者がアイーシャの権能の被害者である事実はこの際おいて置く。
天神館側の生徒はこれから何が行われるのか知っている為、何の躊躇いも無く並んでいるが川神学園側の生徒はその様子に首を傾げるも
「少しじっとしていてくださいね」
「はい、アイーシャ様」
怪我をしていた生徒にアイーシャが手を触れると
「ありがとうございます、アイーシャ様」
「気にしないでいいですよ~」
そうして暫く権能による治療を続けていると近くの空間の気が高まり始めた。
「あら?、これって確か、」
そして、虚空より二人分の影が現れたことに周りの生徒が驚くが、その二人の状態にさらに驚くことになった。
「な!?、一瞬で移動したのか...」
「アイーシャ、
瞬間移動に驚愕している京極を放置して翠蓮はアイーシャに治療を依頼するが、アイーシャと周りの生徒が別の点、京極が翠蓮にお姫様だっこされている事が気になっていた。
「翠蓮さん、それは良いのですが、そちらの方は?」
「あぁ、京極彦一と言う」
「・・・すまぬが羅濠よ、降ろしてくれまいか」
流石に恥しくなった京極は翠蓮に降ろして貰い、改めてアイーシャに自己紹介すると早速治療を開始した。
―武神side―
翠蓮達が去って暫く百代は
「お姉様~」「姉さ~ん」『『『モモ先輩~』』』
「ん?妹に弟達か」
交流戦終了のアナウンスと同時に風間ファミリーの面々は百代が戦って居るであろう場所へと向かったのだった。
「姉さんお疲れ様」「なぁなぁモモ先輩さっきまで戦ってた人は?」「キャップ今それ聞くのはどうかと思うよ」
大和が労い、風間は気になる事をダイレクトに質問するがモロが空気を読んで嗜める。
「え~気になるだろ?」「そうだぜモロ!それにモモ先輩を吹き飛ばしたあれ見たろ?きっと筋肉フェチに違いない!俺様の筋肉でメロメロだぜ♪」
「あっ、え~と・・・」
駄々をコネる風間と盛大な思い込みをしている岳人だが、モロにはツッコム事が出来なかった、実際に筋骨隆々の黄金に輝く
「翠蓮ちゃんなら終戦して
百代は不機嫌そうな表情で答えた。
「えっとそれって3Sの京極彦一先輩?」
「あぁ約束がどうのと言っていたが、ぬぁ~物足りない!」「ちょっ!?」
叫んで百代は大和に抱き付き、大和はその豊満な胸を愉しむ余裕も無く万力の様な腕で拘束されてしまった。
「あっ!」
しかも、先程まで全開モードになって居た為、加減を間違えてしまったようだ。
「「「や、大和~」」」
◆◆◆◆◆◆
大扇島にある九鬼財閥極東本部のとある会議室にて緊急会議が開かれていた。
「クラウ爺、報告を頼むのじゃ」
「
現在、会議室に居るのは九鬼紋白と九鬼家従者の序列3位クラウディオ・ネエロ、そして序列0位ヒューム・ヘルシングの3人である。
「先々日より開催されていた西の天神館との共同イベント東西交流戦、その3回戦で武神、川神百代が戦場外へと吹飛ばされる事態が発生しました、その後戻って来た武神と吹飛ばした生徒との2回戦が開始される直前に交流戦が終了してしまい2回戦はなくなりましたが・・・」
「ん?それで結局武神は負けたのか?」
「難しいところでございます、現に武神の敗北とする声も一時の時間稼ぎとする声も有ります。」
「ふん、あの赤子は慢心をつかれたのだ、負けだろう」
クラウディオによる東西交流戦の説明に紋白は疑問を
「しかしながら武神を吹飛ばした本人は『あの小競り合いを一戦と数えるのは
「「・・・・・・」」
どの様に得た情報なのかは不明だがクラウディオの
「フハハハ、そうか本人が言うのならばそうなのであろう!」
「フン!」
しかし、直に言わんとする事に紋白は思い至り豪快に笑い出し、ヒュームは気に入らないようで
「それでは例の計画は・・・」
「うむ、そのまま進めるのじゃ」
「承知致しました。」
クラウディオが承諾し一礼する。
「しかし、武神相手にそこまで
紋白が興味を
「天神館の3年生、
「なんと!、彼女と同じ権能保持者じゃと・・・」
何かを思案し始めた紋白に二人は黙って見守る、そして結論が出た様で紋白は話始める。
「クラウ爺、確か
「!成程、しかしよろしいので?」
何が言いたいのか思い至ったクラウディオだが九鬼家の従者として了承し兼ねる内容に確認をとる。
「仕事としての依頼じゃ、それにヒュームも居るのじゃ問題はあるまい」
「「承知致しました。」」
微笑みを見せる紋白に二人の老人は了承した。
◆◆◆◆◆◆
翌日の土曜日、2つのニュースがお茶の間を
そんな中、関西に戻る天神館の生徒と見送りに一部の川神学園の生徒が駅に来ていた。
「SeeYouAgain、アイーシャマタ遊ビに来ルネ」「はい、虎子さんもいつでも遊びに来てくださいね♪」
交流戦も終わり、両校の生徒は和解して仲良くなっていた。
いつも通り人脈作りに精を出している大和に声を掛ける女性がいた。
「ちょっと良いかしら?」
「はい、え~と?」
いきなり先輩に話し掛けられ戸惑っている大和にクスッと微笑み自己紹介を始める。
「これは失礼、天神館3年生のアリス・ルイーズ・オブ・ナヴァールと申します。」
【!この人があの3年の軍師・・・】
「は、はぁえっと直江大和です。」
「私も今回は軍師をさせて頂いておりまして、同じ軍師として
「えっと...」
同じ軍師としてアリスが大和の行動に隠された策が在ると勘違いし、目を輝かせる様子を見て大和は戸惑った。
実際は策も人員も
【どうしよう?】
正直に話すか悩んでいると割り込む者が頂い。
「なんだ~可愛い子を口説いてるな弟~」
「ね、姉さん!!」
大和の後ろから百代が抱き着いた。
「なぁそれより翠蓮ちゃん見なかったか?何処にも見当たらないんだ『あぁ、翠蓮様ならもう帰りましたよ』・・・え?」
百代の疑問に答えたのはアリスだった、美少女のアリスに普段なら口説きに掛かるが、今はそれどころでは無かった。
「あれ、なんて?」
「はい、翠蓮様なら昨夜の内にお帰りになりました。」
「え~会いたかったのにな~何で帰っちゃうかな~」
ブーブーと文句を言う百代に対して大和は疑問に思った事を聞いた。
「でも、終電は終わってましたよね?どうやって帰ったんですか?」「あっ!」
百代も気付いた様で二人してアリスの答えを待った。
「それでしたら、転移で帰られましたわ」
「「???」」「てんい?」「はい、転移です。」
「へ、へ~そうなんだ・・・」「なら仕方ない・・・のか?」
色々とツッコミ処は在るが、言ったら負けな気がして控えるのだった。
◆◆◆◆◆◆
「それでは川神様、直江様、私はこれで失礼しますね」
「は、はいありがとうございます。」「あぁ、教えてくれてありがとな、あと百代で良いぞ」
「なら百代様で、それではお二人共ごきげんよう」
優雅にスカートの端をつまんで一礼し離れて行くアリス。
―大和side―
離れて行くアリスを
【あの人が軍師か、そうは見えなかったな】
東西交流戦の後、大和は
では
それは交流戦が始まる前に大和は軍師として天神館の情報を集めたが、それは2年の十勇士に関する物が殆どで一部聖女の噂は在るもののそれ以外は無かったのだ。
そして調べ直した結果、意図的に封鎖されたりダミーに紛れ込ませたりと情報操作がされており、その陰に3年の軍師がいた。
「可愛い子だったな、あっ!連絡先聞き忘れた!!」
【姉さん・・・】
ガックリと落ち込む百代に大和は何とも言えない表情をする。
「「ん?」」
「大和~~テメェこの野郎、今の綺麗なお姉様は誰だ!紹介して下さい!!」
「ガクト・・・」
アリスと話していた大和達を見た岳人が絡んで来た。
「ハハハ、残念だったなガクト!アリスは私の物だ」「いや、姉さんのでも無いよね」
その後、連絡先すら分からない事を知った岳人はガックリと肩を落とすのだった。
裏で活躍するアリスさんを描きたかったのです。
戦いで情報は重要!、そして完全には無理でも数日(交流戦が終るまで)ぐらいなら情報の漏洩を防げるのでは?
との思いでこの様な内容になりました。
それと今後、時系列が多少前後しますが、気にしないで頂けると幸いです。