武林の誉れに恋しなさい!   作:水華

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今回はスラスラと書けました。
ただ、トーナメント自体は2試合しか消化出来て居ないです。。。
でも、大暴れには成っているかと思います。


若獅子タッグマッチトーナメントC

グループAの第1試合が終了し、グループBが始まる。状況を軽く整理しよう。

 

グループA

第①試合、勝者、智性

第②試合、勝者、ミステリータッグ、ただし棄権済み

第③試合、勝者、無敵童貞軍

第④試合、勝者、デス・ミッショネルズ

 

グループB

第⑤試合、フェアリーソード VS ワンダーランド

第⑥試合、西遊記 VS チャレンジャーズ

第⑦試合、ファイヤーストーム VS ワイルドタイガー

第⑧試合、聖絶(せいぜつ)の言霊 VS 剣士連合

 

■=========■

|| ①┐   ┌⑤ ||

||  ├┐ ┌┤  ||

|| ②┘| |└⑥ ||

||   ├☆┤   ||

|| ③┐| |┌⑦ ||

||  ├┘ └┤  ||

|| ④┘   └⑧ ||

■=========■

 

そして、フェアリーソードのペアとワンダーランドのペアがステージに現れた。

それを確認し、田尻はマイクのスイッチを入れる。

 

『さぁ紹介しましょう、グループBの初戦です。第⑤試合、フェアリーソード対ワンダーランドぉぉ!』

 

「僕の出番だね、ん~強そうでは無いけど...厄介そう?まぁいっか、斬れば分かるね」

「手加減は礼にもとる、騎士として全力でお相手します!!」

 

「わたくし一生懸命頑張りますわ♪」

「クラニチャール様、手加減してもよろしいのですよ?」

 

ドニは持ち前の直感でアイーシャの本質に気付いた。一方リリアナは真面目な性格から本気で行こうと誓う。

 

そしてアイーシャはマイペースに決意を示し、アリスは苦言を(てい)する。

 

『異色の組み合わせだな』

『本来なら聖女に敗けは無いが、あの金髪の男、羅濠先輩と互角と言ってたな?正直俺には予想もつかん』

『ん?あの子そんなに強いのか?そうは見えないけどな~』

『強くは無い、だが敗けないのだ』

『???』

石田の在籍する天神館の生徒は聖女こと、アイーシャ・アレキサンドルの厄介さを知っている。逆に百代は以前戦ったサルバトーレ・ドニの強さは知っているが、アイーシャについては殆ど知らない。

解説の2人の意見が噛み合う事は無かった。

 

『私にもどんな戦いになるか想像も出来ません、それではドゥエッロ、アタッコぉ!』

田尻は合図として手刀を攻撃の様に振り下ろした。

 

「じゃあ手始めに」

剣を構えたドニの右腕が銀色に輝き出し、剣には緑色の光を纏う。

 

「なっ!?ドニ卿、いきなり何を『小手調べ?』っえ?」

「いっくよ~」

いきなり権能を使い斬撃を飛ばすドニにリリアナは静止出来ず立ち尽くす。

 

だが、それで決まる事は無かった。アリスは危険を察して離れており、アイーシャは斬撃の直前に何故か転び掛け局所的に吹いた突風で飛ばされ()()()()足から落下して直立し、傷1つ無かった。

 

『『『・・・・・・』』』

 

「あれ?何でしょうこれは?先程までキレイな床だった様な?」

当のアイーシャは先程まで(さら)されていた自身のピンチにも気付いて居なかった。

 

「は...ハハハ、こんな方法で避けられたのは初めてだよ」

何がツボに入ったのかドニは爆笑し出した。

 

『えっ?偶然なの・・・か』

『あぁ、偶然も聖女に掛かれば必然に変わる。』

『???』

解説席では唖然と呟く百代に対して諦めた様な溜め息を石田は吐いていた。

 

―アリスside―

 

【さて、アイーシャ様が暴走する前に終らせなければ、まったく戦闘は私、専門外ですのに】

アリスは人々の意識の隙間、死角を利用しながらリリアナに近付くが、相手は大騎士の称号を持っている為、穏行(おんぎょう)の出来無いアリスでは間合いに触れた時点で気付かれた。

 

「!貴女が私の相手・・・ですか?」

【いつの間にこんな近くに...】

 

「えぇ、よろしくお願いします、クラニチャール様、私はアリス・ルイーズ・オブ・ナヴァールと申します」

スカートの端を摘まみ、優雅に一礼する。

流石は公爵家のご令嬢、その姿はとても(さま)になっていた。

 

「あ、あぁ、リリアナ・クラニチャールだ。その、よろしく頼む」

アリスの態度に出鼻を(くじ)かれ、調子の狂ったリリアナはどうして良いのか戸惑っていた。

 

「クラニチャール様はどうしてこの大会に参加なされたのです?失礼ですが、九鬼の重役待遇確約証文やその他の賞品が目当てとは思えないのですが?」

 

「いや、その...卿に無理矢理、な、その後は、成り行きと言うか何というか...」

 

【やはり、ならばする事は決まりですね】

「まぁ、そうでしたの!!私もアイーシャ様に強引に連れて来られたもので、とても心細かったのですよ」

 

「貴女もなのか!?」

「はい♪、あの、クラニチャール様、もし宜しければお名前でお呼びしても・・・?」

「ムッ・・・あぁ構わないが...」

「まぁ、ありがとうございます♪」

【流石は騎士様、警戒心が強いですが、もう少しですね】

 

◆◆◆◆◆◆

 

一方、少し離れた所では戦いと言う名のコメディが繰り広げられて居た。

 

「ハハハ、もう一度行くぞ、アリア!」

ドニが剣を振りかぶり斬る為に踏み込んだ瞬間に()()()()()下に空洞が有り足を取られ転んでしまった。

 

「あの~・・・大丈夫ですか?」

「・・・・・・クックッ、クハハハ、此処まで運で防がれるなんてスゴイな~テュケー、僕も初めての体験だよ♪」

「まぁ、良く分かりませんが良かったですわ♪」

 

『『『・・・・・・』』』

 

ドニとアイーシャのやり取りに百代と観客が唖然と口を開けた状態になった、いや、石田含めた一部の観客は呆れの表情をしている。

先程からドニはアイーシャに斬り掛かって行くがその都度、鳥が飛んで来たり、何故か槍が降ったり、突風と共に看板『派手にすごい』が飛んで来て剣一閃!切り裂くも、その後ろには右腕を頭上に突き上げた姿の胸像『ガースー黒光りチャンピオン』が有って顔面直撃でぶっ飛んだ。まぁドニは権能、鋼の加護(マン・オブ・スチール)で無傷、寧ろ胸像が粉々に為ったが些細(ささい)な事だろう。

 

『武神よ、敗けないって言った意味は分かったのではないか?』

『あ、あぁ、理解したぞ...』

 

その試合を控え室で見ていた面々は・・・

 

―控え室side―

 

【何だあれは!?、偶然にしては出来すぎている。】

【やはりアイーシャの幸いなる聖者への恩寵(グランド・ラック)は脅威ですね、願わくは早々に失格に為らぬものか・・・】

京極は少なからず面識が有るが、それでも画面に映る常識外れの事象に少なく無い興味を(いだ)く、そして翠蓮は苦手なアイーシャが勝ち進まぬ様に祈る、弱気な姿勢を取っていた。

 

「うわ~やっぱり聖女様相手には武力も策略も無意味みたいだね~」

「ウム、しかもアレは相手が強い程に強力になるな」

「えっ!?そうなの?」

「あぁ、あの権能の本質は都合の良い世界への改編で在ろう、あの剣術バカが権能を使い出したら・・・いや、もう荒れるな」

「えっ?」

燕とアテナはアイーシャの権能に関する考察を話して居たが、アテナの(つぶや)きに再びモニターを凝視する。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「ここに誓おう。僕は、僕に斬れぬ物の存在を許さない。この剣は地上の全てを切り裂き、断ち切る無敵の(やいば)だと!」

ドニの腕、そしてその手に有る剣が銀光を纏う。権能斬り裂く銀の腕(シルバーアーム・ザ・リッパー)を発動した証だった。

 

「全力で挑ませて貰うよマルタ・・・いや、君の名前を教えてくれないかい?」

「?あっ!わたくしとした事が、自己紹介してませんわね、アイーシャ、アイーシャ・アレキサンドルと申しますわ」

笑顔で自己紹介するアイーシャにドニも笑顔で答える。

 

「僕はドニ、サルバトーレ・ドニ、さぁアイーシャ何が来ようとも斬り伏せ?!」

ピカッ!!ドドーン!

 

ドニが『斬り伏せてみせる』と言い切る前に頭上より雷が落ちる。ドニは魔剣で雷を切り裂くが、空には暗雲が立ち込め、海は荒れ、強風が吹き荒れる。

『『『キャーーー!!』『うわーーー!!』』』

『皆様、落ち着いて下さい!此処は安全が確保されております!!』

七浜スタジアムはパニックになりかけており、職員は事態の収拾に追われた。

 

「ハハハ、想像以上に厄介だ♪」

「!?これは・・・」

改めて()りにくさを感じるドニだった。しかし、観客の悲鳴を聞いたアイーシャの雰囲気が変わった事には気付けなかった。

 

―アリスside―

 

同時期、リリアナとアリス側は未だに問答が続いて居たが。

「「!?」」

2人は膨大な気の奔流(ほんりゅう)を感じて其処(そこ)を見ると。

 

ピカッ!!ドドーン!

 

「クッ?!」「キャァ?!」

タイミング悪く、雷の閃光で一時的に視力を失った。

 

【これは幸いなる聖者への恩寵(グランド・ラック)の余波?此処まで強力なのは翠蓮様の時以来かしら...もう幾許(いくばく)の猶予も有りませんね!幸いこの目潰しは好都合です】

アリスは肌で感じる気、そして嵐の様な気配から即座に状況を把握し、仕掛けを施す。

 

そして、視力が戻ったのはリリアナとほぼ同時だった。

 

「卿と同様の気だと!まさか彼女も権能を...」

「リリアナ様」「?」

リリアナも膨大なその気を感じており驚愕するが、アリスの声にそちらを向く。

 

「少々急がなければなりませんので、倒させて頂きます。」

「!」

アリスはそう宣言すると手元に白金(プラチナ)に輝く輪郭(りんかく)がややぼやけた、刃の代わり(いばら)が並んだ3メートル程の大鎌を出した。

精神接続の鎌(マインドコネクト・サイズ)!」

「!?匠の魔剣(イル・マエストロ)!」

アリスの大鎌に合わせる様にリリアナもサーベルから薙刀の様な形状に変えた。

 

「リリアナ様、私のコレは精神感応を武器の形に具現化した物です。精神、つまり物理的な質量は有りませんから非力な私でも振り回す程度は出来ますの、まぁ武器としては全く使えませんが...」

「・・・」

リリアナは怪訝(けげん)な表情を浮かべた、なぜ自身の情報を開示、しかも弱点とも思える情報を教えたのか?何か裏が有るのでは?もしやブラフ!?など思考の悪循環に(おちい)る。

 

最もそれこそがアリスの狙いだ。

 

そして、大鎌をクルクルと回してから構えをとるアリス、その構えは。

 

【まるっきりの素人?気にし過ぎたか?】

「行きます!」

リリアナが、(わず)かに警戒を(ゆる)めたタイミングで大きく振りかぶるアリスにリリアナが回避しようとした。

 

トス!・・・

 

「...えっ?」

後頭部に何かが触れる感触を感じる。アリスは笑みを浮かべて振りかぶった大鎌を下げたのでリリアナは首を動かして後ろを見るとアリスが居た。

 

な、何を言っているか、分からないと思うが、私も何をされたのか分からなかった...頭がどうにかなりそうだった...催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしい物の片鱗を・・・等と勝手な心理描写はさて置き、単純にアリスが2人いて、リリアナの背後に居たアリスの精神接続の鎌(マインドコネクト・サイズ)がリリアナの頭に接続されたのだった。

 

【な、何だコレは?】

リリアナは現状が把握出来ずにオーバーフローを起こしていた。アリスの大鎌からはリリアナの頭に繋がるラインが伸びており、質量、実体が無いため剣で切れない、更に用途不明の為に対策も出来ないのだ。

 

「私の勝ちです、リリアナ様」

「リタイアして頂ければ苦しまずに済みますよ?」

後ろのアリスが勝利を宣言し、前のアリスがリタイアを勧める。

 

【苦しむだと?ブラフか?いや、仮に本当だとしても騎士として退く訳にはいかん!だが詳細が分からない以上、対抗策を講じるのは不可能か】

 

真面目なリリアナはドツボに()まって脱け出せなくなっていた。しかし軍師のアリスにとっての本当の敵はやはりと言うか何と言うか。

 

「「「!?」」」

またしても膨大な気が(ほとばし)る。そちらを向くと全長15メートルは有ろうか...浮いているので正確には不明だが甲冑に包まれた上半身と煙の下半身を持つずんぐりむっくりした巨大な魔神と20メートルの銀色に輝く魔剣が有った。

 

「「「・・・・・・」」」

 

「「ねぇリリアナ様、1つ提案なんだけど...」」

2人のアリスがステレオでリリアナに話し掛ける。

 

「奇遇だな、私もだ...」

お互いに頷き合い、アリスは精神接続の鎌(マインドコネクト・サイズ)のラインと異能の応用で作成した分身、幽体分離(ドッペルゲンガー)を解除しリリアナは魔術を行使する。

 

「アルテミスの翼よ、夜を渡り、天の道を往く飛翔の特権を我に授け給え!」

 

魔女(ストレガ)の適正を持つ者にのみ行使可能な魔術、飛翔術でリリアナとアリスはステージより離脱。直後に激突した魔神の剣と魔剣の衝撃でステージは粉々に吹き飛び、余波で公園の一部の木々が薙ぎ倒された。

一部なのは、審判の4人が張った結界のおかげだった。

 

『『『・・・・・・』』』

ザパンッ!!

『『『!?』』』

静寂を打ち破ったのはスピーカーから聞こえた海面から上がる音。

 

『いやはや、スペシャルな私も死を覚悟しましたぞ、おっと、んん!え~両チーム場外によりフェアリーソード及びワンダーランドは失格!!』

 

―控え室side―

 

「うぉースゲー、何だあれ♪」

『『『・・・』』』

モニターで見ていた風間は初めて見る光景にテンションMAXだが、他の面々は言葉を無くしていた。

 

【ふふ、アイーシャが失格になったのは僥倖(ぎょうこう)です。(ついで)でに剣術バカも】

 

「良かった~聖女様と当たる可能性が無くなってくれて♪」

 

【フム、それは全面的に同意だが、翠蓮や孫悟空だったか、彼女らの消耗する可能性が減ったのも又事実...燕は気付いておらぬな】

 

上から順に翠蓮、燕、アテナである。

 

◆◆◆◆◆◆

 

その後、リングが完全に破損・紛失したため、ステージの修復を行う間、時間的に少し早いが昼食と為った。

 

そして迎えた午後、川神院が再度海底に立てた柱(師範代が投げ込み、修行僧が位置を調整)に鍋島が運んで来たリングを乗せた新たなステージが用意されていた。

 

『さぁ、新しいリングでの最初の試合はコイツらだ~、西遊記、バーサス、チャレンジャーズぅ!』

 

「カッカ、あんなのを見せられたんじゃ、我も暴れたいのぉ~」

「ちょっと空さん!僕は闘えないのを忘れないでね、無茶はダメだよ?」

 

「勇往邁進、全力で挑ませて貰うわ!」

「・・・師岡を狙った方が確実何だが...一子の頼みじゃしょうがねぇ」

 

どうやらチャレンジャーズはモロを狙わずに戦う様だ。

 

『それでは、第⑥試合ぃぃパルティータぁ!』

 

「えっ?ぱるて?」

「一子!考えるな、試合開始だ!!」

「?!タッちゃん、うん!」

忠勝の提言にワン子は戦闘体勢を取り、悟空を見つめる。

 

「手始めに、こやつらの相手をして貰おうかのぉ」

悟空は気の塊りを7つ投げた。それは地面に着くと膨らみ、7匹の猿に変化した。

「ウキャ!」

「「ウキィ」」

「「「「キャキャ」」」」

 

「あ、おサルさんだ...」

 

「さぁ、あやつらと遊んでくるのじゃ!」

「ウキー!」

「「「「「「ウッキャー!!」」」」」」

 

「ホヘェ?」「ボサッとすんな!来るぞ!!」

気の抜けた声を出したワン子に忠勝は怒鳴りつつ飛び掛って来た猿を殴るが、簡単に(かわ)され、別の猿に頬を引張られ、捕まえようとしてもスルリと避けられる。

 

「か、返して~(泣)」

ワン子も同様に翻弄され、髪留めや薙刀を取られていた。

 

「・・・」

「ハハハ、その猿達は我の猿山の王(えんざんおう)で呼び出した化身、神使じゃ。強さは...そうじゃのぉ~予選にいた格闘家で(たと)えて上の中程度じゃな。悪戯好きでのぉ、脅威を感じぬ限り本気にならん、つまりじゃ」

唖然とするモロを放置して、一通り説明をした悟空は猿達を指差して宣言する。

 

「その6匹の猿共を本気にさせよ!話は其れからじゃ!!」

 

「オッス!、やってみせるわ!!」

「クソ、()めやがって、見てやがれ」

その後、猿達との追いかけっこが始まった、ワン子は取敢えず薙刀を取り返そうとし、忠勝は近くの猿に殴り掛かるが、2人共翻弄(ほんろう)された。

 

『こ、これは一体何でしょう?、私には武術大会には見えません!』

『あやつは猿回しか!』

『・・・』【悟空、お前は】

会場では子供達がサルの存在にはしゃいでいるが、それ以外は戸惑って居た、ただ百代を始めワン子に縁の有る武道家は怒りの感情を(いだ)いていた。

 

「川神一子ぉ!」「!?」

「お主は考え過ぎじゃ、考えるな感じろ!常に猿の動きを見て、次を疑問に思え!」

「???お、オス!」

「そこの(おのこ)は喧嘩殺法じゃったな、防御を硬め、喧嘩の感覚を思い出せ!」

「・・・チッ!?」

悟空の助言に従って2人共行動し始めた。

 

「ち、ちょっと空さん!何を考えて...」

「ん?、何ってモロの友で在ろう?、ただ負かすより修行をつけて見ようと思ったのじゃが、余計じゃっか?」

「えっ、あ~いや、どうだろう...」

モロは答える事が出来なかった、本気で闘わないのは相手に失礼かもと思ったが、修行なら良いのか判断出来なかった。

 

「手加減は失礼じゃ、しかし瞬殺では身に成らん。それに見てみぃ」

「?」

モロが目を向けるとワン子が薙刀を奪い返し、忠勝が1匹仕留めた。

 

「や、やったわタッちゃん♪」

「油断は禁物だ、まぁでも良くやった」

 

「「「「「ウ~ギィ~」」」」」

猿達が、威嚇(いかく)し始めた。どうやら本気になった様だ。

 

「さて、此処(ここ)からが本番じゃな、今の感覚を常に意識するのじゃ」

「オッス!」「チッ、礼は言わんぞ」

 

その後、ワン子は3回に1回の確立で相手の動きを先読みし、忠勝も出鱈目だがガードを固め、カウンターを武器に最終的には5匹の猿を全て仕留めた。

 

「「ハァ、ハァ」」

「「「「「「ウキュ~...」」」」」」

 

『おぉ、チャレンジャーズ、圧倒的不利から6匹の猿を仕留めた!』

『『『オォオオオ!!!』』』

いつの間にか観客も闘いの様子に引き込まれていた。

 

『手に汗握るな』

『あぁ、ギリギリ勝てない戦力差だったが、この試合中に成長したな♪』

 

「さぁ最後に壁越え1歩手前の猿じゃ、名を猴炎(こうえん)、目指す高みのを感じ学ぶのじゃ」

「オッス!」

 

悟空から名を猴炎と紹介された猿は、呼ばれてから悟空の隣で控えて居た《猿》と書かれた道衣(どうい)を着た猿である。

彼はゆっくりと前に進み出てワン子より3メートル程の距離で止まり、右手を挙げクイクイっと手招きする。

 

「!行きます、ハァァ」「ウキャ!」

その後、猴形拳を使う猴炎に実力差を見せつけられ勝敗が決したのだった。




アリスさんの能力や猴炎君についてはプロフィールを更新しましたので
そちらをご覧ください。

それとアリスさんの能力はサイレンの雨宮さんを意識しています。

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