武林の誉れに恋しなさい!   作:水華

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な、なんとか1週間に1話の投稿を守れた~でもそろそろヤバイかも...

今回でバトルロイヤルは終了です。

無理矢理まとめたのでグダグダ感バリバリですが、私のしょぼい文才ではコレが限界です!
(;-д- )=3


大乱闘川神ブラザーズ②

ガァアアア!ウォーン!

「くっ!」

迫り来る狼の群れを打ち払いながらも百代は違和感を感じていた。

連携は厄介(やっかい)だが(おおかみ)自体はそこまで強く無い為、対処は可能だが想定よりも気の消費が多いのだ。

 

【!?まさか!】

其処(そこ)まで考察(こうさつ)してある結論へと(いた)り、仮説を証明する為に(あえ)て攻撃を()らう。

 

「っ!!やっぱりか~、ジジィ共が厄介と言う訳だ」

左腕を()まれ、ダメージを無視して迎撃した百代は郡狼(ぐんろう)の能力を理解した。

 

「気の消費が激しいと思ったら削られてたのか」

貪る群狼(リージョン・オブ・ハングリーウルヴズ)、その名の通り狼の群れを召喚する、付随(ふずい)する能力として触れるだけでも気を削られるが噛まれると大きく削り喰われるのだ。

 

「そうと分かれば・・・」

目を閉じて意識を集中する、周りで様子を(うかが)っていた狼達はそれを隙と(とら)えて一斉に飛び掛かった。

 

「・・・川神流、大爆発!」

群狼が百代に噛み付く寸前に爆発が起こり、狼達は吹き飛び半数以上が存在を維持(いじ)出来ずに消えて行く。

 

グルルルッ

「ニャハハ、()らえ(そこ)ねたか~、感知系も鍛えないとな」

全ての狼を標的にしたつもりだったが、感知が苦手な事もあり一部が威力圏内(いりょくけんない)から外れてしまい仕留め切れなかった。

 

「その通りじゃな」「!?」

百代は咄嗟(とっさ)に防御するも鉄心の拳は容赦(ようしゃ)なく打ち込まれ数メートルほど吹飛ぶ。

「クッ、またいきなり現れたなジジィ」

「フォフォフォモモ、お(むし)が未熟なだけじゃて、ほれどんどん行くぞぃ」

百代が攻撃の為に距離を詰めようとしたが、既に準備を整えていた鉄心は即座に発動した。

「顕現の弐・持国天(じこくてん)!」

気で編まれた巨大な腕が具現化、その拳が百代に(せま)り、避けようとしたが動きを読まれて居たかの様に軌道を変え直撃し10メートル程吹飛ばされた。

 

「?、ジジイ手加減でもしたか?」

直撃にも関わらず、ダメージの少なさに疑問を(てい)する百代だが。

 

「残念ながら違うのぉ~ボクシングのジャブの様なもんじゃい、それより落ち着いて周りを良く見てみぃ」

「?」

鉄心に言われて百代は周りを見渡す、激しい戦闘で荒れ果てた河川敷、と少し離れた場所ではドニとヒュームが熾烈(しれつ)な戦闘を繰り広げていた。

 

「なるほど!」

何かを納得した様に手をポンと叩いて百代は言う。

「ドニ達の様に私達も楽しむ(戦う)んだな!」

「バカもん!!、違うじゃろうが!」

あんまりな回答に怒鳴(どな)りながらもこれ以上の被害を出さない為に鉄心は説得を開始する。

 

(これ)を誰が直すと思っておるんじゃ!それともモモ、お主だけでやる気かのぉ?」

「うぐ!?」

周りの惨状(さんじょう)は百代も認識しており、一人では何日も掛かってしまうのは明白(めいはく)だった。

 

「じゃが、ワシも鬼では無い、今退()くのであれば院の修業僧に手伝わせるわい」

「・・・」

(しばし)黙考(もっこう)する百代、戦いたいが後々(のちのち)の事を考えると・・・

「別に闘うなとは言っておらん、場を(あらた)めるだけじゃ」

「・・・・・・」

百代の心境を把握した鉄心の一言も含め、かなり悩んだ(すえ)に出した答えは。

 

「おい、いつ頃に出来るんだ?」

「舞台と人員の確保が出来たらすぐじゃ」

この戦場を一旦退(いったんしりぞ)く事だった、葛藤(かっとう)した事もあり納得のいかない表情だが、延期だと理解したのだ、渋々ながらも。

 

「さて、次はアヤツ等をどうにかしないとのぉ」

鉄心の視線の先では地面より生える大量の(くい)を避けつつ杭の隙間を()う様に接近する群狼(ぐんろう)を切裂くドニと、それらを操作しながら自身も蹴りを繰出(くりだ)すヒューム、(くせ)の強い二人に鉄心は溜め息を()いた。

 

「くぅ~楽しそうだな~」

同じく見ていた百代がうずうずし出した。

 

「!?」「ん?」

二人は突如(とつじょ)気が高まり出したのを感じて其処(そこ)を向く、数瞬(すうしゅん)の後、其処(そこ)には二人分の人影が有った。

 

「...大きいのを放ちます、援護は任せましたよ」

「フム、良かろう、(わらわ)(まか)せておけ」

その人影は漢服(かんぷく)に身を包んだ天女(てんにょ)の様な姿の()翠蓮(すいれん)と川神学園の制服だが神秘的な雰囲気を(まと)い、ニット(ぼう)(かぶ)って手には死神を想起(そうき)させる(かま)を持った少女、パラス・アテナの二人、そして到着早々ドニを見付けた翠蓮が権能の準備に入り、アテナに防御を任せた。

 

「翠蓮ちゃん?」

「何をしに来たんじゃ?」

百代と鉄心が二人が来た理由を考えていると翠蓮が言霊の(うた)(かな)で始めた。

 

「去年は戦う桑乾(そうけん)(みなもと)に。今年は戦う葱河(そうか)の道に。兵を洗う條支(じょうし)海上の波。馬を放つ天山雪中(せつちゅう)の草。万里長(ばんりひさ)しく征戦し、三軍盡(さんぐんことごと)衰老(すいろう)す」

 

(うた)が進むにつれ気が高まり風が(うごめ)き出す。

ドニとヒュームも高まった気で翠蓮の存在に気付いた。

 

「あっ、翠蓮!久しぶり~♪」

「これは・・・」

ドニは暢気(のんき)に笑いかけ、ヒュームはその様子を見て警戒する。

 

匈奴(きょうど)殺戮(さつりく)を以って耕作と為す。古来()だ見る、白骨黄沙(はっこつこうさ)の田。秦家(しんか)城を築いて()に備へし(ところ)漢家還(かんかま)烽火(ほうか)の燃ゆるあり。烽火燃えて()まず、征戦()む時なし」

 

(うごめ)いて居た風はその激しさを増し強風へ、それを見て四人は臨戦(りんせん)体勢をとる。

 

貪る群狼(リージョン・オブ・ハングリーウルヴズ)!」

最初に動いたのはヒューム、群狼(ぐんろう)を召喚し(けしか)ける。

 

「やらせぬよ」

アテナがそれに対抗する様に、大蛇(だいじゃ)(ふくろう)を召喚する。

 

アテナの権能:眷属の力(キン・ザ・パワー)

(へび)(ふくろう)などのアテナの眷属を具現化し操ることが出来、自身もフクロウの翼を具現化して飛べる。

 

群狼と大蛇が激突し、梟が援護する。

「チッ!」

だが、権能と自身の特性を活かしただけの技ではその密度が異なり群狼は次々に(ほふ)られる。

 

「野に戦い格斗(かくとう)して死す。敗馬號鳴(ごうめい)し、天に向けて鳥鳶(とりとび)人の(はらわた)(ついば)み、(ふく)み飛んで上り、枯樹(こじゅ)の枝に()く」

 

(うた)が進む、強風は暴風へと(いた)り周りを蹂躙(じゅうりん)し始める。

 

「ん~何かヤバ気だね」

「取り敢えず、川神流、致死蛍!」

相変わらず呑気なドニと考えるのを放棄して妨害を(こころ)みる百代、しかしそれはアテナとその眷属によって(はば)まれる。

 

「だから、やらせぬよ」

百代の気弾は大蛇の(うろこ)、梟の爪、アテナの鎌により弾かれ、引っ掻き、切り裂かれる。

「ハハ、強いじゃないか、アテナちゃん!」

英雄組に勝利する、それがアテナへの神への挑戦条件の為、学園では(いま)だに決闘をしていないアテナ、それにより実力を測りかねていたが、今の攻防で壁を越えている事を確信する。

 

そして思い出されるのは天神館の館長、鍋島正の一言『師匠、ありゃ羅濠の切り札の副次的な物に過ぎませんよ』

【この事じゃな、(うた)が進むに比例して威圧が増しておるわい・・・】

 

「土卒は草莽(そうもう)(まみ)れ、将軍(むな)しく()()するのみ。(すなわ)ち知る、兵は是れ凶器。聖人は()むを得ずして(これ)を用いうるを!」

そして(うた)が完成する。

 

「むっ!?、いかん! 顕現の四・増長天(ぞうじょうてん)!」

気で編まれた四方(しほう)を囲む壁を出現させ、自身と側に居た百代を内抱(ないほう)して展開する。

 

「誰が彼女か!、()(わきま)えなさい!!」

翠蓮は軽功(けいこう)でドニとの位置を()める、当然ドニも何もしない(はず)は無い、迎撃の準備をするも。

 

竜吟虎嘯大法(りゅうぎんこしょうだいほう)!」

「なっ!?、ちょっとまっ」

ドニの射程外から放たれる魔風(まふう)、ただの暴風なら重量の増したドニには耐えられたかも知れないが、衝撃波を含む魔風に耐え切れず、吹き飛ばされていった。

 

余波の風が辺りを蹂躙(じゅうりん)する、鉄心と百代は鉄心が展開した壁で、ヒュームは杭を組合せたバリケードで、アテナは大蛇が(とぐろ)を巻いて出来たらシェルターで風を防いだ。

 

「ふー、スッキリしました♪」

風が止み、中心地には全力を出して晴れやかな表情の佳人(かじん)がいた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

川神学園屋上、翠蓮とアテナが戦場に向かった直後の為に(しば)し沈黙がその場を支配していた。

 

「「「・・・」」」

「うむ、黙ってても仕方有るまい、我は九鬼紋白(もんしろ)!紋様と呼ぶがよい!」

最初に沈黙を破ったのは紋白だった、(はつ)顔合わせのリリアナと接点の無かった大和を考慮して自己紹介から入る事にした。

 

「うん、次は私かな?、納豆小町こと松永(つばめ)だよ、よろしくね」

それに燕が続き自己紹介していく。

 

「リリアナ・クラニチャールだ、青銅黒十字(せいどうくろじゅうじ)学園所属、その、よろしく頼む」

「えっと、直江大和です、2ーFです。」

全員の自己紹介が終わった所で、燕が大和に話し掛ける。

「大和君だね、素直になのは美徳(びとく)だけど言葉は選んだ方が良いよん」

「いや、あの、違うんです燕先輩!!」

「?」

 

聞かれた事を全て話した大和にアドバイスをする燕だが大和が否定して事情を説明する。

最初は情報を引き出すつもりが、翠蓮の言葉に口が勝手に動いて言うつもりも無い事まで喋っていたことを。

「そっか、言霊を使われちゃったか~なら仕方ないかな」

「言霊って京極(きょうごく)先輩の様な?」

「そうだよ、(もっと)練度(れんど)は全然違うだろうけどね~」

 

燕の説明で何をされたか理解する大和だが、それと同時に戦慄(せんりつ)もした、それは言霊を使われたらどんな命令にも逆らえないと言うことでもあるからだ。

 

【何て恐ろしい、もし(みやこ)(おさ)めたら…】

ブルリと体が震える、貞操(ていそう)の危機を想像してしまったようだ。

 

「あっ!ちょうど良いね、羅濠ちゃんが言霊を(うた)い出したよ」

投影された映像では乱入した二人、翠蓮が(うた)い、アテナが援護していた。

 

「のうあれは何をしておるのじゃ?」

同じく観ていた紋白が質問した、映像では翠蓮がただ立って歌っている様にしか見えないからだ。

 

「・・・気の高まりを見るに何かを強化しているようだな」

「おっ!さっすがリリアナちゃん、うんそうだね」

リリアナの(つぶや)きが聞えていた燕がそれを肯定する。

 

「おじいちゃまに聞いた話しだとあれは...」

そして以前、祖父の清秋院(せいしゅういん)スサノオから聞いた翠蓮の権能、竜吟虎嘯大法(りゅうぎんこしょうだいほう)について説明する。

歌の女神ガーヤトリーの力を()しており、周りの空間に自身の気を浸透(しんとう)させ風と衝撃波を自在に操る事が出来、言霊()による暗示で威力を増強する事も出来る権能だ。

 

「あの~」「んっ、どうしたの?」

一通りの説明が終った時、大和が(おもむろ)挙手(きょしゅ)して質問する。

 

「えっと、さっきから言ってる権能って何です?」

権能の存在を知らない大和は説明の中に出て来るワードが理解出来ずにいた。

 

「あっ!?、そっか基本的に秘匿(ひとく)されてるんだっけ」

テヘ、っと舌を出しておどけて見せる(つばめ)

「ん~そうだね今度教えてあげるよん♪」

そして今度説明すると約束を(かわ)す、実際は大和が知らない事を利用して入り込む切欠(きっかけ)にしたことを(さと)らせずに...

 

「おぉぉ!、(すごい)い飛んだのじゃ」

「「「・・・」」」

場面は翠蓮が竜吟虎嘯大法(りゅうぎんこしょうだいほう)でドニを(はる)彼方(かなた)へと吹飛ばしてしまい一同は唖然(あぜん)としていた。

 

「はっ!?、また見失う前に連れ戻さなければ...」

ドニを()おうとしたリリィは何かに気付いて動きを止める。

【早く追わなければならないが、騎士として引き受けた依頼を反故(ほご)にする訳にもいくまい、だがしかし】

(あご)に手を当てて考えたり、頭を(かか)えて悩んだり、天を(あお)いで苦悶(くもん)したりと百面相(ひゃくめんそう)するリリィに周りも何となく察するが、どうして良いのか分らずに放置する。

 

「ちょっとよろしいでしょうか?」

其処(そこ)に、執事服(しつじふく)(まと)った一人の老人が現れた。

 

「!?クラウ爺!」

「えっと貴方は?」

「申遅れました、私は九鬼財閥に(つか)えます従者の一人でクラウディオ・ネエロと申します。」

胸元に手を()えてお辞儀をする、九鬼家従者部隊の序列3位、いつ来たのか等はこの万能執事に求めてはいけない。

 

「それでクラニチャール様、主の護衛は私が引き継ぎますので、追って頂いても(かま)いませんよ」

「本当か!?、すまない恩に着る!」

「いえいえ」

駆け出して行くリリィを微笑みを浮べて見送るクラウディオだった。

 

【うわ~流石九鬼の従者、いやクラウディオさんだからかな?】

その様子に燕は関心していた、本来(ほんらい)従者として主を守るのは当り前の事だが、それを貸しと思わせる手腕は見事だと思ったのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「フム、思ったより派手に飛んだな」

「「「・・・」」」

場所は河川敷に戻る、翠蓮にドニが吹飛ばされ、各々が余波を防いだ所までは良いが翠蓮に話し掛けたアテナ意外はこの後の行動をどうするか決め()ねていた。

 

「アテナの援護には感謝しています。」

「それは()いが、この後は如何(どう)するのだ羅濠よ?」

会話がひと段落した所で翠蓮は他の三人を見渡す、各々気付いた様で警戒し始めたが。

 

【ここら辺が退き際でしょうね】

ドニをぶっ飛ばして満足している翠蓮に戦闘を継続する意思は無かった。

 

(みな)何をしているのです?、もうとっくに学校は始まってますよ!」

「「「・・・」」」

翠蓮の切り出した内容が、当り前だがこの状況に合っておらず戸惑う三人を認識しつつも続ける。

 

「まったく、学園長も一緒になってなど、どう思いますアテナ?」

「むっ、(わらわ)に振るか!?、まぁ責任者の行動ではないかも知れぬな」

「ムゥゥ!!」

翠蓮とアテナの辛辣(しんらつ)な物言いに鉄心は(うな)る。

 

「まぁ良いでしょう、行きますよアテナ」

そして翠蓮はアテナを(かか)えて縮地神功(しゅくちしんこう)神足通(しんそくつう)で学園へと戻っていった。

 

「「「・・・・」」」

三人は(しば)し沈黙した(のち)

 

「学園に戻るかの?」

「そうだなジジィ」

「...」

 

何とも言えない空気の中、鉄心の提案に賛同(さんどう)して百代とヒュームも川神学園へと登校した。

 




川神鉄心の顕現シリーズにオリジナルを加えました。

顕現の四・増長天(ぞうじょうてん)
気で編まれた四方(しほう)を囲む壁を出現させる守りの権能、特に南方《なんぽう》の防御力は絶大。

取敢えず、原作で出ていない四と五と六そして八がオリジナルです。

一通りのキャラは出揃ったので、次話かその次辺りにプロフィールを乗せますかね。

乗せるとしたらこんな感じかな?
姓名 :羅翠蓮(らすいれん)
字  :濠
一人称:私
あだ名:羅濠(らごう)(すい)
異能 :四つの権能(阿吽一対の金剛力士、歌の女神ガーヤトリー、豊穣神サトゥルヌス、???)
特徴 :※省略
■技
★権能


羅濠教主の(ほふ)った4番目の神が分らないです。
植物や花、春に関連する神なのかな?

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