武林の誉れに恋しなさい!   作:水華

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本当は「東方より来る男」としたかったのですが、日本の東はハワイ...ハワイ旅行してから川神へはちょっと無理が有るので直接ドイツからにしました。


北西より来る男

―クリスside―

 

夜、島津寮(しまづりょう)の一室でアニメ大和丸夢日記を見ている女の子は憤慨(ふんがい)していた。

「ムー、正々堂々と正面から挑むのには好感が持てるが周りの人々を巻き込むとは武士(もののふ)の風上にも置けんぞ銅鑼丸(どらまる)め!」

此処(ここ)は島津寮のクリスの部屋、女の子の名前はクリスティアーネ・フリードリヒ、そして彼女が見ているアニメでは主人公に闘いを挑みに来た風来坊の銅鑼丸(どらまる)がその強さで主人公の大和丸(やまとまる)を苦しめるだけで無く周りで観戦していた人々を巻き込むのも構わずに大技を繰出していた。

 

そして話しが進むにつれ周りの人々の声援に答えて健闘(けんとう)銅鑼丸(どらまる)が再度繰り出そうとした大技の隙を突いて大和丸(やまとまる)が勝利する。

「おお、流石は大和丸だ♪」

その内容に先程までの怒りも収まり、満足そうに(うなず)いていた。

 

プルルルー!、プルルルー!

「ん?こんな時間に誰だ?」

アニメも一段落した所で電話が鳴り響いた。

クリスはこう言っているが、まだ20時を回った辺りで其処(そこ)まで遅い時間と言う訳でも無いのだが、21時には寝てしまうクリスからすれば遅いのかも知れない・・・

 

「はい、もしもし?」

「クリスか?久しいな」

ピッと通話ボタンを押して電話に出ると凛々しい女の子の声が聞えてきた。

「もしかしてリリィか!?久しぶりだな♪」

「その声を聴く限り元気そうだな、どうだ日本は?」

「あぁ、聴いてくれ!」

電話の相手はクリスの友達だったようで嬉しそうに雑談に(きょう)じる二人だった。

そして(しばら)くしてクリスは問い掛けた。

「そう言えばこんな夜遅くに如何したんだ?」

「ん?確かにこっちは昼だから日本は夜だと思うが...まぁいいか明日、日本に行く事になってな、悪いが暫く()めてくれないか?」

「別に良いが、何か有ったのか?」

友達が泊まりに来てくれるのは単純に嬉しいが、リリィの性格を知っているクリスは彼女が思い付きで行動しないことを知っている為、疑問に思うのだった。

 

「...(きょう)の悪い(くせ)だ・・・」

「なに!?あの剣術バカのか?」

話しを聞くとクリスが以前(かよ)っていた青銅黒十字(せいどうくろじゅうじ)学園の同級生で『剣の王』と称される程に剣術に優れたクリス(いわ)く『剣術バカ』が突然『そうだ愛しの彼女(ライバル)会い(戦い)に行こう!、今は川神に居るらしいから武神とも会え(戦え)て一石二鳥だね♪』と言い出して姿を消し、調べたら日本行きの飛行機に乗ったらしい。

そしてクリスの友達、『剣の妖精』とも称され、祖父が学園を経営している事もあり何故かストッパー兼お目付け役の立場になってしまったリリィ、本名リリアナ・クラニチャールは連れ戻す為に突如(とつじょ)日本へと向う事になったらしい。

「・・・なんと言うか、お疲れ様だな...」

「まったくだ...」

「「ハ~~」」

二人は(そろ)って大きな溜め息を(つく)く事しか出来なかった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

そして(むか)えた早朝(そうちょう)、居間では朝餉(あさげ)の準備が行われていた。

「あっ(げん)さんおはよう」

「あぁ、朝から元気そうだな準備手伝え」

起きてきて朝の挨拶(あいさつ)をしたのは直江大和、102号室の住人で何気無くしているが、先程 椎名京の朝這(あさば)いを(かわ)して来ていた。

そして返事をするのは源忠勝(みなもとただかつ)、101号室の住人で健康的な不良とツンデレという新ジャンルを確立している。

「おや、大和ちゃんおはよう」

「お、おは、ようございます」『まゆっち後半の声が小さいぞ!』

台所から声を掛けて来たのは島津寮の大家で管理人の島津麗子(しまづれいこ)とお手伝いをしていた(まゆずみ)由紀江、201号室の住人で腰に下げた馬のストラップ、松風がツッコミ的な事をしていた。

 

麗子(れいこ)さん、おはようございます。今日もお美しいですね」

「なんだい、おべっか使っても何も無いよ、卵焼き一つ追加しとくよ♪」

なんだかんだで気分の良くなった麗子はオカズを増やすのだった。

「まゆっちもおはよう」

「は、はい!」

 

そうして全員が集り食卓を囲い、(しばら)く食事が進んだ時に大和が声を掛ける。

如何(どう)したんだクリス?随分と眠そうだが?」

大和が声を掛けたのはクリス、食事をしつつも眠そうに目をシバシバさせていた。

「大和...昨日はちょっと寝るのが遅くなってしまってな、だが大丈夫だ!」

【10時には寝てたと思うけど・・・】

椎名京、202号室の住人で203号室のクリスが(となり)の為、気付いているが、敢て何も言わない。

「そうだ!麗子さん」

「ん、なんだい?」

「数日、部屋に友達を泊めて良いだろうか?」

「別に構わないが、どうしたんだい?」

突然のお願いに許可(きょか)しつつも疑問に思ったことを問い掛ける麗子、他の面々も気になったようで耳を(かたむ)ける。「ドイツの友達が今日来る事になって、行き成りの事で泊まる所が無いそうなのだ。」

「そうなのかい?大変だね~良いよ、泊めておあげ」

「ありがとうございます。麗子さん」

 

【クリスの友達か~どんな子なんだ?】

【嫌だけど数日なら...嫌だけど我慢しよう】

【友達とお泊まり・・・(うらや)ましいですね『いつかまゆっちも出来るさ(あきら)めんな~』】

それぞれが内心クリスの友達を気にしつつも食事を終え登校の準備を始めた。

 

「あっみんなおはよう」

寮の前で声を掛けて来たのは師岡卓也(もろおかたくや)、通称モロだった。

「「「おはよう」」」

「おはよう、モロ」

「あれ?キャップは?」

キャップこと風間翔一が居ないことを問い掛けるも長崎にチャンポンを食べに行ったと聞いて納得する。

そして少し遅れて島津岳人が合流し学園へと向かうのだった。

 

「今日こそは羅濠先輩にこの俺様の素晴らしい筋肉をアピールするぞ!」

「ガクトまだ諦めて無いの?」

決闘未遂(みすい)の後、留学の事を知ったガクトは早速アピールしようと向かったがM属性の多い学園、()えて名前を呼んで投げ飛ばされる生徒達に巻き込まれて投げられ気絶していたのだった。

 

「空から美少女登場!」

その後、ワンコこと川神一子が合流し変態橋の手前で武神・川神百代が合流した。

「姉さん、たまには普通に登場出来ない?」

「おいモロ、見えたか?」

「ううん見えなかった」

大和が登場の仕方に苦言を呈していつも通り首をロックされガクトとモロはヒソヒソと話していた。

 

「そういえばクリ、何か嬉しそうね?」

何時もよりニコニコと嬉しそうにしているクリスに気付いたワンコが聞く。

「ん、そうか?私はいつも通りだぞ?」

「ん~ん、なんかいつもと違う?」

 

ワンコは野生的な感覚で違いを見抜いて居るようだった。

「あ、あの」『あれじゃね?友達が来るってやつ』

「!?なるほど確かに、犬も良く分かったな」

「?何か知らないけど褒められたわ♪」

松風の指摘に納得したクリスだったが、島津寮以外のメンバーは分からない様で頭にハテナが浮かんでいた。

 

「なぁ弟、友達って?」

「あぁ何でもドイツの友達が数日泊まりに来るそうだよ...姉さんギブギブ!?」

「なんだそれ面白そうじゃないか♪」

首をロックされていた大和は締め付けが強く成ったため腕をタップする。

 

「なぁクリス、その子って可愛いか?」「ガクト・・・」

さっきまでの羅濠先輩の事を忘れて問い掛けるガクトにモロは何とも言えない表情をする。

 

「ああ、リリィは『剣の妖精』と言われる程の素晴らしい騎士だ♪」

「妖精・・・良いかも」

鼻の下を伸ばすガクトとは対象的に由紀江は表情が険しくなる。

「ん?どうしたのまゆっち?」「い、いえ」

それに気付いた京が問い掛けると手を振って何でも無いと伝えた後、前に出てクリスに問う。

「あのクリスさん、つかぬ事を尋ねますがその友達はもしや『剣の妖精』リリアナ・クラニチャールですか?」

「!?あぁそうだ!」

名前が出てビックリしながらも肯定(こうてい)するクリスに由紀江は『ヤッパリ』と納得していた。

「マユマユは知っているのか?」

百代の問い掛けに『はい』と答えて由紀江は語る。

去年、(まゆずみ)の道場を訪れた二人組の一人がクリスの友達でもあるリリアナであった事、二人とも壁を越えた強さで男の方、つまり『剣の王』は父親を圧倒したことを伝える。

 

「『剣聖』黛十一段を圧倒!?」

「リリィ達はそんな事をしていたのか~」

「へ~相当な強者だな」

由紀江の話に京が驚愕しクリスは腕を組んで(うなず)くが一人だけまだ見ぬ強者に口端(こうたん)が釣り上がる。

 

「あれ?今の話ってまゆっちは?」

モロの指摘に由紀江の雰囲気が一気に暗くなる。

「その日は学校行事に参加してまして...」

『いつもは行事の存在すら伝わらないから運命を感じて(いさん)んで参加したけど、結局な~』

『『『・・・』』』

由紀江の自虐に何とも言えない空気に成るが此処には空気の読めない人間が一人。

 

「そうか、リリィは良い奴だからきっと友達になれたな♪」

「・・・」

クリスの指摘に崩れ落ちて涙を流す由紀江にうろたえるクリス。

「どうしたのだ!まゆっちお腹でも痛いのか?」

「止め刺しちゃったよ...」

その様子を見ていた面々を代表してモロが(つぶや)くのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「んっ、あれは?」

風間ファミリーの面々が変態橋に差掛ると橋の上には人垣(ひとがき)が出来ていた。

「いや~助かったよ話し掛けても皆逃げていくから日本人は皆シャイン?なのかと思ったよ~」

「それはシャイって事です?」

「そりゃ行倒(いきだお)れていれば流石に声掛けるでしょ」

【やだ何、このイケメン!こりゃ良い拾い物したかな?】

「そうそれ!いや~空腹で死ぬかと思った、ありがとうマリーとチーロ」

如何致(どういた)しまして、それとお姉さんはの名前は真与(まよ)です。」

「アタシは千花(ちか)ね」

その中心では金髪でアロハを着たお団子を頬張(ほおば)る外人と2-Fの甘粕真与(あまかすまよ)小笠原千花(おがさわらちか)そして羽黒黒子(はぐろくろこ)が居た。

「それで~イケメンは何でこんな所で行倒れてた系?」

「いや~愛しの彼女に会いたくてね、来たは良いが何処(どこ)にいるのか分らなくて」

「そうなんですか、早く会えると良いですね」

「そうだね」【チッ、彼女持ちか】

「彼女が居るなら略奪すれば良い系~」

 

謎の外国人イケメンと話す真与ちゃん達、それを川神の生徒達は遠巻きに見ていたが、その人垣(ひとがき)()き分けて一人の女の子が飛び出した。

「ドニ!何でお前はこんな所に居るんだ!?」

飛び出したのはクリスだった、その事に周りがザワメキ出す。

「えっお相手ってクリスちゃん?」「驚愕系!」

周りがキャーキャーと騒ぎ出すが次の一言で静まり返る。

 

「え~と、あぁ久しぶりだねメアリー」

「私はクリスだ!、たくリリィが探していたぞ」

「げっ!!」「あ、あの~二人は知り合いですか?」

そこで近くに居た真与が話しかける。

「そうそう僕とマリアは友達さ!」

「だから私はクリスだ!たく、同級生で友達では無いぞ」

「え~そんな悲しい事言うなよ~」

「ならまず名前を覚えろ!」

飄々(ひょうひょう)とするドニに対してギャーギャーと騒ぐクリスははたから見ていても面白いが話しが進まない為、大和が割り込む。

 

「どうどう落着けクリス、それでドニさん?は如何(どう)して川神に?」

「ん、僕かい?あっ!そうだビリー、翠蓮(すいれん)何処(どこ)に居るか知らないかい?」

「クリスだ!!、んっ?それって羅濠先輩の事か?」

「そうそれ、僕は愛しの彼女(翠蓮)会い(戦い)に来たのさ、あの夜の続き(闘争)がしたくてね」

 

シーンと数秒静まり返り、次の瞬間キャーと周囲が爆発した。

「えーあの先輩にこんな相手が!?」「相手が悪すぎる系」「お、大人です///」

千花と羽黒を単純に驚き真与は顔を赤くしていた。

 

そして風間ファミリーの面々も...

「お、大人だわ///」「あわわわ」『これが大人ってやつか』

「コレは負けてられない、今夜にでも大和と・・・」

「そ、そんなやっぱり男は顔なのか...」

「ガクト、でも以外だよねあの先輩が」

ワン子と由紀江が顔を真っ赤にして取り乱し京は妄想の世界へと旅立つ、そしてガクトが男泣きしてモロは素直な感想を言う。

そんな中、百代はと言うと

「あの翠蓮ちゃんが(はだ)を許すなんて、こいつも強いのか?」

冷静にドニの強さを測っていた、一見隙が無くかなりの強者なのは分るが翠蓮が認める程とは思えなかったからだ。

「あっ、それと(ついで)に武神に会ってこようかなって」

「おいおい、私は序か?」

 

周りが息を呑む、目の前にいる武神・川神百代相手にこの物言いはヤバイと感じたからだが、例外は必ず居るもので。

「ちくしょー思い知れイケメン、コレがモテナイ男達の怒りだー!!」

ガクトが飛び出し渾身(こんしん)の力で殴り掛かる。

しかしその一撃は止められてしまった。

「なっ!?」

しかもただ止められたのでは無くドニが手にしていた団子の串で力を全て受け流された形でだった。

 

「おぉ、コレがジャパニーズケット!じゃあ次は僕の番かな?」

そう言った時には既に終っておりガクトは意識を手放した。

「確かこう言うんだよね、『安心せい峰打ちじゃ』」

 

【私の目でも見えなかった!】

【ほぉ~威圧感が増したな】

 

京は弓兵としての目を持ってしても見えない技量に驚き、百代は嬉しそうに口角を上げる。

「何をやってるんだこの『剣術バカ』は!!」

「ん~決闘?」

「何故に疑問系なのだ!」

ドニの暴挙(ぼうきょ)()えるクリスだったが馬の耳に念仏状態で無駄な問答が繰返されていた。

 

「あっ思い出しました!もしやサルバトーレ・ドニさんですか?」

「ん?君は...マユコ!」

「えっと、初対面かと」『こいつ適当過ぎだぜ』

何かに思い当たった由紀江がドニに質問するとお約束となりつつある遣り取りが行われたが、(あえ)て無視し進める。

「えっと『剣聖』黛十一段の娘です。」

「へ~そうなんだよろしくね、マユマユ?」

「は、はい!、やりました松風あだ名で呼ばれました」『やったなまゆっち大きな一歩だ!』

 

偶然にもあだ名の一つに当ったことで感無量な由紀江だった。

「まゆっちは知ってるのか?」

「は、はい大和さん、先程話した(ちち)を圧倒した方です。」

『『『!?』』』

「へ~『剣の王』だっけ、良いな~」

周りが驚愕している中、百代は前に出てドニに対峙する。

「ん?君は?」

「おいおい、私にも会いに来たんだろ?」

ニヤリとする百代に対してドニは(あご)に手を当てて(しばら)黙考(もっこう)すると「!」と頭に浮んだような表情になって手を叩いた。

「あ~、翠蓮久しぶり!暫く見ない内に変わったね♪」

あんまりな答えにズッコケル一同だった。

「違う!!さっき(ついで)とか言っていた武神だ!」

「へ~君が...」

そういったドニからの威圧感が増した事で百代も臨戦態勢へと移行する。

「フフ、ヤル気満々だな♪其処の河川敷(かせんじき)で良いか?」

「うん、僕はいつでも何処でも大歓迎だよ♪」

 

その瞬間、その場にいた人々の考えは『あっ!こいつら同類だ』で統一されたのだった。

 

―武神side―

 

二人は河川敷に降りると一定の距離を取って対峙していた。

【『剣聖』を圧倒した翠蓮ちゃんの男、フフフ最高の相手だ♪】

盛大な勘違いをしたままだが、強者と闘えることにテンションがウナギ登りの百代だったが、ドニの構えを見て表情が(くも)る。

 

「...なんのマネだ?」

「ん?何って...手加減?」

ドニはお団子の串を剣に見立てて正眼に構える、明らかに舐め切ったものだった。

 

【こいつは私をバカにしているのか?いや・・・】

思い出されるのは岳人を倒した場面、百代の目でも辛うじて手元がブレた事しか分らなかった剣の技量、つまり先ずは串の剣を破って見ろと言っているのだ。

百代は楽しそうに笑うと構えをとって名乗りを上げる。

「川神流・川神百代いざ参る!」

いつも通り初撃は幾人もの挑戦者を沈めて来た奥義・無双正拳突きを放つも当然の如く串剣(くしけん)でいなされた。

しかし百代もそんな事は承知しており拳のラッシュを繰り出が、その(ことごと)くがいなされ、(かわ)される。

 

それを見ていたギャラリー、特に風間ファミリーは信じられないといった様子で放心していた。

最強と妄信していた武神・川神百代が団子の串であしらわれているなど信じられなかった。

 

そしてお互いに後方へと跳んで距離を取り、隙を(うかが)うが。

「ん?」

ドニは違和感を感じて串剣を見ると(ひび)が入っており次の瞬間には粉々に砕け散った。

「...へ~」

「フフン、どうだ!」

関心しているドニに百代はドヤ顔で答える。

「僕はサルバトーレ・ドニ、名前を聞いても良いかな?」

「私は川神百代だ。」

雰囲気が変わったことを感じ取った百代は気を引締めて答えた。

「百代、此処(ここ)からは全力で愛を語ろう(戦おう)じゃないか」

言葉はアレだが裏に隠されたニュアンスを感じ取った百代も笑顔で答える。

「あぁ臨むところだ!!」

ドニは肩に掛けていた円筒状の荷物の(ふた)を開けて中から西洋の厚みの有る剣を取り出して右手に持つとだらんと腕を下ろした独特の構えを取った。

 

「あれは!?」

如何(どう)したまゆっちそんな凄い剣なのか?」

ドニが構えたのを見て驚く由紀江に大和が質問すると首を横に振って否定する。

 

「いえ、剣自体は何処にでもある(なまくら)ですが、あの構えが異常です。」

『そうだぜアレはヤバイなんてもんじゃねぇ』

「えっ隙だらけに見えるけど?」

由紀江の言葉に率直に感じた事をモロが言うと由紀江は解説する。

「あれは無形の構え、剣の道を(きわ)めた者が最後に辿(たど)り着く境地(きょうち)

『まゆっちはもちろんまゆっちのパパンもまだ見ぬ領域だぜ』

『『『!?』』』

「あの剣術バカが・・・」

「そ、そんな」「お、お姉様...」

風間ファミリーは再度、対峙する二人に視線を向けた。

 




リリアナさんはアンドレア卿の立場ですね。
共に苦労人ですし御し切れない所も同じですが・・・

あとクリスの好きなアニメって大和丸夢日記でしたよね?
記憶が曖昧で間違っていたらOVA的な扱いでお願いします。

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