第一話 ラビットハウスでバイトですか?
「いやーしっかし綺麗な街だな」
俺は歩きながらそう呟いた。確かに、綺麗な街だ。木組みの家と石畳が彼の視界に広がっていた。
西洋風の街並みでとても此処が日本だとは思えない。とにかく、素敵な街だ。
俺は今日からこの街で暮らすことになった。本来ならば従兄妹のあいつと同じ学校に通うはずだったのだが、何故か俺はこの街へ来る羽目になってしまった。はあ・・・
まあいいさ。この街でまた素敵な出会いがある事を信じよう。
「さーて、下宿先の香風さん家って何処だよ、マジで。」
(かれこれ歩いて三時間、もうそろそろ着いてもいい頃だと思うんだがなぁ。まあ良いさ。にしても地図ぐらいくれたって良いじゃねえか、タカヒロさん。)
愚痴りながら歩いていると、彼はとある喫茶店を見つけた。名前は
「ラビットハウス? うさぎでも居んのか?」(因みに俺はうさぎ大好き、って誰に喋ってんだ俺?)
早速中に入った。キョロキョロ辺りを見回す。しかし、しかし……………
「「ウサギがいない!!!!!!」」
誰かとセリフが被った。声の方に向くと茶髪の女の子がしゃがんだまま上目遣いでこちらの方を見ていた。周りにはお客さんの姿はいない。
すると、頭に何か乗せた店員さんが俺と茶髪の少女を見て 、
「うさぎならいますよ。」と言った。
その時、今まで俺の中で渦巻いていた疑問が一つに繋がった。
一つ、ラビットハウスという店名なのに何故かいないうさぎ
二つ、店員さんの頭に乗っている不思議な物体
三つ、店員さんの「うさぎならいますよ。」という言葉
もしや・・・
「あの〜」
「はい、何でしょうか。」
「その頭に乗ってるのって・・・うさぎ?」
「よく分かりましたね、これはアンゴラウサギという品種で名前はティッピーと言います。」
ウサギなのか?これ。どう見てももふもふしたクッションにしか……
いやまあそんな事はどうでも良い。
「それよりご注文はどうしますか?」
やべっウサギが目的で中に入った何て言えない・・・・
「じゃあこの店のオススメを」
適当にやり過ごす事にした。(申し訳ないが)
「かしこまりました。それで、貴女は何にしますか?」
「じゃあそのうさぎさん!」「非売品です。」
返し早っ!!
「せめてもふもふさせて〜」
「一杯につき一回です。」
「じゃあ三杯!」「かしこまりました。」
おお、商売上手だなあの店員。
そのあと彼女らがコーヒーの銘柄当てや、ティッピーをモフモフしているのを自分が頼んだコーヒーを飲みながら見ていると茶髪の少女が
「私、ココアって言うんだけどここら辺で 香風 って家知らない?」
なんだって!!
「君も香風さん家を探しているのか?」
「うん、そうだよ。」
ラッキーだ。こんな偶然ってあるもんなんだな。
そして、偶然がもう一つ。
「香風はうちですが。」「「えっ」」
「もはや偶然を通り越して運命だよ。」
「ああ、あんたの言う通りだ。」
「あんたじゃなくてココアでいいよ。」
「そうか、ならココア。今日からよろしくな!」
「うん、よろしく! えーと…」
そういえば俺の自己紹介がまだだったな。
「俺の名前は小宮泉(こみやいずみ)だ。」
「じゃあイズミンだね。よろしく、イズミン!」
「すみません、もしかして今日からここで働くイズミさんでしたか?」
店員の女の子が俺に話しかけてきた。
「おう、そうだけど」
「父から話は聞いています。私の名前は香風チノです。これからよろしくお願いします、イズミさん。」
「うん、よろしく。」
「へえ〜チノちゃんって言うんだ。ちなみに私もここで働くことになってるから、よろしくね♪」
「はい、よろしくお願いします。」
こうして、俺と彼女達の新しい生活が始まった。
どうも、初めまして。白髪祭です。
まずは、第一話読んでいただきありがとうございました。
これから頑張っていきますんでよろしくお願いします。
ご意見、ご感想お待ちしております。
5月23日 ちょっと編集しました。