トニー・スターク が あらわれた ! 作:クレイジー松本キヨシ
章の追加をしました。
「1組のクラス代表は織斑一夏君に決まりました〜。あ、
クラス代表決定戦から翌日。
朝のSHRで山田先生の口からそう告げられた。
みんなが拍手をする中、当の本人は驚きで口を開いていた。
そして少しして再起動すると、机から身を乗り出しす。
「ちょ、ちょっと待ってください!何で俺なんですか!?昨日の結果で1番負けたの俺ですよ!?」
そう。昨日の試合で一夏は一度も勝てていない。
本来なら一秋かセシリアがなるべき筈。
なのにクラス代表が自分になっていては、異議を申し立てたくもなる。
「え、えーとそれは……」
「一秋とセシリアが辞退したからだ」
一夏の気迫に圧され、山田先生は口籠ってしまうが、ちょうど遅れて来た千冬が一夏にそう言った。
「辞退……?……なんでさ!?」
一夏はそう言うと同時に後ろを振り返る。
一秋とセシリアは苦笑していた。
「クラスのみんなを纏める力を僕は持ってないからね。その、カリスマ性ってやつ?なら、一夏かセシリアが良いかな〜って思ったんだけど……」
一秋が辞退の理由を明かしつつセシリアの方を見ると、セシリアはそれに笑顔で応えた。
「私もですわ。皆さんには既に謝罪したとはいえ、私がクラス代表になっても納得しない人がいるかもしれません。それなら、と」
セシリアは一夏の方を向いてそう言った。
確かに、セシリアは昨日の内にクラスメイト全員に初日の事についての謝罪を済ませていた。
勿論、一夏もそれに含まれており、一夏も自分の非礼を詫びた。
2人から辞退の理由を聞いたものの、一夏は困惑していた。
「でも、俺……」
「大丈夫。サポートはするよ」
「そうですわ。射撃のことなら私が教えることができます」
「近接攻撃のことなら箒がいるしね」
「も、勿論だとも」
クラスメイト達もそれに続き、「私も手伝うよー」「整備のことなら私に任せて〜」と言ってくれる。
そのことに一夏は嬉しくなり、涙腺が緩む。
「ありがとう……!」
そして、クラスメイト達に感謝の言葉を言った。
「今日の放課後はお祝い会しましょ!」
「良いね!一夏君は大丈夫?」
「勿論!」
朝のSHRにしては煩くなってしまったが、教卓から山田先生はニコニコしながらそれを見守り、千冬は小さく微笑んでいた。
○○○
その頃。
中国の空港。
「君が鳳鈴音か?」
「えぇ、私が凰鈴音よ。アンタがIS学園から来たって人?」
トニーは凰鈴音と会っていた。
「あぁそうだ。トニー・スタークだ。よろしく」
トニーが右手を差し出すと、鈴音は驚きながらもそれに応じた。
「トニー・スタークって……。IS学園に!?」
「そうだ。今年度から特別教師として3年間ね」
そう言いながらも、トニーは鈴音に歩くように促す。
それに従い、鈴音は歩きながらまた質問した。
「どういう風の吹き回し?最初はIS学園から迎えが来るなんて言ってなかったじゃない」
今朝突然政府から『IS学園からの迎えが来る』などという内容の電話があり、鈴音は驚いていたのだ。
トニーは鈴音からの質問をいつもの調子で答えた。
「まず君は代表候補生だ。その代表候補生に何かがあっては困る。最近は物騒だからね。そして、IS学園で特別暇なのが僕で、僕なら不測の事態でも対処できるだろうと判断されてここにいる訳だ」
「そう」
そんなことをしていると、トニー達は飛行場へと出た。
「……?…ちょっとどこ行くのよ。飛行機はあっちよ?」
鈴音が指差す方向とは逆の方向にトニーは向かっている。
しかし、トニーはそちらに見向きもせず、腕時計を操作して鈴音に言った。
「僕達が乗るのはこれだ」
トニー達の目の前に突然、それは現れた。
"クインジェット"
トニーが前世で使用していたステルス迷彩が施されている航空機。
「さぁ、行くぞ」
「……え、えぇ」
鈴音は驚きながらもクインジェットに乗り込む。
トニーはその後に続く前に呟いた。
「何も起きなければいいが……」