トニー・スターク が あらわれた !   作:クレイジー松本キヨシ

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一夏「2人揃って楯突くか、読者の総意の器であるこの私に!」
↑これじゃあフルフロンタルやないかい!(セルフツッコミ)
一夏君にはこの作品の数少ないネタキャラになってもらおう。

いや、弟が強いから兄も強化してあげないとな、と思いまして……。
なので白式は亜種の第一形態になる予定です。
白式の設定については次話かな?

※6/27
後書き追加、誤字修正


クラス代表決定戦 Stage2

フィッティングを終えたトニーと一秋は、ピットへと戻って来た。

 

ピット内に入ると何故か重苦しい雰囲気が漂っており、トニーは気になって近くにいた箒に何があったのかを訊いた。

 

「何があったんだ?」

「その……」

 

箒はそれだけ言って、視線をある方向に向けた。

 

「何故雪片を使わなかった?」

「何だよ、雪片って」

 

重苦しい雰囲気の原因は千冬のようだった。

千冬は試合が終わったのであろう一夏と喋っていた。

 

「お前が第一形態に移行するまで持っていた近接武器のことだ」

「それ、第一形態に移行した時にはもう()()()()()?」

「何だと……?」

 

一夏の言葉を聞き、千冬は驚きのあまり目を見開いている。

 

「おいおい、どうした?」

「いや……、後で話そう」

 

トニーは千冬に近づき、肩に手を置いてそう言うと、千冬はそう返した。

 

「勝敗は?」

「一夏の負けだ」

「ふむ、予想通りか」

 

トニーが予想していた通りの結果になり、思わずそう呟く。

 

「それよりも一秋の方はもう出れるのか?」

「フィッティングは終わってるよ」

「インターバルもそろそろ終わる。一秋は準備しろ」

「はい」

 

一秋は千冬にそう言われ、カタパルトに入った。

 

「……どうしたのだ一秋?」

 

しかし、一向にISを展開しない一秋に箒はそう問う。

 

「……どうやってISを展開するの?」

 

その言葉に、箒は思わず転びそうになり、千冬は溜め息を吐いてしまう。

 

「君の両手に指輪が嵌められてるだろう?」

「これのこと?」

 

トニーがそう言うと、一秋は自身の両手に嵌められている赤と青のそれぞれの指輪をトニーに見せる。

 

「そうだ。それが君のISの待機状態ってやつだ。で、どうやってISを展開するかだが……。僕が開発したせいか少々他のISと勝手が違う。君のISを展開するには特殊な操作が必要でね」

 

そこまで言うと、トニーは両手を拳にして、両手の拳を合わせた。

 

「両手の拳を合わせる」

「両手の拳を?」

「ああ。指輪と指輪が上手くぶつかるようにだ」

「……こうですか」

 

そう言うと一秋も両手を拳にして、両手の拳を合わせた。

 

するとISが起動し、瞬く間に一秋の身体にISが装着された。

 

「……本当だ」

「少々面倒くさいが我慢してくれ」

「いや、大丈夫です。ヒーローの変身ポーズみたいで好きです」

「……奇遇だな、僕もだ」

 

そんな2人の会話を他所に、後ろにいた箒達も一秋のISを見る。

 

()()()()()()()()()()

 

一秋のISを見てから一度、一夏を見てから箒がそう言った。

 

「なんかアイアンマンに似てないか?」

「あのISの作成者はトニーだからな。何処かしら似ているのだろう」

 

一夏の問いに千冬がそう答えた。

 

「さて、君の初陣とやらだ。頑張れよ」

「……どこまで出来るか分かりませんが、頑張ります」

 

『一秋君、発進お願いします!』

 

管制室にいる山田先生からの通信を受け取り、一秋はリパルサーを吹かし、飛ぶ準備をする。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

短くそう言うと、一秋はピットから飛び出してフィールドへと飛んだ。

 

○○○

 

一秋がセシリアの前に浮遊すると同時に試合開始のブザーが鳴る。

 

「……貴方の兄と同じように、無様な姿を――」

 

セシリアが何かを言う前に、一秋がセシリアに向かってリパルサーを撃った。

 

何とかセシリアはこれを交わし、一秋に怒鳴った。

 

「なっ、私が喋ってる最中に何で攻撃してくるんですか!?」

「えっ?だってもう試合始まってるし、……駄目なの?」

「うっ……。そ、それもそうですわ」

 

セシリアは気を取り直し、真剣な表情で言った。

 

「なら、"ブルー・ティアーズ"の奏でるワルツで踊りなさい!」

「ダンスは……苦手だな」

 

ブルー・ティアーズから放たれた射撃ビットが一秋に向かっていく。

 

一秋はその場に留まるのは危険だと判断し、リパルサーを吹かして逃げ出す。

 

その後を射撃ビットが追う。

 

(何でか分からないけど、動き方がわかる)

 

一秋は不思議な感覚に浸りながらも、アリーナを覆うシールドに沿って逃げる。

 

射撃ビットがレーザーを撃ってくる中、それを一秋は何とか当たらずに回避する。

 

「逃げてばっかりで!」

「なら!」

 

一秋は飛行を続けた状態のまま、リパルサーを後ろに付いてくる射撃ビットに向かって撃った。

 

射撃ビット4基の内の2基を撃ち落とす事に成功し、後は2基となる。

 

「よしっ!」

 

そこで一秋は日本刀型の兵装である"試験用空裂"をコールし、腰に装備する。

そして、逃げ回るのをやめて攻めるためにセシリアの元に向かう。

 

「させませんわ!」

 

だが、ただで接近させるセシリアではない。

ブルー・ティアーズに装備されている六七口径特殊レーザーライフル"スターライトmkII"で一秋を落とさんとする。

 

「っ!流石は代表候補生か」

 

一秋の初心者染みた回避程度では、セシリアの射撃を避けきることができず、何発か貰ってしまう。そして隙が出来る。

その隙が出来たところを後ろに付いてきている射撃ビットが追撃をしてくる。しかし、それは何とか避けた。

 

「あの射撃とビットが同時に来るとヤバイな」

 

今は片方のみでしか攻撃してこない辺り、手を抜かれている。そう一秋は推測する。そして、そうだと思ってしまい、一秋は歯軋りする。

 

「舐めてくれやがって……!」

 

少しの怒りを覚え、一秋はビットを破壊することが優先だと考える。

 

そこからの行動は早かった。

 

空裂を引き抜き、それでビットを破壊する。

 

一秋も剣道を多少なりとも嗜んでいたお陰か、その動きはスムーズであった。

 

一の太刀で残っているビットの内の1基を斬り落とす。そしてそのまま流れるように最後のビットまで脚を運び、二の太刀を振るった。

 

4基の射撃ビットは全て破壊された。

 

「くっ!ここまでは貴方の兄と同じですね!」

「本気を出さなかったのが悪いんだからな!」

 

一秋は立て続けにセシリアに向かって刀を持って2回ほど振るった。

 

セシリアの常識の中では、刀は近接武器である。

だから、距離が離れた場所で刀を振るっても意味がない。

そう思っていた。

 

しかし、その常識は崩れた。

 

一秋が振るった刀から、エネルギー刃が飛んできたのだ。

 

「なっ!?」

 

その常識外の攻撃に回避も遅れ、攻撃を受けてしまう。条件反射で思わず腕をクロスさせてガードする。少しのシールドエネルギーが削られた。

 

「中々面白いことを……っ!?」

 

条件反射で腕をクロスさせてしまったせいか、視界が塞がれた隙を突かれ、一秋の接近を許してしまう。

 

一秋に攻撃を許すのかと思いきや。

 

セシリアは腰部に連結されていたミサイルビットを2基、発射して一秋に攻撃した。

 

「ッ!?」

 

思わぬ攻撃に一秋はそれをモロに喰らってしまい、シールドバリアが減る。もう、一秋のシールドバリアは半分以下になってしまう。

 

更に、ミサイルの衝撃のせいか、刀を手から落としてしまった。

その上、ミサイルによる爆風で一秋は目の前が見えない。

 

「貰いましたわ、インターセプター!」

 

ブルー・ティアーズの唯一の近接武器である近接ショートブレードの"インターセプター"をコールし、片手に握る。

そして、そのままインターセプターで爆風の中にいる一秋を斬ろうとする。

 

だが、それは一秋によって阻まれた。

 

「もしや、まだ近接武器を!?」

「ああ!」

 

セシリアの攻撃を防いだモノは、腕に備われていたエネルギーブレードであった。

 

爆風の中から現れた一秋は、もう片方のエネルギーブレードで攻撃する。

 

セシリアはそれを片方の手に持つスターライトmkIIで防ごうとするも、呆気なく斬られた。

 

「スターライトが!」

 

爆発寸前のスターライトmkIIを手放し、セシリアに防ぐ術はもうない。

 

「これで、終わりだ!」

 

一秋はそのままの勢いで、セシリアを斬りつける。

 

セシリアのシールドエネルギーは0になり、試合終了のブザーが鳴った。

 

 




次回は一秋とセシリアの試合後と一夏と一秋の試合。


※補足
指輪の色にはちゃんと意味があります。
今後の伏線……?

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