いやー、それにしても最近は熱くなって気分が滅入って大変ですよ。これ、水分とかがないとやってられませんよ。
と、愚痴ってすみません。
それでは本編をどうぞ!
夜の時間帯でシオンのアパートにて、トライフォーとタイヨウ、アンが支部の復興イベントについて話していた。
「ユナサン支部でも雄志で復興イベントでもやろうという事になりました」
「あ、その話ならメガラニカ支部でもやろうという話が続々と出てきているそうですよ」
ユナサン支部もメガラニカ支部もサヤたちのイベントをきっかけに支部の復興を目指してイベントを開こうという声が何人も出てきたようだ。
「サーヤたちのイベントのおかげで、たくさんのファイターが積極的に協力してくれているみたい」
「サーヤちゃんのイベント、4人は行ったんですよね?羨ましい限りです」
「ん?アンはマサトたちと行ったわけじゃなかったのか?」
「あ、言ってなかったけどアンは華道と武道を掛け合わせた一家の生まれでね、アンはそこの跡取り娘なんだ。華道の方はアンが引き継いで、武道はリン姉さんが受け持ってたんだ」
「じゃあ、アンがサーヤのイベントに来れなかったのは・・・」
「家の方から急な手伝いを頼まれちゃいまして、断るに断れなかったんですよ」
アンがサヤのイベントに来れなかったのは家の急な手伝いによって、華道教室に通っている生徒の面倒を見ていたのである。
「アンもいろいろと大変なんだね」
「でも、華道を教えるのも意外に楽しいものですよ。なぜなら・・・」
このままいくと華道の話に変わっていきそうなのでユイが話を元に戻す。
「コホンッ!話を戻すよ。これからどうする?私たちも支部のイベントを手伝っていく?」
「いや、僕たちはカンパニーの戦いに向けて、個々の能力の強化に集中した方がいいだろう。この週末はそれぞれ・・・」
シオンは話をしている途中で何者かの気配を感じ取った。それに気づいた一同は少し身構える。カーテンを除いてみると、誰かの車が止まっている。そして、車に乗っていた人物はシオンの部屋へと向かっていっている。
「カンパニーの手の者か?」
「こんな所にまで・・・」
「コテンパンにしてやるっつーの!」
「いや、まだ誰なのかわからないし・・・」
一同はそれぞれ武器?を持ってここに来るものを迎え撃とうとしている。そして玄関の扉があき、そこにいた者は・・・
「特訓に~~・・・キターーーーーー!!」
アロハシャツを着こんでいるハイメ・アルカラスだった。ハイメの登場にキョトンとなっている一同。
『・・・え?えええええええええええ!!?』
一同はハイメに連れられて、飛行機に乗せられてどこかに連れていかれるのであった。
TURN96「4人で、再び」
一同がハイメに連れてこられた場所は、豪華な施設が立っている無人島だ。ちなみにこれを管理しているのは蒼龍レオンが率いる蒼龍財団だったりする。
「すっご~い・・・」
「マスターレオンがセレブ向けに貸し出している無人島さ!何でも揃ってるよ!」
「確かにここなら、誰にも邪魔されずに特訓できそうだな」
「うん。それはいい。それはいいよ?けどさ・・・なんで特訓のために水着着ているの、私たち?」
「ちょっと・・・恥ずかしいです・・・///」
そう、ユイの言う通り、一同の格好は水着姿だ。ちなみにここにはカムイとミサキも来ている。
「南の島のドレスコードだよ~。快くこの島を貸してくれたマスターレオンに敬意を評して、ここでは一切合切、ぜ~んぶ、俺が仕切らせたもらうからね~!!」
「頑張りましょう!皆さん!」
「・・・まぁ、いいか」
トライフォーはとりあえずは納得し、笑みを浮かべる。
「それじゃあ、早くやろうぜ!!」
こうして一同はそれぞれの特訓を始めようとするのであった。
☆
クロノが行っているのは自分のデッキ構築だ。なぜこうしていうのかというと、リューズによってクロノ・ドランを奪われてから、クロノジェット・ドラゴンとクロノドラゴン・ネクステージが真っ白になっているからだ。デッキ構築にはタイヨウも付き添っている。そこにハイメがやってきてクロノのカードを見る。
「アミーゴの相棒、本当にマッシロシロスケだね」
「クロノジェット・ドラゴン・・・クロノドラゴン・ネクステージ・・・」
「十二支刻獣がリューズの手に渡ったことによる影響だろうって、伊吹さんが言ってました」
「なら、みんなを取り返せば、クロノジェットもネクステージも元に戻る!」
クロノは笑みを浮かべてギアクロニクルのカードに語りかける。
「だから、あいつらが戻ってくるまで、頑張ろうぜ!」
クロノの想いにタイヨウとハイメは笑みを浮かべる。
「ギアクロも強いユニットがいっぱいいるから悩みますね」
「そうなんだよ。こいつを軸にしたデッキにしようと思うんだけど・・・」
そう言ってクロノが手に持ったカードはクロノスコマンド・レヴォリューションだ。どうやらクロノスコマンドを主軸としたデッキにしようと考えているらしい。
「グレード3をギアイーグルと、何にするか・・・?」
「ギアイーグルにライドできなかったことを考えて、ヴァンガードに登場した時の能力を持ったユニットがよさそうですね」
「おお!そうだな!」
「ちなみに俺の推しユニットは~・・・これ!」
ハイメが選んだ推しユニットは、スチームメイデンエルルだ。
「ライドして~、アミーゴ~」
クロノはこれによってハイメをジト目で見つめる。
「えっと・・・」
「イメージすんな~~!!」
「あははははは!」
イメージしようとしているタイヨウをクロノが無理やり止める。その様子にハイメは大笑いする。
☆
ユイが行っている特訓はカンパニーが使用するクランに対抗するため、これまでに入手してきたカンパニーのファイトデータを元にデッキの考察をしている。ユイの特訓にアンも付き添っている。最初に考察しているのは、ユイにとって因縁深い相手、スバルのデッキだ。
「・・・これが私が考えた叔母さんが使用するデッキの構築だと思うんだけど、どう?」
「えっと、ちょっと待ってください」
アンはデッキ構築の紙を読み上げていく。
「・・・そうですね、ユイちゃんとキョウコさんの話を元に考えれば、これで合ってると思います。まずライジング・ノヴァのストライドスキルでスペリオコールしてからの
「じゃあそのファイトスタイルをどう対処していくかっていうのを考えながら、私のデッキも構築しておかなくちゃ!」
「ただ、相手も何もしないということはありませんし、自身のデッキを強化してくるかもしれません。そこも考慮しながら組み直した方がいいかもしれませんね」
ユイとアンはどう対処すればうまく立ち回れるかという事を考えながら、自身のデッキの調整を行っている。
「・・・なんていうか、ごめんね、アン」
「え?何がですか?」
「ほら、私の叔母さんがメガラニカ支部に来なければ、あんなことにならなかったかもって話だよ」
「ああ・・・」
ユイの謝罪にアンはなるほどといった表情をした後、苦笑いを浮かべる。
「正直、怒ってるっていうより、ショックなんですよ。メガラニカ支部を壊されたこともそうですが、ラミラビが進んで計画に協力しているっていうのが・・・」
「そのせいでアンがこの戦いに巻き込んでしまって、本当にごめん」
「いいんですよ。ユイちゃんが悪いわけではありませんし、気にしてませんよ。それに、これは私自身が決めたことですから。ラミラビを、助けるって」
「・・・そっか。そうだったよね」
アンの答えにユイはちょっとばかり微笑んで見せた。
「よし!構築し終えたらどんな出来になってるか検証してみよう!あ、ついでにカンパニーのデッキ全部を構築して、それを本当にカンパニーと戦ってるっていう環境をつくるのもありかも!」
「え、カンパニーのデッキ全部をですか⁉それだとファイトする前に日が暮れてしまうような気がするんですけど・・・」
ユイとアンはそんな話の後、特訓を再開させる。
☆
シオンはジェネシスの使い手であるミサキとファイトの特訓だ。ミサキの使っているデッキはシオンによって教えてもらった東雲のデッキだ。
(これが東雲ショウマのデッキ・・・。なるほどね)
ミサキは東雲のデッキをすぐに理解し、その動きを実行に移す。
「ストライドジェネレーション!!!破壊神獣ヴァナルガンド!!!」
ミサキはコストを支払ってヴァナルガンドにストライドする。
「フェンリルのストライドスキル。ソウルチャージ。グレイプニルでスレイマンにアタック!」
「ノーガード!」
「ヴァナルガンドでヴァンガードにアタック!ヴァナルガンドのスキル。6枚ソウルブラスト。ソウルからドロップゾーンに置かれたカモミールとメリッサのスキル。コール!さらにフェンリルのストライドスキルでソウルからドロップゾーンに置かれたフェンリルをコール」
「くっ!」
「ジェネシスはソウルブラストするタイミング次第では、アタック回数を増やすことができる」
「ソウルのカードを考慮して、戦略を立てる必要があるな・・・」
シオンはミサキの盤面をよく見る。盤面を見終えた後、適切な判断でガードを行う。
「完全ガード!」
「ヴァナルガンドのスキル。山札の上から4枚見て、2枚を山札の上、2枚を山札の下へ。トリプルドライブ。クリティカルトリガー!効果は全てカモミールへ!クリティカルトリガー!効果は全てフェンリルへ!ヒールトリガー!パワーはフェンリルへ!カモミールでアタック!」
シオンはメリッサのブーストをつけたカモミールの攻撃をあえてノーガードを宣言する。
「フェンリルでヴァンガードにアタック!」
「ジェネレーションガード!」
シオンはフェンリルの攻撃をレーザーガード・ドラゴンで防ぐ。
(さすがはミサキさん。東雲のデッキを使いこなしている。これ以上の特訓相手はない。リューズの野望を阻止し、綺場を取り戻そうとすれば、必ず奴が立ちはだかるはずだ)
シオンのターンとなり、シオンはコストを払ってストライドを行う。
「ストライド・ザ・ジェネレーション!!!天元超克アルトマイル!!!」
シオンはイメージにいるフェンリルを東雲と重ねながら、ファイトを進めていく。
☆
トコハはカムイとファイトの特訓を行っている。現在はカムイのターンでメテオカイザービクトールのアタックに入ろうとしている。
「ヴァンガードにアタック!」
ビクトールの攻撃をトコハはノーガードを宣言する。
「どうする?ちょっと休むか?」
「いえ、せっかくの特訓なんで、これくらいでなくちゃ!望むところです!」
トコハはそう言いながら強気な笑みを浮かべる。
「(カンパニーはヴァンガードの勝敗で全てを決める。負けられない・・・強くなる・・・もっと!)お願いします!」
「ああ!」
「ストライドジェネレーション!!!咲き誇るラナンキュラスアーシャ!!!」
トコハはコストを支払って咲き誇るラナンキュラスアーシャにストライドする。
「理想の乙女トゥーリアをアーシャとしてコール!さらに、咲き誇るラナンキュラスアーシャのスキル!Gゾーンにある夢紡ぐラナンキュラスアーシャを表に!山札から理想の乙女トゥーリアをアーシャとしてコール!全てのアーシャにパワープラス15000!咲き誇るラナンキュラスアーシャにクリティカルプラス1!」
トコハの脳裏にはドラエン支部でのラミーラビリンスの行動と、江西の言葉が浮かんでいた。
(ルーナもアム、ユキノも好きであんなことしたわけじゃない。そうさせたのは、明神リューズとカンパニー!なのに、何が"ルーナは私が守る"よ!利用してるだけじゃない!許せない。絶対助けるから。待ってて、ルーナ!)
☆
無人島の近くに止めている船の中でハイメはトライフォーの特訓の様子を双眼鏡で見つめていた。
「いや~、4人とも熱いね~。でも、ちょっと固いかな~」
ハイメがそう呟いていると、ランチを乗せたヘリコプターが到着してきた。それを見たハイメは何かを思いつき、にこやかに笑っている。
☆
一通りの特訓を終えたトライフォーとタイヨウ、アンは集まって休憩をとりながら午後の特訓について話し合う。
「昼食をとったら、午後は試合形式でやろう」
「賛成」
「なんなら、その通度ファイトの内容を検討して・・・」
「しまったーーーー!!」
『?』
ハイメの一声に一同は顔をハイメの方に向ける。
「アミーゴたちのために、わざわざ運んでもらった超豪華スペシャルランチを・・・間違えて・・・あーんなところに置いてかれてしまったーー!」
ハイメが指を指したところは無人島の山となっている場所だ。
「神様!仏様!トライフォー様!お願い、アミーゴ!」
ハイメはトライフォーをご指名に必死に頼んでいる。これが意味するところはというと・・・
☆
ハイメに頼まれてトライフォーは山の方に置いてかれてしまったランチを取りに、わざわざ森の中に入っていっている。
「何で・・・こんなところまできて山登り・・・?」
「特訓に来たはずなのに、とんだ道草だ・・・」
「あーん、もうお腹すいたよ~・・・」
「さっさと取ってきちゃいましょう」
トライフォーは少し愚痴をこぼしながらもランチを取りに山を登っていく。
☆
トライフォーが山にランチを取りに向かうのはハイメが考えたプランであるため、タイヨウとアンは待機という形でここに残っている。
「・・・あの、やっぱり僕たちも取りに行った方が・・・?」
「大丈夫ですよ。多分ですけどこれ、ハイメさんが考えたプランだと思います」
「あ、やっぱりアンにはわかっちゃった?」
アンはハイメの意図をなんとなく理解しているようだ。アンの言葉にハイメが頷きながら近づいてきた。
「でも、人手が多い方が・・・。クロノさんたちが大変なのは聞きました。だから、僕も何かしたくて・・・」
「いいんだよ、普段通りで。それに、今クロノたちに必要なのは、4人で話す時間なんだ」
「4人で?」
「そう。チーム親知らずでね♪」
「ハイメさん、それを言うならチーム水入らずですよ」
ハイメの言葉の違いをアンが正しく訂正する。
☆
波の音がよく聞こえる砂浜でカムイは1人ぼんやりしていた。カムイが考えていたのは前日のユニット同士の戦いだ。あの場にいたのに何もできなかったことをずっと悔いているのだ。
(助けに行ったのに、何もできなかった!情けねぇ!俺にできることって何なんだ⁉)
「本当、図体ばっかでかくなって、ちっとも変わらないね、そういうところ」
カムイが悩んでいるところにミサキがやってくる。
「相変わらずガキなんだから」
「どうせ俺はクソガキですよ」
カムイの隣にミサキが座り込む。
「あんたは昔からそう。1番年下なのに、誰よりもみんなのことを気遣ってた。誰よりもがさつそうに見えて、ガキのくせにいっちょ前にさ」
ミサキはカムイの背中をバシンと叩く。
「いって⁉」
「あんたがうじうじしててどうすんの⁉あの子たちはあんなにもまっすぐに進もうとしている。ファイトしてたらわかるでしょ?」
「・・・そっすね」
ミサキに励まされて、少し元気が出てきたカムイ。カムイとミサキは海を眺めて、昔の出来事を思い出していた。
「合宿か・・・」
「懐かしいわね・・・」
☆
一方のトライフォーは頂上までの中間というところまで来ている。だがランチがある場所はまだまだ先にある。
「くそー、まだ着かないのかよ」
「これが最短ルートのはずだけど・・・」
「ねえシオン、水持ってる?喉乾いちゃって・・・」
「確か、トコハがペットボトルを・・・」
3人がトコハの方に顔を向けると、トコハが足をくじいているところを発見する。
「つぅ・・・」
「「「トコハ!!」」」
3人はトコハに連れて近くにある川で休憩をとることにした。シオンはトコハの足首の応急手当をしている。
「これでしばらくは大丈夫そうだ」
「ありがとう。ごめん」
「謝るなよ。つーか、我慢しないでもっと早く言えって」
「靴擦れなんかで足引っ張りたくなかったの」
「私たちのペースが速かったんだよ。気付けなくてごめんね」
「もう少し休んでいくか」
3人はトコハを気遣ってもう少しだけ休むことにする。
「・・・あのさ、最初は俺、リューズの言う事もちょっとはわかるような気がしたんだ」
「「「え?」」」
クロノの突然の話、しかもリューズの言うことがわかると言われて少しだけ驚く3人。
「痛みや争いをなくしたい。みんなに笑顔でいてほしい。あいつはそう言ってた。完全な未来って奴で本当にみんなが笑顔に、幸せになれるなら、あいつと一緒に行くべきかなって、一瞬だけ思った」
「クロノ・・・」
「でもあいつはみんなの幸せのためだって言ってるくせに・・・誰かの幸せを犠牲にする。ユニットを・・・クレイを・・・俺の周りの人たちを。そんなことをして掴んだ未来で、胸張って生きられるのかって。だからリューズとは一緒には行かない。今はあいつが間違ってると思ってる!俺は俺の未来の為に、リューズと戦う。そのために、俺の力が必要なら。3人にはちゃんと言っとかなきゃと思った」
クロノの話にトコハとシオンは笑みを浮かべる。
「何を今さらって感じ」
「トコハや僕にも奴らから絶対に取り戻さなきゃならないものがある」
「トコハ・・・シオン・・・」
「じゃあ、クロノの話ついでに、私も話しとくね」
クロノの話の次に、今度はユイが言葉を詰まらせながら話す。
「3人はもう見たことあるかもしれないけど、カンパニーの、顔がママによく似た人、佐倉スバルは、私の叔母にあたる人なんだ」
「それは、まぁあんだけ顔が似てりゃ、そりゃあ、な」
「私が戦う理由ってさ、元々はパパとリューズの間の因縁に決着をつけるためなんだよね。でもさ、リューズラボに突入した時に出会って、きっと何かあるんだなっていうのは感じた。少しは助けになりたいなって思って、ついていこうかなって、一瞬の迷いもなかったわけじゃない」
「ユイ・・・」
「でも、支部を破壊されていってるのを見て、ママに全部の事情を聞いた時、叔母さんのやってることはやっぱり間違ってるんだって気付けた。叔母さんの行動を私が何とかしなきゃって思う。だって、叔母さんも私の大切な家族なんだもん。だから私は戦うの。家族の因縁に決着をつけるために。私の戦う理由、一応、3人にも改めて話さなきゃって思って、今話したんだけど・・・」
ユイの話を聞いて、3人は笑みを浮かべた。
「今に始まったことじゃないけど、本当にユイって家族思いよね」
「それは君のいいところなんだ。だからもう少し、胸を張ってもいいんじゃないかな?」
「お前の気持ちはみんなわかってんだ。今さら言葉を詰まらせんの、お前らしくないぜ」
「クロノ・・・シオン・・・トコハ・・・ありがとう・・・」
3人の言葉にユイは笑みを浮かべる。トライフォーは一通りの話を終えたところで休憩を終了してランチを取りに行く。
☆
山の中間地点、トライフォーはランチを取るために頂上を目指す。ユイはトコハを担ぎなら歩いている。
「歩けるか?」
「大丈夫。クロノとユイの気持ちはわかった。けどクロノはもう1人で勝手に行っちゃうのだけは絶対になしにしてよ?」
「ひやっとしたよ、本当。二度とあんなことはごめんだ」
「本当だよ。どれだけ心配したと思ってるの?次やったら許さないんだから」
「わかった、わかったって」
3人の言葉にクロノは苦笑いを浮かべる。
「・・・こういう事なのかもな。前だけ見て突っ走りすぎて、周りが見えなくなっちまったっていうか・・・」
「そうだね」
「シオンだって、いつの間にか怪しい連中とつるんでたみたいだったけど、大丈夫なの?」
「綺場のことは僕の問題だと思っていたからね。心配かけたことは謝る。もう無茶はしないさ。君たちのみたいな、口うるさい仲間がいる限りはね」
「何よ!人を小姑みたいに!」
「ま、トコハの方は当たってるかもね」
「何を~?」
トライフォーは山を登りながら話し、共に笑いあっている。そんな時、シオンが3人に向けて話しだす。
「何もかも失っても、僕が僕でいられたのは3人がいたからだ。ありがとう」
シオンの言葉に3人は笑みを浮かべる。
「ちょうどいい機会だ。僕も、これだけは言っておく。僕はエース・・・アムが犯した罪を許すつもりはない」
「!」
「意図を引いているのは、リューズと東雲だという事はわかっている。利用されたラミーラビリンスはかわいそうだとも思う。けど、僕には彼女たちを救うことはできない」
シオンの言葉にトコハもこれは言っておこうという顔で話す。
「シオンの言いたいこと、わかるよ。でも、アムとルーナ、ユキノは助けるから、私が。私は3人を止められなかった。チャンスはあったのに・・・。3人のことを思ってそうした。けど、そのせいでドラエン支部があんなことになった。ルーナやユキノだって・・・やっぱり何が何でも止めなきゃいけなかったんだ。止められなかった私にも罪はある。だから3人を取り戻して、1発ガツンと言ってやる!で、私も3人に謝る!止めてあげられなくてごめんって。だって、友達だから・・・」
トコハの思いを3人はしっかりと聞いてあげた。
「安城トコハの友情は、これくらいじゃビクともしないのよ!」
「それ、言うのが結構遅いよ?アンなんてトコハより先に3人を助けるんだって、張り切ってたんだから」
「確かに、助けるって言ってたのアンの方が先だったしね」
「ええ⁉何よそれ⁉」
「まぁでも、1人で抱え込むなよ?」
「あんたに言われたくないわよ」
トライフォーはそれぞれの思いを胸にまた1段と絆が深まっていった。
☆
トライフォーは見事ランチボックスを発見し、帰りに戸惑いながらもなんとか無事に帰ってきた。
「着いた~・・・」
「おかえりなさい!」
トライフォーの帰りをタイヨウが出迎えてくれた。タイヨウはトコハの足に巻いてある布に気が付いた。
「それ、どうしたんですか?」
「ちょっと靴擦れしちゃった。でも、もう大丈夫」
「こいつ、こんな靴でずんずん行くからさ~・・・」
「何よ、あんただって帰りすッ転んだじゃない!」
「しかも、何もないところでね」
「あの時のクロノの顔ときたら、本当に面白かったよ」
「んだよ⁉関係ねぇだろ⁉」
トライフォーはちょっとだけ言いあいになったがその顔は笑みを浮かべていた。
「ね?大丈夫だったでしょ?」
ハイメはタイヨウの頭をポンと置く。タイヨウはトライフォーの様子を見て笑みを浮かべる。その後はみんなで楽しく昼食をとり、その後は試合形式での特訓を始めていくのであった。
☆
特訓を終えたころには、もう夜になっており、トライフォーとタイヨウ、アンは浜辺で寝転がって、夜空を見上げていた。
「つっかれた~」
「あ、流れ星ですよ」
6人が空を眺めていると、流れ星が降ってきた。
「そう言えば、4人で海に行ったことがあったね」
「流星群を見せたいと言って、クロノがね」
「でも結局、星は見れなくて。でも、代わりに花火が見れたよね」
「連れていった俺が言うのもなんだけど、散々だったよな」
「あの時見られなかった景色を今、僕たちは見ている」
6人は流れ星の降る景色を目に焼き付けながら見ている。
「・・・私、中学を卒業したら海外に行こうと思ってるんだ」
「「「!」」」
「兄さんとは違うやり方で私らしくヴァンガードがしたい」
「トコハらしいな」
「がんばれよ」
「私、応援してるからね」
トコハの考えに3人はトコハにエールを送っている。
「シオンはやっぱり綺場の家を取り戻すんでしょ?」
「ああ。でもそれが済んだら、新しい事業をやりたい」
「事業って何するんだ?」
「具体的なことはまだだけどね。いろいろな事情でヴァンガードをやれなくなったファイターたちを支援しようと思ってる」
「そっか。うん、それでこそ綺場シオンだよ」
シオンの事業に3人はシオンらしいと思った。
「ユイちゃんはどうするんですか?」
「私?私はね・・・思い切って普及協会に入ろうと思ってるんだ。明神の統一する奴じゃなくて、本当に楽しいことができる普及協会に」
「普及協会に?ユイが?」
「またずいぶん大きくでたね」
「どっかの支部に所属して、仕事をこなしながら私なりのやり方で、いろんな人にヴァンガードを教えて、みんなを笑顔にさせたい。それが、私が抱き始めた私の夢だよ」
「そっか。まぁ、がんばれよ」
ユイの抱いた夢に3人は意外そうに思いながらもユイを応援する。
「クロノさんは?」
「俺は・・・俺はやっぱりファイトがしたい。思いっきり楽しいファイトを」
「だったら、ショップ大会は?主催してみれば?」
「俺が?」
「いいね!キャピタル2号店を借りられないかな?」
「ミサキさんとシンさんに相談してみようよ!」
「お、おい」
自分がショップ大会の主催という事にクロノはちょっぴり照れている。
「だったら僕が手伝います!支部でいろいろやってますから任せてください!」
「そういう事なら私も任せていいですか?支部の仕事も、時々手伝ったりしていますから」
「お、おう。頼むな、タイヨウ、アン」
クロノは少々照れながらタイヨウとアンに手伝いをお願いする。
「大会の名前はどうしましょう?」
「大会の名前は重要ですからね。なるべく、かっこいい名前がいいと私は思います」
「クロノ杯かな?」
「グルグルカップでしょ?」
「いやいや、そこは渦巻きカップだよ!」
「おい!」
6人はそんなやり取りをして笑いあいながら流れ星の風景を見つめているのであった。
☆
メガラニカ支部の跡地にて、病院から退院したキョウヤは明日にやるべきこと、支部の復興スケジュールを確認している。そんなキョウヤのスマホから着信が届いた。着信者は日下部リンとなっている。キョウヤは通話に出る。
「日下部リンか・・・」
≪キョウヤ君、ご機嫌は如何ですか?≫
「ボチボチといったところだ。そっちは?」
≪こちらはちょうどお昼ですので昼食をとっているところです≫
「そうか。で、こっちに連絡したという事は、何かわかったのか?」
キョウヤはそう言って、リンに本題を入らせる。
≪伊吹先輩には恐らく櫂先輩が知らせているでしょうからキョウヤ君からは私にと思いましてね≫
「そうか。ではさっそく分かったことを教えてくれ」
≪莫大なイメージ力、ストライドフォースの塊を発見しました≫
「!十二支刻獣・・・どこに見つかった⁉」
≪それについてなんですが・・・厄介な問題が発生しましてね≫
「問題だと?」
リンはスマホ越しで十二支刻獣の居場所を答える。
≪十二支刻獣のいる場所、それは・・・宇宙【そら】です≫
そう、捕えられた十二支刻獣は宇宙に捕まっているのだ。
to be continued…
ミサキ「合宿か。あれからずいぶん経ったんだね」
カムイ「そうっすねぇ。泣く子も黙る女子高生だったミサキさんが今やカードキャピタルの女帝ですからねぇ」
ミサキ「カムイ、あんた自分が何言ってるかわかってる?給料減らすよ!」
カムイ「ああ!すみません!!」
TURN98「江西の罪」