カードファイト!!ヴァンガードG 鋼と宇宙の正義   作:先導

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ぬばたまの新能力、支配がマジで常識を覆してて本当に驚きました。そして能力めちゃめちゃ強すぎじゃないですかあれ?相手のリアガードを操作できるって・・・。

話がずれましたが今回はディペンドカード覚醒の回です。

関係ない話ですが、個人的に若水さんのあのキャラ、かなり面白くて結構好きですよ。

それでは、本編をどうぞ!


ディペンドカード覚醒

どこかの別荘のようなところの寝室、リューズによって気絶させられたクロノはここのベッドで眠っていた。

 

「・・・ん、んん・・・」

 

眠っていたクロノが目を覚まし、体を起こさせる。

 

「・・・いった!・・・ここは・・・」

 

クロノはスタンガンにあてられた箇所を抑え、周りを見渡す。そして、窓の近くにある椅子に座って本を読んでいるリューズが目に映った。

 

「・・・気が付いたか・・・」

 

「・・・っ!」

 

クロノは起き上がろうとした時、ファイトテーブルに目を向ける。その状態はクロノのターンが終了するところまで間違いもなく、カードが配置されていた。

 

「第6ターン、君のバリフのアタックを私がガードしたところをファイト中断。君が冷静にファイトできる状態じゃなかったからな。クールダウンのついでに場所を変えた。静かでいいところだろう?誰の邪魔も入らない」

 

リューズは読んでいた本を閉じ、クロノに視線を向ける。

 

「・・・さて、続きといこうか。新導クロノ」

 

「・・・・・・」

 

クロノはベッドから起き上がり、ファイトテーブルに向かい、ファイトを再開させる。

 

 

 

TURN94「ディペンドカード覚醒」

 

 

 

カンパニーの拠点の休憩室に東雲、スバル、若水がいた。東雲は端末で何かの映画を見ており、スバルはビールを飲んでリラックスを、若水はコーヒーを入れている。

 

「正直、若水的には理解できかねます。なんだってリューズさんはああも、新導クロノにこだわるんでしょう?」

 

「ち、また始まりやがったよ、若水の1人ごとが」

 

若水の不満の声にスバルはうっとうしそうな表情をしている。若水はしゃべりながらスティックシュガーをいくつもコーヒーに入れていく。

 

「確かに彼の持つディペンドカードの覚醒と回収は絶対に必要です。逆に言えばそれ以上の価値は皆無。我々には弓月ルーナというピースメイカーがいるのですから、まったくもって不合理そのもの、不可解です!」

 

「センチメンタルだよ」

 

「けっ、んなこたぁどうだっていいんだよ。あたしらは余計なことを考えず、ただリューズ会長の意思に従ってれば、それでいいんだよ」

 

スバルはビール瓶に入ってあるビールを飲む。そこに江西が入室してくる。

 

「動いたぞ」

 

江西の言葉を聞いて、カンパニーが動き出す。1名を除いて。

 

「・・・守山は?」

 

「知らん」

 

一応はヒロキにも連絡はしたようだが、ヒロキは来るつもりはないらしい。

 

 

一方その頃、別荘にいるクロノとリューズのファイトはクロノのターンは終了するところだ。

 

「ターンエンド。ワープドライブ・ドラゴンはGゾーンへ。バリフは山札の下へ。バインドゾーンにあるアップストリームをコール」

 

「スタンド&ドロー。超越せよ!時空獣フロートギア・ヒポグリフ!!」

 

リューズは手札のグレード3を捨て、フロートギア・ヒポグリフにストライドする。

 

「コール。スチームナイトムダル、スチームファイターナンネア」

 

「お前はこの世界の未来の為に、惑星クレイの未来を奪うつもりなんだな?」

 

「ふ、やっと思い出せたようだな。あの日の全てを、自らの宿命を。フロートギアでヴァンガードにアタック」

 

「ノーガード」

 

「ストライドゲートの先に待つのは、世界の真理。惑星クレイと我々の世界、2つの世界を繋ぐ運命の天元。私は十二支刻獣の力で、その天元を傾け、完全なる未来をこの手で導く!トリプルドライブ!」

 

ドライブチェックで1枚目に引いたのはグレード3のユニットだった。

 

「フロートギアのスキル。ドライブチェックでグレード3が出たら、パワープラス5000!さらに、リアガードを1体時翔(タイムリープ)し、メラムをスペリオルコール!」

 

フロートギアの時翔(タイムリープ)スキルでガンナーギアをバインドし、スチームメイデンメラムをコールさせる。

 

「バインドゾーンにカードが置かれた時、ナンネアはスキルでパワープラス4000」

 

「くっ・・・!」

 

「セカンドチェック。ゲット、ヒールトリガー。パワーはメラムに、ダメージを1回復。サードチェック。ゲット、クリティカルトリガー。パワーはムダルに、クリティカルはフロートギアに!」

 

フロートギアは口から光線をクロノジェット目掛けて放つ。クロノジェットはその光線を喰らう。

 

「こいつらみんなの未来を奪って、俺たちだけ幸せになるなんて、許されると思ってんのか!!?」

 

「元より許しを請う気はない!メラムでヴァンガードにアタック!スキルでパワープラス4000!」

 

「ガード!」

 

メラムのアタックをクロノはカー・ランマでガードする。

 

「メラムを山札へ。ウル・ワタルをレストでスペリオルコール」

 

リューズはメラムを山札に戻し、デッキに1枚だけしか入れられていないスチームバトラーウル・ワタルをコールする。

 

「誰も泣かない、誰も傷つかない、完全な未来が実現する!ヴァンガードで世界を救うんだ!」

 

「ふっざけんなぁ!!」

 

クロノはムダルの攻撃をノーマルユニットとトリガーユニットでガードする。

 

「お前はクレイを・・・ヴァンガードを何だと思ってるんだ!」

 

クロノは気付いていない。クロノの持っているお守りの中に、シオンがこっそり入れた発信器が入っていることを。

 

 

一方その頃、伊吹、カムイ、シオン、トコハ、ユイは現在発信器を頼りにクロノのいる場所に来るまで向かっている。

 

「GPSに変化なし。さっきから、ずっと同じ地点に止まっています」

 

カムイはシオンに教えられた地点の情報を探している。

 

「あったぜ!どうやら、アンタレスっていう会社の所有地みたいだな」

 

「アンタレス⁉」

 

「シオン、知ってるの?」

 

アンタレスの会社を聞いて、シオンは反応する。ユイがそのことについて聞いてくる。

 

「普及協会の関連企業の1つだよ」

 

『!!』

 

「明神リューズの個人資産を管理している会社だったはずだ。恐らくは別荘か何か・・・」

 

「・・・本当に大丈夫なのか、腕?」

 

伊吹の左腕は骨折したままで、包帯で固定している状態になっている。それにも拘らず、伊吹は車の運転をしている。

 

「煮干しは食った。・・・ん?」

 

伊吹は車のサイドミラーを確認し、後ろに黒い車が追いかけているを目撃する。その車は・・・

 

「いっかせませんよおお!はあ!」

 

カンパニーの1員である若水ソウスケが所有する車だった。ヒロキを除いた他のカンパニーも乗っている。それを確認した伊吹は車のスピードを上げる。

 

「どうした⁉」

 

「邪魔が来たようだ」

 

スピードを上げるも若水の車にあっという間に追いつかれる。若水は車を伊吹の車に体当たりをし、ガードレールに押しつける。車の窓からシオンは東雲がシオンに向けて手を振っていることを確認する。

 

「東雲・・・っ!」

 

東雲を見たシオンは忌々し気な表情になる。

 

「しっつれいしま~す!」

 

伊吹の車の前に若水の車が出て、東雲は水鉄砲を取り出し、伊吹の車の窓に墨をかけて前を見えなくする。

 

「くっ・・・!やばい!インターチェンジだ!」

 

微かに前が見えた先には、インターチェンジがあった。

 

「全員捕まっていろ!」

 

伊吹は車のハンドルを操作し、右の道に大きく曲がる。だがその先にはガードレールがある。

 

「!伊吹!」

 

「くっ!」

 

伊吹は左に曲がり、飛び出すのをなんとか避けるが車はガードレールに擦れてボロボロ、窓は墨で使いものにならなくなった。

 

「もうリタイアですかぁ⁉我が愛車シュレディンガーちゃん、13の秘密兵器をお披露目する予定が!」

 

「必要ない」

 

若水の言葉に江西は率直にそう告げる。ちなみに若水の車にはシュレディンガーという名前があるようだ。

 

「ちくしょう・・・」

 

万事休すかと思われたその時、白いバイクに乗った集団が現れる。

 

「ブラッディエンジェル?」

 

そう、白バイクに乗ってきた集団はブラッディエンジェルだったのだ。

 

「これを使え!」

 

ブラッディエンジェルはシオンに協力してくれてるばかりか、バイクまで伊吹たちに貸してくれるようだ。

 

「カムイさん、お願いします!」

 

「任せろ!」

 

「3人を頼む」

 

「おうよ!」

 

伊吹とカムイは3人をブラッディエンジェルに任せ、バイクに乗り込む。

 

「しつこい人たちですねぇ!」

 

若水はシュレディンガーを起動させようとするが、トコハとユイがシュレディンガーの鍵を奪う。

 

「行かせない!」

 

「これがなかったら車って走れないよね!」

 

「トコハ⁉ユイ⁉」

 

「返しなさい!」

 

若水は鍵を奪い返そうおするが、トコハは鍵が奪われないように離れる。その間に伊吹とカムイはバイクでクロノのいる場所へと向かう。

 

「クロノをどうする気⁉アムとユキノはどうしてるの⁉何でルーナは・・・何でルーナにあんなことをさせたのよ!!」

 

トコハの問いに江西が答える。

 

「弓月ルーナはピースメイカーの能力と引き換えに、自我を失った。蝶野アムと水城ユキノはそのスペアとして、カンパニーに残る」

 

「!」

 

「心配はいらない。弓月ルーナは何に変えても、私が守る」

 

スバルは眠いのか決心にあくびをしている。

 

「ふわぁ~・・・」

 

「叔母さん!」

 

「・・・あ?」

 

ユイに声をかけられてスバルはユイを睨み付ける。

 

「何で・・・何でドラエン支部を破壊したの⁉ドラエン支部だけじゃない!ユナサン支部、メガラニカ支部まで壊して!」

 

「・・・お前、支部に・・・いや、ヴァンガード普及協会の楽しいってフレーズにこだわってやがんのか?」

 

「・・・っ!そんなの、答えるとでも・・・」

 

「ま、別に知ったこっちゃねぇがな。だがそっちが答えねぇならこっちも答えてやる道理はねぇ。てか支部だってリューズ会長の指示のもとに作られたようなもんだろ?つまりはリューズ会長の所有物。所有物をどう扱おうが、リューズ会長の勝手だろ?」

 

「!!そんな勝手な都合が許されるわけが・・・!」

 

「はあああああ!」

 

「きゃあっ!」

 

「!トコハ!」

 

ユイとスバルのやり取りをしている間に、若水がトコハが奪い取った鍵を奪い返す。若水はすぐにシュレディンガーを起動させ、伊吹たちを追いかける。

 

「待ちなさい!」

 

「トコハ!もう追いつけないよ!」

 

カンパニーが去っていく姿をトコハとユイは見つめる。

 

「おいおいあんまり無茶すんなよ!大丈夫か?」

 

「助かった」

 

シオンはブラッディエンジェルのリーダーに礼の言葉を述べる。

 

「ま、俺も奴らにゃ、ちぃっと借りができたからな」

 

3人はもう見えなくなってしまったカンパニーが向かっていった場所をじっと見つめる。

 

 

クロノとリューズのファイトでは、クロノのストライドフェイズに移るところだ。

 

「ストライドジェネレーション!!クロノドラゴン・ネクステージ!!」

 

ここでクロノは自分の分身の未来の姿、クロノドラゴン・ネクステージにストライドする。

 

超越(ストライド)スキル!ムダルを山札の下へ!ドレインバルブ・ドラゴンをコール!スキル発動!アップストリームとドレインバルブにパワープラス2000!」

 

クロノはドレインバルブ・ドラゴンのスキルでソウルブラストを1枚払ってアップストリームと共にパワーアップする。

 

「惑星クレイも、ヴァンガードを犠牲にして、そんなにまでして掴む未来のどこが幸せなんだ⁉」

 

「クロノ、どうかイメージしてほしい。君たちがこれまでに失ってきた過去のすべてを・・・その涙を。救えるんだ!全部!ヴァンガードの未来が奪われたとしても、あまりある程の幸福を約束する!」

 

「ドレインバルブ・ドラゴンでアタック!」

 

「ガード!」

 

リューズはクロノを説得しながら、ドレインバルブの攻撃をガードする。

 

「ネクステージでヴァンガードにアタック!」

 

「きっとこれこそが、ヴァンガードが世界に存在した意味だったんだ!」

 

「トリプルドライブ!ゲット、クリティカルトリガー!パワーはクロノ・ドランに、クリティカルはネクステージへ!」

 

ネクステージは時空砲をクロノファング目掛けて解き放つ。クロノファングはそのまま砲撃を受ける。リューズのダメージはこれで5だ。

 

「クロノ!」

 

「ネクステージのスキル発動!クロノジェットをスタンド!ヴァンガードの意味を、お前なんかが勝手に決めんな!!絶対に認めねぇよ。ヴァンガードを引き換えに掴んだって、そこにいる俺は・・・もう俺じゃない。今の俺の全ては、ヴァンガードがくれた。仲間も、世界も、ここに立ってる理由も、全部」

 

ヴァンガードがあったからこそ、クロノは大切な仲間に出会え、自分を変えることだってできたのだ。だからこそクロノは、リューズの考えを真っ向から否定する。

 

「ヴァンガードは、俺自身なんだ!」

 

「!!」

 

今のクロノの姿を、リューズはライブと重なっているように見えた。

 

「クロノ・ドランのブースト、クロノジェットでヴァンガードにアタック!!」

 

クロノジェットはクロノファングに向かって渾身の1撃の拳を振るおうとするが・・・

 

「・・・ジェネレーションガード!ハイブロースチームラファンナ!」

 

リューズのジェネレーションガード、ラファンナによってクロノジェットの拳を受け止める。

 

「・・・お前も結局・・・ライブの息子か・・・!」

 

リューズはクロノを鋭く睨み付ける。

 

「ラファンナのスキル!ナンネアを山札に戻し、マシュダをコール。ラファンナのシールドプラス10000!」

 

「くっ・・・!まだだ!ツインドライブ!ゲット、クリティカルトリガー!効果は全てアップストリームへ!アップストリームでヴァンガードにアタック!」

 

「ガード!」

 

クリティカルののったアップストリームでクロノファングにアタックするが、これもガードされてしまう。

 

「ターン・・・エンド・・・」

 

「スタンド&ドロー。クロノファング・タイガーのスキル。ストライドのコストとして、ドロップするユニットのグレードをプラス3。さらに、そのカードをバインド。我が未来は、全ての未来!いかなる犠牲を払おうと!超越せよ!時空竜バインドタイム・ドラゴン!!」

 

リューズはクロノファングのGB(ジェネレーションブレイク)(2)で手札のコストを払ってからバインドさせる。そして、バインドタイム・ドラゴンにストライドさせる。

 

「コール!クロノファング・タイガー!・・・どうして・・・わかってくれないんだ・・・。俺はただ・・・お前たちを幸せにしてやりたいだけなのに・・・」

 

「そんなもん、誰も頼んでねぇ!」

 

「お前の意見など聞いていない!」

 

クロノの言葉にリューズは瞳に涙を出し、声を上げる。

 

「バインドタイムでヴァンガードにアタック!バインドタイムのスキル!ウル・ワタルをバインド!バインドタイムにパワープラス10000!クリティカルプラス1!バインドゾーンに置かれている、ユニットの数だけ、相手のリアガードを山札の下へ!」

 

バインドタイムのスキルによってクロノのリアガードはいなくなってしまった。

 

「さらに、ウル・ワタルはスキルで山札の下へ!2枚ドロー!手札から1枚山札に戻す!」

 

「くっ・・・」

 

「・・・信じていたのに。どうして・・・どうして俺を裏切るんだ!」

 

リューズの瞳から一筋の涙が流れた。

 

「俺たちならやれたのに!ヴァンガードは世界を救えるのに!どうして!!」

 

「完全ガード!」

 

バインドタイムはクロノジェットに雷鳴を放つ。そんなクロノジェットを守ろうとアルリムが前に立つ。

 

「トリプルドライブ!ゲット、クリティカルトリガー!効果は全てクロノファング・タイガーへ!俺は世界を救う!この命尽きようとも、ただ1人になろうとも!マシュダのブースト、クロノファング・タイガーでヴァンガードにアタック!」

 

クロノの手札は1枚。この攻撃は防げない。

 

「・・・ノーガード。ダメージチェック」

 

1枚目のダメージはノートリガー。次の6枚目で勝負が決まってくる。クロノが2枚目のダメージチェックを行おうとすると、リューズに多大なストライドフォースが溢れ出ている。そして、次の瞬間、クロノファング・タイガーが現実に現れた。

 

「ピースメイカーの力がなくとも・・・これくらいはできるのだよ」

 

目の前にクロノファングが現れたことにより、クロノは驚愕の表情をしている。

 

「さようなら・・・ライブの息子」

 

クロノファングがクロノに迫ろうとした時、クロノはある言葉が脳裏に浮かぶ。

 

『君が呼べば、僕も、僕の仲間も、時空をかけて駆け付ける。必ず』

 

 

伊吹とカムイがちょうどアンタレスの別荘地についたと同時に、1つの部屋に虹色の光が溢れ出ていた。カムイはGPSを確認する。

 

「ここだ!いくぞ、伊吹!」

 

カムイが伊吹に声をかける。伊吹は骨折している腕に痛みがはしって、抑えている。

 

「!だ、大丈夫か⁉」

 

「くっ・・・問題ない」

 

カムイは1つの部屋に光が放っているのをちょうど目撃する。

 

「あそこか!」

 

カムイと伊吹はすぐに光が放っている部屋に向かおうとしている。

 

 

部屋の中ではクロノファングの攻撃を槍で防いでいるものがいる。それは、クロノの持っているディペンドカードに写っていた犬のようなユニットだ。その後ろには、ネズミと羊のユニットもいる。クロノのディペンドカードには、ユニットたちが白黒ではなく、しっかりと映しだされていた。そして、クロノは山札の下にあるカードを取り出す。

 

「来てくれ!クロノ・ドラン!!」

 

 

世界のどこかにある砂漠、フードを深くかぶったライブとクロノ・ドランがいた。

 

「!」

 

クロノ・ドランは何かに気が付くかのように上を見上げる。ライブが後ろを振り向くと、そこにはクロノ・ドランが被ったフードだけが残っていた。

 

 

クロノ・ドランのカードをクロノはストライドフォースを纏って抱えている。すると、部屋からサークルが現れ、そこからクロノ・ドランが出てきそうになる。クロノがサークルにイメージを捧げていき、そして・・・

 

「クロノ!」

 

サークルからクロノ・ドランが出てきた。クロノとクロノ・ドランかを見合わせ、笑みを浮かべる。そして、クロノとクロノ・ドラン、ユニットたちはリューズが呼んだクロノファングと対峙している。

 

「いくぞ!」

 

 

別荘の中に入ってきたカムイと伊吹はクロノがいる部屋へと向かっている。2階に上がっていると、部屋から音が聞こえてくる。

 

「あそこか!」

 

カムイはその扉の方へ向かっていく。

 

「待て葛城!葛城!」

 

伊吹はカムイを制止させようとしたが、カムイは扉を開ける。そして、カムイが目にしたのは犬のユニットとクロノファングが戦っている姿だった。クロノファングは右パンチをユニットに振るい、ユニットの槍は弾き飛ばされる。槍は宙に舞い、槍の纏っていた雷が扉の先へと放たれていった。伊吹はカムイを伏せさせて、雷の直撃を回避する。これによって扉は壊れ、中に入れなくなる。伊吹は別のルートを使って、中に入ろうと試みる。

 

「葛城!急ぐぞ葛城!」

 

「・・・!おう!」

 

カムイは今の光景に唖然となっていたが、伊吹の言葉で我に返り、シャキッとして伊吹についていく。クロノ・ドランと小さなユニットたちがクロノファングに攻撃している。クロノファングはクロノ・ドランたちを振り払うと、目の前に犬のユニットが目の前に迫る。ユニットが槍でクロノファングを壁に叩きつける。リューズはその際に発する風圧で吹き飛ぶ。そしてその際に、リューズが持っていたディペンドカードを落としてしまう。

 

「!」

 

それを見つけたクロノはすぐにディペンドカードを全て拾う。そして、クロノはそのユニットたちを呼び出そうと試みる。

 

「!クロノ、無茶だ!やめるんだ!」

 

「みんな、来てくれーー!!」

 

クロノ・ドランはクロノを止めようと声をかけるが、クロノはユニットを呼び出そうと試みた。クロノの放たれるストライドフォースによって、ディペンドカードは1枚ずつ、覚醒していく。ディペンドカードを全て覚醒させることに成功したが、クロノは召喚の負担に耐え切れず、倒れてしまう。

 

「クロノ!」

 

クロノ・ドランはクロノに呼びかけようとすると、クロノ・ドランと他のユニットに何やら黒いサークルが現れる。これは若水が作り出した転送の陣だ。

 

「うわあああぁぁぁ・・・」

 

クロノ・ドランとユニットたちはこのサークルに飲み込まれ、どこかへと転送されてしまった。リューズはクロノが落としたディペンドカードを回収し、迎えにやってきたヘリコプターの元に向かう。

 

「・・・抗うのであれば追って来い。最後の審判が開かれるその時、自らの過ちを思い知るがいい」

 

気を失っているクロノにそう告げて、リューズはヘリコプターに乗り込む。リューズが乗り込むのを確認した後、ヘリコプターは別荘から去っていった。

 

 

とても暗いイメージの中にクロノはいた。暗いイメージに光が差し込んできて、クロノは後ろを振り返る。そこに映っていたのは、囚われてしまった十二支刻獣のユニットたちがいた。

 

「みんな!」

 

クロノは十二支刻獣の元に駆け寄ろうとしたが、見えない壁によって遮られてしまう。

 

「なんだよこれ⁉おい、みんな!ドラン!」

 

クロノは何とかしようとするが、壁はビクともしない。クロノ・ドランはクロノに向かって恐らく助けの声を出しているだろうが声が届かない。

 

「くっそ!何で・・・」

 

見えない壁によって先に進めないクロノは十二支刻獣に向かって叫ぶ。

 

「絶対に助ける!助けてやるからな!待ってろ!」

 

壁の先には、十二支刻獣だけでなく、ルーナまでその先にいた。

 

 

「・・・はっ!」

 

クロノが目を覚ました場所は、クロノのマンションの自室だった。

 

「クロノ!」

 

クロノの視線に先に映ったのは、安堵した表情をしているミクルだった。この場にいるのはミクルだけではない。

 

「よかった・・・」

 

「トコハ・・・ユイ・・・シオン・・・」

 

この部屋にはシオン、トコハ、ユイ、さらにカムイと伊吹、シンとゲンゾウがいた。

 

「・・・!リューズは⁉ディペンドカードは⁉」

 

「俺たちが駆け付けた時には、お前しかいなかった。カードは・・・」

 

伊吹の答えにクロノは顔を俯かせ、両こぶしを握り締める。

 

「・・・ごめん。俺のせいで・・・」

 

そんなクロノの手をトコハがそっと触れる。トコハは首を横に振り、クロノに優しく微笑みかける。

 

「無事でよかった」

 

「・・・ごめん」

 

「謝らないでよ、らしくもない。私たちは気にしてないよ」

 

シオンとユイもクロノの手を触れる。クロノは顔を上げ、夢を見たこと、その内容を話す。

 

「俺・・・見たんだ。どこかわからない遠い場所に、ギアクロニクルの、十二支刻獣と一緒に、ルーナもいた」

 

「「「!!」」」

 

「きっと助けられる。みんな俺たちが来るのを待ってる」

 

クロノの言葉を聞いた3人は首を縦に頷く。

 

「・・・このままでは終わらせねぇ!」

 

トライフォーは十二支刻獣とルーナの救出、リューズと戦おうという決意がより一層と固まるのであった。

 

to be continued…




クロノ「すまん・・・。俺・・・勝手なことしちまったな」

トコハ「そうだよ。本当に本当に、心配したんだから」

ユイ「命の危険だってあったんだよ?私たちの気持ちもちょっとは考えてよね」

クロノ「ごめん・・・」

シオン「ただ、有益な情報を得ることができた」

クロノ「ああ。取り戻そう!ルーナと、ユニットたちを!」

TURN96「歌姫の三重奏」

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