設定集にここまで登場したキャラクターを追加しましたので、ご覧になったら読んでみてください。
それでは、本編をどうぞ!
夜の待ち合わせ場所で、クロノはリューズにファイトの申し込みをしているところだった。
「俺と戦え。リューズ。何でドラエン支部を壊した?何でみんなを傷つけた⁉あれがお前の望む未来だっていうのかよ!!?」
リューズはみんなを幸せにしたいと言っていたのにドラエン支部を破壊されたこと、みんなを傷つけたことした。明らかに矛盾している。それについてクロノが声を荒げる。
「言ってたよな⁉ファイトで勝った方が正義だって!」
クロノの言葉にリューズは笑みを浮かべる。
「ふ、いいだろう。私と君、世界がどちらを選ぶか・・・その審判を仰ぐとしよう」
リューズはクロノの怒りに臆することなく、ファイトの申し込みを受ける。
「世界を司る真理そのものがヴァンガードには宿っている。我々の戦いはすなわち、世界の意思だ」
「だったら見せてやるよ!間違ってるのはお前の方だってな!」
リューズとクロノのやり取りをクロノの後をつけていたシオンが見張っている。当然、リューズはそのことに気付いている。
「だが、ここはいささか騒々しいな」
パチンッ!
リューズが指を鳴らすと、近くを飛んでいたヘリコプターがクロノとリューズの前に降り立った。リューズはヘリコプターに乗り込む。
「決着をつけたいならついてこい。今日を逃したら、私が君に会う事は二度とない。・・・怖いか?」
クロノはこの期を逃すまいと思い、ヘリコプターに乗り込む。
「乗るなーー!クロノーーー!」
シオンはクロノを止めようとしたが、一足遅く、ヘリコプターはリューズとクロノを乗せて飛び立っていった。
TURN93「クロノの記憶」
その尾後、シオンはトコハとユイを呼び出して、先ほど起こったことを話す。それを聞いたユイは驚愕の表情で、トコハは信じられないと言った表情をしている。
「・・・今・・・なんて・・・?」
「・・・あいつの方が1枚上手だった。僕が仕込んでいた連中は全員やられて・・・」
「・・・あんた、何ですぐに止めなかったの?」
「・・・・・・」
トコハの問いかけにシオンは何も答えない。
「何で⁉」
何も答えないシオンのジャケットを掴むトコハ。
「ちょ、トコハ落ち着いて!」
「あんたたちは見たことないから!あれを!明神リューズは普通じゃない。今度はクロノが・・・。もしクロノまで何かあったら・・・私・・・」
「・・・トコハ、ごめん・・・軽率すぎた・・・」
今も泣き崩れそうなトコハに、ユイは謝罪の言葉を述べる。そこに伊吹がやってくる。
「責められるべきは俺だ。全ての非難は、新導クロノを取り戻してから受ける。連れ去らわれた時の状況を教えてくれ」
「はい。僕もクロノを、ただ行かせたわけじゃない」
シオンは懐から発信機を取り出す。
☆
クロノが連れてこられた場所はボロボロになっている施設だ。リューズはファイカのファイトテーブルを用意している。
「ここは・・・」
「この辺でいいか?」
リューズの問いにクロノは首を縦に頷く。ファイカをファイトテーブルに変形させて、リューズのファイトテーブルとくっつけさせる。
「俺が勝ったら、二度とユニットをあんなことに使うな!」
「では、君が負ければ私の正しさを認めてくれるのかな?」
「負けねぇよ!俺には、ギアクロニクルの仲間たちがついてる!」
リューズは笑みを浮かべたままだ。そして、ファイトが始まろうとしていた。
「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」
「クロノ・ドラン!」
「ガンナーギア・ドラコキッド」
クロノとリューズはそれぞれのファーストヴァンガードにライドする。
「ライド。メーザーギア・ドラゴン」
まずリューズはメーザーギア・ドラゴンにライドさせる。
「ライド!タイムブレイク・ドラゴン!」
クロノはタイムブレイク・ドラゴンにライドし、クロノ・ドランを移動させてからアタックフェイズに入る。
「お前がクレイのユニットたちを野望の道具にしようとしてるって、最初は正直よくわからなかった」
クロノの脳裏に浮かぶのは破壊されたドラエン支部だ。
「ああ言う事だったんだな⁉俺はこいつらに、絶対にあんなことさせねぇ!」
「ガード」
リューズはクロノの攻撃をマシュダでガードさせる。
「ライド。スモークギア・ドラゴン。コール。スチームナイトムダルでヴァンガードにアタック」
「スチームブレスでガード!」
クロノはムダルの攻撃をスチームブレスで防ぐ。
「私はユニットたちに好きで破壊行為をさせてるわけではない。必要だ。そうするまでのこと」
ガンナーギアの支援を受けてスモークギアでクロックフェンサーに攻撃させる。クロノはノーガードを宣言する。
「てめぇ・・・ふざけんなよ!ライド!ヒストリーメーカー・ドラゴン!コール!」
クロノはグレード1以下のユニットの支援を受けてアップストリームで攻撃する。
「ヴァンガードはな、楽しいもんなんだよ!」
「ガード」
アップストリームの攻撃をカー・ランマで防ぐ。
「ドラエン支部の人たちや、俺が今まで出会ってきたみんな、ヴァンガードが大好きな奴らばかりだった!こいつらだって、イメージを通じて俺たちの気持ちに応えてくれる」
「ノーガード」
クロノ・ドランの支援を受けてヒストリーメーカーはスモークギアに攻撃させる。
「それをお前がめちゃくちゃにした!」
クロノはドライブチェックでクリティカルトリガーを引く。これによってリューズのダメージは2になる。
「それをお前は、踏みにじったんだ・・・っ!」
クロノの頭に頭痛が発生し、そこに何かが脳裏に浮かぶ。
『お父さーん!早く早くー!』
『待て、クロノ。そんなに慌てなくても・・・』
『ユニット!ユニット、今日来る?来るんだよね?』
「・・・ターンエンドで、いいのか?」
「!あ、ああ・・・」
クロノはドライブチェックで出たカードを手札に加える。
「ライド。クロノファング・タイガー。コール」
リューズはクロノファング・タイガーにライドし、スチームファイターナンネアをコールさせる。
「君の怒りも理解できる。だが、ここで退いたらどうなる?」
「ガード!」
ナンネアのブーストをつけてムダルでヒストリーメーカーにアタックし、クロノは先ほど出たトリガーユニットでガードする。
「世界は何も変わらない。行動しない限り、全ては夢想にすぎない。何かを変えたいならば、進むしかない」
リューズはドライブチェックでスタンドトリガーを引き当てる。
「ムダルをスタンド。誰になんとそしられようとも、私は・・・この道を進む」
クロノファングはヒストリーメーカーを殴り飛ばし、その衝撃でヒストリーメーカーは倒れる。
「ダメージチェッ・・・ク⁉」
またクロノに頭痛が発生し、別の何かが脳裏に浮かぶ。
『それじゃまるで、俺たちの世界のために、クレイを犠牲にするようなものじゃないか!!』
『完全なる未来のためだ』
『てめぇ、ふざけんなよ!』
「・・・・・・」
クロノはさっきから流れ出ている忘れている記憶が呼び起こされようとしている。
「どうした?」
「!何でもねぇ」
クロノは思い出しそうな記憶に疑念を抱く。
(なんなんだ、さっきから?今のは・・・親父と・・・)
「ムダルでアタック」
「!ガード!」
ムダルの攻撃をクロノはガードをする。
「ターンエンド」
「す、スタンド&ドロー!ライド!クロノジェット・ドラゴ、ぐぅ!」
クロノがカードを操作していくたびに、記憶がよみがえってくる。
『今日は歴史に残る日になるな。惑星クレイと我々の世界が初めて物理的に繋がるんだ』
『気が早いぜリューズ。まだ予備実験なんだしさ』
『それだけ期待されてんだよ。おめぇはよ。頑張んな、ライブ』
「・・・。くっ、ジェネレーションゾーン解放!ストライドジェネレーション!ワープドライブドラゴン!」
クロノはコストを支払ってワープドライブ・ドラゴンにストライドさせる。そしてリアガードをコールさせてからアタックフェイズに入る。
「ヴァンガードにアタック・・・っつ!」
『よく見ておけクロノ。ここから新たな未来が始まるんだ』
少しずつ蘇っていく記憶にクロノは冷や汗をかいている。
「ノーガード」
「っ!トリプルドライブ・・・。2枚目・・・クリティカルトリガー。パワーはバリフに・・・クリティカルは・・・ワープドライブに・・・」
『でかしたぞライブ!我らのピースメイカー!』
「くぅ・・・」
クロノは記憶がよみがえって来るのと同時に、激しい頭痛に襲われ、頭を抑える。
「・・・大丈夫か?」
「バリフで・・・ヴァンガードに・・・アタック。・・・っ!」
『・・・クロノ・・・お前が・・・?』
クロノは、全ての記憶がよみがえり、自分の手札を落としてしまう。
「・・・そうだ・・・。知ってる・・・ここは・・・俺があの日・・・」
☆
クロノが4歳の頃の記憶、とある研究施設にクロノとライブが向かっている。
『お父さーん!早く早くー!』
『待て、クロノ。そんなに慌てなくても・・・』
『ユニット!ユニット、今日来る?来るんだよね?ね?』
『んー、今日はまだ予備実験だからなぁ・・・あ、おいおい』
クロノはライブの手を引き、研究施設の中へと入っていく。そして、研究施設の1室にクロノとライブが入室する。
『こんにちわー』
そんなクロノとライブを出迎えたのは、パンクファッションを着こんでいるゲンゾウと、普及協会の名誉会長であるリューズだった。
『お、きたきた!おいリューズ、ピースメイカーがやってきたぜ!』
『おお、来たな、ピースメイカー』
『ゲン!リューズ!その呼び方やめろよ、恥ずかしい』
『世界に真の平穏を導くんだ。実に正しい名前だと思うがな』
『そうだぜ?むしろおめぇ以外にこの名に相応しい奴はいねぇだろ?』
3人は口元に笑みを浮かべる。
『ゲンゾウさん、リューズさん、こんにちわ』
クロノはゲンゾウとリューズに深々とお辞儀をする。
『おお、クロノ!元気だったか?おっちゃんは元気だぜ!がはははは!!』
ゲンゾウは楽しそうに豪快に笑う。
『よく来てくれたな、クロノ。今日はしっかり見ていってくれ。俺たちが開く、新たな未来を』
リューズはクロノの頭をなで、クロノは満面の笑みを浮かべる。
☆
研究員たちが予備実験の準備をしている最中、ゲンゾウは1人の研究員と話をしている。
『えっと、それじゃあ獄平さんはその娘さんのためにこの研究に協力してくれてるん・・・ですよね?』
『その獄平ってのはよせよ。俺様は結婚して、今は佐倉が名字なんだからよ』
『し、失礼しました!』
ゲンゾウは少し照れくさそうに笑みを浮かべ、研究員は慌てる。
『水城・・・でいいのか?おめえは何でこの研究に協力しようと思ったんだ?』
『僕ですか?あなたと同じですよ、ご・・・佐倉さん。私の2人の娘たちのために世界をよりよくしたいんですよ』
『へぇ、そうなのかよ。てことは奥さんがいたのかよ』
ゲンゾウは以外そうな表情をしていると、研究員は少し寂しそうな表情をしている。
『・・・僕の妻もこの実験に関わっていましたが、ユキノが生まれて数日後に事故で亡くなってしまいました』
『あー、悪い。なんか嫌なこと聞いちまったな』
ゲンゾウは少しバツが悪そうな表情をする。
『姉の方が難病にかかってから、僕も研究で忙しくて、子供の子育てが出来ずにいました。だから僕は最も信頼できる友人にユキノを預けました』
研究員は拳を強く握りしめる。
『僕はただ、娘たちが笑顔でいてほしいだけなんです。この世界では娘たちは笑顔になれません。だから僕はこの研究に全てを捧げてきました』
『・・・俺様の娘と妻は今も元気な方だ。過酷な思いをしてるおめぇに比べれば安いもんだ。おめぇは立派だよ』
研究員とゲンゾウは少し離れた場所で話をしているクロノとライブを見る。
『・・・新しい世界が訪れたら、娘たちと佐倉さんの娘さん、あそこにいるクロノ君と仲良くしてほしいものです』
『同感だぜ』
☆
少し時間が経ち、リューズはクロノに今日行う実験の説明をしていた。
『今日俺たちは、この世界を惑星クレイと繋げる実験をする。君のお父さんは強いイメージ力を持っている。その力を借りて、時空を超越するんだ』
クロノは実験装置を見て、ユニットが来るのを今か今かと待っている。
『ユニットいつ来るの?飛んでくるの?』
クロノはライブにそう聞いてきた。
『んー・・・イメージしてみろ』
『イメージ・・・?』
『心に思い描くんだ。2つの世界に通じるトンネルができて、そこにユニットが通ってくる』
ライブにそう言われて、クロノはイメージしてみる。
『長い長いトンネルだ。明かりが消えてるところもある。どっちだ~?おーい、こっちだぁ。ほーら、来たぁ!』
イメージができたのかクロノは純粋な笑みを浮かべている。
『すごい!来るね、ユニット!』
『おう、来るさ。でも、今度な』
ライブはクロノの頭をなでてあげる。
『おいライブ。そろそろ時間だぜ』
『おう。じゃ、お父さん、一仕事してくるな』
ライブは真ん中にある装置に向かい、装置の椅子に座り込む。そしてこの世界と惑星クレイと繋げる実験が始まった。
『ストライドフォース、増幅中!』
『レベル上昇中。カウントダウン開始』
『ストライドマター、発生確認』
『シグナル続行。数値安定しています』
『領域拡大、仮想ゲート展開』
研究員がレバーを引くと、ゲートの空間に歪みが生じ、そこから大きな光が発生する。研究員たちとクロノもこの光景には驚いていた。そして、光が晴れると、ゲートの先には、惑星クレイが映し出されていた。
『こ・・・コンタクト!』
惑星クレイとつながったことにより、研究員たちは喜びに満ち溢れていた。
『やった!やったぞ!』
『ライブの奴、本当にやりやがったぜ!』
リューズとゲンゾウもこれには喜びは隠せないでいた。
☆
ライブ、ゲンゾウ、リューズはゲートに映し出されていた惑星クレイを見ていた。
『これが・・・惑星クレイ・・・』
『すげぇ・・・初めて見たぜ・・・』
『ついに繋がった。後はあの星の運命力を俺たちの世界に注ぎ込めば、完全な未来に導ける!』
リューズの言葉にライブとゲンゾウは怪訝な顔になる。
『おいリューズ、そいつはどういう意味だ?俺様たちはそんな話、聞いてねぇぞ!!』
『それじゃまるで、俺たちの世界のために、クレイを犠牲にするようなものじゃないか!!』
『完全なる未来のためだ。犠牲が必要なことは、お前たちも承知してたんじゃないのか?』
『規模が違いすぎる!俺たちが掴みたい未来は、そんなもんじゃない!!』
『落ち着け!話を聞いてくれ!惑星クレイ数億の生命に永遠に呪われようと、俺はこの道を選ぶと決めたんだ!』
『てめぇ、ふざけんなよ!そんな勝手なことを!』
クレイを犠牲にするという事によって、3人は口論を始まった。
〖どこ・・・?〗
『!』
3人が口論している間に、クロノは何か別の声が聞こえてきた。研究員たちには聞こえていないらしい。
〖どこなの・・・?〗
どうやらあのゲートの中から聞こえてくるらしい。
〖助けて。ここ、どこなの?出られないよ。誰か!〗
クロノは声が聞こえてくるゲートに向かう。
〖イメージしてみろ〗
クロノはライブに言われたことを思い出し、イメージしてみる。
〖誰か、いるの?〗
〖ここだよ!〗
イメージのトンネルの中で、1匹の小さな生物が歪みにしがみついている。
〖何してるの?〗
〖歪みに捕まちゃった!助けて!どっちに行けばいいの?〗
〖こっちにきなよ。僕、ここにいるよ〗
クロノはゲートの前までくる。小さな生物はクロノの姿を確認する。
〖君は・・・?〗
〖クロノ。新導クロノ〗
〖そっか、君もクロノっていうんだね。僕は・・・〗
クロノは小さな生き物に手を伸ばし、小さな生き物もクロノに手を伸ばし、触れ合った。
ピーッ!ピーッ!ピーッ!
現実では装置の発生音が鳴り響き、3人はゲートの方に視線を向ける。
『ストライドマター、急速に増大!』
『仮想ゲート内に、出量発生!』
『転送されます!』
ゲートに大きな光が生じる。そして、その光が消えると、研究員も、3人も唖然となっていた。なぜならそこには・・・クロノがイメージで出会った小さな生物がそこにいるからだ。
『・・・奇跡だ・・・』
リューズは小さな生き物を見て、笑みを浮かべる。
『でかしたぞライブ!我らのピースメイカー!クレイと地球を繋げたばかりか、ユニットまで!お前は救世主になるぞ!』
ライブとゲンゾウはこの光景に驚愕していると、クロノが話しかけてくる。
『クロノ・ドランっていうんだよ。僕と同じ名前なんだって』
『なん・・・だと・・・?』
『・・・クロノ・・・お前が・・・?』
ライブとゲンゾウはクロノがユニットを召喚させたことに大きく目を見開いていた。そうとも知らずにクロノは無邪気な笑みを浮かべる。
『何をしている?ディペンドカードを用意しろ!あいつを拘束して、徹底的に調査する!』
リューズは研究員たちに指示を与える。
『他の十二支刻獣も捕獲せねばならんからな。ライブ!ゲン!そのユニットを捕まえろ!どうやってそいつを呼び出せたのか、メカニズムを解明せねばならん』
リューズはライブとゲンゾウにユニットを捕まえるように指示を出す。
『・・・いけ、ライブ。おめぇはおめぇの信じることを貫き通せ』
『ゲン、だがそうすればこの施設は・・・』
『なぁに、俺様にはかわいい娘はいるんだ。死ぬつもりはねぇ。それにユニットを悪用してやがるあいつに鼻っ柱をへし折ってやれるなら本望だぜ!』
『・・・すまない!』
ライブはゲンゾウに説得され、装置を止めるレバーの元に向かう。
『何をするんですか、新導さん⁉』
『ライブ!何をする⁉』
ライブが装置のレバーを上げると、ゲートの空間がねじ曲がり、風がゲートの周りを包み込む。
『す、ストライドフォース、急速増幅!反応、止まりません!』
『仮想ゲートにノイズ発生!』
『ダメだ!制御できない!』
制御が利かなくなった装置は壊れて研究員に向けて倒れていく。
『うわあああああああ!!』
『ライブ!お前!』
こんな状況なのにクロノとクロノ・ドランは手を取りあおうとしている。
『クロノ!危ねぇ!!』
ゲンゾウはクロノとクロノ・ドランをかばいながら倒れる。そして、ゲートのストライドフォースがとどめられなくなり、爆発を引き起こし、研究室は爆発に巻き込まれていった。
☆
ストライドフォースの暴発による爆発によって、施設内部はめちゃくちゃになっていた。ゲンゾウは瓦礫に体を埋もらせて、気を失っている。ライブはガラスを小石でたたき割り、中に入っていた3枚のディペンドカードを自分の懐に入れる。
『ぐ、うぅ・・・』
リューズは片目を抑えて、クロノを抱えたライブがクロノ・ドランを抱えようとするのを目撃する。
『やめろ!そのユニットをどうするつもりだ⁉やめろ!ライブ!』
リューズはライブを止めようと声をかけるが、ライブは顔を向けただけで、施設から出ようとする。
『何故だ⁉どうして俺を裏切る⁉待て、ライブ!ライブ!』
クロノはクロノ・ドランを見つめてる。
『僕の・・・せい・・・?』
『忘れろ、クロノ。ここでは何も起きなかった』
『僕が・・・あの子・・・を呼んだから・・・』
『お前は何もしていない。忘れろ。ユニットのことも、ヴァンガードのことも全部』
☆
クロノの記憶の後、クロノはイメージの中にいた。そこには、クロノ・ドランもいた。
『ライブは僕だけを連れて逃げた。君が僕を呼んだと知られないよう。でも、突然この世界に来てしまった僕は、とても不安定で、ライブは命を削って僕を支え続けていた。そのせいでライブはもう動くことができない』
クロノ・ドランは悲しそうな顔をしている。
『ライブは本当に1人で戦うつもりだったんだ。でも・・・僕たちが呼び合って生まれた通路は、君にしか開けない』
クロノはクロノ・ドランに顔を向ける。
『クロノ・・・君は少しだけイメージ力が強いだけのどこにでもいる、ただの人間の子供だ。僕たちの出会いが、君を特別にしたんだ。あの日できた架け橋は今も2つの世界を繋いでいる。リューズは集めたストライドフォースで無理やりこじ開け、ユニットを召喚した』
クロノは自分の持つクロノ・ドランのカードを見つめる。
『お前のディペンドカードだけちゃんとできたのは、俺たちがもう出会っていたからなんだな』
『君がそれを覚醒させたから、僕は今もここにいられる』
『俺はずっと、これをどう使えばいいのかわからなかった』
『ライブがかけた暗示が君を守ってきた。でも・・・前に進もうとする君自身の意思がその枷を破った。君が呼べば、僕も、僕の仲間も、時空をかけて駆け付ける。必ず』
『・・・俺たちの世界のために、惑星クレイの全てを犠牲にするって・・・どういうことだ?』
クロノの質問に、クロノ・ドランは表情を曇らせて答える。
『・・・2つの世界を繋ぐ運命の力・・・リューズはそのバランスを傾けようとしている』
『!』
『全ての幸いを、この世界に・・・そして・・・全ての災いを・・・』
☆
「!!」
クロノはイメージの中から現実に戻ってきた。全てのことを知ったクロノは、リューズを睨み付ける。
「・・・お前・・・お前は・・・犠牲に・・・この世界のために・・・ユニットだけじゃなくて・・・惑星クレイそのものを・・・!」
クロノはリューズに怒りを向ける。そして、ファイトテーブルを崩し、リューズの胸倉を掴む。
「ふざけんな!!そんなマネ、許すわけね・・・」
ビリリリッ!
クロノはリューズにスタンガンをあてられ、その場で気絶する。そして、施設の上空には迎えのヘリが来られていたのであった。
to be continued…
クロノ「リューズお前!ぜってぇ許さねぇ!!自分の野望のために、クレイの全てを犠牲にするつもりか!!?」
リューズ「仕方ないのだ。崇高なる目的のために。何度も言わせるな」
クロノ「うるせぇ!何度だって言ってやる!!」
リューズ「・・・仕方ない。1度私の元に来てもらう。君も考え方が変わるはずだ」
TURN95「ディペンドカード覚醒」