ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
☆波羅蜜 蓮華のスタンド『ピンク・アクアリウム』について分かっていること★
・長い6本の脚でコップなどの容器に取り付いた、手のひら大の虫のような形状のスタンド。
・胴体の形状はタマムシに似ているが色は光沢のある青紫色に赤と緑の不気味な渦巻き模様が背中に描かれ、頭部はどこかトカゲのようにも見える。
・取り付いた容器内の液体をかけると、その対象を『人間以外の動物』に変えてしまう。どの動物になるかは、本体である蓮華にもわからない様子。
「―――きゅー(おそらくはあの女を再起不能にすれば能力が解除されるであろうが……)」
「にゃー………(今のままでは難しいでしょうね……)」
草むらに隠れながらチンクの予測にティアナが顔を曇らせる。今現在、こちらの攻撃手段はチンクの『ランブル・デトネイター』しかなく、しかも今の姿ではいつものようにナイフなどを投擲する事も出来るわけがなく、直接接近するしかない。
それに加え、蓮華がヴィオレッタの手下に違いないだろうが、千雨ではなく何故ティアナ達を襲ったのかもわからない。
「にゃー(とにかく今は助けを、言葉が通じそうなアルフかカモがいいかしらね…)」
ティアナが提案をしたその時、
「見ぃ~~~つけ~~~た~~~………」
「「「!?」」」
背後から声がした。振り返った先には、エアガンを持って不気味な笑みを浮かべた蓮華の姿があった………
「逃がしませんよぉ………今度は絶対にぃ………」
蓮華は静かにそう言うと、銃口をティアナ達に向けた。
「きゅっ!(くっ!)」
しかしその時、チンクが飛び出したかと思うと蓮華に体当たりをした!蓮花は「きゃっ」と悲鳴を上げて尻もちをついた。
「きゅう!(今のうちに行け!)」
「にゃ!?(チンク!?)」
「きゅッ(早く!!)」
「っ………にゃ!(ごめん………!)」
ティアナが短く謝ると、ルーテシアを連れてその場を去っていった。ティアナ達が去っていったその時、立ちあがった蓮華がチンクを睨みつけた。
「こ、このぉおッ!!」
パンッパンッ
「ッ?!」
蓮華がガムシャラにエアガンを撃つと、チンクは右わき腹に2発ほどBB弾を受けて血を流す。相当威力が強化されているらしくチンクが顔を歪めていると、今度は蓮華が左手に持ったボウガンを放ち、背中に矢が突き刺さった!
「きゅ………」
チンクがその場に倒れこむと、蓮華はテチンクに目もくれず、ティアナ達の逃げた先に走っていった。
☆★☆★☆★
帰宅途中、マンションの近くまで来た仗助は、職員室に携帯電話を忘れてきた事に気づいた。
「今から戻るのもメンドーだなぁ~………けど、承太郎さんとかから緊急の連絡とかあったら大変だし………」
どうしようかと思っていたその時、歩道脇の草むらから傷だらけで背中に矢が刺さったアンゴラウサギが1羽出てきたが、倒れてしまった。
「!」
仗助はそれを見ると駆け寄った。ウサギは白い毛並みから血を流しており、傷が深いことが伺えた。仗助は『クレイジー・ダイヤモンド』でウサギを治療すると矢が抜けて血は止まったが、傷ついて消耗していたのかウサギは気を失っていた。
「血は止まったが………血や土で汚れちまってるな………」
仗助はウサギを抱きかかえると、自宅へ向かって歩き始めた。
♯82/ディアボリック・シークエンスとパワー・ゲート ③
「ええい!いい加減に退きやがれ!!」
ヴァナゴンが自身に掴みかかる『グロウン・キッド』を振り解こうとするが、『G・キッド』はボロボロになりながらも離さない。ミスタたちは2mほど離れて牽制しているが、ヴァナゴンの能力を警戒して攻撃ができない。
「スタンドで直接攻撃はしてこないのが救い………つーか
「自分が傷つかないとスタンドを出せないんスか………」
「ある意味『自動操縦タイプのスタンド』なんだね………」
『ディアボリック・シークエンス』の特性に気づいたミスタたち3人がつぶやく。強力なスタンド能力に制限があるのはよくある事だが、今はそれが有難かった。
その時、ヴァナゴンが力任せに腕を左右に開き、グロウン・キッドの両腕を引きちぎってしまった!
『フ………ムゥウ………!コレハ………!』
「どいてろッ!!」
ヴァナゴンは『G・キッド』を突き飛ばすと、千雨たちと戦うジェイドの元へ向かおうとする。
ドガッ
「ぐぉっ!?」
「傷つけることは出来なくても、『押しとどめる』ことくらいは出来るッスよ!!」
「コイツ………!!」
しかし、その行く手をウェンディが立ち塞がり、ライディングボードで押しとどめた!ヴァナゴンは苦虫を噛みつぶしたような顔でウェンディを睨んだ。
『みなさん!』
「あ、さよちゃん!」
ちょうどその時、『古いライフル銃』を抱えたさよが、ミスタたちの元にやってくる。ミスタがさよの抱えてきたものを見て驚きの表情となるが、さよはヴァナゴンに銃口を向けた。
『ミスタさん、わたし、銃撃つの初めてで………ピストルズちゃんたちで弾丸の操作をしてください!』
「ま、待て!奴に傷を付けたら………」
『大丈夫です!この『ライフルの
「『ゆ、幽霊』ィ?」
ミスタもまき絵もさよの言うことに首を傾げるが、さよはミスタに「早く!」と急かし、ピストルズ№5,6,7がライフル弾にとりついた。
『すみません……行きますよ、ピストルズちゃん!』
『ツーカ、「ちゃん」ハヤメロヨナ!!』
ドンッ
さよが引き金を引くと『セックス・ピストルズ』を乗せたライフル弾がヴァナゴンに向かっていく!ピストルズが軌道を修正しながら飛んで行く弾丸は、ヴァナゴンの右肩に命中した!
「ぎッ!?うぎゃぁああああああああ!!」
「おお?!」
銃弾を受けたダメージでヴァナゴンは倒れ、ジタバタともがき始める。一通り暴れたヴァナゴンは起き上がると、自分を撃ってきたさよを睨みつけた。
「やっ………やってくれたなオメェーーー!この痛み、そのままオメーに返してやる………?」
言った後で、しかし、そこでヴァナゴンは気づいた。
いつもならばそろそろ『ディアボリック・シークエンス』が出現しても可笑しくない頃合いだ。しかし肩の痛みは消えず、スタンドが発動しない。
どういう事かと思い痛み続ける右肩を見ると、
「……!?な、なに………!?」
そこに「傷」はなかった。傷がないにも関わらず、『痛み』はずっと続いているのだ。
「き、傷がねぇ!傷がないのに、か、肩が痛てぇ!?」
『『幽霊の銃弾や剣』で、人体を傷つけることはできません………「おかき」や「お茶」を食べても食べられず、『味』だけはするように………『
「い、痛み、だけだと………!?」
ヴァナゴンが痛みと焦りで汗だくになる。いくらダメージを受けても、『痛み』のみで『傷』がつかないのでは、『ディアボリック・シークエンス』の能力は発動しない!
恐れおののくヴァナゴンと感心するミスタたちに対し、さよはライフルを上に向け両足を広げ、宣言した。
『『痛み』です!あなたに
「ま、待って………!!」
ヴァナゴンの懇願むなしく、さよはヴァナゴンに向けて何発もライフルの弾を放った!
ガンッガンッガンガンッ
『おおおおおおおおおおあああああああああああああ!!』
「ぎぃいいいいいいいいやああああああああああああ!!」
身体中に「弾丸の幽霊」を喰らい、痛みに悲鳴を上げるヴァナゴン!涙と涎を垂れ流しながら撃たれるがままの状態で、避ける事もままならない!
「ちょ、さよちゃん………流石にそれくらいにした方が………」
まき絵は流石にやりすぎだと思い、(貴重な情報源を失うことも危惧してでもあるが)さよを止めようとするが、
『いいいいいいいいいいいいっやっほおおおおおおおッ!!』
「さよちゃーーーーーーーん!?」
「楽しんでる!なんか目覚めてはいけないものに目覚めてるッス!?」
当のさよは銃を撃つことが楽しくなってきたのか、それはそれはいい笑顔で引き金を引き続けた……
「がっ…………ごあッ―――」ドサッ
ヴァナゴンは銃弾の雨霰に耐え切れず、ついに白目を剥いて仰向けに倒れてしまった。泡を吐き、ビクビクと痙攣するヴァナゴンを余所に、さよは紫煙の燻る銃口を上に向け、恍惚とした表情で一言。
『………快っ………感………♡』
(作者より:可能な方は「セーラー服と機関銃」のサビ部分を再生してください。)
「おい、アイツにもう銃は持たせるな?いいな?」
「「イエッサー………」」
ヴァナゴン―――気絶、
☆★☆★☆★
「!ヴァナゴン、やられたのか………!?」
ジョルノらと相手していたジェイドは、ヴァナゴンの敗北に驚いた。
アイツと出会ったのは数日前であったが、『ディアボリック・シークエンス』は「無敵」を誇ると言える能力であったため、その敗北は信じられないものであった。
ジェイドはヴァナゴンの敗北に驚いていると、背後から明日菜が『ハマノツルギ』を振り下ろした!
ガッ
「んなッ………」
「バレバレなんだよ、お嬢さんよォオッ!!」
しかし、ジェイドは振り返らないまま刀身で『ハマノツルギ』を防ぎ、鎖を振るって明日菜を弾いてしまった!明日菜は短く悲鳴を上げて後方に吹き飛ぶが、咄嗟にスバルが受け止めた。
「アスナ!」
「くっ………(やっぱ戦闘に関して『素人』のアスナじゃあ、あのジェイドに対抗はできないか………)」
悔しそうにする明日菜を横目に、徐倫は考える。『ハマノツルギ』は強力なアーティファクトであるが、使い手の明日菜自身は今まで剣を振るったこともない、『一般人』である。仙道剣術の使い手であるジェイドとでは、『素人と達人』の差がクッキリと現れてしまっていた。
「うおおおおおおおおおおお!戦嵐月華!!」
シュババババババババババババババ
「おっとっと!」
千雨もまた、焦っているのか技に『キレ』がない。本来であれば防戦一方の戦嵐月華だというのに、あっさりとジェイドに軌道を読まれて避けられてしまっている。
(アスナは
現状でこちらが不利であると考える徐倫。徐倫とジョルノだけで、達人クラスのジェイドと対等に戦えるかと不安になっているその時、
「あれ?アスナー、何やってるのー?」
「え?!」
「んー?」
不意に声をかけられたかと思ってみてみれば、クラスメイトの明石 裕奈の姿があった。
千雨が、なぜそこにいるのかと思うと同時に、危ないから逃げるように言おうとしたその時、
「よそ見は禁物だぞ!!」
ドッ
「ッ!?がッ………」
「千雨!!」
ジェイドの振るった鎖分銅が千雨の脇腹に直撃し、派手に横に吹き飛ぶ千雨!徐倫が悲痛な叫びを上げるが、ジェイドは次に徐倫に狙いを定めたのか、鎖を波紋で垂直にする反動で飛びかかる!
「ジョリーン!!」
「くっ………」
ジョルノとスバルが駆け付けようとするが、ジェイドの方が圧倒的に早い!そして、ジェイドの兇刃が振り下ろされ………
ドォンッ
「ん!?」
………るよりも先に銃声が響く。ジェイドは自分に弾丸が迫ってきている事に気づき、刀で弾丸を防ぐと、徐倫を飛び越して着地をした。
「い、今のは………」
「『よそ見は禁物』………うん、それは私も同感だね。」
「え………?」
声のした方を見ると、そこには背後に『
『マア、ソレハ「オタクサン」ニモ言える事ナンスケドネェー………』
「あ、あれは………まさか………」
鍔の広い黒いテンガロンハット、
ボロボロの迷彩柄のマント、
機械仕掛けのがいこつのようで顔の左側の割れたヴェネツィアンマスク、
右腕の黒光りするライフル、
「行くよ、『
『ヘイ、了解ス。』
側にスタンドを立たせた裕奈が、ジェイドにビシッ!と指を指すと、『スーパー・スナイプ』はライフルを構えた。
「ゆ、ゆーなが………」
「『スーパー・スナイプ』の本体………?!」
明日菜たちが、ルル・ベルの生み出した最後のスタンド使いの正体に驚く中、ジェイドはほう、と感心した声を出した。
「『ガディ・Ru』から正体不明のスタンド使いの事は聞いていたが………おまえさんがそうだったとはな………だが、見たところ攻撃方法は銃撃のみ……接近戦には不向きと見える!!」
言うや否や、ジェイドは『パワー・ゲート』の亜空間に飛び込み、姿を消してしまう。徐倫たちは警戒をしていると、裕奈の頭上からジェイドの蛇蝎刀の切っ先が現れ、裕奈に斬りかかってくる!
『オット!!』
バンッ
「ちぃっ…!」
咄嗟に『スーパー・スナイプ』が弾丸を放つ。ジェイドは難なくそれを避けるが、『スーパー・スナイプ』はライフルに弾丸を込めた。
『モウ一丁!』
「甘い!!」
ガギンッ
しかし引き金を引くより先に『パワー・ゲート』のカギ爪で銃身を弾かれてしまう!
「(やはり、弾は実弾だが銃はスタンドか………)『銃を撃つスタンド』か……移動砲台かつ精密射撃にゃ持ってこいだが、正面切っての戦闘じゃあ実力を発揮できないだろッ!!」
「裕奈!!」
(てか滞空時間長!?この数行のやり取り何秒だよ!?)
徐倫が叫び千雨が
シャキィイィン
「!?」
ドバッ
しかし、振り下ろされた刀が迫ろうとしていた次の瞬間、『スーパー・スナイプ』の左手の甲が左右にスライドして、中から『銃口』が出現したかと思うと、ジェイドに向けて緑色の弾丸が発射された!
「しまっ………
ジェイドは攻撃から防御に行動を変更し、鎖をヘビのとぐろのように巻いて『盾』にして弾丸を防御した。ジェイドは弾丸を防ぐと、バックステップで裕奈と距離を取った。
『コノ通リ、
「微妙に面白くないよ、それ……」
『ア、ヤッパシ?』
「くっ……俺としたことが………隠し武器とは恐れ入ったぜ………」
裕奈と『スーパー・スナイプ』が漫才めいたやり取りをする中、ジェイドは自分の油断を恥じた。
「さあて、こっからが『スーパー・スナイプ』の本領発揮だよ!」
『ホイッス。』
裕奈の指示が飛ぶと、『スーパー・スナイプ』は銃口をジェイドに向けた。
☆★☆★☆★
蓮華から逃げたティアナとルーテシアは、植木の陰に隠れていた。しかし、
「さ~て子猫ちゃんたちぃ~………ど~こかしら~?」
狂気の笑みを浮かべた蓮華はすぐそこにまで迫っていた。息を殺して耐える2人であったが、見つかるのも時間の問題であった。
しかしその時、ルーテシアの頭上に小さなクモが落ちてきて、ルーテシアは急だったために驚いて声を出してしまった。
「………!」
(しまっ………!)
その声に気づいてしまったのか、蓮華はにやけた顔を更にゆがめ、ティアナ達の元へ迫ってくる………!
(さ、流石にこれは………)
(ヤバいかも………)
2人はもうおしまいだと、絶望が頭をよぎった………
『―――アー、助カリタケレバ、「息ヲ止メル」トイイ。』
『―――ウン、ソウスルトイイ。「助カリタイ」ノナラ。』
(え………?)
声のした植木の根元を覗き込んだ蓮華であったが、そこには猫もひよこの姿かたちはない。それ以前に生き物の気配もなく、蓮花はにやけていた顔をきょとんとした表情に変え、首を傾げた。
「―――あれ?こっちから声がしたと思ったんだけど………?」
(えっ………?)
蓮華が立ち去って数秒後、ルーテシアは何が起こったのかティアナに聞こうとして振り向き、そして、
「ピヨ……!?(ティアナさん、それって………!?)」
「……にゃー(我ながら、こんなタイミングで出せるとはね………)」
『アー、我々ハズット、近クニイタゾ?』
『ウン、キミガ気ヅイテイナカッタダケダ。』
ティアナの背後にいる、
姿はカメレオンのようで口が長く先が反り返り、放射線状に溝の走った大きな黄色い目をキョロキョロと動かしている。額には短い角が片方は1本、もう片方は2本生やし、脚はジャッキや細いコードが付いたややメカニカルで先端がボール型になり、尻尾は筋の多いパイプ型になっていた。
「にゃあ?(とりあえず、あなた達は何て呼べばいいかしら?)」
『アー、『ミュステリオン』。』
『ウン、呼ブ時ハ、ソウ呼ンデクレ。』
2匹のカメレオンこと『ミュステリオン』は、そう名乗った。
←to be continued…
82話です。
・ヴァナゴン決着。さよちゃんは原作でもトリガーハッピーな一面を見せていたので、今回軽く暴走させてみましたw
・『スーパー・スナイプ』の本体は裕奈でした。ちなみに『スーパー・スナイプ』は『バオー来訪者』のドルド中佐がモデルなんですが、隠し武器のギミックは『SBR』のF・V・シュトロハイムが元ネタです。
・ティアナ覚醒。能力は次回判明します。
では、また次回!