ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#80/ディアボリック・シークエンスとパワー・ゲート ①

スバルが電話をかけた時、ティアナはチンクと一緒にトイレでルーテシアを待っているところであった。

 

「ん、スバル?」

 

携帯に表示された名前を見たティアナは、トイレに入って来た女性が通るので避けると、電話に出た。

 

「もしもし?」

[ティア!今どこ!?ルーテシアは!?]

「え?今、近くのボーリング場だけど………」

 

チラリと横目で見ると、トイレから出てきたルーテシアが、チンクと合流をしたところであった。

 

「ルーテシアなら、今トイレから出てきたけど………どうしたの?」

[よ、よかった………実は………]

 

スバルが説明をしようとしたその時、洗面台に立っていた女性がこちらに向き直ったかと思うと、

 

バシャッ

 

「ひゃっ!?」

「キャッ!?」

「なっ…!?」

 

ティアナたちに向けて、手にしたコップの水を浴びせてきた!

 

「ちょ、ちょっと!何するのよ………!?」

 

驚いて携帯を落としてしまったティアナが文句を言おうとしたが、不意に体の力が抜けて、3人とも床に倒れてしまった。

 

「………!?(な、なに………ち、力が………)」

「すみませんね~………最初は『監視』のみだったんですけれどぉ、その()を『()る』よう言われましたので………」

 

女性はか細い声で、しかし小馬鹿にしたように言う。ティアナは意識が朦朧とする中その顔を見上げるが、女性は三日月のような笑みを浮かべて、こちらを見下ろしていた。

 

「ああ、安心してください。私の『ピンク・アクアリウム』の水を受けて、『即死』するようなことはありませんので………」

[ティア!?ティア!?]

(何………もの―――?)

 

女性はティアナの携帯を拾うと電話を切る。ティアナは意識が遠のく中、女性の手にしたコップにしがみ付くように、脚の長い虫のようなスタンドが取り付いているのを見た………

 

 

 

 

 

#80/ディアボリック・シークエンスとパワー・ゲート ①

 

 

 

 

 

「高畑先生!!」

「あ、アスナ!」

 

明日菜がタカミチに駆け寄ると、それに徐倫たちも続く。すると、明日菜たちに気づいた大男が、先ほどの写真を出して、徐倫たちと見比べた。

 

「大丈夫ですか!?一体何が………!?」

「あ、アスナくん………いやね、彼が勝手に入って来たから帰ってもらおうと思ったんだけど………どうやらスタンド使いだったらしくてね………」

「何!?」

 

タカミチから状況を聞いた千雨が大男を睨む。時間的に見て、おそらくはルーテシアの事を知られる前に差し向けられた刺客であろう。何というタイミングであろうか。

 

「おお!間違いねえ、アイツが『長谷川 千雨』か!」

「ボクも何発か入れたんだけど、いつの間にか回復していて、情けないことに、ボクの方がボコボコにされてしまったよ………」

「マジか………」

(高畑先生は非スタンド使いとはいえ、かなりの実力者のはず………それを逆にボコボコって事は、能力が厄介なタイプか………?)

 

徐倫が大男に警戒をしていると、焦っているらしい千雨はイライラしたように「こんな時に………」とつぶやいていた。

 

「よーやく見つけたぜぇ~~~手間取らせんなよなぁ~~~!」

「やっぱ私狙いかよ!ぶっ飛ばしてやるから、名を名乗りな!!」

「千雨ちゃん!」

「高畑先生、人払いを………」

「わかった。」

 

千雨が男に啖呵を切ると、男は指をポキポキ鳴らしながらこちらに近づいてくる。

 

「オレはヴァナゴン、32歳、おうし座のB型。半年くれー前にスタンド使いになった。雇った『シャラン』ってのがアッサリやられちまったってんで、オレに()()が回って来た次第ってワケよぉ~~~」

「そーかい、それならもーちょいひっそりとやってほしいモンだがなぁーーー!」

 

焦って冷静な判断ができていないのか、ヴァナゴンに詰め寄ろうとする千雨。しかし、それを徐倫が制した。

 

「徐倫?」

「千雨、焦るのは分かるけどさぁ~、そんな状態じゃあ、勝てるモンも勝てないわよ………」

「ぐ………」

 

徐倫に諭されてぐっとこらえる千雨。一方のヴァナゴンは、間に入った徐倫を睨んだ。

 

「オイ、ぶっ飛ばされたくなけりゃあそこを退きな!」

「悪いけど、ぶっ飛ばされるのも退くのも拒否するわ。」

「あん?」

 

ヴァナゴンは徐倫の目の前まで来ると、見下ろすように睨んできた。

 

「悪いけどこっちもひまじゃないのよね~………とっとと退いてくんない?」

「退くわけねーだろ!オレだってそいつに用があんだよ!」

 

ヴァナゴンが徐倫の進言を突っぱねると、

 

「あ、そう。」

ボギャッ

「!?」

 

その瞬間、『ストーン・フリー』の拳がヴァナゴンの頬に叩き込まれた!

 

「ぎ、うぎ……?」

 

何が起こったのかヴァナゴンが理解をするよりも早く、徐倫は追撃の拳を放つ!

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァアアーーーッ!!」

「ぐべぼも゜ろぺェーーーー!?」

 

『ストーン・フリー』の突きの連打(オラオラ)を受けて、奇声を上げながら吹っ飛ぶヴァナゴン!地面に墜落したヴァナゴンを見て、スバルたちは呆れの混じった表情になった。

 

「あ、相変わらず容赦ないね………」

「基本、かったるいのは嫌いなたちなんでねぇー………」

 

殴り飛ばした徐倫はため息交じりに言いながら、一方で、ヴァナゴンの様子をうかがっていた。

 

(高畑先生の話じゃあ、『攻撃喰らったダメージが回復していた』そうだが………ヤツはスタンドで反撃―――私がとっとと攻撃したのもあるだろうが、してこなかった………てっきり高畑先生はスタンド使いじゃないから対応できなかったんだと思ったが、直接攻撃するタイプじゃあないの………?)

 

徐倫が今のヴァナゴンの様子から推察していると、倒れたヴァナゴンが起き上がった。顔は腫れあがり口や切ったらしい頬から血を流し、右腕も骨折しているのか変な方向に曲がって足元もおぼつかない。

 

「ぎぃ………で、でめぇ………!」

「!?徐倫、なんか来るぞ!!」

 

千雨がそう言った瞬間、ヴァナゴンの背後に異形の(ヴィジョン)が現れた!

 

毒々しい緑と紫の体色をしたワニガメを髣髴とさせる爬虫類のような三角形の頭と甲羅を持ち、地面に着くほど長い前足の先には大きな手と鋭く赤い爪、対照的に後ろ足は太い。

何をする気かと待ち構えているとスタンドの下あごが左右に開き、喉の奥に真珠のような光沢の『弾丸』らしきものが顔を出した!

 

「!?あ、あれは………?!」

「マズい!何か『飛ばす』スタンドだ!」

 

千雨が叫んだ瞬間、スタンドの口から球状のものが発射された!

 

「くッ……!(避けることもできるが、人払いは完全じゃぁない………)撃ち落とすしかない!!」

「オラオラオラオラーーー!!」

 

徐倫はこちらに向かってくる球に向けて『ストーン・フリー』の拳を繰り出す!

 

ズズウゥウーーー

「!?」

「何!?」

 

しかし、殴りつけた球はストーン・フリーの拳にまるで染み込むように()()()()()ていった!?

 

「何……!?(ストーン・フリーの中に入って―――!?)」

 

徐倫がそれを認識した瞬間―――

 

 

 

ドガガガガッ

「!?」

 

徐倫は後方に派手に吹き飛んで行った!

 

「ジョ、………」

「徐倫!!?」

 

吹き飛んで倒れた徐倫に駆け寄るスバルとまき絵。徐倫は顔がはれ血を流し、腕が変な方向に曲がっていた……

 

「ぐぅ………」

「これ………(砲撃のダメージじゃない………?)」

「ガーッハッハッハッハー!」

 

スバルは徐倫の傷を見て不思議に思うが、後方でヴァナゴンが勝ち誇ったように嗤った。

 

「残念だったなぁ!オレの『ディアボリック・シークエンス』の砲弾は、触れただけでアウトなんだよぉッ!!」

KRRRRRRRRRR(カロロロロロロロロロロ)………』

 

背後で『ディアボリック・シークエンス』が高い声で鳴かせながらヴァナゴンが言う。『ディアボリック・シークエンス』はヴァナゴンの身体に戻ったのを見たとき、スバルはヴァナゴンの傷が治っている事に気づいた。

 

「か、回復してる………?」

「あんな漫画みたいな笑い方する人、本当にいるんだ………」

「やろー、よくも徐倫を!!」

 

ヴァナゴンの回復にスバルたちが驚いていると、千雨が『アニバーサリー・オブ・エンゼル』を身にまとってヴァナゴンを睨んだ。

 

ドンッ

「え?」

「!?」

 

千雨が飛びかかろうとしたしたその時、ヴァナゴンの左太腿に穴が開き、血が噴き出した!

 

「ぎ、ぎいいいいやぁあああああああ!!??」

『『イィイヤァアアーーーッ!!』』

 

痛みでのたうち回るヴァナゴンの近辺で、滴型の頭をした銀色のスタンドが2匹(額には1と3と書かれている)が浮遊していた。さらに、その上空を大きなものが飛んだかと思うとそこから男、ミスタが飛び降りて銃口をヴァナゴンに突き付けた!そして飛んできたそれ―――ウェンディのライディングボードがスバルたちの元へ飛来した。

 

「おまたせッス!」

「ウェンディ!ジョル兄も………」

 

そこに乗っていたウェンディとジョルノを見て、スバルが声を弾ませる。一瞬ジョルノは顔をこわばらせるが、徐倫の傷を見て近寄った。

 

「大丈夫ですか。ちょっと見せてください。」

 

そう言うとジョルノは『ゴールド・エクスペリエンス』で徐倫に触れ、ズギュンッ、とエネルギーを流した。すると、みるみる内に傷が治り、多少跡が残ったが治癒された。

 

「えっ?」

「『ゴールド・エクスペリエンス』で生命エネルギーを与え、治癒力を向上させました。ジョースケと違って完全に治すわけじゃあないから多少痛みは残りますが、動く分には問題ありません。」

「助かったわ………腕はまだ痛いけど………」

「ぐ、うぎぎぎぎぎ………」

 

徐倫が礼を言うと、左太腿を押さえて唸るヴァナゴンを見ながら、ジョルノが説明を始めた。

 

「大体の事情はカエデとミスタから聞きました。今、他のメンバーがルーテシアたち3人を捜索中です。」

「ありがとう、ジョル兄!」

「………」

 

スバルの一言に一瞬詰まるジョルノ。その時、痛みを堪えながら立ちあがったヴァナゴンがこちらを睨むが、ミスタに牽制されてうごけない。

 

「おっと、ヘタに動くなよ?おめーの脳天に、風穴開けたくねーだろー?」

「っ!な、ナメンナぁアアアアアアアアア!!」

KRRRRRRRRRR(カロロロロロロロロロロ)………』

 

ヴァナゴンが叫ぶと、背後に『ディアボリック・シークエンス』が出現、その口を開き、砲弾を放った!

 

「うぉ?!」

 

ミスタは咄嗟によけると、砲弾は後方に飛んでいく。

 

「きゃああッ!!」

「!?」

 

その時、後方から悲鳴が上がる。見ると、砲弾が当たってしまったらしい女子生徒が、出血する左足を押さえて倒れていた。

 

「しまった………」

「避けんじゃねーよッ!!」

「!?」

 

ミスタが驚く暇もなく、スタンドをしまったヴァナゴンがタックルをかます。ミスタは吹っ飛ばされかけるが、すかさず銃を構えた。

 

「行けぇ!『セックス・ピストルズ』ッ!!」

ガンガンッガァーーーンッ

『『『イィィイイイーーーーッハァアーーーーッ!!!』』』

 

放たれた3発の弾丸に乗ったスタンド『セックス・ピストルズ』は叫びながら弾丸を乗りこなしてUターンをしてヴァナゴンに迫る!

 

「ひえっ……」

「何!?」

 

しかし、ヴァナゴンはミスタから飛びのいて弾丸から回避する。『ピストルズ』は本体(ミスタ)に当たらないよう地面に着弾させると、ミスタの元に戻った。

 

「あ、アブネーなおい!弾丸を操作するスタンドかよ………」

『コイツ、スタンドデ防御シナカッタゾ!』

『モシカシテ、アマリ攻撃向きジャネーノカ?』

 

ミスタの周囲で『ピストルズ』の№1と№3が、ヴァナゴンの様子を見て言った。

先ほどからヴァナゴンは、スタンドをしまったまま肉弾戦に持ち込んでいる。あのスタンド『ディアボリック・シークエンス』は、直接戦闘するのに向かないタイプのスタンドなのだろう。ミスタがそう考えた時、ヴァナゴンの背後に、小太刀を構えた千雨が迫っていた!

 

「翼刀剣舞―――」

「!?」「何!?」

 

両手の小太刀を逆手に構え、錐もみ回転しながらヴァナゴンに斬りかかった!

 

羽空(ばくう)!!」

斬ッ!!

「ぐぉッ………!!」

 

ヴァナゴンは腕に『×』字に刀傷を負い、後退った。千雨はその場に着地すると、徐倫が叫んだ。

 

「おい、千雨………」

「わーってるよ!けど、私の考えが正しければ………ッ!」

 

千雨が言いかけた瞬間、ヴァナゴンはディアボリック・シークエンスが千雨に狙いを定めて砲弾を放った!

 

「………ッ!!」

 

千雨は『アニバーサリー・オブ・エンゼル』の翼を前面で交差させるようにして防御。しかし、砲弾は翼に溶け込むように吸い込まれる。その瞬間、千雨は苦い顔をした。

 

「千雨ちゃん!?」

「ッ………自分の剣技を受けるのってのは、結構キツイな………」

「え?」

 

翼を広げた千雨は、徐倫たちの元まで下がる。見れば、千雨の腕には先ほどヴァナゴンに付けたのと同じ、『×』字の刀傷があった。

 

「これは………?」

「徐倫の傷が『砲撃』によるものじゃあなかったし、さっきのやつも、ヤツと同じ太腿に傷を負っていた……しかも、ヤツの傷は消えてたから、『もしや』と思ってワザと砲弾を受けて確信した………」

 

ジョルノに傷を診てもらいながら、千雨は説明をした。

 

「ヤツのスタンド能力は、『自分の受けたダメージを砲弾にして発射し、肩代わりさせる』能力!」

「ええ!?」

「なるほど……高畑先生があそこまでボコボコにされる程なんて、とは思ったが………」

 

『ディアボリック・シークエンス』の能力の正体を知った徐倫たちも、納得した。

サソリは自分の尻尾の毒で死ぬというが、いくら手練れの者でも、自分の攻撃をそのまま喰らうなんてことは滅多にないだろう。

 

「ていうコトは、アイツにいくら攻撃しても誰かに移されて、しかもアイツ自身は元気いっぱいって事!?」

「ああ……正直、『致命傷』追わせても死ぬ気がしないわ………だが、それ故に『対策』はある………」

 

徐倫はそう言うと、まき絵に指示を出した。

 

「まき絵!『グロウン・キッド』を!!」

「もうやってるよ!!」

ブワヮァアーーー

「何だ!?」

 

まき絵が返事をした瞬間、ヴァナゴンの背後から地面の色に擬態していた『グロウン・キッド』が出現し、ヴァナゴンの身体を包み込んでしまった!

そのまま布はガッシリとヴァナゴンを拘束してしまい、ヴァナゴンは身動きを取れなくなってしまった!

 

「な!?何だこりゃ!?動けねぇ……!」

『フム、コウ見えてパワーニハ自身ガアルノダよ。』

 

ヴァナゴンが脱出を試みるも、『グロウン・キッド』の拘束具はビクともしない。どうにかしようとしていると、徐倫たちがこちらに歩いてきた。

 

「ヴァナゴンさんよぉーーー、あんたのスタンド能力は、正直強力よ………私たちが今まで戦った中で、一番『相手にしたらヤバい』と思ったわ………」

 

徐倫は、倒れるヴァナゴンに向けて称賛の言葉を贈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、『()()()()()()()()()()()()………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

 

 

 

 

「じゃあ佐々木、ミスタさん、後よろしく!」

「行くわよスバル、アスナ!!」

ダッダーーー

「「って、ええーーーーー!?」」

「え?お、おい!ちょっと!?」

 

言うや否や、徐倫と千雨は踵を返して、その場を走っていってしまう!慌てて明日菜とスバル、ジョルノは追いかけると、横に並んで問いただした。

 

「ってちょっと!!アイツほっといて良いの!?」

「ああ、アイツのスタンドは確かに強力だが、『ダメージ負わないと攻撃できない』みたいだからね。それってつまりさぁ~~~、『攻撃しないで捕まえとけばいい』って事じゃない?」

「成程、賢明な判断ではあるな………」

 

ジョルノは2人の作戦を聞いて、納得をしたが、明日菜は微妙に腑に落ちない様子であった。タカミチをボコボコにされた事が、少々頭にきているようだった。

 

「とにかく、今はルーテシアが優先だ!アイツは後回しで大丈夫だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!?」

 

しかし、走っていた千雨の目の前に、突然『刀の切っ先』が現れた!千雨は咄嗟にブリッジ回避をして、走った勢いのままスライディングした!

 

「!?」「え……!?」

「な、何だこれは………!?刀が空中に………!?」

 

徐倫たちも空中に現れた刀に驚いていると、空間がまるで『()()()()()()()』かのようにして『穴』が開き、ズルリと、細身の男が現れた。

 

「悪いが、オタクらをこの場から逃がさないよう依頼人(クライアント)に言われていてね………」

 

ねっとりと話すのは、尖った印象の面長の顔に丸いサングラスをかけた、黒い長髪で背の高い男だ。喪服のような真っ黒なスーツに深紫のシャツを着て、刀の柄尻から伸ばされた鎖をジャラジャラ鳴らしながら、こちらを見ていた。

 

そして男の足元には、スタンドが立っていた。

 

身長の高い男の膝ほどしかないのに、その身長の2倍はあるぶかぶかのねずみ色のローブを着た小柄な姿をしており、目元にはハチドリのクチバシのようなものが付いたマスクをかけたような見た目をしている。ローブの袖からは、これまた身長の倍はありそうな鉈のような形状のかぎ爪が3本ずつ生えており、時折地面を叩くかのように動かしていた。

 

「!?ジェ、ジェイド………!?」

「ほう、流石だなジョルノ・ジョバァーナ。俺の事を知っているとは………」

 

ジェイドはジョルノに笑いながら言うが、千雨はジェイドの持つ刀を見て驚いていた。

 

「あの刀………まさか………?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ティアナが目を覚ますと、何故か目の前には『鉄格子』があった。まだはっきりしない頭で周りを見渡すと見慣れない部屋で、あの女の姿はなかった。

とにかく、部屋の中を探ってルーテシアたちを見つけ、脱出せねばと思い立ちあがろうとした。

 

(………え?)

 

しかし、ティアナは急に身体のバランスを崩し、慌てて両手をつく。

何が起こったのだろうと思い、もう一度立とうとするが、それが出来ない。まるで、『立つことが最初からできない』かのようであった。

 

(な、何が………)

「あ、起きたんですねぇ………」

 

ティアナが混乱していると、あの女の声がした。

振り返ると、そこには緑色の四角い厚縁眼鏡をかけた茶色いロングヘアーの女性が入って来た。白いブラウスに細いリボンを巻き、チェックのスカートを履いている。

ここでティアナは、女性が見上げるほど大きくなっている事に気づいたが、それよりも女性の目的と正体を問いただそうと考えた。

 

「あ、あなた!一体何者なの!?私たちに何をしたのよ!!」

 

ティアナは女性にそう叫んだ。

 

()()()()()()()()

 

しかし、その口から出た言葉は、

 

「にゃあ!にゃあにゃあッ!!」

 

(………ええ!?)

 

それは言葉ですらなく、()()()()()()()()()()

 

「にゃ?にゃあああ!?」(な、何よこれ!?何でしゃべれないのよ!?)

「ピヨ………?」

「クゥ………?」

 

ティアナが混乱していると、背後から動物の鳴き声が聞こえた。振り返れば、そこには紫色のカラーひよこと、銀色のアンゴラウサギがいた。だが、その大きさはティアナの目線とほぼ同じであった。

 

「キュゥ……?(ティ、ティアナか……?)」

「にゃ、にゃぁ……?(チ、チンクと、……ルーテシア……?)」

「ピヨ……?(え、これって………?)」

「ああ、みなさん起きたんですね。じゃあ、まずはこれを見てください。」

 

女性はそう言うと、大きめの鏡をこちらに見せてきた。ティアナは少し怖かったが、その鏡を見て、そして固まった。

 

「にゃ………?(え………?)」

 

 

 

 

 

そこにはカラーひよことウサギの他に、オレンジ色の毛並みの子猫がいた。

ティアナが右手を上げると子猫も前足を上げ、ティアナが自分の手をここで初めて見ると、それはオレンジの毛むくじゃらの、子猫の手であった………

 

「にゃ、にゃぁああああああああああああああああああああああああああああ!!??」

 

猫になってしまったティアナは、悲鳴を上げた………

 

 

 

 

 

←to be continued…




80話です。
・『ピンク・アクアリウム』の本体は、ジョジョによくいる「モブキャラっぽく出てくる敵」を意識したキャラにしました。
 能力的にはセト神の系統なんだけど、フォローしてる別のジョジョ作品と被っちゃって若干凹み気味………

・『ディアボリック・シークエンス』は、億奏のように能力はヤバいけど本体がバカなタイプ。割と攻略法はあったりします。

・ジェイド参戦。空間移動系なんですが、詳しくは次回で。

・ちなみに、全体を読み返してみたらメカっぽいデザインのスタンドが多くなっていたので、今回は『脱メカニカル』をコンセプトにスタンドの見た目を考えています。

では、次回をお楽しみに!

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