ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#66/京の鬼神蘇生実験 ②

「逃げられましたか………」

 

逃げた暦たちが出た方を見ながら、詠春は悔しそうにそう呟いた。そこへ、ティアナが詠春に話しかけた。

 

「長、あの箱は一体………?」

「………あの中には、ある人から預かった『ロストロギア』が封印されているんです。詳しくは私も知りませんが、少々やっかいな物らしくて………」

「ロストロギアが………?」

 

詠春の説明に、オットーが首を傾げる。

その中身が何かは分からないが、ヴィオレッタが欲しがるほどの強力なものと考えられた。

 

「………まあ、アレの中は3日前に『()()()』とすり替えてありますがね。」

「えッ!?」

「すり替えたって………偽物ってこと?」

「てか何で新巻鮭!?」

 

だが、奪われた『それ』が偽物と知って驚くティアナと、何故新巻鮭なのかつっこむ千雨。

 

なお、新巻鮭は先日詠春の知り合いの『バカ』から季節はずれで送られてきたらしい………

 

「ええ、本当の中身は、あそこの『()()』の下に埋めてあります。」

 

そう言って灯籠を指さす詠春だが、その先には―――

 

 

 

 

 

「ぅぅ………ぁぁぁ………」

「!?ノ、ノーヴェッ!?」

 

 

 

 

 

恐竜から人に戻りかけたノーヴェが、うずくまって唸っていた………

 

 

 

 

 

#66/京の鬼神蘇生実験 ②

 

 

 

 

 

「大分減ったな………」

 

妖怪たちとやりあっていた徐倫は、最初よりも減った妖怪たちを見渡しながら呟いた。

 

「今なら間に合います。速くネギ先生たちと………」

「きぇぇぇぁああああッ!」

「!?」

ガギィインッ

「なかなかやるな小娘!だが(それがし)を他の連中と一緒にしては困るでッ!!」

ズガガガガガガガッ

「ぐっ………こいつ別格か………ッ」

 

徐倫に向けて、鴉のような姿の烏族が猛攻を仕掛けてきた!

 

「徐倫!」

「烏族………!今行きま………」

ガギィインッ

「ッ!?」

「残念やったな、神鳴流のねーちゃん!」

「こいつらも動き出したか………」

 

徐倫の元へ向かおうとした刹那たちだが、その行く手をリーダー鬼が阻んだ。

 

「くっ………(やむを得ない…ッこうなったら“()()()”を―――――)」

 

 

 

ガァァアーーーーーンッ

「ぐぇッ!?」

「「「!?」」」

 

だがその時、烏族の額を弾丸が貫き、烏族は沈黙して消え失せてしまった!

 

「今のは………!?」

「おいおいお嬢に徐倫(ジョリ)〜〜〜ン、油断しすぎなんじゃないか〜〜〜い?」

「!ホル・ホースに、ウェカピポ!」

 

銃弾が発射されたと思われる方向を見ると、そこには『エンペラー』を構えたホル・ホースと、鉄球を手の中で回すウェカピポがいた。

 

「待たせたなぁーー、助っ人登場だぜ!!」

ガンッガンッガンッ

「ギャッ!?」

「ぐえッ!?」

 

無駄口を言いながらも、ホル・ホースは『皇帝』で妖怪たちを撃ち抜いていく。だが、そんなホル・ホースに烏族が四体接近してきた!

 

(わし)の名は鉄印(ていん)。」

 

角のような飾りを頭に付けた烏族が名乗る。

 

施琥(せく)。」

 

(くちばし)に牙のような飾りを付けた烏族が名乗り、背中の羽を一本手に取る。

 

邪枢斗(じゃすと)。」

 

頭の左側を亀の甲羅のような物で覆った烏族が名乗ると、背中の羽を二本取る。

 

渦暗(かあん)。」

 

頭と胸の右側を卵の殻のような物で覆った烏族が名乗ると、羽を三本取る。

そして―――

 

「「「「羽手裏剣攻撃!」」」」

バパァーーーーーーッ

 

一斉に羽を二人に目掛け投げつける!

 

「………ふっ。」

 

だが、ホル・ホースは余裕に笑うと、体制を低くした。

その肩にウェカピポが鉄球を着弾させると、ホル・ホースの肩で鉄球が回転し、『衛星』が羽手裏剣を撃ち落とす!

 

「あれッ!?」

 

四体の烏族が驚いたのもつかの間、衛星は四体の頭をかすり、『左半身失調』を起こした。

 

「そらよォッ!」

ガァァアーーーーーンッ

「「「「アギャアッ」」」」

 

その時をホル・ホースが見逃す訳もなく、すかさず『皇帝』で撃ち抜いた!

 

「すごい………」

「ここは俺たちに任せな!」

「この数なら、俺の『レッキング・ボール』とホル・ホースの『皇帝』で十分だ。行け!」

 

ウェカピポに言われ、刹那は(かたじけ)ないと言い三人は駆け出した。

 

「急ぐぞ!あいつらのやることが何かは分からないが、さすがにネギたちだけじゃあ不安だ………ッ!」

「はい………ッ」

 

走りながら話す徐倫と刹那。すると、ルル・ベルが徐倫に話しかけた。

 

「徐倫、すこし痛いかもしれないけど、我慢して?」

 

は?と徐倫が返答する前に、ルル・ベルは『サイケデリック・インサニティ』で徐倫を殴った!

 

「なッ………何を………」

「刹那、徐倫にしっかり捕まって。」

「え?」

 

よく分からないながらも、言われるがまま、徐倫に捕まる刹那。すると、『インサニティ』の能力で徐倫の体は殴られた方向―――つまり上空に引っ張られた!

 

「わああああああッ!?」

「と、飛んで……………い、いや、『サイケデリック・インサニティ』で殴られたから………『()()()()()()()………」

「あ、もう少し右ね。」チョンッ

「微調整も出来んのか………」

「た、確かにこうやって『落下して』移動するなら、速く着きそうですね………」

 

『落下』するスピードを実感しながら、刹那はそう呟いた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「………」カッ

「む!」

ゴウッ

 

一方、焔と対峙する楓。

『バーニング・ハート』で次々に発火させていく焔だが、楓はそれを素早い動きで避けていき、一度掠った程度のダメージしか与えられなかった。

一方の楓も、『バーニング・ハート』を警戒してうかつに近づけない状況だった。

 

「うーむ………なかなかに厄介な能力でござるなぁ………」

「………それを一撃もまともに喰らわないで言われても、皮肉にしか聞こえませんがね………」

 

楓が呟いた事に焔は少しむくれながら言う。

 

「(だが、不審な点があるな………探ってみるか………)はっ!」

シュバババッ

「なッ!?」

 

楓は素早く巻いていたマフラーを振るうと、振るった先から手裏剣が十数枚焔に向かい飛来する!

焔は『バーニング・ハート』で焼き払うが、それでも何枚かは焔の脇の地面に突き刺さった。

 

「………やはりか、どうやらお主のスタンドは、一度に燃やせる数が限られているようでござるな。」

「!まさか、それを探るために………!?」

 

楓の洞察力に息をのむ焔。

 

『バーニング・ハート』は焔の左目と繋がっているという形状のため、発射したらヨーヨーのように一度左目に戻らなければならないという弱点があるのだ。それゆえに、一度に燃やせる数に限界があった。手裏剣を数枚燃やしそこねたのは、そのためだ。

 

「それならば、拙者にもお主を討てるチャンスがある………」

 

楓はそう言いながらマフラーに手を入れると、マフラーから巨大な両刃刀とクナイを数本とり出した。

 

「………(あのマフラー………さっきから色々出てきているが、まさかあれがスタンドか?猫型ロボット的な。)」

「参るッ!」

ドンッ

「!『バーニング・ハート』ッ!!」

 

楓がクナイを投げつけながら焔に向かい走り出したため、焔は『バーニング・ハート』でクナイを燃やし、刀を振りかざした楓に対してはバックステップで回避、バーニング・ハートが左目に戻るまでの間に、楓との距離を取った。

 

「く………なんという素早さ!魔法もスタンドも無しにこんな身体能力なんて………!」

「いやぁ〜〜〜、昔少し変わった老人に『不思議な力』を教わってなぁ♪ほっ!」

 

軽口を叩きながら、再度焔に手裏剣を放つ楓。焔はそれを燃やし、燃やしきれなかったものは横に飛んで避けた。だが、その瞬間楓は焔の左側に接近した!

 

「くっ………!?」

 

焔が接近した楓に気づいた時には、楓はすでにマフラーに手をやり、また武器を取り出そうとしていた。

 

「………なめるなッ!!」

ボボボッ

「むっ………!」

 

楓が手を抜き取る前に、焔は戻ってきたばかりのバーニング・ハートでマフラーに火をつけた!

 

「これであなたのスタンドは無力!勝った!」

 

マフラーを燃やした事に、勝利を確信する焔。だが、楓はニヤリと口元を上げた。その時―――

 

 

 

 

 

「惜しいなぁ………お主の着目点は良かったが、我が『夢幻』は、お主のスタンド同様にもっとシンプルな能力どござるよ♪」

「!?」

 

背後、つまり焔の右側から声がした!

振り返った先にいたのは、「()()()()()()()()()()()楓」と、背後にはスタンドが立っていた。

 

長い円錐型の頭部には手裏剣のような×字の中に金色の丸い一つ目がともり、そろばんの目のような円盤型の胸部を持ち、口らしき部位に付いた戦闘機のパイロットのようなマスクからチューブが左胸を繋ぐように伸びている。

同じく円錐形の肩からはパイプのような細い二の腕と球体間接、腕は二の腕の5倍は太く手袋のような大きい白い手をしている。胸から下はなく、先端にヒトデのようなアームの付いたコードが5本伸び、楓の体を掴んでいた。

 

「『夢幻』ッ!」

ガシィッ

「!?」

 

スタンド―――『夢幻』は焔の頭を掴み、そのまま近くの木に叩きつけた!

 

「がっ………ッ!?」

「いやぁ、惜しかったでござるなぁ♪」

「あいや、マフラーに着目したのはよかったでござるよ?」

 

叩きつけた手を放して、焔に向かい話す『二人の楓』。だが、その内の一人がまるで陽炎のようにゆらめくと、煙のように消えてしまった。

 

「ま!まさか、それが噂に聞く『分身の術』!?始めてみた!?………あれ?」

 

楓の分身の術に驚く焔だが、木に叩きつけられた自分の現状に疑問を持った。なぜか、木から離れず動けないのだ。

 

唯一動かせる右手で自らを触って、焔は気づいた。

 

 

 

 

 

「なッ!?は、貼りついて………!?」

 

 

 

 

 

焔は現在、右手と左右の足以外を、まるでエジプトの壁画のような状態で木に『()()()()()()()()()()』のだ!!

 

 

 

 

 

「『夢幻』は、今のお主のように、ものを『平たく貼り付ける』能力でござる。いやぁ、以外と仕事の時とか役に立つのでござるよ♪」

「は、貼り付ける………まさか、あらかじめ武器をマフラーに貼り付けて、使う時に立体に『戻していた』のか!!」

「いかにも♪」

 

焔の推測に、笑顔で答える楓。そのまま踵を返して歩き出すと、落ちていた手裏剣や両刃刀を拾い、『夢幻』を使い貼り付ける。

 

「あ、ちなみに以前興味本位で調べたのだが、ほっておいたら大体三カ月ほどで自然に戻ったでござる。それでは拙者はこれで♪」

シュバッ

「え、行っちゃうの!?私放置!?て言うか三カ月って言った!?三カ月もこのまま!?ちょッ………だ、誰かーーーーーッ!?」

 

一瞬で消え去った楓に戸惑う焔。

 

右側から攻撃を喰らったため左側はシールなどで言う粘着面のように反対側に張り付いている。それゆえに左目の『バーニング・ハート』は使えないため木を切り離す事も出来ず、森に焔の若干涙が混ざった声が響くだけであった………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ノーヴェ姉様………大丈夫ですか?」

「う………あ………オ………オットーに………チサメ?」

 

ノーヴェは人の姿に戻りながら俯いていたが、オットーと千雨の姿に気づきそちらに振り返る。

 

「大丈夫か?これ何本に見える?」

「あ………5本?」

「うん、大丈夫そうだな………」

 

右手を二本、左手を三本の指を立てて確認する千雨。

ノーヴェはふらつきながら立ち上がると、上部のない灯籠に手を置きながら二人と顔を向ける。

 

「えーと………スバルらに恐竜のことを警告して………だめだ、そっから先が思い出せねえ………」

「どうやら今まで恐竜化していたようだが………」(けど、長さんの話ではあのあたりにロストロギアが………?何ともないの?)

 

ティアナが疑問を抱くが、当のノーヴェは未だふらつきながらも身体に異常はなさそうだ。

そう思ってティアナがノーヴェに近づこうとした、その時だ。

 

ドガシャァアアンッ

「何ッ!?」

 

突然二つ隣の部屋の障子が爆発で吹き飛ばされたかと思えば、ヴィータとハルナが爆煙から飛び出し、後を追うようにヘリから変形した『エナジー・フロゥ』が数体飛び出してきた!

 

「ヴィータ副隊長!?」

「あれは『エナジー・フロゥ』!?すずめまで来ているのかよッ!?」

 

『エナジー・フロゥ』の姿を確認して千雨が声を上げた。すると、ピンク色の隊長機『エナジー・フロゥ』から指を鳴らす音が聞こえた。

 

[当然だよね。厄介な能力だけど、さすがに目覚めたてのスタンドじゃあ『エナジー・フロゥ』の包囲網からは逃れられないよねッ!]

「あっちゃ〜、さすがにあの数に剣じゃあ不利だったかぁ………」

「早乙女!………それがお前のスタンドか………」

 

ハルナに近づきながら、千雨はハルナが『ドロウ・ザ・ライン』で描いた戦乙女《ヴァルキリー》を見ながら呟く。

 

[長谷川 千雨か………君の抹殺もアタシたちの任務に入っているからね。2年前の恨みも含めて殺(や)らせてもらうよッ!!]

ドガガガガガガガッ

「うおわぁあッ!?」

 

すずめは指を二度鳴らすと、千雨とハルナに向かいガトリング砲で集中砲火を浴びせた!

 

「千雨ッ!!」

「『エコーズACT3』!隊長機を狙えッ!!」

『YES SER!3FREEZEッ!!』

ドゴシャァアッ

[!?]

 

康一が叫ぶと、『エコーズACT3』は『3FREEZE』を隊長機に喰らわせ、地面にめり込ませる!

 

「今だ!」

「了解ッ!!」

 

康一が叫ぶと、ティアナは隊長機に向けて魔法弾を放ち、その機体を破壊した!

 

「やった!」

「………いや、まだだ!!」

「え?」

 

隊長機が破壊された事に声を上げるハルナだが、千雨は警戒体勢を崩さず未だ残る『エナジー・フロゥ』を見渡していた。すると………

 

[………あー、さすがにびっくりしたなぁー………]

「「「ッ!?」」」

 

 

突然すずめの声がしたかと思えば、『エナジー・フロゥ』の内一体の色がダークグリーンからピンク色に変わり、頭部がスライドしてすずめが姿を現した!

 

「そんな………」

[残念だったね。隊長機を潰されても別の機体に転移して隊長機を引き継がせられる………それが『エナジー・フロゥ』の編隊だよ!]

 

すずめはそう言い放つと再びコックピットに戻り、そのままガトリング砲を放った!

 

「きゃーーーーーッ」

「くそうッ、隊長機以外は無人機なんじゃあ『ヘブンズ・ドアー』はきかないし………『ACT3』で重く出来るのは一度に一つだけ………正直かなりヤバいッ!」

 

ミスタが拳銃を撃ち、ブチャラティが『スティッキィ・フィンガーズ』で『エナジー・フロゥ』を分解し、ジョルノが『ゴールド・E』の拳を振るうも、『エナジー・フロゥ』の猛攻は止まらない。

 

「な………何が………?」

ゴウッ

「!?ノーヴェ姉様ッ!!」

 

未だ体調が優れないのか、頭を押さえながら周りをみるノーヴェ。だが、そんな彼女に向かい左腕のプロペラを回転させながら『エナジー・フロゥ』が一機迫ってくる!

 

「マズい………ノーヴェッ!」

「………ッ」

 

ティアナが叫ぶが、『エナジー・フロゥ』はすでにそのプロペラをノーヴェに振り下ろしていた!

 

「!!」

シュンッ

「「「「ッ!?」」」」

 

だが、ノーヴェにプロペラが接触するという瞬間、ノーヴェは驚異的なスピードでそれを『回避』した!

 

「何ッ………!?」

「い、………今の反応速度は、ノーヴェ姉様の基準速度を上回っている………!?」

 

オットーは今のノーヴェの反応速度に驚くが、『エナジー・フロゥ』は足の先に付いたテールローターを回転させながらノーヴェに蹴りを放つが、これもノーヴェは素早く避けた。

『エナジー・フロゥ』はそれでも連続で蹴りを繰り出すも、ノーヴェはそれを次々と避けていった。

 

「な………なんか普段より、相手の動きが良く見えるような………?」

[あいつ………M‐18!さっさと片付けろッ!!]

 

すずめはいらついたように指を七回鳴らすと、ノーヴェを襲っていた機体に命ずる。すると、『エナジー・フロゥ』の胸が観音開きに開きバズーカ大の銃口が顔を出し、ノーヴェに照準を合わせた!

 

「ッ!ノ―――」

 

ティアナが叫ぶが間に合わず、『エナジー・フロゥ』のエネルギー砲はノーヴェに向けて放たれてしまった!

 

 

 

 

 

ギュンッ

[ッ!?ま………また………!?]

「………!?」

 

だが、それをもノーヴェはかわす!

かわせた事にノーヴェ自身も驚いていたが、すかさず『エナジー・フロゥ』に回し蹴りを喰らわせた!

 

「ウリィィィィャァァァァァアアアアッ!!」

ドゴシャァアッ

「な………今のは………ッ!?」

「ッ!?ノーヴェ、その『脚』は………」

 

ノーヴェが自身の体の『違和感』に戸惑う中、ティアナは『は虫類のようなノーヴェの右脚』に驚く!

 

「バカな………『恐竜化のスタンド』が、まだ生きているなんて………ッ!?」

[よそ見は禁物だよ?]

 

ティアナが考えを巡らすが、すずめはそれでも攻撃の手を止める気はなかった。

すかさず残った機体を集め、ノーヴェや千雨たちを囲むような陣形をとると、徐々に追いつめようとする。

 

「撃ち抜けッ『レイストォォォオオオム』ッ!!」

ズドドドドドドドッ

[なッ!?]

 

だが、陣形をとった『エナジー・フロゥ』は、オットーの放った『レイストーム』に次々と破壊されてしまった!

 

「助かるよ………今までバラバラに『分散』していたから撃てなかったが、『陣形』をとってくれたお陰で撃ち抜けた。分散していたら、みんなに当たるかもしれないからね。」

[し………しまった!大局を見誤ったか………くっ!]

 

すずめは短く舌打ちすると、乗っている隊長機を空高く飛び上がらせた。

 

[仕方ないね。今日の所は見逃すよ。だが長谷川 千雨、そしてノーヴェと言ったね、次はないと思う事だねッ!!]

「あ、ちょっと!?」

 

すずめはそう叫ぶと、『エナジー・フロゥ』をヘリ形態へ変形させ、空のかなたへ飛び立ってしまった。

 

「行っちゃった………」

「ほっとけ。ヤツの事だ、どのみちまた来るだろうよ。」

 

ティアナがすずめの行った先を見つめながら呟いた事に、千雨が溜め息混じりに言う。ティアナはそう、とだけ言うと、自分の両手を見ながら狼狽えるノーヴェに近づいていった。

 

「大丈夫だった、ノーヴェ?」

「え?あ、ああ………」

 

未だ戸惑った様子ではあるが、ノーヴェはそう答えた。

 

「本当に大丈夫………?恐竜化がまだ残っているみたいだったけど………?」

「い、いや………本当に大丈夫だよ………」

 

大丈夫だと強がるノーヴェ。

 

「………!」

 

だが、遠くから見る詠春は気づいていた。ノーヴェの左腕から―――

 

(………『()()』は彼女に行きましたか………ならば、問題はないでしょう。)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――まだかかるのかい?」

「もう少しや!そう急かさんと待っときいッ!!」

 

『鬼神』復活の儀式をする千草と、付きそうルミリオ。退屈になってきたのか千草に訪ねるルミリオに対し、千草は少し焦るように叫んだ。

 

「そう………彼らが来るよ。」

「何ィッ!?」

 

そうルミリオがあくまで冷静に言って向いた先には、杖に乗ったネギと明日菜、そしてウィング・ロードを駆けるスバルが迫っていた!

 

 

 

 

 

←to be continued...




66話です。

・ホル・ホースを襲った烏族は言わずもがな(笑)ちなみに名前は『ドクター・フー』に登場したダーレク四人衆のメンバーから。

・『夢幻』の能力はど根性ガエルからヒントを得ました。焔の言うとおりマフラーに武器を貼り付ければ荷物かさばんなくて便利かな
あって思います。

・すずめ撤退。ノーヴェに何があったかは次回以降で。

では、次回をお楽しみに!

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