ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#65/京の鬼神蘇生実験 ①

「WAAAAAAANNABEEEEEEEEEEッ!!」

スドドドドドグォオッ

「「「ギャーースッ」」」

 

トリッシュの『スパイス・ガール』のラッシュが恐竜たちに吸い込まれ、恐竜たちが数匹吹き飛ぶ!

 

「良しッ!くそ野郎ッ!!」

「なるほど………一味………違うのね………けど………」

 

正直言って、アナスイたちの現状は『最悪』であった。

大浴場から出て縁側に回ったアナスイたちの周りには数十匹の恐竜たちがうごめき、アナスイたちを取り囲んでいる………

 

「………大浴場から出た途端にコレかよ…………今日は厄日かぁあーーー?」

「“今日()”の間違いでは?」

 

夕映が毒を吐くが、アナスイに気にしている暇はない。恐竜が何体かこちらに向かって飛び出してきたからだ。

 

ドガッ

「グェッ!?」

「『ダイバー・ダウン』………床に潜行して防御壁にした……………喰らえッ!!」

ゴシャアッ

「ギャーースッ」

 

だが、その恐竜はいきなり反り返った床板に激突し、アナスイはそれを潜行して恐竜に拳をお見舞いした!

 

「スゴい………」

「アナスイ!………改めて考えてみたらやつのスタンド…以外と出来るスタンドだな………」

 

今までバカにしててゴメンとチンクが心で謝罪していると、恐竜が一匹チンクに向かい走り出して来た!

 

「ッ!!」

 

気づいたチンクがすかさずスティンガーを投げるが………

 

シュンシュンッ

「なっ………?!」

ガシィイッ

「がぁっ………」

「チンクさん!」

 

恐竜は恐るべき動体視力でスティンガーを見切り、すべて避けられてしまい、チンクは恐竜の両足で組み伏せられてしまった!

 

「バカな………何だこの動体視力は……!?」

「おい…そこの君だ………君の事だ。君は今何をした?今捨てたよな?その『ナイフ』を捨てたよな?この大地に……」

 

不意に声がした。まだ若い男の声だ。見れば、庭にひしめく恐竜たちのうち一匹に男は乗っていた。

 

短い金髪の七三分けで神経質そうな顔の唇には口紅が塗られている。見たところ三十代前半だろうか。フードの付いたコートを着込み手には革製の手袋、胸にはバラの花が付いていた。

 

「今捨てたよな?その『ナイフ』の話だ。そういうものとかゴミとかを適当にポイ捨てするって行為はだな…この「大地」を敬っていないことの証明だ………そんなに君は偉いのか?君はこの恵みある『大地』よりも偉いっていうのか?」

「だ?誰だ?」

「まさか………!?」

「ふむ、大地を尊敬しないゲス者とはいえ、わたしの方から礼節を欠くのもなんだな…自己紹介をさせていただこう。わたしの名は『フェルディナンド』。地質学・古代生物学者だ。『フェルディナンド博士』と呼べ。二年ほど前、『ヴィオレッタ嬢』と出会い、この『能力』を身につけ、『スケアリー・モンスターズ』と名付けた。そして本山を落とすためまずディードを恐竜化させて潜入、そしてディードが屋敷の巫女全員を感染させたんだ。」

「何………ッ!?」

 

フェルディナンドと名乗った男の話にチンクが声を上げる。学者が何故ヴィオレッタに加担しているのか?という疑問が湧いたが、それどころではない。すでに傷ついた右手から恐竜化が進んでいた。

 

「ま………マズい!」

「後は天ヶ崎 千草が作戦を完遂させ、『例のモノ』を手に入れれば良いわけだ。邪魔立てはさせんぞ。」

 

フェルディナンドは言い終えると、恐竜たちに合図し襲いかからせた!

 

 

 

 

 

#65/京の鬼神蘇生実験 ①

 

 

 

 

 

「奥義、雷鳴剣ッ!!」

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァアアアーーーーーッ!!」

ズババババババババババッ

 

刹那が夕凪を振るい、徐倫が叫びながらコウウントユウキノツルギを振るい、妖怪を斬り裂いていく!

 

「あら、結構イケそうじゃない?」

ゴッ

「グェッ」

「って、お前もマジメに戦えよ!?」

 

と、何故かくつろいだ様子で妖怪に裏拳をかますルル・ベルに徐倫がつっこむ。

 

「そこまで言うなら、真面目にやるわよ?」

 

ルル・ベルがそう言うと、近くにあった大きい岩を『サイケデリック・インサニティ』で持ち上げ、空中に放った。そして、

 

「オルオルオルオルオルオルオルオルオルオルオルオルオルオルオルオル………」

 

そのまま岩にラッシュを叩き込む。すると、岩は空中に少しずつ上がっていき……………

 

「………あの、確かルル・ベルさんのスタンドが連続で殴ったものって、様々な方向の重力に引っ張られて「()()()()」って言っていませんでしたっけ………?」

「…………………あ。」

 

刹那に言われて徐倫は気づいた。だが、既に遅く、岩には亀裂がいくつも入っていき………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バゴォオオッ

 

空中で破裂し、その破片が妖怪や徐倫たちを襲った!

 

ズダダダダダダダダダッ

「「「「「ギャーーーーーッ!?」」」」」

「ルル・ベルてめーーーーーッ」

「くっ………神鳴流対魔戦術絶対防御!『四天結界独鈷錬殻(どっこれんかく)ッ!!』」

ブォッ

 

岩の破片が弾雨の如く降り注ぐ中、刹那は懐から独鈷(密教で用いる法具)を四本取り出すと、札と印を組み正四面体の結界を展開させ徐倫と共に防御した。

 

「『重力炸裂弾(グラビティ・ボム)』、近接パワー型である『サイケデリック・インサニティ』の持つ唯一広範囲攻撃よ。」

「それは良いけど私らまで巻き込むなよッ!?」

(やることが結構大胆だなーこの人………)

 

当のルル・ベルは、近くにいた鬼二体を盾にして涼しい顔で解説していた………

 

「お、おれ達を、盾に………!?」

「近くにいたあなた達が悪いのよ。」

「今ので六割くれぇやられたな………やるねぇ、あの嬢ちゃん………」

 

岩の破片が降り止んだ中、リーダー鬼は冷や汗をダラダラかきながら呟いた。まさかあんな手段に出るなんて思ってもいなかった。

 

「………だいぶ減ったし、一気に決めましょうか。」

「………次アレやる時は前もって言ってくれ。」

 

徐倫がルル・ベルにつっこみつつも、残りの妖怪に突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「『アンチェイン・ワールド』ッ!!」

ゴシャアッ

「わーーーッ!?」

 

一方、綺初と金髪の少女、(ホムラ)と戦うネギたち。

綺初が呼び出した『アンチェイン・ワールド』の巨体から放たれるパンチがネギと明日菜を襲い、二人は慌てて回避する。

 

「くっ………」

「んもーー!こんな事してる場合じゃないのにーーーーーッ」

「悪いがこっちも仕事なんでね………」

 

冷酷な表情で『アンチェイン・ワールド』の拳を振りかざす綺初。だが、すぐさまアンチェイン・ワールドは体を再びレンガ状に分解し、それを直列に繋ぎ何本も両腕の辺りにタコのように装着し、鞭のように振るった!

 

ズドドドドドッ

「「わーーーーーッ!?」」

 

二人は何とか避けるが、その猛攻は続くのだった。

 

 

 

 

 

「………」

カッ

「!また………」

 

一方、スバルは木々の生い茂る森で焔と対峙していた。

 

(睨んだだけで発火する………なんて厄介な………………ッ!?)

 

と、スバルは気づいた。森の木々の至る所に、小さな袋のようなものがぶら下がっていることに。

 

(あれは………?)

 

スバルが不思議に思ったその時、小さな『何か』が袋を斬り裂き、中の粉が少量こぼれ落ちた。

 

「?」

ボッ

「………ッ!?」

 

その粉がスバルの目の前まで舞った瞬間、粉が『燃え上がった』!?

 

「がっ………今のは………!?」

 

すんでのところでバックステップし回避したスバル。だが、目を凝らして気づいた。自分の目の前から『小さい黒い何か』が飛んでいき、焔の左目に入っていった!?

 

「まさか………今のがあなたの!?」

「………気づきましたか………そう、私のスタンド『バーニング・ハート』は、常に私の左目に潜んでいる。だが!」

 

焔は再び左目を見開いた。瞬間、スバルには見えていないが左目に潜む『バーニング・ハート』が超高速で飛び出し、近くの木に突っ込んだ。すると、その木は一瞬で中ほどから燃え上がった!

 

「それが分かったとしても、詳しい能力までは分かりますまい?」

「………」

 

バーニング・ハートが左目に戻りながら、焔は冷静に言った。

 

 

 

スタンド名―バーニング・ハート

本体―焔(本名不明)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

アーティファクト『無限抱擁』内

 

 

「ム!」

 

『アニバーサリー・オブ・エンジェル』で飛行していた千雨は、目の前の立方体に畳とちゃぶ台を設置してお茶を飲みくつろぐ暦と環を発見した。距離は約400メートル。

 

「あんにゃろ〜〜〜くつろいでやがる………!」

『少々ムカつくな………よし千雨、作戦は練られた。後は任せな。』

「承太郎さん?」

 

承太郎がいきなりココ・ジャンボから出てくると、『スタープラチナ』で亀を掴み―――

 

 

 

 

 

「オラアッ」

ドギャァアァン

「んなッ!?」

 

暦らに向かい『ブン投げた』!!

 

「!なっ、何!?こっちに向かって何かくる!?」

「こ………この風を切る音!」

 

(ココ・ジャンボ)だぜ。ほれほれ、ジョルノも敵も防御しないとぶつかるぜ?」

「アンタ鬼かよッ!?てか重ッ!ちょ、一回休まして。」

 

亀を投げてほくそ笑む承太郎に千雨は叫ぶが、いくら剣術を扱うとはいえ女子中学生に承太郎の体重を支えられるはずがなく、近くの立方体にふらふらと不時着するのだった。

 

「この圧倒的パワー、まずい!激突するッ!」

「くっ………」

 

大リーガーの豪速球めいてココ・ジャンボが迫る中、暦は素早く砂時計のような自らのアーティファクトを取り出した。そして―――

 

 

 

 

 

ガシィイッ

「………今のは!?」

 

暦らが『何かをした』らしいが、とにかく互いにダメージを受けないままジョルノのゴールド・エクスペリエンスで着地できた。

 

「……………なるほどな。」

「あれなら、いきなりこの空間にいた事も説明がつきますね………」

「なら、やるべき事は一つだな。」

 

 

 

「これだけの結界空間を展開しておいて『幻覚』じゃあなく『出口もない』となると、魔法理論から考えて

1.術者は展開中結界内に必ずいる

2.術者を倒せば脱出できる

の二点は予測可能。」

「にゃるほど♪分かりやすいなーーーーー、後はどこにいるかってワケね。」

「な………何故私たちの居場所が………?!はっ!?」

 

ティアナとジョルノ、ミスタの三人が歩み寄る中、暦はようやく自分のマントの内側に『テントウムシのブローチ』が付いているのに気づいた。

 

「まさか………発信機!?」

「ま、似たようなモノですよ。」

「不覚………」

「こ…このお!」

 

すかさず、暦は再びアーティファクトを取り出した!

 

「アーティファクト!『時の回ろ(ホーラリア・ボル)―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドグシャアッ

「―――――ッ!?」

 

だが、それが発動するより前に、暦は『()()()()()()()()()()()()()』!?

 

「『スタープラチナ』………時は動き出した。」

「承太郎さん!?」

 

いつの間にか暦の目の前にいた承太郎は、スタープラチナで暦を押さえつけながら言い放った。

 

「遠くから見て分かった。コイツのアーティファクトは『時間操作』の能力だ。つまり、指定した範囲の時を『遅くし』、移動や防御をしていたんだ。いつの間にかこの結界内にいたのも、それが理由だ。だが、私のスタープラチナなら攻撃可能だ。」

「くっ………」

「ひとまず数百キロ転移して………」

 

暦のアーティファクトが破られたために環たじろいだが、すかさず転移しようとする。が………

 

「『ゴールド・エクスペリエンス』ッ!!」

ドッ

「!?」

 

ジョルノが素早く近づき、ゴールド・Eの拳を叩き込んだ!

 

「環ッ!?」

 

環がゴールド・Eに殴られるのを見て暦が声を上げるが、環は衝撃が()()いるのか動きがない。

 

「……………(これは?)」

 

当の環は、自分に今起きている事で頭がいっぱいだった。

今の環は、自分を含めて全ての動きが『ゆっくりなのだ』!?

 

「な………何が………!?」

「『ゴールド・エクスペリエンス』が生きたものを殴ると、生命エネルギーが注がれて感覚が『暴走する』。今彼女には動きが全て遅く感じているはずだ。」

 

正直ジョルノに説明されてもよく分からない暦だが、今環がピンチなのは分かった。

そんな時、亀の中から露伴が出てきた。

 

「さて、正直何か便利すぎて「チート」な気がするが、コレが一番手っ取り早いんでね♪」

 

そのまま身動きの出来ない環に『ヘブンズ・ドアー』で『結界を解除する』と書くと、『無限抱擁』は解除され、元の和室に戻っていた。

 

「………ふう、脱出は成功したわね。承太郎さんが亀投げた時はマジでビビったけど………」

「さて、誰の差し金かは知りませんが、『それ』を返してもらいましょうか?」

 

詠春が暦と、ようやく復活した環に語りかける。既に二人のアーティファクトは封じられているため、もはや打つ手はなかった………すると、

 

バキッバキッ

「「「ギャーースッ」」」

「!」

 

突然、恐竜が数匹部屋に潜入してきた!

 

「オラオラオラァアーーーッ!」

ドガガガァアッ

「今のうちに………」

「う、うん!」

「あっ!?」

 

恐竜は承太郎がオラオラで撃退したが、その瞬間の隙を見て二人は逃げてしまった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「くっ………」

「ああ………」

 

承太郎たちが『無限抱擁』から脱出した頃、アナスイたちはフェルディナンド率いる恐竜たちに迫っていた。

 

「くそう………」

「手こずったが、もはやこれまでのようだな。」

 

フェルディナンドが勝ち誇ったように言うと、恐竜たちに襲いかかるよう命じた!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

大礫回天撃(おおつぶてかいてんげき)ッ!!」

ドガガガァアッ

「「わーーーーーッ!?」」

 

綺初がレンガを組み合わせて作った巨大なハンマーを振り回し、ネギと明日菜に攻撃し、二人は派手に吹き飛ばされた!

 

ドサァアッ

「ぐっ………」

「フム、あちらも大分進んでいるようだな。我は足止めが任務だが、まあ、こんなものだろうな。」

 

倒れて白い息を吐く二人に対して、綺初は顎に手をあてながら言った。

 

「………は、………ははは………」

「?童、何がおかし………?」

 

だが、突然笑い出したネギを不振に思った綺初だが、気づいた。

 

 

 

 

 

(()()…………()()ッ!?)

「ははは………いえ、間に合ったらしいので安心してしまって………体を思いっきり動かしていたから、すっかり暖まって気づきませんでしたよ………息が白いのは、気温が下がっているからですよ………」

「ま………間に合ったのね………」

「ッ!童!貴様何をしたッ!?」

 

安心したように笑うネギと明日菜に、綺初は叫んだ。

 

「いや、ネギは『電話』しただけよ。さっき屋敷から『コール』しただけ。『ウェザー先生』にね!」

「ウェザーだと!?………なるほど、あやつの『ウェザー・リポート』なら気温を下げるのも可能!だが、気温を下げて何が………」

「かつて、地球上に君臨した恐竜が『絶滅』した理由には、諸説あります。」

 

綺初が疑問を口にすると、ネギが話し始めた。

 

「隕石衝突説、ウイルス説、火山噴火説、それに―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()!」

「!?ま、()()()………!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「な………何だと………ッ!?」

 

フェルディナンドは狼狽していた。

アナスイたちを襲わせようとした途端、恐竜たちがうずくまり、身を振るわせながら元の巫女さんに戻ってしまったのだ。

 

「これは………」

「『ウェザー・リポート』………本山一帯の気温を真冬並に下げた………」

「ウェザー先生!!」

 

のどかたちも驚いていると、ふいにウェザーが現れ、歩み寄ってきた。すると、アナスイが理解できたのか声を弾ませた。

 

「そうか!恐竜と言えど『は虫類』、つまりは『冷血動物』ッ!!寒さに弱いのは、当たり前だよなぁーーーーー!」

「ああ、最も発案はネギ君だがな。」

「あ………あああ…………」

 

解説しながらフェルディナンドに近づくウェザー。フェルディナンドは恐竜たちが無力化された為に青ざめて後ずさりするしかなかった。

 

「さて、こーいった能力ってのは、大抵本体は無力なんだよなぁー。」

「今までのお返ししないといけませんね、アナスイさん。」

 

コキコキと指を鳴らしながらフェルディナンドに近づくアナスイとギンガ。フェルディナンドはひぃっ、と短く悲鳴を上げると、身を怯ませる。そして、

 

「う、うわぁああーーーーーッ!」

ダッダーーーーーッ

「あ、逃げた!」

「しかも内股ですね。」

「逃がすかッ!」

 

逃げ出したフェルディナンドを追おうとするアナスイたち。だが、

 

 

 

 

 

ドッバァアッ

「がっ………ッ」

「何ッ!?」

 

突然、異形の腕がフェルディナンドの胸を貫き、フェルディナンドは血を吐いた!

 

「な………何だとォォオーーーーーッ」

『フェルディナンド、キサマハモウ『用済み』ダ。「アレ」ノ行方サエ分カレバ、モハヤ用はナイ。』

「がふっ!き、貴様は……………ッ!?」

『サッサト死ニヤガレッ!!』

ドッバァアッ

「ぐぇッ」

 

異形が腕を引き抜くと、フェルディナンドは血反吐を吐きながら倒れ込み、そのまま動かなくなってしまう。

 

「「キャァアッ」」

「ッ!?お、お前は………!?」

 

夕映とのどかが悲鳴を上げるが、アナスイとウェザーはそれどころではなかった。その異形、スタンドに見覚えがあったからだ。

 

目の部分から手すりのような部位が後ろに伸び、胸には渦巻きなどの模様、腰には羽のような腰みのが付いたスタンド………

 

「ばかな………『アンダー・ワールド』………だと………」

「ヴェ………『()()()()()』ッ!?」

『ソウダ。『レクイレム』ヤ『天国』ヨリモ『上』ノ力ガアルラシイカラナ。今日ハコレ位にシテオク。ダガ、次ハナイト思エッ!!』

 

スタンド―――『アンダー・ワールド』はそう言うと、煙のように消えてしまった………

 

 

 

フェルディナンド:スタンド名―スケアリー・モンスターズ―死亡、再起不能

 

本山の巫女さんたち

重軽傷者(主に原因は承太郎たちのオラオラ)―32名

行方不明者(後にハルナの能力で閉じこめていた所を発見)―15名

寒さで風邪を引いた者―23名

以上を含めて150名全員の無事を確認。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「せいやァアアアーーーーーッ!!」

ドグシャアッ

 

ヴィータがラケーテン・フォルムでブン殴り、『エナジー・フロゥ』を一機破壊する。だが、それでもまだ『エナジー・フロゥ』はいくつもいた。

 

「オイッまだかよッ!?」

「ちょっと待ってて。肩の辺りの装飾が不満なの………」

「速くしろ!」

 

その後方では、ハルナはスケッチブックに『スタンドのペン』で何かを描いていた。

今現在、ヴィータはハルナに頼まれて時間を稼いでいた。

 

[………何をしたいのか分からないけど、アタシも気が長い方じゃないんだ。だからッ!]

 

すずめはそう言うと『エナジー・フロゥ』のガトリング砲を発射した!

 

[やらせてもらうよッ!!]

「くっ………」

 

『エナジー・フロゥ』のガトリング砲を避けながら、ヴィータは舌を打つ。その時だ。

 

「よしッできた!!」

バシュゥウッ

[何ッ!?]

 

ハルナが叫ぶと、スケッチブックから何かが飛び出し、『エナジー・フロゥ』を三機斬り裂いた!

 

「今のは………?」

「やっぱり予想通り………」

 

そこにいたのは、騎士の鎧をまとった女性のような姿をしているが足はなく、代わりに円錐状のものが伸び、右手が大きな両刃の刀と一体化している、白黒の存在だった。

 

「思った通りね。『実在するものを模写したら絵に閉じこめる』のなら、逆に『実在しないものを描いたら、絵から出てくる』わよねッ!!」

[何………ッ!?]

「なるほどな………」

 

と、すずめが驚愕しヴィータが感心していると、しばしヴィータが考えたように顎に手を当て、口を開いた。

 

「よし、決めた。」

「何を?」

「お前のスタンド、『ペンのスタンド』というよりは『絵画のスタンド』という方が正しいかもしれない。それ故に名付けよう。お前のスタンド、これからは『ドロウ・ザ・ライン』と呼ぶと良い!」

 

シンプルながら、その力強い名前をハルナは気に入ったように笑顔を見せた。

 

「よしッこのまま行くぞッ!!」

「おうよ!」

 

そのままヴィータはアイゼンを振りかざし、ハルナは描いたスタンド、名付けて『剣の女神』を向かわせた!

 

 

 

 

 

早乙女 ハルナ

スタンド名―ドロウ・ザ・ライン

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「なるほど、これで恐竜たちは無力化したわけですか………しかし、現状は変わらないですよ?」

「くっ………」

 

炎があちこちから上がる森の中、焔が冷静にスバルに言い放つ。

 

「悪いですが、あなたたちをココから先に行かせません!」

 

そして、そのまま左目をかっと見開いた!

 

その瞬間、焔の左目からまるで固まったマグマのような体表に、所々ひび割れて赤いマグマのように光り、目の辺りはつり上がった稲妻型のひび割れがあり、腰から下はなく紐のようなもので左目の瞳孔と繋がっているスタンド『バーニング・ハート』が飛び出した。

 

『バーニング・ハート』がスバルにその手を触れようとした、その瞬間―――

 

 

 

 

 

ドンッ

「「ッ!?」」

 

二人の目の前に巨大な『手裏剣』が現れ、『バーニング・ハート』はスバルに触れる前にその手裏剣に触れた。

 

ゴウッ

「!?」

ドロォオ………

「何!?」

 

その手が触れた瞬間、手裏剣の一部が真っ赤に燃えて溶けてしまった。

 

「何と………鉄製の手裏剣を溶かすとは………」

「長瀬さん!?」

 

すると、不意に近くの木陰から楓が現れ、『バーニング・ハート』の熱に感心しつつ、スバルの側に立った。

 

「い、いつの間に………」

「いやぁ、ウェザー先生たちが向かうのに、コッソリ付いて来たでござる。拙者の『夢幻』ならば、可能でござる♪しかし………」

 

楓は溶かされた巨大手裏剣を見て、あごに手をやって考えた。

 

「あの熱量………いや、もしやその能力、『自然発火』では?」

「え?」

「理科は割と得意な方なのだが、ものには『燃える温度』があると聞く。お主のスタンドは、一瞬でその温度にする能力と見た。」

 

一瞬で手裏剣を溶かした能力に、楓がその能力を分析した。すると、焔が感心したようにほう、と呟いた。

 

「………なるほど、中々の分析力ですね。その通りです、私の『バーニング・ハート』は、触れたものを一瞬で燃やす『自然発火』の能力です。そのスピードは、銃弾に匹敵します。」

 

焔が未だ余裕そうな風に言う。

 

「ナカジマ殿、ココは拙者にお任せを。」

「え?で、でも………」

「拙者の能力ならば、あやつに十分対抗できる。だから。」

「う、うん………気をつけてね………」

 

楓にそう言うと、スバルはその場を走り去った。

 

 

 

焔―スタンド名:バーニング・ハート

VS

長瀬 楓―スタンド名:夢幻

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「貴様ら、中々やるではないか!だがァア!」

 

綺初は叫ぶと、『アンチェイン・ワールド』で殴りかかる!だが………

 

 

 

 

 

「『ハイ・ステッパー』ッ!!」

ドグシャアッ

「何ッ!?」

 

突然、飛んできた『何か』によって、振るわれたアンチェイン・ワールドの拳を打ち砕いた!

 

「大丈夫ですか!?」

「そ、奏汰さん!」

 

跳んできたのは、『ハイ・ステッパー』を纏った篤緒 奏汰であった。

 

「すいません、総本山の騒ぎに乗じて鏡史郎さんが逃げようとしたので、それを追っていたら……今は、レプラさんが見張ってますので………」

「何だ()()?童どもの仲間か?」

 

奏汰は説明をしたが、綺初が『小娘』と言ってしまうと、顔に影が落ちる。2人は「あ……」と息を呑む。

当の奏汰は薄ら笑みを笑うと、

 

「………2人とも、ここはボクに任せてください。」

「え?で、でも………」

「時間がないので。」

「「アッハイ。」」

 

2人は短く返事をすると、その場から去った。

 

「待て!」

 

綺初は逃がすまいと『アンチェイン・ワールド』の拳を再構成して殴りにかかる。しかし、それよりも先に奏汰が飛び出し、その細い足を蹴りつけた!

 

「うおおッ!?」

 

バランスを崩した『アンチェイン・ワールド』から落ちてしまう綺初。アンチェイン・ワールドは綺初に倒れ掛かるが、すぐさま分解して難を逃れた。

 

「あなたの相手はボクだと言ったはずですよ?」

「コイツ……!」

「後、一つ言っておきます。」

 

奏汰はにたりと笑いながら、綺初に近づいて行った。

 

「ボクは男ですよ。」

「えっ!?」

 

 

 

 

 

『鬼神』復活まで、残り十数分………

 

 

 

 

 

←to be continued...




65話です。

・サブタイトルは『柱の男蘇生実験』から。

・『重力炸裂弾』はルル・ベルの能力から思いついた技。ただ、自分も防御しないと危ないです。

・焔はスタンド使いにしました。バーニング・ハートはシンプルに『自然発火』の能力。でなければ鉄を一瞬で燃やせません。

・承太郎たち脱出。正直露伴便利すぎ(汗)京都編のみの登場だから良かったけど………

・恐竜の無力化にウェザーを活用。今回は『相性』が戦いの鍵によくなるなぁ(笑)
そして『アンダー・ワールド』登場。ヴェルサスは最初から出す予定でしたが、今回は顔見せのみです。

・ハルナのスタンド『ドロウ・ザ・ライン』真の能力。元々『描いたら実体化』の逆を考えていて、それを組み合わせたのがこのスタンドです。

・楓VS焔。次回は楓の『夢幻』が本格的に登場予定です。

では、次回をお楽しみに!

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