ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#59/リード・マイ・マインド ③

バッキィイッ

「うおっとッ」

「た………助かったの?でも、一体何が………?」

 

突然、自分たちを締め付けていた木の根が折れて解放された明日菜とスバル。

締められていた場所をさすりながら、訳が分からないという顔で呟いたスバルは、ふと、木の根の根元に、何かいるのに気づいた。

 

それは………

 

「キキッ」

「キキキッ」

「……………び………」

「ビーバー………?」

 

そう、「ゲッ歯目ビーバー科」に属する動物『ビーバー』が、3匹ほどいたのだ。どうやら、このビーバー達が木の根をかじって折ったようだ。

何でビーバーがこんな所にいるのだろうと思った瞬間、ビーバー達は体を丸めたかと思うと、その体表を()()()()()()に変えていき、1秒もしない内にゴトリ、と音を立てて『石のブロック』になった。

 

「ビーバーが石に!?まさか、スタンド!?」

「えっ?(何………?この感じ?前にも感じたような………)」

 

明日菜がビーバーに驚愕する中、スバルは『ある感覚』に捕らわれていた。そう、『そこに誰かいる』ような………そんな感覚に………

 

「『ゴールド・エクスペリエンス』…………石の柱に生命を与え、ビーバーにした………」

 

不意に、調の背後から声がした。

ふと見ると、いつの間にか康一と、金髪の前髪を三つのカールにした男がいた。

その背後には、まるで競輪のヘルメットを被ったような頭に肩には翼の飾り、そして腰や手の甲に施されたテントウムシの装飾が特徴的な金色のスタンドが立っていた。

 

「こ、康一さんと………?」

「えと………隣のあなたは………?」

 

 

 

「………ジョルノ…………ジョルノ・ジョバァーナだ。」

 

 

 

 

 

#59/リード・マイ・マインド ③

 

 

 

 

 

「ちぃ!このデカブツ………!」

 

ガリューと合流し、小太郎と対峙するネギ。ガリューは格闘で小太郎の動きを制し、その隙にネギが『魔法の射手』で攻撃するという前衛と後衛の戦法で徐々に追い詰められていた。

 

(攻撃しようにも、コイツ結構できるし………出し惜しみしとる場合やないな!)

 

小太郎はガリューから距離を取った。すると、小太郎の足元の影から爆ぜるようにして黒い狗が何匹も出現した!

 

「え!?」

「…!?」

 

突然出現した黒い狗に驚くネギとガリュー。しかし、狗たちは構わずに迫ってくる!

 

「うおらァアッ!!」

ドガッ

「「!?」」

 

ネギたちが狗に対処している隙をついて、小太郎はその拳をネギに叩き込み、ガリューの首筋に蹴りを突き刺した!

 

「はっはー!どうや!『狗神(いぬがみ)使い』のおれの戦法や!」

 

小太郎が勝ち誇ったように言う。倒れていた2人が起き上がるのを見ると、狗神たちに追撃させる!

 

「ガリュー!」

「え!?」

 

その時、ガリューに追いついたルーテシアが走って来た。ルーテシアに気づいたらしい狗神の数体がそちらに迫った!

 

「あ!?」

「お、オイコラお前ら!?(アカン!急に出てきたからアイツらの制御が効かん!!)」

「あ、ル、ルーテシアさん!」

 

狗神の制御が出来ないことに焦る小太郎であったが、狗神たちは驚くルーテシアに容赦なく向かってくる!

 

 

 

バキンッ

 

 

 

「「「キャイーン!!」」」

「!?」「え!?」

 

だが、狗神たちが噛みついたその時、()()()()()()()がしたかと思うと、狗神たちは悲鳴を上げて消滅した!?

小太郎とガリューが呆気に取られているが、ルーテシア自身も何が起きたのか分からない様子であった。

 

「い、今のは………」

「……?…!?」

 

しかし、ネギは見ていた。狗神たちがルーテシアに襲いかかった時、ルーテシアの身体を()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(今のは、間違いなく()()()()!ルーテシアさんが『スタンドを見る事が出来る』のは知っていたけれど、まさか彼女自身がスタンド使いだったのか………!)

「な、何や?今何が起こったんや………!?」

 

ネギが考えていると、隣の小太郎が混乱した声を出した。それを聞いてはっとしたネギは、直ぐに行動に出た。

 

「今だ!魔法の射手(サギタ・マギカ)雷の11矢(セリエス・フルグラーリス)!!」

「あ!?」

 

小太郎が気づいた時には、ネギの放った魔法の射手が目の前に広がっており、「あ、これ避けるのも防ぐのも間に合わないな……」と思った………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

一方、ノーヴェとブチャラティは鏡史郎の『リード・マイ・マインド』が化けた『クレイジー・ダイヤモンド』のラッシュから逃れていた。

 

(やつの言う『制限時間』がどれくらいなのかは分からない………だが、制限時間が来たとしても、また他の記憶を読み取られてスタンドに化けられる…………意外と厄介だな……………)

 

ブチャラティがそう分析するが、手はない訳ではない。

 

(こーいったスタンドは、本体を叩けばいいんだが………今のヤツのスタンドは『近接パワー型』………迂闊には近づけない…………)

「やっぱ………一筋縄じゃいかないな…………」

「へッ!さっきまでの威勢はどーしたよォ!?」

 

ノーヴェの呟きを聞き取ったのか、鏡史郎が挑発するように言うが、内心ではホッとしていた。

というのも―――――

 

 

 

「くらいやがれェッ!!」

グォオオッ

「来たッ!?」

(は………速い………?右か!?)

 

ノーヴェがそう考えた瞬間―――――

 

「左です!ノーヴェさんーーーッ!!」

「「!?」」

ドガァッ

「な……………何ィッ!?」

 

突如響いた声に、2人は素早く飛び退いた!

 

「い………今のは……………?」

「行け!『セックス・ピストルズ』ッ!!」

ガンッガンッガァアーーーッン

「銃声ッ!?」

『『『イイイーーーーーーッハァァァーーーーーーーッ!!』』』

「!?ピ……………ピストルズッ!?」

 

次に聞こえたのは銃声だ。後、何やら甲高い声が3つ聞こえ、そのまま弾丸が通り過ぎるのが目視できた。

 

「――――ちッ」

ガキンッガキンッガキンッ

 

だが鏡史郎はそれに臆することなく、弾丸を弾いて防御した。

 

「………ちっ、弾いたか…………」

「あれは…………クレイジー・ダイヤモンド!?」

「うわっとォ!?」

 

ふと、自分たちの背後から声がしたかと思うと、鏡史郎の頭上から火球が迫るが、鏡史郎はとっさに避ける。

 

「ホンヤとアギトか!」

「ノドカ……………そ………それにお前は……………ッ!?」

 

2人が、声がした方を見ると、そこには『(アーティファクト)』を開いたのどかとアギト、それに――――――

 

 

 

 

 

「よお、久しぶりだな、ブチャラティ。」

「何かコイツ等、お前の知り合いなんだって?」

 

徐倫と、拳銃を構えたニット帽の男―――グイード・ミスタがいた。

 

「ミスタ…………何故お前が…………!?」

「ブチャラティ、再会を喜ぶのは後だ。今はコイツをブチのめすんだろ?」

「ちィッ、援軍かよォ!」

ゴオッ

「あッ!右ですノーヴェさん!」

ブオンッ

「何ッ!?」

「上ッ!!」

ドガァッ

「うりゃッ」

ゴスゥッ

「ぐあッ!?クソォォォッ!!」

「み………右うしろ回し蹴りだそうですーーーッ」

ゴオッ

「なッ………!?何でェ……………!?」

「アリィイッ!!」

「ウリィィャアッ」

ドグシャアッ

「ぐえぷゥッ!?」

 

鏡史郎は次々にクレイジー・ダイヤモンドの攻撃を繰り出すが、のどかのサポートを得たノーヴェとブチャラティにことごとくかわされ、あまつさえ反撃を喰らってしまった。

 

ドロロロォォ

「!腕が………」

「ちィッ………もうそんなにたったのかァッ!!」

 

と、突然『クレイジー・ダイヤモンド(リード・マイ・マインド)』が溶け始めた。時間切れが近いらしい。

 

「クソゥ………(あのガキ………オレの攻撃が全部読まれた………そんなヤツがいるなんて、あの女から聞いてねェーぞ…………いや、今はそれよりも、新しいスタンドを仕入れにゃァな………ん?)」

 

ふと、鏡史郎は徐倫を見た。

 

「(そういやァ確か、あのガキの親父『時を止められる』んだったなァ………こうなりゃ、一か八か――――)『リード・マイ・マインドッ!!』そのガキの記憶を読みとれェッ!!」

ドロロロォォ

「何ィッ!?」

「何だこいつはーーー?」

 

鏡史郎が叫ぶと、『クレイジー・ダイヤモンド』だった『リード・マイ・マインド』は再び銀色の液体金属のような姿になり、徐倫に迫り、徐倫の足に引っ付いた!

 

「ジョリーン!そいつはふれたヤツの記憶を読み取って、そいつが過去に出会ったスタンドに化けるぞッ!それに、姿だけじゃあなく、能力まで再現しちまうッ!!」

「何ッ!?」

「そんな………まさか『スタープラチナ』を!?―――――あれ?」

 

『リード・マイ・マインド』の能力に戦慄する徐倫たちだが、ふと、のどかは手元にある鏡史郎の心を読んでいた「いどのえにっき」を見た。そこには――――――

 

 

 

「さあッその姿を見せろッ!!『リード・マイ・マインド』ォォォーーーッ!!」

 

そして、『リード・マイ・マインド』はその姿を再び変え始めた。その姿は―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トマトに顔と腕が付いたような、ちいさな群生型スタンドだった。

 

「「「「…………は?」」」」

「…………………」

「パ………………『()()()()()()()』……………?」

 

そのスタンド―――「パール・ジャム」を見た一同は、あっけに取られた顔をし、鏡史郎も、叫んだ顔とポーズのまま固まっていた………

 

「あのー…………」

 

そんな入り辛そうな場に、のどかが手を挙げて声を出した。

 

「な、何かその人、どのスタンドになるかは自分で決められないそうですーーー……………」

「………つまり、どんなスタンドになるかは、ランダムで決まるって事か……………?」

 

ミスタの問いに、のどかは小さく頷いた。そんな中、鏡史郎は汗をダラダラ流して、「は………ハハハー……………」

と、力なく笑い、

 

「……………んじゃァ、オレはこれで失礼をば―――――」

「「「待てや。」」」

ガシィッ

 

背を向けて逃げようとしたが、ミスタ、ノーヴェ、徐倫に止められた。

 

 

 

☆数分後★

 

 

 

ズッタンズッズッタン!ズッタンズッズッタン!

 

「ンゴォおおおォォォォーーーッ」

「――――どッ、どどどどうやらこの人、ヴィオレッタさんに雇われたスタンド使いさんらしいですーーー………スタンドは、数日前発現したそうですーーー……」

「ヴィオレッタに関する情報は?」

 

ズッタンズッズッタン!ズッタンズッズッタン!

 

「ゥんがァアアアーーーーーーアァッ!」

「ややややや雇われただけだから、何を計画してるとかは、全くらしいですーーー……………」

「そうか………」

 

ズッタンズッズッタン!グイン!グイン!バッ!バッ!バッ!バッ!

ズッタンッズッズッタン!

 

「ンんガァァァァァァーーーーーーッ」

「あ、ででででもー、ここからの脱出方法は分かりましたーーー。ネ、ネギ先生たちと合流しましょうーーー………」

「分かった。おーいお前らー、もういいぞーーー?」

「え?もういいの?」

 

鏡史郎を「拷問」していたノーヴェが、徐倫に聞いた。

その顔は、どこかやりきった感にあふれていた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ジョルノ・ジョバァーナ?(そのような方の情報はなかった…………後の一人は、確か『重くするスタンド』使い………)」

 

突然表れたジョルノ・ジョバァーナと名乗った青年は、康一と共に調と一定の距離を置いていた。

 

「大丈夫、スバルちゃんたち?」

「えっ、うん、平気。ちょっとアザになっただけ…………」

 

心配そうに声をかける康一に、明日菜は大丈夫と答えると、スバルは康一に話しかけた。

 

「康一さん、あの人は特殊な「音波」で、物質を破壊します。それに、さっきの木の根も要注意です!」

「『音波』………?」

 

康一はスバルのアドバイスをオウム返しすると、しばし考える仕草を見せ、不意にニヤリと笑った。

 

「なるほど………ありがとう、スバルちゃんのお陰で、何とか勝てそうだよ!」

「えっ……………?」

「………ほう、私に勝つおつもりで?」

 

不敵な笑みを浮かべる康一に対し、調は小馬鹿にしたように聞き返す。

康一はジョルノに目をやると、ジョルノは『ゴールド・エクスペリエンス』で殴りかかった!

 

「ゴールド・エクスペリエンスッ!!」

ゴォッ

「………甘い!」

 

だが、ゴールド・Eの拳に臆せず、調は弓を走らせて『音波の壁』を作り防御する。

 

「音!これがあの少年の言っていた彼女の能力かッ!」

「分かってくれて光栄です!」

 

言うや、調は再び弓を走らせ、ジョルノの足元の石畳を破壊する!

 

「くうっ!」「ああッ………」

 

たまらず飛び退くジョルノ。次いで調は、康一に向かい音波を放つ!

 

ゴガァッ

「うわっと!」

「康一さん!えっと、ジョルノさんッ!!」

 

スバルが悲痛な叫びをあげる中、康一は『エコーズ』を出した。だが、2人は疑問を持った。

康一の身体から出たエコーズは長い尻尾を持った幼虫のような姿をしており、一昨日見たものとデザインが違うのだ。

 

「行けッ『エコーズACT1』ッ!!」

 

康一が叫ぶと、エコーズはなにやら『文字』のようなモノを、調に向かい投げつけた。不意を突かれたのか、調は防御が間に合わず、それを喰らってしまった。

 

「くうっ………?」

 

だが、特に傷ついた様子はなく、ダメージはないようだ…………

 

「…………ふう、なにかと思えば……………何もおこらないじゃないですか……………悪あがきはお終いです!」

 

言うと、調はバイオリンの弓を走らせる―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………………………………?」」」

 

だが、いつまでたっても何も起こらない。不思議に思ったネギたちはあたりを見渡し、ジョルノは感心したような顔をし、康一は不敵にニヤリと笑っていた。

 

「な!?どうなっている!?何故何も起こらないッ?わ………私の狂気の提琴が……………!?!?!?」

ギーコギーコギーコギーコ

 

一番訳が分からないようなのは調だ。自らが自信を持つ音波攻撃が、急に発動しなくなったからだ。調はパニックになったのかひたすらに弓を走らせるが、下手くそなバイオリンの音が鳴るだけだ。

康一は「してやったり!」と言うような笑みを浮かべる。

 

「甘くみたね。僕の『エコーズ』は、重くする以外にも能力があるのさ!」

「なッ!?バカなっ!スタンドは『一人一能力』のはずッ!?」

「ああ。だが、僕の『エコーズ』は、「成長」するスタンドなんだ。成長する度に、能力も『変化するッ』!!今の『エコーズACT1』の能力は、「音を染み込ませる能力」でね。さっきの一撃から、『君の音波の波長』を調べて、その音を『バイオリンに染み込ませて』もらったよ!!」

 

「音波の波長」と聞いて、調ははっとした。

 

「ま……………まさか……………お、………同じ『音波を当てて、打ち消した』と言うのッ!?」

 

騒音公害の対処法のひとつに、『消音スピーカー』というものがある。

騒音源の音を拾い、それと逆相になるような音を作りスピーカーから出力し、結果的に打ち消しあって「騒音レベルを下げる」ことを目的としたものであり、「ノイズ・キャンセラー」ともいう。

先ほどのスバルもこれと同じ原理で、似たような音や振動波を当てれば打ち消される訳だ。

 

「でも、スバルが『発動後に打ち消した』のに対して、康一さんは『発動前に打ち消した』!つまり!!」

「あの子の音波を………完全に封じた………………!」

 

明日菜たちが感心する中、調は青ざめていた。だが、不意にふっ、と笑うと…………

 

「だがッ、私にはまだこれがッ!!」

 

調がそう叫ぶと、周囲から無数の木の根が表れた!そして、それらは一斉にからみつき、調を縛り上げた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、調()()()()()()()()()

 

「!?!?がっ!?こ……………これはッ!?!?!?」

「ものに『生命』を与え、新しい命を生み出す……………それが『ゴールド・エクスペリエンス』!石畳に『生命』を与え、木の根にした……………」

「わッ……………私よりも先に木の根を……………!?」

 

締め付けられ苦しみながらも、調は声を絞り出した。その声は、絶望に染まっていた………

 

「さ………最悪の相性ね……………」

「『音』も『植物』も……………完全に封じるとは……………」

「さて、もはやキミの再起不能は確実だが………一応『ダメ押し』をしておこう……………まあ、それ位の「覚悟」を持ってかかってきているんだろうしな。」

「あ………あああああ……………」

 

ジョルノはそう言うと、ゴールド・エクスペリエンスの拳を振り上げ――――――

 

 

 

 

 

「いやあああああァァァァーーーッた、助けてルミ――――」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァアアーーーーーーーーーッ!!」

 

せめてもの情けなのか、調の顔を一切狙わないジョルノのラッシュが、調にたたき込まれた………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ズシャァアアアッ…………

 

オットーのバインドが外され、千雨から受けた傷でディードが倒れ込んだ。

 

「…………い、一応手加減はしたが……………」

 

少し焦った様子で呟く千雨だが、ディードの手には未だアヌビス神の妖刀が握られていた。

 

「だめだ………まだ握っている……………」

「さっさと刀を破壊しなきゃ、また来るな………………」

 

千雨がそう呟いた時……………

 

「―――なるほど、オットーが攻めてくるのを想定していなかった……………だが、もう『憶えた』!」

「「!!」」

 

アヌビス神が、ムクリと起き上がった。

 

「だが、オットーの戦闘は、すでにディードの体が憶えている!もうその手段()は絶対に、絶対に絶対に絶っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対に喰らわんッ!!」

 

言うと、アヌビス神は再び『エターナル・ブレイズ』を発現し、構えた。

 

「ちっ、(出来ればやりたくなかったが、こうなりゃ仕方ねぇ………)オットー、今からちょっと『ショッキング』な事するから、目を塞いどけ。」

「………悪いけど、それは出来ないよ。何としてもディードを救うと決めたんだ。」

 

オットーのその言葉を聞き、千雨はやれやれとため息をついた。そして、右手で『突き』の構えを取った。

 

「―――行くぞッ!」

「応ッ!!」

 

言うや、2人は同時に地面を蹴った!

千雨は右手で突きを放つ。

狙いは――――アヌビス神の妖刀が握られている、ディードの『左手』!!

 

(腕にダメージを与えて………アヌビス神を手放させる気か!)

(甘いわ千雨ッすでに貴様の間合いは『憶えている』!その距離からでは!私の左手には届かんッ!!)

 

千雨の小太刀の長さは約60センチ。

それに千雨の腕の長さを含めても、今の位置からディードの腕を突くのは不可能だと、アヌビス神は考えた。

 

だが、

 

 

 

 

 

ググーーーーーン

「なッ……!?」

「ニャニィッ!?」

 

千雨の腕が急に手元でグーンと()()()!?

 

ドスゥウッ

「ゲッ!」

 

間合いがのびた為に、アヌビス神は腕にダメージを受ける!

 

「な…………何だ?……………今のワザは……………?」

「……………誰が教えるかよ。」

 

腕の長さが戻った千雨は、『エターナル・ブレイズ』を解除して崩れゆくアヌビス神に向かい呟いた。

再びディードは倒れ、アヌビス神の妖刀は地面に突き刺さった

 

「こ……今度こそ終わったのか………?」

「ああ。だが、アヌビス神はまだ生きている。どーにかしないと、また襲ってくるな…………」

 

「エンゼル」を解除した千雨とディードに駆け寄るオットーは、さてどうしたものかと考える。

地面に突き刺さったアヌビス神を抜けば、操られるのがオチだ。

オットーの『レイストーム』なら破壊出来るだろうが、「折れた刀身」でも行動できるやもしれない。

 

2人が悩んでいると、不意に声をかけられた。

 

「いやぁ〜〜〜〜〜〜〜、影から見ていたが、なかなかいい勝負だったねぇ〜〜〜」

 

出てきたのは露伴と、亀を持った女性だ。

 

「!ろ、露伴先生……………」

「こんな所まで着いてきたのかよ……………ホント、漫画の事になると――――!」

 

と言いかけて、千雨はあることを思いついた。

 

「露伴先生、ちょっとお願いがあるんスけど――――」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

地面に突き刺さったアヌビス神は、誰かが自分を引き抜いたのに気がつき、早速操った。

 

「――――む?この体は………オットーか!?意外にも間抜けなヤツだなぁーーーッ妹と同じ目に遭うとはッ!!」

 

オットーの間抜けぶりにあきれながらも、アヌビス神は早速千雨を発見した。他に2人いるようだが、関係ない。

 

「千雨、貴様のあの技の原理は知らんが、確かに憶えたぞッ!!次こそは――――」

アヌビス神が言い終える前に、千雨の隣にいた男が手を上げた。そして―――

 

 

 

 

 

「ヘブンズ・ドアーッ!!」

バァアーーーーンッ

 

瞬間、オットーの体が本のように『めくれた』!

そしてそれは、アヌビス神の妖刀にも進行していき、そのままアヌビス神もろとも吹っ飛んだ!

 

(なッ!!何だ今のはッ!?あいつのスタンド能力かッ!!)

「いくら『スタンドが取り憑いている』とはいえ、無機物に僕の『ヘブンズ・ドアー』は通用しない………だが、肉体を乗っ取って、意識が人間側に表面化している状態であるならば、アヌビス神!お前に通用するというわけだ………」

 

アヌビス神が驚く中、男―――岸辺 露伴はアヌビス神に近づき、アヌビス神のめくれたページに、こう記した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()。』

 

 

 

 

 

アヌビス神――――再起不能。

この後スバルが柄に「京都」と書いて、シグナムへの土産にした。

はやてによると、たまにレヴァンティンやザフィーラと『会話』しているらしい。

 

ディード―――救出成功。

千雨が手加減したお陰か、命に別状はなかった。

 

宮崎 のどか―――ノーヴェたちが行った『拷問』がトラウマになった。

 

富良野 鏡史郎・犬上 小太郎―――徐倫の提案で連行される。

再起可能

 

 

 

←to be continued...

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

気がつくと、調はベッドに横たわっており、側には『あのお方』がいた。

 

「ル………ルミリオ………様……………」

「気がついたかい、調?まさか、キミが敗北するなんてね………」

 

ルミリオと呼ばれた少年が調の頭を撫でながら言うと、調は恥ずかしそうに眉を下げた。

 

「申し訳ございません………油断しました……………」

「仕方ないさ……………まさか()()が出てくるなんて、ボクにも予想できなかった……………彼女(ヴィオレッタ)には、ボクから伝えておこう。キミは、ゆっくり休むと良い。」

「………はい。」

 

調が頷くと、ルミリオは部屋を後にした。

 

 

 

調―――再起可能

 

 

 

 

 

←to be continued...




59話です。

・小太郎戦は少しアッサリ気味……ルーテシアのスタンドの鱗片を見せるためとはいえちょっとカワイソーだったかも……

・鏡史郎の『リード・マイ・マインド』の弱点は、「運任せ」という事。能力は恐ろしいですが、微妙に使い勝手悪いです………
拷問のアレは言わずもがな(笑)

・調(音波+植物)VS康一(音)+ジョルノ(生命)は、相性最悪な戦いに………『ノイズキャンセル』を知ったときに、康一VS調をやりたいなぁと考えて実現した戦いです。

・アヌビス神戦決着。千雨の最後のアレは『波紋』の代名詞である『ズームパンチ』の応用です。アヌビス神の末路は、最初から考えてました(笑)

・最後に出てきた『ルミリオ』は、『ネギま』のフェイト・アーウェルンクスです。『なのは』の方のフェイトと被らないために改名しました。どことなく漂う格好良さが彼らしいでしょ?(笑)
名前はトヨタのカローラルミオンから着想しました。

では、次回をお楽しみに!

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