ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#58/リード・マイ・マインド ②

ネギ・スプリングフィールド+神楽坂 明日菜+スバル・ナカジマ VS.調+犬上 小太郎

 

 

「ほな、手筈通り頼むで。」

「はい。あなたは、あの少年をお願いします。」

(なんか、あの子の声どっかで聞いたような………?)

 

スバルが首をかしげていると、調と名乗った少女が前に出た。

 

「…………では、『演奏』を一つ……………」

 

「何が演奏よっ!てか、アンタ声ちっちゃいのよッ!!」

(あのバイオリンの能力…………音による『催眠』?あるいは「幻覚作用」?)

 

バイオリンを構えた調と対峙するネギたち。あのバイオリンは『アーティファクト』だ。ただの楽器な訳がない。スバルたちが調のアーティファクトについて考えを巡らせる中、調は弓を弦にかけ、引いた。

 

ギギィイーーーー♪

「「「「………って下手なんかい!?」」」」

 

あまりの下手さにズッコケる3人と小太郎。

その時だ!

 

ゴカァッ

「「「ッ………!?」」」

 

近くにあった石の手すりが、粉々に『破壊』された!

 

「い………今のは…………?」

[特殊音波による、純粋な『物理攻撃』です!]

 

スバルの呟きに、マッハキャリバーが応える。

 

「よく分からないけど……要するに、ただの下ッ手くそな演奏じゃないってわけね…………?」

「まあ、そういうワケです。では、もう一曲……………」

「「ヤバっ!?」」

 

明日菜とスバルが声を上げるのに構わず、調はバイオリンの弓を走らせると、周囲の石畳が砕け周囲を土埃が舞う!

 

「ぅオラァッ!!」

「うわッ!?」

 

土埃に一瞬隙ができると、それに紛れて少年がネギに殴りかかってきて、そのまま押し通す!

 

「ネギくん!!」

「あなた方の相手は私です!」

ギャギギギィーーー♪

 

駆け寄ろうとした明日菜とスバルであったが、調の攻撃で動くことができない!

 

「し、しまった!」

「分断された………!」

 

ネギが遠ざかっていくのを見て、2人に焦りの色が見えた………

 

調(本名不明)

アーティファクト:狂気の提琴(フィディクラ・ルナーティカ)

 

 

 

 

 

#58/リード・マイ・マインド ②

 

 

 

 

 

ブチャラティ+ノーヴェVS.『エアロスミス(?)』

 

 

ネギたちが調と対峙している一方、ブチャラティとノーヴェは『エアロスミス』の砲撃から逃げていた。

ノーヴェのシールドで何とか防いではいるが、『エアロスミス』は尚も追尾してくる。

それを見て、ブチャラティは疑問を浮かべた。

 

 

「………妙だな…………攻撃が『正確すぎる』……………?」

「ん?それがどうしたんだ?」

 

ブチャラティの呟きに、ノーヴェが聞き返す。

 

「いや、『エアロスミス』は『CO2(二酸化炭素)』を探知して「遠隔操作」できる分、攻撃は大雑把になってしまうんだ。それがこんなに『正確に攻撃してくる』という事は……………」

 

エアロスミスの砲撃をかわしつつ説明するブチャラティ。そこまで聞いて、ノーヴェは気づいた。

 

「!そうか、敵は『近くにいる』ってワケか!」

「ああ……………む!そこかッ!」

 

人影に気づいたブチャラティは、先端が尖るよう竹にジッパーをひっつけると、それを開いて『竹やり』にした。そしてそれを握りしめ、

 

「『スティッキィ・フィンガーズッ』!!」

ドシュゥウ

 

やり投げのように投擲!エアロスミスが慌てたように竹に集中放火するが、竹の勢いは止まらず、

 

ドスゥッ

「うおっ!?」

 

地面に突き刺さると、その近くからチンピラ風の男が出てきた。ブチャラティたちとの距離は、大体15mほどだ。

 

「お前が本体か!」

「……………ちっ、バレちゃぁしかたねェ。おうよ、オレが本体だ。名前は、富良野 鏡史郎(ふらの きょうしろう)。」

 

鏡史郎が名乗ると、ブチャラティは鏡史郎を睨みつけた。

 

「何故、お前が『エアロスミス』を扱える?それは、死んだ俺の仲間のスタンドだぞ…………?」

「へぇ、そうなんかぃ。知らなかったねェ~~~~~。」

 

鏡史郎のふざけた態度に、ブチャラティとノーヴェはイラッとする。だが鏡史郎はそれにも構わず、エアロスミスを突っ込ませた。

 

「喰らえッ『エアロスミス』ッ!!」

 

鏡史郎が叫ぶと同時に、エアロスミスは砲撃を放つ!だが、

 

ドロロォォオオ………

「「!?」」

 

エアロスミスの弾が当たる前に、エアロスミスと、放った弾丸がドロドロに『溶けた』!?

 

「ちィッ、()()()()か!ツいてねェなァ!!」

「時間切れ………?」

 

鏡史郎が悪態をつくのを見て、ノーヴェは聞き返した。すると、エアロスミス「だった」銀色の液体が、ノーヴェに付着してきた!

 

「うわッ!な、何だぁぁーーーー!?」

 

驚くノーヴェだが、液体はみるみる内に形を変え、やがて、人型となった。それは力強い印象を持つ筋肉質な身体にメタリックブルーのプロテクターを身につけたようなデザインで、兜の頭頂部や肩などのいたるところにハートマークがデザインされ、首から肩にかけて『動力パイプ』らしきものが六本つながっているスタンド………

 

「クッ……………『()()()()()()()()()()()()』ッ!?」

 

仗助のスタンド、『クレイジー・ダイヤモンド』だった!?

 

「ほゥ………こりゃ()()()引いたかなァ♪」

 

鏡史郎が言うと同時に、クレイジー・ダイヤモンドが拳を振るった。とっさに2人は避けるが、ブチャラティの服の袖がパックリと切られた。

 

「……………なるほど、さっきは『オレに触れた』訳か………」

「何……………?」

 

切れた袖を見た後にブチャラティが呟くのを聞いて、ノーヴェは先ほどの状況を思い出す。

 

「(確か、さっきの『エアロスミス』は、ブチャラティの仲間のスタンド……………という事は――――)ふ……………『触れた人間が過去に出会ったスタンドに化ける』能力…………!」

 

ブチャラティの言葉から、鏡史郎のスタンド能力を推測したノーヴェ。確かにそれならば、先ほどの「時間切れ」という言葉にも納得がいくし、死んだ人間のスタンドに化けたのも説明がつく。鏡史郎はヒュウ、と口笛を吹いた。

 

「へェ、オレの能力に気づいたかァ……………そうだ。オレの『リード・マイ・マインド』は、さっきの「銀色の液体金属」みたいな姿が本当の(ヴィジョン)だ。誰かに触れないと、その姿を作ることができねェ訳よォ。後なァ……『姿形を変える』だけじゃあねェぜ〜〜〜〜……」

 

2人は最初、なんの事か分からなかったが、気づいた事があった。

 

「『能力』も、再現出来るんだぜェーーー?」

 

パックリ切れていたはずのブチャラティの袖が、『直っていた』………

 

 

 

 

 

  本体名:富良野 鏡史郎

スタンド名:リード・マイ・マインド

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

長谷川 千雨VS.アヌビス神憑依ディード

 

 

「ウッシャァァアアアアッ!」

「ぐっ、…………ウォォォオオオオアアアア!」

ガギギギギギギギギィィイイ………ン

 

アヌビス神の刀とツイン・ブレイズで連続に切りつけてくるアヌビス神に、千雨も負けじと小太刀を振るう。だが、攻めるアヌビス神に対し千雨は防戦一方といった感じだ。

 

「ちぃっ……(こいつ………今までで一番の太刀筋だ…………これまで私とやりあって、その中で着実に進化していったのか…………けど!) だからってェ!!」

シュピィィイイン

「!?」

「消え……………?」

 

瞬間、アヌビス神とオットーは、千雨を『見失った』!?

 

「―――――どこ見てんだ?」

「ッ!!??」

「くっ………!」

ガギィイイイーーーン

 

突然、アヌビス神の背後をとり、切りかかる千雨!だが、アヌビス神はとっさに背後に双剣を背後に回して防御する。

 

「危ない危ない………お前は『残像』を残すほどの速さを持っているんだったな………お前のスピードを『憶えて』いなければ、防げなかった…………だが、今のは憶えていたスピードよりも、少し速かったか?」

「へっ、そうかよ………(やっぱこの状態バレてるのはまずかったなぁ………)」

(だが今の攻撃……………)

 

離れて見ていたオットーは、ディードの髪が数本、はらりと宙に舞うのを見た。

 

(アヌビス神は一瞬、反応が遅かった…………)

(つまり、アヌビス神は私のスピードを憶えているが、完全に追いついてる訳じゃあないんだ…………)

 

千雨も、オットーと同じ事を考えていた。

アヌビス神は千雨のスピードに加え、承太郎のスタープラチナや千雨の父ポルナレフのシルバー・チャリオッツのスピードも憶えている。だが、千雨の本来のスピード―――エンゼルの甲冑を脱いだスピードを、完全に憶えたわけではないのだ。

というのも、千雨はまだ『本気のスピード』を出していない…………いや、『出せない』からだ。何故なら――――

 

(さっきのが、今の私が出せるギリギリのスピード………それ以上出したら『リキエル』の時みたく…………)

 

実は、千雨が『アニバーサリー・オブ・エンゼル』の甲冑を脱いだ状態で出せるスピードに限界があった。ある一定の速度以上を出すと、千雨の体が持たないのだ。

実際、二年前にリキエルのスタンド『スカイ・ハイ』と戦った際、ロッズに追いつかれないスピードを出し、内臓の一部が潰れた事があった。

 

「(とにかく、今はこのスピードと技量(ワザ)で―――――)振り切るッ!!」

シュババババババババババ

「なッ!?これは―――――」

 

瞬間、アヌビス神の上空を、無数の千雨が取り囲んだ!

 

「「「「「「「霧幻月華・陣!!」」」」」」」

「『霧幻月華』の強化版かッ!だがッ!!」

 

無数の千雨が一斉に飛びかかってくる中、アヌビス神は双剣を上に構える。そして――――

 

「あまいあまいあまいあまいあまいあまいあまァァアアアいッ!!」

ズババババババババァァァアアア

 

真上から襲いかかってくる千雨たちに対して、フェンシングの用量で連続突きを放った!

 

「そこだッ!!」

「!?」

 

それが、()()()()()()()()()()()

 

(上に集中させて…………下からの攻撃を………!)

(アヌビス神!お前との因縁も、これまでだッ!!)

 

千雨が小太刀を切り上げる中、オットーは舌を巻き、千雨は勝利を確信した――――――

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――なるほど…………なかなか『()な』防ぎ方をしますね…………」

 

感心したように、調は呟いた。彼女の目の前では、スバルがその瞳を「金色」に光らせた『機人モード』になり、明日菜の盾になるように立っていた。

 

「『音波』と『振動波』という違いがあるが、お前のアーティファクトと私の「振動破砕」の原理は同じだ………だから『相殺』できる………!」

「で…………でも、その防ぎ方だと、スバルが…………」

 

明日菜が心配する通り、スバルの右手からは血が流れていた。相殺できるとは言え、直接触れる『振動破砕』に対し、音波を『遠距離』に放つ『狂気の提琴』とでは、スバルが不利だった。

 

「(タイミングが一瞬ズレて傷ついた………もしも、完全にズレたらスバルは…………)スバル!一気に決めるわよ!」

「えっ?あ、アスナ?」

 

スバルの実を案じ、『ハマノツルギ』を手にした明日菜が前に出た。

 

「『アレ』は私が防ぐから、一気に近づいて、一決めるわよッ!!」

「え………あ、うんッ!」

 

いきなり明日菜が仕切りだしたのに一瞬戸惑うスバルだが、すぐに目を調に戻した。

 

「行くわよ!」

 

明日菜が叫ぶと、2人は駆け出した!

 

「………無駄なことを……………」

 

呟くと、調は弓を走らせる!

 

放たれた音波はスバルたちを襲うが、明日菜のハマノツルギで防ぐ。そして、その距離が縮まった時――――

 

「ウリィイイヤァアアアッ!!」

「きましたか…………だがッ!」

ギィィイイン

「防いだ!?」

 

スバルが拳を繰り出すが、音の障壁で防御される。

 

「だがァッ!!」

 

スバルは、更に攻撃を繰り出そうとするが、その時―――

 

 

 

 

 

ガシィイイ

「「!!?」」

 

突然、地面から生えた『木の根』に縛られてしまう!?

 

「こ、これは………!?」

「私の種族特有の『能力』です。私の攻撃が『音』だけだと思って油断しましたね…………」

「ちょっと!私聞いてないわよッ!?」

「言ったら意味がないでしょう?」

 

明日菜の叫びに対しご丁寧にツッコむ調。そうしている間にも、木の根の締め付けは強くなっていく。

 

「ぐうッし………締め付けてくる……………」

「くっ………(し………振動破砕―――――)」

 

締め付ける根に対し、スバルが振動破砕を使おうとしたが、

 

ギシィィイ

「あぅうッ………」

「させませんよ、そんなこと………」

 

さらに強く締め付けられ、封じられてしまう。

2人を封じた調は勝利を確信し、背を向けて歩き出した。

 

「さて………アヌビス神は大丈夫でしょうから、鏡史郎さんの方に行きますか………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「!?アスナさん!スバルさん!!」

 

一方、犬耳の少年と対峙していたネギは、明日菜たちの危機を知って声を上げる。しかし、少年は攻撃を止めない。

 

「ヨソ見すんなぁッ!!」ドウッ

「うわ!?」

 

少年はネギに殴りかかり、ネギはそれを杖で防御、至近距離から『魔法の射手』を3発発射する。

 

「チィッ!」

 

少年はそれを難なくかわすとネギの足を払い、追撃で拳を振り下ろす!

しかし、ネギは地面に倒れる寸前で後方に「滑って」回避、拳は地面に当たって小さく陥没を作った。

 

「何!?」

 

少年が驚く間もなく、ネギは既に次の行動に移っていた。左手の指を少年に向けると、『タスク』を5発発射!少年は最低限の動きで避けるが、背後の鳥居の柱が両断されたのを見て、次いで左頬の痛みでぞっとした。

 

(コイツ、こんな攻撃を………そして!さっき滑ったように移動したんは、爪のカッターを回転させて地面を走ったっちゅう事か………!)

 

少年は、地面に5本の『切れ込み』を見た。それは、ネギが回転の摩擦で移動した事を意味している。

 

(ぬるま湯に浸かっているような西洋魔術師ブッ飛ばしたろー、って思って来たけど………コイツ、結構な『修羅場』潜っとるやんか………!)

 

少年は、ネギを『温室育ちで女に囲まれている情けないガキ』と思い込んでいたが、今の攻撃で認識を改めた。

 

(……どうしよう、アスナさんたちの方に近づけない………)

 

一方のネギは、木の根に縛られる明日菜たちを心配していた。少年には未だ隙がなく、抜け出して2人を助けに行けそうにはない。

 

ドガァッ

「ぐぁっ……!」

「え!?」「何や!?」

 

その時、2人のすぐ側に赤い影―――ノーヴェが倒れこんできた!

 

「オラオラァ!どーしたよォ!?」

ドバババババババババ

 

すぐに、ブチャラティもバックステップで飛んでくると、2人と戦っていたらしい青年・鏡史郎が、『クレイジー・ダイヤモンド』による攻撃を行っていた!

 

「ブチャラティさん!な、何でクレイジー・ダイヤモンドが………!?」

 

ノーヴェに手を貸すと、鏡史郎と離れたブチャラティにネギが聞く。答えたのはノーヴェだった。

 

「や、奴は『別のスタンドに化けるスタンド』だったんだ!ブチャラティの仲間のスタンドに化けて、その後、アタシに触れてあの姿に………!」

「ええ!?」

 

ノーヴェの説明に驚くネギ。鏡史郎は少年の隣に立つと、少年は鏡史郎をにらんだ。

 

「何やニーチャン、女殴るなんてカッコワリーで?」

「あン?気にすんなよォ!スタンド使いに男も女もカンケーねェだろ?」

 

鏡史郎の態度にカチンと来たのか、ネギが反論した。

 

「聞き捨てなりませんね……今は『敵』だけど、僕もその子に同意見ですよ……女性を殴るのは、男として最低の行為ですよ!」

「何だと?」

「おうお前、気が合うな。ブッ飛ばす前に、名前聞いたろ。」

 

少年はそう笑うと、ネギはキッとにらむ。

 

「僕は『ネギ・スプリングフィールド』………けど、1つ訂正させてもらうと、ブッ飛ばされるつもりはないよ!」

「はん!言うやないかネギ!オレは『犬上 小太郎(いぬがみ こたろう)』や!覚えときぃ!」

 

ネギと小太郎は互いに名乗ると、再度構えを取った。

 

「おいおい、ガキだけで何盛り上がって―――!?」

 

鏡史郎が言おうとしたその時、ネギたちの後方から黒い影が飛んできて、鏡史郎たちに突っ込んでくる!

 

「うぉおッ!?」

「何!?」

 

黒い影―――ルーテシアの召喚獣ガリューは小太郎を蹴り飛ばすと、その場から引き離した!

 

「ガリュー!」

「ルーお嬢が間に合ったか!」

 

ガリューの介入に声を弾ませるネギとノーヴェ。ネギは再び、小太郎の方へと駆けだした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「!?新手………!」

 

一方、鏡史郎の元に向かおうとしていた調は、ガリューの乱入に驚いた。想定よりも援軍の到着が早かったが、慌てる事無く『狂気の提琴』を構える。

 

 

 

「ガリッ」

「ガリガリッ」

 

「ガリッガリッガリッバキッガリッ」「ガリガリ」「ガリ」

 

 

 

「…………?」

 

ふと、何か奇妙な音が、そう、何か()()()()()()()()()()()()音がした………

調が音の方――――自らの後方を振り向くと、そこでは………

 

「バリバリッバキッ」「ガリガリガリガリッ」「バキバキッ」

「なっ……………!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ガッキィィィィイイイイイーーーン

「なっ……………何ィいッ!?」

 

アヌビス神に向かい小太刀を切り上げた千雨は、信じられないという表情で声を上げた。

上に向かい双刀を突いていたはずのアヌビス神だが、千雨の刀は『交差する二本の刀』に阻まれた!?

 

「ふう、危ない危ない………まさか、何の対策もないと思ったか………?」

「な………何だよてめえ、そりゃあッ?」

「これこそ、お前に勝つため身につけた新たな力………その名もッ」

ドシュゥゥウウーーーーーー

「「!?」」

 

瞬間、千雨の両側から刀が袈裟懸け、逆袈裟に襲いかかってきた!

慌てて飛び退いたために、千雨は胸にかすり傷を作った程度ですんだが、アヌビス神の、いや、アヌビス神に憑依されたディードの姿を見て絶句した。

 

ディードの両肩には、先端がとがり、横から見たら異形の顔に見える肩鎧を身にまとっていた!その両目に当たる部位にある球体からは、それぞれ機械の腕が生えており、それらには『ツイン・ブレイズ』に似た刀が握られていた!

 

「『エターナル・ブレイズ(無限刀剣)』だッ!!」

「ばかなッ…………『スタンドの鎧だとッ』!?」

 

オットーは(オットーにしては珍しく)声を上げて驚いた。

確かに、ゲンヤと承太郎から『ISはスタンドに近づくための技術(ちから)』だとは聞いていた。だが、それが何故ディードにスタンドが発現しているのか………?

そんな風にオットーが考えを巡らせていると、千雨がはっとしたように声を発した。

 

「てめぇ………まさか『矢』で…!」

「えッ!?」

「―――その通りだ!このスタンド『エターナル・ブレイズ』は、矢の力でディードのIS『ツイン・ブレイズ』が昇華した能力(ちから)だぁッ!」

 

アヌビス神の話を聞いた2人は、再び絶句してしまった。

 

あの女(ヴィオレッタ)は、『コイツ』を試すために戦闘機人が欲しかったらしい…………ISをスタンドに昇華させる実験のためになぁ……………」

「何ィ………!?」

「まさか………その為にディードを………ッ!?」

「やったのは私じゃあないがな…………ウッシャァァァアアアアアアーーーーーーッ!!」

ゴオッ

「くっ………誰でもよかったのかよォオ!!」

ズガガガガガガガッ

 

叫びながら、千雨はアヌビス神に連続で切りかかった!だが、実に千雨の二刀流に対し、スタンドの刀が加わったアヌビス神は、言うならば三倍の六刀流!対応が遅れたら、それだけで死に直結する。

 

「(ひ……………一太刀一太刀が今までで一番の技とスピードで……………それが六刀全部がそうだなんて……………!)ちくしょおがアァァッ!!」

ギィィイインッ

 

たまらず、千雨はその場から飛び退いた。だが…………

 

「甘いわァア!!」

ドッバァァアアア

「ぐっ……………!」

 

アヌビス神はそれを逃がさず、千雨に六刀全てで切りかかる!

 

 

 

 

 

ズガガガッ

「!?」

「にゃにィイーーーッ?」

 

だが、その斬撃は突如現れた『光弾』により阻まれた!

 

「………ヴィオレッタ、アヌビス神…………お前達は許さない…………ッ!」

「オ………オットー!?」

「ちいっ(アイツはディードには手を出さないとふんでいたのだが………)」

 

光弾を放った張本人―――オットーは、その目を怒りで染めながら呟く。予想外の出来事に、千雨とアヌビス神は驚愕する。

 

「手を貸すよチサメ!これ以上、ディードの体を好き勝手させないッ!!」

「あ、…………ああ。」

 

正直、千雨もオットーが加勢してくれるとは思っていなかったため、申し出された事に戸惑った。

 

(スタンドの刀は僕が『抑える』。君はその内にアヌビス神をディードから――――)

(分かった。)

 

戸惑いながらも、千雨たちは小声で話し合い、アヌビス神に飛びかかった。

 

「捕らえろ!『レイストォォォオオオム』ッ!!」

シュババババババァァァ

「ウッシャァァァアアアアアア!!」

 

アヌビス神は『エターナル・ブレイズ』の刀でレイストームの弾を弾いたが、

 

バキィイッ

「ぐうっ………!?」

 

その衝撃で、刀身が破壊された!

 

「ここだぁあッ!!」

 

その隙を千雨は見逃さず、一気に小太刀を突き出す!

 

「ぅ甘いわァアッ」

シャキィィイイイン

「何ッ!?」

「ウッシャォアアアアアッ」

 

だが、千雨の小太刀がアヌビス神に届く前に、『エターナル・ブレイズ』の刀身が『直った』!?

直った途端に、アヌビス神はその4刀と双剣の六刀を千雨に振るう!

 

 

 

 

 

ガッシィイイイ

 

 

 

 

 

「!?」

「なッ!ニヤニィーーーッ!!?」

 

だが、それは『光る輪』に腕を縛られたために止められた!

 

「『レイストーム』………砲撃弾にバインドを混ぜて放った…………」

「オットー…………」

 

オットーの機転に、アヌビス神は歯を噛み締める。そして、千雨は一瞬戸惑うも、トドメに入る!

 

 

 

「おおおおおッ奥義!!」

 

千雨は高く飛び上がると、コマのように回転しつつアヌビス神に向かい逆手二刀を突きつける!

 

「雷鳴月華・(あまつ)ッ!!!」

ズババッバァアア

「グオアアッ!?」

 

千雨の放った二連撃は、アヌビス神―――ディードの胸を切り裂いた!

 

 

 

 

 

←to be continued...




58話です。

・鏡史郎の能力は『記憶』のスタンド『リード・マイ・マインド』。分類で言えば、SBRの「シビル・ウォー」に近いかも。

・調の能力防御は途中で思いついたもの。遠距離型と接近型等の違いはあれど、2人の能力は似通っている事に気づきまして。

・ネギVS小太郎。タスクの摩擦による移動ってやってなかったので、ちょっと入れてみました。

・ディード、スタンド使い化。「ISがスタンドに近づくための技術」という事で、ジャイロの『スキャン』みたいな感じでしょうかね。

では、次回をお楽しみに!

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