ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#56/本山上陸作戦

―――宮崎 のどかが『奈良公園でネギに告白』をしたころ………

 

ミッドチルダ 軌道拘置所

 

 

「なんだと…………!??」

 

軌道拘置所でスカリエッティと面会し、「人造魔導師」として蘇生したスタンド使いたちについて話を聞いていた承太郎は、蘇らせた6人のスタンド使い―――ブチャラティとギアッチョ以外の4人について聞いていたが、スカリエッティの覚えている限りの名前を聞いて信じられない顔をした。

その名前はリゾット、ホルマジオ、スクアーロ、そして――――――――

 

 

 

 

 

「そいつに、間違いはないんだな…………!?」

「あ………ああ、間違いはないよ………今言った『4人』を、人造魔導師として蘇らせたのは私だ(このプレッシャー………これが空条 承太郎か…………!)」

 

ガラス越しとはいえ、承太郎の圧倒的なプレッシャーに若干圧倒されながらも、スカリエッティは普段通りの余裕な素振りで答えた。

 

[―――彼女の注文で、彼には脳に特殊な措置を施してあります。]

[それを使えば、何の問題もないわけか…………]

「やれやれ、随分楽しめるオモチャだったろうな………」

 

モニターに映るウーノとトーレの話を聞いた承太郎は、怒りとあきれの混ざった呟きを漏らした。

 

 

なお、クアットロの分のモニターもあるが、彼女は映っていない。と言うのも………

 

 

 

 

 

[お願いです殺さないでお願いです殺さないでお願いです殺さないでお願いです殺さないでお願いです殺さないでお願いです殺さないで……]

「……相当トラウマらしいな…………」

「まあ、『首チョン』になった訳だしね………私も全裸にされたし。」

 

ブチャラティの名前を聞いた途端、独房の片隅で膝を抱えてガクガクと震えていたからだ…………

 

 

 

 

 

#56/本山上陸作戦

 

 

 

 

 

翌朝

 

〈修学旅行3日目〉

 

 

「―――うう………まだニッキ臭い〜〜〜〜」

「全く……何だったんだ、アイツはァ〜〜〜?」

「あら、鳴滝さんたち。おはようございます。」

 

体の臭いを嗅ぎながら大広間に入ってきた鳴滝姉妹に、あやかが挨拶をした。

 

「あ、いいんちょ、おはよー。」

「あ、そうだ。ねえ、ボクたち結局あれから気絶しちゃったから分からないんだけど、昨夜は誰が勝ったの〜〜?」

「え………?」

『ギクゥウッ』

 

突如、風香から発せられた疑問に、あやかだけではなく他の生徒、特に5班の面々が肩を震わせた。

 

「な…………鳴滝さん………?できれば今その話は…………」

「えーーーー?何でーーーー?」

「そうですよーーーー、教えて下さいよ〜〜〜〜〜?」

「え、いや、ですから………………」

 

あやかが何とか話をそらそうとするが、2人は食い下がらない。普段ならそれをネタに茶化す他のクラスメートたちだが、昨日の結果を知っているためその話題にはふれないようにしていたため、かなりの冷や汗ものだ。

一方、当の優勝した夕映は―――

 

「ぶつぶつ………私は……ぶつぶつ……なんと愚かしい事を……親友を差し置いて……ぶつぶつ……その『想い人』と口付けなど…………いえ、あれは事故のようなものです……ぶつぶつ……ですが…………だからといって、『キスをした』という事実は変わらない…………私は………私はなんという………ぶつぶつ……」

「ゆ…ゆえ〜〜〜?」

 

鳴滝姉妹の一言が引き金になり、何やらヤバいスパイラルにはまっていた…………

ハルナは心配そうに声をかけたが、夕映はぶつぶつといつまでも呟いていた。

 

(うーん………綾瀬に景品(カード)渡すべきなんだろうけど…………渡せないよなぁぁ〜〜〜〜〜…………)

 

ちなみに、カモから貰った景品の『パクティオー・カード』のコピーを手にした朝倉も、困り果てていたりする。

 

この後、釘宮たちから結果を聞いた鳴滝姉妹は、「聞かなければ良かった…………」と、微妙な表情となったそうな…………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「全くもー……あのお嬢様はッ」

「まあまあアスナー……」

 

一方、明日菜は昨夜のルル・ベルの行動にご立腹だった。それをなだめるスバルたちだが、明日菜の苛立ちは収まらない様子だ。

 

「だって、昨夜あんな騒ぎ起こした上に本屋ちゃんに無理やりキスしてッ!あ………」

「いえ…………もう良いですよ………アスナさん…………私は気にしていませんから…………ふふ……………」どよーーん

「み…宮崎さんーー……………?」

 

うっかり口を滑らせたと口を押さえる明日菜だが、すでに遅かったらしく、のどかは暗ーい笑いを浮かべていた………

 

「ま……まあ、あの嬢ちゃんとの仮契約は成立して、この通りカードもあるわけなんスけど………試しに『アーティファクト』でも呼び出してみますか?」

「え?あ、アーティファクト……ですか〜〜?」

 

暗くなった空気を破ろうと、カモはのどかが数冊の本を周りに浮かべ、そのうちの3冊を手元で開いているデザインの絵が描かれたカード(原作とは微妙にのどかのポーズが違う)を手渡した。

 

「おうよ!ルル・ベルの嬢ちゃんは兄貴程の魔力はないから『身体能力強化』はできねぇが、道具(アーティファクト)くれぇなら出せるはずだぜ。」

「は………はあ。じゃ、じゃあ試しにーーーー…………」

 

カモに進められるがままに、のどかは「ア……来たれ(アデアット)」と呪文を呟いた。すると………

 

ドォオーーーーーン

「ふあッ………」

「………本?」

「だね…………」

 

現れたのは、【DIARIUM EJUS】と表紙に書かれた『本』だ。呼び出した際の強い発光に、のどかは驚いたが、本を落とすことなくキャッチした。

 

「ま…前にアスナさんたちがするのを見たけど、やっぱり不思議ーーーー………」

「まあ、私は慣れてるけどね…………」

「………中は真っ白ですーー………あれ?」

 

パラパラと本をめくっていたのどかは、一ページ目に、文字と絵が浮かび上がるのを見つけた。

 

「えぇーと………4月※日木曜日………昨日ですね………」

「何だ?絵日記か?」

 

徐倫たちも気になって本を覗くと………

 

4月※日 木曜日

昨日は、ルル・ベルさんに唇をうばわれちゃいました。まさか、あんな趣味だとは思いもしなかったので、ものすごい驚きですーー。

いつかは、わたしもロマンチックなキスをネギ先生と―――――

 

「!?!?!?」

パタンッ

 

あまりの内容に本を閉じるのどか。

 

「………今のは、おめーの『心境』か、宮崎?」

「へゃあッ!?!?あ…………その………………はぃ………」

 

少し聞きづらそうに問う徐倫に、のどかは蚊の羽音のような声で答える。

恐らく、この本(アーティファクト)の能力は――――

 

「『人の思考を読む本』――――みたいね………」

「ですね…………」

「おお!こいつぁあ使い方によっちゃ異常に強力なアイテムだぜ!」

「え………あの…………?」

「あんたはしばらく黙ってなさいッ!!」モギャアッ

「バウッ!?」

 

何やら嫌らしい笑みを浮かべるカモを明日菜が踏み潰す。

そんな時、

 

「―――こっちの世界の魔法って、強力すぎやしないか…?」

「あ、アギト。」

 

いつの間にか、徐倫の肩に乗ってのぞき込んでいたアギトがそう述べた。見てみれば、自分たちの後ろにルーテシアとノーヴェ、オットーが来ていた。

 

「今日、『本山』とかいうのに行くんだろ?アタシらはそっちの『増援』に回ることになったから。」

「そうか。」

 

ノーヴェに説明されて返事をする千雨。すると、思い出したようにアギトが口を開いた。

 

「あ、そーいやーさっき、あのルル・ベルってヤツんとこ、覗いたんだけどさ………」

「えっ」

「ビクゥウッ」

 

ルル・ベルと聞いて、身体を震わせるのどか。しかし、アギトは何とも言えない顔で、

 

「何か、スッゲー落ち込んでたぞ?」

『え?』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

数分前

 

「やらかした………………」

 

昨夜の事を思い出したルル・ベルは、頭を抱えていた。そばにいるサルシッチャも、少し心配そうであった。

 

「昨日、のどかがネギ君に告白して、おまけに朝倉 和美があんな企画(ゲーム)をしたせいで、焦ってしまったわ………あんな強引で軽率な行動………おまけに、何か変な事まで口走っていた気もするし………嫌われた………絶対私、のどかに嫌われたわーーー!!」

「お気持ちは察します………」

 

サルシッチャが慰めるも、ルル・ベルは浮かない顔だ。

 

「………ネギ君達は今日、『本山』に行くのよね?のどかもそちらに行くでしょうね………のどかに会わせる顔がないし、私は、他の班の護衛組に着くことにするわ………」

「御意。」

 

サルシッチャにそう告げると、ルル・ベルはフラフラと部屋を出て行った………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「………とりあえず、アイツも反省してるみたいだな………」

「………みたいね。本屋ちゃんが好きって言うのも、本気みたいだし………」

 

アギトの話を聞いて、やれやれとため息を付く一同。

 

「宮崎よぉー、後でアイツと落ち着いて話した方が、イイと思うわよ?」

「………そう、ですね………はい、そうします………」

「何かあったら言ってね?」

 

徐倫と明日菜に言われて、のどかははいー、と短く答えた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

数十分後

 

渡月橋の袂

 

 

「――――さて、みんなも自由行動だし、今日こそ「親書」を渡しにいけるぞーー!」

「よーやくってカンジだなぁーー………」

 

今まで、ルル・ベルやら、のどかの告白やらで、親書を届けられなかったネギ。今日こそは『関西呪術協会』の本山へと向かえそうだ。

 

「このかさんは刹那さんやティアさんがいるし、長谷川さんも、護衛をかねての同行だから、何かあってもスグに動ける。ルル・ベルさんも空条さんが何とかしてくれるみたいだし。」

「まあ、ちうっち(=千雨)は護衛が必要なほど『ヤワ』じゃねーだろうがな。」

「全くだ。………ってちうっち言うなオコジョッ!!」

 

いつの間にか、ネギの近くに明日菜、千雨、スバル、そして、ノーヴェとオットー、ブチャラティが来ていた。

 

「あ、皆さんおそろいで。」

「ああ、徐倫は後から追いつく手筈だ。すぐにでも出れるぞ。」

「よーし、じゃあその親書を届けて、厄介事を片付けちゃいましょう!」

『おー!』

 

明日菜の号令の元、一同は本山を目指し歩き出した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――そうか、彼奴(きゃつ)がこちらに向かったか………」

「ああ、多分夕方には着くよ。」

「ねえ、そろそろ教えてくれない?」

「「彼らの『目的』はいったい何だい?」」

「………言ったはずじゃ。時が来れば、いずれ教えるとな…………」

 

とある和室、ソルとルナと会話する仮面の女性は、まだ時ではないと2人を納得させる。

 

「………ま、そう言うなら仕方ないさ。」

「お嬢様にも、あまり深く聞くなって言われてるしね。」

「「それじゃあ、僕/私達は戻るよ。」」

 

相変わらず息のあった同時会話を残し、2人は部屋を後にした。

 

スッ…

「良いのですか?あの子がこちらに来れば、『彼ら』も…………」

 

2人と入れ替わるように部屋に来た細身でメガネの男は、心配そうに女性に話しかける。

 

「………わらわとしては、そちらの方が好都合じゃがのう……………上手く行けば、事がスグに終わらせられる…………!」

「しかし、それでは―――」

「……………分かっておる……………あの子には、総てを話す日が来たやもしれんな………………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――ここが関西呪術協会の本山………?」

「何か…………出そうな雰囲気だな………」

 

電車に揺られ、さらに数十分歩いた一同は、ついに関西呪術協会の本山の麓、巨大な鳥居の前までたどり着いた。

 

「よし!こっから先は敵の本拠地だ!!気を引き締めて行くぞッ!!」

「あいよッ!」

(何か、この人がリーダーやってると、しっくりくるなぁ………)

 

明日菜がそんな感想を抱きながら、一同は山に入り始る。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――ふふふふふふ…………来おったわ。」

 

本山入り口にある竹林から女――――天ヶ崎 千草は、ネギ達が来たのをみて、笑みを浮かべた。背後には4つの陰がある。

 

「千雨も一緒のようだな………今まで着かなかった『決着』、今ここで着けさせてもらうぞ……………ッ!!」

 

ナンバーズ末妹、ディードに取り憑いた『アヌビス神』は、千雨を確認すると、闘志で目をたぎらせた。

 

「へっ、端から見たら、アヤシい趣味に見えるぜェ。アヌビス神さんよォ!」

 

もう一人は、短い金髪をツンツンに逆立て、青いジャケットはボタンをせず、下のワイシャツも裾がはみ出ている、明らかに「チンピラ」にしか見えない男だ。

 

「お二方………あまり油断せぬように。」

 

一人は、こめかみのあたりに後方に延びる『角』を持ち、緑色の長髪で細目の少女で、薄茶色のマントを着込んでいる。

 

「ハン!スタンド使いだか知らんが、西洋魔術師のガキと一緒に()()たるわ!」

 

最後の1人は、腰まである黒い髪を後ろでまとめ、生意気そうなツリ目に不適な笑みを浮かべた口、服装は学ランをはだけさせた少年だ。

 

「ふんっ………それで『鏡史郎(きょうしろう)はん』、あんさんのスタンドは――――」

「ああ、『仕掛けてあるぜ』ェ〜〜〜……すでに「発動」してる!」

 

鏡史郎と呼ばれたチンピラ風の男は、馬鹿にしたような、それでいて自信にあふれたように笑う。

 

「さいですか………ほな、後は頼みますえ…………」

 

そう言うと千草は、その場を後にした。

 

「千雨………お前はこの『アヌビス神』が絶ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対に倒すッ!!!」

 

千草が去った時、アヌビス新が闘志を燃やす。

 

「………()()()()()()()()、『この能力』でなッ!!」

 

ディードの体から、不気味なオーラがあふれ出ていた………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

同じ頃―――

 

 

ここは、関西呪術協会本山からしばらく歩いた所にある茶店。

 

「………そうですか、ブチャラティが来ましたか。」

「うん、来るよ。」

「でも、敵が何か『罠』を仕掛けたみたい。」

「「ブチャラティは大丈夫だろうけど、スタンド使いが何人かいるからヤバいかもね!」」

 

茶店で抹茶をすすっていたジョルノ・ジョバァーナは、ソルとルナの話を聞くと、茶碗と代金を置くと、立ち上がった。

 

「ごちそうさまでしたー。行きますよ、ミスタ、トリッシュ!」

「はいよ、ボス。」

「いよいよ再会ね…………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ネギ達が本山に入ってから、さらに数十分後

 

 

「………やっぱりついて来るんですね………………」

「まあ、予感はしていたがな……………」

「大丈夫かな?」

 

のどかとルーテシアと合流し、関西呪術協会本山へ向かう徐倫。だが、彼女らは気づいていた。

自分たちの後ろに、

 

「ほら康一君!後もう少しだから、頑張れよ!!」

「………それ、もう何度目ですか〜〜〜〜?」

 

露伴と康一が着いて来ているのを……………

どうやら場所はネギを『読んで』調べたらしく、撒こうとしても、すぐに追いついてきている。

 

「………まあ、危険はねーだろ。2人とも強いし」

「はあ…………?」

 

徐倫の話を、のどかは首を傾げながら、とりあえず相槌を打っていた。

 

 

 

 

 

本山まで、5人はまだ歩く。

 

 

 

その先にある「出会い」も知らずに…………

 

 

 

 

 

←to be continued...




56話です。

・サブタイトルは『ヴェネツィア上陸作戦』から。

・冒頭の承太郎とスカリエッティ。承太郎が聞いた名前はもちろんHGの本名です。正体はまだ秘密。ちなみに怯えるクアットロはお気に入り(笑)

・リブート前のルル・ベルはちょっと変態にしすぎたので、今回は変態度を低めにして若干のフォローを入れてあります。けど、いつテンパって変態化するか分からない………

・アヌビス神と小太郎と新キャラ2人。内一人はネギま!原作キャラです。彼女を今出した理由は、後ほどに。

・動き出すパッショーネ組、そして露伴たちも。再会は近いです…………

では、次回をお楽しみに!

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