ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
「ルル・ベルが……………ッ!?」
帰還した千草から報告を聞いた女と、隣に付き添っていたブラックモアと、同じく帰還したガディ・Ruは驚愕の表情を露わにする。
「まさか………行方不明になっていたルル・ベル様が……………」
「すいませェん奥様………2年前、わたくしが目を離さなければ…………」
ブラックモアは、申し訳なさそうに女に謝罪する。
白髪に近い銀髪をシニヨンにして、浅黒い肌につり上がった銀の瞳、そして動物の牙を模したイヤリングを付け、ショールとドレスを身に纏った女性―――ヴィオレッタは、『左の右手』の親指の爪を噛みながら、イライラしたように呟く。
「あの子ったら………いなくなったと思ったら、一体何を考えてるの…………?」
「どうする?場合によっては、お前の娘を『殺す』ことになるが………?」
冷酷なまでにヴィオレッタに問うリゾット。
ヴィオレッタは、しばらく考えた後、リゾットに告げた。
「……………構わないわ。」
#52/宮崎 のどかは恋をする
翌朝
〈修学旅行2日目〉
ホテル嵐山
「まあ、昨夜そんな事が……………」
「うん……もう大変で大変で……………」
「正直まだ疲れてるし………」
まだ眠いのか、目を擦りながらあやかやまき絵たちに説明する明日菜たち3人。
無理もない。昨日は色々な事が起こりすぎた。サルだの、
「とりあえず、ルル・ベルについては『味方』と言っているが、まだ警戒しておくぞ。一応、ブチャラティが見張っているから―――」
「あらあら、ずいぶん信用されてないのね、私たち………」
徐倫が話そうとしたとき、ルル・ベルが歩いてきた。後ろにはブチャラティもいる。
「ルル・ベル………」
「あなたが『ルル・ベル』さん………ですの………?」
「ええ、はじめまして。」
あやかとまき絵が驚く中、ルル・ベルは挨拶をする。ふと、まき絵が思い出したように口を開いた。
「あ、そーいえば、なんか徐倫がポーカーした時、のどかと夕映を助けてくれたらしいね?ありがとー!」
「………ええ、あの時はたまたま通りかかっただけだけどね。」
思い出したようにルル・ベルはいうと、踵を返すルル・ベル。ふと、彼女は去り際に呟いた。
「宮崎 のどか…………あの
『え?』
ルル・ベルの呟きに5人は反応するが、ルル・ベルは何事もなかったかのように、すたすたと立ち去ってしまった。
「ほ、『本屋ちゃん』とゆっくりと話をしたいって……………?」
「そういえば、あいつが宮崎のことを『重要なスタンド使い』って言ってたって、ルーテシアたちが言ってたな………」
「『イノセント・スターター』が?一体、何を……………?」
ルル・ベルが立ち去った後も、徐倫たちはうんうんと首を傾げていた…………
☆★☆★☆★
3年A組 出席番号28番 宮崎 のどか
彼女は、ある決心をしていた。
『彼』と出会ったのは、今から2ヶ月程前だ。
出会ったその日に、階段から落ちた自分を助けてくれた。
その日からだ。彼に対して、『特別な思い』が芽生えたのは………
彼は、自分のクラスの『担任』で、『魔法使い』で、自分と同じく「矢」に射抜かれた『スタンド使い』………
そう、彼女は彼に――――――
☆★☆★☆★
ホテル嵐山
ロビー
「2日目は『奈良』か…………うーん……『担任』の僕はどうしたらいいんだろう……?」
朝食を食べ終えたネギは、考え事をしていた。
ルル・ベルの問題は一応解決したが、自分には『親書』を届けるという『任務』があった。
(昨日の騒ぎで親書を届けられなかったけど……今日も奈良だし………あのおサルのお姉さん(『チグサさん』だっけ?) の事も気になるし…………)
「あのー…ね、ネギせんせー……………」
「あ…宮崎さん?」
ネギが考えていると、のどかが話しかけてきた。普段から内気な彼女だが、今日は特にもじもじとしている。
ネギが何だろう?と思っていると、のどかは意を決したように、口を開いた。
「よッ……………よろしければ今日の『自由行動』………私たちと一緒に回りませんか………ッ!?」
「え……?えーと……あの………」
突然のどかに言われキョトンとするネギだが、少し考える。
5班には、「天ヶ崎 千草」らが狙う木乃香がいるし、明日菜や刹那、スバルもいる。他の班は『六課』の他に、ルル・ベルがホル・ホースたちを向かわせると言っていたため、被害はあまり及ばないだろう。ならば―――
「わかりました宮崎さん!今日は僕、宮崎さんの5班と回ることにします!」
「えッ………あ、ありがとうございますッ!お、お忙しいのに………」
事情を知っているためかしこまるのどかに対し、ネギは「大丈夫ですよ。」と言うのだった。
☆★☆★☆★
奈良公園
「わーーッホントに鹿が道にいる〜〜〜〜ッ」
「結構デカいんだな〜〜〜。」
のどかと約束したネギは、5班と3班と行動していた。
3班も共にいる理由は、ルル・ベルが『のどかが重要なスタンド使い』と言った事が気になった徐倫たちが、のどかを見張りたいと考えたからだ。
幸い、3班の
ちなみに陰では―――
「鹿煎餅買ってきましたよ〜〜〜…………ってうわッ!?めっちゃ寄ってきたッ!?」
「アハハハハッオットー人気者ッスね~~~~♪」
「餌くれるって分かるのね~~~。」
「………あれ?引っ張られる?」
「ってディエチッ!髪カジられてるよッ!?」
「ええッ!?ちょ、ちょっと、これ食べ物じゃないよ~~~~~~ッ!!」
ナンバーズとギンガが、鹿と戯れていた。
(………ノーヴェ、分かっていると思うが、今はまだディードの事は皆には―――)
(………うん、分かってる………………)
ウェンディたちから少し離れた場所で、ノーヴェに念話を飛ばすチンク。
実はノーヴェたちは、まだディードの事を話していなかった。ティアナたちにも口止めしているため、他の姉妹たちは、ディードの事を知らないでいた………
☆★☆★☆★
一方、ネギを誘ったのどかは―――
「スゴイスゴイ!見てくださいアスナさん……わあーッ」
「ハイハイ…ガキねェーー……」
「………えへへー………ネギ先生……………」
鹿に煎餅をあげてハシャぐネギを見て、うっとりしていた。が、
「よくやったーーーーーッのどかーーーーーーー!」
ドガァアーーッ
「キャーーー!?」
いきなりハルナと、「暴走族推奨・芋長の芋羊羹サイダー」なる謎の飲み物を飲む夕映に蹴飛ばされた………
「見直したよ!あんたにあんな勇気があったなんて!!」
「感動したです。」
「えへへ……うん、ありがとーーー…ネギ先生と奈良を回れるなんて幸せー……もう今年は思い残すことないかも…………」
どうやら、『引っ込み思案』なのどかがネギを誘った事をほめているらしい。
そんな2人に礼を言うのどか。だが………
「バカァッ」
ぺちーん
「はふぁッ!?」
大きく振りかぶった右手で思いっきりひっぱたく―――と見せかけて、左手でチョイとひっぱたくという『なんちゃってビンタ』を、ハルナにお見舞いされた。
「この程度で満足してどーすんのよッ!?ココから先が『押し所』でしょッ!
―――『
「………えっ、えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?そ………そんなの無理だよぅーーーーーーッ」
突然のハルナの提案に、『無理だ』と否定するのどかだが、ハルナは更に押してくる。
「無理じゃないわよッいい!?修学旅行は『男子』も『女子』も浮き立つもの!「麻帆良学園恋愛研究会」の調査では、『修学旅行期間中』の『告白成功率』は『87%』を越えるのよッ!!」
「ははは………はちじゅうなな?」
「しかもッ!ここで恋人になれば、明日の『班別完全自由行動日』では!二人っきりの「私服ラブラブデート」も……!!」
ハルナの強引な説得に圧倒されるのどか。夕映はハルナの強引さに(またテキトーな…)と呆れていたが、
(ラ、ラブラブデート………ネギ先生と――――…………87%で……………)
のどかは顔を赤くして、すっかりその気だった……
「大丈夫!今のあんたならいけるって!!よし、まずはネギ君と『二人っきり』にならなきゃね!行くよ夕映ッ!」
「ラジャです!」
ダッター
「あッ、ちょ………まだ心の準備がーーー………」
作戦開始とばかりに駆け出すハルナと夕映に、のどかは後ろから声をかけるしかできなかった…………
☆★☆★☆★
一方、こちらはネギ、明日菜、刹那、徐倫、千雨、スバルたち。
「―――今んとこ、サル女もルル・ベルも、動きはねーな………」
「うーん……」
「昨晩、スタンド使い一人に式神数体がやられたし、恐らく今日は大丈夫だと思うが……」
「念のために、スタンド使いのいる班を含め、各班に『式神』を放っておきました。何かあれば分かります。このかお嬢様も、私が『陰から』しっかりお守りしますので、皆さんは、修学旅行を楽しんでください……」
刹那はそう言うが、スバルは『陰から』の部分が気になった。
「何で「
「そうよ、隣にいておしゃべりでもしながら守ればい〜のに〜。」
「ッ!いっ、いえ…私などがお嬢様と気易くおしゃべりなどする訳には……」
「……なーーに照れてんだよ。」
「な゛っ……別に私は照れてなどッ!!」
何故か顔を赤くする刹那。どうやら何かあるらしいが、徐倫や明日菜は面白そうにからかいだした。
と………
「アスナにスバルゥウウーーッ!一緒に大仏見よーーよーーーッ!」
「良ければ、空条さんや長谷川さんもーーーッ」
ドギャァアアーーーッ
「「「「へぶッ!?」」」」
明日菜たちが夕映とハルナに突き飛ばされ、さらに、
「せっちゃん、お団子かってきたえ。一緒に食べへん〜〜〜〜?」
「えっ……」
お団子を持ち、木乃香が刹那に詰め寄ってきた。木乃香のいきなりの誘いに、刹那は後ずさった。
「ちょッ……お前ら!何だよッ!?」
「いーからいーから♪」
「え?ちょ、ま、えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
「す、すいませんお嬢様!私、急用が……ッ」
ダッター
「あん、何でお嬢様って呼ぶんーーー」
そのまま明日菜たちは連れ去られ、刹那は木乃香から逃げるように走り出してしまった……
「あ…あれー?」
ネギを一人残して………
一人取り残されたネギは、しばらく呆然としていたが、ふと、後方から声をかけられた。
「あ…ああああのー……ネギ先生………」
「あ、宮崎さん……な…なんか、みんな行っちゃいましたね……二人で回りましょうか。」
「えッ…あ、はい!喜んでーー……(……よーしッ……うん、私がんばるーー……)」
ネギと一緒に回ることになったのどかは、告白する決心をした。
☆★☆★☆★
数十分後
大仏殿
「―――全く……何やってんのよ、あの子は…………」
明日菜たちをネギから遠ざけ、あやかを千鶴たちに頼み足止めさせた後、のどかたちを陰から見ていた夕映とハルナは、呆れていた。
あれから見ていたが、のどかはネギに告白しようとはするのだが、うまく言えないというか、とんちんかんな事を言っていた。大仏が大好きだの、大吉だの……
そして、今は―――
「お……お尻がハマっちゃいましたァアッ」
「えーーーーーーッ!!」
大仏の鼻と同じ穴をくぐり抜けようとして、お尻がハマっていた………
「だ…大丈夫ですか?引っ張りますから!」
グィィイイ
「へぅう〜〜…すいません先生ー!」
のどかの手を引き、のどかを引き抜こうとするネギ。だが…
スッポーーーン
「キャーーーッ」
「うわッ!?」
ドシーーンッ
勢い余って、のどかは穴から飛び出してしまう。その結果―――
「あたた……ひゃあッ!?」
「うひゃやああッ!?」
のどかがネギに『馬乗り』してしまい、ネギはのどかの「スカートの中」を見てしまう!
「す…すいませんーーーッ」
ババッ
「い…いえ、こちらこそ…ッ」
顔を真っ赤にし、慌てて飛び退くのどか。もはや、恥ずかしくて仕方なかった。
「(ああああああ…全然「告白」できない上に……こんなはしたない姿を見せてしまって……やっぱり私―――)ごめんなさいーーーーーーーッ」
ダッターーーー
「ああッ宮崎さんッ!!?」
恥ずかしさが限界に来たのか、のどかはその場を走り去ってしまった………
☆★☆★☆★
「―――やれやれだわ。何だったんだあいつら?」
「ったく、『大仏見よー』って誘っといて、とっととどっか行っちまうし………」
一方、こちらはハルナたちにネギから遠ざけられた徐倫たち。ネギたちとはぐれてしまった(というか、はぐれさせられた)ため、仕方なく奈良公園内をぶらぶらと歩いていた。
「もーー、何でこのかから逃げるのよ〜〜?」
「し、…「式神」に任せてあるので、お嬢様の『安全』は大丈夫です…」
「そーじゃなくてさァ、何でしゃべってあげないのーーー?」
徐倫と千雨の少し前を歩く明日菜とスバルは、刹那に問う。
昨日から気づいてはいたが、刹那は木乃香を避けているようだ。それを、木乃香は寂しそうにしていたため、二人は聞いていたのだ………
「それは……その…………私が親しくして、「魔法」のことをバラしてしまう訳にはいかないし………やはり『身分』が………」ぶつぶつ
「何ぶつくさ言ってんスか……?」
「………徐倫、ありゃ何かあるな………」
「ああ………まあ、それは『このかと刹那の』問題だ。私らがむやみに口出しする必要はねェよ。」
「………だな。」
ぶつくさ言って言葉を濁す刹那を見て、二人はそう考えた。
と、その時だ。
ガサッ
「ん?」
『?』
物音を聞き、そちらを振り向く一同。そこには―――
「ハァハァ………あ…明日菜さん…たち………?」
「………君は…『宮崎さん』?」
「ど、どうしたの「本屋ちゃん」?何かあったのッ!?」
涙を浮かべ、息を切らしたのどかがいた。
☆★☆★☆★
「―――マジでッ!?」
「えェーーーーーーッ!?ネッ、ネギくんに『告った』のーーーーーーーッ!?」
近くの茶店に場所を移し、のどかの話を聞いた一同は、明日菜やスバルのように大声を出すわけではないが、全員が驚いていた。
「は、はいーーーー…………いえ、『しようとした』んですけど……私、スットロいので、失敗してしまって………」
「マジかよ……」
「ほ…本気だったんだーー………」
のどかがネギに告白しようとしていたのには驚いたが、それが本気と知り、逆に感心しだす一同。
そこで、刹那が口を開く。
「でも、ネギ先生はどう見ても『子供』では………どうして…………?」
「そ…それはーーー…ネ、ネギ先生はーーー……」
刹那に問われ、のどかは話し出した。自分がネギを思う理由を………
「普段はみんなが言うように「子供っぽく」て『カワイイ』んですけど…時々『私たちより『年上』なんじゃないかなーー』って思うくらい頼りがいのある「大人びた」顔をするんですーーー」
「……えーと……」
「そうか?」
「…………確かにまあ、最初は『足手まとい』かと思ったけど…………」
のどかが真面目に話すために、聞いている明日菜たちの方が逆に恥ずかしくなってきた……
「―――それは多分、ネギ先生が私たちにはない『目標』を持ってて……それを目指していつも「前」を見ているからだと思います………本当は、遠くから眺めてるだけで満足なんです。それだけで私、勇気をもらえるから…………」
のどかは、遠くの空を見ながら、明日菜たちに打ち明ける。
「でも、今日は自分の気持ちを伝えてみようって思って…………」
そこまで言うと、のどかはふと、刹那や千雨の方を見た。
「ん………?どうかしたか?」
「えへへーーー……明日菜さん、ありがとうございます。スバルさんも………桜咲さんや空条さんたちも、怖い人だと思ってましたけど、……そんなことないんですねーーーー♪」
「「「え………」」」
のどかに言われ、刹那、千雨、徐倫は一瞬呆気にとられた。
のどかはスッキリしたのか、すくっと立つと、
「―――何だかスッキリしました。私、『行ってきます』ーーーー。」
タッターー
「あ、本屋ちゃん!?」
明日菜たちに礼を言い、駆け出した。
「ちょ、ちょっと…『行く』って………?」
「いやぁ姐さん、俺っちは感動したぜ!」
「宮崎さん………もしかして………!?」
明日菜は訳が分からない様子だが、スバルはもしやと思った。
のどかは―――
「…………なあスバル、私ってそんなに怖いかな…………?」
「えッ!?えぇーーと…………」
ちなみに、徐倫は軽く傷ついていた………
☆★☆★☆★
その頃、ナンバーズとギンガたちはというと―――
「大丈夫ですか、ディエチ姉様?」
「うぅぅ………2cmくらい食べられた…………」
「腹壊さなきゃいいけどな、鹿。」
「………ノーヴェ、それどういう意味?」
涙目で鹿にカジられた髪をさわっていたディエチだが、ノーヴェの一言に怒ったように振り返る。
実際、奈良公園の鹿には鹿煎餅以外あげてはいけない決まりになっているのに、鹿に菓子やら果物やらをあげる人がいると問題になっているが、ノーヴェのそれはディエチに対して失礼だ。
「―――あれれ~~~?あれってネギくんにホンヤじゃないっスか~~~~?」
「あれ、本当だ。」
ふと、ウェンディは150m程先にネギとのどかがいることに気づく。
なお、ウェンディやノーヴェ、他にはディエチやセインたちは、何故かのどかの事を『ホンヤ』と呼んでいる。
恐らくだが、明日菜他数名がのどかを『本屋ちゃん』と呼んでいるのが原因と、徐倫は考えていた。
だが、ノーヴェにこの事について徐倫が聞いた所―――
「―――えっ、『ホンヤ』っていう名前じゃないのッ!?」
という答えが返ってきたという………
この後数日間、ノーヴェはこの事をネタにセインやウェンディにいじくられていたという。
閑話休題。
見ると、のどかがネギに対してなにやらあわあわとテンパっているようだが、何か話そうとしているようだ。
「………?何だろ?」
「何か話しているようだが………」
気になったのか、ノーヴェたちは少し近づいてみた。そして―――
「あ…あの、………先生………私…………」
「何だ?」
「―――まさかッ!?」
「私、ネギ先生のこと、出会った日からずっと好きでしたッ!!私………私、ネギ先生のこと、大好きですッ!!!」
「……………………え?」
「なんだってェーーーーーーーーーッ!!ムグッ」
ウェンディが大声をあげるが、セインが口をふさぐ。ネギは、突然の事に顔を赤くして固まってしまった。
「……………え………………あ…………………………」
「………あ、いえーーーー、わ、分かってます………突然こんなこと言っても迷惑なのは…………せ、『先生と』「生徒」ですし………ごめんなさい………でも、私の気持ちを知ってもらいたかったので…………」
「おいおい!確かに聞いた今の言葉は〜〜〜〜〜〜マジかよ〜〜〜〜〜たまげたぜ………ホンヤのやつ………」
ノーヴェが思わず呟く中、のどかは固まったままのネギに話していた。そして、
「失礼します、ネギ先生ーーッ」
「ぁ………」
のどかは走り去ってしまった。
残されたネギは、今起こった出来事に混乱しているのか、その場に立ち止まったままだ。
「えと………あう………ぁぁ………ぁぁぁぁ…………」
この修学旅行、初日から色々なことが起こりすぎた。そのためかネギの頭の中は……
―――告白された?―――このかさんとはせがわさん守らないと―――大好きですーー―――おサルが敵…ルル・ベルさんは―――刹那さんちょっとコワいーーー空条さんオラオラオラオラオラオラアスナさんしんしょわたすースバルさん『スタンド』
パンク寸前だった。その結果、
ドテーーン
「キャーーーッ!?」
「ネギィィィィッ!?」
ブッ倒れた。
倒れた瞬間、ノーヴェたちと同じように隠れて見ていたらしい明日菜やスバルたちが飛び出してきた。
「ネギッちょっとしっかりーーーッ」
「兄貴ィーーッ」
「って、お前らもいたのかよ………」
「いやぁ、偶然なんだぞ?」
気絶したネギを抱えながら、明日菜はネギに呼びかける。徐倫はノーヴェたちがいたのに呆れながらつっこんでいた。
「……………(宮崎さん…あんなおとなしそうな子なのに…勇気……あるんだな……)
刹那はのどかが走り去った方を、少しうらやましそうに見つめていた。
☆★☆★☆★
「宮崎 のどか………まさか、ここまで『大胆な』コだったとは………ッ」
同じく、のどかの告白の様子を見ていたルル・ベルは、焦ったように呟いた。
「………どうやら、早めに手を打った方が良さそうね…………」
そう言うと、ルル・ベルはその場を静かに立ち去った。
ネギ・スプリングフィールド―――知恵熱でブッ倒れるも、数十分後に起きた。
←to be continued...
52話です。
・サブタイトルは『山岸由花子は恋をする』から。千雨の時の話同様、のどかの告白の話にはこれしかないと、初期のころから考えていました。
最初にこの話をにじファンに投稿したのは何年も前なんですが、4部のアニメで由花子さんを能登さんが声を当てることになるなんて思いもしませんでした………
・ヴィオレッタの容姿は、まんまOVAのエンヤ婆です。あれって、周りの街みたいに『正義』の幻影だったのかな?
・前回少し重くなってしまったので、ナンバーズは基本ほのぼのです(笑)鹿に後ろ髪カジられてるディエチがお気に入り。
・ルル・ベルの目的は、2、3話したら判明するかも?
では、次回をお楽しみに!