ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#44/学校に住もう ②

明日菜とスバルは目が点になっていた。教室にいたはずなのに、さよに連れられて窓際の席の前にある、黒板の下の『壁板のすき間』に引っ張られたかと思うと、そこに『吸い込まれて』この場所にいたのだ。

 

「………こりゃあ、一体………?」

 

さよに連れられたネギたちは、『図書室らしき部屋』の中にいた。

教室2つ分ほどの広さに本が詰められた本棚に椅子と長机が並び、壁にも本棚が設置されていた。受付のカウンターにはお茶の入った湯呑から湯気が立っており、おかきの乗った皿も添えられていた。

 

「ここは……図書室、か…?なんか、変な()()置いてあるけど………」

 

しかし、不可思議な点がいくつかある。

まず、テーブルの上のろうそくやマッチはともかく、図書室にあるはずのない『日本刀』や『古いライフル銃』、本棚の側面に立てかけられており、大きなラッパが光る『蓄音機(フォノグラフ)』がテーブルに置かれ、更には『自動販売機』まで何故か置いてあり、図書室とのミスマッチからシュールさを醸し出している。

次に、大きな窓があるものの、どういう訳か外は見えず真っ白な壁が見えるだけであった。

 

「この図書室を見つけてから、誰もいなくて怖いときとかに来ているんですよぉ~」

 

そしてさよは、先ほどまでの幽霊らしい透けて足のない姿ではなく、足があって床に立った状態で説明をしていた。その時、ネギは壁に掛けられていた着物を着た女性の絵に気づいた。

 

「おおっ!た、『竹久 夢二』ですか?これ!ほ、本物ですか!?」

「あ、はい。多分本物ですよー。ネギ先生、よく知っていましたねぇー」

 

興奮するネギに答えるさよ。一方の徐倫と千雨は、本棚の本を手に取っていた。

 

「『ダンテの神曲』、『ああ無常』、江戸川乱歩に宮沢賢治………古い作品ばかりだな………」

「けれど、本自体は新しいみたいだ………奥付には、『初版』とある………発行は昭和30年だ………」

 

徐倫たちが本を調べていると、仗助は蓄音機のそばに置かれたレコードを見た。

 

「レコードもあるな………シューベルトの『白鳥の歌』、モーツァルトのピアノ協奏曲27番……クラシックか?結構古いけど………」

 

明日菜とスバルは図書室を見渡した。

 

「何だか………『妙』よ、この図書室………!」

 

 

 

 

 

#44/学校に住もう ②

 

 

 

 

 

「私がいつ、どうやって『死んだ』のかは、覚えていません………気が付いたら、教室のあの席から動けない、『地縛霊』になっていたんです………ああ、地縛霊と言っても、学校近くのコンビニくらいまでなら、行くことが出来るんですけれど………」

 

さよは、カウンターのお茶とおかきを手にして話し始めた。

 

「ある日、『何かがある』ような気がして調べてみたら、この図書室を見つけたんです。日本刀とかは違うけれど、おかきとお茶は最初からありました………」

 

そう言うとおかきを食べて、お茶を飲むさよ。だが、それは顎の下を()()()()()、ビチャビチャと床に零れた。

 

「……!?」

「見ての通り、食べることは出来ませんけれど、味はします………幽霊になっても、『何か食べたい』と思う時があるのですが………そういう時に食べています………自販機の飲み物も飲みたいのですが、電気だけはなくて………」

「相坂さん………この図書室は一体………?」

 

さよにネギが聞いた。さよは小首をかしげた。

 

「分からないのですけれど、ただ、昔学校で大火事があって、その時に大改築されたことがあって………もしかしたら、その事と何か関係があるのでしょうか………?」

「大火事………?」

 

それを聞いたネギは、図書館を見回してある事を思い出した。

 

「もしかして………何となくだけど、わかりかけてきました………この図書室は『幽霊』なんだ………」

「ゆ、幽霊?図書室が幽霊って………?」

 

理解が出来ていないのか、スバルが聞き返した。ネギは説明を続けた。

 

「魔法関係の本で、前に読んだことがあります。『屋敷幽霊』と言って、火災等で焼けた家なんかが『霊魂』となって『()()()()()()()()()()』という事例です。ロンドンやパリには、100年以上昔の家やお城の屋敷幽霊が数件あると聞いています。」

「屋敷幽霊………じゃあ私たちは今、『火事で焼け落ちる前の図書室の幽霊』にいるってこと………?」

 

きょろきょろと、図書室内を見回す明日菜。

 

「図書室そのものもそうだが、本も、お茶とおかきも、夢二も幽霊って事か………「ものの幽霊」………それを感知して使う事が出来るのが、相坂のスタンドって事か………」

 

仗助は、鈴美のいた『あの世とこの世の境目』にある『振り向いてはいけない小道』を思い出していた。あの一帯は、鈴美が生きていた頃の家の周囲がそのままになっていた。おそらくあの一帯も、『住宅地そのものの幽霊』だったのだろう。

 

「ちょっと面白いわねー、秘密基地みたいで!」

「え………じゃあ、あの日本刀やライフル銃は………?」

「あ、その日本刀は、さっき話していた落ち武者さんが落としたものでして………ライフルと自動拳銃は、旧日本兵の人が落としたものです。」

「何でそんなもん落としたんだよ………?」

「それが………私を見て驚いてしまったらしくて………刀とか銃を置いて逃げてしまって……」

「幽霊にすら驚かれるって………スゴイのか地味すぎるのか………」

 

さよの地味さ(ステルス性)に、感心するべきか呆れるべきか分からない千雨であった。

 

「ところで、先ほどから話している『スタンド』っていうのは………?」

「ん、ああ、スタンドってのはな―――」

 

仗助と徐倫は、さよにスタンドについて説明をした。

 

「なるほど………じゃあ、私がこの図書室を見つけて使うことが出来るのは、私のスタンド能力によるものだったんですね………」

「多分な。お前が今、『実体化』しているように見えるのも、この図書室が幽霊だからってのが理由だろうな。」

「生前の事を思い出せない事を考えると、多分スタンド使いだと気づかないまま死んだってトコか………」

 

納得したように話すさよと仗助。さすがの『矢』も、幽霊を射抜く事はできない。すると、ネギがさよに話しかけてきた。

 

「ええと、相坂さん………今まで気づいてあげられなくて、ごめんなさい………」

「い、いえ……私も幽霊ですし………そもそも幽霊の私がクラスの名簿に載っている理由もわかりませんし………」

「あー……でも、この場合はお互いに『スタンド使い』だからよかったのかな?そのおかげで、相坂さんとこうやって『友達』になれたわけだし。」

 

スバルがそう言った瞬間、さよははっと弾かれたようにスバルの方を向いた。

 

「とも………だち………?」

 

すると、さよの目からつう、と一筋の涙がこぼれた。

 

「ええ!?」

「ど、どうしたの相坂さん!?」

 

慌ててさよに駆け寄る一同。するとさよは涙をぬぐって、

 

「ぐすっ、すみません………私、今まで誰にも気づいてもらえなくて………寂しくて………」

「………あー、確かに、60年以上も気づかれなかったらなー………」

 

涙を流すさよに同情してか、気を落とす一同。ネギたちは顔を見合わせた後、さよに笑顔で手を差し伸べた。

 

「ええと、僕たちでよければ………」

「私も………この中で一番『新参者』だけど………」

「………はい!」

 

かくして、クラス1地味な生徒に、友達ができたのであった。

 

 

 

 

 

麻帆良学園都市名所:『図書室の幽霊』

場所:麻帆良学園中等部のどこか

 

1970年代に麻帆良学園でおきた大火事以前の図書室が、今もどこかにあるらしい。

もしそこに入ることが出来たら、『女子生徒の幽霊と話をすることができる』という。

(麻帆良学園新聞部発行『まほら新聞』より抜粋)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――ということがあって………」

「そ、そうなんだ………」

「吸血鬼とロボの次は幽霊か………あのクラス、どーなってるんだよ………」

 

夕方、マンションに帰って来たスバルは、フェイトたちにさよの事を話していた。

変わった生徒の多いクラスであるとは思っていたが、まさか幽霊までいるとは思ってもみなかった。まあ、普通幽霊がクラスメートだなんて考えもしないだろうけれど。

 

「で、ハルナって子の言ってた噂は、何だったの?」

「うん、相坂さん、前に寂しさを紛らわそうとレコードかけたり、夜の教室で蝋燭に明かり灯したりしたことがあるらしくて………」

「それが人魂や、不気味な歌の正体って訳ね………」

 

ティアナが呆れたようにため息をつく。さよにその気はなかったのであろうが、怪談や七不思議にされては困りものであろう。

 

「………所で、さっきから気になっていたんだけど………」

「ん?」

 

ふと、スバルの話を聞いていたディエチが、引きつった表情で話しかけた。そうしたのだろうと思っていると、ディエチはスバルの背後を指さし、

 

「その幽霊って、『()()()()()?』」

『え?』

『あ、どうもー………』

 

振り返ってみれば、いつの間にかさよの姿があった………

 

「………って相坂さん!?な、何で………!?」

 

驚いてのけ反るスバルと、さよに気づいて若干距離を取るナンバーズ一同とティアナ。フェイトとアルフには見えていないのか、不気味がって辺りを見渡していた。

 

『はい……スバルさんが友達になってくれてうれしくて………それで、つい後を()()()しまって………』

「今、漢字変換おかしくなかった!?」

 

照れたように言うさよにツッコミを入れるティアナ。しかし、確か学校の近くのコンビニの付近までしか行けないはずであったが…?

 

『そうやら、誰かに憑いていれば、遠くまで行けるみたいなんですー♪』

「へ、へー、大発見じゃん………」

 

若干困惑したものの、さよの体質の発見を喜ぶスバル。

地縛霊のさよは流石に修学旅行には行けないだろうと思っていたが、これならば何とかなるだろう。

 

『というわけで、よろしくお願いしますね、スバルさん!』

「う、うん!」

 

 

 

「随分と()()()()みたいッスね。」

「あれは()()()()()()って言うんじゃねーか?」

 

 

 

 

 

相坂さよ(享年15歳) スタンド名―バーニング・ダウン・ザ・ハウス

スバルたちと同じ5班に入れてもらい、修学旅行を楽しみにする。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

京都

料亭「霞のめ」

 

 

「―――では、こちらへどうぞ。」

「ど、どうも。」

「………噂に聞いてはいたが、ずいぶん丁寧だな、『ニホンジン』ってのは。」

 

料亭に着いたジョルノとトリッシュ、そして亀を持ったミスタの三人(フーゴは、ジョルノがいない間の組織の切り盛りのため、イタリアに残っている)は、ある部屋へと案内される。

 

「この部屋です。」

「どうも。」

 

そして、部屋の襖が開くと、中には男が三人。

 

「お、来たか~~~、ポルポルく~~~ん。」

『!!ほ………ホル・ホースッ!?』

「来たね。」「来たね。」

「「やっぱり来たね、ボス!」」

「ソルとルナ…………それにサルシッチャッ!」

「…………」

 

ホル・ホース、ウェカピポ、そしてサルシッチャに、ソルとルナ、そしてゴシックロリータ服の少女―――

 

 

 

 

 

「初めましてジョルノ・ジョバァーナ。私は『ルル・ベル』………どうぞよろしく。」

 

ルル・ベルがいた。

 

 

 

 

 

←to be continued…




44話です。
・さよちゃんのスタンドは、幽霊繋がりで『バーニング・ダウン・ザ・ハウス』にしました。原作よりも部屋は広い上に、さよちゃんは落ちてる物も拾うので、若干物は多いです。

・本やレコードの中には、屋敷幽霊繋がりで『デッドマンズQ』関連のものもあります。懐かれたスバルはちょっと困惑してるけれど、さよも京都に行くことができます。

・ルル・ベルとパッショーネが接触しました。今後の展開をお楽しみに。

では、次回をお楽しみに!

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