ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
ミッドチルダ
聖王医療院
「それでは、お大事に。」
「はい、お世話になりました。」
院の入り口から、一人の若い女性が出てくる。それに、金色の小さな影がかけだしてくる。
「ママッ!!」
「ヴィヴィオ!」
出てきた女性―――なのはは、自分に向かいかけてきた影を抱き留めるも、利き手である左手にギプスを着けているためよろけてしまう。
ガシィッ
「っと、大丈夫かい、なのは?」
「ゆ、ユーノ君…………」
それを、後ろから長い金髪とメガネをかけた男性―――ユーノ・スクライアが受け止める。
「ご…………ごめんなさい、ママ……………」
「あ、大丈夫だよ、ヴィヴィオ。」
抱き留めた少女―――ヴィヴィオが申しわけなさそうに下りると、なのはは笑ってヴィヴィオに話す。と、
「はーい、そこの子持ちの夫妻ーーー!周りから暖かい目で見られとるから、いつまでもイチャついとらんで、さっさとタクシーに乗らんかい!」
少し離れた所に停めてあるタクシーから、はやてが大声で呼んできた。周りを見ると、暖かい目で人々が見ていたのにようやく気づく。
二人は顔を赤くすると、ヴィヴィオの手を引いてタクシーまで早足で向かった………
#43/学校に住もう ①
修学旅行5日前
麻帆良学園女子中等部 昼休み
「そうか、なのはさん退院したのか。」
「うん。と言っても、『条件付き』でねぇ………」
「条件?」
教室の一角、いつの間にやらお馴染みとなった徐倫、千雨、スバル、明日菜、ネギのメンバーは、昼食を食べながら話していた。内容が内容だけに、なるべく聞かれないように注意はしていたが。
「うん………完治するまでレイジングハート―――なのはさんのデバイスなんだけど、それを没収よ。」
「そうか…………」
「なのはさん、ほっといたら無理してでも仕事しちゃうから…………しばらくお休みもらって、実家で滋養だってさ。」
「………あんま頑張りすぎないといいんだが…………あ。」
いい考えが浮かんだと、千雨が手をポンッと打つ。
「なあ徐倫、『トニオさん』とこにつれてくのはどうだ?」
「ああ、そりゃあ良いな!」
「「「トニオさん?」」」
聞きなれない名前を聞いて首を傾げる明日菜たち。
「なになにー?何の話―?」
「あ、パルたち……うん、ちょっと、スバルの知り合いの事でちょっとねー」
そこに、のどかと夕映、ハルナの図書館探検部3人組がやってくる。ハルナと夕映はスタンドも魔法も知らない一般人であるため、そこまで詳しくは話さないでおく。
「ふーん……あ、それはそうと、さっき東方先生から『妙なこと』聞かれたのよ……」
「『妙なことぉ~?』何よそれ?」
ハルナの話が少し気になるのか、適当に聞く明日菜。それに答えたのは、『アチャ紅茶』なるジュースを飲む夕映であった。
「実は、東方先生が各班のメンバーを確認していたところ、出席番号1番の『相坂 さよ』さんが、どこの班にも入っていないことに気が付いたそうで………どこかに入れてもらえないか聞いてくれと、頼まれたです………」
「相坂 さよさん………あれ?そんな子、いたっけ?」
聞き覚えのない名前に首を傾げるスバルとネギ。
「ああ、スバルが知らないのも………っていうか、私たちも会った事、ないんだけど………」
「「え?」」
ハルナの言葉に思わず聞き返す2人。明日菜たち3人もそういえば、とあごに指を置いて考えた。
「………そういえば、私も会った事ないわね………」
「え?」
「学校に来てる所、エヴァンジェリン以上に見ないな………」
「ええ?」
「ずっと不登校だとか、長期間入院してるって噂、聞いたことあるぞ……?」
「「えええ!?」」
3人の言葉に驚くネギとスバル。夕映は、更に続けた。
「しかし、東方先生が言うには、
「ええ!?」
「あ、そういえば………」
ネギは何か思い出したのか、出席簿を取り出すと出欠席表を開いて『相坂 さよ』の欄と、『点呼者のサイン』を見た。
「やっぱり………相坂さん、4月に入ってから何日か『出席』しているけれど……これ全部、
「何だと?」
「おじさんが出席取る日だけ、出席しているってか?」
「まさか………あ、ひょっとして、」
ふと、何か思いついたらしいハルナ。
「仗助先生だけに見える生徒、だったりして!」
「ひぇっ……」
「何を言っているですか、パル………」
呆れる夕映と、ビクッと怯えるのどか。しかし、ハルナは続けた。
「けどさー、このクラスっていうかウチの学校、結構『そーいう噂』多いじゃない!図書館島の地下とか、この間の吸血鬼騒ぎとか、夜の教室で『人魂』見たとか、不気味な歌を聴いたって噂も、聞いたことあるし!」
「う、うーむ………」
興奮したように話すハルナに対し、『
「……分かりました。相坂さんの事は、僕の方で調べてみますね。」
「うん、何か分かったら、教えてね!」
ハルナにそう言うと、ネギは苦笑しつつも、職員室に向かった。
☆★☆★☆★
「何?相坂くん?」
職員室に来たネギは、仗助と一緒に新田先生に頼んで生徒の書類を見せてもらっていた。
「そうなんスよ、俺が気づいたからよかったんすけど、ちょっと調べてみようと思いまして……」
「うーむ……(
新田先生も首をかしげる中、ネギは相坂 さよの書類を見つけた。が、
「あ、あれ…?さよさんの書類…名前以外が『空欄』だ………」
「何?」
「どういう事だ……?まさか、『存在しない生徒』だとでも言うのか……?」
ネギの言葉に、首を傾げる仗助と新田先生。連絡先どころか現状すら分からないと聞いて、ついには彼女の存在すらも疑う3人。
「けれど、俺は何回か相坂を見てますよ?写真の通り、『セーラー服』で『白い髪』で、ちょいと『影が薄くて』、『生気のない顔』の………?」
そこまで言いかけて、仗助は何か、以前『似たような雰囲気の女性』に出会ったような気がした。それが誰なのかを考えて、そして、それが誰かを思い出した。
「………新田先生、この辺で失礼します。ネギ、行くぞ。」
「え!?あ、はい!」
仗助はネギを呼ぶと、ネギは書類を手早く片付けて新田先生にお辞儀をし、仗助に着いていった。
「……うーむ、朋子君が「妙な事によく首を突っ込む」と言ってはいたが………あのクラスだと、仗助君も大変だろうなぁ………」
☆★☆★☆★
その日の放課後
「『杉本 鈴美』さん?」
廊下を歩きながら、仗助はネギ、スバル、徐倫、明日菜に説明していた。
「ああ、俺の故郷の『杜王町』で、20年以上前に『殺人鬼』に殺された少女の『幽霊』だ………相坂の雰囲気が、その人に似ていたんだ………」
「似ていたって………あの、それって
仗助の説明に、顔を引きつらせて聞くスバル。今まで色々なものに出会ってきたが、流石に幽霊は想定外すぎた。
「タカミチからもらった名簿には、「1940~」、「席動かさないこと」って書き込みがあったけど………もしかしたら、本当に『地縛霊』の類なのかも………」
「1940って……『年』って意味か?するとこいつは、60年以上も教室にいるっていうのか………?」
「ちょ、ちょっと、やめてよそう言うの………!」
ネギと徐倫の予測に、ちょっと引きながら明日菜が言う。ちょうどその時、A組の教室に着いたため、仗助は戸を開いた。放課後であるため、既に教室に人影はなかった。
そう、
「どっちにしろよぉー、これではっきりするぜぇー………」
「どうするんですか?」
「
「あ、なるほど………」
千雨に言われて、徐倫たちスタンド使い一同は、こっそりスタンドを出して窓際最前列にある『相坂 さよの席』を見た。
しかし、最前列の席には、何もなかった………
「………だよなー………」
「仮に幽霊だとしても、名簿に名前が載っている訳ないし………」
肩の力を抜いたネギたちが、出口の方に向き直り―――
『わー、この子、カワイイですね~♪』
『チュミィイ~~ン……』
『………………………………………………………』
『タスク』を撫でる、セーラー服姿の女子の姿があった………
『い、………いたぁあああああああああああああああ!? !?』
『きゃぁ!?え?え?な、何ですかぁ~~~!?』
驚く一同に対し、同じく驚いてキョロキョロと周囲を見渡す幽霊こと、『相坂 さよ』。
名簿の写真のとおり長い白髪の少女で、半透明で足がなく少し浮いているが、写真のどこか儚げな雰囲気とは打って変わっておどおどと慌てる様は、ある意味「裏切られた」感があった。
「やべぇよ………本当にいたよ幽霊………」
『え!?幽霊!?ど、どこですかぁ~~!?』
「いや、お前だよ!」
『あ、私でしたか………』
「何か、幽霊的な怖さが微塵もないんだけど………」
素でボケるさよにツッコむ千雨。
「ええと、あ、相坂 さよさん、ですよね………?」
『はい…………私、60年近く教室で地縛霊やっているんですけれど………いまいち存在感がないというか、誰にも気づいてもらえなくて………』
「た、確かに、私らもおじさんに言われなかったら、気づかないままだった可能性が………」
『夜の校舎に一人でいるのって、お化けとか出そうで怖いんですよ~………』
「鏡見たら?お化けがいるから。」
『以前、『落ち武者』の幽霊さんに襲われかけた時は、怖すぎて心臓が止まりそうになりましたよぉ~………』
「いーや、お前はもう死んでいる。」
あべし、もといビシっ、とツッコミを入れる千雨。さよはどこか抜けている性格らしく、俗にいう『幽霊の怖さ』がないため、身構えていたのが馬鹿らしくなってきた。
「……あれ?」
ふと、スバルはある事に気が付いた。さよを見つけた際の、彼女の行動だ。
「相坂さん………さっき、ネギ君の『
「え?」「あ………」
『あ、その子、『タスク』って言うんですかー?』
さよは何てことないように『タスク』を撫でながら言うが、それを聞いた徐倫たちははっとした。
「ねえ、幽霊になると、スタンドって見えるものなの……?」
「いや、同じ幽霊の『杉本 鈴美』は、スタンド使いではなかったために、スタンドが見えなかった……」
『スタ、ンド………ですか?』
首をかしげるさよ。
『スタンドは、スタンド使いにしか見えない』幽霊にもそのルールが適用されるのならば………
「こいつ………スタンド使いか………!」
『へ………?』
全員の視線が集まる中、キョトンとするさよ。その時、
「ねえ、徐倫や東方先生、こっち来たよね?」
「ええ………やはり、相坂さんの件でしょうか……?」
廊下から声が聞こえた。ハルナと夕映の声だった。
「ゲ、パル………!」
「………どーする?素直に『幽霊いましたー』って言うか?」
「いや、それはそれでメンドーな事になるな………」
ハルナの性格と、最近の夕映の疑り深さを考えると、ここで妙な事をすれば騒ぎに発展することは確実である。どうしようかと悩んでいると、さよが手を挙げて話しかけてきた。
『あの、お話するなら、いい場所がありますけれど………』
「え?」
☆★☆★☆★
ハルナと夕映が教室に入ると、そこには誰もいなかった。
「あれー?確かにネギ君やスバルが、こっちに来たと思ったのに………?」
「おかしいですね………あの人数で、直ぐにどこかに行けるはずがないのですが………?」
2人は首を傾げながら、教室を見渡した。そして、やはり気のせいだったのだろうと思い、教室を後にしたのであった………
しかし、ネギたちはいったいどこへ行ってしまったのであろうか………?
←to be continued…
43話です。
・サブタイトルは『鉄塔に住もう』から。今気づいたけど、ゾンビは出ないので。念のため。
・なのはさん退院。でも、復帰はまだ後になるかも………名前出たし、『トラサルディー』での話を書こうと考え中。
・今回はさよちゃんのお話。修学旅行前に彼女を出したいと思いまして。
では、次回をお楽しみに!