ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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第3章 炎の京都
#42/学園長からの第二指令;「親書を届けろ!」


 

 

 

 

イタリアはネアポリスの街中を、高そうな黒い車が走っていた。車内には、三人の男女が乗っている。

 

運転をしているのは、穴だらけのスーツを着て、イチゴの柄のネクタイを着けた金髪の男。

一人は、肩出しのセクシーな服を着て、赤みがかった髪をアップにした女。

そしてもう一人は、黒いスーツのあちこちにテントウムシのアクセサリーを付けて、黄金色の髪を、前髪は三カ所でカールさせ、後ろは短い三つ編みにした男だ。

 

やがて車は、とあるマンションの前に止まると、車から三人が出てくる。

 

「『裏切り者』?」

「ええ、『麻薬密売チーム』の内、『粛清』を逃れた輸送グループが、4年ほど前に離反したんだ。そいつらは返り討ちにしたんだが、リーダーの『サルシッチャ』と、彼の腹心である双子の『ソル』と『ルナ』が正体をくらましていたんだが、つい最近、『日本』で目撃されてな…………」

 

穴だらけの服の男が、女に話す。

 

「でも『トリッシュ』、()()()の君が、僕ら『ギャング』の仕事に首をつっこむもんじゃないと思いますが?最近、ファッションデザイナーの勉強をしていると聞いていますが……」

「あのねえ『ジョルノ』、久しぶりに会ったのに、一分もしない内に別れようとしたから、無理矢理着いてきたのよ?しかも『ミスタ』もいるらしいじゃない?」

 

トリッシュ・ウナは、ジョルノ・ジョバァーナの言葉をつっぱねた。

 

トリッシュがジョルノと穴だらけの服の男―――パンナコッタ・フーゴと、これから会うグイード・ミスタが会うのは、かれこれ一年ぶり―――『彼ら』の墓参り以来だ。

そもそもこの三人が一緒なのも、数十分前ジョルノとトリッシュが街角のカフェで偶然出くわしたからである。そこですぐに別れようとしたジョルノの態度にトリッシュが腹を立て、無理矢理着いてきたわけだ。

 

三人はエレベーターで六階まで上がり、ミスタの部屋を目指す。今ごろミスタの所へ、偵察に向かったサーレーとズッケェロから定期連絡が入っているはずだ。

 

「それにしても皮肉なものね………」

 

ふと、トリッシュが口を開いた。

 

「かつて『裏切り者』として追われていたあなたたちが、今度は『裏切り者』を追う立場なんてね…………」

 

それを聞いた二人は苦笑した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

部屋に着いた三人は、チャイムを鳴らした後、勝手にドアを開けて中に入る。すでにミスタには連絡しているため、何の問題もない。………らしい。

 

「ミスタ、失礼します…………」

 

ジョルノが部屋に入ると、矢印の付いたニット帽をかぶった男―――ミスタがどこかへ電話をしていた。

 

「―――おいッ何で出ないんだよ『サーレー』ッ!さっきから『3回』もかけてるのにッ!!次で『4回目』だぞッ!!早く出てくれ………オレに()をかけさせないでくれ………」

「……?どうしたミスタ?サーレーに何の用なんだ?」

 

電話に向かい怒鳴りつけるミスタを見て、フーゴが問いかける。すると、ようやくミスタはジョルノたちが来たことに気づいた。

 

「おうボス………ってトリッシュまで?」

「それは後で説明します。それで、何か問題でも?」

 

ジョルノに問われると、ミスタは顔を曇らせて、デスクの上に『亀』と一緒に置いてあったラップトップパソコンをいじると、画面をジョルノたちに向けた。

 

「………サーレーたちからの定期連絡で、やつらからこんなフザケた『動画』が送られてきたんだ…………」

 

その動画を見たジョルノたちは、最初は何の映像か分からなかったが、しばらく見て愕然とした。

 

 

「ミスタッこれは何の冗談だッ!!」

 

その映像には―――

 

「それはオレが聞きてぇよッ!!さっきからサーレーに連絡しても出ねえんだよッ!!」

 

かつての仲間―――

 

「そんな……………何で…………」

 

ブチャラティが映っていた…………

 

 

 

 

 

#42/学園長からの第二指令;「親書を届けろ!」

 

 

 

 

 

グリーンドルフィンストリート麻帆良

206号室

 

 

「『()()()()()()()』―――――確かに『ギアッチョ』はそう言ったんだな…………?」

「ああ、間違いないよ………」

 

承太郎の言葉に、アギトは頷いた。隣では、徐倫と千雨が神妙な面持ちで立っていた。

 

「…………?『左』手が『右』手?」

「左が…………右?」

「いったいどういうこと?? ??」

 

明日菜、ネギ、スバルが首を傾げる。他もそうだ。確かに気いたら混乱する言葉である。実際、話していたアギトも、訳が分からない様子だ。

 

「親父、私はスタンド使いになってから、『左手が右手』という言葉を何回か聞いている………敵や、スピードワゴン財団の人間からだ………一体何者なんだ?その『左手が右手の女』ってのは………?」

 

徐倫が、承太郎に問いただす。承太郎は少し考えてから、その口を開いた。

 

「………千雨の父、J・P・ポルナレフの妹―――つまり、千雨の叔母だな。そいつは、『()()()()()()()』に殺された。」

『!?』

 

全員が息をのむが、承太郎は構わず話し続ける。

 

「名前は(ジェイ)・ガイル………『吊られた男(ハングドマン)』の暗示を持つスタンド使いだった。そいつはポルナレフに妹の仇として殺された……そして、そいつの母親でDIOにスタンドを授けたという『エンヤ』という老婆も、左手が右手だった………多分その女も、その血縁者だろう…………だから千雨を狙っているんだろう………………」

「…………ッ!ちょ、ちょっと待てよ!」

 

全員が黙って聞いていた中、ヴィータが口を開いた。

 

「じゃああれか?今回の事件は、逆恨みの復讐だっていうのかよッ!?」

「………まあ、そういうことだろうな…………それも、異世界を巻き込んだ、はた迷惑極まりない……………な。」

 

「…………何で…………」

 

全員が暗い気持ちになっている中、今まで黙っていた千雨が口を開いた。

 

「何で…………何で今になって…………何で…………………ッ!?」

 

千雨の呟く声に、誰も答えることはできなかった……………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

翌日

STARBOOKS COFFEE

 

 

「長谷川さん…………大丈夫かな…………?」

「まあ、徐倫がいるから大丈夫だとは思うけど……………」

「『両右手』側のスタンド使いたちも、一夜で二人もやられたら慎重にしてくるとは思いますが…………」

 

STARBOOKS COFFEEで一休みしようと来たネギ、明日菜、スバルの三人。

あの後、千雨がすっかり気を落としてしまい、誰も口を開かなかったために、流れ解散となった。千雨は徐倫が介抱していったために大丈夫だとは思うが、あの千雨があそこまで落ち込んだため、ネギたちは心配だった。

 

(まあ、次に連中が攻めてきたら、ブチのめしゃあ、いいんスよ!)

「………カモ君、スタンド戦ってそんなに簡単じゃあ――――」

 

ネギがそう言おうとして席に着こうとしたとき――――

 

「ぬ……………」

「あ……………」

「ん……………」

 

エヴァと茶々丸、ブチャラティの三人に加え、徐倫と千雨の二人と鉢合わせした…………

 

「こ……こんにちはエヴァンジェリンさん。空条さんたちも………」

「おう。」

「フン!気安く挨拶を交わす仲になったつもりはないぞ!」

 

気さくに返事をする徐倫に対して、エヴァンジェリンは冷たく突き返した。

 

「そういえば長谷川 千雨、貴様大変らしいな?親父のせいで命を狙われているとかで。」

「…………はんッあんたに心配されるとはな。」

「強がっても無駄だぞ?貴様が怯えているのはバレバレだからな…………」

 

千雨に冷たく言うと、エヴァンジェリンは買ってきたコーヒーに口を付ける。

 

「どうだろうな………?あんたこそ、昔ジョースターさんの事好きだったらしいじゃないか?」

「で、フられてネギの親父に転向したんだってな。」

「ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」

 

千雨と徐倫の言葉に、エヴァンジェリンは盛大に吹き出した。

 

「けほっけほっ…………だ!誰から聞いたッ!?JOJOのことは多分リサリサかスージーQ当たりから聞いただろうからいいとして、ナギのことは誰から聞いたッ!?」

「「「「ネギ(先生/くん)から。」」」」

「えっ、ちょ、ちょっと……………!?」

 

千雨と徐倫どころか、明日菜とスバルにまで言われて、ネギは慌てた。

次の瞬間、ネギはエヴァンジェリンに首を捕まれていた。

 

「貴様ァァアアーーーーーーやはり私の夢をォォォォォッ!?」

「い、いえ…………あの………………」

「でもフられてから『50年』近く時間が空いてたんだよな?」

「マジで?」

「その間に何人『新しい男』が出来たのやら…………」

「結構『引きずるタイプ』なのねエヴァちゃんって…………」

「ええい、うるさいうるさいうるさァァアアーーーーーーいッ!!」

 

後ろでひそひそ話す四人に、なのはの親友『A』が聞いたら著作権の侵害で訴えられそうな叫びを上げるエヴァンジェリン。

だが、すぐにそれは暗くなる。

 

「………だが奴は死んだ。10年前にな…………」

「え……?」

「私の『呪い』もいつか解いてくれるという『約束』だったのだが………まあ、くたばってしまったのなら仕方なかろう。おかげで、奴の『強大』な魔力によってなされた私の呪いを解ける者はいなくなり、20年の退屈な学園生活だ…………」

 

どこか遠い目をしながらはなすエヴァンジェリンに、全員静かに聞いていた。だが、明日菜とスバルは、あることに気づく。

 

「―――あれ?でもさぁ………ネギ君って………」

「そうよ。その何とかゆーお父さんを追ってるんじゃなかった?」

「は、はい。―――でもエヴァンジェリンさん僕、父さんと………『サウザンドマスター』と会ったことがあるんです!」

「…………何だと?何バカなことを言っている。『奴』は確かに『10年前』に死んだ!!お前は奴の()()()を知りたかったのではないのか?」

 

ネギの言葉に、エヴァンジェリンは疑問の声を上げる。ネギは、それに静かに答える。

 

「違うんです!大人はみんな僕が生まれる前に父さんは死んだって言うんですけど………6年前のあの雪の夜…………僕は確かに『あの人』に会ったんです…………その時に、『この杖』をもらったんです………だからきっと、父さんは生きてます。僕は父さんと同じ『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』になりたいんですよ。」

 

ネギは、杖を見つめながらはなす。それを黙って聞いていたエヴァンジェリンは、信じられないという顔をした。

 

「や…………奴が…………『サウザンドマスター』が生きているだと……………!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――え?『京都』ですか?」

「そうだ。どこかに奴が一時的に住んでいた『家』があるはずだ。奴の死が嘘だというなら、そこに何か手がかりがあるかも知れん。」

 

サウザンドマスター―――ナギが生きていることを知り気分が良くなったのか、ナギについて語り出すエヴァンジェリン。

話によると、ナギが昔使っていた家が日本の古都『京都』にあるらしい。

 

「京都ですかッ!?ええーと、日本のどの辺でしたっけ………!?困ったな………休みも旅費もないし…………」

 

手がかりが見つかったが、そちらへ向かえそうにないネギ。だが―――

 

「へー、『京都』か………」

「ちょーどいーじゃんか?なあ?」

「そーだな、良かったじゃんネギ。」

「え?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

翌日夕方

グリーンドルフィンストリート麻帆良 206号室

 

 

「『修学旅行』?京都に?」

「そ。来週から四泊五日。」

 

帰宅したスバルは、しおりを見ながらティアナたちに話す。来週から3‐Aは、京都・奈良へ修学旅行だ。

 

「私も中学は京都だったけど、スゴく良いところだったよ。どこに行くか決まってるの?」

「ええーと、私はアスナや宮崎さんたちと一緒の班だから〜〜〜…」

「京都か…………」

 

スバルがフェイトたちと話していると、部屋に承太郎と仗助が入ってくる。手には、資料を数枚持っており、なにやら難しい顔で見つめていた。

 

「東方に、承太郎殿?」

「今、スピードワゴン財団から連絡があった。」

 

いうと、承太郎は資料を皆に見せる。そこには――――

 

 

 

「『京都』の嵐山付近で、『ディード』が見つかったらしい………」

 

 

 

ナンバーズが探していた末妹―――ナンバー12、ディードが写っていた………

 

「で、ディードが………京都で!?」

バキィッ

「は……………!」

 

何かが折れる音が部屋に響く。

そちらを向くと、オットーが『折れた観葉植物の枝』を見つめていた。

その顔は、普段見せない『憎しみ』の表情だ。

 

「………つまり、攫った奴らもそこに?」

「………確証は得られないが、多分な………」

「なら!今すぐ京都へッ!!」

「お…………落ち着けよオットー!」

 

興奮したように飛び出そうとするオットーを、ノーヴェが止める。それをティアナとチンクは、オットーを心配に見ていた。

 

(ディードのことになるとオットー、いつもと違う顔をのぞかせる…鬼気迫るからこの話題には触れにくいのよねえ~~~~~………)

(ああ、心配だな………憎しみでバカな行動をとらなきゃあいいのだが……………………)

 

「オットー、気持ちは分かるがよぉーーー…………向こうの戦力がわからない以上、こっちも準備をする必要があるぜぇーーー………出発はそれからだ!」

「………………………」

 

仗助の言葉にオットーは気を落ち着かせる。

 

(すまんな東方…………)

(なあに、良いってことよ。)

 

そんな仗助に、チンクはそっと感謝をした。ふと、ノーヴェはある事に気が付いた。

 

(………あれ、キョート?はて、最近どこかで聞いたような………?)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

同時刻

女子寮 徐倫と千雨の部屋

 

 

「………『かんさいじゅじゅつきょーかい』?何それ?」

「はい、元々、日本の「陰陽道」等の人たちの集まりで、西洋魔導士を嫌っている人たちらしくて…………」

「そいつらが、『3‐A』…………つーかネギの京都入りを拒否してんのか?」

 

大事な話(魔法関連)があると言うので、木乃香に聞かれたらマズいために徐倫たちの部屋で話すネギたち。

なんでも『関西呪術協会』なる組織の総本山が京都にあるらしく、学園長が理事を務める『関東魔法協会』とは昔から仲が悪いらしい。

そして、今年は魔法先生が修学旅行に同行することを知ると、それに難色を示してきたらしいのだ。

 

「しかし、今まで西洋魔法使い嫌ってた割に大人しかった連中が、先生のオヤジさんが魔法界の『英雄』だからって、今更難色示すなんてな………」

「何でも、学園長先生の娘さんと向こうの代表を『戦略結婚』させて、沈静化させていたんだとか………」

 

学園長の娘と聞いて、明日菜はある事を思い出した。

 

「え、じゃあ、その長さんって言うのは………」

「はい、このかさんのお父さんみたいでして………」

「そーいや、あいつ出身京都だったな……確か、桜咲もじゃなかったか?」

 

徐倫の言葉に、ネギは頷く。今回難色を示している理由は、元々西洋魔法使いに反感を持っている一派が、関西呪術協会の族長(オサ)………もとい長の管理を離れて、良くない事を企んでいるらしかった。

そこで、ネギが『関東魔法協会』の特使となって修学旅行中に学園長の親書を届けて協定を結ばせて、「反乱者」を洗い出そうという事らしい。

 

「はあ、面倒くさくなってんのな、また…………」

「あうぅ………ごめんなさい…………」

「こらこら、子供にあたらないのッ」

 

ネギに向けたわけではないが、まいったように呟く千雨。今回の事件で狙われている身としては、これ以上何かトラブルに巻き込まれることはごめん被りたかった。

 

「ネギ、おめーそれに加えて親父さんの手がかり見つけたいんだろ?」

「は、はい…それに、関西呪術協会(あちら)から『妨害』を受けるかもしれないし…………」

「兄貴、また忙しくなりそうなんでさぁ。徐倫の姐さん、手伝ってくれやせんかねぇーーー?」

「………ま、仕方ないわね………」

「大変なのは先生だけじゃねーけどな………」

「やれやれだわ。それ、頼む必要はないわよ?」

「あ………ありがとうございます!」

 

三者三様の答えを聞き、ネギは感謝をする。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

イタリア

ネアポリス

 

 

『―――これは………!?』

 

男は映像を見て、信じられないという声を出す。

6年前、『ディアボロ』との戦いで命を落としたブローノ・ブチャラティが生きていて、同じく生きていた『地中を潜行する男』と戦っている………

何故死んだはずの彼が生きているのか………?それがこの映像の謎だ。

 

「………映像は、トリックとか、CGとかじゃあないよな………?」

「ああ、そいつは確認した。日本製のビデオだから、すっげーきれいに映ってるぜ。」

 

パソコンに食いつきながら、フーゴとミスタが話す。確かにこの映像はきれいに映っている。流石は日本製。

男がそう思っていると、二人の懐かしい顔が映った。

 

一人は、背の高い帽子とコートの男だ。

歳はとっているが、あの男を見間違えるはずはない。空条 承太郎だ。

そして、もう一人は――――

 

『…………千雨!』

「え?」

 

男の呟きを、ジョルノが聞きとり振り向く。

そこには、全長30cmほどの『亀』がいた。だが、声を発したのは亀ではない。

亀の背中についた宝飾のついた(キー)、そこの宝石の部分から男が、頭をパンクロッカーのような髪型にした隻眼の男が、上半身を出していた。

 

J・P・ポルナレフ―――それがこの男の名前だ。

 

ジョルノは、ポルナレフに話しかけようとする。

 

 

 

ガチャリ

 

 

 

「………?」

 

ふいに、物音がした。何事かと思い見てみれば、部屋に備え付けられた小さめの冷蔵庫が開いた音であった。

 

「んーと………コーラに、ミネラルウォーターのガス入りガスなし………それにペコリーノチーズとサラミ………お、ワインめっけ!ホントはビールが良かったけど……ツマミは作るのメンドいから、サラミでいいか………」

 

いつの間に入ってきたのか、金色の長髪に褐色の肌の、おそらくは2mはあるマッチョな男が、冷蔵庫を勝手に物色して中のワインとサラミを出しているところであった。

 

『………………』

 

ジョルノはまず、『この大男は、どうやって部屋に入ったのだろう?』と思った。

次に、『何でこの男は、勝手に人ん家の冷蔵庫を漁っているのだろう?』と思った。

 

いち早くミスタが復活して、拳銃を引き抜いた。

 

「だッ!誰だテメーはァ!?いつの間に入ってきやがった!?」

「なあ、コルク抜きどこだ?」

「質問を質問で返すンじゃぁねー!後そのワインとサラミ、オレのだぞ!!」

「落ち着けミスタ!」

 

拳銃を向けられているにも関わらず、のん気にコルク抜きを探す男。相当肝が据わっている。

だがそこで、ポルナレフが口を開いた。

 

『お前……まさか()()()?『ジャック・ラカン』か!?』

「何?」

「よォーポルナレフ!元気だったか?まッ!『幽霊』に元気も()()()()()もないだろーけどよおー!!ガハハハ!!」

 

ラカンと呼ばれた男は豪快に笑うと、ソファーにどかっと座る。ジョルノは、ポルナレフに聞いた。

 

「知り合いですか、ポルナレフ?」

『ああ………『ディアボロ』にやられた際、助けてもらった先で知り合ったんだ………だが何故、お前がここに?』

 

聞かれたラカンは、ワインの瓶をひっくり返して底に指を()()()()()穴を開けると、空いた穴からガブガブとワインを飲み始めた。

 

「お、オレのワイン………」

「ゲェップッ……オレがここに来たのは、ジョルノ・ジョバァーナ、お前さんに『協力』を頼むためだ。」

「協力?」

 

下品にゲップをしたラカンは、ジョルノにそう切り出した。

 

「オレが知っている事は『3つ』。」

 

ラカンはサラミをナイフで薄くスライスしながら言った。

 

「①ブローノ・ブチャラティが生き返ったのは、『ミッドチルダ』の「魔法」が絡んでいる事。」

「魔法だと?」

 

「魔法」と聞いてフーゴは怪訝な顔になるが、ポルナレフはミッドチルダという単語に驚いていた。

 

「②ブチャラティを蘇らせた連中は、他にも数名、スタンド使いを生き返らせている事。」

 

ラカンはスライスしたサラミを食べると、再度ワインを飲んだ。

 

「そして、コイツがかなり重要なんだが……

③それを依頼した連中は、J・P・ポルナレフの娘、長谷川 千雨の命を狙っている。」

『!?』

 

ラカンの言葉に、4人に電撃が走った。

 

「ポルナレフさんの――――」

「娘…………」

「あの時の――――ポルナレフさんの『葬式』の時のあの子が…………!?」

『千雨が…………』

 

全員が、特にポルナレフがショックを受ける。

 

「分かっているのはソコまでだ。オレの知り合いが、そいつらへの『対抗手段』として、『サルシッチャ』や『キタッラ兄妹』をはじめとしたスタンド使いを集めている………そこで、お前さんらにも協力してもらいたく、こうしてはぜ参じた次第ってワケだ………どうだ?日本に来てはくれないか?」

 

ラカンがジョルノに聞いた。ジョルノは少し考えてから、口を開いた。

 

「――――行きましょう、日本へ。」

「ジョルノ?」

「確かにサルシッチャやあの双子は『裏切り者』ですが、ブチャラティの事を知っているなら聞き出す必要がある!それに、その事にポルナレフさんの娘が関係しているならば、彼に助けられた『恩』を返すのは今だッ!!」

 

ジョルノの言葉に、ミスタたちは強く頷いた。

 

「決まりだな。」

 

ラカンはそれを聞くと、懐から封筒を取り出して、ジョルノに向かい放る。

 

「そこに地図と、『紹介状』が入ってる。一週間後、京都の『霞のめ』という料亭でオレの協力者たちが待っている。」

 

では、一週間後に。そう言って、ラカンは部屋を後にした。

 

「おい、それよりワインとサラミ、弁償しろよ?」

「今度はビールも用意しといてくれ。」

「会話のキャッチボールって知ってるか?金返せよ。」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

日本 とあるカラオケボックス

廊下

 

 

「―――そうか、ジョルノ・ジョバァーナは来てくれそうか………」

 

ラカンから電話を受けたウェカピポは、そう返した。

 

[来週を楽しみにしてると良いぜ。お宅んとこの『お嬢さま』にも、そう伝えてくれ。]

「分かった。」

プッ

 

電話を切った男は、ソルたちのいう『お嬢さま』の元へ戻った。そちらでは、お嬢さまことルル・ベルが『ELEMENTS』を熱唱していた。

 

「おう『ウェカピポ』。あのオッサン、何つっていた?」

 

席に座っていたホル・ホースがウェカピポに問う。隣にはサルシッチャもいた。

 

「………ジョルノ・ジョバァーナたちと接触できたという事だ。」

「それなら大丈夫だろう………多分他の面子、特にポルナレフも来るだろうな。」

「ああ、というか―――」

 

ウェカピポは、未だに熱唱しているルル・ベルを見る。

このカラオケボックスに来たのも、ルル・ベルが「平成ライダーの歌8作品全部歌うわよ!!」と言い出したからだ。

 

「―――まだかかるのか?」

「あの人は、マイクを握ったら離さないタイプだからなぁーー………」

「やっと『剣』だ。後3作品だから我慢しろ。」

 

ホル・ホースたち三人が呆れる中、ルル・ベルの歌声(しかもスゴく上手い)が響いた………

 

 

 

ルル・ベル(14歳)

趣味―歌うこと(アニソンから洋楽、演歌まで。)

ただしサルシッチャ曰く『マイクを握ったら離さないタイプ』………

 

 

 

 

 

←to be continued...




41話です。
・サブタイトルは『ボスからの第二指令;「鍵をゲットせよ!」』から。前回は第一指令だったので。

・動き出すパッショーネ。無理やり着いてきたトリッシュは、彼女らしいかなと思いまして。

・両右手の女の存在を知る六課&スタンド使いたち。千雨は立ち直ったかのように見えますが、まだ少し引きずってる感じです………

・ディードの情報が舞い込んできて、オットーのすぐに駆けつけたい気持ちは爆発寸前。この時のオットーは、チリ・ペッパー編の億泰を参考にしました。

・ラカン登場。いきなり出てきて冷蔵庫漁るのは、ラカンらしさとジョジョっぽさを意識しています。料亭の名前は『バオ―来訪者』の登場人物から。

・熱唱お嬢さま。この辺りから、ルル・ベルの本性を暴いていきます(笑)

では、次回をお楽しみに!

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