ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】 作:オレの「自動追尾弾」
1986年
イギリス ロンドン
暗い真夜中のロンドンを歩く小さな陰がふたつあった。一人は10歳ほどの少女で、もう一人―――いや、『
「………ふん、JOJOのやつめ………『仕事が忙しいからジョナサンの墓参りを代わりにしといてくれ』だと?ふざけおって!」
「ソーヤッテ『ブータレ』ナガラモ来テル御主人モ御主人ダガナ。」
「うるさいッ!!」
ケケケケと笑う人形―――チャチャゼロを怒鳴りつけるエヴァンジェリン。
あのヘラズ口をたたくトッポイ男に会ってからウチの御主人は変わったなと、チャチャゼロは思っていた。以前の御主人なら、こんな頼みごとなど受けなかっただろうに。
あんなノーテンキ男のどこが良いのだろう?チャチャゼロには、それが分からなかった。
「―――――フム、ロンドンか………懐かしいな……………」
「「!?」」
不意に、背後から声がした。男の声だ。
振り向いたエヴァンジェリンは、その男に、生涯で一番であろう『恐怖』を抱いた。
心の中心に忍び込んでくるような凍り付く眼差し、黄金色の頭髪、透き通るような白い肌、男とは思えないような怪しい色気―――
以前、100年ほど前に出会った『石仮面』の吸血鬼!JOJOから聞いた、大西洋から蘇った吸血鬼!JOJOの祖父、ジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取った吸血鬼!こいつは――――
「貴様……………『DIO』ッ!!」
「こんばんは、
男―――ディオ・ブランドーは、甲斐甲斐しく大げさに、お辞儀をした。
「………JOJOからお前が復活したことは聞いていたが、何だ?100年前のリベンジにでも来たか?」
「いや、ただ私が新たに手に入れた力―――『
DIOはどこか色っぽい、だが、それでいて冷たい声で言う。それがエヴァンジェリンには気にくわなかった。
「ふん、言うではないか………(幽波紋………確かJOJOが言ってたな…………)」
言うと、魔法の射手の発射態勢に入るエヴァンジェリン。そして、発射しようとして…………
ボゴォッ
「「!?」」
腹に『風穴』が空き、そのまま後方に吹っ飛ぶ!
ドゴシャァアッ
「御主人ッ!!?」
「がっ…………い………今のは………………?」
壁を突き破り、瓦礫を浴びたエヴァンジェリンは、何をされたのか分からない様子で起き上がろうとする。
「ふむ、いくら『
言いながら、壁に衝突したエヴァンジェリンに近づくDIO。
「どれ、『魔法』で変化した吸血鬼が、どれほど『不死身』なのか試してやろう………」
そう言うと、DIOは手を掲げる。
エヴァンジェリンには見えないが、彼のスタンド―――『ザ・ワールド』も、手を掲げており、手刀を喰らわせようとしていた。
そして、その手が振り下ろされた時――――
ドグシャアッ
「「!?」」
「ヌゥウ…………これは…………」
DIOが『打撃らしき攻撃』を喰らい、弾かれた!
「ったく、『吸血鬼退治』の依頼を受けてはるばるロンドンまで来たら…………」
不意に声がした。何となくDIOに似た声質な気がするが、勝ち気で若い声だ。
そちらを向くと、2人の男女がいた。
女の方はフードと、目元を覆う陶磁器のような仮面を着けていて、顔は確認できない。
男は赤い髪を短く切り、ローブの下は動きやすそうな服装で、その手には長い杖を持っていた。
「ロリコン趣味な吸血鬼が、幼女襲ってる場面に出くわすなんてなぁあーー!」
「いや、腹に空いた穴が治り始めておる………あやつも吸血鬼じゃろう………」
「…………貴様、何者だ?」
DIOの質問に、男はニヤリと笑い、答えた。
「『ナギ・スプリングフィールド』……………人はオレを『
これが、
#41/
「クッソー、エヴァのやつ、ド派手な技使いやがって…………」
『氷神の戦槌』をかわしたものの、ネギと離れてしまった徐倫は、毒つきながらもスバルたちを探すべく周りを見回していた。
「う〜〜ん…………あれ?」
ふと、背後の建物から声がした。スバルだ。振り向いた徐倫が見たのは……………
「わっ、わっ、何これェェェエエエッ!?」
「スバルゥゥゥウウウーーーーーッ!?」
建物の壁からスバルの下半身が『生えて』、足をジタバタ動かしている光景だった…………
「――――『スティッキィ・フィンガーズ』…………壁にジッパーをひっつけて、そこにその
その時、スバルの下半身の近くから、ブチャラティが姿を表した。すぐ側でスバルが足をバタバタ動かしているため、当たらないよう気を付けながら徐倫に近づいてくる。
「ブチャラティ…………!」
「ちょうど良い…………この間は『セッコ』のやつに邪魔されたからな…………決着をつけよう!」
言いながら、ブチャラティは徐倫との間合いを詰める。
(――――こいつには、『スティッキィ・フィンガーズ』のジッパーは通用しない………)
間合いを詰めながら、ブチャラティは考える。
(それは、あいつも承知のハズ…………)
同じく、ブチャラティとの間合いをはかりながら、徐倫も考える。
(ならば!)
(雌雄を決するのは!)
次の瞬間、合図もなく、2人は同時に飛び出す!
((純粋な
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァアアーーーーーーーッ!!」
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィイイーーーーーーーッ!!」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ
「え!?な、何ッ!! ??」
両者のラッシュがぶつかり合い、周囲には拳を打ち合う音が響き渡った!
しかし、上半身が反対を向いたままのスバルには音と声だけが聞こえるのみで、何が起こっているのか分からず困惑するのであった。
☆★☆★☆★
「イノセント・スターターッ!!」
「レイストーーーーーーームッ!!」
シュババババァアアーーーー
のどかとオットーの攻撃が夜叉丸に迫るが、夜叉丸は消える事で回避する。そして、探している内に、気づいたら背後にいるのだ!
「ぴゃーーー」
「回避ッ!!」
ドガァッ
ティアナの号令で、夜叉丸の太刀から回避する。
攻撃して、姿を消され、背後をとられて回避――――先ほどからこれの繰り返しだ。
そんな時、刹那が一気に夜叉丸との距離を縮め、野太刀―――夕凪を振るう!
「神鳴流、斬鉄せ―――」
ガシィッ
「刹那ッ!!」
だが、刹那が技を放つ前に、夜叉丸は刹那を捕まえた!真名がすかさず拳銃(本人曰わくモデルガン)を放つが、夜叉丸は『刹那を残して』再び消えた。
「「………!?」」
それを見て、のどかとティアナは疑問を抱く。
(あいつ……………何で刹那を『手放した』の………?)
(瞬間移動なら、手放す必要はないはずなのに…………)
「…………なあ、あいつ観察していて気づいたんだけどさ…………」
ふと、ノーヴェがのどかたちに話しかける。その顔は、焦ったような、不思議そうな表情だ。
「何で今まで気づかなかったんだっていうような素朴な疑問なんだけどさ…………今話すべきなのか分からないけど…………」
「………?何?何に気づいたの?」
ティアナの問いに、ノーヴェは答える。
「あいつ、何であんなにデカいんだ?」
ノーヴェの疑問に、2人ははっとしたようになる。
「そうか……………それなら『タイムラグ』の説明もつく……………!」
「それに手放したのも……………分かった!能力の正体!」
「えっ、ほ、本当かッ!?」
「ええ、やつの能力は―――――」
☆★☆★☆★
桜通り
「大丈夫かよ、チサメ………?」
「ああ、ちょっと疲れただけだ………」
アギトは、ギアッチョが倒れてから膝をついた千雨に声をかける。どっと汗をかき、息も荒くなってはいるが、アギトを心配させないように平気だと笑いかけた。
「やっぱりあの形態、『SIMPLE PLUS』の負担は大きいって事か……?」
「………ああ、けっこー疲れるな………あまり気軽にホイホイと使えるモンじゃあねーな、ありゃ………」
アギトにそう言う千雨であったが、アギトは自分の提案で千雨が疲労した事に、少し罪悪感があった。
(しかし、『左手が右手の女』………どっかで聞いた気がするな………)
「千雨ちゃん!」
「千雨さん!」
「お、アスナたちッ!!」
その時、寮の方からギンガのウィングロードに乗って走ってくる明日菜とウェザー、そしてギンガ。一方の千雨はうつむいていたが、平気なフリをして明日菜たちの方を向く。
「大丈夫!?ルーテシアから念話を受けて来たんだけど…………」
「ルーテシアちゃんの方には、アキラが行ったわ。」
「ああ、もう倒したよ……『ホワイト・アルバム』という『超低温』のスタンド使いだった……強敵だったぜ(当然私ほどじゃないがね、という確固たる自身の気持ちはあるがね)。」
「そう…………あの死体は、学園の人にお願いして、私たちはネギ君の方へ―――」
ギンガがそう言いかけたときだ………
「――――すまないが、ここから先は一人しか通れぬぞ。」
『ッ!?』
不意に声がした。振り向くと、ローブを着て、目元を陶磁器のような仮面で隠した女性がいた。その手には、黄金色に輝く剣が握られていた。
「あ…………『新手』ッ!?」
「こんな時にか…………!」
「だが、一人通った後、主等が私に手を出さなければ、私も手を出さないと約束しよう…………」
女の言葉に、千雨は眉をひそめる。手を出さなければ手を出さないなど、なぜ言うのだろうか…………?
「ずいぶん余裕じゃねーか、え?」
(どうします?このまま一斉に…………)
ギンガがそう進言するが、
ポンッ
「え?」
「ギンガさん、後は頼むわ。」
なぜかにこやかな千雨と明日菜にそう言われて、呆気にとられた。
「え?ち、チサメさんたちは…………」
「え?私たち?」
「それはもちろん……………」
すると、千雨は『エンゼル』を身に纏い、明日菜を掴む。ウェザーがまさかと思ったその時―――
「「逃げるんだよォォォーーーーーーーーーーーッ」」
シュバァアアーーーーーーーッ
「あ……………」
「えぇー………」
ドップラー効果を残しつつ、遙か空の彼方へと飛び去って行った…………
「…………一瞬で私のスタンドの射程距離外へ飛ぶとは…………なかなか素早いスタンドじゃな…………」
「…………それは『感心』しているんですか?それとも『呆れて』いるんですか?」
明日菜たちが飛んでいった方を見ながら言う女に、呆れ気味であったギンガが聞く。
「どちらかと言えば『呆れ』の方が強いかのう………しかし、興ざめじゃな…………しかたない。」
すると女は、剣を放り投げて、腕を組んだ。
「主等に『7秒』やろう…………それまで私は、主等の攻撃を避け続ける。主等の攻撃が当たったら、主等の勝ちじゃ。どうじゃ?」
女の申し出に2人は戸惑ったが、動いたのはギンガだった。
「………7秒でいいんですね?」
「うむ、来るのはお主か………?」
構えているギンガを見て女は聞くと、耳元に手をやり、着けていた滴型の大きなイヤリングを手に持った。
「『合図』じゃ…………落ちてから『7秒』以内に攻撃をしてみよ…………」
言うと、そのイヤリングを放り投げた。そして、
コツーーーーン…………
それが落ちたと同時に、ギンガは駆け出した!
「はああッ!!」
ブンッ
「………」
ギンガの左ストレートを女は軽く避ける。続けざまにギンガは攻撃するが、それを女はひらり、ひらりと、最小限の動きで避けていく。その動きを見て、ギンガは疑問を抱く。
(…………何?この人の動きは…………?まるで『攻撃が来るのを知っているかのような』動きよ…………?)
一瞬、ギンガは彼女のスタンドが『読心』の能力かと思ったが、承太郎がそのスタンド使い―――徐倫が倒した『ダービー』の叔父―――は倒したと言っていたので、違うと考えた。
ならば、この動きは…………?
「………3秒前。」
避けながら、女は静かに言う…………
「2…………1…………0。」
そして、0になったとき……………
ズガガガガガガガガガガガ
「!?」
「…………タイム・オーバー。」
ギンガに『連打によるダメージ』が打ち込まれた!女は何もしていないのに、だ!
「な!?何だ今のは!?俺は奴のスタンドを見ていないぞ……!?なのに、なぜギンガが吹っ飛ぶのだ!?」
ウェザーが思わず叫ぶと、女が口を開く。
「…………私のスタンドの名は、『ファントム・マインド』…………ほんの『7秒』、
「み…………『未来』に存在するスタンド…………だから私の攻撃を回避できたのかッ!?」
「そうじゃ。まあ、今回は片目で未来を見ていながら避けられたが、本来は未来を見ている間は行動出来ないからな…………7秒以内に私を倒すのが、攻撃回避する唯一の方法じゃ。おかげで避けるのがギリギリじゃったわ………」
言うと、女はギンガたちに背を向ける。そして、右手を挙げる動作をする。
「では、私はこれで。じゃが、これだけは言っておこう。やつらの裏には、さらにデカいやつがおる………気を付けろ………」
「えっ、ちょ、ちょっと!?」
ギンガは女を止めようとするが、女は音もなく消えていった………
女の正体―――謎
スタンド名――ファントム・マインド
7秒後の未来に存在するスタンド。ゆえに未来の予測可能。ただし、未来を見ている間は行動不能(片目で見れるが、行動は限られる)。
☆★☆★☆★
麻帆良学園都市
湖 つり橋
「
ガキキィィイイン
「わーーーッ」
エヴァンジェリンの放った魔法にネギは吹き飛ばされ、橋の上に投げ出されてしまう。
「ふ…なるほどな。この橋は学園都市の『端』だ(ダジャレじゃないぞ?) 私は『呪い』によって学園の外にでられん。ピンチになれば学園外に逃げればいい、か………意外にセコい作戦じゃないか。え?先生………」
橋に降り立ち、ネギに近づくエヴァンジェリンと茶々丸。ネギは倒れ込んだままだ。
「………次のあなたのセリフは『これで
「悪いが、これで
ネギがエヴァンジェリンのセリフを言い当てたと同時に―――
パシィィィイイイン
「「ッ!!」」
エヴァンジェリンたちの足元に魔法陣が浮かび、そこから無数の『風の縄』が伸びてエヴァンジェリンたちを掴む!
「なっ…………!!こ………これは…………『捕縛結界』ッ!?」
「………や、やったーーーっやっチッたァァァァーーーーーーーッ!!引っかかりましたねエヴァンジェリンさん!もう動けませんよ!これで
勝ち誇り、エヴァンジェリンに言うネギ。徐倫たちとの作戦通り、エヴァンジェリンをこの結界まで誘き出して捕まえた今、エヴァンジェリンには為す術はない――――
「………なかなかやるではないか坊や…………私を欺けたのはJOJO以来だぞ………ふふふ……アハハハハハハハハッ」
―――はずだった。
「茶々丸。」
「はい、マスター。結界解除プログラム始動。…すみません、ネギ先生………」
チュィィイイン………
「………え!?」
突如、茶々丸から鳴り出した音に、ネギは驚く。
「20年も苦汁を舐めさせられた私が、何の対策もないと思ったか?」
パキィィイイン
「この通り。私もよく分からんが、「科学の力」というやつだ。」
「………!」
ご自慢の『捕縛結界』を破ってやったぞとネギを見るエヴァンジェリンだが、ネギがそんなに驚いていないのを知り、疑問をもつ。
「………まあ、ここまでは予測してましたよ………」
「……………何?」
「よし神楽坂!行って来いッ!!」
「ってち、ちょっと千雨ちゃん!?」
「
ブンッ
「キャァァァァァァーーーーッ!?」
不意に上から声がした。エヴァが見上げてみれば、明日菜が『
「(―――ここだ!)
「何ッ!?」
ギャァアーーーン
「せいやぁあっ!!」
スッパァアアーーーン
「ぺうっ」
突然ネギが唱えた呪文に驚いたスキに、明日菜の手に現れた『得物』がエヴァンジェリンの脳天に叩き込まれた!
「ぐ…………障壁を張るヒマがなかったとはいえ…………また私にダメージを……………ッ!!」
「し……………死ぬかと思った……………ちょっと千雨ちゃん!私を殺す気ッ!?」
「いや、だって『意表を突け』って言ったのはお前だろ?」
「だからってあんな突き方はないでしょッ!?ていうかこれ『ハリセン』じゃないッ『剣』じゃなかったの!?」
エヴァンジェリンは明日菜を睨むが、当の明日菜は
「って聞けよ話をッ!!………まさか、神楽坂 明日菜と『契約』していたとはな…………」
「ええ、実は空条さんと契約する前に、アスナさんとも契約していたんです。」
「茶々丸さんを襲った時は徐倫だけだったし、茶々丸さんも認識していなかったはずよ?」
明日菜の言葉に、茶々丸は迂闊でしたと舌を巻く。まさか、こんな切り札を持っていたとは…………
「我々に『
「…………さあ、今度こそ決着を着けましょうか?エヴァンジェリンさん。」
不敵な笑みを浮かべたネギの言葉に、エヴァンジェリンは面白いと、戦闘態勢に入る。
☆★☆★☆★
「やつの能力が分かったって!?」
ウェンディに肩を借りてやってきたフェイトは、チンクからの報告を聞いてオウム返しに言う。目の前のチンクや刹那たちでさえ、困惑した様子だったが。
「ああ……と言っても、見つけたのはティアナとノドカだが…………」
チンクが振り向いた先では、のどかが前髪に映し出したレーダーを睨みつけ、ティアナとノーヴェが夜叉丸に攻撃を仕掛けているが、すぐに姿を消されてしまっていた。
「―――やっぱり思った通り………あれは『瞬間移動』じゃあない…………」
「………?どういうことですか?」
刹那が不思議そうに聞く。だがのどかが伝えようと振り向いた時、夜叉丸の太刀が振り下ろされた!
「ホンヤッ!!」
ドガァッ
「ひゃわッ!?」
なんとかギリギリでノーヴェが助けたが、今度は拳が振り下ろされる。
「クロスファイヤー!シュゥウウーーートッ!!」
ゴパァアッ
そこへティアナのクロスファイヤーが放たれるも、夜叉丸は再び消える。
「…………さっき消える前に、こっそり『子亀』をひっつけておいた…………」
ノーヴェに抱えられながら、のどかは話す。
「『子亀』の位置は、私が全て把握できる………だけど、『瞬間移動』の能力ならば何故!『子亀』が
「……………?」
それを聞いていた一同は、何となくだが、のどかの言いたいことが分かった。
「ランスターさん!五時の方向!約1.5メートルッ!!」
「了解!」
ゴパァアッ
のどかの指示通りに、ティアナは魔法弾を放つ!
向かった先は、1.5メートル先の「地面」!
そして、弾が着弾したとき――――
ドガァッ
「うわッ!?」
ドシィイン
『……………………………え!?』
尻餅をついた夜叉丸が現れた。だが、大きさがおかしい。明らかに『チンク位』の身長しかない………?
「あなたは、『瞬間移動』していたんじゃあない…………「大きくなった」状態から一瞬で「小さくなって」、私たちの足元を通っただけ…………」
「………!まさか、こいつの能力はッ!?」
ノーヴェに下ろされたのどかの説明に、刹那はようやく夜叉丸の能力を察した。つまり、夜叉丸の能力は、
「そう、あなたは『
「あ………………あああ……………………」
のどかに追いつめられた夜叉丸は、完全に怯えていた。
「なるほど…………あれだけデカいものが消えたら、当然『自分より
「それで刹那を……………しかし、こんなくだらないことだったとはな…………」
チンクと真名が感心していると、承太郎が口を開いた。
「『くだる』『くだらねー』は、所詮の
「マジッスか!?」
「マジだ。体内に進入されて、内側からジワジワとな…………さて、後はこいつをブチのめすだけだな!」
「ひいっ!」
承太郎はスタープラチナを出して、夜叉丸に迫る。
その時、紐が緩んでいたのか、夜叉丸の兜と面がガシャン、と音を立てて落ちて、夜叉丸の素顔が暴かれる。
面の下は―――
「ううう…………ご…………ごめんなさい………」
「な…………?」
「…………!」
まだ小さい、下手したらネギよりも年下の、「女の子」だった………
「い…………いきなり、『矢』に刺されて…………そ…………それで、襲うように脅されて…………」
「………殴るんスか?」
「………ちょいとムリだな………」
完全に怯えてポロポロと涙を流す女の子を前に、すっかり毒気を抜かれた承太郎。そこへ、ティアナが女の子に近づき、ひざをついて女の子の頭を撫でる。
「…………もう、悪さしちゃダメよ?」
「……………う………ウワーーーンッごめんなさーーーーーーーーーーいッ!!」
「ああっ!?」
「…………やれやれだぜ。」
ティアナに抱きついて泣き出した女の子を見て、承太郎は帽子を深く被りなおしてそう呟いた。
夜叉丸=本名:夜叉丸 雪子(麻帆良第7小学校4年生)――スタンド名:スペースマン
――悪さをしないことを条件に再起可能。
☆★☆★☆★
つり橋
ネギ&明日菜VS.エヴァンジェリン&茶々丸(千雨とカモは傍観)
「行くぞ…………私が『生徒』だとうことは忘れ、本気で来るがいい、ネギ・スプリングフィールド!」
「…………はい!」
ティアナたちが夜叉丸を蹴散らした一方、こちらでも決着が着こうとしていた………
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!」
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!」
2人が呪文を詠唱しているなか、明日菜に茶々丸が接近戦を持ちかける。
「てええいッ!!」
ブンッ
「!!」
明日菜がハリセン―――『ハマノツルギ』を振るうが、茶々丸は難なくかわす。が、
「てやッ!!」
ゴシャアッ
「う……………」
すかさず回し蹴りを放つ明日菜!そして―――
「
ドッ
「ううっ…………
ドガァッ
2人の魔法の射手がぶつかり合う!だが、弾幕合戦は終わらない!
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック、
「(えっ、に……29人!?)ら、ラス・テル・マ・スキル・マギステル………」
いきなりの弾数に驚くも、ネギも詠唱をする!
「
「
ドドドパァアッ
「うくっ………」
「ネギッ!」
「マスター………」
お互いの魔法弾の打ち合いは、今のところ互角―――いや、ネギがぎりぎり追いついているといった所だ。
ラチが明かないと感じたネギは、一気に決めることにした!
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック、
「えっ……!?」
「フフッ」
エヴァンジェリンも次に賭けたのか、呪文を、しかも、ネギと同種の魔法を打ち合う気だ!
「
「
ガンッ
「ッ………!!?」
エヴァンジェリンが呪文を詠唱し、魔法を発動しようとしたその時、右わき腹に『
「ま………まさか―――――坊やの『爪弾』ッ!?いつの間に……………はっ!『魔法の射手』を撃ち合っている最中にかッ!!」
「へへへっ、またまたやらせていただきましたァん!」
そう、ネギはエヴァンジェリンと『魔法の射手』を撃ち合っている最中に、『タスク』の爪弾を撃ち出して、迂回させてエヴァンジェリンに当てたのだ!
大技を打ち合おうと持ちかけるように詠唱したのも、注意を自分に向けて爪弾が気づかれないようにするため!!
そして、当たったこの一瞬をネギは待っていた!
「
ズバァァァアアアッ
「な…………ッ!?」
ドグォォオン
「マスター………ッ」
ネギの最大魔法『雷の暴風』が、爪弾を喰らい隙ができたエヴァンジェリンに炸裂した!
☆★☆★☆★
「や……………やるではないか小僧…………二度も私を欺くとはな…………」
『雷の暴風』を直に喰らいボロボロのエヴァンジェリンは、皮肉を込めてネギに賞賛の言葉を送る。すでに電力の回復で結界も復活したため、エヴァンジェリンは力を発揮できないでいた。
「少しズルかったけど、これで僕の勝ちですよ!もうこれで悪いコトもやめて、授業にもしっかり出てもらいますからね!」キュッキュッ
「………わかったよ………確かに今回は負けだな…………ちょっと待て、何だ今の擬音は?」
見ると、ネギが『クラス名簿』に何か書いているところだった。のぞいてみると、エヴァンジェリンのところに『僕が勝った』だの色々書かれていた。
「って何書いてるんだ!やめんか!」
「えー、だって……」
「大体何だあの戦法は!?まじめな坊やらしくないぞ!?」
「あ、それは空条さんの曾お祖父さん仕込みでして………」
「何ィッ!?JOJOのッ!?道理で汚い手だと思ったらッ!!」
「………なあ、エヴァンジェリンっていつもこうなのか?」
「いえ、こんなに楽しそうなマスターは、ネギ先生が来てからで………」
「そうなんだー」
先ほどまでのピリピリした空気はどこえやら、エヴァンジェリンがギャーギャー喚く声が、夜の湖に木霊した………
☆★☆★☆★
「…………ほう、あの『闇の福音』を打ち負かしたか………」
「来てよかったでしょう?」
橋の支柱から一部始終を見ていた仮面の女に、タカミチが話しかける。
「しかし、まさかあの『老いぼれ』の曾孫から戦法を学ぶとはな………まったく、あやつの戦い方は、あやつの一族のみに留めてほしいのう………」
「確かに、まじめな彼には不釣り合いかもしれませんね………」
「ふん……………大きくなったな、ネギ。」
☆★☆★☆★
「く、空条さーーーーーん!何がどうしたのーーーーー!?返事してよーーーーーーッ!!」
壁に埋まったままのスバルは、徐倫とブチャラティの声が聞こえなくなったため、不安そうに徐倫を呼ぶ。だが、徐倫は答えない。
なぜなら…………
「…………………」
「…………………」
どれほど壮絶な戦いだったのか………?それは戦っていた本人たちにしか分からないことだが――――
徐倫とブチャラティは、見事なクロスカウンターが決まった状態で、『立ったまま』気絶していた……………
空条 徐倫およびブローノ・ブチャラティ―――数分後、ネギたちに発見されて無事に治療される。
スバル・ナカジマ―――同じく、無事に救助された。
←to be continued...
41話です。
・100年前にDIOを打ち負かしたことが、エヴァとナギの出会いに繋がる………この後は、ナギと仮面の女がDIOを退けて、その後、原作通りにエヴァの封印になります。さり気に中の人ネタ入ってます(笑)
・壁から生えるスバルの下半身はお気に入り(笑)ジタバタしてるあたりとか(笑)
・仮面の女の正体は………もちろんあの人です。なぜ出てきたかは、今後のお楽しみということでどうか。
・スペースマンは拡大縮小の能力。かつてホルマジオは、『くだる』『くだらねー』は頭の使いようと言いました。ちなみにスペースマンは『ラブ・デラックス』や『アクトン・ベイビー』のように本体と一体化したスタンドですので、スタンドの象はありません。
・エヴァ戦決着!意表を突いた勝ち方ですが、ジョセフを意識したら、こうなりました。
・クロスカウンターのまま気絶する2人……マジでどんな戦いだったんでしょうね(汗
では、次回をお楽しみに!