ストライカーズ・オーシャン【ジョジョの奇妙な冒険 Part6異聞】   作:オレの「自動追尾弾」

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#38/真祖の吸血鬼(ハイデライト・ウォーカー)の襲撃

1888年

風の騎士たちの町(ウィンドナイツロット)

 

 

「ふん、あの若造―――『ツェペリ』が探していた「石仮面」の力を試してみたが………この程度か…………」

 

金髪の少女――エヴァンジェリンは、目の前で傷つき倒れる男に、がっかりだといわんばかりに言う。

 

「GUUUUU…………こ……このディオが………こんな小娘にィィィィ…………」

「世界の半分も知らぬ()()が、エラそうな口を叩くなよ………同じ『吸血鬼』でも、『年季』が違うのだよ。」

 

傷ついた男―――ディオにそう言うと、エヴァンジェリンは踵を返す。

 

「ン?オイ御主人、トドメササナクテイイノカ?」

「興ざめだ。帰って寝る。」

「!こ………このおれに情けをかけるというのか…………!!」

 

立ち去ろうとするエヴァンジェリンに、ディオは叫ぶ。エヴァンジェリンはディオをまるで養豚所の豚でも見るかのように冷ややかな目で見下ろす。

その冷ややかな目に、ディオは悟った。この小娘は、自分など眼中にないのだと。

 

 

 

 

エヴァンジェリンが立ち去った後も、ディオは悔しそうに地面を見つめるしかできなかった…………

 

 

 

 

 

#38/真祖の吸血鬼(ハイデライト・ウォーカー)の襲撃

 

 

 

 

 

現在

麻帆良学園女子中等部 コンピューター室

 

 

証明を落とした室内にはパソコンのモニターの明かりだけが光源だった。そこには、2人の人影があった。

 

「……どうだ?」

「予想通りです。やはり『サウザンドマスター』のかけた「登校地獄」の他にマスターの魔力を押さえ込んでいる『結界』があります。この結界は学園全体に張り巡らされていて、大量の『電力』を消費しています。」

 

パソコンを使い、学園のデータベースに侵入した茶々丸と、報告を聞くエヴァンジェリン。

 

「ふん、20年も気づけなかったとはな………しかし、『魔法使い』が電気に頼るとはなー………えーと……『ハイテク』ってやつか?」

「私も一応その『ハイテク』ですが…………」

 

長生きしているせいか分からないが、意外と機械が苦手らしいエヴァンジェリン。コンピューター室から出て屋上に来ると、口角を上げた。

 

「まあいい、おかげで今回の『最終作戦』が実行できる訳だ。……………そうだよな?」

「そうです。」

「よし。予定通り「今夜」決行するぞ!ブチャラティにもそう伝えろ。ふふふ………坊やの驚く顔が目に浮かぶわ…………クククク……………アーーッハッハッハッハーーー」

 

あーおかしいと、わざわざ高いところに登って笑うエヴァンジェリン。相当機嫌がいいようだ。だが、茶々丸は少し不安そうだ。

 

「―――ん?どうした茶々丸?何か気になることでもあるのか?」

「い、いえ……あの…その………」

「?」

 

エヴァンジェリンに問われて、くちごもる茶々丸。そして、少し黙った後、

 

「……申し訳ありませんマスター。ネギ先生はすでにパートナーと『仮契約』を結んでいます。」

「何!?それは聞いていないぞ!なぜ黙っていた!?相手はッ!?」

「…相手は『空条 徐倫』です。何故報告しなかったのかは………自分でもわかりません……申し訳ありません………」

「空条………()()()()のひ孫か………!」

 

茶々丸の報告に驚くエヴァンジェリンだが、すぐに冷静になる。

 

「―――ふん、まあいいさ。もはや奴に「パートナー」がいようが、関係ないからな…ぼーやの性格なら、あまり大人数で攻めてくる事もあるまい………作戦開始まで後『5時間』だ。行くぞ茶々丸。」

 

言うとエヴァンジェリンは飛び立とうとする。だが

 

ビッターーーーン

「へぶぅッ」

「マスターッ!?」

 

思いっきりつまずいて転んだ………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――まさか、セッコに続き『ダービー』と『マイク・O』がやられるなんてな………」

「おまけに、マイク・Oをやった奴は『正体不明』…………ダービーも行方不明ときた……スタンド使いは、ジョースターとやらの仲間だけではなかったのか………?」

 

暗い室内で、男たちが話す。すると、男の内のひとりが、奥に座る女性に話しかける。

 

「すいませェん奥様、よろしければ私が直々に出向かいますが……?」

「いいえブラックモア………すでに「彼」の部下が『やつ』を援護しに向かったわ…………『やつ』のスタンド―――『スペースマン』が、確実に息の根をとめることでしょう…………フフフ………」

「………信用できるんだろうな?その『スペースマン』ってスタンドは………」

 

女に向かい、ひとりの男が声をかける。

黒い帽子に黒いコートとズボンを着用した黒ずくめの男だ。だが、その目は真っ赤に充血をしており、それが男を印象付けていた。

 

「ええ、数日前に目覚めたとはいえ、強力なスタンド使いよ。安心していいわ、『リゾット』。」

「……………」

 

男―――『リゾット』に向かい、女は余裕の笑みを浮かべて言う………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

学園都市内

購買近く

 

 

「―――で、エヴァンジェリンさんはまた襲ってきそうなの?」

「今の所は何とも………でも、今日は教室に来てましたし、考え直してくれたんじゃないかなぁって思いますが………」

 

放課後、明日菜、徐倫、スバルと話しながら歩くネギ。

 

「あまり安易な考えをするなよ。吸血鬼ってのは、100年以上海の底待つくらい執念深いらしいからな……」

「ま…マジで?」

「それが本当なら、エヴァンジェリンもまだ諦めてないんじゃあ………」

「い、イヤだなぁ空条さん……クラスメートをそんな風に疑ったりしたら〜〜」

 

忠告する徐倫に対して、ネギはあくまで『先生』としてエヴァンジェリンを信じるようだ。

ふと、スバルは購買が賑やかなのに気づいた。見ると、なにやらセールをやっているようだ。スバルは、近くにいたのどかに声をかける。

 

「どーしたの?」

「あ……ナカジマさん………」

「知らないのスバル?今日の夜8時から一斉に『停電』だよー深夜12時まで。」

「学園都市全体の年2回のメンテです。」

「あ………そーいえば……………」

 

隣にいたハルナと夕映に説明されて、スバルは昨日フェイトが話していたのを思い出した。

 

(停電か………何か嫌な『胸騒ぎ』がするな…………)

「じゃあ、僕見回りに行ってきますのでーーー」

「はーい♪」

「がんばんなーー」

「スバル、私らも見回りしたほうがいいかもしれない………」ヒソ

「え?う、うん………?」

 

スバルは徐倫の言ったことが分からなかったが、とりあえず、今夜徐倫や千雨たちと共に見回りに行くことにした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

午後8時30分

女子寮

 

 

「う〜〜ん、真っ暗な寮ってなかなか怖いねぇーカモ君。」

 

停電で真っ暗になった寮を見回りしていたネギは、肩に乗るカモに話しかける。だが、当のカモは何やら「異様な気配」を察知していた。

 

「?どうしたのカモ君?」

「兄貴!!何か異様な『魔力』を感じねーか!?停電になった瞬間現れやがった!!」

「え?『魔物』でもいるっていうの?」

「分からねえがかなりの『大物』だ………まさか『エヴァンジェリン』の奴じゃ………」

 

カモの推測に、ネギはえっと声を上げる。ネギは、エヴァンジェリンは更正してもう襲ってこないと思っていたためだ。

 

「だから兄貴は甘いんだって!そんな簡単に奴が諦めるハズないだろッ!」

「で…でも…………」

『チュミミィ〜〜ン………』

 

ふと、『タスク』の鳴き声が聞こえた。見ると、どこかを指している様子だ。タスクが指した方を見てみると―――

 

 

 

ひた……ひた……

 

 

 

「ま……まき絵さん〜〜〜〜!?な……ななな………ダメですよ!『ハダカ』で外出しちゃぁあ…」

 

裸のまき絵がいた。それに対してネギは見当違いの注意をするが、そこに『異様性』を感じ取っていた。

 

「―――ネギ・スプリングフィールド………エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさまが、きさまにたたかいをもうしこむ………10ぷんご、だいよくじょうまでこい………」

「「!!?」」

 

普段とは明らかに雰囲気の違う、あえて言うなら『操られたように』話すまき絵。これは―――

 

「な………これって………」

「!分かったぜ兄貴!あいつエヴァンジェリンに『噛まれたこと』あるだろ!!真祖に噛まれたら「操り人形」だべ!」

「えっ………うそ!?」

 

ネギが驚いている間に、まき絵はリボンを駆使してまるで某蜘蛛超人よろしく建物から建物へ移動していった。

 

「な…す……スタンドが加わっているとはいえ…………」

「ありゃあ『半吸血鬼化』してるぜ……エヴァンジェリンのやつの魔力が封じられてるってのが仇になったんだ!」

 

自分の甘い判断が生徒を危険にあわせてしまった―――ネギの頭の中には、その考えから罪悪感が芽生えた………

 

「―――だから言ったろぉーネギ………」

 

ふいに、背後から声が聞こえた。振り向くと、陰から仗助と徐倫が出てきた。

 

「魔力が弱いからってよぉおおーー、油断したらケガするってなぁあーーー。」

「ふ、2人とも…………!」

「やれやれだわ………ネギ、『作戦』を決行するわ!カモは明日菜のトコに行け!こっからは私らのスタンドで立ち向かうッ!!」

 

徐倫の号令の元、エヴァンジェリン戦の作戦が始まった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

同時刻

桜通り

 

 

「なあ、私らは本当に行かなくていいのか?」

「エヴァンジェリンに『波紋』はあんま効果ないらしいし、私が行ってもあんま戦力にはなんないだろ。」

 

ベンチに腰掛けた千雨は、隣にふよふよ浮いたアギト話す。くじ引きでグループを決めた結果、千雨はルーテシアとアギトの二人と組むことになった。今は、トイレに行ったルーテシアを待っている所だった。

 

「しかし、きれーだなーーこの『花』。ええーと………『サクラ』…………っつったか?」

「ああ。ミッドには桜ないのか?」

「ああ。こんなきれーなの、始めてみたよ…………」

 

アギトが桜に見とれているその時だった。

 

「……!?(こ、これは………!?)」

 

千雨は、ある『異変』に気づいた。周囲が異様に『()()』、ベンチから「手が離れない」!?

 

 

 

 

 

日本(ジャポーネ)の、『花見』ってよォォォォーーー……」

 

ふいに声がして、二人はそちらを向く。そこには、一人の男がいた。

まるで山菜の一種『(ぜんまい)』のようにカールさせた金髪に、縁の厚いメガネをかけた男だ。服装は水色のジャケットに、縦のストライプが入った高そうなズボンをはいていた。

 

「『花』を『見』ながら料理とかを楽しむから『花見』っていうのはわかる。スゲーわかる………」

 

男は、静かに話す。千雨たちが聞いているかどうかはおかまいなしなようだ。

 

「けど、秋に『もみじを見に行く』のを『紅葉狩り』って言うのはどーいうことだァ〜〜〜〜?『見に行く』のに『狩り』って、おかしくねーかァ〜〜〜〜!」

 

いきなり、男が怒りに顔を歪ませた。

 

「キノコを取りに行くから『キノコ狩り』!ブドウを取りに行くから『ブドウ狩り』ッ!!なのに何で『紅葉狩り』は『見に行く』のに『狩り』って言うんだァーー?何で『紅葉見』って言わないんだよォォォォーーーッ……これって納得いくかァ〜〜〜おい?オレはぜーんぜん納得いかねえ………」

 

男は一通りしゃべると、いきなり桜の木を殴り始めた!

 

「くそがぁあーーッオレをナメてんのかァーーッ!!『紅葉見』でいいだろうがッ!!クソックソックソッ!!」

 

男がキレている様子を、二人は見ていることしかできなかった。呆れを通り越して『不気味』と思った。

 

「な………なんだアイツ………?」

「さあな……多分だが、やつは敵スタンド使いだ!さっきから手や尻がベンチから離れないと思ってよく見たら、『凍り付いて』いやがった………」

 

見ると、確かに千雨の周りには『霜』がおりている………!?

 

「アギト………おめー確か、炎扱えたよな…………悪いが、周り溶かしてくれないか?」

 

千雨はのんきそうに言ってはいるが、実際は心底、敵に対して『恐怖』していた………

 

 

 

超低温のスタンド『ホワイト・アルバム』

本体の名はギアッチョ。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

公衆トイレ

ある個室

 

 

「………………」

 

ルーテシアは、すでに用はたしおえたのに便座から立ち上がらなかった。いや、()()()()()()()()()()()()()()。何故なら―――

 

「…………おしりが、離れない……」

 

便座と尻が『凍り付いて』、引きはがそうとするとびったりとくっついている為に痛みを伴うからであった………

 

 

 

 

 

←to be continued...




38話です。
・サブタイトルは「行ける死人(リビング・デッド)の襲撃」から。

・冒頭でディオを打ち負かしたエヴァ。世界なしで気化冷凍法のみじゃあ、エヴァには勝てないだろうと思って。でも、世界があったらディオに軍配があがるでしょう。

・両右手サイドから、ギアッチョの他の『スペースマン』は、次回登場です。ちなみに紅葉狩りは、平安時代あたりに実際に枝を折って『狩り』をしていた名残だそうです。

・千雨とアギト。なかなかない組み合わせですが、個人的にはこれから推していこうと思ってるコンビです。

・ルーテシアの災難再び(笑)用をたしおえたからよかったけど、「最中」だったらどうなっていたか………考えただけでふるえが止まりません………

では、次回をお楽しみに!

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